JPH08231267A - 高熱膨張Al2O3−SiO2系焼結体およびその製造方法 - Google Patents

高熱膨張Al2O3−SiO2系焼結体およびその製造方法

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JPH08231267A
JPH08231267A JP7076218A JP7621895A JPH08231267A JP H08231267 A JPH08231267 A JP H08231267A JP 7076218 A JP7076218 A JP 7076218A JP 7621895 A JP7621895 A JP 7621895A JP H08231267 A JPH08231267 A JP H08231267A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Al2 3 粉末と、SiO2 粉末と、周期律表
第2a族元素化合物や周期律表第3a族元素化合物の粉
末と、ムライト粉末との混合粉末であって、周期律表第
2a、3a族元素化合物のうち少なくとも一種の粉末を
酸化物換算で0.5重量%以上、ムライト粉末を0.5
重量%以上の割合でそれぞれ含有するとともに、全組成
中におけるAlのAl2 3 換算量/SiのSiO2
算量の重量比率が0.6以上1未満の範囲となるように
調合した混合粉末を所定形状に成形した後、1700℃
以下で焼成して、ムライトを主結晶相とし、さらに30
重量%以上のクリストバライトおよび/またはSiO2
を主成分とするガラスを含み、常温から200℃の熱膨
張係数が12ppm/℃以上の焼結体を得る。 【効果】焼結性を高め、所望の高熱膨張率を有し、かつ
低誘電率のAl2 3 −SiO2 系焼結体を安価にかつ
容易に得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、半導体装置等
のパッケ−ジ材料や多層配線基板の絶縁材料として使用
されたり、室温〜200℃の低温においてAl2 3
焼結体よりも高熱膨張で、かつ低誘電率のAl2 3
SiO2 系焼結体およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、LSI等の集積回路は、一般に高
熱伝導性を有するとともに強度的に優れたアルミナを絶
縁基板とするセラミック製のパッケージ(例えば、ピン
グリッドアレイパッケージ)に収納され、ガラスエポキ
シなどのプリント基板に実装されて使用されている。
【0003】また、近年においては、ますますLSIの
信号伝播速度の高速化が要求され、配線パターンが高密
度化しているため、LSIの熱放散性や信号伝播速度の
高速化を図る必要がある。熱放散性を改善するには、集
積回路素子から発生する熱を効率的に除去するためにC
u製のヒートシンクをアルミナ基板に取り付けることも
行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする問題点】ところが、室温〜2
00℃において、プリント基板の熱膨張係数は14〜1
6×10-6/℃であるのに対し、アルミナの熱膨張係数
は約7×10-6/℃であるため、プリント基板とパッケ
ージとの熱膨張率差により熱応力が発生して、パッケー
ジが破損したり、プリント基板とパッケージとの接合不
良が発生する等の不具合があった。
【0005】また、ヒートシンクのCuの熱膨張係数も
約18×10-6/℃とアルミナの熱膨張係数と大きな差
があるため、基板やパッケージに引っ張り応力が発生
し、クラック等の不具合が発生する。
【0006】また、信号伝播速度の高速化を図るために
は、比誘電率が小さいものを用いる必要があるが、アル
ミナは比誘電率が10程度と高いため、信号伝播速度が
遅くなるという問題があった。
【0007】そこで、従来のアルミナからなるパッケー
ジや基板等の欠点を解消するために、プリント基板やC
uとほぼ同様の熱膨張率(室温〜200℃において、1
2×10-6/℃以上)を有し、比誘電率が小さいパッケ
ージや基板用のセラミックスが必要である。このような
セラミックスはこれまで報告されていなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点に対して検討を重ねた結果、結晶相としてクリスト
バライトが180〜270℃においてβ−クリストバラ
イトからα−クリストバライトへの変態が生じることか
ら、室温〜200℃における平均熱膨張係数が30〜5
0×10-6/℃と大きな熱膨張係数を有していることに
着目し、このようなクリストバライトを含有する緻密質
な焼結体を得る方法を検討した。
【0009】その結果、所定の割合で混合されたAl2
3 とSiO2 とムライトの混合粉末、あるいはSiO
2 とムライト粉末に、周期律表第2a族元素化合物や周
期律表第3a族元素化合物を添加し、全組成中のAlの
酸化物換算量/Siの酸化物換算量の重量比を一定とし
た混合粉末を焼成することにより、ムライト主結晶以外
にクリストバライトおよび/またはSiO2 を主成分と
するガラスを含有する高熱膨張Al2 3 −SiO2
焼結体を得ることができることを知見し、本発明に至っ
た。
【0010】即ち、本発明の高熱膨張Al2 3 −Si
2 系焼結体は、少なくともAlと、Siとを酸化物換
算量で合計92〜99.5重量%、周期律表第2a,3
a族元素のうち少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜
8重量%の割合で含有し,且つ前記AlのAl2 3
算量の前記SiのSiO2 換算量に対する重量比率が
0.6以上、1未満のAl2 3 −SiO2 系焼結体で
あって、該焼結体は、ムライトを主結晶相とし、さらに
30重量%以上のクリストバライトおよび/またはSi
2 を主成分とするガラスを含み、常温から200℃の
熱膨張係数が12ppm/℃以上であることを特徴とす
る高熱膨張Al2 3 −SiO2 系焼結体を特徴とする
ものである。
【0011】また、かかる焼結体を製造する方法とし
て、Al2 3 粉末と、SiO2 粉末と、周期律表第2
a族元素化合物および周期律表第3a族元素化合物のう
ち少なくとも一種の粉末と、ムライト粉末との混合粉末
であって、前記Al2 3 粉末と前記SiO2 粉末と前
記ムライト粉末を合計で92〜99.5重量%、前記周
期律表第2a族元素化合物および周期律表第3a族元素
化合物のうち少なくとも一種の粉末を酸化物換算で0.
5〜8重量%の割合で含み、且つ、前記ムライト粉末を
0.5重量%以上含む場合、全量中におけるAlのAl
23 換算量/SiのSiO2 換算量の重量比率が0.
72以上、1未満、前記ムライト粉末を10重量%以上
含む場合、全量中におけるAlのAl2 3 換算量/S
iのSiO2 換算量の重量比率が0.6以上、1未満、
の条件を満足するように調合した混合粉末を所定形状に
成形した後、1700℃以下で焼成して、ムライトを主
結晶相とし、さらに30重量%以上のクリストバライト
および/またはSiO2 を主成分とするガラスを含む焼
結体を得ることを特徴とするものである。
【0012】さらに他の方法としては、SiO2 粉末
と、周期律表第2a族元素化合物および周期律表第3a
族元素化合物のうち少なくとも一種の粉末と、ムライト
粉末との混合粉末であって、前記SiO2 粉末と前記ム
ライト粉末とを合計で92〜99.5重量%、前記周期
律表第2a族元素化合物および周期律表第3a族元素化
合物のうち少なくとも一種の粉末を酸化物換算で0.5
〜8重量%、前記ムライト粉末を10重量%以上の割合
でそれぞれ含有するとともに、全組成中におけるAlの
酸化物換算量/Siの酸化物換算量の重量比率が0.6
以上、1未満の範囲となるように調合した混合粉末を所
定形状に成形した後、1700℃以下で焼成して、ムラ
イトを主結晶相とし、さらに30重量%以上のクリスト
バライトおよび/またはSiO2 を主成分とするガラス
を含む焼結体を得ることを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳述する。本発明のAl2
3 −SiO2 系焼結体の1つの製造方法によれば、出
発原料として、Al2 3 粉末、SiO2 粉末、周期律
表第2a族元素化合物および周期律表第3a族元素化合
物のうち少なくとも一種の粉末と、ムライト粉末を用い
る。これらの出発原料粉末のうち、ムライト粉末は、S
iO2 成分とAl2 3成分に一部分離することから、
ムライト粉末の添加量に応じて上記粉末の混合組成を制
御する。
【0014】具体的には、Al2 3 粉末とSiO2
末とムライト粉末とを合計で92〜99.5重量%の割
合で含有するが、ムライト粉末量が0.5重量%以上の
場合、全量中におけるAlのAl2 3 換算量/Siの
SiO2 換算量の重量比率が0.72以上、1未満とな
るようにAl2 3 粉末およびSiO2 粉末を添加す
る。Al2 3 /SiO2 の重量比率を上記の範囲に限
定したのは、Al2 3/SiO2 の重量比率が0.7
2より小さいと焼結性が低下し、その熱膨張異常のため
破壊し、また、1以上となると(アルミナ過剰)クリス
トバライトやSiO2 主体のガラスの生成が少なく、室
温から200℃において12×10-6/℃以上の熱膨張
係数が得られないからである。なお、ムライト粉末が
0.5重量%よりも少ないと焼結体にそりが発生した
り、また、液相生成の促進という効果が殆どなく、緻密
な焼結体を得ることができない。ムライト粉末は0.5
重量%以上添加すれば良いが、多量に添加すると高コス
トになるので、0.5〜30重量%添加することが望ま
しい。
【0015】また、前記ムライト粉末が10重量%以上
である場合には、全量中におけるAlのAl2 3 換算
量/SiのSiO2 換算量の重量比率が0.6以上、1
未満となるように、Al2 3 粉末とSiO2 粉末の量
を制御する。この場合には、ムライトの割合が増加する
ことにより組織がより均一になり、高強度化するため、
発生する熱応力に耐えることができるからである。
【0016】本発明におけるさらに他の製造方法では、
出発原料としてSiO2 粉末と、周期律表第2a族元素
化合物および周期律表第3a族元素化合物のうち少なく
とも一種の粉末と、ムライト粉末との混合粉末を用い
る。この場合には、SiO2 粉末と前記ムライト粉末と
を合計で92〜99.5重量%であり、特にムライト粉
末を10重量%以上の割合でそれぞれ含有するととも
に、全組成中におけるAlの酸化物換算量/Siの酸化
物換算量の重量比率が0.6以上、1未満の範囲となる
ように調合する。
【0017】上記の各場合におけるムライト量、Al2
3 /SiO2 重量比の各条件を満足しないといずれも
焼結不足となり、所望の高密度、高熱膨張の焼結体を得
ることができない。
【0018】なお、出発原料の場合において、周期律表
第2a族元素化合物および周期律表第3a族元素化合物
のうち少なくとも一種の粉末は、上記のいずれの場合に
おいても、酸化物換算で0.5〜8重量%の割合で添加
する。この量を上記の範囲に限定したのは、第2a,3
a族化合物が0.5重量%より少ないと、1700℃以
下での焼成が困難となるからである。また、8重量%を
越えると低融点の液相が多量に生成し、ボイドが増加し
やすく、また焼成温度が1450℃以下となり、基板と
WやMo等の高融点金属のメタライズを同時に焼成する
ことが難しくなる。好適には1〜6重量%がよい。
【0019】尚、周期律表第2a族元素としては、C
a,Mg,Sr,Ba,Raがあり、それらの化合物と
しては、その酸化物,水酸化物およびこれらを実質的に
含む炭酸塩,硝酸塩等の塩やハロゲン化物、ホウ化物等
がある。また、周期律表第3a族元素としては、Sc,
Y,La,Nd,Sm,Dy,Er,Yb等があり、そ
れらの化合物としては、その酸化物およびこれらを実質
的に含む水酸化物,炭酸塩,硝酸塩等の塩やハロゲン化
物,ホウ化物が挙げられる。
【0020】次に、上記の組成で混合した混合物にさら
にブチラール等のバインダーを添加したものを所望の成
形手段、例えば、金型プレス,冷間静水圧プレス,押出
し成形、ドクターブレード法等により任意の形状に成形
後、焼成する。焼成は1700℃以下の還元性雰囲気や
酸化性雰囲気中で10分〜3時間程度焼成することによ
り緻密化することができる。焼成温度は望ましくは、1
450〜1650℃がよい。これは、1450℃よりも
低い温度で焼成すると、基板とWやMoのメタライズペ
ーストとの同時焼成ができないからである。なお、焼成
温度が1700℃よりも高いと、焼成設備が高コストと
なるからである。
【0021】また、上記製造方法によれば、配線層を有
する基板を製造する場合には、ドクターブレード法など
により形成されたグリーンシートの表面にW、Mo、R
eなどの高融点金属を含有するペーストをスクリーン印
刷法等により印刷し、場合によってはグリーンシートに
スルーホールに上記ペーストを充填し、これらのシート
を積層圧着した後、この積層体を上記の条件で同時に焼
成することにより作製できる。
【0022】上記製造方法により得られる焼結体は、ム
ライト(一般式3Al2 3 ・2SiO2 )を主結晶相
とし、さらに30重量%以上のクリストバライトおよび
/またはSiO2 を主成分とするガラスを含むものであ
る。ムライト以外の成分は、焼成温度により左右され、
焼成温度が1600℃以下の場合にはクリストバライト
が析出するが、焼成温度が1600℃を超える温度では
クリストバライトがガラス化し、SiO2 主成分のいわ
ゆるSiO2 ガラスが生成されることになる。このSi
2 ガラスもクリストバライトと同様に高熱膨張を有す
るため、焼結体全体としての熱膨張を高めることができ
る。
【0023】なお、これらクリストバライトおよび/ま
たはSiO2 を主成分とするガラスの量は、出発原料お
よび組成に依存し、前述の範囲に制御することにより、
後述する実施例に記載されるように30重量%以上で任
意の量を析出させることができる。
【0024】これにより、本発明の高熱膨張Al2 3
−SiO2 質焼結体は、常温から200℃の熱膨張係数
が12ppm/℃以上であることが重要であり、前述の
クリストバライトおよび/またはSiO2 を主成分とす
るガラスの量を30重量%以上に制御することにより達
成される。この熱膨張係数が12ppm/℃以下ではプ
リント基板への実装ができず、またCuヒートシンクを
取り付けることができない。
【0025】また、本発明の焼結体は、熱膨張曲線にお
いて200℃から300℃の間に伸びの屈曲点を持つこ
とも大きな特徴である。これは、βクリストバライトか
らαクリストバライトへの変態によるものである。この
ような屈曲点を有することにより、実装時に発生する熱
応力を小さくすることができるとともに、低熱膨張のW
やMoの高融点金属との同時焼成により発生する熱応力
も小さくすることができる効果を奏する。
【0026】尚、本発明のAl2 3 −SiO2 質焼結
体によれば、前述の組成系に対して、公知の顔料成分、
例えば、Mo,W,Re,Fe,Cr,Co,Ni,C
u,Mnを金属,酸化物,水酸化物,塩,ハロゲン化
物,ホウ化物等の形で添加しても良く、この場合には所
望の色に着色した焼結体が得られる。また、Y2 3
どの安定化材を含むZrO2 を3〜20重量%添加し
て、正方晶あるいは単斜晶のZrO2 を分散させること
により焼結体の高強度化を図ることができる。さらに、
ZnO,B2 3 などを添加すると焼成温度をさらに低
下させることができ、この場合には配線基板における導
体金属をNi,Co,Au,Ag,Cu等にする必要が
ある。
【0027】
【作用】本発明によれば、Al2 3 粉末、SiO2
末および周期律表第2a、3a族化合物との混合粉末、
あるいはSiO2 粉末および周期律表第2a、3a族化
合物との混合粉末に、ムライト粉末を所定の割合で添加
することにより、ムライトがAl2 3 、SiO2 、周
期律表第2a,3a族元素からなる液相に溶解し、Si
2 ,Al2 3 との濡れ性のよい液相を増加させるこ
とにより生じる反応性液相による焼結が生じる。このよ
うに、液相の生成反応が促進されるとともに反応性液相
による焼結がスムーズに生じる結果、ムライト相以外に
クリストバライトおよび/またはSiO2 を主成分とす
るガラスが析出し、室温から200℃における熱膨張率
が12×10-6/℃以上のプリント基板やCuとほぼ同
等の熱膨張率を有する緻密な焼結体を得ることができ
る。
【0028】その結果、このAl2 3 −SiO2 質焼
結体を絶縁基板として配線層を具備する多層配線基板や
半導体素子を収納するパッケージをプリント基板に実装
した場合に熱膨張差に起因するプリント基板との電気的
接続不良などの発生を抑制し長期に安定した実装構造を
提供することができる。
【0029】
【実施例】
実施例1 平均粒径が0.6μmのAl2 3 粉末と、平均粒径
0.8μmのSiO2 粉末、平均粒径が1.0μmのム
ライト粉末(Al2O3/SiO2=72/28,重量比)、および平均
粒径1.5μmの周期律表第3a、2a族元素の炭酸塩
を用いて、表1の組成となるように秤量混合し、公知の
溶剤とバインダー及び可塑剤等を混合しこれをドクター
ブレード法により0.5mm厚に成形した後、シートを
加熱・加圧積層した積層体を作製した。そして,この積
層体を表1の焼成温度条件で焼成した。尚、表中のMg
O、CaO量はいずれもMgCO3 、CaCO3 から換
算したものである。また、得られた焼結体に対して、結
晶相をX線回折測定により同定した。さらに室温〜20
0℃の熱膨張率を測定した。
【0030】また、焼結体を直径60mm、厚さ2mm
に加工し、JISC2141の手法で比誘電率を求め
た。測定はLCRメータ(Y.H.P4284A)を用
いて行い、1MHz,1.0Vrsmの条件で25℃に
おける静電容量を測定し、この静電容量から25℃にお
ける比誘電率を測定した。
【0031】さらに、X線マイクロアナライザーを用い
た検量線法により焼結体の組成を分析し、X線回折の内
部標準法を用いてムライトおよびクリストバライトの析
出量を測定し、クリストバライトと残部のガラスの合量
を表2に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】上記表1、2より、ムライト粉末を全く添
加しない試料No.4、22ではいずれも焼結できず、そ
れ以外のムライト粉末を添加して焼成した焼結体は、緻
密なものであった。しかし、ムライトの添加量が0.5
重量%より少ない試料No.6では焼結不足でそりが発生
した。ムライトを0.5重量%以上添加した場合でも、
Al2 3 /SiO2 比が0.72未満の試料No.1、
2では緻密化できず、試料No.1ではクラックが発生し
た。よって、ムライトを0.5重量%添加すればAl2
3 /SiO2 重量比が0.72以上の範囲で良好な焼
結体となることがわかる。ただし、ムライト量が10重
量%以上ではAl2 3 /SiO2 重量比が0.6以上
で緻密化できることがわかる。
【0035】さらに、Al2 3 /SiO2 重量比が1
以上の試料No.23では熱膨張係数が小さくなり、1未
満で室温〜200℃における熱膨張率が12×10-6
℃以上となり、プリント基板やCuの熱膨張率(12〜
18×10-6/℃)と近く、プリント基板への表面実装
やCuのヒートシンクの使用が可能となることが判る。
【0036】また、本発明の焼結体では、いずれも比誘
電率が5.8以下とアルミナの10よりも低く、信号伝
播速度を向上することができるものである。
【0037】なお、図1に、表1における試料No.8の
温度に対する伸びの熱膨張曲線を示す図である。この図
1より、クリストバライトを含有することにより、室温
〜200℃の範囲のみ熱膨張率が大きく、高温側では熱
膨張率が小さく、通常のWやMoのメタライズが可能で
あることが判る。また熱膨張の屈曲点が200〜300
℃の間にあり、室温〜200℃の平均熱膨張率が12×
10-6/℃以上であることが判る。
【0038】上記試料No.8と同様にクリストバライト
を含有する試料は、いずれも図1に示すように、150
〜300℃付近に伸びの熱膨張曲線において屈曲点を有
するものであった。
【0039】実施例2 原料として平均粒径0.8μmのSiO2 粉末、平均粒
径が1.0μmのムライト粉末(Al2O3/SiO2=72/28,重
量比)、および平均粒径1.5μmの周期律表第3a、
2a族元素の炭酸塩を用いて、表3の組成に秤量混合
し、これをドクターブレード法により成形してグリーン
シートを作製し、このグリーンシートを複数枚積層して
表3に示すような焼成温度条件で焼成した。また、得ら
れた焼結体に対して、上記実施例1と同様にして結晶相
を同定し、室温〜200℃の熱膨張率および比誘電率、
焼結体の組成、クリストバライト+SiO2 ガラスの相
析出量を測定し、この結果を表4に示した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】上記表3、4より、ムライトを10重量%
以上添加してもAl2 3 /SiO2 比が0.6未満の
試料No.24では焼結体にクラックが発生した。
【0043】これに対して、Al2 3 /SiO2 の重
量比が0.6以上、ムライト粉末を10重量%以上添加
して焼成した本発明の範囲内の焼結体はいずれも緻密質
で、室温〜200℃における熱膨張係数が12×10-6
/℃以上であり、プリント基板やCuの熱膨張率(12
〜18×10-6/℃)と近く、プリント基板への表面実
装やCuのヒートシンクの使用が可能となることが判
る。さらに、本発明の焼結体では、比誘電率が5.8以
下とアルミナの10よりも低く、信号伝播速度を向上す
ることができる。
【0044】なお、図1に、表3における試料No.26
の温度に対する伸びの熱膨張曲線を示した。この図1よ
り、クリストバライトを含有することにより、室温〜2
00℃の範囲のみ熱膨張率が大きく、高温側では熱膨張
率が小さく、通常のWやMoのメタライズが可能である
ことが判る。また熱膨張の屈曲点が200〜300℃の
間にあり、室温〜200℃の平均熱膨張率が12×10
-6/℃以上であることが判る。
【0045】上記試料No.26と同様にクリストバライ
トを含有する試料は、いずれも図1に示すように、15
0〜300℃付近に伸びの熱膨張曲線において屈曲点を
有するものであった。
【0046】
【発明の効果】本発明のAl2 3 −SiO2 系焼結体
の製造方法では、Al2 3 とSiO2 の混合粉末にム
ライト粉末を添加したので、液相の生成反応が促進され
るとともに反応性液相による焼結がスムーズに生じ、ボ
イドの発生を抑制して、クリストバライトを含有する緻
密なAl2 3 −SiO2 系焼結体を得ることができ
る。従って、本発明のAl2 3 −SiO2 系焼結体の
製造方法では、安価にかつ容易に焼結体を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試料No.8,26の温度に対する伸び
を示すグラフである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともAlと、Siとを酸化物換算量
    で合計92〜99.5重量%、周期律表第2a,3a族
    元素のうち少なくとも1種を酸化物換算で0.5〜8重
    量%の割合で含有し,且つ前記AlのAl2 3 換算量
    の前記SiのSiO2 換算量に対する重量比率が0.6
    以上,1未満のAl2 3 −SiO2 系焼結体であっ
    て、該焼結体は、ムライトを主結晶相とし、さらに30
    重量%以上のクリストバライトおよび/またはSiO2
    を主成分とするガラスを含み、常温から200℃の熱膨
    張係数が12ppm/℃以上であることを特徴とする高
    熱膨張Al2 3 −SiO2 系焼結体。
  2. 【請求項2】Al2 3 粉末と、SiO2 粉末と、周期
    律表第2a族元素化合物および周期律表第3a族元素化
    合物のうち少なくとも一種の粉末と、ムライト粉末との
    混合粉末であって、前記Al2 3 粉末と前記SiO2
    粉末と前記ムライト粉末を合計で92〜99.5重量
    %、前記周期律表第2a族元素化合物および周期律表第
    3a族元素化合物のうち少なくとも一種の粉末を酸化物
    換算で0.5〜8重量%の割合で含み、且つ、 前記ムライト粉末を0.5重量%以上含む場合、全量中
    におけるAlのAl23 換算量/SiのSiO2 換算
    量の重量比率が0.72以上、1未満、 前記ムライト粉末を10重量%以上含む場合、全量中に
    おけるAlのAl2 3 換算量/SiのSiO2 換算量
    の重量比率が0.6以上、1未満、の条件を満足するよ
    うに調合した混合粉末を所定形状に成形した後、170
    0℃以下で焼成して、ムライトを主結晶相とし、さらに
    30重量%以上のクリストバライトおよび/またはSi
    2 を主成分とするガラスを含む焼結体を得ることを特
    徴とする高熱膨張Al2 3 −SiO2 系焼結体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】SiO2 粉末と、周期律表第2a族元素化
    合物および周期律表第3a族元素化合物のうち少なくと
    も一種の粉末と、ムライト粉末との混合粉末であって、
    前記SiO2 粉末と前記ムライト粉末とを合計で92〜
    99.5重量%、前記周期律表第2a族元素化合物およ
    び周期律表第3a族元素化合物のうち少なくとも一種の
    粉末を酸化物換算で0.5〜8重量%、前記ムライト粉
    末を10重量%以上の割合でそれぞれ含有するととも
    に、全組成中におけるAlの酸化物換算量/Siの酸化
    物換算量の重量比率が0.6以上、1未満の範囲となる
    ように調合した混合粉末を所定形状に成形した後、17
    00℃以下で焼成して、ムライトを主結晶相とし、さら
    に30重量%以上のクリストバライトおよび/またはS
    iO2 を主成分とするガラスを含む焼結体を得ることを
    特徴とする高熱膨張Al2 3 −SiO2 系焼結体の製
    造方法。
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