JPH0822847A - 端子カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 導線接続部の絶縁被覆やその抜け出し防止を
行なえ、また導線接続部を被覆する際の組立ても簡単と
なる、簡易型構造で安価な端子カバーを得る。 【構成】 同一方向に引出される導線２，３，４を接続
した導線接続部５を絶縁被覆する端子カバー１０を備え
る。この端子カバーは、導線接続部を導線引出し方向か
ら嵌挿する開口１１ａを後端側に有し、先端側に導線接
続部収納空間形成用のキャップ部１２を一体に設けた胴
部１１を有する。この胴部の後端側開口縁部には、後方
に向って延設されるとともに開口縁部付近のヒンジ部１
５を介して折り返される複数の弾性係止片１４が、合成
樹脂材により一体に形成される。この弾性係止片は、胴
部内に臨んで導線接続部の抜き出しを防ぐようにその引
出し端側を係止するように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、互いに平行して引出さ
れる複数本の導線の端部同士を一体に接続してなる導線
接続部の絶縁性を保つために用いて好適な端子カバーに
関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえばモータから引出された導線を電
力供給ライン側の導線に接続するにあたって、それぞれ
の導線端部に圧着端子を固着し、これら両圧着端子同士
を背中合わせにしてビス止めしたり、それぞれの導線の
端部同士を圧接リング、圧着スリーブ等によって一体に
接合したりすることが、従来から行われている。

【０００３】たとえば圧着端子等を用いた導線接続部を
電気的に絶縁する構造として従来から種々提案されてお
り、本出願人も、たとえば実公昭６１−２９１６７号公
報、実公昭６１−２９１６９号公報等に示される端子カ
バーを先に提案している。

【０００４】すなわち、従来の端子カバーは、ビス止め
した圧着端子による導線接続部およびその導線引出し方
向に引出された導線の接続端部分を収納保持する収納空
間を有する成形ホルダと、このホルダ外側に装着される
成形カバーとから構成されている。このような組み合わ
せによれば、導線接続部を体裁よくしかも簡単に絶縁す
ることが可能で、構造も比較的簡単で、コスト的にも安
価となる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の端子カバーは、樹脂成型品による成形ホルダと成形カ
バーとから構成され、かつこれらを導線接続部を組込ん
だ状態で組合わせて用いられるもので、構成部品点数が
多く、組立作業も煩雑で、導線接続部の絶縁被覆を行な
うにあたっての作業性やコスト面で問題を有している。

【０００６】ここで、上述した端子カバーに要求される
機能としては、複数本を結線した導線接続部を覆って絶
縁性を確保するとともに、可能な限り簡単に組立でき、
しかも被覆状態において導線接続部の抜き出しを阻止し
得ることがあり、このような点に配慮して何らかの対策
を講じることが望まれている。

【０００７】本発明はこのような事情に鑑み、導線接続
部を絶縁被覆するための機能やその抜き出しを防止する
機能を備え、しかも導線接続部を被覆する際の組立作業
も簡単で、簡易型構造でしかも安価な端子カバーを得る
ことを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】このような要請に応える
ために本発明に係る端子カバーは、同方向に引出される
複数本の導線の端部同士を接続してなる導線接続部を絶
縁被覆する端子カバーを、導線接続部を導線引出し方向
から嵌挿する開口を後端側に有しかつ先端側に前記導線
接続部の収納空間を形成するために先端部が閉塞された
キャップ部が一体に設けられる胴部を備え、この胴部の
後端側開口縁部の複数個所に、後方に向って延設される
とともに開口縁部付近のヒンジ部を介して折り返される
ことで胴部内に臨んで導線接続部の抜き出しを防ぐよう
にその引出し端側を係止する複数の弾性係止片を、合成
樹脂材により一体に形成したものである。

【０００９】また、本発明に係る端子カバーは、胴部を
角筒体として形成し、その先端側にテーパ部を介して小
径なキャップ部を一体に形成したり、弾性係止片を、後
端側開口縁部付近のヒンジ部を介して折り返して胴部内
に傾斜して臨ませ、導線接続部の引出し端側を係止して
抜出しを防止するように構成したものである。

【００１０】

【作用】本発明によれば、樹脂成形された端子カバーを
キャップ部と共に構成する胴部の後端側開口縁部から延
設された複数の弾性係止片を、それぞれ開口縁部付近の
ヒンジ部を介して折り返し、胴部内に傾斜して臨ませた
状態で、胴部後端側開口から、複数本の導線の端部同士
を接続した導線接続部を、導線引出し方向から嵌挿し、
その引出し端側を各弾性係止片の先端で係止することに
より、端子カバーからの抜き出しを規制した状態で、導
線接続部の絶縁被覆を行なえる。

【００１１】

【実施例】図１ないし図４は本発明に係る端子カバーの
一実施例を示し、これらの図において、符号１は互いに
平行して同一方向に引出される複数本（本実施例では三
本）の導線２，３，４の接続端をまとめて接続するため
の導線接続部５を構成する周知の圧着スリーブで、この
圧着スリーブ１は、全体が略管体形状を呈し、その内部
に導線２，３，４を嵌挿し、その状態で一部をかしめ等
で圧着することにより、各導線２，３，４の電気的接続
を行なうようになっている。なお、図１、図２において
符号１ａは圧着スリーブ１の引出し端である。

【００１２】そして、このような導線接続部５を電気的
に絶縁状態を保って被覆保持するために、本発明によれ
ば、硬質または軟質の合成樹脂材により簡単に形成し得
る図１ないし図４に示したような端子カバー１０を用い
ている。

【００１３】すなわち、本発明に係る端子カバー１０
は、図１ないし図４に示されるように、同方向に引出さ
れる三本の導線３，４，５の端部同士を圧着スリーブ１
により接続した導線接続部５を絶縁被覆するにあたっ
て、導線接続部５を導線引出し方向から嵌挿する開口１
１ａを後端側に有しかつ先端側に前記導線接続部５の収
納空間１６を形成するために先端部が閉塞された有底円
筒状のキャップ部１２が一体に設けられる胴部１１を備
えている。

【００１４】そして、この胴部１１の後端側開口１１ａ
の縁部の複数個所に、斜め後方に向って延設されるとと
もに開口１１ａ縁部付近のヒンジ部１５を介して折り返
されることで胴部１１内（係止片折り返し空間１７）に
臨んで導線接続部の抜き出しを防ぐようにその引出し端
側を係止端１４ａで係止する複数の弾性係止片１４，１
４，１４を、合成樹脂材により一体に形成したところに
特徴を有している。

【００１５】ここで、この端子カバー１０は、胴部１１
を角筒体（本実施例では六角筒体）として形成するとと
もに、その先端側にテーパ部１３を介して小径なキャッ
プ部１２を一体に形成したりするとよい。また、弾性係
止片１４，１４，１４を、図図２の（ｃ）に示した成形
状態から、胴部１１の後端側開口１１ａ縁部付近で六角
形状の一つおきの縁部に設けた段差によるヒンジ部１５
を介して折り返すことにより図２の（ａ）や（ｂ）に示
すように胴部１１内に傾斜して臨ませ、導線接続部５の
引出し端１ａ側を係止して抜出しを防止するように構成
するとよい。

【００１６】さらに、端子カバー１０内に導線接続部５
を嵌挿して抜け出しを規制した際に、係止片１４の係止
部１４ａの長さによっては係止できないこともあるが、
この場合には図２の（ｂ）で矢印で示したように両側か
ら加圧力を加え、上、下に長くなるように全体を変形さ
せて組立てを行なう等の変形例も考えられる。また、弾
性係止片１４の係止部１４ａでの係止位置は、カバー開
口１１ａからの長さがある程度の長さを満足するように
設定し、外部との絶縁性を確保でいるように構成すると
よい。

【００１７】このような構成によれば、合成樹脂材によ
り一体に形成された端子カバー１０をキャップ部１２と
共に構成する胴部１１の後端側開口１１ａ縁部から延設
された複数の弾性係止片１４，１４，１４を、それぞれ
開口１１ａ縁部付近の内側段差によるヒンジ部１５，１
５，１５を介して折り返し、胴部１１内に傾斜して臨ま
せた状態で、胴部１１の後端側開口１１ａから、複数本
の導線２，３，４の端部同士を接続した導線接続部５
を、導線引出し方向から嵌挿し、その引出し端１ａ側を
各弾性係止片１４，１４，１４先端の係止部１４ａ，１
４ａ，１４ａで係止することにより、端子カバー１０か
らの抜き出しを規制した状態で、導線接続部５の絶縁被
覆を行なえる。

【００１８】このような構成では、樹脂成型品としての
端子カバー１０のみで、導線接続部５を内部に嵌挿させ
た状態で体裁よく適切に絶縁被覆できるとともに、その
抜け出しをも折り返される弾性係止片１４によって規制
できるため、構成部品点数が最小限で、コスト低減化が
図れ、また組立てもワンタッチで行なえ作業性に優れ、
また絶縁被覆時の組立性にも優れ、成形加工性やコスト
面でも優れている。

【００１９】したがって、このような端子カバー１０に
よれば、屋内配線、ジョイントボックス内での電線等の
導線を接続条件や場所を選ばない安定した絶縁処理が能
率よく短時間で行なえ、しかも体裁がよく、安全性の点
でも優れている。

【００２０】さらに、上述した端子カバー１０によれ
ば、胴部の先端のキャップ部１２、さらに後端側に開口
１１ａ縁部からヒンジ部１５を介して後方に延設された
複数の弾性係止片１４を含めて、きわめて簡単な成形用
金型構造によって、端子カバー１０を樹脂成形品として
きわめて簡単に形成でき、しかもその成形後に各弾性係
止片１４を折り返すだけでよく、製品コストを大幅に低
減できる。

【００２１】ここで、上述したような端子カバー１０
は、図４に示したような成形用金型２０，２１の二つ割
り金型で簡単に成形し得ることは容易に理解されよう。
ここで、図中２２はキャビティ部である。

【００２２】また、上述した端子カバー１０を取外す際
には、カバー１０のキャップ部１２内の空間１６内で導
線接続部５を、さらに押し込むとともに、各弾性係止片
１４を係止部１４ａが係止しない位置まで折り返すよう
に回動させ、係止解除を行なうことにより、端子カバー
１０からの抜き出しが可能となることから、簡単に取り
外せることは容易に理解されよう。

【００２３】なお、本発明は上述した実施例構造には限
定されず、端子カバー１０各部の形状、構造等を適宜変
形、変更し得るものであり、各部の形状、構造等につい
て種々の変形例が考えられる。たとえば上述した実施例
では、端子カバー１０の胴部１１において後端側開口１
１ａからの弾性係止片１４として、三枚である場合を例
示したが、二枚、あるいは四枚、五枚、六枚等、種々選
択できることは言うまでもない。

【００２４】また、上述した弾性係止片１４の折り返し
用としてのヒンジ部１５を、カバー１０の成形時におい
て内側に形成した段差によって形成した場合を示した
が、本発明はこれに限定されず、図５に示すように外側
に形成した段差等によるヒンジ部１５であってもよく、
適宜の変形例が考えられる。

【００２５】さらに、上述した実施例では、導線２，
３，４を結線接続するための導線接続手段として、圧着
スリーブ１を例示したが、これに限定されず、複数本の
導線を結線接続可能であって、かつ前記弾性係止片１４
で係止可能な状態とし得る接続手段であれば適用して効
果を発揮し得るものである。このような接続手段として
は、たとえば絶縁テープを複数巻きにした接続部を始
め、圧着端子を利用したもの等、種々考えられる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明に係る端子カ
バーによれば、同方向に引出される複数本の導線の端部
同士を接続する導線接続部を絶縁被覆する端子カバー
を、導線接続部を導線引出し方向から嵌挿する開口を後
端側に有しかつ先端側に導線接続部の収納空間を形成す
るためにキャップ部を一体に設けた胴部を備え、この胴
部の後端側開口縁部の複数個所に、後方に向って延設さ
れるとともに開口縁部付近のヒンジ部を介して折り返さ
れることで胴部内に臨んで導線接続部の抜き出しを防ぐ
ようにその引出し端側を係止する複数の弾性係止片を、
合成樹脂材により一体に形成したので、以下に述べるよ
うな種々優れた効果を奏する。

【００２７】すなわち、本発明によれば、合成樹脂材に
より一体成形される成型品である端子カバーのみで、導
線接続部を内部に嵌挿させた状態で体裁よく適切に絶縁
被覆できるとともに、その抜け出しをも規制できるた
め、構成部品点数が最小限で、コスト低減化が図れ、ま
た組立てもワンタッチで行なえ作業性に優れている。

【００２８】すなわち、本発明では、合成樹脂材で一体
に形成された端子カバーをキャップ部と共に構成する胴
部の後端側開口縁部から延設された複数の弾性係止片
を、それぞれ開口縁部付近のヒンジ部を介して折り返
し、胴部内に傾斜して臨ませた状態とすることにより、
胴部後端側開口から、複数本の導線の端部同士を接続し
た導線接続部を導線引出し方向から嵌挿するだけで、そ
の引出し端側を各弾性係止片の先端で係止でき、端子カ
バーからの抜き出しを規制し、また導線接続部の絶縁被
覆をも確実に行なえる。

【００２９】したがって、本発明に係る端子カバーによ
れば、屋内配線、ジョイントボックス内での導線を接続
条件や場所を選ばない安定した絶縁処理が能率よく短時
間で行なえ、しかも体裁がよく、安全性にも優れている
等の利点を奏する。

【００３０】また、本発明に係る端子カバーによれば、
胴部を角筒体として形成するとともに、その先端側にテ
ーパ部を介して小径なキャップ部を一体に形成し、さら
に弾性係止片を、胴部の後端側開口縁部付近のヒンジ部
を介して折り返すことにより胴部内に傾斜して臨ませ、
導線接続部の引出し端側を係止して抜出しを防止するよ
うにしたので、簡単な構成であるにもかかわらず、上述
した作用効果を発揮させることができる。

【００３１】特に、本発明に係る端子カバーによれば、
胴部の先端のキャップ部、さらに後端側に開口縁部から
ヒンジ部を介して後方に延設された複数の弾性係止片を
含めて、きわめて簡単な成形用金型構造によって、端子
カバーを樹脂成形品としてきわめて簡単に形成できると
ともに、その成形後に各弾性係止片を折り返すだけでよ
いため、製品コストを大幅に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る端子カバーの一実施例を示す導
線接続部の嵌挿状態の要部断面図である。

【図２】 （ａ）は端子カバー、導線接続部を示す概略
分解図、（ｂ）は端子カバーの使用時の端面図、（ｃ）
は端子カバーの成形時の端面図である。

【図３】 端子カバーの成形時の概略側面図である。

【図４】 端子カバーの成形用金型を示す概略図であ
る。

【図５】 弾性係止片のヒンジ部の変形例を示す要部断
面図である。

【符号の説明】

１…圧着スリーブ（導線接続手段）、１ａ…引出し端、
２，３，４…導線、５…導線接続部、１０…端子カバ
ー、１１…角筒状胴部、１１ａ…後端側開口、１２…キ
ャップ部、１３…テーパ部、１４，１４，１４…弾性係
止片、１４ａ…係止端、１５…ヒンジ部、１６…導線接
続部収納空間、１７…係止片折り返し空間、２１，２２
…成形用金型、２３…端子カバー成形用キャビティ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに平行して同一方向に引出される複
   数本の導線の端部同士を接続してなる導線接続部を絶縁
   被覆する端子カバーにおいて、 この端子カバーは、前記導線接続部を導線引出し方向か
   ら嵌挿する開口を後端側に有しかつ先端側に前記導線接
   続部の収納空間を形成するために先端部が閉塞されたキ
   ャップ部が一体に設けられている胴部を備え、 この胴部における後端側開口の縁部の複数個所には、後
   方に向って延設して形成されるとともに開口縁部付近の
   ヒンジ部を介して折り返されることにより前記胴部内に
   臨んで前記導線接続部の抜き出しを防ぐようにその引出
   し端側を係止する複数の弾性係止片が、合成樹脂材によ
   り一体に形成されていることを特徴とする端子カバー。
2. 【請求項２】 請求項１記載の端子カバーにおいて、 胴部は角筒体として形成されるとともに、その先端側に
   テーパ部を介して小径なキャップ部が一体に形成されて
   いることを特徴とする端子カバー。
3. 【請求項３】 請求項１または請求項２記載の端子カバ
   ーにおいて、 弾性係止片は、胴部の後端側開口の縁部付近のヒンジ部
   を介して折り返されることにより前記胴部内に傾斜して
   臨み、導線接続部の引出し端側を係止して抜出しを防止
   するように構成されていることを特徴とする端子カバ
   ー。