JPH0822823B2 - 有機化合物のフツ素化剤及び脱シリル化剤 - Google Patents

有機化合物のフツ素化剤及び脱シリル化剤

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JPH0822823B2
JPH0822823B2 JP24255990A JP24255990A JPH0822823B2 JP H0822823 B2 JPH0822823 B2 JP H0822823B2 JP 24255990 A JP24255990 A JP 24255990A JP 24255990 A JP24255990 A JP 24255990A JP H0822823 B2 JPH0822823 B2 JP H0822823B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は農医学化合物をはじめとして、各種の化合物
の合成用の原料化合物または中間体として有用な種々の
有機化合物をフッ素化するためのフッ素化剤、およびシ
リルオキシ基を有する有機化合物のシリルオキシ基から
シリル基を脱除してヒドロキシル基に変換するための脱
シリル化剤に関する。
〔従来の技術〕
有機化合物に求核置換反応によりフッ素原子を導入し
て、即ち有機化合物をフッ素化して、種々の有機フッ素
化合物を製造する方法は、導入されたフッ素の特異的な
性質を利用して活性が修飾又は増強された生理活性物質
が見い出されて以来、精力的に研究がなされており、種
々のフッ素化方法に用いられるフッ素化剤がいくつか知
られている。
それらの若干の公知のフッ素化剤を用いるフッ素化方
法は例えば、下記のとおりである。
(a)「テトラヘドロン・レター(Tetrahedron let
t.)」第28巻、第4733頁(1987年)には、テトラヒドロ
フラン(THF)とヘキサメチルホスホラストリアミド(H
MPT)の混合溶媒(1:1)中で95℃で57時間を要してp−
クロロニトロベンゼンをフッ化素してp−フルオロニト
ロベンゼン(収率:70%)を得る反応、および前記した
混合溶媒中で95℃、20時間を要して2−ドデカノールの
メタンスルホン酸エステルをフッ素化して2−フルオロ
ドデカン(収率:51%)を得る反応において、それぞ
れ、フッ素化剤としてテトラ−n−ブチルアンモニウム
ビフルオライドを用いること、 (b)「ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル
・ソサイエティ(J.Amer.Chem.Soc.)」第78巻、第6034
頁(1956年)には、ジメチルスルホキシド(DMSO)中
で、190℃で14時間を要してp−クロロニトロベンゼン
をフッ素化してp−フルオロニトロベンゼン(収率:72
%)を得る反応において、フッ素化剤としてフッ化カリ
ウムを用いること、 (c)「ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリ
ー(J.Org.Chem.)」第49巻、第3216頁(1984年)に
は、25℃で1時間を要して2−オクタノールのp−トル
エンスルホン酸エステルをフッ素化して2−フルオロオ
クタン(収率:58%)とアルケン(収率:32%)を得る反
応において、フッ素化剤としてテトラ−n−ブチルアン
モニウム フルオライドを用いること、および (d)特開昭61−161224号公報には、式:Q−Y(式中、
Qはアルキル基、アラルキル基、アリール基または複素
環式基を表わし、Yは置換可能な原子または基を表わ
す)で表わされる化合物をフッ素化するためのフッ素化
剤として、次式 (式中、Rは場合により置換されたアリール基を表わ
し、R1は場合により置換されたアルキル基または場合に
より置換されたアリール基を表わし、そしてX は式:
F(HF)x (xは0〜4の整数、特に1である)のアニオ
ンを表わす)で表わされる化合物を用いること、 などが記載されて、知られている。
また、シリル化されている有機化合物からシリル基を
脱除するための脱シリル化剤としては、従来いくつか知
られている。例えば、 (e)「ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイエティー
・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.Chem.Co
mmun.)」第514頁(1979年)には、下記のシリル化ベン
ジンアルコールからベンジンアルコールを生成する反応
においてテトラ−n−ブチルアンモニウム クロライド
とフッ化カリウム二水和物を脱シリル化剤として用いて
アセトニトリル(CH3CN)中で25℃、4時間反応させる
ことが記載されている。
しかしながら、本発明で用いる後記した一般式(I)
で表わされるテトラ−アルキルホスホニウム・フルオラ
イド類が有機化合物のフッ素化剤および脱シリル化剤と
して作用できることについては従来知られていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記した既知のフッ素化剤のうち、前記(a)のフッ
素化反応でテトラ−n−ブチルアンモニウム ビフルオ
ライドを用いる場合、文献ではHMPTのごとき特殊な溶媒
を用いた時にも、あるいは高い反応温度や長い反応時間
を要して方法を行った時にも、タール等の副生成物を生
成するので、目的物を十分な収率で得ることができない
とされる。特に二級アルコール化合物のフッ素化の場合
は、アルケン類の副生が多く、必ずしも満足できるもの
ではない。
また、前記(b)のフッ素化反応で用いるフッ化カリ
ウムや、(c)のフッ素化反応で用いるテトラ−n−ブ
チルアンモニウム フルオライドは、フッ素化力が弱
い。そのため、目的とするフッ素化生成物の収率が低
く、副生成物も多い。
さらに前記(d)のフッ素化方法で用いる式 で表わされるフッ素化剤は、そのフッ素化力が高いけれ
ども、該フッ素化剤は、その調製に当って、原料化合物
と種々のイオンとの交換反応を経てフルオライド塩の形
に転化されるため、用いた原料及び中間体に由来のブロ
ムイオン、ナトリウムイオン、水酸化イオンなどが該フ
ッ素化剤に混入、汚染することが避けがたい。従って、
該フッ素化剤化合物は注意して調製しなければならな
い。
他方、前記した(e)のフッ素化反応に用いるテトラ
−n−ブチルアンモニウム クロライドとフッ化カリウ
ム二水和物を脱シリル化剤として用いた場合には、必ず
しも目的物を高収率で得られるとは言えない。
したがって、従来のフッ素化剤および脱シリル化剤は
必ずしも実用上満足に使用できるものではない。そのた
め、それに代わる新規なフッ素化剤および脱シリル化剤
の開発が望まれている。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上述した課題を解決するため鋭意努力
を重ねた。その結果、下記の一般式(I)で表わされる
第四級ホスホニウム フルオライド類が有機化合物に対
して優れたフッ素化力を有し、しかも種々の有機化合物
を収率よくフッ素化できること及び種々のシリル化合
物、特にシリルエーテル型の有機化合物のシリルオキシ
基からの脱シリル化を定量的に行い得ることを見いだし
た。
すなわち、第1の本発明によると、次の一般式 R4PF・(HF)n (I) (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは1
〜3の整数を示す)で表わされる第四級ホスホニウム
フルオライドからなることを特徴とする、フッ素原子で
求核置換され得る原子または基の少なくとも1個を有す
る有機化合物、あるいはフッ素原子が求核的に付加でき
る基の少なくとも1個を有する有機化合物にフッ素原子
の付加をする反応に用いるフッ素化剤が提供される。
また、第2の本発明によると、次の一般式 R4PF・(HF)n (I) (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは1
〜3の整数を示す)で表わされる第四級ホスホニウム
フルオライドからなることを特徴とする、シリルオキシ
基を有する有機化合物のシリルオキシ基からシリル基を
脱離してヒドロキシル基に変換する反応に用いる脱シリ
ル化剤が提供される。
ここで、Rは直鎖又は分枝鎖状のアルキル基、特に炭
素数1〜8のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のア
ルキル基を表わし、例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イ
ソペンチル基、ネオペンチル基及びヘキシル基などであ
り得る。
本発明で用いる一般式(I)の第四級ホスホニウム
フルオライド類の製造は、対応する第四級ホスホニウム
ヒドロキシドの水溶液に2〜4当量のフッ化水素酸
(HF)を作用させることにより容易に行うことができる
(本出願人の出願に係る特開平4−66590号明細書参
照)。なお、式(I)の第四級ホスホニウム フルオラ
イド類の製造は後記の参考製造例1〜3に示した。
また別法としては、対応する第四級ホスホニウム硫酸
塩にフッ化水素カリウムを作用させても製造し得る
〔「シンセシス(Synthesis)」第953頁(1988年)参
照〕。
第1の本発明により使用される一般式R4PF・(HF)n
示される第四級ホスホニウム フルオライド類よりなる
フッ素化剤でフッ素化できる有機化合物は、フッ素原子
によって置換され得る原子または基を少なくとも1個有
する有機化合物、あるいはフッ素原子が求核的に付加で
きる基を少なくとも1個有する有機化合物であり、そし
てこのような有機化合物と反応させることにより、有機
フッ素化化合物が収率よく得られる。
第1の本発明による一般式(I)のフッ素化剤でフッ
素化され得る有機化合物の例としては、p−クロロニト
ロベンゼン、p−ブロモニトロベンゼン、1,2−ジニト
ロベンゼンなどの芳香族ニトロ化合物;p−クロロベンゾ
ニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、p−ニトロ
ベンゾニトリルなどの芳香族シアノ化合物;2−クロロキ
ノリン、2−クロロ−5−ニトロピリジンなどのヘテロ
環化合物;1−ブロモテトラデカン、2−ブロモテトラデ
カンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素;1−テトラデカノ
ール、2−テトラデカノールなどの脂肪族アルコール及
びそのスルホン酸エステル化合物;1,2−エポキシテトラ
デカンなどのエポキシ化合物;アンドステロンなどのス
テロイド類及びそのスルホン酸エステル類などを挙げる
ことができる。
また、第2の本発明の脱シリル化剤でシリル基を脱除
できる有機化合物のシリルオキシ基中に存在して、これ
から脱離することができるシリル基としては、トリメチ
ルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、ジフェ
ニル−tert−ブチルシリル基などが挙げられる。
次に、本発明の第四級ホスホニウム フルオライド類
による有機化合物のフッ素化および脱シリル化について
更に詳しく説明する。
フッ素化され得る有機化合物あるいは脱シリル化され
得る有機化合物と、有機溶媒と上記により得た式(I)
の第四級ホスホニウム フルオライド類とを反応容器に
いれ、任意の温度で攪拌下に反応させる。このとき、式
(I)の第四級ホスホニウム フルオライド類を用いて
フッ素化する場合は、基質、すなわちフッ素化されるべ
き有機化合物におけるフッ素原子と置換され得る原子又
は基1個に対して通常は1〜3当量又はモルの割合で式
(I)のテトラアルキルホスホニウム フルオライド類
を使用するが、使用する式(I)の化合物の過剰率につ
いては制限はなく、反応性や経済性を考慮して任意に決
めることができる。
また、脱シリル化する場合も同様に脱シリル化される
べきシリル化有機化合物におけるシリルエーテル基に対
して1〜3当量の割合で使用できる。有機溶媒として
は、式(I)の第四級ホスホニウム フルオライド類は
種々の溶媒への溶解性が良好なため、ジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、CH3CN、
スルホラン、テトラヒドロフラン(THF)のごとき非プ
ロトン性極性溶媒、並びにキシレン、トルエン、ベンゼ
ンのごとき芳香族炭化水素を含めて、非極性溶媒などを
単独あるいは混合して任意に使用できる。そして、式
(I)の第四級ホスホニウム フルオライド自身が多く
の有機化合物を溶解できるので、添加される有機溶媒の
不存在下でも式(I)の第四級ホスホニウム フルオラ
イド類を用いることができる。従来のフッ素化剤や脱シ
リル化剤は、反応溶媒としてDMSO、THFのごとき極性溶
媒を用いる必要があるのに対し、式(I)の第四級ホス
ホニウム フルオライド類はこれらの極性溶媒のほかに
キシレン、トルエンのごとき非極性溶媒の使用も許容で
きること、また式(I)の第四級ホスホニウム フルオ
ライド類単独でも多くの有機化合物に高い溶解力を有す
ることの利点がある。また、式(I)の第四級ホスホニ
ウム フルオライド類は、熱安定性が極めて高いため、
フッ素化される原料の性質などにより250℃までの任意
の反応温度をフッ素化反応に選ぶことができる利点もあ
る。
〔実施例〕
以下に実施例を挙げ、具体的に本発明のフッ素化剤又
は脱シリル化剤の使用例を説明する。
実施例1 攪拌器、冷却管を備えた20mlの4つ口フラスコ内で無
水のテトラ−n−ブチルホスホニウム ビフルオライド
15ミリモル(4.48g)とp−クロロニトロベンゼン5ミ
リモル(0.79g)とキシレン5mlとを混ぜ、均一な溶液と
した。その均一溶液を140℃で2時間加熱攪拌し、p−
クロロニトロベンゼンのフッ素化反応を完全に終了させ
た。この反応液を水洗した後、有機層を分取し、これを
ガスクロマトグラフィーによる内標分析にかけた。p−
フルオロニトロベンゼンが収率90.4%(0.64g)で得ら
れた。
実施例2〜19 実施例1と同様の操作により、後記の第1表に示す種
々の芳香族化合物及びヘテロ環化合物を原料化合物とし
て用いてフッ素化を行った。その結果を第1表に示す。
実施例20〜24 実施例1と同様の操作により、第2表に示す種々のハ
ロゲン化脂肪族化合物を原料化合物として用いてフッ素
化反応を行った。その結果を第2表に示す。
実施例25〜30 実施例1と同様の操作により、第3表に示す種々の脂
肪族アルコール、あるいはステロイド化合物のスルホン
酸エステルを原料化合物として用いてフッ素化反応を行
なった。その結果を第3表に示す。
実施例31 攪拌器、冷却管を備えた20mlの4つ口フラスコ内で無
水のテトラ−n−ブチルスルホニウム ビフルオライド
4ミリモル(1.19g)と1−テトラデカノール1ミリモ
ル(0.21g)とメタンスルホニル フルオライド2ミリ
モル(0.20g)とトリエチルアミン4ミリモル(0.40g)
とテトラヒドロフラン1mlを混ぜ、均一溶液とした。そ
の溶液を50℃で10時間攪拌し、1−テトラデカノールの
フッ素化反応を完全に終了させた。この反応液を水洗
し、有機層を分取し、これをシリカゲルカラムクロマト
グラフィーにより精製したところ、1−フルオロテトラ
デカンを93%(0.20g)の収率で得た。
生成物はMS、1H-NMR、19F-NMR分析により固定した。
実施例32〜34 実施例31と同様の操作により、第4表に示す脂肪族化
合物、またはステロイド化合物のアルコールを原料化合
物として用いて、直接フッ素化反応を行なった。その結
果を第4表に示す。
実施例35 攪拌器、冷却管を備えた10mlの4つ口フラスコ内で無
水のテトラ−n−ブチルホスホニウム ビフルオライド
3ミリモル(1.90g)と1,2−エポキシテトラデカン1ミ
リモル(0.21g)を入れ、100℃で4時間攪拌し、1,2−
エポキシテトラデカンのフッ素化を完全に終了させた。
この反応液をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し
たところ、生成された1−フルオロ−2−テトラデカノ
ール(A)と2−フルオロ−1−テトラデカノール
(B)の混合物0.22g(収率94%)を得た。化合物
(A)と化合物(B)の比率は、19F-NMR分析による結
果から93:7であった。
実施例36 フッ素化剤として無水のテトラ−n−ブチルホスホニ
ウム トリフルオライド〔n−Bu4PF(HF)2〕を用いて1,
2−エポキシテトラデカンのフッ素化を実施例35と同様
の操作で行った。生成した化合物(A)と化合物(B)
の比率は78:22であった。
実施例37 攪拌器、冷却管を備えた20mlの4つ口フラスコ内で無
水のテトラ−n−ブチルホスホニウム ビフルオライド
2.5ミリモル(0.75g)と2−テトラデカノールのtert−
ブチルジフェニルシリルエーテル1ミリモル(0.45g)
とテトラヒドロフラン5mlを混ぜ、均一溶液とした。そ
の混合液を45℃で22時間攪拌することにより、前記のシ
リルエーテル化合物からの脱シリル化の反応を完全に終
了させた。この反応液をシリカゲルクロマトグラフィー
にて精製したところ、2−テトラデカノールを0.20g
(収率93%)得た。
実施例38〜40 実施例37と同様の操作により、下記の第5表に示す種
々の脂肪族アルコールのシリルエーテルの脱シリル化反
応を行なった。その結果を第5表に示す。
以下に実施例で用いるフッ素化剤及び脱シリル化剤と
してテトラアルキルホスホニウム フルオライド類の調
製例を参考製造例で示す。
参考製造例1 テトラ−n−ブチルホスホニウム ビフルオライド無水
物の合成 冷却管、攪拌機を備えた500mlの4つ口フラスコに40.
0%濃度のテトラ−n−ブチルホスホニウム ヒドロキ
シド水溶液345.6g(0.50モル)を入れ、指示薬としてフ
ェノールフタレイン溶液を3〜4滴添加し、10〜15℃に
冷却した。次に47.0%のHF濃度のフッ化水素酸水溶液
を、温度10〜15℃に保ちながら指示薬の色が赤色から無
色に変わるまで滴下したところ、このHF水溶液の21.3g
(HF0.50モル)を加えた時に変色点となった。さらに追
加して1当量比のフッ化水素酸21.3g(HF0.50モル)を
加えて室温中で30分間攪拌して反応させた。次にその反
応液からエバポレーターで減圧下40〜50℃で水を留去
し、さらに真空ポンプで4〜5時間脱水したところ、無
色透明の液体生成物(室温では固体)の149.3g(収率10
0.0%、純度100%)として次式 (n−C4H9 ・(HF) で表わされる表題化合物を得た。得られた生成物の分析
結果を以下に示す。
融点:30〜35℃1 H-NMR(CDCl3),δ(ppm): 1.00(t,d=6.5Hz,12H),1.52(q,d=6.5Hz,16H),2.10
〜2.40(m,8H),13.90(s,1H)19 F-NMR(CDCl3),δ(ppm): −155.6(s) 元素分析 実測値:C64.77%,H12.12%,F12.70%,P10.41% 計算値(C10H37F2Pとして): C64.38%,H12.52%,F12.73%,P10.37% 参考製造例2 テトラ−n−ブチルホスホニウム トリフルオライド無
水物の合成 冷却管、攪拌機を備えた500mlの4つ口フラスコに40.
0%濃度のテトラ−n−ブチルホスホニウム ヒドロキ
シド水溶液207.4g(0.30モル)を入れ、参考製造例1と
同様の要領で47.0%のHF濃度のフッ化水素酸を滴下して
反応させると、このHF水溶液の12.8g(HF0.30モル)を
加えたところで変色点となった。さらに追加して2当量
比のフッ化水素酸25.5g(HF0.60モル)を加えて室温中
で30分間攪拌して反応させた。
続いて反応液を参考製造例1と同様に脱水操作ににか
けたところ、無色透明の液体95.6g(収率100.0%、純度
100%)として次式 (n−C4H9 ・(HF)2 で表示される表題化合物を得た。
得られた生成物の分析結果を以下に示す。1 H-NMR(CDCl3),δ(ppm): 1.00(t,d=6.5Hz,12H),1.52(q,d=6.5Hz,16H),2.10
〜2.40(m,8H),13.28(br,s,2H)19 F-NMR(CDCl3),δ(ppm): −167.4(s) 元素分析 実測値:C60.62%,H11.77%,F17.90%,P9.71% 計算値(C15H38F3Pとして): C60.33%,H12.05%,F17.90%,P9.72% 参考製造例3 テトラ−n−ブチルホスホニウム テトラフルオライド
無水物の合成 冷却管、攪拌機を備えた300mlの4つ口フラスコに40.
0%濃度のテトラ−n−ブチルホスホニウム ヒドロキ
シド水溶液138.3g(0.20モル)を入れ、参考製造例1と
同様の要領で47.0%のHF濃度のフッ化水素酸を滴下して
反応させると、該HF水溶液の8.5g(HF0.20モル)を加え
たところで変色点となった。さらに3当量比のフッ化水
素酸25.5g(HF0.60モル)を加えて室温中で30分間攪拌
して反応させた。
続いて参考製造例1と同様に反応液の脱水操作にかけ
たところ、無色透明の液体67.7g(収率100.0%、純度10
0%)として次式 (n−C4H9 ・(HF)3 で表示される表題化合物を得た。
得られた生成物の分析結果を以下に示す。1 H-NMR(CDCl3),δ(ppm): 1.00(t,d=6.5Hz,12H),1.52(q,d=6.5Hz,16H),2.10
〜2.40(m,8H),13.00(br,s,3H)19 F-NMR(CDCl3),δ(ppm): −145.8 元素分析 実測値:C56.70%,H11.78%,F22.42%,P9.10% 計算値(C15H38F4Pとして): C56.76%,H11.64%,F22.45%,P9.15% 〔発明の効果〕 本発明による一般式(I)の第四級ホスホニウム フ
ルオライド類よりなるフッ素化剤又は脱シリル化剤は、
従来のフッ素化剤及び脱シリル化剤と比較して種々の利
点を有する。すなわち、 第1に、本発明の第四級ホスホニウム フルオライド
類は、調製及び取扱がきわめて容易であり、分解を伴わ
ずに完全な無水物として得ることができる。
第2に、種々の有機化合物のフッ素化は、本発明のフ
ッ素化剤を用いると、従来のフッ素化剤と比較して、き
わめて反応性が高いので、反応時間を短縮し、目的物を
高収率で得ることができる。
第3に、合成上重要なアルコール化合物の保護基とし
て用いられる種々のシリル基は、本発明の脱シリル化剤
を作用させると、きわめて容易に脱離することができ
る。
第4に、従来のフッ素化剤が反応溶媒としてDMSOのご
とき極性溶媒を用いるのに対し、一般式(I)の第四級
ホスホニウム フルオライド類はキシレン、トルエンな
どの非極性溶媒も使用できる。また一般式(I)の第四
級ホスホニウム フルオライド類は多くの有機化合物に
対する溶解性が高いため、有機溶媒を用いることなく単
独で使用できるので、適用範囲が拡大されている。
第5に、一般式(I)の第四級ホスホニウム フルオ
ライド類は熱安定性が250℃までと極めて高いため、原
料の性質によって任意の反応温度を選ぶことができる。
第6に、二級アルコールを本発明の一般式(I)の化
合物を用いフッ素化すると、アルケンなどの脱離生成物
が少なく且つ選択性がよく目的物を得ることができる。
よって、本発明による一般式(I)の第四級ホスホニ
ウム フルオライド類は種々の有機化合物のフッ素化剤
および脱シリル化剤として数多くの利点を示して有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 25/13 29/58 31/125 201/12 205/12 253/30 255/50 C07F 9/54 C07J 1/00 7433−4C (72)発明者 銭 昭輝 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 内堀 幸隆 神奈川県平塚市田村5214番地の1 県公社 田村共同住宅552 (72)発明者 梅野 正行 神奈川県茅ケ崎市茅ケ崎521―3

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の一般式 R4PF・(HF)n (I) (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは1
    〜3の整数を示す)で表わされる第四級ホスホニウム
    フルオライドからなることを特徴とする、フッ素原子で
    求核置換され得る原子または基の少なくとも1個を有す
    る有機化合物、あるいはフッ素原子が求核的に付加でき
    る基の少なくとも1個を有する有機化合物にフッ素原子
    の付加をする反応に用いるフッ素化剤。
  2. 【請求項2】次の一般式 R4PF・(HF)n (I) (式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示し、nは1
    〜3の整数を示す)で表わされる第四級ホスホニウム
    フルオライドからなることを特徴とする、シリルオキシ
    基を有する有機化合物のシリルオキシ基からシリル基を
    脱離してヒドロキシル基に変換する反応に用いる脱シリ
    ル化剤。
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