JPH08222519A - 高周波プラズマcvd法による堆積膜形成方法 - Google Patents

高周波プラズマcvd法による堆積膜形成方法

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JPH08222519A
JPH08222519A JP27019294A JP27019294A JPH08222519A JP H08222519 A JPH08222519 A JP H08222519A JP 27019294 A JP27019294 A JP 27019294A JP 27019294 A JP27019294 A JP 27019294A JP H08222519 A JPH08222519 A JP H08222519A
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deposited film
discharge space
forming
high frequency
plasma cvd
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Yasuyoshi Takai
康好 高井
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、電気的、光学的、光導電的特性が使
用環境にほとんど依存することなく安定しており、繰り
返し使用においても劣化現象を起こさず耐久性に優れた
特性の均一な電子写真用光受容部材を、歩留りよく効率
的に製造できる堆積膜形成方法を提供することにある。 【構成】本発明は、上記目的を達成するために、真空気
密に形成された反応容器の放電空間内に、原料ガス並び
に高周波電力を導入し、印加手段を介して前記原料ガス
を分解して、前記放電空間内に配置された基体上に堆積
膜を形成するようにしたプラズマCVD法による堆積膜
形成方法であって、前記放電空間内におけるプラズマの
生起に基づく放電空間中の活性種の生成反応である一次
反応及び二次反応を制御することによって、活性種の種
類、及び割合を最適化し特性の優れた堆積膜を形成する
ようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は支持体上に堆積膜、とり
わけ機能性堆積膜、特に半導体デバイス、電子写真用感
光体デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイ
ス、光起電力デバイス等に用いる、アモルファス半導体
膜を形成するプラズマCVD法による堆積膜形成方法に
関する。
【0002】
【従来技術】従来、半導体デバイス、電子写真用感光体
デバイス、画像入力用ラインセンサー、撮像デバイス、
光起電力デバイス、その他各種エレクトロニクス素子、
光学素子等に用いる素子部材として、アモルファスシリ
コン、例えば水素及び/又はハロゲン(例えば弗素、塩
素等)で補償されたアモルファスシリコン(以下、“a
-Si:(H,X)” と記す。)等のアモルファス材料で構
成された半導体等用の堆積膜が提案され、その中のいく
つかは実用に付されている。そしてこうした堆積膜はプ
ラズマCVD法、即ち原料ガスを直流、又は高周波、マ
イクロ波グロー放電によって分解し、ガラス、石英、耐
熱性合成樹脂フイルム、ステンレス、アルミニウムなど
の材質の支持体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法が知
られており、そのための技術も各種提案されている。
【0003】例えば、特開昭54−86341号公報に
は、RFプラズマCVD法によりa-Siを光導電層に用
いた耐湿性、耐久性、電気特性に優れた電子写真用光受
容部材に関する技術が記載されている。また特開昭60
−186849号公報には、原料ガスの分解源として、
周波数2.45GHzのマイクロ波を用いたマイクロ波
プラズマCVD法による堆積膜の形成方法が開示されて
いる。該公報によれば、概ねこれはマイクロ波エネルギ
ーの導入部を取り囲むように支持体を配置して内部チャ
ンバ(放電空間)を形成し、原料ガスの利用効率を高め
るようにしたものである。このように、a-Si:(H,X)
堆積膜の製造方法及び装置は、周波数の異なる電磁波の
特性を利用することによって、ある程度まで良好な電気
特性を有する電子写真用光受容部材を歩留り良く供給す
ることが可能となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年で
は、電子写真画像には一層の高画質化、高精密化が求め
られており、これまで以上に高品質で高性能な電子写真
用光受容部材を歩留り良く安定して供給する技術が求め
られている。このような観点から従来技術を検討する
と、さらなる改良の余地が存在するのが現状である。例
えば、前述のRFプラズマCVD法はマイクロ波プラズ
マCVD法と比較して堆積膜の堆積速度が比較的小さ
い。これはRFがマイクロ波より周波数が低く、同パワ
ーではプラズマ中の電子密度が小さくガスの分解効率が
低いためであると考えられる。量産効率を考えた場合、
堆積速度をさらに大きくする必要がある。一方、マイク
ロ波プラズマCVD法により電子写真用光受容部材を量
産する場合においては、電子写真用光受容部材の電気特
性をさらに上げようとすると電子写真の画像特性が低下
する場合がある。
【0005】このような、背景のもと原料ガスの分解源
として周波数20〜450MHzのいわゆるVHF帯近
傍の電磁波によるプラズマCVD法(以後VHFプラズ
マCVD法と記す)が研究されている。一般に電磁波の
周波数が大きくなると原料ガスのイオン化に寄与する高
エネルギー電子が増加し、さらに電子密度も増加する。
その一方で支持体に入射するイオンエネルギー分布幅が
小さくなり、かつ低エネルギー側にシフトする傾向があ
る。VHFの周波数はRFとマイクロ波の中間にあた
り、成膜条件の最適化により堆積速度と膜質の両立が期
待できる。しかしながら、プラズマCVD法は、印加す
る高周波の周波数により放電安定化及び堆積膜の膜質の
最適化の条件(基板温度、原料ガス流量、圧力、パワー
等)が異なり、例えば電子写真用光受容部材に適した特
性を有する堆積膜を作製するには数多くの試行錯誤を繰
り返さなければならず、多くの労力を必要とし、開発コ
ストを押し上げることとなる。
【0006】成膜条件が十分最適化されていない特性が
不十分な堆積膜を光受容部材として電子写真装置に適用
して画像形成を行った場合、通常の電子写真画像形成プ
ロセスにより画像形成を繰り返すと、感光体上に一度形
成した画像が次の画像形成時に残像となって残るいわゆ
る「ゴースト」現象を引き起こす場合がある。また、連
続画像を形成する場合には、光受容部材の紙間に相当す
る部分にトナーが付着しないように、いわゆる“ブラン
ク露光”を照射しているが、このブランク露光照射部分
が次の画像上で濃度が薄くなる(特にハーフトーン画像
で顕著に現れる)現象、“ブランク露光メモリー”が顕
著化する場合がある。さらに電子写真画像上で白点、黒
点等の画像欠陥となって現れる場合がある。また、堆積
膜の特性が均一ではなく帯電能むら、感度むら等の“特
性ムラ”を生じる場合がある。即ち画像の濃度が均一で
なく、むらになったり、或は、堆積膜の特性が均一でな
いために特性の悪い部分においては、長時間繰り返し使
用を続けると画像上の細線がにじんだような状態(画像
流れ)となり、ひどいときは文字が全く読めない画像と
なる場合ある。特に近年は従来の文字画像中心の原稿か
ら写真画像等のハーフトーンを多用した原稿をコピーす
る場合が多くなり、同一コピー画像内での微妙なむらも
視覚的に認識され易くなってきた。その結果歩留りが低
下する場合がある。
【0007】そこで、本発明は、上記したようなa-Si:
(H,X)で構成された従来の光受容層を有する電子写真
用光受容部材の堆積膜形成装置及び堆積膜形成方法に於
ける諸問題を解決することを目的とするものである。即
ち、本発明の主たる目的は、電気的、光学的、光導電的
特性が使用環境にほとんど依存することなく安定してお
り、繰り返し使用においても劣化現象を起こさず耐久性
に優れた特性の均一な電子写真用光受容部材を、歩留り
よく効率的に製造できる堆積膜形成方法を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、真空気密に形成された反応容器の放電空
間内に、原料ガス並びに高周波電力を導入し、印加手段
を介して前記原料ガスを分解して、前記放電空間内に配
置された基体上に堆積膜を形成するようにしたプラズマ
CVD法による堆積膜形成方法であって、前記放電空間
内におけるプラズマの生起に基づく放電空間中の活性種
の生成反応である一次反応及び二次反応を制御すること
によって、活性種の種類、及び割合を最適化し特性の優
れた堆積膜を形成するようにしたものである。即ち、プ
ラズマCVD法による堆積膜形成方法において、電磁波
の周波数を20〜450MHzという特定の範囲に設定
することにより、ガス利用効率が高く、放電の安定性が
飛躍的に向上し、同時にある程度の堆積速度が得られる
こと、さらには、導入する高周波電力のパワー、放電空
間内の圧力、基板温度、或いはガス流量によっては、放
電自体は安定であっても堆積膜の特性が大きく変化する
(条件によっては膜質が非常に悪化する)ことについて
は、既に、本発明者らの検討により判明しているが、本
発明者はこのような検討成果を踏まえ、成膜条件と膜質
の関係についてさらに検討を重ねた結果、放電空間内に
おけるプラズマの生起に基づく放電空間中の活性種の生
成反応である一次反応及び二次反応を制御することによ
って、活性種の種類、及び割合を最適化し特性の優れた
堆積膜を形成することができることを見出したものであ
る。そして、本発明は上記一次反応及び二次反応の制御
を、放電空間内の原料ガスの平均衝突回数を所定の範囲
の下においてプラズマを生起するようにすることで、さ
らには、その平均滞留時間を所定の範囲の下においてプ
ラズマを生起するようにすることで行い、プラズマ中の
活性種の種類及び割合を最適化することができることを
見出したものである。
【0009】本発明において、活性種とは、体積膜の形
成過程において、まず、高周波により加速された電子が
原料ガスに衝突することにより、分子の運動エネルギー
及び分子の内部エネルギーが高まり、分子が励起、解
離、イオン化し、電子、種々のラジカル、イオン等が生
成するが、これらの総称を活性種と称している。また、
本発明において、上記平均衝突回数、平均滞留時間は、
いずれも原料ガスに基づいて求めたものである。実験の
結果によると、実際の放電中の活性種に基づいたもので
なく、原料ガスに基づいたものでも十分、堆積膜の膜質
の良好な範囲を特定することが可能である。
【0010】そして、本発明の各計算は以下の公知の式
を用いて算出した。また、計算にあたっては 珪素原子
及び/又は水素原子を構造中に有するガスをもとにして
行った。 M=νλ …(1) ν=Vth/λ …(2) Vth=(3KT/m)1/2 …(3) λ=2.331×10-26T/Pδ2 …(4) τ=T0PV/TP0F …(5) M:平均衝突回数 ν:衝突頻度 λ:平均自由工程 Vth:自乗平均速度 m:分子の質量(SiH4=5.34E−26Kg,H2
=0.34E−26Kg) K:ボルツマン定数=1.380×10-23[J/K] T:ガス温度 P:放電空間内の圧力 T0:標準状態における温度 P0:標準状態における圧力 δ:分子直径(SiH4=2.96E−10m,H2=
2.75E−10m) τ:滞留時間 V:放電空間の体積 F:標準状態における1秒当たりのガス流量 ☆参考文献:真空ハンドブック(日本真空技術(株);プ
ラズマ工学の基礎(産業図書(株)) つぎに、本発明において放電空間内におけるプラズマの
生起に基づく放電空間中の活性種の生成反応である一次
反応及び二次反応を制御することによって、活性種の種
類、及び割合を最適化し得る事由について説明する。堆
積膜の形成過程においては、まず高周波により加速され
た電子が原料ガスに衝突することにより分子の運動エネ
ルギー及び分子の内部エネルギーが高まり、分子が励
起、解離、イオン化し、電子、種々のラジカル、イオン
等が生成する(その総称を活性種と称することについて
は既に述べたとおりである)。生成した活性種は支持体
まで拡散輸送され、支持体上での表面反応により再結合
し、ネットワークを形成する。このネットワークの形成
は活性種によって異なる。例えば比較的寿命の短い(不
安定な)活性種の場合、支持体上に到達後比較的短い時
間でネットワークを形成するため、十分安定な場所でネ
ットワークを形成することができず構造的に歪みの多い
膜となり易い。これに対して比較的寿命の長い活性種は
支持体上で十分なモビリティがあり、十分安定な場所で
ネットワークを形成することができるため構造的に歪み
の少ない膜となる。従って、放電空間内で生成する活性
種の種類及び割合が堆積膜の膜質に大きな影響を与え
る。
【0011】一方、生成する活性種の種類及び割合に影
響を与える反応としては加速電子と原料ガスとの衝突に
よる1次反応と、該1次反応により生成した活性種同
士、及び該活性種と原料ガスとの衝突による2次反応に
大別できる。これらの1次及び2次反応を適切に制御す
ることによつて活性種の種類、割合を制御することがで
きる。即ち本願発明においては1次反応のみでなく2次
反応も特定の割合で起こることが重要である。例えば電
子衝突によるSiH4ガスの分解反応(1次反応)の一
例としては、 SiH4→Si+2H2 …(a) SiH4→SiH+H2+H …(b) SiH4→SiH2+H2 …(c) SiH4→SiH3+H …(d) また活性種の反応(2次反応)の一例としては、 SiH3→SiH2+H …(e) H+SiH2→SiH+H2 …(f) さらに活性種とSiH4ガスの反応(2次反応)の一例
としては Si+SiH4→Si2H4 …(g) Si2H4+SiH4→Si3H8 …(h) SiH+SiH4→Si2H5 …(i) Si2H5+SiH4→SiH3+Si2H6 …(j) SiH2+SiH4→Si2H6 …(k) H+SiH4→SiH3+H2 …(l) 等が挙げられる。
【0012】プラズマCVD法において通常支持体温度
は100〜400℃程度に保たれるがこの温度領域にお
いては成長中の堆積膜表面は水素で覆われていると考え
られている。前記反応で生じたSi、SiH、SiH2
等は、直接Si−H結合に割り込む挿入反応を起こし成
長表面の末結合手の有無にかかわらずネットワークを形
成すると考えられている。従ってSi、SiH、SiH
2等が比較的多く生成される場合には堆積速度は寄与す
るが、前述のように構造的歪みを有したり、或は水素が
多く含まれるため緻密な膜とならない場合がある。これ
に対してSiH3は水素に被覆された堆積膜成長表面に
直接結合せず、 Si-H+SiH3→Si'+SiH4↑ Si'+SiH3→Si-SiH3 という反応により、まず水素の引き抜き反応を起こし、
Si原子の未結合手を作る。次いで別のSiH3が(S
iH3は比較的寿命が長く安定なため)十分堆積膜成長
表面上を移動し該未結合手に付加反応によりネットワー
クを形成すると考えられている。その結果構造的歪みが
小さく、さらにSi-Si結合を多く有する緻密な膜と
なる。
【0013】一方、SiH3は比較的寿命が長く安定で
ある反面、上述の水素引き抜き反応等により、膜となら
ず脱離していく割合も比較的多く堆積速度としては小さ
いものとなり易い。即ちSiH3の割合が多過ぎると堆
積速度は小さいものとなってしまう場合がある。従って
SiH3は良質な堆積膜形成に影響を与えるものと考え
られる。このようなことから、プラズマ中での1次反応
((a)〜(d)式)により、Si、SiH、SiH2、
SiH3、はそれぞれある確率で生成されるが、良質の
堆積膜を得るにはSiH3の割合を積極的に制御する必
要がある。2次反応を最適に制御することにより、Si
Hは(i)及び(j)式に示された反応によりSiH3
の生成に寄与し、さらにSiH3は(l)式に示された
反応によっても生成される。一方、Si及びSiH2は
それぞれ(g)、(h)式及び(k)式に示された反応
により失活する。従って1次反応及び2次反応を制御す
ることによりブラズマ中の活性種の種類及び割合を最適
化することができ、その結果堆積膜の堆積速度及び膜質
を両立させることが可能になる。
【0014】さらに、本発明において放電空間内におけ
る活性種の平均衝突回数を本発明で規定する所定の範囲
としたこと、及びその平均滞留時間を所定の範囲とした
ことの事由についてつぎに説明する。平均衝突回数につ
いては、平均衝突回数は小さ過ぎるとVHFにより生成
した活性種同士が殆ど衝突することなく(2次反応を起
こすことなく)支持体にまで到達してしまい、堆積膜形
成に寄与する活性種は1次反応で生じた活性種のみとな
る。逆に平均衝突回数が大きすぎると2次反応の割合が
大きくなり放電空間中で活性種の重合反応が起こりポリ
シラン等の紛体を生じる場合がる。ポリシラン等の紛体
が発生すると、場合によっては堆積膜中に取り込まれ、
電子写真用光受容部材として適用した場合に画像欠陥の
原因となる。
【0015】平均滞留時間については、VHFプラズマ
CVD法において、原料ガスはVHFパワー導入後直ち
に全分解するのではなく、徐々に分解していく。従って
放電空間内の滞留時間が短すぎるとガスの分解が不十分
であり、仮に平均衝突回数が十分であってもその殆どが
未分解の原料ガス同士の衝突となり、堆積膜形成に寄与
する2次反応とはならない。逆に平均滞留時間が長過ぎ
る場合、原料ガスの大半が分解されることになり、未分
解の原料ガスが殆ど存在せず、活性種と未分解の原料ガ
スとの2次反応が起こりにくい。従って、本発明はその
平均衝突回数及び平均滞留時間を上記したとおりの所定
の範囲とすることにより活性種の種類及び割合を最適化
するようにしたのである。
【0016】本発明においては、放電空間内の原料ガス
の平均衝突回数は、10回以上、100000回以下と
することが好ましく、100回以上、50000回以下
とすることがより好ましく、1000回以上、3000
0回以下とすることが最適である。同様に、放電空間内
の原料ガスの平均滞留時間は、0.00003秒以上、
0.5秒以下であることが好ましく、0.0001秒以
上、0.1秒以下であることがより好ましく、0.00
03秒以上、0.08秒以下であることが最適である。
放電空間内の圧力は、0.01mTorr以上、100
0mTorr以下であることが好ましく、0.1mTo
rr以上、800mTorr以下であることがより好ま
しく、0.5mTorr以上、500mTorr以下で
あることが最適である。高周波電力の周波数は、20M
Hz〜450MHzの高周波であることが好ましく、51
MHz〜250MHzの高周波が最適である。パワー条件
としては、パワーが高すぎると原料ガスの分解率が大き
くなり、未分解ガスと活性種との2次反応の割合が小さ
く、逆にパワーが低すぎると1次反応の割合が小さくな
り本発明の効果が得られないため、そのパワーは堆積膜
形成速度が飽和する際のエネルギーの5%以上200%
以下であることが好ましく、10%以上150%以下で
あることがより好ましく、15%以上120%以下であ
ることが最適である。
【0017】また、放電空間中に設けるカソード電極の
数は任意であって良いが、プラズマの均一化のためには
複数のカソード電極を用いることが好ましく、該電極間
で生起する放電が、支持体に対して対称となることが好
ましい。そして、本発明において、好ましいカソード電
極の数は数が多くなり過ぎると逆に放電を乱すために、
その数は1本以上20本以下が好ましく、1本以上15
本以下がより好ましく、1本以上10本以下が最適であ
る。さらに、電力密度としては、0.01〜50W/c
2が好ましく、0.1〜30W/cm2がより好まし
く、0.5〜10W/cm2が最適である。電力密度が
0.01W/cm2より小さいと、発明の効果は小さく
なり、逆に50W/cm2より大きいと、放電が不安定
となり、異常放電を起こし易くなる。また電極形状(断
面形状)については、多角形、円形いずれでも良いが、
電磁波を均一に導入するために、例えば、円、正多角形
等の対称形が好ましい。又、電極の断面積としては、1
mm2以上800cm2以下が好ましく、3mm2以上5
00cm2以下がより好ましく、5mm2以上350cm
2以下が最適である。さらに、円筒状の電極とするとき
には、該電極断面の直径は、1mm以上15cm以下が
好ましく、2mm以上12cm以下がより好ましく、3
mm以上10cm以下が最適である。電極の長さとして
は、支持体の長さによって異なるが、好ましくは支持体
の長さに対して、5%以上200%以下が好ましく、1
0%以上180%以下がより好ましく、20%以上15
0%以下が最適である。また、電極の材質としては、電
磁波を伝送可能なものであれば特に制限はなく、例え
ば、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、
Ti、Pt、Pb、Fe、等の金属およびこれらの合
金、たとえばステンレス(例えば、JIS規格SUS3
00系、400系)等が挙げられる。
【0018】なお、放電空間中の原料ガスの平均滞留時
間に注目した技術としては、例えば、特開昭63−22
3178号公報には、下記(1)式が満たされた条件下で
グロー放電空間内でのシリコン化合物の分解率が20〜
90%となりかつ前記グロー放電空間内での前記ガス平
均滞留時間が0.1秒〜1.2秒となるように前記グロ
ー放電分解を行うことにより所望の堆積速度でa−Si
系膜を形成し、高品質の膜を最大限に高速で製造しうる
ようにグロー放電装置を調整、制御する技術が開示され
ている。 Dr=ηA・FA・(V)1/2/l(FA+FB)1/2 …(1) Dr:堆積速度 ηA:シリコン化合物の分解速度 FA:シリコン化合物の供給流量 FB:キャリアガスの供給流量 V:グロー放電空間の堆積 l :支持体とグロー放電電極との間の距離 しかしながら、該公報に記載の技術は、堆積速度とシリ
コン化合物の分解速度、シリコン化合物の供給流量、キ
ャリアガスの供給流量、グロー放電空間の堆積及び支持
体とグロー放電電極との間の距離との間に(1)式の関係
があることを見い出したにすぎず、(1)式自体は、平均衝
突回数、さらには、その平均滞留時間を本発明のように
所定の範囲とすることによって、その一次反応及び二次
反応の割合を適切に制御し、活性種の種類、及び割合を
最適化するという最適成膜条件を開示しているものでは
なく、該公報に開示の技術は、本発明とは全く関係のな
いものである。
【0019】以下、図面により本発明をより詳細に説明
する。図面1(A)は本発明の堆積膜形成装置の1例に
つき、その要部の縦断面を示した図である。同じく、図
1(B)は(A)のX−X部分の横断面を示した図であ
る。図中、101は反応容器であり、真空気密化構造と
なっている。そして排気管102を介して排気装置(不
図示)に接続されている。108はカソード電極であ
り、マッチングボックス111を介して本願発明の周波
数の電磁波を発生するための高周波電源112に接続さ
れている。109は原料ガス導入管である。カソード電
極108は必要に応じて任意の部分(例えば端部)を高
周波に対してシールドする構造としてもよい。例えば絶
縁部材を挟み外部導体で覆う形で同軸構造としてシール
ドすることにより、放電の位置を制御することができ
る。尚、排気管および排気装置は、反応容器内の空気を
排気する場合と、成膜用のガス(反応又は未反応)を排
気する場合とで、各々独立したものを使用するのが、排
気管内及び排気装置内での残留ガスと空気による反応を
防止する上で好ましい。反応容器101内には支持体1
04がホルダー105により支持されさらにホルダーキ
ャップ103により固定されている。そしてホルダー1
05は、支持体加熱用ヒーター106を同心円上に配置
した回転軸107に設置されている。回転軸107はモ
ーター113によって回転可能になっている。109は
原料ガス導入管である。また、110は支持体104に
より取り囲まれた放電空間を示す。
【0020】このような構成の製造装置を用いて、電子
写真感光体の製造を以下の手順で行う。まず、排気装置
(不図示)により排気管102を介して、反応容器10
1を排気し、反応容器101内の圧力を1×10-5To
rr以下とする。この時、反応容器内のダスト等を舞い
上げないように、始めの排気はゆっくり(スロー排気)
行うことが望ましい。次いでヒーター106により、支
持体104を所定の温度まで過熱保持する。尚、この
時、ヒーターと支持体の間の熱伝導を向上させ、短時間
で均一に加熱するために、熱に対して安定でしかも支持
体と反応しない気体(例えば不活性ガス、水素等)を反
応室内に導入しても良い。また、支持体の表面に酸化膜
を形成する場合は酸素を含む雰囲気中で加熱することも
有効である。ここで、支持体の加熱手段は、真空仕様で
ある発熱体であればよく、より具体的にはシース状ヒー
ターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミックヒ
ーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤外線ラ
ンプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温媒とし
熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手段の表
面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、銅等
の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等を使用す
ることができる。また、それ以外にも、反応容器以外に
加熱専用の容器を設け、加熱した後、反応容器内に真空
中で支持体を搬送する等の方法が用いられる。
【0021】支持体が所定の温度に達したら、一旦反応
容器内を真空にして、第1層の原料ガスをガス導入管1
09を介して導入する。即ち、a−Si:(H,X)の
原料ガスとしてシランガス、ドーピングガスとしてジボ
ランガス、希釈ガスとしてヘリウムガス等の原料ガスを
反応容器内に導入する。それと同時並行的に、高周波電
源112により周波数20〜450MHzの電磁波を発
生させ、マッチングボックス111を通じ、第1の電極
108より反応容器101内に導入し、放電空間110
に放電を生起させる。このようにして支持体104によ
って囲まれた放電空間110において、原料ガスは、2
0〜450MHzの高周波エネルギーにより励起されて
解離し、中性ラジカル粒子、イオン粒子、電子などの活
性種が生成され、それらが相互に反応して支持体104
表面に堆積膜を形成する。そして、支持体104が設置
された回転軸107をモーター113により回転させる
ことにより、支持体104を支持体母線方向中心軸の周
りに回転させることにより、支持体104全周にわたっ
て均一に堆積膜を形成する。本発明においては上記放電
を生起させる過程において、放電空間内の原料ガスの平
均衝突回数及び平均滞留時間を上記したとおりの所定の
範囲とすることにより活性種の種類及び割合を最適化す
るようにしたのである。
【0022】このようにして形成された第1層上への第
2層の形成は、第1層形成時とは原料ガスの組成(組成
比)を変えて反応容器101内に原料ガスを導入し、第
1層形成時と同様にして放電を開始することによって行
う。この時、反応容器101内は必ずしも放電を一旦切
り、真空度を真空に引き上げる必要はなく、ガス流量制
御手段(不図示)を手動又はコンピュータ等による制御
によって、放電を維持した状態で、第1領域形成のガス
組成から第2領域形成のガス組成(組成比)へと徐々に
切り換えていくことも可能である。例えば、第1層がモ
ノシランガス(100%)500sccm、ジボランガ
ス(2000ppm水素希釈)150sccm、ヘリウ
ムガス2000sccmにより形成され、第2層モノシ
ランガス(100%)300sccm、ジボランガス
(3000ppm水素希釈)5sccm、ヘリウムガス
2000sccmより形成される場合、第1層形成終了
時に、速やかに各ガス流量を第2層形成用ガス流量へM
FC等より切り換えればよい。
【0023】また、ガスの種類を変える場合には、所望
のガス流量を徐々に減らして0にするか、あるいは0か
ら徐々に増やして所定の流量になるようにMFC等で制
御することも可能である。例えば、第1層がa−Si:
(H,X)層中に炭素原子を含有し、第2層が炭素原子
を含有しないa−Si:(H,X)層で構成される場
合、炭素原子導入用のガス(例えばメタン)の流量を、
第1層形成終了時に、MFC等により流量0まで速やか
に絞り込めばよい。この時、炭素原子導入用ガス以外の
ガス(例えば、モノシラン、ジボラン、水素、ハロゲン
原子導入用ガス、ヘリウム等)の流量の制御は、上記と
同様に所望の作製条件に従って切り換えればい。上記層
構成とは逆に第1層がa−Si:(H,X)層中に炭素
原子を含有せず、第2層が炭素原子を含有するa−S
i:(H,X)層で構成される場合、炭素原子導入用の
ガス(例えばメタン)の流量を、第1層形成終了時に、
MFC等により流量0から所望の流量まで速やかに増加
させればよい。
【0024】次に、本願発明の堆積膜形成装置、及び堆
積膜形成方法により作製した光受容部材の一例を説明す
る。図2は、本願発明の方法により形成された電子写真
用光受容部材の層構成の一例を模式的に示した図であ
る。本願発明によつて形成された電子写真用光受容部材
200は、支持体201上に、光導電層202、表面層
203を順次積層して成り立つている。図3は、図2の
層構成にさらに電荷注入阻止層を加えた層構成となつて
おり、光受容部材300は、支持体301上に、電荷注
入阻止層304、光導電層302、表面層303を順次
積層して成り立っている。図4は光導電層をさらに機能
分離型とした構成を有するものであり、光受容部材40
0は、支持体401上に、電荷注入阻止層404、電荷
輸送層405、電荷発生層406、表面層403を順次
積層して成り立っている。図5は、光導電層を、主に阻
止層及び電荷輸送の役割を有する光導電領域1と、主に
電荷輸送及び電荷発生の役割を有する光導電領域2とし
た構成を有するものであり、支持体501上に、光導電
領域1(507)、光導電領域2(508)、表面層5
03を順次積層して成り立っている。
【0025】本願発明において使用される支持体20
1、301、401、501は例えばAl、Cr、M
o、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pb、
Fe、等の金属、およびこれらの合金、例えばステンレ
ス等が挙げられる。またポリエステル、ポリスチレン、
ポリカーボネイト、セルロースアセテート、ポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド等の
合成樹脂のフィルムまたはシート、ガラス、セラミック
等の電気絶縁性支持体の少なくとも光受容層を形成する
側の表面を導電処理した支持体も用いることができる。
さらに光受容層を形成する側と反対側も導電処理するこ
とが望ましい。
【0026】支持体201、301、401、501の
形状は平滑平面あるいは凹凸表面の円筒状または板状無
端ベルト形状であることができ、その厚さは所望どうり
の電子写真用光受容部材を形成し得るように適宜決定さ
れるが、電子写真用光受容部材として可逆性が要求され
る場合には、支持体としての機能が十分発揮できる範囲
内で可能な限り薄くすることができる。しかしながら、
支持体の製造上及び取扱上、機械的強度等の点から通常
は10μm以上とされる。本願発明において、支持体2
01、301、401、501の表面に凹凸を設けるこ
とも可能であり、例えばレーザー光などの可干渉性光を
用いて像記録を行う場合には、可視画像において現れる
干渉縞模様による画像不良を解消するために、支持体2
01、301、401、501の表面に凹凸を設けても
よい。また、この凹凸は、複数の球状痕跡窪みによる凹
凸形状であつてもよい。即ち、支持体201、301、
401、501の表面が電子写真用感光体に要求される
解像力よりも微少な凹凸を有し、しかも該凹凸は、複数
の球状痕跡窪みとすることにより、可干渉性光に対して
も一層精細な画像を得ることができる。
【0027】本願発明において光導電層202、302
及び電荷輸送層405、電荷発生層406、光導電領域
1(507)、光導電領域2(508)は、周波数20
MHz〜450MHzの電磁波及び必要に応じてカソー
ド電極にバイアス電圧を印加し放電空間内で生起したプ
ラズマCVD法によって、所望の特性を有する非単結晶
材料より形成される。例えばa−Si:(H,X)より
構成された光導電層202、302及び電荷輸送層40
5、電荷発生層406、光導電領域1(507)、光導
電領域2(508)を形成するには、基本的にシリコン
原子(Si)を供給し得るSi供給用ガスを内部が減圧
可能な反応容器内に所望のガス状態で導入し、反応容器
内で周波数20MHz〜450MHzの電磁波を導入す
ると同時に、必要に応じてカソード電極にバイアス電圧
を印加して、放電空間110にグロー放電を生起させ、
あらかじめ所定の位置に設置された支持体上にa−S
i:(H,X)からなる層を形成すればよい。また本願
発明においては、光導電層202、302及び電荷輸送
層405、電荷発生層406、光導電領域1(50
7)、光導電領域2(508)中に伝導性を制御するた
めの原子を導入することも有効であるし、修飾物質とし
て弗素原子等のハロゲン原子、或は、必要に応じて炭
素、窒素、酸素等の原子を導入することも有効である。
本願発明の目的を達成し得るa−Si:(H,X)から
なる光導電層202、302及び電荷輸送層405、電
荷発生層406、光導電領域1(507)、光導電領域
2(508)を形成するためには、支持体の温度、反応
容器内のガス圧を所望にしたがって、適宜設定する必要
がある。支持体の温度(Ts)は、層設計にしたがって
適宜最適範囲が選択されるが、通常の場合、好ましくは
20〜500℃、より好ましくは50〜480℃、最適
には100〜450℃とするのが望ましい。放電空間内
のガス圧も同様に層領域設計にしたがって適宜最適範囲
が選択されるが、本願発明においては、好ましくは0.
01mTorr〜1000mTorr、より好ましくは
0.1mTorr〜800mTorr、最適には0.5
mTorr〜500mTorrとするのが好ましい。本
願発明においては、光導電層202、302及び電荷輸
送層405、電荷発生層406、光導電領域1(50
7)、光導電領域2(508)を形成するための導電性
支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲として前記した
範囲が挙げられるが、これらの層作成ファクターは通常
は独立的に別々に決められるものではなく、所望の特性
を有する光受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連
性に基づいて層領域作成ファクターの最適値を決めるの
が望ましい。本願発明において、光導電層202、30
2及び電荷輸送層405、電荷発生層406、光導電領
域1(507)、光導電領域2(508)の層厚は所望
の電子写真特性が得られること及び経済的効果等の点か
ら適宜所望にしたがって決定され、好ましくは5〜50
μm、より好ましくは10〜40μm、最適には15〜
30μmとされるのが望ましい。さらに本願発明におい
ては、光導電層202の前記導電性支持体側に、少なく
ともアルミニウム原子とシリコン原子と水素原子が層厚
方向に不均一な分布状態で含有する層領域を有すること
が望ましい。同様に、ハロゲン原子、或は、炭素、窒
素、酸素原子等を必要に応じて均一または不均一に含有
させることも可能である。さらに、光導電層を電荷輸送
層、電荷発生層等、機能的に分離することも可能であ
る。
【0028】本願発明において表面層203、303、
403、503は、周波数20MHz〜450MHzの
電磁波及び必要に応じてカソード電極にバイアス電圧を
印加し、放電空間110で生起したグロー放電により所
望の機械的特性、電気的特性、耐環境性等を有する非単
結晶材料で形成される。また、本願発明においては、表
面層203、303、403、503、中に必要に応じ
て伝導性を制御するための原子を導入することも有効で
あるし、修飾物質として弗素原子等のハロゲン原子、或
は、炭素、窒素、酸素等の原子を導入することも有効で
ある。例えばアモルファス炭化珪素(a−SiC)から
なる表面層を形成する場合には、基本的にシリコン原子
(Si)を含むガスと炭素原子(C)を含むガスとを原
料ガスとして、減圧可能な反応容器内に導入し、周波数
20MHz〜450MHzの電磁波及び必要に応じてカ
ソード電極にバイアス電圧を印加し、放電空間110で
生起したグロー放電により所定の位置に設置された、前
もって光導電層等を形成した支持体上に堆積膜を形成す
ることによって得られる。本願発明において、表面層2
03、303、403、503の層厚は所望の電子写真
特性が得られること、及び経済的効果等の点から好まし
くは0.01〜30μm、より好ましくは0.05〜2
0μm、最適には0.1〜10μmとされるのが望まし
い。本願発明において表面層203、303、403、
503を形成する条件は、所望の電子写真特性が得られ
るように、適宜決定することができる。例えば支持体温
度は適宜最適範囲が選択されるが、好ましくは20〜5
00℃、より好ましくは50〜480℃、最適には10
〜450℃とするのが望ましい。また、反応容器内のガ
ス圧も適宜最適範囲が選択されるが、本願発明において
は、好ましくは0.01mTorr〜1000mTor
r、好ましくは0.1mTorr〜800mTorr、
最適には0.5mTorr〜500mTorrとするの
が好ましい。本願発明においては、表面層203を形成
するための支持体温度、ガス圧の望ましい数値範囲とし
て前記した範囲が挙げられるが、条件は通常は独立的に
別々に決められるものではなく、所望の特性を有する光
受容部材を形成すべく相互的且つ有機的関連性に基づい
て最適値を決めるのが望ましい。本願発明においては、
光導電層及び表面層の界面部分に組成等の特性が、光導
電層から表面層に連続的に変化するような領域を設ける
こともできる。この領域の厚さは、光導電層と表面層の
間に実質的な界面を形成するような厚さであって、光導
電層と表面層の間をなだらかに接続し、組成や光学特性
等について界面が特定できなくなるようないわゆる界面
レス状態を意味するものではない。また本願発明によっ
て形成される電子写真用光受容部材の層構成は、電子写
真用光受容部材としての所望の特性を得るために必要に
応じて、上記光導電層と表面層以外に、密着層、下部電
荷注入阻止層等を設けることができる。これらを設けた
場合にも各層の間に組成等を連続的に変化させた領域等
を設けることができるが、この領域の厚さは実質的に界
面を形成する程度のものである。
【0029】本願発明において使用されるSi供給用ガ
スとなり得る物質としては、SiH4、Si2H6、S
i3H8、Si4H10等のガス状態の、またはガス化
し得る水素化珪素(シラン類)が有効に使用されるもの
として挙げられ、更に層作成時の取り扱い易さ、Si供
給効率の良さの点でSiH4、Si2H6が特に好まし
いものとして挙げられる。また、水素化珪素のほかに
も、弗素原子を含む珪素化合物、いわゆる弗素原子で置
換されたシラン誘導体、具体的には、例えばSiF4、
Si2F6等のフッ化珪素や、SiH3F、SiH2F
2、SiHF3等の弗素置換水素化珪素等、ガス状の、
またはガス化し得る物質も本願発明のSi供給用ガスと
しては有効である。また、これらのSi供給用の原料ガ
スを必要に応じてH2、He、Ar、Ne等のガスによ
り希釈して使用しても本願発明には何等差し支えない。
炭素原子(C)導入用の原料ガスになり得るものとして
有効に使用される出発物質は、CとHとを構成原子とす
る、例えば炭素数1〜5の飽和炭化水素、炭素数2〜4
のエチレン系炭化水素、炭素数2〜3のアセチレン系炭
化水素等が挙げられる。具体的には、飽和炭化水素とし
ては、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパ
ン(C3H8)、n−ブタン(n−C4H10)、ペン
タン(C5H12)、エチレン系炭化水素としては、エ
チレン(C2H4)、プロピレン(C3H6)、ブテン
−1(C4H8)、ブテン−2(C4H8)、イソブチ
レン(C4H8)、ペンテン(C5H10)、アセチレ
ン系炭化水素としては、アセチレン(C2H2)、メチ
ルアセチレン(C3H4)、ブチン(C4H6)等が挙
げられる。この他に、CF4、CF3、C2F6、C3
F8、C4F8、等のフッ化炭素化合物も本願発明のC
供給用ガスとして使用できる。同様に窒素原子(N)導
入用の原料ガスになり得るものとして有効に使用される
出発物質は、Nを構成原子とするか、或はNとHを構成
原子とする、例えば窒素ガス(N2)、アンモニア(N
H3)、ヒドラジン(H2NNH2)、アジ化水素(H
N3)、アジ化アンモニウム(NH4N3)等のガス状
またはガス化し得る窒素、窒化物及びアジ化物等の窒素
化合物を挙げることができる。これらの他に、窒素原子
の導入に加えて、ハロゲン原子の導入も行えるという点
から、三弗化窒素(NF3)、四弗化二窒素(N2F
4)等のハロゲン化窒素化合物も挙げることができる。
また、酸素原子(O)導入用の原料ガスになり得るもの
として有効に使用される出発物質は、例えば酸素(O
2)、オゾン(O3)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素
(NO2)、一酸化二窒素(N2O)、三酸化二窒素(N2
O3)、四酸化二窒素(N2O4)、五酸化二窒素(N2O
5)、三酸化窒素(NO3)、さらに珪素原子(Si)、酸素原
子(O)、水素原子(H)の3つを構成 原子とする、例え
ば、ジシロキサン(H3SiOSiH3)、トリシロキ
サン(H3SiOSiH2OSiH3)等の 低級シロ
キサン等を挙げることができる。さらに、これらのC供
給用の原料ガスを必要に応じてH2、He、Ar、Ne
等のガスにより希釈して使用することも本願発明には有
効である。また、Si(CH3)4、Si(C2H5)4
のケイ化アルキルを上記の原料ガスと併せて使用するこ
とも本願発明では有効である。本願発明に使用される上
記のような原料ガスは、各々異なる供給源(ボンベ)か
ら供給してもよいし、また、あらかじめ一定の濃度で混
合されたガスを使用することも本願発明には有効であ
る。
【0030】
【実験例】以下、実験例及び実施例に基づき本発明の具
体例を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何等
限定されるものではない。 (実験例1)放電安定性を確認するため以下の実験を行
った。鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウムシリ
ンダーを支持体として使用し、図1の製造装置を用い、
さきに示した手順により、表1の条件で放電実験を行っ
た。そして放電空間内の圧力及び電磁波の周波数を変化
させて10時間連続放電させ、放電の安定性を調べた。
但し支持体としては、直径108mm、長さ358m
m、厚さ5mmの円筒状アルミシリンダーを用いた。結
果を表2に示す。ここで、表中◎○△×の記号は以下の
測定結果を意味する。 ◎…放電が極めて安定。 ○…全放電時間中、数回放電が不安定(放電の明るさは
変化するが放電切れはしない)になる。 △…全放電時間中、10回以上放電が不安定になり、場
合によっては放電切れが起こる。 ×…放電切れが頻発し、1時間以上連続放電が維持でき
ない。 表2より明らかなように放電条件を変化させても周波数
20MHz〜450MHzのときに勝れた安定性を示
し、周波数51〜250MHzのときに極めて優れた安
定性を示すことが確認された。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】 (実験例2)放電の均一性の関係を確認するために以下
の1.及び2.の実験を行った。 1.膜厚の均一性を調べるため以下の実験を行った。鏡面
加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウムシリンダーを支
持体として使用し、図1の製造装置を用い、さきに示し
た手順により、表3の条件で支持体上にa−Si:H膜
を堆積させた。そして5時間連続放電させ以下の方法で
堆積膜の膜厚の均一性を調べた。堆積膜形成後、支持体
の周方向10度間隔、及び上下方向3cm間隔で各々膜
厚を測定した。測定した膜厚より、同一ロットで成膜さ
れた支持体間の膜厚のばらつきを調べた。結果を表4に
示す。ここで◎○△×の記号は以下の測定結果を意味す
る。 ◎…膜厚のばらつきがほとんどなく優れている。 ○…膜厚のばらつきが小さく良好。 △…膜厚のばらつきはあるが、実用上問題なし。 ×…膜厚のばらつきが大きく実用上問題あり。 表4より明らかなように周波数20MHz〜450MH
zのときに優れた均一性を示し、周波数51MHz〜2
50MHzのときに極めて優れた均一性を示すことが確
認された。
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】 2.膜特性の均一性を調べるために以下の実験を行った。
支持体としてコーニング社製7059ガラス板(1in
ch×2inch、厚さ0.7mm)を使用し、円筒状
アルミシリンダー(実験例1の支持体と同一)表面の一
部を削り平面とし、上部、中部、下部の3箇所、さらに
周方向には90度間隔で計12箇所(アルミシリンダー
1本当たり)ガラス支持体を設置した。次いで表5の条
件により該ガラス支持体上に厚さ約1μmのa−Si:
H膜を堆積させた。こうして得られた堆積膜をサンプル
として、光導電率及び暗導電率を以下の方法で測定し
た。まず、前記ガラス支持体上に堆積したa−Si:H
膜(サンプル)上にCrの櫛型電極(幅5cm、ギャッ
プ間隔250μm)を真空蒸着し、微小電流計(YHP
社製4140B)で導電率を測定した。明導電率測定用
の光源には、7mwのHe−Neレーザーを使用した。
上記の測定により光導電率、暗導電率よりSN比(光導
電率/暗導電率)を求め、同一ロットで成膜されたサン
プル間の周方向、上下方向における特性のばらつきを調
べた。結果を表6に示す。ここで◎○△×の記号は以下
の測定結果を意味する。 ◎…特性のばらつきが小さく優れている。 ○…特性のばらつきが小さく良好。 △…特性のばらつきはあるが、実用上問題なし。 ×…特性のばらつきが大きく実用上問題あり。 表6より明らかなように周波数20MHz〜450MH
zのときに優れた安定性を示し、周波数51MHz〜2
50MHzのときに極めて優れた均一性を示すことが確
認された。
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】 (実験例3)放電空間内における原料ガスの平均衝突回
数及び平均滞留時間と堆積膜の堆積速度及び特性の関係
を調べるために以下の実験を行った。実験例2と同様に
支持体としてコーニング社製7059ガラス板(1in
ch×2inch、厚さ0.7mm)を使用し、円筒状
アルミシリンダー(実験例1の支持体と同一)表面の一
部を削り平面とし、上部、中部、下部の3箇所、さらに
周方向には90度間隔で計12箇所(アルミシリンダー
1本当たり)ガラス支持体を設置した。次いで表7の条
件により平均衝突回数及び平均滞留時間を種々変化さ
せ、該ガラス支持体上に厚さ約1μmのa−Si:H膜
を堆積させた。このとき、平均衝突回数及び平均滞留時
間の算出に関しては前述の計算式を用い、T=300K
としてモノシランガスと水素ガスに対する平均値をもと
めた。但し、電磁波の周波数は105MHzとした。こ
うして得られた堆積膜をサンプルとして、 1.膜厚を膜厚測定器(TENCOR INSTRUME
NTS:alpha−step100)により測定し、
成膜時間で除して堆積速度を求めた。 2.光導電率及び暗導電率を実験例2と同様にして測定
し、光導電率、暗導電率よりSN比(光導電率/暗導電
率)を求め、同一ロットで成膜されたサンプル間平均値
を求めた。 結果を表8に示す。ここで1.は堆積速度の相対値を示し
ており、2.はSN比の相対値を示している。表8より明
らかなように放電空間内における平均衝突回数が10回
以上100000回以下で優れた効果を示し、100回
以上50000回以下で極めて優れた効果を示し、10
00回以上30000回以下で極めて優れた効果を示す
ことが分かる。さらに放電空間内における原料ガスの平
均滞留時間が0.00003秒以上、0.5秒以下で効
果が顕著であり、0.0001秒以上、0.1秒以下で
特に顕著であり、0.0003秒以上、0.08秒以下
で極めて顕著であることが分かる。次に電磁波の周波数
を20MHz〜450MHzまで変化させて同様の実験
を行った結果、同様の結果が得られた。
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】 以上の実験例により本願発明の構成は決定された。以下
に実施例及び比較例により本願発明の効果を実証するた
めの具体例を説明するが、実験例同様、本願発明はこれ
らによって何ら限定されるものではない。
【0039】
【実施例・比較例】
[実施例1]鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを支持体として使用し、図1の製造装置を
用い、実験例1と同様の手順で、電磁波の周波数を20
MHz〜450MHzに変化させ、表9の条件で支持体
上に図2に示した光導電層、表面層の2層よりなる堆積
膜を形成し光受容部材とした(以後ドラムと記す)。但
し、放電空間内における原料ガスの平均衝突回数は約1
000回、平均滞留時間は約0.005秒となるように
調整した。また電極の形状は直径20mmの円筒状とし
た。支持体としては、直径108mm、長さ358m
m、厚さ5mmの円筒状アルミシリンダーを用いた。こ
うして得られたドラムを電子写真装置(キヤノン社製N
P6060を本テスト用に改造したもの)にセットし
て、通常の電子写真プロセスにより画像を形成し、ゴー
スト、ブランク露光メモリー、帯電能むら、感度むら、
画像流れ、細線再現性、『白ポチ』、『黒ポチ』、『ポ
チ影』の各項目について300万枚連続して画像形成を
行う耐久試験(以下耐久試験と表記)を行った後の画像
に対して評価した。これらの項目については、それぞ
れ、以下の方法で評価した。 ゴースト…キヤノン製ゴーストテストチャート(部品番
号:FY9−9040)に反射濃度1.1、直径5mm
の黒丸を貼りつけたものを原稿台に置き、その上にキヤ
ノン製中間チャートを重ねておいた際のコピー画像にお
いて、中間調コピー上に認められるゴーストチャートの
直径5mmの黒丸の反射濃度と中間調部分の反射濃度と
の差を測定、評価した。ゴーストについて ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。 ブランク露光メモリー…キヤノン製中間調チャート(部
品番号:FY9−9042)を原稿台に置きコピーした
ときに得られたコピー画像を、特にドラム上でブランク
露光が照射される部分に対応する位置に注目して、ブラ
ンク露光が照射されない部分の反射濃度とブランク露光
が照射される部分の反射濃度との差を測定、評価した。
ブランク露光メモリーについて ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。 帯電能むら…ドラムを実験装置に設置し、帯電器に+6
kvの高電圧を印加してコロナ帯電を行い、表面電位計
によりドラムの暗部表面電位を測定した。ドラムの上か
ら下にかけて3cmおきに表面電位を測定し、その平均
値を帯電能とした。そして1本のドラムにおいて平均値
から最も離れた値を帯電能むらとした。1回の成膜で得
られる同一ロットのドラムについて同様の評価を行い、
帯電能むらの最も大きいものについて以下の基準で評価
した。帯電能むらについて ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。 感度むら…ドラムを実験装置に設置し、一定の暗部表面
電位に帯電させる。そして直ちに光像を照射する。光像
はキセノンランプ光源を用い、フィルターを用いて55
0nm以下の波長域の光を除いた光を照射する。この時
表面電位計により電子写真感光体の明部表面電位を測定
する。明部表面電位が所定の電位になるよう露光量を調
整し、この時の露光量をもって感度とする。ドラムの上
から下にかけて3cmおきに同様の測定を行い、その平
均値を平均感度とし、そして1本のドラムにおいて平均
値から最も離れた値を感度むらとした。さして1回の成
膜で得られる同一ロットのドラムについて同様の評価を
行い、感度むらの最も大きいものについて以下の基準で
評価した。感度むらについて ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。 画像流れ…白地に全面文字よりなるキヤノン製テストチ
ャート(部品番号:FY9−9058)を原稿台に置
き、通常の2倍の露光量で照射し、コピーをとる。こう
して得られた画像を観察し、画像上の細線が途切れずに
つながっているか、以下の4段階で評価した。なお、画
像上でむらがあるときは、全面像域で最も悪い部位で評
価した。画像流れについて ◎…「良好」 ○…「一部途切れ有り」 △…「途切れが多いが文字として判読でき、実用上問題
ない」 ×…「途切れが多く文字として判読しにくく、実用上問
題有り」 をそれぞれ表している。 白ポチ…キヤノン製全面黒チャート(部品番号:FY9
−9073)を原稿台に置きコピーしたときに得られた
コピー画像の同一面積内にある直径0.2mm以下の白
ポチについて、その数を数えた。「白ポチ」について ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。 黒ポチ…白紙のコピー用紙を10枚重ねて原稿台に置き
コピーしたときに得られたコピー画像の同一面積内にあ
る直径0.2mm以下の黒ポチについて、その数をかぞ
えた。「黒ポチ」について ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。 ポチ影…キヤノン製中間チャート(部品番号:FY9−
9042)を原稿台に置きコピーしたときに得られたコ
ピー画像の同一面積内にある直径0.2mm以下の白ポ
チについて観察し、該白ポチが、その周囲に影状にカブ
リを生じていないか目視により観察し、評価した。「ポ
チ影」について ◎…「特に良好」 ○…「良好」 △…「実用上問題なし」 ×…「実用上問題有り」 を表している。結果を表10に示す。
【0040】
【表9】
【0041】
【表10】 《比較例1〜8》放電空間内の平均衝突回数及び滞留時
間のいずれか一方、又は両方を表11に示したように本
願発明の範囲外とした以外は実施例1と全く同様の条件
でドラムを作製した。こうして得たドラムを実施例1と
同様に耐久試験後の画像の評価を行った。結果を実施例
1と併せて表10に示す。
【0042】
【表11】 [実施例2]鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを支持体として使用し、図1の製造装置を
用い、電磁波の周波数を105MHz、放電空間内にお
ける原料ガスの平均衝突回数は約1000回、平均滞留
時間は約0.005秒となるように調整し、表12の条
件で支持体上に図3に示した電荷注入阻止層、光導電
層、表面層の3層よりなるドラムを作製した。こうして
得られたドラムを電子写真装置(キヤノン社製NP60
60を本テスト用に改造したもの)にセットして、実施
例1と同様に評価した。結果を実施例1及び比較例1〜
8の結果と併せて表10に示す。
【0043】
【表12】 [実施例3]鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを支持体として使用し、図1の製造装置を
用い、電磁波の周波数を105MHz、放電空間内にお
ける原料ガスの平均衝突回数は約1000回、平均滞留
時間は約0.005秒となるように調整し、実施例1と
同様の手順で表13の条件で支持体上に図4に示した電
荷注入阻止層、電荷輸送層、電荷発生層、表面層の4層
よりなるドラムを作製した。こうして得られたドラムを
電子写真装置(キヤノン社製NP6060を本テスト用
に改造したもの)にセットして、実施例1と同様に評価
した。結果を実施例1〜2及び比較例1〜8の結果と併
せて表10に示す。
【0044】
【表13】 [実施例4]鏡面加工を施し、脱脂洗浄したアルミニウ
ムシリンダーを支持体として使用し、図1の製造装置を
用い、電磁波の周波数を105MHz、放電空間内にお
ける原料ガスの平均衝突回数は約1000回、平均滞留
時間は約0.005秒となるように調整し、実施例1と
同様の手順で表14の条件で支持体上に図5に示した光
導電領域1、光導電領域2、表面層の3層よりなるドラ
ムを作製した。こうして得られたドラムを電子写真装置
(キヤノン社製NP6060を本テスト用に改造したも
の)にセットして、実施例1と同様に評価した。結果を
実施例1〜3及び比較例1〜8の結果と併せて表10に
示す。表10より明らかなように、本願発明は、ドラム
の層構成によらず、極めて有効であることが確認され
た。
【0045】
【表14】 [実施例5]放電空間内における原料ガスの平均衝突回
数及び平均滞留時間の組み合わせを実験例3で示した本
願発明の有効範囲で種々変化させた以外は実施例1〜4
と同一の条件で、ドラムを作製し実施例1と同様に評価
した。その結果、実施例1と同様に放電空間内における
平均衝突回数が10回以上100000回以下で優れた
効果を示し、100回以上50000回以下で極めて優
れた効果をしめし、1000回以上30000回以下で
極めて優れた効果を示すことが認められた。さらに放電
空間内における原料ガスの平均滞留時間が0.0000
3秒以上、0.5秒以下で効果が顕著であり、0.00
01秒以上、0.1秒以下で特に顕著であり、0.00
03秒以上、0.08秒以下で極めて顕著であることが
認められた。 [実施例6]電磁波の周波数を20MHz〜450NH
zに変化させた以外は実施例1〜5と同一の条件で、ド
ラムを作製し実施例1と同様に評価した。その結果、実
施例1と同様に本願発明の周波数20MHz〜450M
Hz、のときに電子写真特性の向上が認められた。また
周波数範囲51MHz〜250MHzの範囲でより顕著
な効果が認められた。
【0046】
【発明の効果】本発明は、このように放電空間内におけ
るプラズマの生起に基づく放電空間中の活性種の生成反
応である一次反応及び二次反応を制御し、活性種の種
類、及び割合を最適化することによって、活性種が支持
体上でネットワークを形成するに際して、十分安定な場
所でのネットワークの形成を可能とし、構造的に歪みの
ない特性の優れた堆積膜を形成することができるもので
ある。そして、放電空間内の原料ガスの平均衝突回数、
さらには、その平均滞留時間を本発明で規定する所定の
範囲とすることによって、この一次反応及び二次反応の
割合を適切に制御し、また、そのパワーを本発明で規定
する所定の範囲とすることによって二次反応の割合を適
切に制御して、活性種の種類、及び割合を最適化し、特
性の優れた堆積膜を形成することができるものである。
したがって、これを電子写真装置に適用させた場合、ゴ
ースト、ブランク露光メモリー、或は帯電能むら、感度
むら等の電子写真特性を劣化させることがなく、さら
に、いわわる『白ポチ』『黒ポチ』『ポチ影』等の画像
欠陥を増加させることなく、均質で優れた特性のドラム
を効率よく量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本願発明の堆積膜形成装置の概略縦断
面図。(B)はAのX−X部分の横断面図。
【図2、3、4、5】本願発明の堆積膜形成装置及び堆
積膜形成方法により形成された電子写真用光受容部材の
層構成の一例を示した模式的断面図。
【符号の説明】
101…反応容器 102…排気管 103…ホルダーキャップ 104…円筒状支持体 105…支持体ホルダー 106…支持体加熱用ヒーター 107…回転軸 108…カソード電極 109…ガス導入管 110…放電空間 111…マッチングボックス 112…高周波電源 113…モーター 200、300、400、500…電子写真用光受容部
材 201、301、401、501…支持体 202、302…光導電層 203、303、403、503…表面層 304、404…電荷注入阻止層 405…電荷輸送層 406…電荷発生層 507…光導電領域1 508…光導電領域2
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空気密に形成された反応容器の放電空間
    内に、原料ガス並びに高周波電力を導入し、印加手段を
    介して前記原料ガスを分解して、前記放電空間内に配置
    された支持体上に堆積膜を形成するようにしたプラズマ
    CVD法による堆積膜形成方法であって、前記放電空間
    内におけるプラズマの生起に基づく放電空間中の活性種
    の生成反応である一次反応及び二次反応を制御すること
    によって、活性種の種類、及び割合を最適化し特性の優
    れた堆積膜を形成するようにしたことを特徴とする高周
    波プラズマCVD法による堆積膜の形成方法。
  2. 【請求項2】放電空間中における活性種の生成反応であ
    る一次反応及び二次反応の制御を、放電空間内の原料ガ
    スの平均衝突回数を所定の範囲の下においてプラズマを
    生起することによって行うようにしたことを特徴とする
    請求項1に記載の高周波プラズマCVD法による堆積膜
    の形成方法。
  3. 【請求項3】放電空間内の原料ガスの平均衝突回数が、
    10回以上、100000回以下であることを特徴とす
    る請求項2に記載の高周波プラズマCVD法による堆積
    膜の形成方法。
  4. 【請求項4】放電空間内の原料ガスの平均衝突回数が、
    100回以上、50000回以下であることを特徴とす
    る請求項2に記載の高周波プラズマCVD法による堆積
    膜の形成方法。
  5. 【請求項5】放電空間内の原料ガスの平均衝突回数が、
    1000回以上、30000回以下であることを特徴と
    する請求項2に記載の高周波プラズマCVD法による堆
    積膜の形成方法。
  6. 【請求項6】放電空間中における活性種の生成反応であ
    る一次反応及び二次反応の制御を、放電空間内の原料ガ
    スの平均衝突回数及び平均滞留時間を所定の範囲の下に
    おいてプラズマを生起することによって行うようにした
    ことを特徴とする請求項1に記載の高周波プラズマCV
    D法による堆積膜の形成方法。
  7. 【請求項7】放電空間内の原料ガスの平均滞留時間が、
    0.00003秒以上、0.5秒以下であることを特徴
    とする請求項6項に記載の高周波プラズマCVD法によ
    る堆積膜の形成方法。
  8. 【請求項8】放電空間内の原料ガスの平均滞留時間が、
    0.0001秒以上、0.1秒以下であることを特徴と
    する請求項6項に記載の高周波プラズマCVD法による
    堆積膜の形成方法。
  9. 【請求項9】放電空間内の原料ガスの平均滞留時間が、
    0.0003秒以上、0.08秒以下であることを特徴
    とする請求項6項に記載の高周波プラズマCVD法によ
    る堆積膜の形成方法。
  10. 【請求項10】放電空間内の圧力が、0.01mTor
    r以上、1000mTorr以下であることを特徴とす
    る請求項1項〜請求項9項のいずれか1項に記載の高周
    波プラズマCVD法による堆積膜の形成方法。
  11. 【請求項11】放電空間内の圧力が、0.1mTorr
    以上、800mTorr以下であることを特徴とする請
    求項1項〜請求項9項のいずれか1項に記載の高周波プ
    ラズマCVD法による堆積膜の形成方法。
  12. 【請求項12】放電空間内の圧力が、0.5mTorr
    以上、500mTorr以下であることを特徴とする請
    求項1項〜請求項9項のいずれか1項に記載の高周波プ
    ラズマCVD法による堆積膜の形成方法。
  13. 【請求項13】放電空間内の原料ガスの平均衝突回数、
    又は、平均衝突回数及び平均滞留時間を計算する際の原
    料ガスは、珪素原子及び/又は水素原子を構造中に有す
    るガスであることを特徴とする請求項1項〜請求項12
    項のいずれか1項に記載の高周波プラズマCVD法によ
    る堆積膜の形成方法。
  14. 【請求項14】高周波の周波数が、20MHz〜450
    MHzの高周波であることを特徴とする請求項1項〜請
    求項13項のいずれか1項に記載の高周波プラズマCV
    D法による堆積膜の形成方法。
  15. 【請求項15】高周波の周波数が、51MHz〜250
    MHzの高周波であることを特徴とする請求項1項〜請
    求項13項のいずれか1項に記載の高周波プラズマCV
    D法による堆積膜の形成方法。
  16. 【請求項16】電力密度が、0.01〜50W/cm2
    であることを特徴とする請求項1項〜請求項15項のい
    ずれか1項に記載の高周波プラズマCVD法による堆積
    膜の形成方法。
  17. 【請求項17】電力密度が、0.1〜30W/cm2
    あることを特徴とする請求項1項〜請求項15項のいず
    れか1項に記載の高周波プラズマCVD法による堆積膜
    の形成方法。
  18. 【請求項18】電力密度が、0.5〜10W/cm2
    あることを特徴とする請求項1項〜請求項15項のいず
    れか1項に記載の高周波プラズマCVD法による堆積膜
    の形成方法。
  19. 【請求項19】反応容器内に導入する高周波電力のエネ
    ルギーが堆積膜形成速度が飽和する際のエネルギーの5
    %以上200%以下であることを特徴とする請求項1項
    〜請求項18項のいずれか1項に記載の高周波プラズマ
    CVD法による堆積膜の形成方法。
  20. 【請求項20】反応容器内に導入する高周波電力のエネ
    ルギーが堆積膜形成速度が飽和する際のエネルギーの1
    0%以上150%以下であることを特徴とする請求項1
    項〜請求項18項のいずれか1項に記載の高周波プラズ
    マCVD法による堆積膜の形成方法。
  21. 【請求項21】反応容器内に導入する高周波電力のエネ
    ルギーが堆積膜形成速度が飽和する際のエネルギーの1
    5%以上120%以下であることを特徴とする請求項1
    項〜請求項18項のいずれか1項に記載の高周波プラズ
    マCVD法による堆積膜の形成方法。
JP27019294A 1994-10-11 1994-10-11 高周波プラズマcvd法による堆積膜形成方法 Pending JPH08222519A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002525886A (ja) * 1998-09-29 2002-08-13 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド 多結晶性及び非晶質シリコン膜の製造方法及び製造装置
WO2013038467A1 (ja) * 2011-09-12 2013-03-21 キヤノン株式会社 電子写真感光体の製造方法

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