JPH082191Y2 - 油圧ショベルの安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、側溝堀り用作業機をそなえた油圧ショベ
ルの安全装置に関する。

従来の技術 第５図は、従来技術の油圧ショベル１の側面図であ
る。図において、２は油圧ショベル１の下部走行体、３
は上部旋回体、４は上部旋回体３のフロント部に装着し
た側溝堀り用作業機、５は作業機４のうちのブーム、６
はブーム５のリアブーム、７はフロントブーム、８はア
ーム、11はバケット、９はアイドラリンク、10はブッシ
ュロッド、12はブームシリンダ、13はアームシリンダ、
14はバケットシリンダ、15,16,17は作業機４の関節部を
なすそれぞれピン結合部、18は上部旋回体３の左側に設
けられている運転室である。第６図は、作業機４をオフ
セット操作している油圧ショベル１の平面図である。図
において19はブーム５に取付けられているオフセットシ
リンダ、20はリアブーム６とフロントブーム７との関節
部をなすピン結合部、ｌは作業機４の運転室前方側のオ
フセット量である。なお作業機４は、運転室の設けられ
ていない側（第６図で仮想線チの側）にもオフセット操
作できる。

この考案の解決すべき課題 側溝堀り用作業機をそなえた油圧ショベルが堀削積込
作業などを行うときには作業機をオフセット（偏心）さ
せて駆動するので、第５図内イ部のようにバケットが運
転室に対して、干渉衝突をおこすことがあった。この事
故は運転室を破損すると同時に、運転者に危険をもたら
していた。

この考案は上記の課題を解決し、側溝堀り用作業機の
上記干渉衝突を防止できる安全装置を提供することを目
的とする。

課題を解決するための手段 上記の課題を解決するために講じたこの考案の手段
は、 イ．作業機のブーム傾斜角を検出する検出手段と、フロ
ントブームの左右方向回動角を検出する検出手段と、オ
フセットシリンダ用切換弁の切換位置を検出する検出手
段をそなえ、 ロ．また、オフセットシリンダの作動回路にオフセット
シリンダ用切換弁と並列に電磁弁を配設し、上記検出手
段によりその電磁弁の切換作動を行うようにし、 ハ．ブーム上げ操作時にブームが設定されたブーム傾斜
角に達したとき作業機の運転室前方側のオフセット量を
減少するように構成した。

作用 イ．リアブームの根付部付近に取付けたリミットスイッ
チは、ブームが設定されたブーム傾斜角θ以上になると
連動してオン作動し、またフロントブーム根付部付近に
取付けたリミットスイッチは作業機が運転室前方側にオ
フセット操作されると連動してオン作動し、またオフセ
ットシリンダ用切換弁付近に取付たリミットスイッチは
オフセツトシリンダが中立位置にあるときだけオン作動
するようにしている。

ロ．運転室が上部旋回体の左側に配設され、オフセット
シリンダがブームの右側面側に取付けられている油圧シ
ョベルでは、作業機のバケットを運転室の前側にオフセ
ットさせた状態で、かつブーム上げ操作時にブームがブ
ーム傾斜角θに達すると、電磁弁が切換作動するので、
オフセットシリンダは自動的に縮小作動する。

ロ．上記イ項のようにオフセットシリンダが縮小作動し
て作業機のオフセット量が減少してゆくと、バケットの
位置は上部旋回体のほぼ中央前側位置に移動する。それ
により、この状態でブーム上げ操作を継続しても、バケ
ットが運転室に対して干渉衝突をおこすことはない。

実施例 以下、この考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。第２図は、この考案にかかる安全装置21を装備し
た油圧ショベル１′の側面図である。図におてい、従来
技術と同一構成要素を使用するものに対しては同符号を
付す。３′は上部旋回体、４′は側溝堀り用作業機、
５′はブーム、６′はブーム５′のリアブーム、７′は
フロントブーム、15′はリアブーム６′の根付部（ブー
ム５′の根付部と同一である）であるピン結合部、22,2
3,24はそれぞれリミットスイッチ、25はオフセットシリ
ンダ用切換弁（以後オフセット切換弁という）である。
第３図は、第２図のＡ部内におけるアリブーム６′の根
付部付近を示す要部拡大図である。図において、22は上
部旋回体３′側に固定して設けたリミットスイッチ、26
はリアブーム６′の根付部に固定して取付けたリミット
スイッチ22作動用のカムプレートであるこの。カムプレ
ート26は、ブーム５′がブーム傾斜角が角度θ以上にな
るとリミットスイッチ22をオン作動し、また角度θ以下
になるとオフ作動するように形成されている。第４図
は、第２図のＢ部をＣより見た要部平面図である。図に
おいて、23はリアブーム６′の先端部に固定して設けた
リミットスイッチ、27はフロントブーム７′の根付部に
固定して取付けたリミットスイッチ23作動用のカムプレ
ートである。このカムプレート27は、フロントブーム
７′が運転室18の前方側にオフセットされているとき
（すなわちリアブーム６′の中心線Ｏ−Ｏ′に対してフ
ロントブーム７′の中心線Ｐ−Ｐ′が第４図のように左
側に屈曲されているとき）矢印の範囲でリミットスイッ
チ23をオン作動し、またフロントブーム７′がリアブー
ム６′の中心線Ｏ−Ｏ′より右側に屈曲されているとき
矢印ハの範囲でリミットスイッチ23をオフ作動するよう
に形成されている。

第１図は、この考案にかかる安全装置21の回路図であ
る。図において、28はオフセットシリンダ19の作動回
路、25はオフセット切換弁、29は電磁弁、30は電磁弁29
のソレノイド、31は油圧ポンプ、32は電気回路、22,23,
24はそれぞれリミットスイッチ、33は電源である。なお
リミットスイッチ24は、オフセット切換弁25が中立位置
にあるときだけオン作動し、オフセット切換弁25を切換
操作しているときにはオフ作動を行う。

次に、この考案にかかる安全装置21の構成を第１図〜
第４図について述べる。まずブーム上げ操作時にリミッ
トスイッチ22がオン作動を始めるブーム５′のブーム傾
斜角θは、第２図のようにブーム５′の先端ポイント
（ピン結合部16）の地上高さＨが、バケット11全長ｍと
アーム８全長ｎの和より若干大きくなるときのブーム
５′の傾斜角を設定し、それに対応するようにカムプレ
ート26を形成している。それで、ブーム傾斜角θを検出
する手段としてリアブーム６′の根付部付近にリミット
スイッチ22を、またフロントブーム７′の左右方向回動
角を検出する検出手段としてフロントブーム７′の根付
部付近にリミットスイッチ23を、またオフセット切換弁
25の切換位置を検出する検出手段としてリミットスイッ
チ24をそれぞれ設けた。また、オフセットシリンダ19の
作動回路28にオフセット切換弁25と並列に電磁弁29を配
設し、上記検出手段によりその電磁弁29の切換作動を行
うようにした。そしてブーム上げ操作時にブーム５′が
設定されたブーム傾斜角θに達したとき、作業機４′の
運転室前方側のオフセット量を減少するように構成し
た。

次に、この考案にかかる安全装置21の作用機能につい
て述べる。作業機４′のバケット11を運転室18の前側に
オフセットさせた状態（すなわちオフセットシリンダ19
を中立位置より伸長させた状態であるが、その状態を保
持している時点にはオフセット切換弁25は中立位置にあ
る）で、かつブーム上げ操作時にブーム５′が設定され
た傾斜角θに達すると、リミットスイッチ22,23,24はす
べてオン状態となる。ソレノイド30が通電するので、電
磁弁29は遮断油路位置二より開通油路位置ホに切換わ
る。油圧ポンプ31からの圧油は、油路34、35、電磁弁29
のホ位置、油路36,37を経て、オフセットシリンダ19の
ロッド側油室に供給される。それによりオフセットシリ
ンダ19は縮小作動を行うので、作業機４′の運転室前方
側のオフセット量が減少する。バケット11の位置は上部
旋回体３′のほぼ中央前側位置に移動するので、この状
態でブーム上げ操作を継続しても、バケット11が運転室
18に対して干渉衝突をおこすことはない。

また油圧ショベル１′が掘削積込作業などをくり返し
て行うときには、ブーム５′をブーム傾斜角θ以上に上
昇して土砂などをダンプさせた後に、その作業機４′を
下降せしめるとともにオフセット操作を行わなければな
らない。この場合にオフセット切換弁25を中立位置より
へ位置またはト位置に切換操作すると、リミットスイッ
チ24が連動してオフ作動する。電気回路32のソレノイド
30は非通電になるので、電磁弁29はその内蔵ばねのばね
力により開通油路位置ホより遮断油路位置ニに復帰す
る。したがって、オフセット切換弁25による作業機４′
のオフセット操作を支障なく行うことができる。

考案の効果 この考案にかかる安全装置では、作業機のブーム傾斜
角を検出する検出手段と、フロントブームの左右方向回
動角を検出する検出手段と、オフセットシリンダ用切換
弁の切換位置を検出する検出手段をそなえ、また、オフ
セットシリンダ作動回路にオフセットシリンダ用切換弁
と並列に電磁弁を配設し、上記検出手段によりその電磁
弁の切換作動を行うようにした。それによりブーム上げ
操作時に、ブームが設定されたブーム傾斜角に達したと
き作業機の運転室前方側のオフセット量を減少させるこ
とができる。たとえば運転室が上部旋回体の左側に配設
され、オフセットシリンダがブームの右側面側に取付け
られているときには、オフセットシリンダは、自動的に
縮小作動する。作業機のバケットの位置は上部旋回体の
ほぼ中央前側位置に移動するので、この状態でブーム上
げ操作を継続しても、バケットが運転室に対して干渉衝
突をおこすことはない。

したがってこの考案にかかる安全装置をそなえた油圧
ショベルでは、その作業機が運転室に干渉衝突すること
を防止し、安全性を向上させる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案にかかる安全装置の回路図、第２図は
この考案にかかる安全装置を装備した油圧ショベルの側
面図、第３図は第２図のＡ部内におけるリアブームの根
付部付近を示す要部拡大図、第４図は第２図のＢ部をＣ
より見た要部平面図、第５図は従来技術の油圧ショベル
の側面図、第６図は作業機をオフセット操作している油
圧ショベルの平面図である。 4,4′……作業機 5,5′……ブーム 6,6′……リアブーム 7,7′……フロントブーム 18……運転室 19……オフセットシリンダ 21……安全装置 22,23,24……リミットスイッチ 25……オフセットシリンダ用切換弁 28……作動回路 29……電磁弁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部旋回体のフロント部にオフセット操作
   により運転室側に向かって屈折作業運転可能な作業機を
   取付けている油圧ショベルにおいて、作業機のブーム傾
   斜角を検出する検出手段と、フロントブームの左右方向
   回動角を検出する検出手段と、オフセットシリンダ用切
   換弁の切換位置を検出する検出手段をそなえ、また、オ
   フセットシリンダの作動回路にオフセットシリンダ用切
   換弁と並列に電磁弁を配設し、上記検出手段によりその
   電磁弁の切換作動を行うようにし、ブーム上げ操作時に
   ブームが設定されたブーム傾斜角に達したとき作業機の
   運転室前方側のオフセット量を減少するように構成した
   ことを特徴とする油圧ショベルの安全装置。