JPH0619649Y2 - ローディングショベルの油圧回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ボトムダンプ式およびチルトダンプ式のロー
ディング油圧ショベル（以下ローディングショベルと称
す）における油圧回路に係り、特にバケットを水平に押
し出した後のバケットクラウド（土砂の詰め込み）作業
を行なう際の動作を行なう油圧回路に関する。

（従来の技術） 第３図は従来のローディングショベルにおける掘削作業
状態を示す図であり、バケット３はアーム２の先端にピ
ン２０を中心にバケットシリンダ７により回動されるよ
うに取付けられ、掘削はバケット３を２点鎖線ａに示す
姿勢、すなわちバケット３の底面が地面に沿うような姿
勢で水平に押し出した後、バケットシリンダ７を２点鎖
線ｂの状態から実線に示すように伸長させてバケット３
を実線に示すように開口側が上向きとなるように回動さ
せる動作、すなわちクラウド動作を行なわせる。その
後、アーム２引き、ブーム１（第１図参照）上げの複合
動作を行なう場合が多い。

（考案が解決しようとする問題点） このような従来のローディングショベルにおいては、前
記クラウド動作の際、無負荷であれば、バケット３の底
面の後部Ｄは、曲線Ａの軌跡を通るが、しかし掘削作業
においては、バケット先端Ｃに負荷がかかるため、前記
バケット底面後部Ｄは、曲線Ｂのように曲線Ａより下降
した軌跡を通ろうとする。このため、バケット底面後部
ＤはＰ点で土砂とぶつかり、そこでバケット底面後部Ｄ
が土砂に接触して擦動し、底面の摩耗が促進されるとい
う問題点があった。

また、このようなバケット底面後部Ｄのクラウド動作時
における地面に対する擦動がなるべく起こらないように
するため、底板３ａを曲面状に形成しており、このた
め、バケットのコストが高くなるという問題点があっ
た。

（問題点を解決するための手段） 本考案の油圧回路は、上記の問題点を解決するため、パ
イロット油圧を減圧する減圧弁と、該減圧弁の二次側に
接続され、かつバケットのクラウド操作信号により切換
えられて前記減圧弁により減圧されたパイロット油を二
次側に供給する切換弁と、該切換弁の二次側油圧とブー
ム上げパイロット油圧のうち高圧側を選択してブームシ
リンダのコントロール弁のブーム上げ側パイロット受圧
部に供給する高圧選択弁とを備えると共に、前記減圧弁
のセット圧を、ブーム上げ緩動作を行なわせる圧力に設
定したものである。

（実施例） 第１図は本考案によるローディングショベルの一実施例
を示す油圧回路図であり、第３図と同じ符号は同じ構成
部品を示す。４は本体とブーム１との間に取付けたブー
ムシリンダ、５，６はそれぞれブーム１とアーム２との
間に取付けたアームシリンダおよび水平押し出し用レベ
ルシリンダ、８，９は本体上に搭載された油圧ポンプ、
１０，１１はそれぞれ前記ブームシリンダ４、バケット
シリンダ７のコントロール弁、１３，１４はそれぞれ前
記コントロール弁１０，１１のパイロット弁、１５はパ
イロットポンプであり、これらは従来より備えられてい
るものである。

本考案により設けられたものは、減圧弁１６と切換弁１
２とシャトル弁１７である。前記減圧弁１６は、パイロ
ットポンプ１５の吐出側管路２４の油圧を減圧するもの
で、その二次側ポートは管路２５を介して前記切換弁１
２の２つの一次側ポートのうちの一方に接続され、他方
の一次側ポートは管路２６を介して油タンク２７に接続
されている。該切換弁１２の二次側ポートは管路２８お
よびシャトル弁１７を介してブームシリンダ４のコント
ロール弁１０のブーム伸長側パイロット受圧部１０ａに
接続され、該コントロール弁１０のパイロット管路２
９、すなわちパイロット弁１３のレバー１３ａをブーム
上げ側に操作したときにパイロット圧油が供給されるパ
イロット管路は、シャトル弁１７の他方の一次側ポート
に接続されている。

また、前記切換弁１２のパイロット受圧部１２ａは、バ
ケットシリンダ７のコントロール弁１１のパイロット管
路１８、すなわちパイロット弁１４のレバー１４ａをバ
ケット３上げ側に操作したときにパイロット圧油が供給
されるパイロット管路１８に対し、分岐パイロット管路
１９を介して接続されている。

ここで、前記減圧弁１６のセット圧は、前記クラウド動
作時に、バケット３の底部の地面への接触を避けるに適
当なだけの緩動作がなされる流量の作動油がコントロー
ル弁１０を流れる圧力に設定される。

この構成において、第２図に示すように、バケット３の
水平押し出し後、クラウド動作を行なうため、パイロッ
ト弁１４のレバー１４ａをバケット上げ側に操作する
と、パイロット管路１８を介してコントロール弁１１の
パイロット受圧部１１ａにパイロットポンプ１５からの
パイロット圧油が供給されてコントロール弁１１が第１
図の図面上右位置に切換わり、バケットシリンダ７が伸
長してクラウド動作がなされると同時に、パイロット管
路１９を介して切換弁１２のパイロット受圧部１２ａに
もパイロット圧油が供給されるから、該切換弁１２も右
位置に切換わる。このため、コントロール弁１０のパイ
ロット受圧部１０ａにも減圧弁１６で減圧されたパイロ
ット圧油が供給され、コントロール弁１０は図面上右位
置に切換わるが、流量はパイロット弁１３操作による場
合の流量より少なく、ブーム１を緩動作で上げることが
できる。

このような複合動作のため、第２図に示すように、バケ
ット３の底面後部Ｄは、線ａに示すような軌跡を描いて
上がり、バケット３の底面が地面に擦動することはな
い。

また、パイロット弁１４の操作によるクラウド動作と、
パイロット弁１３の操作によるブーム上げ動作を同時に
行なえば、パイロット管路２９側の油圧がパイロット管
路２８の油圧より高圧となるので、緩動作ではなく、通
常の速度でブーム１を上げることができる。

さらに、パイロット弁１４の操作によるクラウド動作
と、パイロット弁１３の操作によるブーム下げ動作を同
時に行なった場合、パイロット管路３０からパイロット
受圧部１０ｂに供給されるパイロット圧油の油圧がパイ
ロット管路２８の油圧より高圧となるので、コントロー
ル弁１０は左位置に切換わり、ブーム下げ動作を行なわ
せることができる。

また、第２図のバケット３においては、クラウド動作の
際にバケット底部が擦動することがないので、底板３ｂ
に丸味を持たせる必要がないため、平板状に構成してい
る。

（考案の効果） 本考案の油圧回路においては、バケットのクラウド動作
と同時に、ブーム上げの緩動作が自動的に行なわれるの
で、クラウド時におけるバケット底面の地面に対する擦
動が防止されるから、バケット底部の摩耗を減少させる
ことができる。

また、本考案によれば、バケット底板に丸味を持たせて
接触を避ける必要がなくなるので、バケト底板の平板化
が図れ、バケットのコストダウンが達成され、また、現
場におけるバケットの補修が容易となる上、さらにバケ
ット底板による地面のならし作業が容易化される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるローディングショベルの油圧回路
の一実施例を示す回路図、第２図は本考案実施例の作用
を説明するバケット部の側面図、第３図は従来の油圧回
路の問題点を説明するバケット部の側面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】パイロット油圧を減圧する減圧弁と、該減
   圧弁の二次側に接続され、かつバケットのクラウド操作
   信号により切換えられて前記減圧弁により減圧されたパ
   イロット油を二次側に供給する切換弁と、該切換弁の二
   次側油圧とブーム上げパイロット油圧のうち高圧側を選
   択してブームシリンダのコントロール弁のブーム上げ側
   パイロット受圧部に供給する高圧選択弁とを備えると共
   に、前記減圧弁のセット圧を、ブーム上げ緩動作を行な
   わせる圧力に設定したことを特徴とするローディングシ
   ョベルの油圧回路。