JPH08219179A - 電磁クラッチ - Google Patents

電磁クラッチ

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JPH08219179A
JPH08219179A JP7023089A JP2308995A JPH08219179A JP H08219179 A JPH08219179 A JP H08219179A JP 7023089 A JP7023089 A JP 7023089A JP 2308995 A JP2308995 A JP 2308995A JP H08219179 A JPH08219179 A JP H08219179A
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JP
Japan
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magnetic material
annular
rotor
friction
friction surface
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JP7023089A
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English (en)
Inventor
Yuichi Aoki
祐一 青木
Masashi Tobayama
昌史 鳥羽山
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Denso Corp
Original Assignee
NipponDenso Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロータ5の摩擦面15を形成する鉄等の金属
系磁性材とアーマチュア6の摩擦面18を形成する鉄等
の金属系磁性材との凝着による摩擦面15、18の面荒
れおよび摩耗量の増大を抑えることにより耐久性の向上
を図ることが可能な電磁クラッチ1を提供する。 【構成】 電磁クラッチ1のロータ5の摩擦面15を径
方向に横切るように、銅合金等の金属系非磁性材よりな
る放射状非磁性材部36〜39を設け、筒状磁性材部3
1と環状磁性材部32との間に形成される環状空隙内に
銅合金等の金属系非磁性材よりなる環状非磁性材部34
を配設し、且つ環状磁性材部32と筒状磁性材部33と
の間に形成される環状空隙内に銅合金等の金属系非磁性
材よりなる環状非磁性材部35を配設した。また、伝達
トルクを確保するために、環状非磁性材部34、35の
摩擦面15側に、ロータ6の摩擦面18との接触を防ぐ
環状溝部40、41を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電磁コイルが発生す
る磁力によってロータの摩擦面に吸着されるアーマチュ
アを備えた電磁クラッチに関するもので、特にロータま
たはアーマチュアの摩擦面の一部に金属系非磁性材を配
した電磁クラッチに係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、回転可能に設けられたロー
タ、このロータの摩擦面に対向して配され、ロータと同
一金属系磁性材製のアーマチュア、および通電されると
ロータの摩擦面にアーマチュアを吸着させる電磁コイル
等を備えた電磁クラッチが知られている。
【0003】ところが、一般的に同種金属系磁性材同士
は最も親和性が強く金属結合し易いため、ロータとアー
マチュアとの吸着時に同種金属系磁性材同士の局部的な
接触が生じると、凝着による面荒れが生じ易く、異種金
属系磁性材同士の接触の場合に比べて摩耗量が多い。特
に、ロータの摩擦面やアーマチュアの摩擦面に酸化物が
形成されない断続初期に凝着し易く、面荒れが発生しや
すかった。これにより、ロータとアーマチュアとの間の
摩擦力が低下して伝達トルクが低下するという問題があ
った。
【0004】そこで、従来より、ロータまたはアーマチ
ュアの摩擦面に、面荒れによる伝達トルク低下の防止を
図るために種々の方法が採用されている。例えば、摩擦
面にリンとイオウを含んだ極圧添加剤を塗布してロータ
とアーマチュアとの摩擦力を高める方法が採用されてい
る。また、ロータまたはアーマチュアのどちらか一方の
摩擦面の硬度を熱処理等により高めて凝着を防止する方
法や、ロータまたはアーマチュアの摩擦面に電気反応に
よる亜鉛鍍金や錫鍍金を施して直接同一金属系磁性材同
士が接触しないようにして凝着を防止する方法も採用さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、極圧添加剤
による方法は、摩擦面に物理的に極圧添加剤を塗布する
だけであるため、極圧添加剤が被水や結露等の環境変化
により化学的に変化したり、温度上昇により摩擦面から
蒸発したり、回転により飛散したりする等により極圧添
加剤が摩擦面から消滅することによって面荒れ防止効果
が低下するという問題が生じている。
【0006】また、上記の各種処理においては、いずれ
も長時間の処理時間が必要となったり、処理のための設
備が必要となったりすると共に、塗布量の管理が極めて
困難であるため、電磁クラッチの製造作業が複雑となり
製品コストを上昇させるという問題が生じている。な
お、電磁クラッチを長期間使用することによって、ロー
タとアーマチュアとの断続が進むと、ロータの摩擦面や
アーマチュアの摩擦面に酸化物が形成されるので、断続
初期ほど凝着はしないが発生はする。
【0007】この発明の目的は、第1摩擦板の摩擦面を
構成する金属系磁性材と第2摩擦板の摩擦面を構成する
金属系磁性材との凝着による摩擦面の面荒れおよび摩耗
量の増大を抑えることにより耐久性の向上を図ることが
可能な電磁クラッチを提供することにある。また、第1
摩擦板と第2摩擦板との摩擦力の低下を抑えることによ
り伝達トルクの向上を図ることが可能な電磁クラッチを
提供することにある。さらに、製造作業を簡素化するこ
とにより製品コストを低減することが可能な電磁クラッ
チを提供することにある。そして、第1摩擦板と第2摩
擦板との断続が進んでも凝着抑制効果が低下しない電磁
クラッチを提供することにある。その上、磨耗の減少に
より第1摩擦板と第2摩擦板との所定の間隙を維持する
ことが容易な電磁クラッチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、金属系磁性材よりなる環状の第1摩擦板と、この第
1摩擦板と所定の間隙を隔てて対向して配され、前記第
1摩擦板を構成する金属系磁性材と略同種の金属系磁性
材よりなる環状の第2摩擦板と、磁力によって前記第1
摩擦板と前記第2摩擦板とを吸着させる電磁コイルとを
備えた電磁クラッチであって、前記第1摩擦板は、前記
第2摩擦板と摩擦係合する摩擦面に露出した状態で、前
記摩擦面を略径方向に横切るように金属系非磁性材を配
した技術手段を採用した。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の電磁クラッチに加えて、前記金属系非磁性材は、前記
第2摩擦板と摩擦係合する摩擦面にその摩擦面よりも凹
んだ溝部を設けたことを特徴とする。また、請求項3に
記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電磁ク
ラッチに加えて、前記第1摩擦板は、径方向に環状空隙
を隔てて配され、前記金属系磁性材よりなる複数の磁性
材部、前記環状空隙内に配され、前記金属系非磁性材よ
りなる環状非磁性材部、およびこの環状非磁性材部より
径方向に部分的に延ばされ、前記金属系磁性材と金属合
金を作ることが可能な前記金属系非磁性材よりなる放射
状非磁性材部を有することを特徴とする。
【0010】
【作用および発明の効果】請求項1に記載の発明によれ
ば、電磁コイルに磁力が発生すると、第1摩擦板を構成
する金属系磁性材と第2摩擦板を構成する金属系磁性材
とが吸着することにより第1摩擦板と第2摩擦板とが摩
擦係合する。このとき、第1摩擦板の摩擦面に露出した
金属系非磁性材も第2摩擦板を構成する金属系磁性材と
摩擦係合する。そして、金属系非磁性材が摩擦面を略系
方向に横切るように設けられているので、金属系非磁性
材は第2摩擦板を構成する金属系磁性材と同一円周上だ
けでなく径方向も含む広い範囲で接触することになる。
これにより、第1摩擦板と第2摩擦板との同種金属同士
が接触し、合金が生成されるため同種金属の接触が減少
し、第1摩擦板と第2摩擦板との凝着が抑えられること
により第1摩擦板または第2摩擦板の摩擦面の面荒れが
抑えられる。したがって、第1摩擦板と第2摩擦板との
間の摩擦力の低下が小さくなり、伝達トルクの低下を抑
えることができ、磨耗量の減少により長寿命になる。
【0011】なお、金属系非磁性材は、被水や結露等の
環境変化により化学的に変化したり、温度上昇により摩
擦面から蒸発したり、回転により飛散したりして第1摩
擦板の摩擦面から消滅することはないので、断続が進ん
でも第1摩擦板と第2摩擦板との間の凝着防止効果の低
下が小さい。また、長時間の処理時間が必要となること
はなく、添加剤付着量の管理が不要となるため、電磁ク
ラッチの製造作業が簡素化され製品コストの上昇を抑え
ることができる。
【0012】請求項2に記載の発明によれば、金属系非
磁性材の摩擦面に溝部を形成しているので、第1摩擦板
の摩擦面の一部を構成する金属系非磁性材と第2摩擦板
を構成する金属系磁性材との接触が減ることにより、第
1摩擦板の金属系非磁性材が第2摩擦板の金属系磁性材
に過剰に付着することを防止できる。さらに、金属系磁
性材と金属系非磁性材との摩擦係数が金属系磁性材同士
の摩擦係数に比べて低いことによる第1摩擦板と第2摩
擦板との間の摩擦力の低下を防止して、伝達トルクの低
下を防止することができる。
【0013】請求項3に記載の発明によれば、第1摩擦
板の環状非磁性材部と放射状非磁性材部とを一体的に設
けることができるので、放射状非磁性材部を設けるため
に新たな設備が必要とならず、電磁クラッチの製造作業
が簡素化され製品コストの上昇を抑えることができる。
【0014】
【実施例】
〔実施例の構成〕次に、この発明を、空気調和装置用電
磁クラッチに適用した実施例に基づいて説明する。図1
は電磁クラッチの全体構造を示した図である。
【0015】電磁クラッチ1は、車両に搭載された駆動
手段(駆動源)としての内燃機関(図示せず)と空気調
和装置の冷媒圧縮機の駆動軸(従動手段、回転軸、シャ
フト)2との回転動力の伝達を断続する動力伝達装置で
ある。そして、電磁クラッチ1は、電磁コイル3、ステ
ータハウジング4、ロータ5、アーマチュア6、アウタ
ーハブ7、インナーハブ8およびゴムハブ9等から構成
されている。
【0016】電磁コイル3は、ステータハウジング4内
に設けられた絶縁性樹脂製のボビン10の外周に円環状
に巻回されている。この電磁コイル3は、バッテリ(図
示せず)に電気的に接続され、通電されると磁力が発生
する。すなわち、電磁コイル3は、通電されると、磁気
回路を構成するステータハウジング4、ロータ5、アー
マチュア6に磁束を発生させることによってゴムハブ9
の弾性力に抗してロータ5の摩擦面にアーマチュア6を
吸着させる。
【0017】ステータハウジング4は、例えば低炭素鋼
等の軟磁性材料製で、略円筒状に形成されており、内部
に電磁コイル3を保持している。このステータハウジン
グ4は、円環状の取付フランジ11を介して冷媒圧縮機
のハウジング12に固定されている。
【0018】ロータ5は、本発明の第1摩擦板であっ
て、円環板状に形成されており、各構成部品を一体化す
ることにより断面形状がコの字状となるように形成され
た第1摩擦係合部材(駆動手段)である。このロータ5
は、図示左側端に、アーマチュア6と摩擦係合する円環
状の摩擦面15を有している。
【0019】アーマチュア6は、本発明の第2摩擦板で
あって、円環板状に形成された第2摩擦係合部材(従動
手段)である。このアーマチュア6は、ロータ5の摩擦
面15との狭い間隙(所定の間隙:例えば0.5mm程
度)を隔てて対向して配されている。また、アーマチュ
ア6は、磁束を迂回させるための複数の円弧状空隙(磁
気遮断部)16を有する環板状磁性材部(磁気回路形成
部)17よりなる。この環板状磁性材部17は、例えば
低炭素鋼等の軟磁性材よりなり、図示右側端に、ロータ
5の摩擦面15に摩擦係合する摩擦面18を有してい
る。
【0020】アウターハブ7は、例えば低炭素鋼(S1
0C)などの鉄鋼材料製で、略円環板状を呈し、インナ
ーハブ8の外周と対向する円筒状のフランジ19が軸方
向に延びるように形成されている。そして、フランジ1
9の図示右側端部には、リベット20を介してアーマチ
ュア6の外周側部に固着される円環板状の取付壁21が
一体的に形成されている。
【0021】インナーハブ8は、例えば低炭素鋼(S1
0C)等の鉄鋼材料製で、アウターハブ7のフランジ1
9と所定の空隙を隔てて対向する円筒状のフランジ22
が軸方向に延びるように形成されている。そして、フラ
ンジ22の図示右側端部には、内周側に向かって円環状
壁23が形成されており、その円環状壁23の内周側端
部より軸方向に向かって冷媒圧縮機の駆動軸2を固定す
るための円筒状の取付壁24が一体的に形成されてい
る。
【0022】ゴムハブ9は、例えば振動吸収性に優れた
塩素化ブチルゴム(IIR)等により円環状に成形され
ている。このゴムハブ9の外周側はアウターハブ7のフ
ランジ19の内周面に接着剤等の接合手段により接合さ
れ、ゴムハブ9の内周側はインナーハブ8のフランジ2
2の外周面に接着剤等の接合手段により接合されてい
る。
【0023】また、ゴムハブ9は、冷媒圧縮機の駆動軸
2へインナーハブ8を介して内燃機関の回転動力を伝達
する機能、冷媒圧縮機の駆動軸2よりロータ5へ伝わる
トルク変動を吸収する回転方向の弾性機能、および電磁
コイル3の通電停止時にアーマチュア6をロータ5の摩
擦面15から離脱させる離脱機能等を備えている。な
お、ゴムハブ9の代わりに板ばねやコイルばね等の弾性
手段を設けても良い。
【0024】次に、この実施例のロータ5を図2および
図3に基づいて詳細に説明する。ロータ5は、筒状磁性
材部31、環状磁性材部32、筒状磁性材部33、環状
非磁性材部34、35および放射状非磁性材部36〜3
9等の各構成部品より構成されている。環状磁性材部3
2および筒状磁性材部31、33は、磁気回路形成部で
あって、例えば低炭素鋼等の軟磁性材料よりなり、外周
側より内周側へ向かって径方向に環状空隙を隔てて、筒
状磁性材部31、環状磁性材部32、筒状磁性材部33
の順に配設されている。
【0025】そして、環状磁性材部32および筒状磁性
材部31、33の図示左側端面は、摩擦面15とされて
いる。なお、筒状磁性材部31の外周には、内燃機関に
ベルト(図示せず)を介して連結されるVリブドプーリ
14が溶接等の接合手段により接合されている。筒状磁
性材部33は、ボールベアリング13を介して冷媒圧縮
機のハウジング12の外周に回転自在に配されている。
また、筒状磁性材部31、33間には、電磁コイル3と
ステータハウジング4が微少間隙を介して遊嵌されてい
る。
【0026】環状非磁性材部34、35は、磁束の漏れ
を防ぐと共に磁束を迂回させるための環状空隙内に配さ
れた磁気遮断部であって、例えば青銅等の銅合金(金属
系非磁性材)よりなり、外径が例えばφ105のとき1
mm〜3mmの幅(環状空隙の幅)を持つように設けられて
いる。すなわち、これらの環状非磁性材部34、35
は、筒状磁性材部31と環状磁性材部32との間に形成
される環状空隙内、および環状磁性材部32と筒状磁性
材部33との間に形成される環状空隙内にそれぞれ嵌め
込まれている。
【0027】なお、摩擦面15には、環状非磁性材部3
4、35の図示左側端が摩擦面15より凹んだ位置に配
設されていることにより断面形状が半月形状の環状溝部
40、41が形成されている。これは、アーマチュア6
を構成する鉄(Fe)とロータ5側の銅(Cu)との摩
擦係数が、鉄(Fe/Fe)同士の摩擦係数に比べて若
干低い(10%程度)とされているため、伝達トルクを
確保する上で不利となることを防止するためである。な
お、環状溝部40、41は、円弧状となるように周方向
に部分的に設けられていても良く、また溝部が設けられ
ていなくても良い。
【0028】放射状非磁性材部36〜39は、例えば青
銅等の銅合金(金属系非磁性材)よりなり、環状磁性材
部32および筒状磁性材部31、33の左側端面に形成
される摩擦面15に露出した状態で設けられている。ま
た、放射状非磁性材部36〜39は、外周側から内周側
へ向かって順に摩擦面を径方向に部分的に横切るように
設けられている。
【0029】なお、この実施例では、放射状非磁性材部
36〜39は、回転方向に約90°の間隔で4組設けら
れ、それぞれ環状非磁性材部34、35の内周側および
外周側より径方向に延長された略長方形状部分である。
そして、放射状非磁性材部36〜39を摩擦面15に設
けるには、環状非磁性材部34、35と共に環状磁性材
部32および筒状磁性材部31、33に一体的に形成す
れば良い。また、伝達トルクを向上させるために、放射
状非磁性材部36〜39の摩擦面15側にアーマチュア
6の摩擦面18との接触を防ぐ溝部を設けても良い。
【0030】〔実施例の製造方法〕次に、この実施例の
ロータ5の製造方法を図4に基づいて簡単に説明する。
ここで、図4はロータ5の各製造工程を説明した図であ
る。
【0031】先ず、図4(a)に示したように、筒状磁
性材(鉄系合金または純鉄)51と環状磁性材(鉄系合
金または純鉄)52との間に形成される環状空隙53内
に環状非磁性材(銅合金)54を中間嵌めによって仮固
定する。また、環状磁性材(鉄系合金または純鉄)52
と筒状磁性材(鉄系合金または純鉄)55との間に形成
される環状空隙56内に環状非磁性材(銅合金)57を
中間嵌めによって仮固定する(第1製造工程)。このと
き、完成品にて筒状磁性材51、55および環状磁性材
52の摩擦面15側において、放射状非磁性材部36〜
39が設けられる部分には、摩擦面15よりも凹んだ放
射状の凹所58〜61が形成されている。
【0032】次に、第1製造工程で仮組付けした仮組付
体50を、図4(b)に示したように、型枠内に入れた
状態で、加熱炉等の加熱装置により環状非磁性材54、
57の融点より高い温度で加熱溶融させる。このため、
図4(c)に示したように、筒状磁性材51および環状
磁性材52と環状非磁性材54とが熱拡散接合(溶融接
合)する。また、環状磁性材52および筒状磁性材55
と環状非磁性材57とが熱拡散接合(溶融接合)する。
さらに、凹所58〜61にも非磁性材63〜66が流入
する(第2製造工程)。
【0033】次に、第2製造工程で成形されたロータ素
材67を環状非磁性材54、57の融点より低い温度ま
で除冷した後に、図4(d)に示したように、環状非磁
性材54、57の摩擦面15側端部を円環状に切削する
ことによって、図4(e)に示したように、環状磁性材
部32および筒状磁性材部31、33にて構成される摩
擦面15に放射状非磁性材部36〜39が摩擦面15を
径方向に横切るように成形され、且つ摩擦面15に2個
の環状溝部40、41が形成されたロータ5が製造され
る(第3製造工程)。
【0034】〔実施例の作用〕次に、この実施例の電磁
クラッチ1の作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説
明する。
【0035】(1)電磁クラッチ1の係合時 電磁コイル3への通電によって発生した磁力により、ア
ーマチュア6がゴムハブ9の弾性力に抗してロータ5の
摩擦面15側に吸引される。この結果、ロータ5の摩擦
面15とアーマチュア6の摩擦面18とが吸着して摩擦
係合することにより、アーマチュア6が回転を始める。
したがって、図示しないベルトおよびVリブドプーリ1
4を介して伝達された内燃機関の回転動力がアーマチュ
ア6→アウターハブ7→ゴムハブ9→インナーハブ8を
介して冷媒圧縮機の駆動軸2に伝わる。
【0036】このとき、ロータ5の摩擦面15には、放
射状非磁性材部36〜39が露出しているので、鉄・銅
系の金属合金(Cu−Fe)が形成され、ロータ5の各
磁性材部31〜33を構成する金属系磁性材(鉄合金ま
たは純鉄)と同種金属であるアーマチュア6の環板状磁
性材部17を構成する金属系磁性材(鉄合金または純
鉄)とが直接接触する機会が少なくなっている。このた
め、ロータ5の摩擦面15とアーマチュア6の摩擦面1
8とに局部的な接触が生じても、凝着の発生が少なくな
り、ロータ5の摩擦面15またはアーマチュア6の摩擦
面18の面荒れが少ない。
【0037】(2)電磁クラッチ1の離脱時 電磁コイル3への通電が停止されると、磁力が消失する
ため、ロータ5の摩擦面15に吸着していたアーマチュ
ア6がゴムハブ9の弾性力(復元力)によってロータ5
の摩擦面15より離脱(離間)して、図1に示した初期
位置に復帰する。この結果、ロータ5の摩擦面15とア
ーマチュア6の摩擦面18との摩擦係合が解消されて、
ロータ5からアーマチュア6へ伝達されていた内燃機関
の回転動力は、冷媒圧縮機の駆動軸2へ伝達されなくな
り、ベルトとVリブドプーリ14と共にロータ5のみが
回転する。
【0038】〔実施例の効果〕以上のように、この実施
例の電磁クラッチ1は、ロータ5の摩擦面15に金属系
非磁性材(青銅等の銅合金)製の放射状非磁性材部36
〜39を設けたことにより、ロータ5の摩擦面15の一
部とアーマチュア6の摩擦面18の一部とが異種金属
(Cu/Fe)同士の組み合わせとなるので、鉄と銅と
の両金属の混合層(Cu−Fe)およびそれらの両金属
の酸化保護膜(CuO2 、FeO2 )が形成される。そ
のため、凝着摩耗の発生し易い同種金属(Fe/Fe)
同士の接触ではなくなる。
【0039】この結果、摩擦面15、18が良く馴染ん
でいない、摩擦面15、18に酸化保護膜(酸化物)が
形成されない電磁クラッチ1の使用初期(断続初期)に
おいて、ロータ5の摩擦面15とアーマチュア6の摩擦
面18とに局部的な接触が生じても、凝着の発生が少な
くなる。これにより、ロータ5の摩擦面15またはアー
マチュア6の摩擦面18の面荒れおよび摩耗が少なくな
る。
【0040】また、この実施例のように非磁性材(銅合
金)が生成されたもの{(Fe−Cu−Fe)/Fe}
の摩耗量は、図5のグラフより、銅合金が摩擦面に形成
されない鉄金属{Fe/Fe}同士の接触の場合よりも
数分の1になる。すなわち、この実施例では、摩擦面1
5、18の摩耗量を飛躍的に減少することができるの
で、電磁クラッチ1の耐久性を向上することができ、長
寿命化を図ることができる。
【0041】そして、ロータ5の摩擦面15またはアー
マチュア6の摩擦面18のどちらにも極圧添加剤を塗布
していないので、摩擦面が被水や結露等の環境変化によ
り化学的に変化したり、温度上昇により摩擦面から極圧
添加剤が蒸発したり、回転により極圧添加剤が飛散した
りする等により極圧添加剤が摩擦面から消滅することに
よる伝達トルクの低下はない。
【0042】したがって、摩擦面15、18の面荒れが
抑えられるため、ロータ5とアーマチュア6との摩擦力
の低下を抑えることができるので、伝達トルクの低下を
防止することができる。さらに、アーマチュア6の摩擦
面18にロータ5側の環状非磁性材部34、35があま
り接触しないように、摩擦面15に環状溝部40、41
が形成されている。このため、仮に銅合金と鉄との接触
による摩擦係数の方が、同種金属(鉄)同士の接触と比
較して低くても、伝達トルクの低下を抑えることができ
る。また、ロータ5の摩擦面15にアーマチュア6が吸
着する時、およびロータ5の摩擦面15からアーマチュ
ア6が離脱する時の滑り時間が短くなり、面荒れ騒音
(所謂面荒れ異音)の発生を抑制することができる。
【0043】また、ロータ5の摩擦面15またはアーマ
チュア6の摩擦面18のうちのいずれか一方の摩擦面に
極圧添加剤を塗布したり、摩擦面の硬度を熱処理等によ
り高めて凝着を防止する方法や、摩擦面に電気反応によ
る亜鉛鍍金や錫鍍金等の鍍金処理を施したりする方法も
採用していないため、極圧添加剤の塗布、熱処理や鍍金
処理のための処理時間や設備が不要となる。さらに、放
射状非磁性材部36〜39を環状非磁性材部34、35
と一体的に各磁性材部31〜33に熱拡散により溶融接
合しているので、新たな設備が不要となる。
【0044】その上、極圧添加剤、亜鉛鍍金、錫鍍金お
よび化成皮膜等のような摩擦面の保護膜を摩擦面に付着
させていないため、ロータ5とアーマチュア6との狭い
間隙(例えば0.5mm)を維持するための管理に注意を
注ぐ必要もなくなるので、電磁クラッチ1の製造コスト
を低下させることができる。したがって、このような安
価な電磁クラッチ1を備えた空気調和装置の価格を低減
することができる。
【0045】〔変形例〕この実施例では、本発明を内燃
機関と空気調和装置の冷媒圧縮機との断続を行う電磁ク
ラッチ1に適用したが、本発明を内燃機関、電動モー
タ、流体圧モータ等の駆動手段と変速機、過給機、送風
機、ポンプ、発電機等の従動手段との断続を行う電磁ク
ラッチに適用しても良い。
【0046】この実施例では、第1摩擦板としてロータ
5を用い、第2摩擦板としてアーマチュア6を用いた
が、第1摩擦板としてアーマチュア6を用い、第2摩擦
板としてロータ5を用いても良い。また、ロータ5だけ
でなく、アーマチュア6にも放射状非磁性材部36〜3
9を設けても良い。この実施例では、電磁コイル3をロ
ータ5側に設置してロータ5の摩擦面15にアーマチュ
ア6を吸着させたが、電磁コイル3をアーマチュア6側
に設置してアーマチュア6の摩擦面18にロータ5を吸
着させても良い。
【0047】この実施例では、放射状非磁性材部36〜
39を摩擦面15の径方向に部分的に設けたが、放射状
非磁性材部36〜39を摩擦面15の径方向に外周から
内周に亘って帯状に設けても良い。この実施例では、ロ
ータ5の摩擦面15やアーマチュア6の摩擦面18を円
環板状に形成したが、ロータ5の摩擦面15やアーマチ
ュア6の摩擦面18を円板状に形成しても良い。
【0048】この実施例では、ロータ5の各磁性材部3
1〜33やアーマチュア6の環板状磁性材部17の材質
として、低炭素鋼を用いたが、ロータ5の各磁性材部3
1〜33やアーマチュア6の環板状磁性材部17の材質
として、他の軟磁性材料を用いても良い。
【0049】この実施例では、ロータ5の各非磁性材部
34〜39の材質として、青銅等の銅合金を用いたが、
ロータ5の各非磁性材部34〜39の材質として、純銅
や摩擦係数を高める各種添加物を加えた金属系非磁性材
を用いても良い。また、ロータ5の環状非磁性材部3
4、35と放射状非磁性材部36〜39の材質を変更し
ても良い。
【0050】この実施例では、磁性材と非磁性材とを熱
拡散により溶融接合したが、磁性材と非磁性材とをろう
付け、電気溶接、レーザー溶接等の溶接手段を用いて接
合しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁クラッチの全体構造を示した断面図である
(実施例)。
【図2】図1の電磁クラッチのロータの単独構造を示し
た断面図である(実施例)。
【図3】図1の電磁クラッチのロータの単独構造を示し
た正面図である(実施例)。
【図4】図1の電磁クラッチのロータの製造工程を示し
た説明図である(実施例)。
【図5】摩耗量と摩擦距離との関係を示したグラフであ
る。
【符号の説明】
1 電磁クラッチ 2 冷媒圧縮機の駆動軸 3 電磁コイル 5 ロータ(第1摩擦板) 6 アーマチュア(第2摩擦板) 15 ロータの摩擦面(第1摩擦板の摩擦面) 16 アーマチュアの円弧状空隙(磁気遮断部) 17 アーマチュアの環板状磁性材部(磁気回路形成
部) 18 アーマチュアの摩擦面(第2摩擦板の摩擦面) 31 ロータの筒状磁性材部(磁気回路形成部) 32 ロータの環状磁性材部(磁気回路形成部) 33 ロータの筒状磁性材部(磁気回路形成部) 34 ロータの環状非磁性材部(磁気遮断部) 35 ロータの環状非磁性材部(磁気遮断部) 36 ロータの放射状磁性材部 37 ロータの放射状磁性材部 38 ロータの放射状磁性材部 39 ロータの放射状磁性材部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属系磁性材よりなる環状の第1摩擦板
    と、この第1摩擦板と所定の間隙を隔てて対向して配さ
    れ、前記第1摩擦板を構成する金属系磁性材と略同種の
    金属系磁性材よりなる環状の第2摩擦板と、磁力によっ
    て前記第1摩擦板と前記第2摩擦板とを吸着させる電磁
    コイルとを備えた電磁クラッチであって、 前記第1摩擦板は、前記第2摩擦板と摩擦係合する摩擦
    面に露出した状態で、前記摩擦面を略径方向に横切るよ
    うに金属系非磁性材を配したことを特徴とする電磁クラ
    ッチ。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の電磁クラッチにおいて、 前記金属系非磁性材は、前記第2摩擦板と摩擦係合する
    摩擦面にその摩擦面よりも凹んだ溝部を設けたことを特
    徴とする電磁クラッチ。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の電磁クラ
    ッチにおいて、 前記第1摩擦板は、径方向に環状空隙を隔てて配され、
    前記金属系磁性材よりなる複数の磁性材部、前記環状空
    隙内に配され、前記金属系非磁性材よりなる環状非磁性
    材部、およびこの環状非磁性材部より径方向に部分的に
    延ばされ、前記金属系磁性材と金属合金を作ることが可
    能な前記金属系非磁性材よりなる放射状非磁性材部を有
    することを特徴とする電磁クラッチ。
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