JPH08215038A - 電磁調理器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 調理鍋或は調理板の成形を簡単にし、且つ調
理鍋或は調理板の熱伝導を高め熱効率を向上したもので
ある。 【構成】 調理鍋（１３）或は調理板（８）を、熱伝導
が良好な基材（１０）と、この基材の外側壁に磁性体金
属の粉末（１１）を溶射した磁性層（１２）により形成
し、調理鍋或は調理板の成形が簡単になると共に熱損失
がなく基材に伝達する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電磁誘導により被調理物
を加熱する電磁調理器に関する。

【０００２】

【従来の技術】此種の電磁調理器は、箱型のケース内に
誘導コイルと、この誘導コイルの上部に設けたセラミッ
ク製のトッププレートと、前記誘導コイルに交流電流を
印加するインバータ回路とを設け、前記トッププレート
の上部に調理鍋を載置し、誘導コイルより発生する高周
波磁界により前記調理鍋を発熱させて調理を行うように
している。

【０００３】前記調理鍋は特開平３−５７１８３号公報
に見られるように内側に熱伝導の良好なアルミニウムを
用い、外側に磁性体金属であるステンレスを用いた二重
合わせ構造の所謂クラッド材により成形している。

【０００４】また、調理鍋の他の構造としては、アルミ
ニウムの外側にステンレスや鉄板等をカシメ止めにより
貼り合わせたものがある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述のよう
にアルミニウムとステンレスのクラッド材は、クラッド
成形に伴い材料費が高い。クラッド材をプレス加工して
鍋形状にするわけであるがクラッド材の厚みがあり歩留
りが悪く加工不良を発生する。アルミニウムの外側の前
面にステンレスを重合するために調理鍋の重量が非常に
重くなる。といった欠点がある。

【０００６】また、ステンレスをアルミニウムにカシメ
止め固定して貼り合わせたものは、アルミニウムとステ
ンレスとの密着性が悪いのでステンレスからの熱伝導が
悪い、アルミニウムとステンレスとの間に隙間を生じゴ
ミが入りやすい。といった欠点がある。

【０００７】本発明は上記の種々の欠点を改良し、調理
鍋或は調理板の成形を簡単にし、且つ磁性体金属と熱伝
導の良好な金属との密着性を高めたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は第１に、誘導コ
イルと、この誘導コイルの上部に設けたトッププレート
と、このトッププレートの上面に載置する調理鍋或は調
理板とを備え、前記調理鍋或は調理板は熱伝導が良好な
基材と該基材の外側壁の一部又は全部に磁性体金属の粉
末を溶射した磁性層を形成したものである。

【０００９】第２に、前記磁性層は、前記基材の外底壁
に溶射したものである。

【００１０】第３に、前記磁性層は、前記基材の外底壁
の定められた領域に溶射したものである。

【００１１】さらに本発明は、誘導コイルと、この誘導
コイルの上部に設けられ周囲に載置段部を形成して凹設
した収納部を有するトッププレートと、前記収納部に収
納載置する調理鍋或は調理板とを備え、前記調理鍋或は
調理板はその周囲に設けたフランジを前記載置段部に熱
伝導が良好な基材と該基材の外側壁の一部又は全部に磁
性体金属の粉末を溶射すると共に周囲に設けたフランジ
を前記載置段部に載置し、且つ前記調理鍋或は調理板の
底面とトッププレートとの間に空隙を形成したものであ
る。

【００１２】

【作用】本発明は、調理鍋或は調理板を熱伝導が良好な
基材と、この基材の外側壁に磁性体金属の粉末を溶射し
た磁性層により形成したことにより、調理鍋或は調理板
の成形が簡単になると共に磁性層の熱が損失なく基材に
伝導する。

【００１３】また、磁性体金属の粉末の磁性層を基材の
外底壁に溶射したことにより、特に平板状の調理板とし
て使用する場合に有効となる。

【００１４】さらに、磁性体金属の粉末の磁性層を基材
の外底壁の定められた領域に溶射したことにより、被調
理物に応じた調理鍋或は調理板を形成する。

【００１５】そして、トッププレートを凹設した収納部
の載置段部に調理鍋或は調理板のフランジを載置し、調
理鍋或は調理板の底面とトッププレートとの間に空隙を
形成したことにより、調理鍋或は調理板をトッププレー
トに載置した状態における全高寸法を低くすることがで
き、且つ誘導コイル側の温度上昇を抑える。

【００１６】

【実施例】本発明の実施例を図面に基いて説明する。図
１は本発明の電磁調理器の部分断面図、図２は同じく調
理板の断面図、図３は図２の部分拡大図である。

【００１７】（１）は箱型の器具本体、（２）は前記器
具本体内に配置固定した水平方向にフラットな誘導コイ
ル、（３）は前記誘導コイル（２）の下方に設けた支持
板、（４）は前記誘導コイル（２）の上部に設けられ周
囲に載置段部（５）を形成して凹設した皿状の収納部
（６）を有するセラミック製のトッププレート、（７）
は前記誘導コイル（２）に交流電流を印加するインバー
タ回路である。

【００１８】（８）は周囲にフランジ（９）を設けてお
り前記収納部（６）に収納する調理板で、全体の殆んど
を熱伝導が良好な例えばアルミニウムよりなる基材（１
０）で形成し、外底壁には磁性体金属よりなる例えば鉄
粉或はステンレス粉よりなる粉末（１１）を金属溶射に
より固着した磁性層（１２）を形成している。（図２参
照）この金属溶射による固着は、あらかじめ基材（１
０）の外底壁に粗面加工を施した後に鉄粉等の粉末を高
圧噴射ガンによって溶射して固着するものである。（図
３参照）次に使用状態について述べる。先ず、調理板
（８）を収納部（６）に収納し、該調理板のフランジ
（９）をトッププレート（４）の載置段部（５）に載置
する。この時、図１に示すように調理板（８）の底面と
トッププレート（４）の上面との間に空隙（Ｓ）が形成
される。

【００１９】インバータ回路（７）により交流電流が印
加された誘導コイル（２）はうず電流を生じ磁性層（１
２）が発熱し、この熱は基材（１０）に伝達して調理板
（８）の全体が高温となり、該調理板内の被調理物の調
理を行う。

【００２０】また、一般的に調理板（調理鍋）による被
調理物の加熱時には調理板の中央側の温度が高く、周辺
の温度が低くなるという欠点がある。

【００２１】図４に実施例はこの欠点を改良したもので
あり、磁性層（１２）を基材（１０）の外底壁の定めら
れた領域に固着したもので、中央側は磁性層（１２Ａ）
の厚みを薄くしてリング状に溶射し、その外側には中央
側の磁性層（１２Ａ）に比べて若干厚みを厚くした磁性
層（１２Ｂ）をリング状に溶射している。

【００２２】この実施例では、外側の磁性層（１２Ｂ）
の周辺の温度が高く、中央側の磁性層（１２Ａ）の温度
が若干低くなるが、それぞれの熱が基材（１０）に伝達
して調理板（８）の底部全体としてはほぼ均一な温度と
なる。

【００２３】そして、煮物等を行う場合には被調理物の
全体をその周囲から加熱することが望ましい。この様な
場合に用いる調理鍋（１３）の実施例は図５及び図６に
示す。

【００２４】この実施例は、磁性層（１２）を基板（１
０）の外底壁の前面のみならず外側壁にも溶射して固着
している。この様な調理鍋（１３）を載置段部（５）に
載置して誘導コイル（２）に通電すると、調理鍋（１
３）の底部と側部が同時に発熱する。

【００２５】

【発明の効果】以上の様に本発明は、調理鍋或は調理板
を、熱伝導が良好な基材と、この基材の外側壁に磁性体
金属の粉末を溶射した磁性体により形成したことによ
り、電磁誘導加熱用の調理鍋或は調理板の成形が簡単に
なると共に磁性層より発生する熱が損失なく基材に伝達
し熱効率のよい加熱調理が可能となる。

【００２６】また、磁性層を調理鍋或は調理板の基材の
外底壁に溶射したことによりクラッド材に比べて調理鍋
或は調理板の重量が約１０〜２０％軽減できる。

【００２７】さらに、磁性層を基材の外底壁の定められ
た領域に溶射したことにより、焼き物調理用、煮込み調
理用や被調理物の全体を均一に加熱する等の被調理物に
応じた調理鍋或は調理板を構成することができる。

【００２８】そして、調理鍋或は調理板のフランジをト
ッププレートを凹設した収納部の載置段部に載置して、
調理鍋或は調理板の底面とトッププレートとの間に空隙
を形成したことにより、この空隙が断熱作用を生じ誘導
コイルの温度上昇を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電磁調理器の全体を示す部分断面図で
ある。

【図２】同じく調理板の断面図である。

【図３】図２の丸印の拡大図である。

【図４】同じく調理板の他の一実施例を示す断面図であ
る。

【図５】同じく調理鍋の断面図である。

【図６】図５の丸印の拡大図である。

【符号の説明】

１ 器具本体 ２ 誘導コイル ４ トッププレート ５ 載置段部 ６ 収納部 ８ 調理板 ９ フランジ １０ 基材 １１ 粉末 １２ 磁性層 １３ 調理鍋 Ｓ 空隙

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 三郎 鳥取県鳥取市南吉方３丁目201番地 鳥取 三洋電機株式会社内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 誘導コイルと、この誘導コイルの上部に
   設けたトッププレートと、このトッププレートの上面に
   載置する調理鍋或は調理板とを備え、前記調理鍋或は調
   理板は熱伝導が良好な基材と該基材の外側壁の一部又は
   全部に磁性体金属の粉末を溶射した磁性層を形成したこ
   とを特徴とする電磁調理器。
2. 【請求項２】 前記磁性層は、前記基材の外底壁に溶射
   したことを特徴とする請求項１に記載の電磁調理器。
3. 【請求項３】 前記磁性層は、前記基材の外底壁の定め
   られた領域に溶射したことを特徴とする請求項１に記載
   の電磁調理器。
4. 【請求項４】 誘導コイルと、この誘導コイルの上部に
   設けられ周囲に載置段部を形成して凹設した収納部を有
   するトッププレートと、前記収納部に収納載置する調理
   鍋或は調理板とを備え、前記調理鍋或は調理板はその周
   囲に設けたフランジを前記載置段部に熱伝導が良好な基
   材と該基材の外側壁の一部又は全部に磁性体金属の粉末
   を溶射すると共に周囲に設けたフランジを前記載置段部
   に載置し、且つ前記調理鍋或は調理板の底面とトッププ
   レートとの間に空隙を形成したことを特徴とする電磁調
   理器。