JPH08213857A - 電力増幅器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 合成損の生じない電力増幅器を得る。 【構成】 入力信号を入力ハイブリッド１で分岐し、一
方を単位増幅器２に供給し、他方を移相器６を介して単
位増幅器３に供給する。それら単位増幅器の出力を出力
ハイブリッド回路４で合成し、方向性結合器７、８によ
って両親号の位相差を検出する。その位相差を位相検波
器９で検出し、ローパスフィルタ１０を介して出力する
ようにすれば、単位増幅器２、３の位相差に対応する信
号が得られる。この信号が最小になるように制御回路１
１を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高出力を有する例えば
マイクロ波帯の電力増幅器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば高出力を有するマイクロ波帯の電
力増幅器は図２のように、入力信号を入力ハイブリッド
回路１で２分岐し、それを単位増幅器２および３によっ
てそれぞれ増幅し、増幅された信号を出力ハイブリッド
回路４によって合成して出力している。この場合、出力
ハイブリッド回路４での合成損失を最小にするため、２
つの単位増幅器の絶対位相を合わせるように、個々に電
気調整を行っている。なお、入力ハイブリッド回路１お
よび出力ハイブリッド回路４の双方ともダミー抵抗５
ａ，５ｂが接続され、インピーダンスバランスを取るよ
うになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、絶対位
相を合わせる電気調整は非常に難しく、かなりの時間を
費やす必要がある。更に、例え個々の単位増幅器の線形
領域で絶対位相を合わせることができた場合でも、各々
の単位増幅器が持つ入力レベルに対する位相変動にばら
つきがある場合は、飽和領域で位相差が生じ、合成損失
が発生するという課題を有していた。

【０００４】本発明はこのような状況に鑑みて成された
もので、位相調整の容易な電力増幅器を得るようにした
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は２つの単位増幅器出力を合成すると
き、位相差を検出し、その検出された位相差に応じて一
方の単位増幅器の信号位相を制御するようにしたもので
ある。

【０００６】

【作用】双方の単位増幅器の位相差が検出され、その位
相差が零になるように一方の単位増幅器の信号位相が制
御される。

【０００７】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示すブロック図で
あり、図２と同一部分は同記号を用いている。図１にお
いて、入力ハイブリッド回路１で分岐された一方の信号
は可変移相器６によって位相が調整された後に、単位増
幅器３で増幅され、単位増幅器２で増幅された信号と共
に、出力ハイブリッド回路４で合成される。そして出力
ハイブリッド回路４の一方の出力信号、すなわち合成さ
れた信号は方向性結合器７を介して出力端子に供給され
る。出力ハイブリッド回路４のバランス回路は方向性結
合器８を介してダミー抵抗５ｂに接続される。

【０００８】方向性結合器７、８から出力された信号は
位相検波器９によって位相差が検出され、検波出力はロ
ーパスフィルタ１０を介して制御回路１１に供給され、
その制御回路１１は可変移相器５の移送量を調整するよ
うになっている。

【０００９】ここで、単位増幅器３と単位増幅器４の位
相差をαとし、振幅を１とすると出力ハイブリッド回路
４の端子Ａの電圧Ａと、端子Ｂの電圧Ｂは次のように表
される。 Ａ＝ｓｉｎ（ωｔ＋９０゜） Ｂ＝ｓｉｎ（ωｔ＋α）

【００１０】更に出力ハイブリッド回路４によって合成
された出力端子Ｃ，Ｄの電圧は次のように表される。 Ｃ＝ｃｏｓ（ωｔ＋α）＋ｃｏｓωｔ Ｄ＝ｓｉｎ（ωｔ＋α）−ｓｉｎωｔ

【００１１】このＣおよびＤの電圧が方向性結合器７、
８を通って位相検波器９に入力されると、位相検波器９
の出力電圧Ｅは次のようになる。 Ｅ＝０．５｛ｓｉｎ（２ωｔ＋２α）｝−０．５ｓｉｎ
２ωｔ＋ｓｉｎα

【００１２】この電圧Ｅはローパスフィルタ１０を通る
ことによって単位増幅器３および４の位相差αに応じた
電圧であるｓｉｎαだけが出力される。この出力電圧に
応じて制御回路１０が移相器６の移相量を制御すること
により、単位増幅器間の位相差αを最小にすることがで
きる。

【００１３】この場合の制御は例えば次のように行われ
る。単位増幅器２、３の位相差がないときローパスフィ
ルタ１０の出力信号ｓｉｎαは零になり、相互の位相の
進みまたは遅れに対してｓｉｎαはプラスまたはマイナ
スになる。今、単位増幅器３の位相が単位増幅器２の位
相より進むことによってローパスフィルタ１０の出力が
プラスｓｉｎαになり、位相が遅れるときはマイナスｓ
ｉｎαになる信号が得られるとする。

【００１４】このとき制御回路１１はローパスフィルタ
１０の出力信号であるプラスｓｉｎαが供給されたとき
単位増幅器３の位相を遅らせるように、信号ｓｉｎαの
値に応じた信号、例えば信号ｓｉｎαの値が大きくなる
とマイナス極性で信号ｓｉｎαの値に比例した大きさを
有する直流の信号を位相器６に供給することによって単
位増幅器３の出力信号の位相が遅れ、単位増幅器２との
位相差が少なくなる。位相差が少なくなれば信号ｓｉｎ
αの値が小さくなるので、制御回路１１から出力される
信号の値も小さくなり、それに応じて単位増幅器３に供
給される信号の位相遅れ量も小さくなるように制御され
る。このように位相制御が実行され、単位増幅器２、３
の出力信号の位相差がなくなるとローパスフィルタ１０
の出力信号ｓｉｎαが零になり、平衡状態になるので、
それ以上の制御が行われない。

【００１５】以上の実施例は方向性結合器７を単位増幅
器２、３の合成された信号が通過する出力経路および出
力ハイブリッド回路４のバランス回路に設けているが、
それぞれ単位増幅器２、３の出力側に設けても良い。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように本発明は２つの単位
増幅器の一方の位相を制御して双方の単位増幅器出力信
号の位相が同一になるようにしたので、従来のように絶
対位相を調整する必要がなくなり、調整が簡単になると
共に合成損が発生せず、入力レベルに対する位相変動が
あってもそれが最小になるように制御されるので、常に
位相差が打ち消され、飽和領域でも合成損が生じないと
言う効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例の構成を示すブロック図で
ある。

【図２】 従来の一例の構成を示すブロック図である。

【符号の説明】

１…入力ハイブリッド、２，３…単位増幅器、４…出力
ハイブリッド、５ａ，５ｂ…ダミー抵抗、６…移相器、
７，８…方向性結合器、９…位相検波器、１０…ローパ
スフィルタ、１１…制御回路。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ２つの単位増幅器出力信号を合成して電
   力合成を行う電力増幅器において、 前記一方の単位増幅器に供給する信号の位相差を制御す
   る移相回路と、 前記２つの単位増幅器出力信号の位相差を検出する位相
   差検出回路と、 前記位相差検出回路の出力信号成分が最小になるように
   前記移相回路を制御する制御回路とを備えたことを特徴
   とする電力増幅器。
2. 【請求項２】 入力信号を２分岐する入力ハイブリッド
   回路と、 前記入力ハイブリッド回路の一方の出力端子からの出力
   信号が供給される第１の単位増幅器と、 前記入力ハイブリッド回路の他方の出力端子からの出力
   信号が供給される移相器と、 前記移相器出力信号が供給される第２の単位増幅器と、 前記第１および前記第２の単位増幅器出力信号を合成す
   る出力ハイブリッド回路と、 前記第１および前記第２の単位増幅器の出力信号を個別
   に分岐する第１および第２の方向性結合器と、 前記第１および第２の方向性結合器からの出力信号を位
   相検波する位相検波器と、 前記位相検波器の出力信号から所定周波数成分以下の信
   号だけを出力するローパスフィルタと、 前記ローパスフィルタの出力信号成分が最小になるよう
   に前記移相器に出力信号を供給する制御回路とからなる
   電力増幅器。
3. 【請求項３】 請求項２において、 方向性結合器は出力ハイブリッド回路によって合成され
   た信号の経路および出力ハイブリッド回路のバランス回
   路のそれぞれに設けたことを特徴とする電力増幅器。
4. 【請求項４】 請求項２において、 方向性結合器は第１および第２の単位増幅器出力側にそ
   れぞれ設けたことを特徴とする電力増幅器。