JPH08206584A - 艶消被膜形成方法 - Google Patents

艶消被膜形成方法

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JPH08206584A
JPH08206584A JP1624395A JP1624395A JPH08206584A JP H08206584 A JPH08206584 A JP H08206584A JP 1624395 A JP1624395 A JP 1624395A JP 1624395 A JP1624395 A JP 1624395A JP H08206584 A JPH08206584 A JP H08206584A
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雄敏 蓑原
Nobuhiro Ito
信広 伊藤
Shuichi Sugita
修一 杉田
Hirotoshi Kamata
博稔 鎌田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】着色剤を含む系であっても、また厚膜に塗布さ
れた場合であっても、光重合法により艶消被膜を容易に
形成する。 【構成】重合性不飽和化合物と、紫外線重合開始剤と、
近赤外光領域に吸収をもつ陽イオン染料と、ホウ素系触
媒とを含む液状組成物を塗布した後、500mJ/cm
2 以上の光強度となる紫外線を照射し、次いで500m
J/cm2 以上の光強度となる近赤外線を照射する。表
面に先ず重合層が形成され、次いで内部が硬化する際に
表面に凹凸が生じるので、その凹凸による光散乱作用で
艶消被膜が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は艶消被膜を形成する方法
に関し、さらに詳しくは、紫外線及び近赤外線を用いた
光重合法により塗膜を硬化させて艶消被膜を形成する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の内装品などに施される塗装は、
鏡面塗装のような光沢のあるものはあまり好まれず、家
具などと同様に光沢がある程度消された艶消し塗装が主
流となっている。この艶消し塗装に用いられる艶消し塗
料としては、シリカ粉末やガラスビーズあるいはポリエ
チレンワックスなどを艶消し剤として添加したものが一
般的である。このような艶消し塗料を塗布すると、塗膜
からの溶剤の揮発及び硬化時の塗膜の収縮などにより艶
消し剤が塗膜表面に浮き上がり、塗膜表面に集まった艶
消し剤の光散乱作用により艶消し効果が得られる。
【0003】ところで塗料やインキの硬化手段として、
速硬化性と無溶剤化の可能性をもつ紫外線硬化法などの
光重合法が近年注目を集めている。ところが従来の光重
合法では、溶剤がほとんど用いられないので溶剤の揮発
が少なく、塗膜の硬化も急速過ぎるために、上記した艶
消し剤の塗膜表面への浮き上がりが不十分となりやす
く、艶消し効果が低いという不具合があった。このよう
な不具合は、艶消し剤を増量することによりある程度解
決できるものの、その反面、強度などの塗膜物性が低下
するという問題がある。
【0004】そこで特開昭55−5997号公報には、
光強度の異なる紫外線を2段階で照射する艶消被膜形成
方法が開示されている。この方法によれば、先ず低強度
の紫外線を照射して塗膜内部の硬化を先行させる。これ
により塗膜表面の硬化は酸素の影響のため遅れるもの
の、内部の硬化により若干の塗膜収縮が生じ艶消し剤が
表面層に移動して表面の艶消し剤濃度が高くなる。また
若干のモノマーやオリゴマーの蒸発も生じるので艶消し
剤が表面に集まる。次いで高強度の紫外線を照射するこ
とにより、塗膜表面及び内部が完全硬化し、艶消し剤濃
度が高くなった塗膜表面では良好な艶消し効果が得られ
るのである。
【0005】ところが特開昭55−5997号公報に開
示の方法では、着色塗料への適用が困難である。つまり
着色顔料や不透明な染料などの着色剤が塗膜中に存在す
ると、照射された紫外線が着色剤に遮られて塗膜内部に
届かず、塗膜内部が未硬化状態となるという問題があ
る。また着色剤を含まずとも、塗膜厚さが極端に厚い場
合には紫外線が内部まで届かず、同様の不具合が発生す
る。
【0006】また特開平6−75374号公報には、紫
外線と近赤外線を照射することで、着色剤を含有する場
合であっても内部硬化を可能とした光硬化性材料及び硬
化方法が開示されている。しかし艶消被膜を形成する方
法は開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した事情
に鑑みてなされたものであり、特開平6−75374号
公報に開示された光硬化性材料を利用して、着色剤を含
む系であっても、また厚膜に塗布された場合であって
も、光重合法により艶消被膜を容易に形成することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明の艶消被膜形成方法は、重合性不飽和化合物と、紫外
線重合開始剤と、一般式(1)で表され近赤外光領域に
吸収をもつ陽イオン染料と、一般式(2)で表されるホ
ウ素系触媒と、を含む液状組成物を被塗物表面に塗布し
た後、500mJ/cm2 以上の光強度となる紫外線を
照射し、次いで500mJ/cm2 以上の光強度となる
近赤外線を照射することを特徴とする艶消被膜形成方
法。
【0009】一般式(1): D+ ・A- (式中、D+ は近赤外光領域に吸収をもつ陽イオンを示
し、A- は各種陰イオンを示す。) 一般式(2):
【0010】
【化3】
【0011】(式中、R1 ,R2 及びR3 はそれぞれ独
立してアルキル基、アリール基、アリル基、アラルケル
基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環
基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、
置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル
基、ハロゲン原子または置換シリル基を示し、Z+ は4
級アンモニウム陽イオン、4級ピリジニウム陽イオン、
4級キノリニウム陽イオン、ホスホニウム陽イオンまた
は金属陽イオンを示す。) また第2の発明の艶消し被膜形成方法は、重合性不飽和
化合物と、紫外線重合開始剤と、一般式(1)で表され
近赤外光領域に吸収をもつ陽イオン染料と、一般式
(2)で表されるホウ素系触媒と、艶消し剤と、を含む
る液状組成物を被塗物表面に塗布した後、500mJ/
cm2 以上の光強度となる近赤外線を照射し、次いで5
00mJ/cm2 以上の光強度となる紫外線を照射する
ことを特徴とする。
【0012】一般式(1): D+ ・A- (式中、D+ は近赤外光領域に吸収をもつ陽イオンを示
し、A- は各種陰イオンを示す。) 一般式(2):
【0013】
【化4】
【0014】(式中、R1 ,R2 及びR3 はそれぞれ独
立してアルキル基、アリール基、アリル基、アラルケル
基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複素環
基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル基、
置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル
基、ハロゲン原子または置換シリル基を示し、Z+ は4
級アンモニウム陽イオン、4級ピリジニウム陽イオン、
4級キノリニウム陽イオン、ホスホニウム陽イオンまた
は金属陽イオンを示す。)
【0015】
【作用】
〔第1発明の作用〕第1発明の艶消被膜形成方法では、
ウェット塗膜に先ず紫外線が高強度となるように照射さ
れる。すると紫外線重合開始剤が励起されて光重合が開
始され、塗膜の表面層が主として硬化する。塗膜内部
は、着色剤や厚膜である場合は、紫外線が到達せず未硬
化状態となっている。そして表面層には、酸素の透過性
をほとんど無視できる重合膜が形成されている。
【0016】次いで近赤外線が高強度となるように照射
されると、一般式(2)の増感剤の併用により一般式
(1)の陽イオン染料が励起され、消色反応により陽イ
オン染料の色が消色するとともに、重合性不飽和化合物
の重合反応が開始される。近赤外線は高い透過性を有す
るため、着色剤を含んだ塗膜であっても、また厚膜に塗
布された塗膜であっても、近赤外線は塗膜の内部まで充
分に到達して重合反応が開始され、内部が硬化する。こ
の時、既に硬化した表面層の重合膜が未硬化の塗膜内部
への酸素の進入を阻止するので、酸素による重合阻害が
生じず塗膜内部は完全に硬化する。
【0017】ここで内部の硬化に伴い塗膜内部には収縮
が生じるが、この収縮により既に硬化している表面層の
重合膜には微細な凹凸が生じ、その凹凸を残した状態で
硬化が完了する。したがって形成された被膜表面には微
細な凹凸が存在し、これの光散乱作用により艶消被膜と
なる。 〔第2発明の作用〕第2発明の艶消被膜形成方法では、
ウェット塗膜に先ず近赤外線が照射される。すると一般
式(2)の増感剤の併用により一般式(1)の陽イオン
染料が励起され、消色反応により陽イオン染料の色が消
色するとともに、重合性不飽和化合物の重合反応が開始
される。近赤外線は高い透過性を有するため、着色剤を
含んだ塗膜であっても、また厚膜に塗布された塗膜であ
っても、高強度となるように照射された近赤外線は塗膜
の内部まで充分に到達して重合反応が開始される。
【0018】これにより塗膜は内部まで充分に硬化する
が、この時の塗膜の収縮により、含まれている艶消し剤
が表面層に移行し、表面層は艶消し剤濃度が高い状態と
なる。しかし近赤外線による重合では、高強度となるよ
うに照射されても酸素阻害により塗膜の表面層は未硬化
の状態である。そこで、次いで紫外線を高強度となるよ
うに照射する。すると紫外線重合開始剤が励起されて光
重合が開始され、主として塗膜の表面が硬化する。これ
により艶消し剤濃度の高い表面層では、艶消し剤がさら
に表面に移行して表出し、艶消し剤の光散乱作用により
艶消被膜が形成される。
【0019】
【実施例】
〔発明の具体例〕重合性不飽和化合物とは、1分子中に
2個以上のラジカル重合性炭素二重結合を有する不飽和
樹脂、又はこの不飽和樹脂と1分子中に1個以上のラジ
カル重合性炭素二重結合を有する不飽和モノマーとの混
合物をいう。このうち不飽和樹脂としては、例えばポリ
エステルに(メタ)アクリル酸を縮合させた樹脂、エチ
レン性不飽和基含有ポリウレタン樹脂、エチレン性不飽
和基含有エポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含有リンエ
ポキシ樹脂、エチレン性不飽和基含有アクリル樹脂、エ
チレン性不飽和基含有シリコン樹脂、エチレン性不飽和
基含有メラミン樹脂などが挙げられる。
【0020】不飽和モノマーは、重合性不飽和モノマー
ばかりではなく重合性不飽和オリゴマーも包含され、具
体的には以下のものが例示される。重合性不飽和モノマ
ーとしては、先ずアクリル酸又はメタクリル酸と炭素数
1〜28個の1価アルコールとのエステル化物が挙げら
れ、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−
ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、アクリル酸te
rt−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリ
ル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキ
シル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、メ
タクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル
酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリ
ル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、
メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ステアリル、
メタクリル酸ステアリルなどが例示される。また重合性
不飽和モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、
メチルスチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼンな
どのビニル芳香族化合物:酢酸ビニル、塩化ビニル、ビ
ニルイソブチルエーテル、メチルビニルエーテル、アク
リロニトリル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなど
その他のビニル化合物も使用できる。さらに、アクリル
酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有モノマー:
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの水
酸基含有モノマー:ブチルイソシアネート、フェニルイ
ソシアネートなどのイソシアネート化合物と上記水酸基
含有モノマーとの付加物:リン酸と上記水酸基含有モノ
マーとの付加物:ビニルピロリドン、ビニルピリジンな
どの含窒素複素環を有する不飽和モノマーなども使用で
きる。
【0021】また重合性不飽和オリゴマーとしては、例
えばジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレ
ート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレ
ングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオー
ルジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリ
レート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,
4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグ
リコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、トリメチロール
プロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールト
リアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペン
タエリスリトールテトラメタクリレート、トリシクロデ
カンジアルコールジアクリレート、トリシクロデカンジ
アルコールジメタクリレート、などのジ、トリ又はテト
ラビニル化合物:多価アルコールとエチレンオキシドと
の付加物にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を反応せ
しめた生成物:多価アルコールとプロピレンオキシドと
の付加物にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を反応せ
しめた生成物:多価アルコールとε−カプロラクトンと
の付加物にアクリル酸及び/又はメタクリル酸を反応せ
しめた生成物:含リン重合性不飽和オリゴマーなどが包
含される。
【0022】なお、上に例示したモノマー及びオリゴマ
ーは、単独で又は2種以上混合して使用できる。不飽和
樹脂と不飽和モノマーとの混合比率は特に制限されない
が、合計を100重量%とした場合に、不飽和樹脂は1
00〜20重量%、特には80〜40重量%とすること
が好ましい。
【0023】紫外線重合開始剤としては、紫外線の照射
により励起されてラジカルを発生させる通常の開始剤が
用いられ、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテ
ル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾ
インn−ブチルエーテル、α−ヒドロキシイソブチルフ
ェノン、ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、
ミヒラーケトン、アセトフェノン、1−ヒドロキシ−1
−シクロヘキシルアセトフェノン、2−クロロチオキサ
ントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニ
ル〕−2−モルフォリノ−プロパノン、アントラキノ
ン、2−メチルアントラキノン、フェニルジスルフィ
ド、2−ニトロフルオレンなどが挙げられる。これらの
開始剤は単独で又は2種以上混合して使用でき、その添
加量は不飽和樹脂に対して0.1〜10重量%の範囲が
好ましい。
【0024】また紫外線重合開始剤による光重合反応を
促進させるために、光増感促進剤を併用することも好ま
しい。併用できる光増感促進剤としては、例えばトリエ
チルアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルア
ミノ)エタノール等の3級アミン:トリフェニルホスフ
ィン等のアルキルホスフィン:β−チオジグリコール等
のチオエーテルなどが挙げられる。これらの光増感促進
剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることがで
き、その添加量は不飽和樹脂に対して0.1〜10重量
%の範囲が好ましい。
【0025】一般式(1)で表される陽イオン染料は、
近赤外線により励起されて反応開始剤として機能するも
のであり、陽イオンD+ としては740nm以上の近赤
外光の波長領域に吸収をもつもの、好ましくは780n
m以上の波長領域に吸収をもつものが用いられる。この
ような陽イオンとしては、例えばメチン、ポリメチン、
インドリン、シアニン、キサンテン、オキサジン、チア
ジン、ジアリールメタン、ピリリウム系陽イオン染料の
陽イオンなどが挙げられるが、このような陽イオンの代
表例としては、例えば表1及び表2に示すようなものが
挙げられる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】また一般式(1)の陽イオン染料のカウン
ターアニオン(A- )は任意の陰イオンであり、例えば
塩素アニオン、臭素アニオン、沃素アニオン等のハロゲ
ンアニオン:ベンゼンスルホン酸アニオン、p−トルエ
ンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン等の
スルホン酸アニオン:PF6 アニオン:ホウ素アニオン
など種々のアニオン性化合物が挙げられる。中でも一般
式(3)で表されるホウ素アニオンが特に好ましい。
【0029】一般式(3):
【0030】
【化5】
【0031】(式中、R5 ,R6 ,R7 及びR8 はそれ
ぞれ独立してアルキル基、アリール基、アリル基、アラ
ルケル基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基、複
素環基、置換アルキル基、置換アリール基、置換アリル
基、置換アラルキル基、置換アルケニル基、置換アルキ
ニル基、ハロゲン原子または置換シリル基を示す。) 一般式(2)で表されるホウ素系触媒は、近赤外線に対
する増感促進剤として機能して上記陽イオン染料の励起
を援助するものであり、ホウ素系アニオンの具体例とし
ては、n−ブチルトリフェニルホウ素イオン、n−オク
チルトリフェニルホウ素イオン、n−ブチルトリアニシ
ルホウ素イオン、ジn−ドデシルジフェニルホウ素イオ
ン、テトラフェニルホウ素イオン、トリフェニルナフチ
ルホウ素イオン、テトラブチルホウ素イオン等が挙げら
れ、その中でもトリフェニルアルキルホウ素イオンが、
入手の容易さ、反応性などの点から特に好ましい。
【0032】また一般式(2)のカチオンZ+ として
は、4級アンモニウム陽イオン、4級ピリジニウム陽イ
オン、4級キノリニウム陽イオン、ホスホニウム陽イオ
ン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム
等の金属陽イオンなどが挙げられ、特に4級アンモニウ
ムイオンが好適である。4級アンモニウムイオンとして
は、4つの置換基がそれぞれ独立して水素原子、アルキ
ル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルケニ
ル基、アルキニル基、複素環基、置換アルキル基、置換
アリール基、置換アリル基、置換アラルキル基、置換ア
ルケニル基又は置換アルキニル基であるようなアンモニ
ウムイオンであり、例えばテトラメチルアンモニウムイ
オン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチル
アンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウムイ
オンが例示される。
【0033】一般式(1)の陽イオン染料及び一般式
(2)のホウ素系触媒の添加量は、それぞれ組成物全体
の0.001重量%以上とすることが望ましい。これよ
り少ないと重合反応速度が低下し、硬化反応速度が低下
して硬化不良となったり、所望の光沢をもつ艶消被膜の
形成が困難となる場合がある。艶消し剤としては、従来
の艶消し塗料に用いられている艶消し剤を用いることが
でき、例えばシリカ粉末、ガラスビーズ、アクリルビー
ズなどが例示される。
【0034】紫外線及び近赤外線は、それぞれ光強度が
500mJ/cm2 以上となるように照射される。光強
度がこれより小さいと、硬化反応速度が低下して硬化不
良となったり、所望の光沢をもつ艶消被膜の形成が困難
となる場合がある。特に望ましくは1000mJ/cm
2 以上である。なお、このような光強度となるように照
射するには、出力が大きな光源を選択する以外に、塗膜
と光源の距離を近づける方法、照射時間を長くする方法
などがある。 〔実施例〕以下、実施例により具体的に説明する。 (重合性組成物の調製)以下の組成で各原料を配合し、
攪拌混合して重合性組成物とした。
【0035】 原料 配合 ウレタンアクリレート 50重量部 多官能アクリレートオリゴマー 50重量部 陽イオン染料 0.5重量%(全体の) ホウ素系触媒 1.0重量%(全体の) 紫外線重合開始剤 3.0重量%(全体の) 光増感促進剤 2重量部 酢酸ブチル(溶剤) 80重量部 なお、ウレタンアクリレートは、テトラヒドロ無水フタ
ル酸が3mol、1,5ペンタンジオールが3mol、
トリメチロールプロパンが1mol、イソホロンジイソ
シアネートが3mol、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ートが3.3molの組成で重合されたウレタンアクリ
レート(「HWR−19」日本ペイント社製)を用い、
多官能アクリレートオリゴマーは、「カヤラッドDPC
A−60」(日本化薬社製)を用いた。
【0036】陽イオン染料としては、前述の表1に示す
番号3の陽イオンと、カウンターイオンとしてのn−ブ
チルトリフェニルホウ素アニオンとからなるものを用い
た。またホウ素系触媒としては、テトラブチルアンモニ
ウムn−ブチルトリフェニルホウ素を用いた。紫外線重
合開始剤としては「ダロキュアー1173」(メルク社
製)を、光増感促進剤としてはヒンダードアミン(「L
S−292」チバガイギー社製)を用いた。 (クリア塗料の調製)上記重合性組成物をそのままクリ
ア塗料として用いた。 (黒色塗料の調製)上記重合性組成物に対して、カーボ
ンブラック(「FPGK100」大日精化社製)をカー
ボンとして3重量部さらに加えて黒色塗料とした。 (メタリック塗料の調製)上記重合性組成物に対して、
箔状アルミ粉末(「7640NS」東洋アルミ社製)を
PWC=13.5%となるように加えてメタリック塗料
とした。 (着色メタリック塗料の調製)上記重合性組成物に対し
て、着色マイカ粉末(「イリオジン9103」メルク社
製)をPWC=10.0%となるように加えて着色メタ
リック塗料とした。 (艶消し剤含有塗料の調製)上記の各塗料に対して、シ
リカ粉末(「ミズカシルP801」水沢化学社製)をそ
れぞれ10重量部さらに添加して、それぞれの艶消し剤
含有塗料を調製した。 (実施例及び比較例)「サーフクリーナSD550」
(日本ペイント社製)で脱脂処理され、カチオン電着塗
料「サーフダインSD5000」(日本ペイント社製)
が膜厚20μmに塗装され、さらにオイルフリーアルキ
ド・メラミン樹脂系中塗り塗料(「オルガP−2」(日
本ペイント社製)が35μmの膜厚に塗装され焼き付け
後水研された中塗り鋼板を用意し、上記の各塗料をスプ
レー塗装した後、80℃で5分間プレヒートし、その後
表3に示す各条件にて紫外線及び近赤外線を照射して塗
膜を硬化させた。固定された照射条件は以下の通りであ
る。
【0037】 紫外線 :高圧水銀ランプ 80W/cm(2KW) 近赤外線 :ハロゲンランプ 300W 得られた塗膜の硬化状態を「JIS−K−5400」に
準拠した鉛筆引っ掻き試験機での測定(鉛筆硬度がF以
上であり、さらにカッターナイフで硬化塗膜を傷つけ塗
膜の内部を目視観察及び手で触れ、べとつき、タックが
全くない状態を完全硬化とする)で判定するとともに、
完全に硬化した塗膜についてはその60°反射率により
光沢値を測定し、結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
【0039】表3より、シリカ粉末を含まない場合は、
どの色調の塗料であっても、先ず500mJ/cm2
上の光強度となるように紫外線を照射し、次いで500
mJ/cm2 以上の光強度となるように近赤外線を照射
することで良好な艶消塗膜が形成されていることがわか
る。またシリカ粉末を含む場合は、どの色調の塗料であ
っても、先ず500mJ/cm2 以上の光強度となるよ
うに近赤外線を照射し、次いで500mJ/cm2以上
の光強度となるように紫外線を照射することで良好な艶
消塗膜が形成されていることがわかる。
【0040】なお、No.1では光沢が92で艶消塗膜
となっていないが、これはクリア塗膜のために紫外線が
内部まで到達し、最初の紫外線照射で内部まである程度
硬化してしまい次の近赤外線照射時に表面層に凹凸が形
成されなかったことによるものである。したがってN
o.2のように紫外線の光強度を小さくすれば、艶消塗
膜を形成することができるものである。
【0041】
【発明の効果】すなわち第1発明の艶消被膜形成方法に
よれば、艶消し剤を用いずに艶消被膜を形成することが
できるので、艶消し剤による塗膜物性の低下が回避され
る。また従来光硬化が困難であった光透過性の低い顔料
などを含有していても、光重合法で容易に艶消被膜を形
成することができる。
【0042】また第2発明の艶消被膜形成方法によれ
ば、従来光硬化が困難であった光透過性の低い顔料など
を含有していても、光重合法で容易に艶消被膜を形成す
ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09D 5/00 PNY 163/10 PDY 175/14 PDZ (72)発明者 杉田 修一 千葉県千葉市緑区大野台1−1−1 昭和 電工株式会社総合研究所内 (72)発明者 鎌田 博稔 千葉県千葉市緑区大野台1−1−1 昭和 電工株式会社総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合性不飽和化合物と、紫外線重合開始
    剤と、一般式(1)で表され近赤外光領域に吸収をもつ
    陽イオン染料と、一般式(2)で表されるホウ素系触媒
    と、を含む液状組成物を被塗物表面に塗布した後、50
    0mJ/cm 2 以上の光強度となる紫外線を照射して表
    面層を硬化させ、次いで500mJ/cm2 以上の光強
    度となる近赤外線を照射することを特徴とする艶消被膜
    形成方法。 一般式(1): D+ ・A- (式中、D+ は近赤外光領域に吸収をもつ陽イオンを示
    し、A- は各種陰イオンを示す。) 一般式(2): 【化1】 (式中、R1 ,R2 及びR3 はそれぞれ独立してアルキ
    ル基、アリール基、アリル基、アラルケル基、アルケニ
    ル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、置換アルキ
    ル基、置換アリール基、置換アリル基、置換アラルキル
    基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、ハロゲン原
    子または置換シリル基を示し、Z+ は4級アンモニウム
    陽イオン、4級ピリジニウム陽イオン、4級キノリニウ
    ム陽イオン、ホスホニウム陽イオンまたは金属陽イオン
    を示す。)
  2. 【請求項2】 重合性不飽和化合物と、紫外線重合開始
    剤と、一般式(1)で表され近赤外光領域に吸収をもつ
    陽イオン染料と、一般式(2)で表されるホウ素系触媒
    と、艶消し剤と、を含む液状組成物を被塗物表面に塗布
    した後、500mJ/cm2 以上の光強度となる近赤外
    線を照射し、次いで500mJ/cm 2 以上の光強度と
    なる紫外線を照射することを特徴とする艶消被膜形成方
    法。 一般式(1): D+ ・A- (式中、D+ は近赤外光領域に吸収をもつ陽イオンを示
    し、A- は各種陰イオンを示す。) 一般式(2): 【化2】 (式中、R1 ,R2 及びR3 はそれぞれ独立してアルキ
    ル基、アリール基、アリル基、アラルケル基、アルケニ
    ル基、アルキニル基、シリル基、複素環基、置換アルキ
    ル基、置換アリール基、置換アリル基、置換アラルキル
    基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、ハロゲン原
    子または置換シリル基を示し、Z+ は4級アンモニウム
    陽イオン、4級ピリジニウム陽イオン、4級キノリニウ
    ム陽イオン、ホスホニウム陽イオンまたは金属陽イオン
    を示す。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008200662A (ja) * 2007-02-23 2008-09-04 Japan Crown Cork Co Ltd 非光沢面を有する塗装金属板及びその製造方法。
JP2010209276A (ja) * 2009-03-12 2010-09-24 Negami Kogyo Kk メタリック塗料組成物

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