JPH08203537A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JPH08203537A
JPH08203537A JP7013937A JP1393795A JPH08203537A JP H08203537 A JPH08203537 A JP H08203537A JP 7013937 A JP7013937 A JP 7013937A JP 1393795 A JP1393795 A JP 1393795A JP H08203537 A JPH08203537 A JP H08203537A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料ガス中に一酸化炭素が含まれても、高い
水素酸化性能をもつ固体高分子型燃料電池を提供する。 【構成】 触媒層1に固体高分子電解質膜2に接して主
に水素を酸化する反応を行う層を有し、ガス拡散層側に
主に一酸化炭素を酸化する層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃料極へのガスとして
水素、またはメタノール、天然ガス及びその他の化石燃
料からの改質水素などの還元剤を用い、空気極へのガス
として空気や酸素の酸化剤を用いる燃料電池に関するも
のであり、特に燃料ガスに含まれる一酸化炭素による電
極特性の低下を防止するものである。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池は常温で作動し、
常圧で1A/cm2以上の高出力が得られるが、燃料ガ
ス中に一酸化炭素が含まれると数十ppmの極少量でさ
え著しく分極性能を低下させる。そこで、米国特許4,
910,099号明細書では、燃料ガス中に数%の空気
または酸素を注入することにより燃料極内の白金触媒上
で一酸化炭素を酸化して炭酸ガスに変える方法が提案さ
れている。また、米国特許5,208,207号明細書
では、燃料極に、白金触媒に代えて白金−パラジウム−
ルテニウムの三元触媒を用いることによって、一酸化炭
素を炭酸ガスに変化させる方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記第
一の特許に記載されているものでは、燃料極に厳密に酸
素を注入するための酸素注入装置が必要となる。また、
その酸素注入装置が何らかの原因により故障し多量に酸
素が注入された場合には、爆発限界を超えて酸素と水素
が反応しその結果電池が爆発するという問題がある。ま
た、第二の特許に記載されているものでは、一酸化炭素
の酸化反応は進むがその代わりに電極内において水素の
酸化反応に用いられる反応面積が減少するため、水素の
酸化反応による電極反応が抑制されて電池特性が低下す
る問題点を有していた。
【0004】本発明はこのような課題を解決するもので
あり、電極内で一酸化炭素を酸化するとともに効率良く
水素の酸化反応を行い、放電特性に優れた固体高分子型
燃料電池を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の固体高分子型燃料電池は、触媒層に固体高
分子電解質膜に接して主に水素の酸化反応を行う層を有
し、ガス拡散層側に主に一酸化炭素を酸化する層を有す
るものである。
【0006】
【作用】以下にその作用を説明する。図1に示した固体
高分子型燃料電池の触媒層1において、図3に示すよう
に水素を酸化する白金触媒のみを担持した触媒層では、
燃料ガスが一酸化炭素を含んでいた場合には、白金は水
素よりも一酸化炭素(CO)の吸着能力が高いために白
金表面はCOに覆われてしまい水素の酸化反応が進まな
くなる。そこで図4のように触媒層にルテニウムなどの
COを酸化する触媒を加えると、白金上に吸着したCO
を、ルテニウムなどの元素に吸着した酸素種(OH
-等)によって二酸化炭素(CO2)まで酸化することが
できる。そして、白金上からCOが酸化除去されると白
金上に水素が吸着可能となり白金上で水素の酸化反応が
効率良く進行する。しかし、図4の構成では白金上から
COが除去されるまで水素の酸化反応が進まない。CO
は継続して白金上に供給されるため白金表面は順次CO
によって被覆されており水素の酸化反応はなかなか進ま
なく、結果的には白金上において水素の酸化反応を行う
べき反応部分が減少していた。
【0007】そこで、本発明では、図2(A)に示した
ように触媒層を主に水素を酸化する触媒層と主にCOを
酸化する触媒層との2層から構成した。この結果、拡散
層側から供給された燃料ガス中に含まれるCOはCOを
酸化する触媒により選択的にCO2に酸化される。つい
で、COを含まない燃料ガスが水素を酸化する触媒層に
供給されるために燃料ガス内の水素の酸化反応が効率よ
く進む。図2(B)の構成は、COを酸化する層を白金
触媒とCOを酸化する触媒の混合とした場合であり、燃
料ガス中のCO濃度が低い場合に有効である。図2
(C)の構成は、水素を酸化する触媒層を白金触媒とC
Oを酸化する触媒の混合とした場合であり、燃料ガス中
のCOの濃度が高く外側の層で酸化しきれなかったCO
を酸化する場合に有効である。図2(D)の構成は、さ
らに触媒層を多層構造としてCOを酸化する触媒の含有
率を、例えば電解質膜側の層が0%、中央の層が50
%、拡散層側の層が100%と徐々に側へ増加させた構
成である。この構成により、燃料ガス中のCO濃度が高
くとも中央および拡散層側の層で取り除くことができ
る。図2(A)〜(D)の構成はそれぞれCOの酸化能
力が異なるので燃料ガス内のCO濃度によって選択すれ
ば良い。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照にしなが
ら説明する。
【0009】(実施例1)白金−ルテニウム(Pt−R
u)触媒は次のように調製した。まず、塩化白金酸1g
の水溶液300mlに、還元剤として亜硫酸ナトリウム
10g、コロイド凝集防止剤として過酸化水素150m
lを添加し、白金酸化物のコロイドを作り、ついでこの
コロイド溶液に塩化ルテニウムの水溶液100mlを白
金とルテニウムの原子比が1:1になるように加えた。
これによって生成したPt−Ruコロイドと、比表面積
835m2/gのアセチレンブラックの分散液とを混合
してアセチレンブラックにPt−Ruコロイドを吸着さ
せた。これを濾過、洗浄、乾燥、粉砕してPt−Ru触
媒を担持した炭素微粉末触媒を得た。
【0010】白金(Pt)触媒は上記白金酸化物コロイ
ドに市販のアセチレンブラック(電気化学工業製)の分
散液を混合して、これを濾過、洗浄、乾燥、粉砕してP
t触媒を担持した炭素微粉末触媒を得た。
【0011】電極と膜の接合体は下記のように作製し
た。固体高分子電解質のアルコール溶液としてアルドリ
ッチ・ケミカル社製の5%Nafion溶液を固体高分
子電解質量が0.1〜1.4mg/cm2となるようn
−酢酸ブチル40mlと混合・攪拌して高分子電解質の
コロイド状分散液を生成した。このコロイド状分散液に
Pt−Ru触媒を10〜30重量%担持させた炭素粉末
を白金量が0.25mg/cm2となるよう添加し、固
体高分子電解質を触媒を担持した炭素粉末の表面に吸着
させた。この分散液を超音波分散器を用いてペースト状
とした。このペーストをあらかじめ20〜60重量%の
フッ素樹脂を添加した(株)東レ製のカーボンペーパー
(拡散層)上に塗着した。ついで、白金触媒を用いて同
様に作製したペーストを、上記のPt−Ru触媒層の上
に塗着し、図2(A)に示すような燃料極Aを作製し
た。また、空気極として、白金触媒のみを用いた電極を
作製した。この燃料極Aと空気極とをデュポン社製の固
体高分子電解質膜Nafion115の両面に120〜
200℃、5〜100kg/cm2でホットプレスし、
電池A’を作製した。電極の触媒層の面積は100cm
2とした。
【0012】(実施例2)(実施例1)の燃料極のPt
−Ru触媒を、白金とPt−Ruの混合触媒に変えた他
は(実施例1)と全く同様とし、図2(B)に示すよう
な燃料極B及び電池B’を作製した。白金とPt−Ru
の重量比は1:1とした。
【0013】(実施例3)(実施例1)の燃料極の白金
触媒を、白金とPt−Ruの混合触媒に変えた他は(実
施例1)と全く同様とし、図2(C)に示すような燃料
極C及び電池C’を作製した。白金とPt−Ruは重量
比で1:1とした。
【0014】(実施例4)(実施例3)の燃料極の白金
とPt−Ruとの混合触媒からなる触媒層の上に、さら
に白金触媒のみのペーストを塗着して作製した他は(実
施例1)と全く同様とし、図2(D)に示すような燃料
極D及び電池D’を作製した。
【0015】(比較例1)(実施例1)の燃料極を白金
触媒のみで作製した他は(実施例1)と全く同様とし、
燃料極X及び電池X’を作製した。
【0016】(比較例2)(実施例1)の燃料極をPt
−Ru層1層のみで作製した他は(実施例1)と全く同
様とし、燃料極Y及び電池Y’を作製した。
【0017】次いで、電池A’、B’、C’、D’及び
X’、Y’を用い、燃料極に60℃で加湿した水素75
%、二酸化炭素25%と200ppmのCOを混合した
燃料ガスを供給し、空気極に燃料極同様に60℃で加湿
した空気をそれぞれ供給し、電池温度を50℃として放
電試験を行った。
【0018】図5に電池A’、B’、C’、D’及び
X’、Y’の分極特性を示す。電池電圧0.6Vにおけ
る電流密度で比較すると電池A’B’、C’、D’はそ
れぞれ500,435,690,930mA/cm2
あり、電池X’の120mA/cm2や電池Y’の29
5mA/cm2と比べていずれも特性が向上した。
【0019】電池B’は電池A’と比較して特性がやや
低い結果となったが、本実施例で用いた燃料ガスのCO
濃度が高いためにCOを酸化しきれずに白金触媒の被毒
が生じた結果と考えられる。従って、燃料ガス中のCO
濃度が実施例より低い場合にはA’とB’の差はさらに
小さくなり、COの濃度が十分に小さければB’の構成
で十分といえる。
【0020】電池C’が電池A’よりさらに特性が向上
したことは、実施例の燃料ガス中のCO濃度200pp
mの条件では外側の層で酸化しきれないCOが内側の層
のPt−Ru触媒によって酸化されたことによる。
【0021】電池D’が最も高い特性を示したのは外側
の第2層、第3層で全てのCOを酸化し、第1層の白金
触媒の全てが水素の酸化反応に用いられたためと考えら
れる。
【0022】本実施例ではCOを酸化する触媒としてP
t−Ru触媒を用いたが、他に錫、パラジウム、ニッケ
ル、銅、コバルト、マンガン、亜鉛、鉄、イリジウム、
オスミウム、ロジウムから選ばれる元素と白金とを用い
た多元系触媒でも有効である。
【0023】また、3層以上の構成でもよく、Pt−R
u触媒の比率についても本実施例に限定されるものでは
ない。
【0024】また、実施例の燃料ガスとして水素75
%、二酸化炭素25%と200ppmのCOを混合した
ガスを供給したが本発明は実施例の結果に限定されるも
のではなく、様々な組成の燃料ガスに合わせて触媒層の
構成を変化できるものである。ただし、多層化すると製
造工程が複雑になりコスト増加となること、また、電極
の厚みが増加し内部抵抗が増大して抵抗分極が増大する
こと等のデメリットも生じるため総合的に最も効果が得
られる構成にすべきである。
【0025】なお、有機溶媒としてn−酢酸ブチルを用
いたが、固体高分子電解質のコロイド状分散液を生じさ
せる溶媒であれば、本実施例に限定されるものではな
い。
【0026】また、上記有機溶媒の添加量はより微細な
コロイド状分散液が生成する量が選択されることが望ま
しいが、本発明の実施例はその代表値を記載したもので
ある。
【0027】さらに、上記実施例として固体高分子電解
質及び膜として、テトラフルオロエチレンとパーフルオ
ロビニルエーテルとの共重合体からなる高分子の代表例
として、米国アルドリッチケミカル社製の5%Nafi
on溶液とNafion115膜をそれぞれ用いたが、
プロトン交換基を持つ高分子電解質であれば本実施例に
限定されるものではなく、分子構造のことなる高分子も
同様の効果が得られた。例えばパーフルオロビニルエー
テル類及び側鎖分子長の異なる高分子やスチレンとビニ
ルベンゼンとの共重合体からなる高分子を用いても良
い。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明の燃料電池に用いる
触媒層は、主に水素を酸化する触媒層と主に一酸化炭素
(CO)を酸化する触媒層とを分離して配置する構成と
し、拡散層側から供給された燃料ガス中のCOは前記C
Oを酸化する触媒層により選択的にCO2に酸化され、
水素を酸化する層にはCOを含まない燃料ガスすなわち
水素ガスが供給されるため水素の酸化反応が効率良く進
む。従ってCOを含有する燃料ガスを用いても優れた放
電特性を発揮する固体高分子型燃料電池用電極を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子燃料電池の単電池の断面を示す概略
【図2】(A) 本発明の触媒層の断面を示す概略図 (B) 本発明の他の例の触媒層の断面を示す概略図 (C) 本発明の他の例の触媒層の断面を示す概略図 (D) 本発明の他の例の触媒層の断面を示す概略図
【図3】比較の触媒層の断面を示す概略図
【図4】一酸化炭素を酸化する触媒を加えた触媒層の断
面を示す概略図
【図5】燃料電池の電圧と放電電流密度の関係を示す図
【符号の説明】
1 触媒層 2 膜 3 拡散層 4 炭素微粉末 5 白金 6 COを酸化する触媒 11 第1層 12 第2層 13 第3層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体高分子電解質膜の両面に燃料極と空
    気極を備えた固体高分子型燃料電池であって、前記燃料
    極は固体高分子電解質膜側に複数層からなる触媒層を有
    し、この触媒層の片面にガス拡散層を備えたものであっ
    て、前記触媒層は固体高分子電解質膜に接して主に水素
    の酸化反応を行う層を有し、ガス拡散層側に主に一酸化
    炭素を酸化する層を有する固体高分子型燃料電池。
  2. 【請求項2】 触媒層は固体高分子電解質側よりガス拡
    散層側の層に、一酸化炭素を酸化する触媒を多く含有す
    る請求項1記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 【請求項3】 水素の酸化反応を行う層は白金担持触媒
    からなる請求項1記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 【請求項4】 一酸化炭素を酸化する触媒は、ルテニウ
    ム,錫,オスミウム,ロジウム,パラジウム,ニッケ
    ル,銅,コバルト,マンガン,亜鉛,イリジウム,鉄か
    らなる群より選ばれた少なくとも1種以上の元素と、白
    金とからなる多元系の触媒である請求項1記載の固体高
    分子型燃料電池。
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