JPH0820269A - チャイルドシート付き車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シートベルトを備えたチャイルドシートにお
いて、そのチャイルドシートが不用意に倒伏してしまう
ことを防止する。 【構成】 シートバック１２におけるチャイルドシート
１４との対向面と両サイドパッド部１２ａとの間に袋状
に形成されたタングプレート収納室３５を設け、シート
バック側ベルト３０に連結されているタングプレート３
１を収納すると共に、この対向面下端部には凹部を形成
してバックル収納室３４とし、チャイルドシート側ベル
ト３２に連結されているバックル３３を収納する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、チャイルドシートが一
体に組み込まれたチャイルドシート付き車両用シートに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のチャイルドシート付き車
両用シートとして、図９に示す実開昭６２−６０４３７
号公報に開示されたものが知られている。同図におい
て、シートバック１はシートクッション２の後端部に立
ち上がり状に支持されており、その上部にはヘッドレス
ト３が設けられている。このシートバック１の左右両側
部は前方に隆起してサイドパッド部４となり、着座者の
左右方向の揺れを防止している。さらに、このものはシ
ートバック１のうちサイドパッド部４間の背凭れ部分を
チャイルドシート５としたものであり、このチャイルド
シート５はサイドパッド部４間に圧入されてシートバッ
ク１に重合する格納位置と、前方に倒伏してほぼ水平と
なる着座位置との間で起伏回動可能に支持されている。
また、チャイルドシート５はシートバック１の左右両側
部であって各サイドパッド部４の内側から延出された吊
下げ部材６によって連結され、着座位置においてチャイ
ルドシート５は吊り下げ状態で保持されるようになって
いる。

【０００３】一方、シートバック１の前面部（チャイル
ドシート５との重合面部）には、幼児用のシートベルト
７が設けられており、その先端部には連結具であるタン
グプレート８が連結されている。また、着座位置におけ
るチャイルドシート５の上面には凹部５ａが形成されて
おり、ここには上記タングプレート８を着脱可能とする
バックル９が起伏可能に取り付けられている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、チャイルド
シートを使用しないときには、バックルは凹部内に収納
されるが、タングプレートはバックルから切り離される
と、これの収納場所がないため、シートベルトからぶら
下がったままの状態となる。従って、チャイルドシート
が格納位置へ操作されると、タングプレートはシートバ
ックとチャイルドシートとの間に挟み込まれる。

【０００５】しかし、堅いタングプレートを挟み込んで
格納するのでは、シートバックに凭れ掛かった時に背中
に異物感を覚えるため、座り心地が悪い。また、薄肉で
あるとは言え、このような異物を挟んだままでは、チャ
イルドシートは浮き上がり気味にしか格納できず、納ま
り具合がよくない。このため、格納位置ではロック手段
がない場合には走行時の振動等によってチャイルドシー
トが倒れてくることも懸念される。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、シートベルトを備えたチャイルドシー
トが格納位置と着座位置との間で起伏操作可能とされる
ものにおいて、不用意にチャイルドシートが倒伏してし
まうことのないチャイルドシート付き車両用シートを提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のチャイルドシート付き車両用シートは、車
両用シートにおけるシートバックの一部にチャイルドシ
ートが組み込まれ、このチャイルドシートはシートバッ
ク内へ格納される格納位置と、車両用シートのシートク
ッション側へ倒伏した着座位置との間で起伏操作可能と
されるものであって、シートバック及びチャイルドシー
トには相互に連結可能な連結具を備えたシートベルトが
設けられると共に、シートバック及びチャイルドシート
の少なくともいずれか一方には各シートベルトの連結具
を収納する収納室が凹み形成されていることに特徴を有
する（請求項１の発明）。

【０００８】また、シートバックに設けられたシートベ
ルトの連結具を収納する収納室はシートバックにおける
サイドパッドの基部に設けられると共に、チャイルドシ
ートに設けられたシートベルトの連結具を収納する収納
室はシートバックにおけるチャイルドシートの対向面の
下端部に設けられていてもよい（請求項２の発明）。

【０００９】

【作用】請求項１の発明によれば、着座位置に倒伏され
たチャイルドシートを格納位置に格納するには、まずシ
ートベルトの連結具を収納室に収納する。この際、収納
室へはシートバック側及びチャイルドシート側のいずれ
の側の連結具も収納されるため、チャイルドシートとシ
ートバックとは隙間なく密着される。

【００１０】請求項２の発明によれば、幼児を着座させ
るには、まずチャイルドシートを格納位置から引き出し
て着座位置に倒伏させる。そして、そのチャイルドシー
トに幼児を着座させ、シートバック側のシートベルトと
チャイルドシート側のシートベルトとを連結具によって
連結させればよいのであるが、シートバック側のシート
ベルトの連結具に対する収納室はサイドパッドの基部に
配置されているため、幼児を着座させてシートバック側
に背を凭せ掛けた状態であっても、収納室が幼児の背後
に隠れてしまうことがなく、そのまま連結具を引き出し
てチャイルドシート側の連結具と連結操作させることが
できる。

【００１１】

【発明の効果】本発明のチャイルドシート付き車両用シ
ートによれば、チャイルドシート側及びシートバック側
のいずれの連結具に対してもこれらを収納する収納室を
凹み形成することによりチャイルドシートをシートバッ
クに対して完全に閉じることができるので、背凭れ時の
異物感もなく、また格納時においてチャイルドシートが
車両の振動等によって不用意に倒伏してしまうことも防
止できる。

【００１２】請求項２の発明によれば、シートバック側
の連結具に対する収納室が着座者の背後に隠れない位置
に設定されているため、着座状態であっても収納室から
の引き出し操作を容易に行うことができる。また、この
ように収納室を配置することにより、シートバック側の
連結具を収納室に収納したままで背を凭せ掛けても連結
具が背中に当たることがない。具体的には、チャイルド
シートを幼児よりは体格の大きな、例えば低学年の小学
生が使用する場合には、チャイルドシート用のシートベ
ルトは使用せず、大人用のシートベルトを使用すること
になるが、このような場合に請求項２の発明のような配
置にすれば背凭れの感覚を損ねることはない。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例について図１乃至図
８を参照して説明する。本実施例のチャイルドシート付
き車両用シートは、図６に示すようにシートクッション
１１の後端部にシートバック１２が立ち上がり状に支持
されており、そのシートバック１２の上方部にはヘッド
レスト１３が支持されている。また、シートバック１２
の左右両側部は前方に隆起してサイドパッド部１２ａと
なっており、着座者の左右方向の揺れを押さえることが
できるようになっている。さらに、シートバック１２の
うちサイドパッド間１２ａの背凭れ部分がシートバック
１２から区別分離されてチャイルドシート１４となって
いる。

【００１４】さて、シートバック１２は、図３に示すよ
うにシートバックフレーム１５を備えており、その左右
両側部間にはＳ字状のバネ１６が４本掛け渡されてい
る。また、シートバックフレーム１５の上部には、所定
の距離を隔ててガイド筒１７が２個立設されており、共
にヘッドレスト１３を支持する支持スティ１８が嵌合し
ている。さらに、シートバックフレーム１５の内側には
後述するチャイルドシートフレーム２７が配されてお
り、このチャイルドシートフレーム２７部分を除きシー
トバックフレーム１５には図１に示すようにその前方か
らクッションパッド１９が覆い被さると共に、そのクッ
ションパッド１９を包み込むようにシート表皮２０が設
けられている。

【００１５】一方、図２及び図３に示すようにシートバ
ックフレーム１５の下部には、チャイルドシート支持機
構２１が設けられている。即ち、シートバックフレーム
１５の両下端部内側には一対の支持プレート２２が配さ
れており、それぞれは上端部で固定ネジ２３によってシ
ートバックフレーム１５に締め込まれることによって固
定されている。また、各支持プレート２２の下端部に
は、対向する位置に支持孔２２ａが形成されており、そ
の各支持孔２２ａにはチャイルドシートフレーム２７の
下端に架設された支持フレーム２４の両端部がそれぞれ
回動可能に差し込まれ、Ｃリング２５により抜け止めが
なされている。

【００１６】さらに、支持フレーム２４の両端部であっ
て、両支持プレート２２の内方には連結レバー２６がそ
れぞれ嵌着されている。両連結レバー２６の先端部の外
側面にはピン２６ａが突設している。一方、支持プレー
ト２２には、円弧状の係合溝２２ｂが形成されており、
この係合溝２２ｂに連結レバー２６のピン２６ａが係合
し、チャイルドシート１４の回動操作に伴い係合溝２２
ｂに沿って変位可能である。

【００１７】また、チャイルドシートフレーム２７に
は、シートバック１２側の対向面にプレート３９が設け
られると共に、プレート３９を覆うように一体発泡によ
りクッションパッド２８が設けられている。そして、こ
のクッションパッド２８をシート表皮２９によって包み
込むことによってチャイルドシート１４が構成される。
かくして、そのチャイルドシート１４はシートバック１
２の前面部に重なり合う格納位置とシートクッション１
１上に倒伏する着座位置との間で回動可能とされる。

【００１８】ところで、図７等に示すように、チャイル
ドシート１４のシートベルトは２本のシートバック側ベ
ルト３０と、１本のチャイルドシート側ベルト３２とか
らなっている。シートバック側ベルト３０はシートバッ
ク１２の前面上部の二箇所から引き出され、それぞれ途
中にシートバック１２側の連結具であるタングプレート
３１を中継した後左右に分かれ、チャイルドシート１４
における上面の基部側（回動中心側）の両側部にそれぞ
れ連結されている。一方、チャイルドシート側ベルト３
２はチャイルドシート１４の上面中央部から引き出さ
れ、その先端に上記した両タングプレート３１を解離可
能に連結するバックル３３が取り付けられている。

【００１９】さらに、図１に示すように、シートバック
１２におけるチャイルドシート１４との対向面下端部に
は両サイドパッド部１２ａ間に渡って凹部が形成され、
上記バックル３３を収納することができるバックル収納
室３４となっている。バックル収納室３４はシートバッ
ク１２の他の面とは別のシート表皮３８によって形成さ
れると共に、吊り綿布３６によって奥側へ引っ張り込む
ようにして縫い付けられている。なお、この例ではバッ
クル収納室３４の奥行き寸法はバックル３３の厚みとほ
ぼ等しい寸法かやや大きめに設定されているが、バック
ル収納室３４が形成されている高さ位置は着座者の腰部
をサポートしない位置であるため、収納時に多少突出す
るような寸法設定であっても、異物感を感じさせる等の
問題は特に生じない。

【００２０】また、図５に示すようにシートバック１２
におけるチャイルドシート１４との対向面（背凭れ面）
と、両サイドパッド部１２ａとの間には袋状の凹部が形
成されており、上記両タングプレート３１をそれぞれ収
納することができるタングプレート収納室３５となって
いる。詳しくは図示されないが、シートバック１２の背
凭れ面と両サイドパッド部１２ａとはその境界部分、こ
のうちでも室内に面する側の部分が高さ方向に沿って縫
着されるが、タングプレート収納室３５が形成される部
分だけは図５に示すように、背凭れ面を形成するシート
表皮２０の両端がサイドパッド部１２ａ側と縫着されて
吊り綿布３６によって奥側へ引っ張り込まれている。こ
れにより、背凭れ面と両サイドパッド部１２ａとの間に
は所定高さ位置（着座者のほぼわき腹の高さ位置）にポ
ケットが形成されることにより、これがタングプレート
収納室３５となる。

【００２１】次に、本実施例の作用について説明する。
幼児を着座させるには、まず格納位置に格納されている
チャイルドシート１４を引き出して、シートクッション
１１上に倒伏させて着座位置とする。そして、チャイル
ドシート１４に連結されたチャイルドシート側ベルト３
２を両足で挟み込むようにして幼児をチャイルドシート
１４に着座させる。さらに、幼児の肩にシートバック側
ベルト３０を掛けると共に左右両方向からシートバック
側ベルト３０を幼児の腰に巻くようにして各タングプレ
ート３１をバックル３３に嵌着させれば、幼児はチャイ
ルドシート１４上に拘束可能な状態となる（図７状
態）。

【００２２】また、幼児より少し体格の大きな、例えば
低学年の小学生が着座するには、まず上記同様格納位置
からチャイルドシート１４を引き出し、着座位置に倒伏
させる。そして、チャイルドシート１４上に着座すれば
よいのであるが、この状態のままであればシートバック
１２側に背を凭せ掛けたときに幼児用のシートバック側
ベルト３０のタングプレート３１が邪魔であり、同様に
チャイルドシート１４側に設けられたチャイルドシート
側ベルト３２のバックル３３も邪魔物となる。そこで、
バックル３３はバックル収納室３４内に収納し、両タン
グプレート３１は対応するタングプレート収納室３５内
に収納する。これにより、シートバック１２の前面の障
害物（タングプレート３１）が解消されて背凭れ面が開
放されるので、小学生はシートバック１２に凭れ掛かる
ことができる。かくして、図８に示すように車体に連結
されている大人用のシートベルト３７を掛ければ、小学
生はチャイルドシート１４上に拘束される。

【００２３】なお、着座する場合において、チャイルド
シート１４を格納位置から着座位置に倒伏させる時、連
結レバー２６のピン２６ａは係合溝２２ｂに係合しなが
ら支持プレート２２の後端部下部（図４の二点鎖線によ
って示される位置）から前端部上部（図４の実線によっ
て示される位置）に移動する。しかし、チャイルドシー
ト１４がシートクッション１１に当たってこれ以上の回
動が一旦規制された状態にあるとき、ピン２６ａは、係
合溝２２ｂの前端縁に当接することはなく、その僅かな
手前に位置する。このことにより、着座位置においてチ
ャイルドシート１４に僅かに上下方向に回動できる余裕
が与えられ、つまりチャイルドシート１４に僅かなクッ
ション性が与えられることになり、シートクッション１
１の弾力を有効に利用して座り心地がよくなっている。

【００２４】次いで、大人が着座するには、バックル３
３をバックル収納室３４内に収納し、タングプレート３
１をタングプレート収納室３５内にそれぞれ収納する。
そして、チャイルドシート１４を起立させながらシート
バック１２のサイドパッド部１２ａ間に押し込む。この
時、タングプレート３１及びバックル３３がそれぞれタ
ングプレート収納室３５及びバックル収容室３４に収納
されているため、チャイルドシート１４はシートバック
１２の前面に密着されることとなる（図６参照）。ま
た、連結レバー２６のピン２６ａは支持プレート２２の
前端部上部から後端部下部に移動することとなるが、や
はりこの場合も係合溝２２ｂの後端縁に当接することは
なく僅かに手前に位置する。これは、格納位置において
チャイルドシート１４に僅かに前後方向に回動できる余
裕を与え、シートバック１２の弾力を有効に利用して座
り心地をよくするためである。

【００２５】このように上記構成によれば、タングプレ
ート３１及びバックル３３を収納するタングプレート収
納室３５及びバックル収納室３４を凹み形成することに
より、格納位置においてチャイルドシート１４とシート
バック１２とが密着される。従って、チャイルドシート
１４がシートバック１２に対して完全に閉じられ、半開
き状態とならないため、格納時にチャイルドシート１４
が車両の振動等によって不用意に倒伏してしまうことを
防止できる。

【００２６】さらに、タングプレート収納室３５を各サ
イドパッド部１２ａの基部に、バックル収納室３４をチ
ャイルドシート１４との対向面下端部に凹み形成するこ
とにより、タングプレート３１及びバックル３３収納時
にシートバック１２の背凭れ面が開放されるので、これ
を利用して幼児より少し体格の大きな、例えば低学年の
小学生等もチャイルドシート１４を使用することができ
る。また、タングプレート収納室３５をシートバック１
２の背凭れ面とサイドパッド部１２ａとの間に設けるこ
とにより、着座者の背後に隠れない位置に設定されるこ
ととなるため、着座状態であってもタングプレート収納
室３５からタングプレート３１の引き出し操作を容易に
行うことができる。

【００２７】なお、本発明は上記各実施例に限定される
ものではなく、例えば次のような変形も可能である。 （１） 上記各実施例ではタングプレート収納室３５は
各サイドパッド部１２ａの基部に、バックル収納室３４
はシートバック１２のうちチャイルドシート１４との対
向面下端部にそれぞれ凹み形成されていたが、請求項１
記載の発明についてはそのような位置に限定されること
はなく、例えばチャイルドシートやシートバックにおけ
るチャイルドシートとの対向面上部等に形成されていて
もよい。

【００２８】（２） 上記実施例は、シートバック側ベ
ルト３０にタングプレート３１が設けられ、チャイルド
シート側ベルト３２にバックル３３が設けられていた
が、逆にシートバック側ベルトにバックルを設け、チャ
イルドシート側ベルトにタングプレートを設けてもよ
い。その他、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限
定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で種々
変更して実施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本実施例の全体を示す縦断面図

【図２】 チャイルドシートを示す一部破断斜視図

【図３】 シートバックの骨格を示す正面図

【図４】 チャイルドシート支持機構を示す縦断面図

【図５】 タングプレート収納室を示す横断面図

【図６】 大人使用状態を示す全体の外観図

【図７】 幼児使用状態を示す全体の外観図

【図８】 小学生使用状態を示す全体の外観図

【図９】 従来のチャイルドシート付き車両用シートを
示す斜視図

【符号の説明】

１１…シートクッション １２…シートバック １２ａ…サイドパッド部 １４…チャイルドシート ３０…シートバック側ベルト ３１…タングプレート（連結具） ３２…チャイルドシート側ベルト ３３…バックル（連結具） ３４…バックル収納室 ３５…タングプレート収納室

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両用シートにおけるシートバックの一
   部にチャイルドシートが組み込まれ、このチャイルドシ
   ートはシートバック内へ格納される格納位置と、車両用
   シートのシートクッション側へ倒伏した着座位置との間
   で起伏操作可能とされたチャイルドシート付き車両用シ
   ートであって、 前記シートバック及び前記チャイルドシートには相互に
   連結可能な連結具を備えたシートベルトが設けられると
   共に、前記シートバック及び前記チャイルドシートの少
   なくともいずれか一方には前記各シートベルトの連結具
   を収納する収納室が凹み形成されていることを特徴とす
   るチャイルドシート付き車両用シート。
2. 【請求項２】 前記シートバックに設けられたシートベ
   ルトの連結具を収納する収納室はシートバックにおける
   サイドパッドの基部に設けられると共に、前記チャイル
   ドシートに設けられたシートベルトの連結具を収納する
   収納室はシートバックにおけるチャイルドシートの対向
   面の下端部に設けられていることを特徴とする請求項１
   記載のチャイルドシート付き車両用シート。