JPH08201601A - 反射防止膜の製造方法 - Google Patents

反射防止膜の製造方法

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JPH08201601A
JPH08201601A JP7008720A JP872095A JPH08201601A JP H08201601 A JPH08201601 A JP H08201601A JP 7008720 A JP7008720 A JP 7008720A JP 872095 A JP872095 A JP 872095A JP H08201601 A JPH08201601 A JP H08201601A
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JP
Japan
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film
refractive index
antireflection
antireflection film
thin film
Prior art date
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Withdrawn
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JP7008720A
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English (en)
Inventor
Takeshi Kawamata
健 川俣
Nobuaki Mitamura
宣明 三田村
Hiroshi Ikeda
浩 池田
Nobuyoshi Toyohara
延好 豊原
Toshiaki Oimizu
利明 生水
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 広い波長領域で反射防止効果を有する反射防
止膜を簡単な工程で形成する。 【構成】 無機弗化物をターゲット材料とし、成膜開始
時に少なくとも酸素を含むガスを導入しながらスパッタ
リングを行うと共に、成膜開始時に対して成膜終了時に
おけるターゲットへの投入電力が大きくなるように制御
する。投入電力を変化させることで屈折率の異なる薄膜
を形成できるため、広い波長領域で反射防止効果を有す
る。投入電力の制御だけのため、工程が簡単となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は反射防止膜の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】広い波長域で反射防止効果を有した反射
防止膜を製造する場合、真空蒸着法により多層膜を形成
することにより行っている。一方、適当な屈折率勾配を
有する薄膜を形成することにより、より広い波長域で容
易に反射防止効果が得られることが理論的に証明されて
いるが、実用となる物質の屈折率は限られており、その
実現は困難であった。
【0003】そこで、特公平5−52923号公報に
は、非水溶性物質と水溶性物質とを混合したものを蒸着
した後、水溶性物質を溶解させて多孔性薄膜を製造する
ことが記載されている。これにより屈折率勾配を有した
薄膜とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが上述した方法
は薄膜を形成した後に水溶性物質を溶解する工程が必要
になり、工程数が増え、簡単に製造することができな
い。またこの方法で形成された薄膜は多孔性であるた
め、大気中に放置した場合、その空孔に水分が吸着し易
い。空孔に何も存在しない場合、その屈折率は空気と同
一の1であるが、水分が侵入すると、その屈折率は水と
同一の1.33になる。このため多孔性薄膜全体として
の屈折率が環境により変化し、これにより光学特性も変
化するという光学薄膜としては致命的な欠点があった。
【0005】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
であり、適当な屈折率勾配を有する薄膜を形成すること
で広い波長域で反射防止効果を有する反射防止膜を成膜
するのに際して、過酷な環境試験でも光学特性の変化の
ない反射防止膜とすることができると共に、簡単な工程
で形成することができる方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は無機弗
化物をターゲット材料とし、成膜開始時に少なくとも酸
素を含むガスを導入しながらスパッタリングを行うと共
に、成膜開始時に対して成膜終了時におけるターゲット
への投入電力が大きくなるように制御するものである。
【0007】無機弗化物をターゲットとし、酸素を含む
ガスを導入しながらスパッタリングを行うと、その投入
電力に応じて、屈折率も変化する。投入電力が小さい場
合、膜形成速度が遅くなるため、膜中に十分な酸素が含
まれることになり、しかもフッ素よりも酸素のほうが結
合し易いことから、屈折率の高い無機酸化物膜が形成さ
れる。一方、投入電力が大きい場合、膜形成速度が速く
なるため、膜中に酸素がほとんど含まれず、ターゲット
材料とほぼ同一組成の屈折率の低い無機弗化物膜が形成
される。投入電力がこれらの中間の場合、酸化物と弗化
物の中間の屈折率を有する薄膜を形成することができ
る。したがって、成膜初期には酸素を含むガスを投入し
ながら投入電力を比較的小さくしてスパッタリングする
ことで高屈折率層を形成し、その後、同じターゲット材
料を使用して投入電力を大きくすることで低屈折率層を
形成することができる。このことを利用して、投入電力
を徐々に大きくしていくことで屈折率勾配のある層を容
易に形成できる。このようにして形成した膜は多孔性薄
膜ではないため、従来方法のように環境により光学特性
が変化することはない。なお、低屈折率の薄膜を形成す
る場合には前述したように導入ガスとして酸素を含む必
要はなく、また成膜プロセスの途中でガスの種類や分圧
を変えても構わない。
【0008】無機弗化物は一般的に屈折率が低いが、そ
の中でも屈折率が低く耐久性の優れたMgF2 、CaF
2 、SrF2 、AlF3 、GaF3 、InF3 あるいは
これらを含む混合物を用いることにより、反射防止特性
に優れた薄膜とすることができる。混合物を用いる場合
は、その混合比により任意の屈折率を有した薄膜を形成
できる。
【0009】ターゲットとしては顆粒状原料を用いるこ
とが良好である。成膜速度が速い場合に光吸収の少ない
膜を容易に得ることができるからである。この顆粒の大
きさとしては、あまり小さすぎるとチャンバー内で舞い
上がりパーティクルとなるため、0.1mm以上の粒径
が好ましく、また、大きすぎると光吸収が発生し易くな
るため、10mm以下の粒径が好ましい。
【0010】
【実施例1】図1は本実施例で用いる成膜装置を示す。
1は真空槽であり、この真空槽1の上方には基板2が回
転自在に配置されている。3は膜原料となるターゲット
であり、粒径が3〜5mmのMgF2 顆粒3が使用され
ている。このターゲット3は、石英製の皿4に入れられ
て直径4インチ(約100mm)のマグネトロンカソー
ド5上に載置されている。カソード5はスパッタリング
用高周波(RF)電源6と接続されている。また、皿4
の上方には開閉自在のシャッター8が配置されている。
真空槽1の側面にはガス導入口7及び9が設けられてい
る。
【0011】この成膜装置において、基板2として屈折
率1.62のF系の光学ガラスを用い、この基板2を2
00℃に加熱しながら、1×10-4Paの真空度まで真
空槽1内を排気する。その後、O2 ガスをガス導入口9
から5×10-1Paの真空度まで導入する。そしてRF
電源6から250Wの電力をマグネトロンカソード5に
供給して、MgF2 顆粒3をスパッタリングする。この
段階で、基板2を自転させ、シャッター8を開放して、
基板2上に薄膜を形成する。この成膜条件で形成される
薄膜の屈折率は1.55であった。その後、時間ととも
に投入電力を変化させ、最終的に650Wまで上昇させ
た。この成膜条件で形成される薄膜の屈折率は1.38
であった。
【0012】図2は以上のようにして形成された反射防
止膜の分光反射率を示す。波長300〜1000nmの
広い波長領域の全てで反射率が3%以下であり、波長依
存性の少ない極めて良好な特性となっている。本実施例
の反射防止膜を湿度90%、温度40°Cの高湿下に1
00時間放置したが、分光反射率の変化はほとんどなく
問題ないレベルであった。
【0013】この本実施例によれば、広い波長域で使用
できる反射防止膜をただ1つのターゲットを用いて容易
に形成することができる。なお、本実施例のMgF2
代えて、CaF2 及びSrF2 をターゲットとして反射
防止膜を形成したところ、同様の結果を得ることができ
た。
【0014】
【実施例2】この実施例では実施例1と同じ装置を用い
て成膜した。ターゲット3としては粒径5〜10mmの
GaF3 顆粒を用いた。まず屈折率1.5のFK系の光
学ガラスからなる基板2をセットし、基板2を加熱せ
ず、5×10-4Paの真空度まで真空槽1内を排気す
る。その後、Arガスをガス導入口7から2Paまで、
CO2 ガスをガス導入口9から2×10-1Paまで導入
する。RF電源6から300Wの電力をマグネトロンカ
ソード5に供給するとき、基板2上に形成される薄膜の
屈折率は1.55であった。その後、時間とともに投入
電力を変化させ、最終的に500Wまで上昇させた。こ
の成膜条件で形成される薄膜の屈折率は1.41であっ
た。
【0015】図3は以上のようにして形成した反射防止
膜の分光反射率を示す。波長300〜500nmの紫外
領域から可視領域にかけて反射率が2.5%以下であ
り、波長依存の少ない極めて良好な特性の反射防止膜が
得られた。本実施例の反射防止膜を湿度80%、温度7
0°Cの高温高湿下に50時間放置したが、分光反射率
の変化はほとんどなく問題ないレベルであった。
【0016】次にGaF3 に代えて、AlF3 、InF
3 との混合物をターゲットとして反射防止膜を形成した
ところ同様の効果が得られた。
【0017】
【実施例3】本発明では狭帯域の反射防止膜を作製する
こともできる。本実施例ではレーザー用(波長633n
m)の反射防止膜の作成を示す。実施例1と同一の装置
を用い、いずれも粒径0.1〜3mmのAlF3 とSi
2 を4:1に混合したものをターゲット3として用い
た。まず屈折率1.58のポリカーボネート系のプラス
チックからなる基板2をセットし、1×10-4Paの真
空度まで真空槽1内を排気する。その後、Arガスをガ
ス導入口7から5×10-1Pa、O2 ガスをガス導入口
9から5×10-1Paまで導入する。RF電源6から2
00Wの電力をマグネトロンカソード5に供給してター
ゲット3をスパッタリングする。ここで、基板2を自転
させると共に、シャッター8を開放して、基板2上に膜
を形成する。この成膜条件で形成される薄膜の屈折率は
1.61であった。次に基板2上に光学的膜厚158n
mの薄膜が形成されるように、1.6分の後シャッター
8を閉じた。続いて、Arガスをガス導入口7から3P
aまで導入する。RF電源6から600Wの電力をマグ
ネトロンカソード5に供給し、スパッタリングを行う。
この成膜条件で形成される薄膜の屈折率は1.37であ
った。そして基板上に光学的膜厚158nmの薄膜が形
成されるように、26秒の後シャッター8を閉じた。
【0018】図4は以上のようにして形成した反射防止
膜の分光反射率を示す。波長633nmで反射率が0.
2%以下と良好な特性が得られた。本実施例の反射防止
膜を温度40℃、湿度60%の環境下に48時間放置し
たが、分光反射率の変化はほとんどなく問題ないレベル
であった。
【0019】このような本実施例では、AlF3 に対し
て、耐擦傷性や耐湿性等に優れたSiO2 を混合したた
め、AlF3 単体よりも耐久性が向上するという効果が
得られた。
【0020】
【実施例4】実施例1と同じ装置を用いて成膜した。タ
ーゲット3としてMgF2 とAlF 3 顆粒を重量比で
3:1で粉砕混合し、焼結したものを用いた。まず屈折
率1.65のLaK系の光学ガラスからなる基板2をセ
ットし、基板2を加熱することなく、5×10-4Paの
真空度まで真空槽1内を排気する。その後、N2 ガスを
ガス導入口7から2×10-2Pa、O2 ガスをガス導入
口9から5×10-1Paまで導入する。RF電源6から
350Wの電力をマグネトロンカソード5に供給すると
き、基板2上に形成される薄膜の屈折率は1.62であ
った。その後、時間とともに投入電力を変化させ、最終
的に900Wまで上昇させた。この成膜条件で形成され
る薄膜の屈折率は1.37であった。
【0021】以上のようにして形成した反射防止膜の分
光反射率は波長400〜700nmという可視域全域で
反射率が1.8%以下であり、波長依存性の少ない極め
て良好な特性が得られた。また、本実施例の反射防止膜
を温度60°C、湿度80%の高温高湿下に24時間放
置したが、分光反射率の変化はほとんどなく問題ないレ
ベルであった。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば同一のターゲット材料を
使用して、投入電力を変えるだけで、屈折率の異なる層
を形成することができる。また、屈折率勾配のある層を
形成することも容易である。そして、このようにして形
成した反射防止膜は広い波長領域で反射防止効果を有す
る。さらに、形成される薄膜は多孔質ではないため、従
来方法のように光学特性が環境によって変化するがな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる成膜装置の断面図である。
【図2】実施例1の分光反射率の特性図である。
【図3】実施例2の分光反射率の特性図である。
【図4】実施例3の分光反射率の特性図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 基板 3 ターゲット 4 皿 5 マグネトロンカソード 6 RF電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 豊原 延好 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 生水 利明 東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリ ンパス光学工業株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機弗化物をターゲット材料とし、成膜
    開始時に少なくとも酸素を含むガスを導入しながらスパ
    ッタリングを行うと共に、成膜開始時に対して成膜終了
    時におけるターゲットへの投入電力が大きいように制御
    することを特徴とする反射防止膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ターゲット材料がMgF2 、CaF
    2 、SrF2 、AlF3 、GaF3 、InF3 のうちの
    少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1記載の
    反射防止膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ターゲット材料は粒径が0.1mm
    以上10mm以下の顆粒状であることを特徴とする請求
    項1記載の反射防止膜の製造方法。
JP7008720A 1995-01-24 1995-01-24 反射防止膜の製造方法 Withdrawn JPH08201601A (ja)

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JP7008720A JPH08201601A (ja) 1995-01-24 1995-01-24 反射防止膜の製造方法

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JP (1) JPH08201601A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6217719B1 (en) * 1998-05-22 2001-04-17 Canon Kabushiki Kaisha Process for thin film formation by sputtering
US11553120B2 (en) 2017-10-12 2023-01-10 Canon Kabushiki Kaisha Optical element, optical system, and image pickup apparatus

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6217719B1 (en) * 1998-05-22 2001-04-17 Canon Kabushiki Kaisha Process for thin film formation by sputtering
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Effective date: 20020402