JPH08199216A - 溶鉄からの脱銅、脱錫法 - Google Patents

溶鉄からの脱銅、脱錫法

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JPH08199216A
JPH08199216A JP1251195A JP1251195A JPH08199216A JP H08199216 A JPH08199216 A JP H08199216A JP 1251195 A JP1251195 A JP 1251195A JP 1251195 A JP1251195 A JP 1251195A JP H08199216 A JPH08199216 A JP H08199216A
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oxide
oxides
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refining agent
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JP1251195A
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Takayuki Nishi
隆之 西
Toru Matsuo
亨 松尾
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】溶鉄からの脱銅、脱錫を短時間で高効率的に行
う方法を提供する。 【構成】10Torr以下の減圧下で炭素を含有する溶鉄に粉
体精錬剤を添加して脱炭し、銅及び/又は錫を除去する
方法において、粉体精錬剤としてFe、Mn、Cr及びSiの各
酸化物からなる群の1種以上と、Si、Mg、Ti、Al及びZr
の各酸化物からなる群の1種以上との、それぞれ異なる
2種の組合せの酸化物から構成される複合酸化物を用い
る溶鉄からの脱銅及び/又は脱錫法。 【効果】脱銅、脱錫速度を増大させ、短時間で効率的に
行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶鉄から脱銅および/ま
たは脱錫する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄スクラップの発生量の増大とと
もに、鉄スクラップを再利用する種々の再溶解プロセ
ス、鉄スクラップを溶銑や溶鋼と混ぜて使用するプロセ
スが一般的に行われている。
【0003】ところで、この鉄スクラップ品位は年々低
下する傾向にある。例えば自動車解体屑中の銅配線やモ
ーターコアに含まれる銅線や錫メッキといったものから
銅や錫が混入するため、鉄スクラップを原料とする鋼材
中の銅や錫の含有量が増加している。
【0004】鋼中の銅や錫は一般に有害不純物であるの
で、低濃度に抑えるような管理が望まれている。銅が多
く含有される鋼では赤熱脆性が発生するため、一部の耐
候性鋼を除いては、銅の含有量は一般には0.35%な
いし0.20%以下にすることが必要とされている。一
方、錫は鋼中にあっては熱間加工性の低下、伸展性や深
絞り性の低下を招くので、やはり錫の含有量も0.1%
以下に抑制することが必要である。
【0005】銅や錫は、鉄よりも貴な金属であり、すな
わち酸素との親和力が小さく、通常の製鋼過程では除去
することが困難である。しかしながら、溶鉄の蒸気圧と
比較して溶鉄中の銅および錫の蒸気圧は高いので、これ
を利用して溶鉄からの銅および/または錫の除去が可能
である。
【0006】本発明者らは特開昭61−119612号
公報および特公平3−72129号公報において、減圧
下で脱炭と同時に溶鉄からの脱銅および/または脱錫を
促進させる方法を開示した。これらの方法は、溶鉄と溶
鉄中の銅および錫の蒸気圧の差を利用して、10Tor
r以下の減圧下におかれた溶鉄を酸素、酸化鉄といった
酸化剤を用いて脱炭することにより、脱炭に伴って生じ
る揮発界面の増加によって同時に脱銅および/または脱
錫を行ものであり、比較的大量の溶鉄の処理ができる可
能性のある実用的方法である。
【0007】このような成分間の蒸気圧差を利用する反
応では、反応界面を大きくすることで反応速度の増大が
もたらされることから、脱銅および/または脱錫を促進
する方法は、酸化剤を溶鉄に供給して脱炭反応を生ぜし
め、この脱炭反応によって生じるCOガス気泡の発生に
よる揮発界面の増大と界面撹乱を利用して反応界面を飛
躍的に増大させことである。
【0008】しかしながら、この方法においても鉄スク
ラップの更なる大量処理を想定した場合には、脱銅と脱
錫の速度は充分ではなく、処理時間の短縮、脱銅率およ
び脱錫率の向上には限界がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、10
torr以下の減圧下で粉体精錬剤を添加して溶鉄の脱
炭を行う際に、同時に脱銅および/または脱錫を行う方
法において、溶鉄からの脱銅、脱錫速度を増大させ、脱
銅、脱錫を短時間で高効率的に行う方法を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は次の脱銅
および/または脱錫法にある。
【0011】10Torr以下の減圧下において炭素を
含有する溶鉄に粉体精錬剤を添加して脱炭することによ
り、溶鉄から銅および/または錫を除去する方法におい
て、粉体精錬剤としてFe酸化物、Mn酸化物、Cr酸
化物およびSi酸化物からなる群から選んだ1種以上
と、Si酸化物、Mg酸化物、Ti酸化物、Al酸化物
およびZr酸化物からなる群から選んだ1種以上との、
それぞれ異なる2種の組合せの酸化物から構成される複
合酸化物を用いることを特徴とする溶鉄からの脱銅およ
び/または脱錫法。
【0012】本発明者らは、減圧下で固体酸化物からな
る精錬剤を溶鉄表面に添加して脱炭を行う際に、同時に
溶鉄から脱銅、脱錫を行う方法、更にこれらを短時間で
高効率的に行う方法に関して鋭意研究を続けてきた。そ
の結果、次の〜の新知見を得た。
【0013】精錬剤を構成する固体酸化物は単に酸素
供給源(酸化剤)として作用するのみならず、脱炭、脱
銅および脱錫反応のサイトとして機能していること。す
なわち、或る種の固体酸化物は酸化剤としての機能が主
であるが、別の或る種の固体酸化物は脱銅および脱錫反
応のサイトとしての機能も有している。
【0014】脱銅、脱錫反応をさらに促進するには、
固体酸化物により脱炭が生じている際に、その近傍に更
に別の或る種の固体酸化物を供給することにより、脱
銅、脱錫が生じる反応サイトを提供するのが重要である
こと。
【0015】このような反応サイトを溶鉄内に生じさ
せるために、それぞれ機能の異なる固体酸化物を複合酸
化物とした粉体精錬剤の形で供給すれば、酸化剤と反応
サイトは同一場所にあることになり、脱炭反応ひいては
脱銅、脱錫反応がより活発になり、処理時間が短縮され
ること。
【0016】更に複合酸化物は、単体の酸化剤と比較
して分解のための酸素分圧が低く、したがって脱銅、脱
錫反応が生じる界面での酸素分圧を低くすることがで
き、界面活性である酸素の悪影響を抑制することができ
ること。
【0017】加えて、複合酸化物は単体の酸化物と比
較して低融点化する場合が多く、製鋼温度で融体化した
場合に、脱炭反応がより容易になる効果も期待できるこ
と。
【0018】
【作用】本発明方法において、固体酸化物を前述のよう
に二つの群に分け、それぞれの群から選んだ1種以上
の、かつ、それぞれ異なる2種の組合せの酸化物から構
成される複合酸化物の精錬剤を用いるとした理由につい
て詳述する。
【0019】本発明方法において、溶鉄からの脱銅、脱
錫を促進するために達成しなければならない不可欠の条
件は、第1には脱炭反応をより活発に生ぜしめることに
より、銅および錫が蒸発する反応界面積を増大させるこ
と、さらに第2には脱炭反応促進を阻害しない程度で、
その反応界面で脱銅、脱錫が生じ易いように反応界面周
囲の酸素ポテンシャルを抑制することである。
【0020】そこで、上記条件を満たす固体酸化物を見
い出すために、エリンガム図に基づいて溶鉄中で脱炭反
応を生じさせる固体酸化物を二つの群に分類した。
【0021】図1は、酸化物の標準生成自由エネルギー
と温度との関係を示すエリンガム図である。
【0022】その一つは、1600℃付近の製鋼温度に
おいて、このエリンガム図に示される2C+O2 →2C
O反応よりも酸素ポテンシャルの高い酸化物(Fe酸化
物、Mn酸化物、Si酸化物、Cr酸化物)を含む群
(以下、第1群という)であり、他のもう一つは、上記
反応よりも酸素ポテンシャルの低い酸化物(Mg酸化
物、Al酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物)を含む群
(以下、第2群という)である。
【0023】2C+O2 →2CO反応より酸素ポテンシ
ャルの高い第1群の酸化物は、傾向として溶鉄中では炭
素と反応する酸化剤として機能し、脱炭を生ぜしめるた
めの酸素供給源となる。しかし、これらの酸化物のみを
精錬剤として使用した場合、第1群の酸化物は自ら速や
かに反応して消費されるので、脱炭、脱銅および脱錫反
応サイトとしては消滅することになってしまう。また、
これらの第1群の酸化物の溶鉄内での酸素分圧は高いた
め、界面活性元素である酸素が反応界面に集まり、脱
銅、脱錫反応促進を阻害する要因になっていると考えら
れる。
【0024】一方、2C+O2 →2CO反応より酸素ポ
テンシャルの低い第2群の酸化物は、傾向として溶鉄中
ではより安定であることから、反応サイトを供給する反
応核剤としての機能は高いものの、酸化剤、すなわち脱
炭剤としての機能は低く、脱炭を起こすための酸素供給
源としては不十分である。これらの酸化物を脱炭剤とし
て使用した場合、減圧下での分解反応が最も期待できる
MgOでも脱炭速度は遅く、そのために脱銅、脱錫反応
が不十分である。
【0025】溶鉄からの脱銅、脱錫反応を促進するため
には、両者の長所を併せ持ち、かつ欠点を相互に補完で
きる精錬剤、すなわち酸化剤の機能と反応核剤の機能を
併せ持つ精錬剤を用いるのが非常に有効であることにな
る。
【0026】ところで、ここでいう酸化剤と反応核剤と
の分類は、前述のエリンガム図の製鋼温度領域における
2C+O2 →2CO反応の酸素ポテンシャルとの高低で
行ったが、これらの機能は溶鉄中にあっては相対的であ
ることはいうまでもない。特に、Si酸化物の場合の酸
素ポテンシャルは、製鋼温度領域では2C+O2 →2C
O反応の酸素ポテンシャルよりもわずかに高い程度であ
るので、Si酸化物は前述の第1群中のSi酸化物以外
の酸化剤と比較すれば、反応サイトを供給する反応核剤
として扱える場合もある。例えば、酸化剤としてFe酸
化物を選んだ場合には、Si酸化物は反応核剤としての
機能を果たすことになる。
【0027】また、反応核剤については、さらに3種類
に分類することができる。タイプIは、減圧下であって
もそれ自身は溶鉄とは反応せず、比重によっては溶鉄中
に懸濁するもので、例としてはZr酸化物が挙げられ
る。タイプIIは、減圧下であってもそれ自身は溶鉄と若
干反応するものの、脱炭剤としては有効に機能しないも
ので、例としてはAl酸化物、Ti酸化物が挙げられ
る。さらにタイプIII は、減圧下であってもそれ自身が
溶鉄と反応して酸化剤としての機能も期待できるもの
で、例としてMg酸化物、Si酸化物が挙げられる。
【0028】このようにSi酸化物は、酸化剤と反応核
剤との分類においては遷移的な性質を有している酸化物
であるため、より酸素ポテンシャルの高い他の第1群の
酸化物と組み合わせた場合、第2群の酸化物としても取
り扱うことができる。
【0029】この理由で、酸化剤としての機能の高い第
1群の酸化物(Fe酸化物、Mn酸化物、Si酸化物、
Cr酸化物)の1種以上、および反応サイトとしての機
能の高い第2群の酸化物(Si酸化物、Mg酸化物、A
l酸化物、Ti酸化物、Zr酸化物)の1種以上の、そ
れぞれ異なる2種の組合せの酸化物から構成される複合
酸化物を精錬剤として用いることとした。
【0030】次に、本発明方法を実施する場合の望まし
い条件、または許容条件について説明する。
【0031】上記の複合酸化物においては、酸化剤の機
能を有する第1群の酸化物のうちから選んだ1種と、反
応核剤としての機能の高い第2群の酸化物のうちから選
んだ1種とからなり、かつ、それぞれ異なる酸化物の組
み合わせからなる2元系複合酸化物であれば、構成は特
に限定されない。このような複合酸化物としては、例え
ば、MgO・Fe2 3 、MgO・SiO2 、MnO2
・SiO2 、SiO2・ZrO2 、Fe2 3 ・Al2
3 、MnO2 ・Al2 3 、Fe2 3 ・TiO2
MnO・Cr2 3 、MgO・Cr2 3 、Fe2 3
・SiO2 等が挙げられる。
【0032】本発明における複合酸化物の粉体精錬剤中
での酸化剤と反応核剤との割合は、特に限定されない。
その理由は、精錬剤は溶鉄の組成および炭素濃度によっ
て選択されるものであるからである。
【0033】また、本発明における精錬剤としては、そ
れぞれの酸化物群から2種以上を選択して異なる成分組
成の2元系複合酸化物とし、これらを混合して構成され
るものであってもよい。さらには、酸化剤の機能が高い
第1群の酸化物1種と、2元系複合酸化物の1種との組
み合せからなる混合物でもよい。例えば前者では、前記
の2元系複合酸化物の組み合せであるMnO・Cr2
3 +MgO・Cr2 3 やMgO・SiO2 +SiO2
・ZrO2 などである。後者では、酸化剤をSiO2
たはFe2 3 、反応核剤をMgO・SiO2 としたS
iO2 +MgO・SiO2 またはFe2 3 +MgO・
SiO2 などの組み合せである。
【0034】このように、精錬剤の少なくとも一方が上
記のような2元系複合酸化物からなり、精錬剤全体が2
相以上で構成される混合物である場合は、これらが機械
的に混合されたもの、あるいは混合後さらに焼成された
ものを精錬剤としてもよい。
【0035】本発明方法で用いる、複合酸化物を含有す
る精錬剤中の反応核剤の割合について例示するならば以
下のとおりである。
【0036】反応核剤がタイプIおよびタイプIIの場
合、反応核剤の割合の範囲は全精錬剤に対して3〜20
質量%が適当である。溶鉄中に反応サイトを十分に提供
するためには、少なくとも3質量%の反応核剤が必要で
ある。一方、20質量%を超えると精錬剤が未反応のま
ま溶鉄表面に蓄積されたり、反応界面の温度降下が生じ
たりしてその効果は飽和する。また、タイプIII の場合
では反応核剤自身も遅れて反応するので、全精錬剤に対
する反応核剤の割合の許容範囲は広く、3〜90質量%
が適当である。この場合も、反応核剤が3質量%未満で
は反応サイトを溶鉄中に提供する効果が発揮されない。
一方、90質量%を超えると酸化剤の効果が顕在化でき
なくなる。
【0037】また、本発明方法で用いる精錬剤の一部も
しくは全部は複合酸化物であるがゆえに、低融点化が期
待できる酸化物もある。例えばMgO・SiO2 の融点
は1580℃であり、反応速度の向上が期待できる。さ
らに、この精錬剤では前述のように、混合型の複合酸化
物も使用することができるため、工業的にも材料選択の
自由度が増すという利点もある。すなわち、所定組成の
酸化物であれば、鉱石、耐火物屑、スラグ等を必要に応
じて調製し、精錬剤として利用することができる。
【0038】上記の精錬剤の望ましい形状は、平均粒度
が10〜500μm程度の範囲の粉体である。平均粒度
が10μm程度を下回ると精錬剤が溶鉄内に十分侵入せ
ず、反応に寄与しなくなる。一方、500μm程度を超
えると精錬剤と溶鉄との反応界面が少なくなるととも
に、精錬剤がその近傍の反応界面を局所的に冷却してし
まい、反応を停滞させる。
【0039】上記のような複合酸化物精錬剤は酸化剤と
反応核剤とからなり、かつこれらが近接していることか
ら、溶鉄からの脱銅、脱錫の反応促進効果を有する。さ
らに別の効果は、このような複合酸化物の酸素ポテンシ
ャルは酸化剤となる酸化物単体よりも低いことから、脱
銅、脱錫反応周囲の低酸素分圧化によって界面活性であ
る酸素の悪影響が抑制され、脱銅、脱錫反応促進が期待
できることである。
【0040】本発明方法の実施に必要な、溶鉄の真空処
理による精錬機能を有する手段は特に限定されない。例
えば本発明方法は、溶鉄処理に一般的に用いられるRH
プロセスのような炉外精錬法、VODやLFVのような
取鍋真空脱ガス法、高周波による加熱が可能なVIMプ
ロセス等、現在使用される真空プロセスにいずれも適用
可能である。粉体精錬剤の溶鉄への添加には、キャリア
ガスとともに溶鉄表面に吹き付ける粉体上吹きや溶鉄中
に吹き込むインジェクションなどのような方法を用いる
のがよい。
【0041】本発明方法の対象となる溶鉄の種類は特に
限定されない。例えば、通常スクラップを溶解して得ら
れる炭素鋼や溶銑は酸化剤による脱炭が可能であるから
適用可能である。また、ニッケルやクロムを多量に含む
ステンレス鋼や高合金鋼にも適用可能である。鋼種によ
っては必要に応じて加炭した後に酸化剤を供給、添加し
て脱銅、脱錫を行うことも可能である。本発明方法では
脱炭反応を利用するので、溶鉄の炭素含有量が高いほど
脱銅、脱錫の効率は高いといえる。また、酸化剤はこれ
ら溶鉄の組成を考慮して選ばれるべきである。
【0042】
【実施例】図2に示す装置を用いて溶鉄からの脱銅、脱
錫を行った。図2は、真空高周波誘導加熱炉の装置構成
例を説明する概略の縦断面図である。この装置は、溶鉄
8を最大2.5トン溶解できる誘導コイル付き炉5、真
空チャンバー1、このチャンバー1の上蓋2、精錬剤と
なる酸化鉄、二酸化珪素、酸化マグネシウム等の粉体を
溶鉄に吹き付けることができる昇降可能な上吹きランス
3、および試料採取装置4を備えている。炉5の耐火物
は例えばマグクロ耐火物である。さらに、チャンバー1
は、排気孔6を経て図示しないスチームエジェクターポ
ンプなどの減圧用排気装置と接続され、溶鉄8を保持し
た状態でチャンバー1内の圧力を約1Torrに保つこ
とができる。炉5の底には溶鉄8を撹拌するためのポー
ラスレンガ羽口7が備えられ、Arガス吹き込みにより
溶鉄8の撹拌を行う。
【0043】溶鉄の化学組成は質量%で、Cu:0.6
%、Sn:0.08%、炭素:0.8〜0.9%、S
i:0.01〜0.05%、Mn:0.01〜0.08
%、P:0.010〜0.015%、残部鉄および不可
避的不純物である。
【0044】上記溶鉄1.5トンを溶解して1650℃
に保持した後、真空チャンバー内を約1Torrまで減
圧し、次にこの減圧下において脱炭反応を生ぜしめるた
め、下記の種々の粉体精錬剤を上吹きランスから溶鉄に
吹き付け、溶鉄からの銅および錫の除去を行った。この
ときの真空チャンバー内圧力は0.5〜2Torr、処
理時間は40〜70分間であった。撹拌には高周波電磁
気力と炉底からのArガス吹き込みとを併用した。粉体
上吹用キャリアガスはArガス、流量は500〜600
Nl/minとした。
【0045】本発明例の精錬剤とその他の吹き付け条件
は、次のとおりである。%は質量%を意味する。
【0046】(1)Fe2 3 ・SiO2 粉体(平均粒度
100μm、粉体供給速度0.4kg/min・t) (2)MgO・SiO2 粉体(平均粒度100μm、粉体
供給速度0.4kg/min・t) (3)MnO2 ・SiO2 粉体(平均粒度100μm、粉
体供給速度0.3kg/min・t) (4)MnO2 −5%Al2 3 粉体(MnO2 ・Al2
3 複合酸化物相とMnO2 相で構成。平均粒度150
μm、粉体供給速度0.3kg/min・t) (5)Fe2 3 −5%TiO2 粉体(Fe2 3 ・Ti
2 複合酸化物相とTiO2 相で構成。平均粒度70μ
m、粉体供給速度0.25kg/min・t) (6)SiO2 −10%MgO粉体(MgO・SiO2
合酸化物相とSiO2 相で構成。平均粒度80μm、粉
体供給速度0.3kg/min・t) (7)Fe2 3 −3%ZrO2 粉体(Fe2 3 ・Zr
2 複合酸化物相とFe2 3 相で構成。平均粒度10
0μm、粉体供給速度0.25kg/min・t) (8)Fe2 3 +30%(MgO・Cr2 3 )粉体
(平均粒度各100μm、粉体供給速度0.3kg/m
in・t) (9)Fe2 3 +80%(MgO・SiO2 )粉体(平
均粒度各100μm、粉体供給速度0.4kg/min
・t) (10) MgO・SiO2 +30%(SiO2 ・Zr
2 )粉体(平均粒度各100μm、粉体供給速度0.
5kg/min・t) 比較例の精錬剤とその他の吹き付け条件は、次のとおり
である。
【0047】(11) 粉体精錬剤なし (12) SiO2 (平均粒度100μm、粉体供給速度
0.3kg/min・t) (13) Fe2 3 (平均粒度100μm、粉体供給速度
0.25kg/min・t) (14) ZrO2 (平均粒度100μm 粉体供給速度
0.25kg/min・t) 表1に処理時間および処理前後の溶鉄成分の変化を示
す。
【0048】
【表1】
【0049】表1に示すように、比較例ではいずれも、
銅および錫を有効に除去できていない。一方、本発明例
ではいずれも、40〜70分の処理時間で迅速に銅およ
び錫を除去できており、本発明方法が溶鉄からの銅およ
び錫の短時間除去処理に有効であることがわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明方法によれば、10Torr以下
の減圧下で粉体精錬剤を添加して溶鉄の脱炭を行う際
に、同時に脱銅および/または脱錫を行う方法におい
て、溶鉄からの脱銅、脱錫速度を増大させ、脱銅、脱錫
を短時間で高効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸化物の標準生成自由エネルギーと温度との関
係を示すエリンガム図である。
【図2】実施例で用いた真空高周波誘導加熱炉の装置構
成を説明する概略の縦断面図である。
【符号の説明】
1:真空チャンバー、 2:上蓋、 3:
上吹きランス、4:試料採取装置、 5:誘導コイ
ル付き炉、6:排気孔、7:ポーラスレンガ羽口、8:
溶鉄

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】10Torr以下の減圧下において炭素を
    含有する溶鉄に粉体精錬剤を添加して脱炭することによ
    り、溶鉄から銅および/または錫を除去する方法におい
    て、粉体精錬剤としてFe酸化物、Mn酸化物、Cr酸
    化物およびSi酸化物からなる群から選んだ1種以上
    と、Si酸化物、Mg酸化物、Ti酸化物、Al酸化物
    およびZr酸化物からなる群から選んだ1種以上との、
    それぞれ異なる2種の組合せの酸化物から構成される複
    合酸化物を用いることを特徴とする溶鉄からの脱銅およ
    び/または脱錫法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102102138A (zh) * 2009-12-22 2011-06-22 鞍钢股份有限公司 一种解决钢中铜偏析的方法

Cited By (1)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102102138A (zh) * 2009-12-22 2011-06-22 鞍钢股份有限公司 一种解决钢中铜偏析的方法

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