JP2964855B2 - 溶鉄からの脱銅・脱錫法 - Google Patents

溶鉄からの脱銅・脱錫法

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JP2964855B2 JP27220793A JP27220793A JP2964855B2 JP 2964855 B2 JP2964855 B2 JP 2964855B2 JP 27220793 A JP27220793 A JP 27220793A JP 27220793 A JP27220793 A JP 27220793A JP 2964855 B2 JP2964855 B2 JP 2964855B2
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶鉄からの脱銅および
/または脱錫法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄スクラップの発生量の増大とと
もに、鉄スクラップを種々の再溶解法にて再利用するプ
ロセスや、鉄スクラップを溶銑や溶鋼と混ぜて使用する
プロセスが一般的に行われている。
【0003】ところで、これらの鉄スクラップの品位は
年々低下する傾向にある。例えば、自動車解体屑中の銅
配線やモータコアに含まれる銅線や錫メッキといったも
のから銅や錫が混入するため、スクラップを原料とする
鋼材中の銅や錫の含有量が増加している。
【0004】鋼中の銅や錫は、一般に有害不純物である
ので低濃度に抑えるような管理が望まれている。つま
り、銅が多く含有される鋼では赤熱脆性が不可避的に見
られるために、一部の耐候性鋼を除いては、一般には0.
35%ないし0.20%以下にすることが必要とされている。
一方、錫は鋼中にあっては、熱間加工性の低下や伸展性
や絞り性の低下を招くので、やはり鋼中錫濃度も0.10%
以下にすることが必要である。
【0005】すでに良く知られているように、銅や錫
は、鉄よりも貴な金属、すなわち酸素との親和力が小さ
く、通常の製鋼過程では除去することが困難である。し
かしながら、溶鉄の蒸気圧と比較して溶鋼中の銅および
錫の蒸気圧が高いことを利用して、溶鉄からの銅および
/または錫の除去が可能である。
【0006】そこで、本発明者らの一部は、特開昭61−
119612号公報および特公平3−72129 号公報に開示した
方法を発明した。これらの方法では、この溶鉄中の鉄と
銅および錫の蒸気圧の差を利用して、10Torr以下の減圧
下におかれた溶鉄を酸素、酸化鉄といった酸化剤を用い
て脱炭する際に、同時に脱銅および/または脱錫を行な
う方法であり、溶鉄の大量処理が可能な実用的方法であ
った。つまり、この方法のように成分間の蒸気圧差を利
用する反応では、反応界面を確保することが反応速度の
増大に有利であり、酸素や酸化鉄を溶鉄に供給して脱炭
反応を生ぜしめ、この脱炭反応によるCO気泡の発生によ
る揮発界面の増大、界面の攪乱を利用して反応界面を飛
躍的に増大させ、これによって脱銅および/または脱錫
を促進する方法であった。
【0007】ところで、このような成分の蒸気圧差を利
用する溶鉄からの脱銅および脱錫の反応速度増大をもた
らすもう一つの方法は、反応温度を高く維持する方法で
ある。すなわち、脱銅、脱錫反応速度は通常の製鋼温度
(1600℃付近) よりも高い1700℃以上という高温度でさ
らに大きくなると考えられる。しかしながら、実用的な
製鋼温度を超えると昇熱のために必要となるエネルギー
コストや耐火物の溶損が問題となってくる。
【0008】しかしながら、いずれの方法においても、
さらなる鉄スクラップの大量一括処理を考えた場合には
脱銅速度、脱錫速度は十分ではなく、処理時間の短縮、
脱銅率および脱錫率の向上には限界があり、現状では、
例えば2トン規模の溶鋼処理により初期濃度Cu:0.5%、
Sn:0.06 %のものを、30分間程度の短時間処理で、Cu:
0.4%、Sn:0.05 %に下げることは難しい。
【0009】したがって、近年社会問題となっている鉄
スクラップの再生利用のためには、さらなる高能率なス
クラップ大量一括処理プロセスを構築する必要がある。
特に、鉄スクラップ中の不純物として年々濃度が増加し
ている銅および錫を溶鉄から除去するためには、溶鉄か
らの脱銅および脱錫速度を増大させることが必要不可欠
の技術となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ここに、本発明の目的
は、上述した高い減圧下で酸化剤を用いて溶鉄の脱炭を
行う際に同時に脱炭および/または脱錫を行う方法にお
いて、溶鉄からの脱銅・脱錫速度を増大させ、さらに高
効率に、短時間で行うことのできる方法を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
高い減圧下で酸化剤を用いて脱炭を行う際に、同時に脱
銅・脱錫を生じせしめる方法に関し鋭意研究を続けたと
ころ、脱銅反応、脱錫反応には反応温度を通常の溶鋼の
保持温度より高くすることが有利であることを知り、さ
らに研究を重ねた結果次のような知見を得た。
【0012】(1) 脱銅・脱錫反応をさらに促進するに
は、脱銅、脱錫が生じる反応界面の温度を高く保持す
る、とりわけ脱炭反応で生じる溶鋼表面近傍の温度を局
所的に高くすれば有効である。 (2) このような溶鋼表面の局所的な加熱には、プラズマ
照射による温度付与が有効である。
【0013】本発明は、かかる知見に基づいて完成され
たものであって、その要旨とするところは、10Torr以下
の実用的な真空下で、酸素、水蒸気、二酸化炭素、酸化
ニッケル、酸化鉄およびこれらより酸化力の弱い酸化剤
から成る群から選んだ一種または二種以上の酸化剤を溶
鉄に供給して脱炭を行い、溶鉄から銅および/または錫
を除去する方法において、より有効に脱銅および/また
は脱錫を行うために、脱炭反応が生じている溶鉄表面を
プラズマで加熱することを特徴とする、溶鉄からの脱銅
・脱錫法である。
【0014】
【作用】次に、本発明による作用についてさらに詳述す
る。本発明にしたがうと、脱銅および/または脱錫が生
じる反応界面は、自由表面付近で脱炭反応によって飛躍
的に増大する界面であり、脱銅や脱錫反応の促進には、
この反応界面の温度さえ高く保持できれば充分である。
【0015】したがって、脱炭反応を利用した脱銅およ
び脱錫反応の促進には、必ずしもバルク温度を高める必
要はなく、反応界面のみを局所的に高温に保持すれば、
効率的であることが分かった。
【0016】本発明によれば、溶鉄の自由表面付近の反
応界面温度のみを溶鉄温度以上に加熱するには、充分な
エネルギー密度を有する局所的加熱方法が適当であり、
特に、反応界面の局所加熱にはプラズマ加熱法が有利で
あることを確認した。かくして、本発明の作用上の特徴
は、プラズマ加熱を用いて脱炭反応界面を局所的に加熱
することで反応界面の一層の増大を図ることにある。
【0017】このように本発明にあっては、酸素や酸化
鉄を溶鋼表面に吹き付けるなどして行う脱炭に際して、
自由表面付近の反応界面の増大を図るものであるから、
このプラズマ加熱は、脱炭反応が生じている溶鋼表面に
熱プラズマを照射すれば良いので、この考え方に基づけ
ば熱プラズマの発生方法には特に限定されない。
【0018】ところで、本発明では種々の酸化剤を用い
て脱炭反応を利用することができる。なお、酸化剤の供
給の形態としては、気体酸化剤のように溶鉄に吹き込む
こと、固体酸化剤を溶鉄表面に置くこと、あるいはキャ
リアガスと共に吹き込むことなどが考えられ、それらを
総称して「供給」という。
【0019】たとえば、酸化性ガス (酸素、水蒸気、二
酸化炭素等) を含有する精錬ガスを溶鉄表面に吹き付け
て脱炭反応を生ぜしめても良い。また、固体酸化物とし
て、酸化鉄を溶鉄表面に添加もしくは吹き付けて脱炭を
生ぜしめ、これを利用して溶鉄より脱銅、脱錫を行って
もよい。この際、酸化鉄は単に酸素供給源であるのみな
らず、脱炭反応のサイトとして寄与し、脱炭反応によっ
て酸素を消費された後は溶鉄の一部となる。このような
酸化鉄と似かよった酸化力の近い働きをする酸化物とし
ては、他に酸化マンガン、酸化クロム、酸化ニッケル等
があり、これらはいずれも脱炭反応で酸素を消費された
後、溶鉄に溶解して鋼成分になることから、溶鉄の目標
成分に応じて選べばよい。その他、SiO2、MgO等を用い
ることもできる。
【0020】ここで、“酸化力”の強い、弱いは純粋酸
化物の解離酸素分圧 (平衡酸素分圧) で理解される。す
なわち、
【0021】
【数1】
【0022】なる反応式で示されるときの純物質Mが酸
素と反応するときの酸素分圧 (Po2)であり、温度の関数
で示すことができる。例えば、一般的な製鋼温度である
1600℃では、酸化鉄のPo2 は10-8atm 、CO2 のPo2 は10
-11atm程度である。酸化鉄と類似した酸化物として前述
した酸化マンガン、酸化クロムのPo2 は、若干低くいず
れも10-14atm程度である。また、酸化ニッケルは酸化鉄
よりも高い10-4atm 程度の値である。
【0023】さらに、固体酸化剤を用いて脱炭を生ぜし
め脱銅、脱錫を促進する方法として、酸化鉄より酸化力
の弱い二酸化珪素、酸化マグネシウムを利用する方法が
ある。ここで、二酸化珪素、酸化マグネシウムの平衡酸
素分圧は1600℃でそれぞれ10-16atm、10-18atmでかなり
小さい値である。
【0024】このような酸素や酸化鉄よりも酸化力の低
いSiO2やMgO 等が主成分である酸化物粉体を溶鉄に吹き
付ける方法を用いると、酸化剤が溶鉄に溶けて消滅する
ことなく溶鉄表面に脱炭反応サイトが形成されるので、
本発明におけるようなプラズマによる溶鉄表面の局所加
熱と併用することはさらに有効である。
【0025】さらに酸化剤として酸化鉄よりも酸化力の
弱い酸化剤を用いる利点は、酸素原子の脱炭反応界面へ
の局在を少なくし、銅・錫の反応界面への移動を容易と
することにより脱銅・脱錫を促進させることができるか
らである。
【0026】酸化剤が固体の場合、その粒径は、特に制
限されないが、一般には平均粒径0.002 〜1mmのもの、
より望ましくは0.05〜0.3 mmのものを用いるのが反応界
面を充分に確保し、かつ実用的に取り扱う上で有利であ
る。なお、酸化剤の供給量は、いわゆる脱炭を基準に考
えればよく、慣用の操業で用いられている量だけ投入す
れば十分である。
【0027】本発明の実施に必要な溶鉄の真空処理によ
る精錬機能を有する手段は特に限定されない。例えば、
溶鉄として溶鋼を考える場合、溶鋼処理に一般的に用い
られるRHプロセスのような炉外精錬法、VOD やLFV のよ
うな取鍋真空脱ガス法、高周波による加熱が可能なVIM
プロセス等、現在使用される真空プロセスには本発明は
いずれも適用可能である。
【0028】真空度を10Torr以下としたのは、実用上容
易に実現可能な真空度であって、かつ脱炭に伴って銅お
よび錫を蒸発除去することが有利であるからであり、CO
ガスの生成によって脱炭反応界面に酸素原子の局在が減
少し脱銅、脱錫が促進されることも期待できる。
【0029】本発明の対象となる溶鉄の種類は、特に限
定されない。例えば、通常スクラップを溶解して得られ
る炭素鋼や溶銑は、酸化剤による脱炭が可能であるから
適用可能である。また、ニッケルやクロムを多量に含ん
だステンレス鋼や高合金鋼にも適用可能である。鋼種に
よっては必要に応じて加炭した後に酸化剤を供給、添加
して脱銅・脱錫を行うことも可能である。本発明では脱
炭反応を利用するので、溶鉄の炭素含有量が高いほど脱
銅・脱錫効率は高いといえる。次に、実施例によって本
発明の作用、効果についてさらに具体的に説明する。
【0030】
【実施例】本例では、溶鉄として溶鋼を用い、Arガスプ
ラズマ照射によって溶鋼表面を加熱しながら酸化剤吹き
込みにより脱炭を行った。本発明による溶鋼からの脱銅
・脱錫は図1に示す真空溶解装置を用いて行った。
【0031】図中、溶鋼を最大2.5 トン溶解できる高周
波誘導加熱方式による真空炉1を用い、この真空炉の上
蓋2には、酸素を含有するガスや酸化剤となる鉄鉱石、
SiO2、MgO 粉体を溶鋼に吹き付けることができる昇降可
能なランス3、および溶鋼表面を加熱できるような非移
行型Arガスプラズマトーチ4が取り付けられている。ま
た、上記の粉体を溶鋼表面に上置き添加できる粉体投入
装置5も設置されている。溶鋼はMgO を主成分とする耐
火物容器8に保持される。
【0032】この真空炉は、排気孔6を通じてスチーム
エジェクターポンプにより溶鋼を保持した状態で真空度
を1Torr以下に保つことができる。また、炉底には溶鋼
を攪拌するためのポーラスレンガ羽口7を有し、Arガス
吹き込みによる攪拌ができる。
【0033】また、図には示していないが、上蓋には溶
解途中に試料を採取するためのサンプラーが取り付けら
れている。実施例として用いた溶鋼は、その組成は、重
量%で、Cu: 0.5 %、Sn: 0.06%含有した、炭素:0.5
%、Si:0.03%、Mn:0.01%、P:0.018 %、残部鉄お
よび不可避的不純物からなる溶鋼であった。次に実施方
法について説明する。
【0034】まず、上記溶鋼1.5 トンを1650℃に溶解保
持した後、約1Torrまで減圧した。次に、この減圧下に
おいて脱炭反応を生ぜしめるため、次のような態様で酸
化剤を溶鋼に吹き込んだ。
【0035】(1) 酸素+50体積%Arガスを上部ランスよ
り0.2 Nl/min・t 吹き込む方法、(2) 酸化鉄粉体 (平均
粒度100 μm ) に10質量% のSiO2粉体 (平均粒度100 μ
m) を混合した酸化剤30Kgを上部から溶鋼表面に上置き
する方法、(3) 上記(2) で用いた粉体をランスより供給
速度0.4 kg/min・ton の割合でArキャリアガスを用いて
溶鋼に吹き込む方法、(4) 酸化鉄粉体 (平均粒度100 μ
m ) に10質量% のMgO 粉体 (平均粒度100 μm) を混合
した酸化剤をランスより供給速度0.4 kg/min・ton の割
合でArキャリアガスを用いて溶鋼に吹き込む方法、(5)
酸化マンガン粉体 (平均粒度100 μm ) に10質量% のSi
O2粉体 (平均粒度100 μm ) を混合した酸化剤粉体 (平
均粒度100 μm ) をランスより供給速度0.4kg/min・ton
の割合で (Ar+50体積%酸素) キャリアガスを用いて
溶鋼に吹き込む方法、(6) CO2 +50体積%Arガスを上部
ランスより0.4 Nl/min・t 吹き込む方法、(7) H2O +50
体積%Arガスを上部ランスより0.4 Nl/min・t 吹き込む
方法、(8) 酸化クロム粉体 (平均粒度100 μm)をランス
より0.4 kg/min・ton の割合でArキャリアガスを用いて
溶鋼に吹き込む方法、(9) 酸化ニッケル粉体 (平均粒度
100 μm)をランスより0.4 kg/min・ton の割合でArキャ
リアガスを用いて溶鋼に吹き込む方法。
【0036】溶鋼の攪拌は、高周波による攪拌と炉底よ
りArガスによる攪拌を併用した。これらの条件で、
(a) プラズマ加熱 (出力約200 kW) を実施した場合と
(b) 実施しなかった場合(比較例) について脱銅挙動
および脱錫挙動を比較した。
【0037】(i) 酸素+Ar混合ガスによる脱炭に伴う脱
銅・脱錫挙動 脱炭方法(1) において、溶鋼表面をプラズマ加熱した場
合 (a) としなかった場合 (b) のときの、時間に対す
る溶鋼中銅濃度変化のグラフを図2に、また時間に対す
る溶鋼中錫濃度変化のグラフを図3に示す。いずれの図
においても実施例 (a) と比較例 (b) を比べると、溶
鋼表面をプラズマ加熱した場合 (a) の方が、速やかに
銅濃度、錫濃度が減少していることがわかる。
【0038】(ii)酸化剤 (酸化鉄+10%二酸化珪素混合
粉) の上置き添加による脱炭に伴う脱銅・脱錫挙動 脱炭方法(2) において、溶鋼表面をプラズマ加熱した場
合(a) としなかった場合(b) のときの、時間に対する溶
鋼中銅濃度変化のグラフを図4に、また時間に対する溶
鋼中錫濃度変化のグラフを図5に示す。いずれの図にお
いても実施例(a) と比較例(b) を比べると、(1) の場合
と同様に溶鋼表面をプラズマ加熱した場合(a) の方が、
速やかに銅濃度、錫濃度が減少していることがわかる。
【0039】(iii) 酸化剤 (酸化鉄+10%二酸化珪素混
合粉) をキャリアガスとともに溶鋼へ吹き込む方法によ
る脱炭に伴う脱銅・脱錫挙動 脱炭方法(3) において、溶鋼表面をプラズマ加熱した場
合(a) としなかった場合(b) のときの、時間に対する溶
鋼中銅濃度変化のグラフを図6に、また時間に対する溶
鋼中錫濃度変化のグラフを図7に示す。いずれの図にお
いても実施例(a) と比較例(b) を比べると、(1) 、(2)
の場合と同様に溶鋼表面をプラズマ加熱した場合(a) の
方が、速やかに銅濃度、錫濃度が減少していることがわ
かる。また、脱炭方法(2) の場合と比較して脱炭方法
(3) の場合の方が、脱銅速度、脱錫速度とも速くなって
いる。
【0040】(iv)酸化剤 (酸化鉄+10%酸化マグネシウ
ム混合粉) 吹き込みによる脱炭に伴う脱銅・脱錫 脱炭方法(4) について、酸化物粉体をプラズマ加熱した
場合(a) としなかった場合(b) のときの、時間に対する
溶鋼中銅濃度変化のグラフを図8に、また時間に対する
・溶鋼中錫濃度変化のグラフを図9に示す。いずれの図
においても実施例(a) と比較例(b) を比べると、脱炭方
法(1) の場合と同様に酸化物粉体をプラズマ加熱した場
合(a) の方が、速やかに銅濃度、錫濃度が減少している
ことがわかる。また、脱炭反応を行うために酸化鉄、お
よび酸化マグネシウムが分解するときには、より大きな
吸熱反応が生じると考えられるが、プラズマ加熱した場
合には、充分有効に脱銅・脱錫反応が進行していること
から、プラズマ加熱による熱補償が有効に作用している
ことが分かる。
【0041】(v) 酸化剤 (酸化マンガン+10%二酸化珪
素粉体) を溶鋼へAr+50%酸素キャリアガスで吹き込む
方法による脱炭に伴う脱銅・脱錫 溶鋼からの脱炭方法(5) において、酸化物粉体をプラズ
マ加熱した場合(a) としなかった場合(b) のときの、時
間に対する溶鋼中銅濃度変化のグラフを図10に、また時
間に対する溶鋼中錫濃度変化のグラフを図11に示す。い
ずれの図においても実施例(a) と比較例(b) を比べる
と、脱炭方法(1) 、(2) の場合と同様に酸化物粉体をプ
ラズマ加熱した場合(a) の方が、速やかに銅濃度、錫濃
度が減少していることが分かる。特に、プラズマ加熱を
しなかった場合に脱銅・脱錫が遅くなる理由は脱炭反応
が進行しないためと考えられる。一方、同じ酸化剤を使
用しても、酸化剤にプラズマによる熱付与がある場合に
は、脱炭反応が促進されるとともに、脱銅・脱錫反応も
促進されると考えられる。また、酸化剤は、溶鋼の組成
に合わせて選択をすれば、より適切な脱銅、脱錫を行う
ことができる。
【0042】(vi)酸化性ガス(CO2+50体積%Arガス) お
よび(H2O+50体積%Arガス) を吹き込みによる脱炭に伴
う脱銅・脱錫 プラズマ加熱した場合(a) としなかった場合(b) のとき
の溶鋼中銅濃度変化、および錫濃度、約30分の溶鋼処理
後の変化を表1にまとめる。いずれの結果においても、
プラズマ加熱の実施(a) の場合が脱銅、脱錫がより有効
に行われていることが分かる。
【0043】(vii) 固体酸化剤 (酸化クロム、酸化ニッ
ケル) Arキャリアガス吹き込みによる脱炭に伴う脱銅・
脱錫 プラズマ加熱した場合(a) としなかった場合(b) のとき
の溶鉄中銅濃度および錫濃度の約30分間の処理前後の変
化を表2にまとめる。いずれの結果においてもプラズマ
加熱の実施(a) により脱銅・脱錫が有効に行われている
ことから、含クロム、ニッケル溶鉄等、溶鉄の組成によ
っては酸化クロム、酸化ニッケルも、固体酸化剤として
脱銅、脱錫に利用できることがわかる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、酸化剤
を吹き込んで脱炭させる際に溶鉄中の脱銅および/また
は脱錫を行う方法にあって、脱銅・脱錫が生じる溶鉄表
面をプラズマで加熱して熱を付与することによって、脱
銅速度および脱錫速度を増大させる方法であって、本発
明によれば、例えば30分以内の処理時間でCu:0.30 %以
下、Sn:0.040%以下に低減でき、近年社会的問題となっ
ている鉄スクラップの再生利用のために、スクラップ大
量処理プロセスを実用可能とするものであり、その実用
上の意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】高周波誘導加熱炉の概略図である。
【図2】酸素含有ガスによる溶鋼の脱炭を行う際、溶鋼
表面のプラズマ加熱の有無が脱銅挙動に与える影響を示
すグラフである。
【図3】酸素含有ガスによる溶鋼の脱炭を行う際、溶鋼
表面のプラズマ加熱の有無が脱錫挙動に与える影響を示
すグラフである。
【図4】酸化性粉体を溶鋼表面に供給して脱炭を行う
際、溶鋼表面のプラズマ加熱の有無が脱銅挙動に与える
影響を示すグラフである。
【図5】酸化性粉体を溶鋼表面に供給して脱炭を行う
際、溶鋼表面のプラズマ加熱の有無が脱錫挙動に与える
影響を示すグラフである。
【図6】酸化性粉体を溶鋼表面に吹き付けて脱炭を行う
際、溶鋼表面のプラズマ加熱の有無が脱銅挙動に与える
影響を示すグラフである。
【図7】酸化性粉体を溶鋼表面に吹き付けて脱炭を行う
際、溶鋼表面のプラズマ加熱の有無が脱錫挙動に与える
影響を示すグラフである。
【図8】(酸化鉄+10質量%酸化マグネシウム粉末) 混
合粉体に溶鉄に吹き付けて溶鉄の脱炭を行う際、酸化物
粉体のプラズマ加熱の有無が脱銅挙動に与える影響を示
すグラフである。
【図9】(酸化鉄+10質量%酸化マグネシウム粉末) 混
合粉体を溶鉄に吹き付けて溶鉄の脱炭を行う際、酸化物
粉体のプラズマ加熱の有無が脱錫挙動に与える影響を示
すグラフである。
【図10】酸化剤 (酸化マンガン+10質量%二酸化珪素
粉体) 混合粉体を溶鉄に吹き付けて溶鉄の脱炭を行う
際、酸化物粉体のプラズマ加熱の有無が脱銅挙動に与え
る影響を示すグラフである。
【図11】酸化剤 (酸化マンガン+10質量%二酸化珪素
粉体) 混合粉体を溶鉄に吹き付けて溶鉄の脱炭を行う
際、酸化物粉体のプラズマ加熱の有無が脱錫挙動に与え
る影響を示すグラフである。
【符号の説明】
1 : 真空炉 2 : 真空炉上蓋 3 : ランス 4 : 非移行型Arガスプラズマ
トーチ 5 : 粉体投入装置 6 : 排気孔 7 : ポーラスレンガ羽口 8 : 耐火物容器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 姉崎 正治 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−149414(JP,A) 特開 平4−318117(JP,A) 鉄と鋼,Vol.75,No.1 P P.82−88(1989) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 7/00 - 7/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 10Torr以下の減圧下において、酸素、水
    蒸気、二酸化炭素、酸化ニッケル、酸化鉄、およびこれ
    らよりも酸化力の弱い酸化物から成る群から選んだ一種
    または二種以上からなる酸化剤を溶鉄に供給して該溶鉄
    の脱炭を行うことによって、該溶鉄から銅および/また
    は錫を除去する方法において、前記脱炭反応が生じてい
    る溶鉄表面をプラズマで局所加熱することにより脱銅、
    脱錫を促進することを特徴とする、溶鉄からの脱銅・脱
    錫法。
JP27220793A 1993-10-29 1993-10-29 溶鉄からの脱銅・脱錫法 Expired - Fee Related JP2964855B2 (ja)

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鉄と鋼,Vol.75,No.1 PP.82−88(1989)

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