JPH09291307A - 溶鉄の脱銅および/または脱錫方法 - Google Patents

溶鉄の脱銅および/または脱錫方法

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JPH09291307A
JPH09291307A JP10211596A JP10211596A JPH09291307A JP H09291307 A JPH09291307 A JP H09291307A JP 10211596 A JP10211596 A JP 10211596A JP 10211596 A JP10211596 A JP 10211596A JP H09291307 A JPH09291307 A JP H09291307A
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JP
Japan
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molten iron
plasma
nitrogen
tin
iron
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Application number
JP10211596A
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English (en)
Inventor
Takayuki Nishi
隆之 西
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】溶鉄の効率的な脱銅及び/又は脱錫方法を提供
する。 【解決手段】10Torr以下の減圧下で、酸化鉄又は/及び
酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物からなる酸化剤粉体を
溶鉄表面に吹付けて脱炭しながら、酸化剤粉体及び/又
は溶鉄表面を窒素含有ガスプラズマにより加熱する方
法。 【効果】脱反応速度を増大させ、短時間に効率的に行う
ことができる。鉄スクラップの再生利用のための大量処
理プロセスとして好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鉄からの脱銅お
よび/または脱錫方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄スクラップの発生量の増大とと
もに、鉄スクラップを種々の再溶解溶銑製造法の鉄源と
して再利用するプロセス、または鉄スクラップを溶銑や
溶鋼と混ぜて使用するプロセスが一般的に行われてい
る。ところで、鉄スクラップの品位は年々低下する傾向
にある。例えば、自動車解体屑中の銅配線、モーターコ
アに含まれる銅線および錫メッキなどから銅や錫が混入
するため、スクラップを原料とする鋼材中の銅や錫の含
有量が増加している。
【0003】鋼中の銅や錫は一般に有害不純物であるの
で、これらの濃度を低く抑えるような管理が望まれてい
る。銅を多く含有する鋼では赤熱脆性が生ずるため、一
部の耐候性鋼を除いて銅濃度は一般には0.35%ない
し0.20%以下にすることが必要とされている。一
方、錫は鋼中にあっては、熱間加工性、伸展性および深
絞り性の低下をもたらすので、やはり錫濃度も0.1%
以下に抑制する必要がある。
【0004】銅や錫は鉄よりも貴な金属、すなわち酸素
との親和力が小さい金属であり、通常の製鋼過程ではこ
れらを除去することが困難である。しかしながら、鉄の
蒸気圧と比較して溶鉄中の銅および錫の蒸気圧は高いの
で、これを利用して溶鉄からの銅および錫の除去が可能
である。
【0005】本出願人は、特開昭61−119612号
公報および特公平3−72129号公報において、減圧
下で脱炭と同時に溶鉄から脱銅および/または脱錫を促
進する方法を開示した。これらの方法は、溶鉄と溶鉄中
の銅および錫との蒸気圧の差を利用して蒸発除去するも
のである。すなわち、除去速度を向上させるために、10
Torr以下の減圧下の溶鉄に酸化鉄のような酸化剤粉体を
上吹きして溶鉄を脱炭することにより、脱炭に伴って生
じる蒸発反応界面を増加させ、脱炭と同時に脱銅および
/または脱錫を行う方法であり、比較的に溶鉄の大量処
理ができる可能性のある実用的方法である。
【0006】しかしながら、これらの方法においても、
鉄スクラップのさらなる大量処理を想定した場合には脱
銅および脱錫速度は充分ではなく、処理時間の短縮なら
びに脱銅率および脱錫率の向上には限界がある。
【0007】また、減圧下で溶鉄の脱銅および脱錫を促
進する方法に、溶鉄表面をプラズマ加熱するものがあ
る。この方法では、蒸発反応界面を加熱することによ
り、脱銅および脱錫反応を促進させる。
【0008】本発明者らはさらに特開平7−12672
6号公報において、酸化剤および水素含有ガスプラズマ
を用い、水素ガスプラズマの有する反応の容易性および
反応界面の攪乱効果に着目した脱銅および脱錫方法を開
示した。
【0009】しかし、上記の水素含有ガスプラズマは、
プラズマガスが還元性であることから酸化剤の一部を還
元するために、脱炭反応を抑制し、反応界面の増大効果
を阻害する。また、水素ガス自体が爆発性を有している
ので取り扱いがむづかしく、上記方法は実用性に難点が
ある。
【0010】そこで、酸化剤による脱炭反応を用いる方
法とプラズマ加熱を用いる方法との両者の機能を併せ持
つ方法として、脱炭反応による蒸発界面の増大効果とプ
ラズマ加熱効果とを併用するもの、およびこのプラズマ
として水素含有ガスプラズマを用いるものがある。
【0011】このような併用方法では、酸化剤を溶鉄に
吹き付けて脱炭を生じさせ、反応界面の増大効果を得る
とともに、酸化剤の吹き付けによる吸熱反応で生じる局
所的な温度低下をプラズマ加熱により補償する。
【0012】本発明者らは、特開平7−126728号
公報において、溶鉄の脱炭反応を利用して脱銅および脱
錫を行う方法として、酸化剤粉体を吹き付けて脱炭が生
じている溶鉄表面および酸化剤をプラズマで加熱する方
法を開示した。これは、酸化剤によって脱炭が生じてい
る溶鉄表面をアルゴンガスプラズマで加熱し、脱銅およ
び脱錫が生じている反応界面の温度をバルク温度よりも
高くすること、ならびに反応界面周囲および酸化剤を加
熱し、酸化剤の熱容量および酸化剤の分解で生ずる吸熱
反応による脱炭反応界面周囲の局所的な温度低下を補う
ことで、脱銅および脱錫を促進させるものである。
【0013】しかし、上記の特開平7−126728号
公報の方法では、アルゴンガスにより生成されるプラズ
マが有する作用は加熱のみであり、反応界面の温度補償
により蒸発反応を促進するにすぎない。さらに、その他
の種類の不活性ガスなどによるプラズマを用いる場合の
具体的方法とその効果は、明らかになっていない。
【0014】前記の併用方法におけるプラズマとして水
素含有ガスプラズマを用いる方法では、プラズマ加熱の
効果に加えて、溶鉄表面をプラズマ加熱するときに生じ
る反応界面の攪乱効果により、さらに溶鉄からの脱銅、
脱錫が促進される(前記の特開平7−126726号公
報参照)。
【0015】しかしながら、水素含有ガスやアルゴンガ
スによるプラズマ加熱を脱炭反応と併用する方法におい
ても、鉄スクラップのさらなる大量処理を想定した場合
には次の〜のような問題点がある。
【0016】アルゴンガスプラズマを用いた場合に
は、プラズマ生成時の励起電圧が低いため、高いプラズ
マ出力を得るには大電流を要する。
【0017】従来のアルゴンガスのような不活性ガス
プラズマを用いた場合の効果は、プラズマによる脱炭反
応界面周囲の局所的な加熱の促進効果のみである。
【0018】水素含有ガスプラズマを用いた場合に
は、このプラズマが強還元性であるため、酸化剤の一部
を還元し、脱炭反応が抑制される。
【0019】実用的には、爆発性を有する水素含有ガ
スの取扱いがむづかしい。
【0020】水素含有ガスやアルゴンガスはコストが
高い。
【0021】以上のような課題を解決すれば、さらに脱
銅および脱錫速度の向上、処理時間の短縮ならびに脱銅
率および脱錫率の向上を図ることができ、酸化剤の吹き
付けとプラズマ加熱との併用方法は、より実用的なもの
となる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
を解決するためのものである。本発明の目的は、溶鉄の
脱炭を行う際に脱銅および/または脱錫反応を促進し、
短時間で高効率に脱銅および/または脱錫を行う方法を
提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の脱
銅および/または脱錫方法にある。
【0024】10Torr以下の減圧下において、酸化鉄ま
たは/および酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物からなる
酸化剤粉体を炭素を含有する溶鉄表面に吹き付けて脱炭
する際に、溶鉄から銅および/または錫を除去する方法
であって、酸化剤粉体および/または溶鉄表面を窒素含
有ガスプラズマにより加熱することを特徴とする溶鉄か
らの脱銅および/または脱錫方法。
【0025】上記の「窒素含有ガス」は、窒素濃度が望
ましくは5 vol%以上、さらに望ましくは10 vol%以
上、最も望ましくは50 vol%、残部がアルゴンおよび
不可避少量元素ガスからなるガスを意味する。窒素含有
ガス中の酸素濃度の望ましい範囲は0.1〜1000vo
lppmである。
【0026】本発明者らは、減圧下で酸化鉄または/お
よび酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物からなる酸化剤粉
体を炭素を含有する溶鉄表面に吹き付けて脱炭を行う際
に、溶鉄から脱銅、脱錫を行う方法に関して鋭意研究を
続けたところ、脱銅、脱錫反応には反応界面温度が高い
方が有利であることを見いだした。
【0027】すなわち、脱銅、脱錫反応をさらに促進す
るには、反応が生じている界面温度を極力高く維持し、
とりわけ脱炭反応が生じている近傍の溶鉄表面温度を十
分に高い状態に維持することが重要である。さらに、上
記の溶鉄表面ではなく、溶鉄表面に吹き付ける酸化剤粉
体の方を加熱すること、および溶鉄表面および酸化剤粉
体の両方を加熱することも、上記状態を維持する上で効
果がある。
【0028】このような酸化剤粉体および/または溶鉄
表面の加熱方法として、高エネルギー熱源の一つである
前記の窒素含有ガスプラズマを用いるのが好適であるこ
と、およびその効果は次の (1)〜(4) であることを知見
した。
【0029】(1)窒素は2原子分子ガスであるので、窒
素含有ガスプラズマはアルゴンガスプラズマと比較し
て、より高い出力のプラズマが得られる。すなわち、プ
ラズマ生成時の励起電圧が高く、同一電流でも高出力プ
ラズマを得ることができる。
【0030】(2)窒素含有ガスプラズマは、酸化鉄のよ
うな安定な酸化物酸化剤に対しては不活性であるため、
酸化剤を加熱しても反応しない。
【0031】(3)窒素含有ガスプラズマの有する加窒脱
窒反応(窒素がいったん過飽和状態になるまで溶鉄中に
溶解し、そののち放出される反応)の界面攪乱作用によ
って、脱銅、脱錫反応がさらに促進される。すなわち、
窒素含有ガスプラズマでは、溶鉄表面を加熱する際に、
局所的な吸窒反応と脱窒反応が生じて界面攪乱が生じる
ので、COガス気泡生成と同様な界面増大効果が得られ
る。
【0032】(4)窒素含有ガスはコストも安く、取扱い
も安全かつ容易である。
【0033】
【発明の実施の形態】図1により、本発明方法を実現す
るための装置例を説明する。図1は、本発明方法を実現
するための装置の構成例を示す高周波誘導加熱真空炉の
概略縦断面図である。真空炉1は少なくとも、上蓋2を
有する真空チャンバー3、上蓋2に備えれらた粉体上吹
きランス4およびプラズマトーチ5、真空炉1内の誘導
コイル6、排気孔7、炭素を含有する溶鉄10を収容する
容器としての耐火物8およびポーラスプラグ9から構成
される。耐火物8は、たとえば酸化マグネシウムを主成
分とするものである。なお、図1には示していないが、
上蓋2には溶鉄10の試料を採取するためのサンプラーが
取り付けられる。
【0034】本発明方法は、排気孔7を通じて図示しな
いスチームエジェクターポンプなどにより真空チャンバ
ー3内を排気、減圧して10Torr以下とし、粉体上吹き
ランス4から酸化鉄または/および酸化鉄よりも酸化力
の弱い酸化物からなる酸化剤粉体11を溶鉄10の表面に吹
き付けて溶鉄10を脱炭する際に、プラズマトーチ5から
窒素含有ガスプラズマフレーム12を発生させ、酸化剤粉
体11および/または溶鉄10の表面を加熱して脱銅および
/または脱錫を行うものである。このとき、ポーラスプ
ラグ9からアルゴンガス13などの不活性ガスを吹き込み
ながら行うのが望ましい。
【0035】粉体上吹きランス4およびプラズマトーチ
5の設置数は、図1に示すようなそれぞれ1基に限定さ
れず、いずれも複数であってもよい。このように、プラ
ズマトーチ5の設置数の条件には特に制限はない。しか
し、粉体上吹きランス4およびプラズマトーチ5の配置
や方向は、生成した窒素含有ガスプラズマフレーム12が
粉体上吹きランス4から出てきた酸化剤粉体11および/
または脱炭反応が生じる溶鉄10の表面、特に反応界面を
加熱するために、具体的には次のようにするのが望まし
い。
【0036】酸化剤粉体11のみを加熱する場合には、上
吹きランス4とプラズマトーチ5とは近接させて配置
し、酸化剤粉体11の吹き付け方向と窒素含有ガスプラズ
マフレーム12の照射方向とを、すなわち両者の通過領域
をできるだけ一致させることにより、窒素含有ガスプラ
ズマフレーム12による酸化剤粉体11の加熱時間を長くと
る。同時に、窒素含有ガスプラズマフレーム12自体の長
さが短くなるようにプラズマトーチ5を調整し、このフ
レーム12の先端が溶鉄10の表面に到達しないようにす
る。
【0037】溶鉄10の表面の反応界面のみを加熱する場
合には、酸化剤粉体11の通過領域および溶鉄10の表面の
吹き付け領域を極力小さくするとともに、これらの領域
が窒素含有ガスプラズマフレーム12の通過および加熱領
域の外縁部分に位置するようにする。
【0038】両方を加熱する場合には、酸化剤粉体11の
通過および吹き付け領域と窒素含有ガスプラズマフレー
ム12の通過および加熱領域とが極力重なって一致するよ
うにし、酸化剤粉体11が、溶鉄10の表面に到達する前か
らできるだけ窒素含有ガスプラズマフレーム12内を通過
するようにする。
【0039】プラズマトーチ5の方式には特に制約はな
いが、望ましいのは、たとえば非移行型のプラズマトー
チである。非移行型とは、溶鉄側に対極が不要であると
ともに、減圧下で熱プラズマフレームの形成が容易に可
能な型式を意味する。
【0040】酸化剤は、酸化鉄または/および酸化鉄よ
りも酸化力の弱い酸化物を用いる。
【0041】酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物は、16
00℃程度の温度で酸化鉄よりも平衡酸素分圧が低い酸
化物であればよい。このような酸化鉄もしくは酸化物、
または両者の混合物であれば、10Torr以下の減圧下に
おいて溶鉄面で酸素を解離し、脱炭反応を発生させると
ができる。
【0042】酸化鉄よりも平衡酸素分圧が低い酸化物の
代表的なものが、二酸化珪素、酸化マンガン、酸化クロ
ムおよび酸化マグネシウムなどである。また、これらの
うちの単体もしくは二種類以上の化合物または混合物で
あってもよい。
【0043】酸化剤粉体の形状については、粉体であれ
ば特に制限はないが、たとえば平均粒径の範囲が0.0
01〜0.2mm程度であれば、取扱いも容易で粉体上吹
に適している。
【0044】上吹きする酸化剤粉体量の望ましい範囲
は、合計で50〜2000 g/(min・溶鉄t)である。こ
の量は、脱炭反応速度に関わる因子で重要であるが、5
0 g/(min・溶鉄t)以上で脱銅、脱錫反応の促進に足る
脱炭量を得ることができる。一方、2000 g/(min・
溶鉄t)を超えると吹き付け量が多くなり過ぎ、バルク溶
鉄の温度が低下してしまう。
【0045】酸化剤粉体の上吹きに使用する吹き付けガ
ス(キャリアガス)の種類については、アルゴンガス、
窒素ガスなど、特に制限なく使用できる。キャリアガス
流量の範囲も、粉体上吹きが実施できれば特に制限はな
いが、たとえば溶鉄1.5tに対して上吹きランス1本
あたり100〜1000Nリットル/min が適当であ
る。
【0046】プラズマの発生に用いる窒素含有ガスは、
窒素濃度が望ましくは5 vol%以上、さらに望ましくは
10 vol%以上、最も望ましくは50 vol%、残部がア
ルゴンおよび不可避少量元素ガスからなるガスを用い
る。窒素含有ガス中の酸素濃度の望ましい範囲は0.1
〜1000volppmである。
【0047】プラズマガス中の窒素濃度を高くするほど
プラズマ励起電圧が高くなるため、同一電流あたりのプ
ラズマ出力は大きくなり、加熱能力を高めることができ
る。
【0048】窒素濃度が50 vol%以上では、窒素プラ
ズマの出力増大効果が充分に享受でき、最も好適であ
る。
【0049】窒素とバランスさせるガスは、アルゴンガ
スなどの不活性ガスであれば原理的にも特に制限はな
い。窒素含有ガス中の酸素濃度が1000volppmを超え
ると、プラズマガス自身が酸化剤として機能する割合が
高くなり、反応界面の酸素濃度が銅および錫の蒸発反応
を阻害する程度になる。一方、0.1volppm未満では工
業的に多量に製造することが困難である。
【0050】プラズマガスとして上記のような窒素含有
ガスを用いる理由をさらに詳述すると、次の (1)〜(4)
のとおりである。
【0051】(1)窒素ガスは2原子分子ガスであるの
で、窒素含有ガスプラズマはアルゴンガスプラズマと比
較して、より高いプラズマ出力が得られる。プラズマ生
成時の励起電圧が高く、同一電流でも高出力プラズマを
得ることができる。
【0052】(2)窒素含有ガスプラズマは、酸化鉄など
のような安定な酸化物酸化剤に対しては不活性であるた
め、酸化剤を加熱しても反応しない。
【0053】(3)窒素含有ガスプラズマの有する加窒脱
窒反応の反応界面攪乱作用によって、脱銅、脱錫反応が
さらに促進される。窒素含有ガスプラズマでは、溶鉄表
面を加熱する際に、局所的な吸窒反応と脱窒反応が生じ
て反応界面攪乱が生じるので、COガス気泡生成と同様
な反応界面の増大効果が得られる。
【0054】(4)コストも安く、取扱いも安全で容易で
ある。
【0055】プラズマ出力は、脱炭反応に伴う吸熱反応
を補償できる出力が必要である。酸化剤粉体の上吹によ
る吸熱量がおよそ10 kJ以上と考えられるので、非移行
型プラズマ加熱の溶鉄への見かけの着熱効率を10%とし
て、プラズマ出力は粉体上吹き1箇所あたり少なくとも
100 kWが必要となる。出力上限に原理的な制限はな
いが、たとえば溶鉄量が1.5tでは200〜1500
kW程度の出力まで実施可能である。
【0056】窒素含有ガス流量の望ましい範囲は、プラ
ズマトーチ1本あたり500〜1500Nリットル/mi
n である。この下限は、プラズマトーチ内に安定にプラ
ズマを生成できる量から決まり、装置仕様に依存するも
のである。この流量自体は、流量が少ないほど排気装置
に負担をかけることなく減圧できるので、少ない方がよ
く、さらに望ましい範囲は500〜1200Nリットル
/min である。
【0057】処理雰囲気の圧力は、脱銅および脱錫の基
本反応が蒸発であるので約1Torr程度に低くする方が望
ましいが、10Torr以下であれば、蒸発反応を維持する
ことができる。
【0058】溶鉄の温度範囲は特に制限されないが、脱
炭反応および蒸発による脱銅、脱錫反応の促進には溶鉄
温度が高いほど有利である。実用的には1550℃以上
であれば安定な処理が可能であり、1750℃以下であ
れば耐火物溶損の問題も生じない。
【0059】処理前における溶鉄中の炭素濃度の望まし
い範囲は0.1〜4mass%である。
【0060】同じく、銅および錫の濃度は限定されな
い。
【0061】本発明方法の対象となる溶鉄の種類は特に
限定されない。たとえば、通常スクラップを溶解して得
られる溶銑では酸化剤による脱炭が可能であるから、本
発明方法が適用可能である。また、本発明方法は、ニッ
ケルやクロムを多量に含んだステンレス溶鋼や高合金溶
鋼およびそれらの素溶銑にも適用可能である。鋼を対象
とする場合、必要に応じて加炭して適切な炭素濃度とし
た後に、本発明方法により脱銅、脱錫を行うことも可能
である。
【0062】本発明方法を実施する際に用いる装置は、
溶鉄の真空処理が可能な機能を有する精錬設備であれば
特に限定されない。たとえば、溶鉄処理に一般的に用い
られるRHプロセスのような炉外精錬設備、VODやV
ADのような取鍋真空脱ガス設備など、現在使用される
真空冶金プロセスに粉体上吹きランスおよびプラズマト
ーチを備えたものであれば、本発明方法が適用可能であ
る。
【0063】
【実施例】図1に示す構成の装置を用い、酸化剤粉体お
よび溶鉄表面の両方を加熱する方法で溶鉄からの脱銅、
脱錫実験を行った。ただし、粉体上吹きランスおよびプ
ラズマトーチは、鉛直方向に対してなす角度がそれぞれ
10°および12°の内向き配置とし、酸化剤粉体の通
過および吹き付け領域とプラズマフレームの通過および
加熱領域とが重なるように配置した。
【0064】スクラップなどを溶解したのちの溶鉄組成
は、mass%で銅:約0.5%、錫:約0.11%:炭
素:約0.6%、Si:約0.03%、Mn:約0.2
%、P:約0.015%、残部:鉄および不可避的不純
物である。
【0065】上記溶鉄1.5tを1650℃に加熱保持
した後、真空チャンバー内を約1Torrまで減圧した。溶
鉄の攪拌は、高周波と炉底からのアルゴンガスとによる
攪拌を併用した。
【0066】次に、この減圧下において脱炭反応を生じ
させるため、種々の酸化剤粉体を溶鉄表面に上吹した。
キャリアガスにはアルゴンガス600Nリットル/min
を用い、酸化剤粉体の上吹きを開始した。
【0067】その後、プラズマトーチおよび種々の窒素
濃度の窒素−アルゴンガスを用いてプラズマを生成さ
せ、溶鉄の吹き付け表面および酸化剤粉体を加熱しなが
ら約20分間処理した。
【0068】上吹き酸化剤粉体およびその供給量は、下
記 (1)〜(3) の三条件とした。
【0069】(1)二酸化珪素粉体:平均粒径0.1mm、
供給速度200 g/(min・t) (2)酸化マグネシウム粉体:平均粒径100μm、供給
速度100 g/(min・t) (3)二酸化珪素粉体(平均粒径100μm )と10mass
%酸化鉄粉体(平均粒径100μm)との混合粉体:供給
速度200 g/(min・t) プラズマ加熱条件は、ガス流量1000〜1200Nリ
ットル/min 、プラズマ出力300〜800 kWとし、
このときの電流値は2000Aで一定とした。
【0070】図2は、電流量が2000Aのときの、プ
ラズマガス中の窒素濃度がプラズマ出力に及ぼす影響を
示す図である。図2に示すとおり、同一電流値では、窒
素濃度が高いほど励起電圧を高くできるため、プラズマ
出力は高くなった。この効果は、窒素濃度が5 vol%で
顕在化した。プラズマ出力は、窒素濃度が10 vol%で
は約25%以上向上し、窒素濃度が50 vol%ではほぼ
倍増した。
【0071】このときの処理後の溶鉄中の銅および錫濃
度を分析し、初期の銅および錫濃度で除して脱銅率およ
び脱錫率とし、反応促進効果を調査した。
【0072】図3はプラズマガス中の窒素濃度が脱銅率
に及ぼす影響を示す図、図4は同じく脱錫率に及ぼす影
響を示す図である。図3に示すように約20分間の処理
で脱銅率は、窒素ガスを含まないアルゴンガスプラズマ
では約10%であったものが、窒素濃度が5 vol%を超
えると顕著に向上した。さらに脱銅率は、窒素濃度が1
0 vol%を超えると約15%となり、窒素濃度50 vol
%では約30%を超えた。図4に示すように約20分間
の処理で脱錫率は、窒素ガスを含まないアルゴンガスプ
ラズマでは約8%であったものが、窒素濃度が5 vol%
を超えると顕著に向上した。さらに脱錫率は、窒素濃度
が10 vol%を超えると約15%となり、窒素濃度が5
0 vol%では約25%を超えた。
【0073】
【発明の効果】本発明方法によれば、溶鉄からの脱銅お
よび/または脱錫速度を増大させ、短時間に効率的に脱
銅および/または脱錫を行うことができる。本発明方法
は、鉄スクラップの再生利用のために、除去しがたい循
環性の有害不純元素である銅および/または錫を除去す
る大量処理プロセスとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実現するための装置の構成例を示
す高周波誘導加熱真空炉の概略縦断面図である。
【図2】プラズマガス中の窒素濃度がプラズマ出力に及
ぼす影響を示す図である。
【図3】プラズマガス中の窒素濃度が脱銅率に及ぼす影
響を示す図である。
【図4】プラズマガス中の窒素濃度が脱錫率に及ぼす影
響を示す図である。
【符号の説明】
1:真空炉、 2:上蓋、3:真空チャンバ
ー、 4:粉体上吹きランス、5:プラズマトーチ、
6:誘導コイル、7:排気孔、 8:耐火物、
9:ポーラスプラグ、 10:溶鉄、11:酸化剤粉体、1
2:窒素含有ガスプラズマフレーム、13:アルゴンガス

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】10Torr以下の減圧下において、酸化鉄ま
    たは/および酸化鉄よりも酸化力の弱い酸化物からなる
    酸化剤粉体を炭素を含有する溶鉄表面に吹き付けて脱炭
    する際に、溶鉄から銅および/または錫を除去する方法
    であって、酸化剤粉体および/または溶鉄表面を窒素含
    有ガスプラズマにより加熱することを特徴とする溶鉄の
    脱銅および/または脱錫方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012153915A (ja) * 2011-01-24 2012-08-16 Jfe Steel Corp 溶銑の脱錫方法
WO2020179943A1 (ko) * 2019-03-05 2020-09-10 부경대학교 산학협력단 구리 산화물, 주석 산화물 및 납 산화물의 혼합물로부터 구리, 청동 및 납을 회수하는 방법 및 장치

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