JPH08198784A - 有機フッ素化合物の製造方法 - Google Patents

有機フッ素化合物の製造方法

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JPH08198784A
JPH08198784A JP2477895A JP2477895A JPH08198784A JP H08198784 A JPH08198784 A JP H08198784A JP 2477895 A JP2477895 A JP 2477895A JP 2477895 A JP2477895 A JP 2477895A JP H08198784 A JPH08198784 A JP H08198784A
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正則 田村
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章 関屋
Toshiro Yamada
俊郎 山田
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C17/00Preparation of halogenated hydrocarbons
    • C07C17/093Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens
    • C07C17/10Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of hydrogen atoms

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 有機フッ素化合物の新規な製造方法を提供す
る。 【構成】 炭素−炭素不飽和化合物またはシクロプロパ
ン誘導体と一水素ニフッ化ナトリウムなどのMFm(H
F)n(M:NH4、アルカリ金属またはアルカリ土類
金属、m:1、2、n:1〜10)で表される水素フッ
化物塩および四フッ化ケイ素を反応させて有機フッ素化
合物を製造する。 【効果】 取扱いの容易な固体のフッ素化剤を用いて簡
便に収率よく有機フッ素化合物を合成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素−炭素不飽和化合物
あるいはシクロプロパン化合物を出発原料として用いる
有機フッ素化合物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機フッ素化合物は高分子材料、冷媒、
医薬、農薬等、工業的に幅広く用いられている。炭素−
炭素不飽和化合物あるいはシクロプロパン化合物にフッ
化水素を付加する反応は有機化合物にフッ素を導入する
最も基本的かつ代表的な手法の一つであり、この方法で
製造された有機フッ素化合物は高分子モノマー、冷媒、
医薬、農薬等、あるいはそれらの中間生成物として有用
である。
【0003】いくつか例を挙げると、本発明の対象とす
る後記一般式(V)で表される有機フッ素化合物のう
ち、R5=R6=Hのもの(CH3CHF2)から、フッ素
樹脂のモノマーであるフッ化ビニル(CH2CHF)や
フッ化ビニリデン(CH2CF2)を製造することができ
る(フッ素の化合物、講談社、第4章、1979年)。
また、本発明の対象とする後記一般式(IV)で表され
る有機フッ素化合物のうち、R1=H、R2=R3=R4
Fのもの(CF3CH2F、HFC−134a)はフロン
代替物として用いられている(フロンの環境化学と対策
技術、季刊化学総説、11、第6章、1991年)。さ
らに、本発明の対象とする後記一般式(VI)で表され
る有機フッ素化合物のうち、R7=R11=H、R8=B
r、R9=R1 0=R12=Fのもの(CH2BrCF2CH
2)は麻酔作用をもつ(Chem.Tech.,75
3(1974))。
【0004】従来、炭素−炭素不飽和化合物あるいはシ
クロプロパン化合物からフッ化水素を付加反応させて有
機フッ素化合物を合成する方法としては、無水フッ化水
素を用いる方法と、有機アミン−フッ化水素付加体を用
いる方法が知られている(Tetrahedron,
,5329(1991))。
【0005】しかしながら、前者の無水フッ化水素は安
価であるが毒性が高く、取り扱いが難しい。しかも、基
質の重合が起こり易く選択性が低いという問題点を有し
ている(日本化学会誌、1951(1985))。ま
た、後者の有機アミン−フッ化水素付加体を用いる方法
では、例えばメラミン−フッ化水素付加体を用いる方法
(Chem.Lett.,1135(1983))など
が知られているが、このメラミン−フッ化水素付加体の
場合では特定のフッ化水素含有量(81%)に反応の極
大点を有することから、反応進行に伴う組成変動を最小
限にするために、腐食性あるフッ素化剤を基質に対して
大過剰に用いなければならず、その為に反応時の取り扱
いが困難であったり、また、これら大量のフッ化水素付
加体が液体、または有機層に溶解する為に反応後の目的
物の精製などにおいて多大な労力を要する等の欠点を有
していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記事
情に鑑み選択性に優れ且つ取り扱いが容易なフッ素化剤
を目的に鋭意検討を重ねた結果、フッ化ナトリウム、フ
ッ化カリウムなどにフッ化水素を付加させた安定な無機
−水素フッ化物塩が、炭素−炭素不飽和結合あるいはシ
クロプロパン構造に対して選択的なフッ素化能を有し、
しかも、これらの無機フッ素化剤が固体状且つ反応層に
溶解しない為に、反応操作および反応後の分離操作など
が容易である等の利点を有すること、そしてこれらの水
素フッ化物塩のフッ素化能が四フッ化ケイ素を併用する
ことで格段に向上し、少量のフッ素化剤量でも充分な目
的化合物の収率が得られることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合を
有するあるいは少なくとも一つのシクロプロパン構造を
有する基質化合物と一般式M1m(HF)n(式中、M1
はアンモニウム基、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属を示し、mはM1がアンモニウム基またはアルカリ金
属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は2、nは1〜
10の数を示す。)で表される水素フッ化物塩を反応さ
せることを特徴とする有機フッ素化合物の製造方法、お
よび分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合を
有するあるいは少なくとも一つのシクロプロパン構造を
有する基質化合物と一般式M2m(HF)n(式中、M2
は少なくとも1つの水素原子が窒素原子に結合した第4
級アンモニウム基、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属を示し、mはM2が第4級アンモニウム基またはアル
カリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は2、n
は1〜10の数を示す。)で表される水素フッ化物塩及
び四フッ化ケイ素を反応させることを特徴とする有機フ
ッ素化合物の製造方法が提供される。
【0008】本発明に使用される基質化合物としては、
分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合を有す
るもの、あるいは分子中に少なくとも一つのシクロプロ
パン環構造を有するものであれば特に制限はなく、例え
ばアルケン類、アルキン類、シクロプロパン誘導体など
が例示される。これら基質化合物の炭素数は、特に制限
はないが、通常30個以下、好ましくは2〜20個、さ
らに好ましくは3〜15個の範囲である。具体的には、
例えば一般式(I)
【化1】 (式中、R1〜R4は水素原子、ハロゲン原子、置換して
もよいアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示
し、R1とR2、R1とR3、R2とR4、及びR3とR4は結
合して環を形成してもよい。)で表されるアルケン類、
一般式(II)
【化2】 (式中R5、R6は水素原子、ハロゲン原子、置換しても
よいアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示
す。)で表されるアルキン類、一般式(III)
【化3】 (式中、R7〜R12は水素原子、ハロゲン原子、置換し
てもよいアルキル基、アリール基、またはアラルキル基
を示す。)で表されるシクロプロパン誘導体などが挙げ
られる。
【0009】これらの基質から製造される有機フッ素化
合物としては、それぞれ、一般式(IV)
【化4】 (式中、R1〜R4は前記と同じ意味を持つ。)で表され
る有機フッ素化合物、あるいは一般式(V)
【化5】 (式中、R5、R6は前記と同じ意味を持つ。)で表され
る有機フッ素化合物、あるいは一般式(VI)
【化6】 (式中、R7〜R12は前記と同じ意味を持つ。)で表さ
れる有機フッ素化合物などが例示される。
【0010】上記一般式中のR1〜R12は、水素原子、
ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、アリール
基またはアラルキル基を示し、好ましくは水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基などであり、さらに好ましくは
水素原子またはアルキル基である。
【0011】ハロゲン原子としては、例えばフッ素原
子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。アルキル基
としては、特に制限はなく、直鎖状あるいは分岐状のア
ルキル基が用いられるが、その炭素数は通常20個以
下、好ましくは2〜15個、更に好ましくは3〜10個
の範囲である。具体的には、例えば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
イソブチル基、sec−ブチル、t−ブチル基、n−ペ
ンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−
メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3
−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチ
ルペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル
基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウン
デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル
基、オクタデシル基、エイコシル基などの鎖状アルキル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチ
ル基などの環状アルキル基などを挙げられる。アリール
基またはアラルキル基としては、特に制限はないが、通
常炭素数が20個以下、好ましくは6〜15個、さらに
好ましくは6〜10個の範囲である。具体的には、フェ
ニル基、ナフチル基、ベンジル基、トリル基、キシリル
基などが例示される。
【0012】アルキル基、アリール基およびアラルキル
基の置換基としては、本反応に関与しないものであれば
特に制限はなく、例えばヒドロキシル基、カルボキシル
基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル
基、アシルオキシ基、アルキルまたはアリールスルホニ
ル基、ニトロ基、ハロゲンなどが例示される。また、一
般式(I)および(IV)におけるR1とR2、R1
3、R2とR4およびR3とR4は、結合して環を形成し
てもよく、例えば炭素数が10個以下、好ましくは1〜
8個、さらに好ましくは2〜6個の分岐してもよいアル
キレン基などとして示すことができる。このようなアル
ケン類としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シ
クロヘプテン、1−メチル−1−シクロヘキセンなどを
例示することができる。
【0013】本発明で使用される水素フッ化物塩として
は、一般式M1m(HF)nまたはM2m(HF)nで表
されるものが用いられる。式中のM1は、アンモニウム
(NH4)基、アルカリ金属またはアルカリ土類金属
で、好ましくはアンモニウム基またはアルカリ金属であ
る。式中のM2は、少なくとも1つの水素原子が窒素原
子に結合した第4級アンモニウム基、アルカリ金属また
はアルカリ土類金属で、好ましくはアンモニウム基、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属などで、さらに好ましく
はアンモニウム基、アルカリ金属などである。mは、M
(M1、M2)が第4級アンモニウム基またはアルカリ金
属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は2である。n
は、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1
〜4の範囲である。
【0014】アルカリ金属としては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが例示さ
れ、好ましくはナトリウム、カリウムなどである。アル
カリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カ
ルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが例示され、
好ましくはカルシウム、バリウムなどである。
【0015】少なくとも1つの水素原子が窒素原子に結
合した第4級アンモニウム基としては、例えば一般式N
HR3で表される。式中のRは、水素原子またはアルキ
ル基を示し、アルキル基としては前記R1のアルキル基
と同様である。かかる第4級アンモニウム基の具体例と
しては、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム
基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム
基、ジイソプロピルエチルアンモニウム基、トリメチル
アンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロ
ピルアンモニウム基、トリイソプロピルアンモニウム
基、トリブチルアンモニウム基、トリイソブチルアンモ
ニウム基、ピロリジニウム基、ピペリジニウム基、ピリ
ジニウム基、ジメチルアミノピリジニウム基、ルチジニ
ウム基およびアンモニウム(NH4)基などが例示され
る。これらの中で、第4級アンモニウム基がアンモニウ
ム基である場合の水素フッ化物塩は、反応系に溶解せ
ず、反応終了後の分離が容易となり好ましい。
【0016】水素フッ化物塩の具体例としては、例えば
一水素二フッ化ナトリウム、二水素三フッ化ナトリウ
ム、三水素四フッ化ナトリウム、四水素五フッ化ナトリ
ウムなどのナトリウム水素フッ化物塩、一水素二フッ化
カリウム、二水素三フッ化カリウム、三水素四フッ化カ
リウム、四水素五フッ化カリウムなどのカリウム水素フ
ッ化物塩、一水素二フッ化ルビジウム、二水素三フッ化
ルビジウム、三水素四フッ化ルビジウムなどのルビジウ
ム水素フッ化物塩、一水素二フッ化セシウム、二水素三
フッ化セシウム、三水素四フッ化セシウムなどのセシウ
ム水素フッ化物塩などのアルカリ金属水素フッ化物塩、
一水素三フッ化カルシウム、二水素四フッ化カルシウム
などのカルシウム水素フッ化物塩、一水素三フッ化スト
ロンチウム、二水素四フッ化ストロンチウムなどのスト
ロンチウム水素フッ化物塩、一水素三フッ化バリウム、
二水素四フッ化バリウム、四水素六フッ化バリウム、六
水素八フッ化バリウムなどのバリウム水素フッ化物塩な
どのアルカリ土類金属水素フッ化物塩、一水素二フッ化
アンモニウムなどのアンモニウム水素フッ化物塩などの
無機−水素フッ化物塩、およびトリエチルアミン−フッ
化水素、メラミン−フッ化水素などの有機アミン−水素
フッ化物などを挙げることができ、好ましくは無機−水
素フッ化物塩などであり、その中でもアルカリ金属水素
フッ化物塩、アンモニウム水素フッ化物塩など、とりわ
けナトリウム水素フッ化物塩、カリウム水素フッ化物
塩、アンモニウム水素フッ化物塩などが好ましい。これ
らは、単独、または2種以上を併用して使用することが
できる。
【0017】かかる水素フッ化物塩は、常法に従って製
造される。例えば、対応するMFmと無水フッ化水素を
混合するだけで簡便に調製され、前記一般式中のnは混
合するフッ化水素量を加減することで調製できる。調製
温度は、特に制限はないが、通常−50〜100℃、好
ましくは−20〜50℃の範囲である。
【0018】水素フッ化物塩の使用量は、基質に対し
て、通常当量以上、好ましくは1〜30当量、さらに好
ましくは2〜10当量の範囲である。
【0019】本発明においては、基質と上記M1m(H
F)nの水素フッ化物塩を反応させて有機フッ素化合物
を製造することができる。M1m(HF)nは、フリー
のフッ化水素が遊離し難い為に取り扱いが容易で、しか
も反応後も固体である為、反応終了後の目的物の分離が
容易である。このことから、反応、生成物分離、反応、
生成物分離などの繰り返し操作も容易に行うことができ
る。
【0020】また、本発明においては、上記M2m(H
F)nに四フッ化ケイ素を併用することで反応性を著し
く向上させることができる。四フッ化ケイ素は、通常ガ
ラス等のSiO2を含む安価な化合物にフッ化水素を加
えることで簡便に発生することができ、有機ケイ素化合
物の合成原料として一般に使用するものを用いることが
出来る。
【0021】四フッ化ケイ素の使用量は、特に制限はな
いが、基質に対して通常0.1〜20当量、好ましくは
0.5〜10当量、さらに好ましくは1〜5当量の範囲
である。
【0022】反応に際しては溶媒を存在させることがで
きる。溶媒としては反応に不活性であるものであれば特
に限定されず、例えばn−ペンタン、n−ヘキサンなど
の脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン
などの脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳
香族炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンなど
のハロゲン化炭化水素類などが例示される。
【0023】反応条件は、溶媒の有無、基質の種類など
によって適宜選択されるが、反応温度が通常−30〜1
00℃、好ましくは0〜60℃、さらに好ましくは15
〜50℃の範囲で、反応時間が通常1〜40時間、好ま
しくは5〜30時間、さらに好ましくは10〜20時間
の範囲である。
【0024】反応終了後、過剰のフッ素化剤などをろ過
等により分離した後、有機層に溶存している酸性成分を
中和後、有機層を濃縮するなどにより生成物が容易に単
離できる。フッ素化剤が有機アミン−水素フッ化物の場
合は、フッ素化剤が液体なので、過剰のフッ素化剤を中
和後、有機層を蒸留等することにより有機アミンとの分
離を行い生成物を単離することができる。
【0025】以下に、好ましい態様を示す。 (1)分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合
を有するあるいは分子中に少なくとも一つのシクロプロ
パン構造を有する基質化合物と一般式M1m(HF)n
(式中、M1はアンモニウム基、アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属を示し、mはM1がアンモニウム基また
はアルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は
2、nは1〜10の数を示す。)で表される水素フッ化
物塩を反応させることを特徴とする有機フッ素化合物の
製造方法。 (2)分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不飽和結合
を有するあるいは少なくとも一つのシクロプロパン構造
を有する基質化合物と一般式M2m(HF)n(式中、
2は少なくとも1つの水素原子が窒素原子に結合した
第4級アンモニウム基、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属を示し、mはM2が第4級アンモニウム基または
アルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は
2、nは1〜10の数を示す。)で表される水素フッ化
物塩及び四フッ化ケイ素を反応させることを特徴とする
有機フッ素化合物の製造方法。 (3)基質化合物がアルケン類、アルキン類またはシク
ロプロパン誘導体である。 (4)基質化合物の炭素数が30個以下、好ましくは2
〜20個、さらに好ましくは3〜15個の範囲である。 (5)基質化合物が一般式(I)
【化7】 (式中、R1〜R4は水素原子、ハロゲン原子、置換して
もよいアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示
し、R1とR2、R1とR3、R2とR4、及びR3とR4は結
合して環を形成してもよい。)で表されるアルケン類で
あり、生成物が一般式(IV)
【化8】 (式中、R1〜R4は上記と同じ意味を持つ。)で表され
る有機フッ素化合物である。 (6)基質化合物が一般式(II)
【化9】 (式中、R5、R6は水素原子、ハロゲン原子、置換して
もよいアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示
す。)で表されるアルキン類であり、生成物が一般式
(V)
【化10】 (式中、R5、R6は上記と同じ意味を持つ。)で表され
る有機フッ素化合物である。 (7)基質化合物が一般式(III)
【化11】 (式中、R7〜R12は水素原子、ハロゲン原子、置換し
てもよいアルキル基、アリール基またはアラルキル基を
示す。)で表されるシクロプロパン誘導体であり、生成
物が一般式(VI)
【化12】 (式中、R7〜R12は上記と同じ意味を持つ。)で表さ
れる有機フッ素化合物である。 (8)アルキル基の炭素数が20個以下、好ましくは2
〜15個、さらに好ましくは3〜10個の範囲でる。 (9)アリール基およびアラルキル基の炭素数が20個
以下、好ましくは2〜15個、さらに好ましくは3〜1
0個の範囲でる。 (10)水素フッ化物塩がM1m(HF)nまたはM2
m(HF)nである。 (11)nが1〜6、さらに好ましくは1〜4の範囲で
ある。 (12)M1がアンモニウム基またはアルカリ金属であ
る。 (13)M2がアンモニウム基、アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属であり、さらに好ましくはアンモニウム
基またはアルカリ金属である。 (14)アルカリ金属がナトリウムまたはカリウムであ
る。 (15)水素フッ化物塩の使用量が、基質に対して1当
量以上、好ましくは1〜30当量、さらに好ましくは2
〜10当量の範囲である。 (16)四フッ化ケイ素の使用量が、基質に対して0.
1〜20当量、好ましくは0.5〜10当量、さらに好
ましくは1〜5当量の範囲である。
【0026】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。尚、生成物の収率は、基質化合物に対するモル%
を示した。
【0027】実施例1 ストップバルブとステンレススチール反応管よりなる反
応容器に一水素二フッ化カリウム(KHF2)(471
mg、6.0mmol)をいれ、次いで真空ラインを用
いてシクロヘキセン(2.0mmol)と四フッ化ケイ
素(SiF4)(4.0mmol)を加え、室温で16
時間振とうした。揮発成分を、フッ化ナトリウム(0.
9g、21mmol)をいれた反応容器に移し、さらに
室温で1.5時間振とうしたのち、高真空下(10-3
10-4mmHg)、−20℃、−60℃、−196℃で
トラップ・ツー・トラップ精製蒸留を行い、−60℃で
トラップされるフルオロシクロヘキサン(1.45mm
ol、収率73%)を単離した。生成物は1H−NMR
スペクトル、19F−NMRスペクトル、およびIRスペ
クトルにより同定した。
【0028】IR:2949、2870、1460、1
372、1065、1027、963、954 cm-1
【0029】1H−NMR(CDCl3、TMS) δ:
1.3−2.0(m、10H)、4.57(dm、J2
=48.8Hz、1H)
【0030】19F−NMR(CDCl3、CFCl3
φ:173.3(br)
【0031】実施例2 基質としてシクロヘキセンの代わりにプロペン(1.0
mmol)を用いる以外は実施例1と同様に反応を行っ
た。トラップ・ツー・トラップの精製蒸留は、高真空下
(10-3〜10-4mmHg)、−60℃、−134℃、
−196℃で行い、−134℃でトラップされる2−フ
ルオロプロパン(0.51mmol、収率51%)を得
た。生成物は1H−NMRスペクトル、19F−NMRス
ペクトル、およびIRスペクトルにより同定した。
【0032】IR:2989、2934、1456、1
395、1384、1138、943、819cm-1
【0033】1H−NMR(CDCl3、TMS) δ:
1.33(dd、J=6.1、23.6Hz、6H)、
4.83(d・sept、J2=48.5、J7=6.1
Hz、1H)
【0034】19F−NMR(CDCl3、CFCl3
φ:165.9(d・sept、J2=47.2、J7
23.6Hz)
【0035】実施例3 基質としてシクロヘキセンの代わりに2,3−ジメチル
−2−ブテン(2.0mmol)を用いる以外は実施例
1と同様に反応を行った。トラップ・ツー・トラップの
精製蒸留は、高真空下(10-3〜10-4mmHg)、−
60℃、−97℃、−196℃で行い、−97℃でトラ
ップされる2−フルオロ−2,3−ジメチルブタン
(1.82mmol、収率91%)を得た。生成物は1
H−NMRスペクトル、19F−NMRスペクトル、およ
びIRスペクトルにより同定した。
【0036】IR:2988、2904、1473、1
385、1165、1104、904、851cm-1
【0037】1H−NMR(CDCl3、TMS) δ:
0.93(d、J=6.9Hz、6H)、1.28
(d、J=22.1Hz、6H)、1.86(d・se
pt、J2=11.9、J7=6.9Hz、1H)
【0038】19F−NMR(CDCl3、CFCl3
φ:140.3(d・sept、J2=12.9、J7
22.1Hz)
【0039】実施例4 ストップバルブとステンレススチール反応管よりなる反
応容器にKHF2(473mg、6.1mmol)をい
れ、次いで真空ラインを用いて2−ブチン(1.0mm
ol)とSiF4(4.0mmol)を加え、室温で1
7時間振とうした。揮発成分を、フッ化ナトリウム
(0.9g、21mmol)をいれた反応容器に移し、
さらに室温で1.5時間振とうしたのち、高真空下(1
-3〜10-4 mmHg)、−60℃、−134℃、−1
96℃でトラップ・ツー・トラップ精製蒸留を行い、−
134℃でトラップされる2,2−ジフルオロブタン
(0.61mmol、収率61%)を得た。生成物は1
H−NMRスペクトル、19F−NMRスペクトル、およ
びIRスペクトルにより同定した。
【0040】IR:2995、2960、2902、1
474、1398、1358、1246、1201、1
044、924cm-1
【0041】1H−NMR(CDCl3、TMS) δ:
1.02(t、J=7.6Hz、3H)、1.57
(t、J=18.3Hz、3H)、1.86(tq、J
3=15.7、J7=7.6Hz、2H)
【0042】19F−NMR(CDCl3、CFCl3
φ:93.1(tq、J3=15.7、J4=18.4H
z)
【0043】実施例5 ストップバルブとステンレススチール反応管よりなる反
応容器にKHF2(473mg、6.1mmol)をい
れ、次いで真空ラインを用いてシクロプロパン(2.0
mmol)とSiF4(4.0mmol)を加え、室温
で16時間振とうした。揮発成分を、フッ化ナトリウム
(0.8g、20mmol)をいれた反応容器に移し、
室温で1.5時間振とうしたのち、高真空下(10-3
10-4mmHg)、−60℃、−123℃、−196で
トラップ・ツー・トラップ精製蒸留を行い、−123℃
でトラップされる1−フルオロプロパン(1.90mm
ol、収率95%)を得た。生成物は1H−NMRスペ
クトル、19F−NMRスペクトル、およびIRスペクト
ルにより同定した。
【0044】IR:2977、2963、1474、1
399、1060、966cm-1
【0045】1H−NMR(CDCl3、TMS) δ:
0.98(t、J=7.4Hz、3H)、1.72(d
tq、J2=24.4、J3=6.3、J4=7.4H
z、2H)、2.40(dt、J2=47.5、J3
6.3Hz、2H)
【0046】19F−NMR(CDCl3、CFCl3
φ:219.0(tt、J=23.7、47.3Hz)
【0047】実施例6 ストップバルブとステンレススチール反応管よりなる反
応容器に一水素二フッ化ナトリウム(375mg、6.
1mmol)をいれ、次いで真空ラインを用いてシクロ
ヘキセン(2.0mmol)とSiF4(4.0mmo
l)を加え、室温で16時間振とうした。反応混合物か
ら四塩化炭素で生成物を抽出し、無水炭酸ナトリウムで
乾燥した。この溶液の1H−NMRスペクトル、および
19F−NMRスペクトルを測定したところ、フルオロシ
クロヘキサンが生成しており、その収率は33%である
ことがわかった。この収率はベンゾトリフルオリドを内
部標準として19F−NMRスペクトルから決定した。
【0048】実施例7 水素フッ化物塩として一水素二フッ化ナトリウムの代わ
りに一水素二フッ化アンモニウム(6.2mmol)を
用いる以外は実施例6と同様に行い、フルオロヘキサン
(収率74%)を得た。
【0049】実施例8 ストップバルブとポリクロロトリフルオロエチレン製反
応管よりなる反応容器に四水素五フッ化カリウム(KH
45)(1.43g、10.4mmol)をいれ、次い
で真空ラインを用いて2−ブチン(2.9mmol)と
SiF4(3.0mmol)を加え、室温で16時間振
とうした。揮発成分を、フッ化ナトリウム(1.77
g、42mmol)をいれた反応容器に移し、さらに室
温で0.5時間振とうしたのち、実施例4と同様の精製
蒸留を行い、2,2−ジフルオロブタン(収率58%)
を得た。
【0050】実施例9 ストップバルブとポリクロロトリフルオロエチレン製反
応管よりなる反応容器にKH45(1.22g、8.8
mmol)を入れ、次いで真空ラインを用いて2−ブチ
ン(2.9mmol)を加え、室温で16時間振とうし
た。揮発成分を、フッ化ナトリウム(1.56g、87
mmol)をいれた反応容器に移し、さらに室温で1.
6時間振とうしたのち、高真空下(10-3〜10-4mm
Hg)で精製蒸留を行い、2,2−ジフルオロブタン
(収率5%)を得た。この収率はトリクロロフルオロメ
タンを内部標準として19F−NMRスペクトルから決定
した。
【0051】
【発明の効果】本発明を実施することにより、安価で、
取り扱いの容易なフッ素化剤を用いて、炭素−炭素不飽
和化合物あるいはシクロプロパン化合物から炭素陽イオ
ンがより安定に生成する位置にフッ素原子を選択的に導
入した有機フッ素化合物、例えば、1−アルケンからは
2−フルオロ化合物を、1−アルキンからは2,2−ジ
フルオロ化合物を製造することができる。特に、フッ素
化剤として一水素二フッ化素カリウム、一水素二フッ化
アンモニウムなどの無機−水素フッ化物塩を用いる場合
は、無機−水素フッ化物塩が固体状態で反応層に溶解し
ない為に、反応後の反応混合物からの分離が容易で、そ
の後の反応生成物の単離が容易となる。また、フッ素化
剤に加えて四フッ化ケイ素を併用することで、フッ素化
能が格段に向上し、フッ素化剤の少量の使用量でも充分
に高い収率で目的化合物を得ることができる。これら得
られる有機フッ素化合物は、高分子モノマー、冷媒、医
薬、農薬等、あるいはそれらの中間生成物として有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関屋 章 茨城県つくば市東一丁目一番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 山田 俊郎 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不
    飽和結合を有するあるいは少なくとも一つのシクロプロ
    パン構造を有する基質化合物と一般式M1m (HF)n
    (式中、M1はアンモニウム基、アルカリ金属またはア
    ルカリ土類金属を示し、mはM1がアンモニウム基また
    はアルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は
    2、nは1〜10の数を示す。)で表される水素フッ化
    物塩を反応させることを特徴とする有機フッ素化合物の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 分子中に少なくとも一つの炭素−炭素不
    飽和結合を有するあるいは少なくとも一つのシクロプロ
    パン構造を有する基質化合物と一般式M2m (HF)n
    (式中、M2は少なくとも1つの水素原子が窒素原子に
    結合した第4級アンモニウム基、アルカリ金属またはア
    ルカリ土類金属を示し、mはM2が第4級アンモニウム
    基またはアルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の
    場合は2、nは1〜10の数を示す。)で表される水素
    フッ化物塩及び四フッ化ケイ素を反応させることを特徴
    とする有機フッ素化合物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014185111A (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Nippon Zeon Co Ltd 高純度2,2−ジフルオロブタン

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