JPH08196142A - 構造物の緑化工法 - Google Patents

構造物の緑化工法

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JPH08196142A
JPH08196142A JP7012072A JP1207295A JPH08196142A JP H08196142 A JPH08196142 A JP H08196142A JP 7012072 A JP7012072 A JP 7012072A JP 1207295 A JP1207295 A JP 1207295A JP H08196142 A JPH08196142 A JP H08196142A
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Kenichi Miyamori
健一 宮守
Kazuaki Oikawa
和明 笈川
Naoki Yazawa
直樹 矢澤
Miki Aoyama
幹 青山
Yoshimasa Hayashi
好正 林
Osao Hori
長生 堀
Haruka Ogawa
晴果 小川
Kozo Shioda
耕三 塩田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不織布自体の定着を図るとともに、植生が樹
木である場合に自立性を保持し、転倒を防止できるよう
にする。 【構成】 屋上スラブ1の上面に防水層2を介して設置
された押さえコンクリート3と、押さえコンクリート3
の周囲に配置された縁取用の枠部4と、枠部4内に複数
層積層配置される植生用の不織布5とを備え、不織布5
を貫通して下端を前記押さえコンクリート3に固定さ
れ、かつ上端に不織布5の表層に設置されるフランジ部
8を設けた多数のアンカー体7により、不織布5を押さ
えコンクリート上3に定着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、緑化すべき構造物の
屋上等に植生を施すための土壌として不織布を用いた場
合における浮き上がりを防止した緑化工法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、ビルなどの屋上やバルコニーに植
生を施すことにより、都市部に不足する緑を拡大する方
法が開発されている。この緑化用土壌として通常の土を
用いた場合には潅水量に応じて屋上等に相当大きな荷重
が加わるため、新築の建築物ではこれらの荷重に耐えら
れる構造の躯体を予め設計して構築しなければならず、
建設費の上昇に繋がる。また、既存建築物の場合にはそ
の耐荷重は予め定まってしまっているため、耐荷重向上
のために新たな改良を施すか、場合によっては植栽を断
念する場合もある。
【0003】したがって、従来では各種軽量土壌を用い
ることによって、少しでも荷重の増加を軽減することが
行われているが、それでも20cm厚当たりの荷重は1
20〜280Kg/m2 の荷重増となる。さらには土壌に
よる排水口の目詰まりや、風散等による汚染等の問題も
あった。
【0004】これに対し、土に代えて不織布を植生に用
いることも提案されている。このものは前記軽量土壌に
比べてその荷重が1/5〜1/10程度と軽量であり、
保水、保肥性に優れ、根張りを妨げることがなく、しか
も排水孔の目詰まりや風散がなくまた土壌交換も容易に
行なえる利点があり、適度な潅水システムと組み合わせ
ることにより、植栽が可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、不織布
は軽量であるがゆえに、風等の煽りを受けて浮き上がる
惧れがあり、また灌木のごとき低木を植生した場合には
自立性を十分に確保することができず、強風などにより
移動したり転倒する虞れがある。したがって、該種不織
布は実際には専ら芝生または花壇程度にしか利用できな
かった。
【0006】この発明は以上の問題を解決するものであ
って、その目的は、不織布自体の定着を図るとともに、
植生が樹木である場合に自立性を保持し、転倒を防止で
きるようにした構造物の緑化工法を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明の構造物の緑化工法は、緑化すべき構造物
の上面に一層または複数層積層配置される植生用の不織
布を備え、該不織布を貫通して下端を前記構造物上面に
固定され、かつ上端に前記不織布の表層に設置されるフ
ランジ部を設けた一または複数のアンカー体により、前
記不織布を該構造物の上面に定着することを特徴とする
(請求項1)。
【0008】また、この発明の構造物の緑化工法は、緑
化すべき構造物の上面に一層または複数層積層配置され
る植生用の不織布を備え、該不織布を接着剤により前記
構造物上面に定着することを特徴とする(請求項2)。
【0009】
【作用】以上の構成によれば、植生用の不織布はアンカ
ー体によって構造物上面に定着される。また、樹木等の
植生では、その幹と前記アンカー体間を少なくとも3カ
所番線などの支持線により結線すれば自立性が確保され
る。
【0010】また、請求項2の構成を採用した場合に
は、簡易に不織布の定着を行うことができる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面を用いて詳
細に説明する。図1(a)〜(d)はこの発明にかかる
構造物の緑化工法をコンクリート構造物に適用した例の
施工手順を示すものである。
【0012】まず(a)において、屋上スラブ1(コン
クリート構造物)の上面に防水層2を介して設置された
押さえコンクリート3と、押さえコンクリート3の周囲
に配置された縁取用の花壇レンガなどからなる枠部4に
よって造園部が造成される。押えコンクリート3にはア
ンカー定着部3aが縦横適宜間隔をおいて形成されてい
る。さらに枠部4の下部には適宜間隔をおいて排水孔4
aが開口されている。この造園部の平面形状や面積等は
屋上造園計画に応じて適宜設定できるが、後述する不織
布や植生、潅水を施した場合における総合重量と、建物
の耐荷重を考慮して設定される。
【0013】造園部の造成後は、図1(b)に示すよう
に枠部4の天端近傍まで不織布5を複数層積層し、枠部
4の内部を充填する。この積層厚みは植物の種類によっ
ても異なるが、少くとも該当する植物の成長や根張りに
支障のない深さに対応する厚みに計画される。
【0014】なお、不織布5は、一般にその密度や製造
方法によって形状が異なり、図2(a)に示すように柔
らかいフェルト状の不織布5はロール状をなした状態で
供給されるか、図2(b)に示すように、密度が高く剛
性の高い不織布5である場合には、例えば2×6尺等の
定尺もののボード状で供給される。
【0015】いずれの形態の不織布5であっても、現場
で展張しつつ水平に敷設し、カッターなどにより切断し
て造園部の形状に合わせながら敷設作業が行なわれる。
また、これらの不織布5を土壌の縦分布等に応じて組合
わせて敷設することもできる。さらには必要に応じて不
織布5の層間に散水システムなどの散水管や施肥管も同
時に埋設することもできる。
【0016】また、敷設作業時において、同一の層の隣
り合う不織布5間で段差を生ずることを防止するため
に、図1(b)及び図3に示すように、目違い防止治具
6を接合縁に介在する。
【0017】目違い防止治具6はボード状不織布5の四
隅の接合縁に介在されるものであって、上下フランジ部
6a間を十字形の仕切板6bで連結した形態である。ま
た、辺同士の接合縁の場合には上下フランジ部を−字形
仕切板で連結した目違い防止治具が用いられる。また、
この目違い防止治具6によって水平状態を維持した後、
接着剤等により接合縁を仮止め接着し、一体化すること
によって段差が生ずることを確実に防止できる。
【0018】不織布5の敷設及び積層作業が完了した後
は、図1(c)に示すようにアンカー7を各不織布5の
層を貫通させて打ち込み、押えコンクリート3に形成さ
れたアンカー定着部3aに先端を固定する。アンカー7
の上端部にはフランジ部8が設けられ、このフランジ部
8が表層の不織布5に設置されることでこれを押え、不
織布5は造園部内に層をなして定着される。
【0019】なお、不織布5が柔らかく強度,剛性の低
いフェルト等でできている場合にはそのままではフラン
ジ部8による定着ができないため、この場合には、図4
に示すように不織布5の表面にメッシュシート9を敷設
してからアンカー7,フランジ部8を固定すれば良い。
【0020】以上の造成作業の終了後、図1(d)に示
すように樹木10の植生を行なう。この場合は種蒔き、
発根したさし木の移植、または成長樹木の移植等の種々
の方法がある。例えば芝生等の移植の場合には所定面積
に揃えたものを単に敷設し、竹釘などによって不織布5
上に定着し、潅水を行なえば作業が完了する。
【0021】また、特に不織布5は現場での加工が容易
であることから、種撒きまたはさし木の移植の場合に
は、図5(a)に示すように、植え付け部分を十字形に
クロスカットし、このクロスカット部分11の中心にさ
し木(種子)10aを差込み、次いで図5(b)に示す
ようにクロスカット部分11を融着または接着などによ
り閉じれば、さし木(種子)10aを定着させることが
できる。
【0022】また成長樹木を移植する場合には、図6
(a)に示すように、不織布5の移植部位に切抜きによ
り開口部12aを形成するとともに、予め不織布上で育
成した樹木10bの根元部分の周囲を前記開口部12a
の大きさにカットしておき、このカット部分12bを図
6(b)に示すように開口部12aに嵌めつけ、次いで
この継ぎ目部分を熱融着や接着により閉じ合わせれば、
樹木10bの移植を行なうことができる。
【0023】なお、成長樹木10bの場合には、根張り
が十分でない場合、不織布5では転倒モーメントを支え
切れないことから、図7に示すようにその幹と前記アン
カー体7のフランジ部8間を少なくとも3カ所番線など
の支持線14により結線しておくことで樹木10bの自
立性を確保できる。
【0024】以上説明した植生の種類やその配植につい
ては、施主の好みに応じた造園計画に応じて行なわれる
が、特に高層ビル等の屋上部では風,雨及び日射等が顕
著であるから、これらの厳しい気象条件に適合する種類
が選択される。
【0025】なお、本願発明は上記実施例のものに限定
されず、種々の変更が可能である。例えば、上記実施例
では、複数のアンカー体を用いたが一つでもよく、不織
布も複数層積層することなく一層でもよい。しかも、ア
ンカー体によるコンクリート構造物上面への不織布の定
着に限定されず、該不織布を接着剤によりコンクリート
構造物等の構造物上面に定着することにより、定着を簡
易に行うことができる。この場合、全てのアンカー体を
接着剤に代えてもよいし、一部のみを接着剤に代えても
よい。
【0026】また、上記実施例では、構造物の上面に防
水層を介して押えコンクリートを設置したが、防水層、
押えコンクリートは必ずしも必要ではなく、この場合は
アンカー体の下端が構造物上面に直接固定されることに
なり、また縁取用の枠部も必要に応じて配置すればよ
い。
【0027】さらに、構造物としてコンクリート構造物
を例示したが、この発明は、コンクリート構造物に限定
されず、例えば木製構造物、鋼製構造物等の他の構造物
であっても、緑化すべき対象物であれば適用することが
できることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】以上実施例によって詳細に説明したよう
に、この請求項1に係る構造物の緑化工法にあっては、
不織布は構造物上面に固定されるので、軽量土壌を用い
た場合に比べてその荷重が全体として1/5〜1/10
に低減し、建築物の耐荷重を軽減でき、既存建物に植生
を施す場合に有利である。また、樹木等の植生では、そ
の幹とアンカー体間を少なくとも3カ所番線などの支持
線により結線しておくことで自立性が確保されるため、
風等の煽りを受けて浮き上がる惧れがなく、低木を植生
する場合の自立性も十分に確保することができる利点が
ある。
【0029】また、請求項2にかかる構造物の緑化工法
にあっては、接着剤を用いることにより簡易に不織布を
構造物上面に定着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)はこの発明による緑化工法の施
工手順を示す断面図である。
【図2】(a),(b)は不織布の形状例を示す斜視図
である。
【図3】目違い防止治具の配置を示す斜視図である。
【図4】不織布の表層をメッシュシートで覆った場合を
示す斜視図である。
【図5】(a),(b)はさし木の移植手順を示す斜視
図である。
【図6】(a)〜(c)は成長樹木の移植及手順を示す
斜視図である。
【図7】成長樹木の支持構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 屋上スラブ(構造物) 2 防水層 3 押えコンクリート 3a アンカー定着部 4 枠体 5 不織布 6 目違い防止治具 7 アンカー 8 フランジ部 10 樹木 14 支持線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笈川 和明 千葉県印旛郡印西町小倉台4−1−4− 401 (72)発明者 矢澤 直樹 東京都品川区東品川3−17−25−415 (72)発明者 青山 幹 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内 (72)発明者 林 好正 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内 (72)発明者 堀 長生 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内 (72)発明者 小川 晴果 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内 (72)発明者 塩田 耕三 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緑化すべき構造物の上面に一層または複
    数層積層配置される植生用の不織布を備え、該不織布を
    貫通して下端を前記構造物上面に固定され、かつ上端に
    前記不織布の表層に設置されるフランジ部を設けた一ま
    たは複数のアンカー体により、前記不織布を該構造物の
    上面に定着することを特徴とする構造物の緑化工法。
  2. 【請求項2】 緑化すべき構造物の上面に一層または複
    数層積層配置される植生用の不織布を備え、該不織布を
    接着剤により前記構造物上面に定着することを特徴とす
    る構造物の緑化工法。
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