JPH08186379A - 積層セラミック回路基板 - Google Patents

積層セラミック回路基板

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JPH08186379A
JPH08186379A JP32644494A JP32644494A JPH08186379A JP H08186379 A JPH08186379 A JP H08186379A JP 32644494 A JP32644494 A JP 32644494A JP 32644494 A JP32644494 A JP 32644494A JP H08186379 A JPH08186379 A JP H08186379A
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JP
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conductor
ceramic
film
substrate
coating film
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JP32644494A
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English (en)
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Tsutomu Oda
勉 小田
Yuzuru Matsumoto
譲 松本
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 積層体基板の内部に形成される回路構成の目
的に応じて、厚みの異なる複数種類のセラミック層を安
定的に積層した積層セラミック回路基板を提供する。 【構成】 光硬化可能なモノマーを有するセラミックス
リップ材の塗布・印刷・乾燥処理してセラミック層1a
〜1eとなる塗布膜を形成して、ビアホール導体3とな
る貫通凹部を形成するために、塗布膜の選択的な露光処
理・現像処理して、塗布膜上に、導電性ペーストの印刷
・乾燥処理して、貫通凹部にビアホール導体3となる導
体を充填するとともに、内部導体パターン2となる導体
膜を形成して、焼成処理した積層セラミック回路基板1
であって、前記セラミック層1a〜1eは異なる複数種
類の厚み成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数種類の厚みのセラ
ミック層を積層して成る積層体基板の内部に内部導体パ
ターンを形成して成る積層セラミック回路基板に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、積層セラミック回路基板を構成す
る積層体基板は、ビアホール導体となる導体が充填さ
れ、且つ表面に内部導体パターンとなる導体膜が形成さ
れたグリーンシートを、積層構造に応じて積層熱圧着を
行い、焼成を行い、焼成された積層体基板に表面配線パ
ターンを焼きつけ処理するグリーンシート多層方法があ
った。
【0003】また、積層セラミック回路基板を構成する
別の製造方法として、印刷多層方法がある。この方法
は、支持基板上にセラミック層となる塗布膜、内部導体
パターン及びビアホール導体となる導体膜を順次積層印
刷して形成して、焼成を行い、焼成された積層体基板に
表面配線パターンを焼きつけ処理する印刷多層方法があ
った。
【0004】通常、積層セラミック回路基板の内部導体
パターンは、所定回路を構成するための配線パターンと
して用いられていたが、所定回路の効率化などを考慮し
て、内部導体パターンとして、配線パターンのみなら
ず、容量電極パターン、マイクロストリップ導体パター
ン、コイルパターンなどに用いることが要求されてい
る。
【0005】例えば、回路配線として用いる場合、配線
パターンを挟持するセラミック層の厚みは、絶縁特性を
考慮して100μm以上にする必要があり、また、1対
の対向容量電極パターンとして用いる場合、1対の対向
容量電極パターン間に挟持されるセラミック層は、高い
容量を得るために、例えば20μm程度と非常に薄くす
るに設定する必要があり、また、マイクロストリップ導
体パターンとして用いる場合、マイクロストリップ導体
パターンと対向するアース導体膜との間のセラミック層
の厚みを充分に離し、例えば200〜350μm程度に
する必要があった。
【0006】即ち、積層セラミック回路基板の内部導体
パターンが単一目的、例えば配線パターンのみとして用
いるのであれば、全てのセラミック層の厚みは、その目
的に応じて、その厚みを同一に設定すればよいが、積層
セラミック回路基板の内部に複数の目的のためのパター
ンを形成すれば、夫々のパターンを挟持するセラミック
層の厚みを、その目的に応じて複数種類の厚みのセラミ
ック層が必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】例えば、グリーンシー
ト多層方法による積層セラミック回路基板の場合、厚み
の異なる複数種類のグリーンシートを予め作成してお
き、配線パターンの目的の応じて、夫々の厚みの異なる
グリーンシートを選択的に用いていた。
【0008】しかしながら、このグリーンシート多層方
法による積層セラミック回路基板では、厚みの異なるグ
リーンシートを複数種類用意してなれはならず、また、
基準となるグリーンシートでもって厚みの厚いセラミッ
ク層に対応するために複数積層して構成する場合、全て
のクリーンシートに少なくともビアホール導体を形成し
なくてはならず、印刷処理などの作業数が増加してしま
い、また、ビアホール導体間の接続信頼性が大きく低下
してしまう。
【0009】また、印刷多層方法による積層セラミック
回路基板の場合、支持基板上に印刷されるセラミック層
の塗布膜の厚みは、100μm程度が限界であり、例え
ば、重ね印刷を行いセラミック層となる塗布膜を厚くす
ると、内部導体パターン間を接続するビアホール導体に
相当する接続部がセラミックペーストのダレにより狭く
なり、接続信頼性が低下してしまうためである。また、
セラミック層となると塗布膜と内部導体パターンとなる
導体膜を交互に印刷して重畳させるため、表面に近くな
る塗布膜、導体膜の印刷表面が、下部に形成した所定形
状の塗布膜や導体膜などに影響されて凹凸となり、塗布
膜の厚みの制御や導体膜の形状の制御が充分に行えなく
なるという問題がなった。
【0010】本発明は上述の問題点に鑑みて案出された
ものであり、その目的は、積層体基板の内部に形成され
る回路構成の目的に応じて、厚みの異なる複数種類のセ
ラミック層を安定的に積層でき、これにより、積層基板
の回路に任意の受動素子または能動素子を簡単に構成す
ることができ、しかも、その動作を安定化させる積層セ
ラミック回路基板を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、(1)
光硬化可能なモノマーを有するセラミックスリップ材の
塗布・乾燥処理よってセラミック層となる塗布膜を形成
する工程、(2)前記塗布膜に選択的な露光処理・現像
処理を施すことよって塗布膜に貫通孔を形成する工程、
(3)前記塗布膜上に及び貫通孔内に、導電性ペースト
を印刷・充填・乾燥処理して、塗布膜上に内部導体パタ
ーとなる導体膜を形成するとともに、貫通孔内にビアホ
ール導体となる導体を形成する工程、の各工程(1)〜
(3)を順次繰り返えして、支持基板上に積層体基板を
形成するとともに、前記支持基板上から前記積層体基板
を剥離して、焼成処理を行い、複数のセラミック層を積
層して成る積層体基板内に、内部導体パターン、ビアホ
ール導体から成る所定回路を配置して成る積層セラミッ
ク回路基板であって、前記積層体基板は、厚みの異なる
複数のセラミック層で構成されている積層セラミック回
路基板である。
【0012】
【作用】本発明の積層セラミック回路基板によれば、セ
ラミック層は、光硬化可能なモノマーを有するセラミッ
クスリップ材の塗布によって、支持基板上や内部導体パ
ターンとなる導体膜を覆うように先の工程で形成したセ
ラミック層となる塗布膜上に形成される。
【0013】従って、セラミック層となる塗布膜の厚み
は、スリップ材の塗布に用いられるスキージやブレード
などの高低制御により簡単に調整することができる。ま
た、その塗布膜の表面が平滑化されるため、塗布膜上に
形成する内部導体パターンの形状などの制御が非常に簡
単になる。
【0014】また、内部導体パターン間を接続するビア
ホール導体は、上述のセラミック層となる塗布膜に、選
択的に露光・現像処理によって、貫通穴を形成し、この
貫通穴に導電性ペーストを充填して形成される。
【0015】従って、積層体基板の内部導体パターン間
の接続を、セラミック層の厚みに係わりなく確実に接続
することができる。
【0016】即ち、内部導体パターンを配線パターンに
用いる場合、セラミック層の厚みを絶縁特性に応じて例
えば100μm前後に設定することが非常に簡単とな
り、また、内部配線パターンを容量電極パターンに用い
る場合、容量電極パターン間のセラミック層の厚みを容
量特性に応じて例えば20μm前後に設定することが非
常に簡単となり、また、内部配線パターンをマイクロス
トリップ線路パターンに用いる場合、マイクロストリッ
プ線路パターンとアース導体膜との間のセラミック層の
厚みを共振周波数に応じて例えば350μm前後に設定
することが非常に容易である。しかも、これらの複合的
な動作を行うパターンを並設する場合、各セラミック層
を動作目的に応じて異なる厚みのセラミック層を形成す
ることができる。
【0017】結局、積層体基板の内部に種々の動作目的
の内部導体パターンを形成しても、動作作目的に応じた
最適な厚みのセラミック層が簡単、且つ確実に形成で
き、その積層体基板に内層した所定回路の動作が安定し
た積層セラミック回路基板となる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の積層セラミック回路基板を図
面に基づいて説明する。
【0019】図1は、本発明に係る積層セラミック回路
基板の断面図である。
【0020】図1において、10は積層セラミック回路
基板であり、積層セラミック回路基板10は、内部に所
定回路が形成された積層体基板1から成り、必要に応じ
て積層体基板1の主面に表面配線パターン4、5、厚膜
抵抗体膜6、保護膜を形成し、さらに、表面配線パター
ン4、5上に接合した各種電子部品7などから構成され
ている。
【0021】積層体基板1はセラミック層1a〜1e、
内部導体パターン2、ビアホール導体3とから成り、所
定回路が内層されている。
【0022】セラミック層1a〜1eは、例えば850
〜1050℃前後の比較的低い温度で焼成可能にするガ
ラス−セラミック材料からなる。具体的なセラミック材
料としては、クリストバライト、石英、コランダム(α
アルミナ)、ムライト、コージライトなどが例示でき
る。また、ガラス材料として複数の金属酸化物を含むガ
ラスフリットを焼成処理することによって、コージェラ
イト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピネ
ル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタライ
トやその置換誘導体の結晶を少なくとも1種類を析出す
るものである。
【0023】内部導体パターン2、ビアホール導体3
は、Ag系(Ag単体、Ag−PdなどのAg合金)、
Cu系(Cu単体、Cu合金)など導体からなり、内部
導体パターン2の厚みは8〜15μm程度であり、ビア
ホール導体の直径は任意な値とすることができるが、例
えば直径は80〜250μmである。
【0024】ここで、内部導体パターン2は、所定回路
における動作目的によって、例えば回路の導体を達成す
る配線パターン(以下、表面配線パターンと区別するた
めに配線導体22という)、容量成分を発生する容量電
極パターン23a、23b、所定インダクタンス成分、
さらに所定L−C成分を達成するマイクロストリップ線
路導体膜24、アース導体膜25などに区別できる。
尚、図に示す積層セラミック回路基板10内には、これ
ら各パターン22、23a、23b、24、25が形成
されているが、内装される回路動作に応じて選択的に用
いることができる。
【0025】表面配線パターン4、5は、Ag系(Ag
単体、Ag−PdなどのAg合金)、Cu系(Cu単
体、Cu合金)など導体から成り、例えば、焼成処理さ
れる前の積層体基板に既に形成されたり、また、焼成さ
れた積層体基板の主面に、上述の導体成分を含む導電性
ペーストを印刷、焼きつけによって形成される。尚、図
において、表面配線パターン4は、積層工程で形成され
るものであり、積層体基板1の主面と表面配線パターン
4の表面が同一平面となっている。
【0026】このような積層体基板1の表面配線パター
ン4、5には、厚膜抵抗体膜6が形成され、チップ状コ
ンデンサ、チップ状抵抗、トランジスタ、ICなどの各
種電子部品7などが半田、ワイヤボンディングなどによ
って搭載されている。
【0027】ここで、本発明の特徴的なことは、セラミ
ック層1a〜1eが複数の厚みで形成されている。例え
ば、セラミック層1cは、容量電極パターン23a、2
3b間に挟持されており、この間で比較的に大きな容量
成分を得るために、その厚みは例えば20μmと薄く、
セラミック層1a、1bは、配線導体22間または配線
導体22と表面配線パターン4との間の絶縁特性を充分
に得るために、その厚みは例えば100μmとセラミッ
ク層1cに比較して厚く、また、セラミック層1dは、
マイクロストリップ線路導体膜24とアース導体膜25
との間で所定共振特性を得るために、その厚みは例えば
350μmとセラミック層1a、1bに比較して厚く設
定されている。
【0028】このように、セラミック層1a〜1eの厚
みは、このセラミック層1a〜1e間に配置された内部
導体パターン2の動作目的に応じて所定厚みに設定され
ているため、積層基板1の内部回路に、任意の受動素子
または能動素子を簡単に構成することができ、しかも、
その動作を安定化させることが簡単に行えることにな
る。
【0029】ここで、上述の積層セラミック回路基板の
製造方法について、図2の工程図、図3(a)〜図3
(j)の主要工程における断面図に基づいて説明する。
【0030】積層セラミック回路基板1の製造方法は、
大きく分けて積層前の準備工程(図2の(a)の工
程)、積層工程(図2の(b)の工程〜(j)の工
程)、剥離工程(図2の(k)の工程)、焼成工程(図
2の(l)の工程)、表面処理工程(図2の(m)の工
程)とからなる。
【0031】積層前工程は、支持基板15、セラミック
層1a〜1eとなるセラミック塗布膜のスリップ材、内
部導体パターン2、ビアホール導体3、表面配線パター
ン4、5となる導体膜や導体の導電性ペーストを夫々準
備する工程である。
【0032】〔支持基板〕図3(a)に示すように、支
持基板15は、セラミック、ガラス、耐熱性樹脂などの
基板からなり、支持基板15の表面には基板平滑層16
が形成される。
【0033】基板平滑層16は、光硬化可能なモノマ
ー、バインダー、溶剤を均質混練したスリップ材を塗布
・乾燥して塗布膜を形成し、その後、塗布膜の全面に露
光処理して硬化することによって形成する。基板平滑層
16の厚みは、少なくとも支持基板15の凹凸を吸収し
得る程度の厚み、例えば20μm以上である。尚、この
平滑層16は基板15の表面の凹凸を吸収して、積層体
基板1の表面の平坦化したり、またこの基板15と当接
する側の1層目の塗布膜の厚みを均一化して、焼成段階
における焼成収縮を均一化したり、また、後述の表面配
線パターン4となる導体膜41や1層目の塗布膜の露光
条件、現像条件が支持基板15上のどの位置においても
均一化な条件で処理できる。
【0034】ここで、光硬化可能なモノマーは、比較的
低温で且つ短時間の焼成工程で焼失できるように熱分解
性に優れたものであり、また、スリップ材の塗布・乾燥
後の露光によって、光重合される必要があり、遊離ラジ
カルの形成、連鎖生長付加重合が可能で、2級もしくは
3級炭素を有したモノマーが好ましく、例えば少なくと
も1つの重合可能なエチレン系基を有するブチルアクリ
レート等のアルキルアクリレートおよびそれらに対応す
るアルキルメタクリレートが有効である。また、テトラ
エチレングリコールジアクリレート等のポリエチレング
リコールジアクリレートおよびそれらに対応するメタク
リレートなどが挙げられる。
【0035】バインダーは、光硬化可能なモノマー同様
に熱分解性の良好なものでなくてはならない。同時にス
リップの粘性を決めるものである為、アクリル酸もしく
はメタクリル酸系重合体のようなカルボキシル基、アル
コール性水酸基を備えたエチレン性不飽和化合物が好ま
しい。尚、光硬化可能なモノマーとバインダーとの比率
は、1〜3:5程度に添加される。
【0036】溶剤として、有機系溶剤、水系溶剤を用い
ることができる。尚、水系溶剤の場合、光硬化可能なモ
ノマー及びバインダーは、水溶性である必要があり、モ
ノマー及びバインダには、親水性の官能基、例えばカル
ボキシル基が付加されている。その付加量は酸価で表せ
ば2〜300あり、好ましくは5〜100である。
【0037】上述のスリップ材は、光硬化可能なモノマ
ー及びバインダが上述したように積層体基板の焼成の過
程で完全に熱分解しなくてはならないが、特に、600
℃以下、好ましくは500℃以下で分解する材料を選択
する。
【0038】また、スリップ材には、増感剤、光開始系
材料等を必要に応じて添加しても構わない。例えば、光
開始系材料としては、ベンゾフェノン類、アシロインエ
ステル類化合物などが挙げられる。
【0039】スリップ材の塗布方法としては、例えば、
ドクターブレード法(ナイフコート法)、ロールコート
法、印刷法などが挙げられる。特に基板平滑層16の表
面が平坦化することが容易なドクターブレード法などが
好適である。尚、塗布方法に応じて溶剤の添加量が調整
され、所定粘度に調整される。
【0040】乾燥方法としては、バッチ式乾燥炉、イン
ライン式乾燥炉を用いて行われ、乾燥条件は、120℃
以下が望ましい。また、急激な乾燥は、表面にクラック
を発生される可能性があるため、急加熱を避けることが
重要となる。
【0041】露光処理としては、塗布膜中に含まれる光
硬化可能なモノマーが光重合されるネガ型であるため、
塗布膜全面に低圧、高圧、超高圧の水銀灯系の露光光を
照射する。尚、露光条件は、10〜20mW/cm2
露光光を約5〜30秒程度照射して行う。これにより、
塗布膜は、光硬化可能なモノマーの光重合反応を起し、
光硬化されることになる。
【0042】〔セラミックスリップ材〕セラミックスリ
ップ材は、セラミック粉末、必要に応じてガラスフリッ
ト、光硬化可能なモノマー、バインダー、溶剤を均質混
練して形成する。
【0043】セラミック粉末は、クリストバライト、石
英、コランダム(αアルミナ)、ムライト、コージライ
トなどの絶縁セラミック材料、BaTiO3 、Pb4
2Nb2 12、TiO2 などの誘電体セラミック材
料、Ni−Znフェライト、Mn−Znフェライト(広
義の意味でセラミックという)なとの磁性体セラミック
材料などが挙げられ、その平均粒径1.0〜6.0μ
m、好ましくは1.5〜4.0μmに粉砕したものを用
いる。尚、セラミック材料は2種以上混合して用いられ
てもよい。特に、コランダムを用いた場合、コスト的に
有利となる。
【0044】ガラスフリットは、焼成処理することによ
ってコージェライト、ムライト、アノーサイト、セルジ
アン、スピネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイ
ト、ペタライトやその置換誘導体の結晶やスピネル構造
の結晶相を析出するものであればよく、例えば、B2
3 、SiO2 、Al2 3 、ZnO、アルカリ土類酸化
物を含むガラスフリットが挙げられる。この様なガラス
フリットは、ガラス化範囲が広くまた屈伏点が600〜
800℃付近にあるため、850〜1050℃程度の低
温焼成に適し、内部導体パターン2となる導体膜21と
の焼結挙動が近似しているためである。尚、このガラス
フリットの平均粒径は、1.0〜6.0μm、好ましく
は1.5〜3.5μmである。
【0045】上述のセラミック材料とガラス材料との構
成比率は、850〜1050℃の比較的低温で焼成する
場合には、セラミック材料が10〜60wt%、好まし
くは30〜50wt%であり、ガラス材料が90〜40
wt%、好ましくは70〜50wt%である。
【0046】尚、セラミック材料として、誘電体セラミ
ック材料や磁性体セラミック材料とともに用いる場合に
は、セラミック材料の固有の特性を低下させることがあ
るため、ガラスフリットは必要に応じて添加する。
【0047】光硬化可能なモノマーは、基板平滑層16
に用いた材料ものが使用できる。これは、露光条件を略
同一とするためである。光硬化可能なモノマーは、露光
処理後の現像処理によって露光部分以外の部分が容易に
除去できるように所定量添加される。例えば、固形成分
(セラミック材料及びガラス材料) に対して5〜15w
t%以下である。バインダーは、固形分との濡れ性も重
視する必要があり、基板平滑層16に用いた材料ものが
使用できる。添加量としては固形分に対して25wt%
以下が好ましい。
【0048】溶剤として、有機系溶剤、水系溶剤を用い
ることができる。尚、水系溶剤の場合、光硬化可能なモ
ノマー及びバインダーは、水溶性である必要があり、モ
ノマー及びバインダには、親水性の官能基、例えばカル
ボキシル基が付加されている。その付加量は酸価で表せ
ば2〜300であり、好ましくは5〜100である。
【0049】付加量が少ない場合は水への溶解性、固定
成分の粉末の分散性が悪くなり、多い場合は熱分解性が
悪くなるため、付加量は、水への溶解性、分散性、熱分
解性を考慮して、上述の範囲で適宜付加される。
【0050】また、スリップ材には、増感剤、光開始系
材料等を必要に応じて添加しても構わない。例えば、光
開始系材料としては、ベンゾフェノン類、アシロインエ
ステル類化合物などが挙げられる。
【0051】〔導電性ペースト〕内部導体パターン2及
び表面配線パターン4、ビアホール導体3を形成するた
めの導電性ペーストは、Ag系(Ag単体、Ag−Pd
などのAg合金)、Cu系(Cu単体、Cu合金)など
導体材料粉末、例えば銀系粉末と、低融点ガラス成分
と、バインダーと溶剤とを均質混練したものが用いら
れ、好ましくは上述の光硬化可能なモノマーを添加して
いる。また、表面配線パターン5にもこのペーストを用
いても構わない。
【0052】〔積層工程〕このようにして、支持基板1
5上に基板平滑層16を形成し、セラミックスリップ
材、導電性ペーストを準備した後、実質的な積層工程を
行う。尚、支持基板15は、最終的に複数の積層体基板
が抽出できるよう複数の積層体基板の領域を同時に形成
するが、ここでは、1つの積層体基板の領域について説
明する。
【0053】まず、積層工程として、図2の(b)の工
程として、図3(b)に示すように、支持基板15の基
板平滑層16上に、積層体基板1の下面側の表面配線パ
ターン4となる全面導体膜40を形成する。具体的に
は、支持基板15の各積層体基板となる領域内の略全面
に渡り上述の導電性ペーストのスクリーン印刷法やドク
ターブレード法で形成し、乾燥処理(バッチ式乾燥炉、
インライン式乾燥炉で120℃以下)して形成する。
尚、全面導体膜40は、図中では、平滑層16の表面全
面に形成しているが、表面配線パターン4の形状を考慮
して、少なくともその形状を含む領域に形成すればよ
い。
【0054】次に、図2の(c)の工程のとして、図3
(c)に示すように、上述の表面配線パターン4となる
全面導体膜40に選択的な露光処理・現像処理を行い、
所定パターンの導体膜41を形成する。
【0055】露光処理は、表面配線パターン4となるパ
ターン部分のみに露光光が照射されるような所定パター
ンを有するフォトターゲットを、全面導体膜40上に近
接又は載置して、基板平滑層16を形成した時の露光条
件(低圧、高圧、超高圧の水銀灯系の10〜20mW/
cm2 の露光光を約5〜30秒程度照射する)で処理を
行う。
【0056】現像処理は、選択的な露光処理を行った全
面導体膜40に有機系のクロロセン、1,1,1−トリ
クロロエタン、アルカリ系溶剤などの現像溶剤を、例え
ばスプレー現像法やパドル現像法によって噴射したり、
接触したり現像処理を行う。
【0057】その後、必要に応じて洗浄及び乾燥を行な
う。
【0058】上述の選択的な露光処理・現像処理によっ
て全面導体膜40は、フォトターゲットの形状の制御に
よって、表面配線パターン4となる所定形状の導体膜4
1を形成する。即ち、電源供給用の配線やアース電位の
配線など比較的大電流が流れるパターン幅を広くしたり
することが簡単に行える。
【0059】また、フォトターゲットを用いた露光は、
一般に、半導体チップなどの微細表面加工などに用いら
れるものであるため、フォトターゲットによって制御さ
れて形成される表面配線パターン4となる導体膜41
は、非常に微細加工に適し、高密度、高精度の表面配線
パターン4となる導体膜41が達成される。
【0060】次に、図2の(d)の工程として、図3
(d)に示すように、セラミック層1aとなるセラミッ
ク塗布膜10aを形成する。このセラミックスリップ材
塗布膜10aは、基板平滑層16上に形成した所定形状
の導体膜41を覆うように、各領域を越えて支持基板1
5の基板平滑層16の全面に形成する。具体的には、上
述のセラミックスリップ材をドクターブレード法などで
塗布し、乾燥処理(バッチ式乾燥炉、インライン式乾燥
炉で120℃以下)を行う。この塗布膜10aを形成す
る際、例えばドクターブレード法のブレードの高低制御
を行い、塗布膜10aの厚みを、セラミック層1aの厚
み例えば100μm程度に対応するように制御を行う。
【0061】次に、図2の(e)の工程として、図3
(e)に示すように、セラミック塗布膜10aに選択的
な露光処理・現像処理を行い、ビアホール導体3となる
貫通孔、実際には貫通凹部30を形成する。
【0062】露光処理は、セラミック層1aの厚みを貫
通するビアホール導体3となる位置に貫通凹部30を形
成するため、この部分のみに露光光が照射されないよう
な所定パターンを有するフォトターゲットをセラミック
塗布膜10a上に近接又は載置して、上述の露光条件
(低圧、高圧、超高圧の水銀灯系の10〜20mW/c
2 の露光光を約5〜30秒程度照射する)で処理を行
う。
【0063】現像処理は、選択的な露光処理を行った塗
布膜10aに有機系のクロロセン、1,1,1−トリク
ロロエタン、アルカリ系溶剤などの現像溶剤を、例えば
スプレー現像法やパドル現像法によって噴射したり、接
触したり現像処理を行う。その後、必要に応じて洗浄及
び乾燥を行なう。
【0064】上述の選択的な露光処理・現像処理によっ
てビアホール導体3となる貫通穴30の形状、径など
は、微細加工に適したフォトターゲットの形状の制御に
よって、任意に設定できることになる。即ち、供給用の
配線やアース電位の配線など比較的大電流が流れる配線
間を接続するビアホール導体3の形状を大きくすること
が簡単に行え、また、ビアホール導体3の位置ずれがな
く、ビアホール導体3の導通信頼性が大きく向上する。
【0065】次に、図2の(f)の工程として、図3
(f)に示すように、セラミック塗布膜10aに形成し
た貫通凹部30にビアホール導体3となる導体31を充
填するとともに、セラミック塗布膜10aの略全面に、
セラミック層1aとセラミック層1bとの層間の内部導
体パターン2、特に配線導体22となる全面導体膜20
を形成する。
【0066】具体的には、上述の導電性ペーストをスク
リーン印刷法、ドクターブレード法などによって、塗布
膜10aの貫通凹部30内に、ビアホール導体3となる
導体31を充填するとともに、同時に、塗布膜10a上
に、内部導体パターン2となる全面導体膜20を形成す
る。その後、乾燥処理を行う。
【0067】尚、全面導体膜20は、図では塗布膜10
a上の全面に形成しているが、内部導体パターン2の形
状を考慮して、少なくともその形状と、また、貫通凹部
30をを含む領域に形成すればよい。
【0068】尚、貫通凹部30の形状が大きい場合に
は、まず、導電性ペーストをディスペンサーなどを用い
て貫通凹部30内に充填し、その後、内部導体パターン
2となる全面導体膜20を形成しても構わない。
【0069】次に、図2の(g)の工程として、図3
(g)に示すように、上述の内部導体パターン2となる
全面導体膜20に選択的な露光処理・現像処理を行い、
セラミック層1aとセラミック層1bとの間の配線導体
22となる所定パターンの導体膜21を形成する。
【0070】露光処理は、内部導体パターン2となるパ
ターン部分のみに露光光が照射されるような所定パター
ンを有するフォトターゲットを、全面導体膜20上に近
接又は載置して、上述の露光条件(低圧、高圧、超高圧
の水銀灯系の10〜20mW/cm2 の露光光を約5〜
30秒程度照射する)で処理を行う。
【0071】現像処理は、選択的な露光処理を行った全
面導体膜20に有機系のクロロセン、1,1,1−トリ
クロロエタン、アルカリ系溶剤などの現像溶剤を、例え
ばスプレー現像法やパドル現像法によって噴射したり、
接触したり現像処理を行う。
【0072】その後、必要に応じて洗浄及び乾燥を行な
う。
【0073】上述の選択的な露光処理・現像処理によっ
て全面導体膜20は、フォトターゲットの形状の制御に
よって、内部導体パターン2となる所定形状の導体膜2
1を形成する。即ち、供給用の配線やアース電位の配線
など比較的大電流が流れるパターン幅を広くしたり、さ
らに、微細加工に適したフォトターゲットによって、内
部導体パターン2となる導体膜21を高密度、高精度の
パターンとすることができる。
【0074】次に、図2の(d)の工程を繰り返して、
セラミック層1aとなる塗布膜10a上に、セラミック
層1bとなる塗布膜10bを形成する。具体的には、セ
ラミック塗布膜10a上に形成された内部導体パターン
2となる導体膜21を覆うように、上述のセラミックス
リップ材をドクターブレード法などによって塗布し、乾
燥する。
【0075】これにより、セラミック塗布膜10bの表
面は、塗布膜10bに覆われたビアホール導体3となる
導体31や内部導体パターン2となる導体膜21の形状
や積層状況に係わらず、塗布表面を均一な平坦面とする
ことができる。
【0076】次に、図2の(e)の工程を行い、塗布膜
10bに選択的な露光処理・現像処理によりビアホール
導体3となる貫通凹部30を形成する。
【0077】次に、図2の(f)の工程を行い、塗布膜
10bの貫通凹部30に、スクリーン印刷法又はドクタ
ーブレード法によって、上述の導電性ペーストを充填す
るとともに、塗布膜10b上にセラミック層1bとセラ
ミック層1cとの間の内部導体パターン2、特に容量電
極パターン2a、配線導体22となる全面導体膜20を
形成する。
【0078】次に、図2の(g)の工程を行い、塗布膜
10b上に形成した全面導体膜20に選択的な露光処理
・現像処理を行い、セラミック層1bとセラミック層1
cとの間の内部導体パターン2、特に容量電極パターン
23a、配線導体22となる所定パターンの導体膜21
を形成する。
【0079】このようにして、図2の(d)の工程〜図
2の(g)を順次繰り返して、セラミック塗布膜10d
上に、所定パターンの内部導体パターン2となる導体膜
21を形成する。
【0080】例えば、セラミック層1cは、主に容量成
分を発生するための層となるため、セラミック層1cと
なる塗布膜を形成する場合には、容量成分の特性に応じ
て、例えば塗布膜10cの厚みを、ブレードの高低制御
によって、例えばセラミック層1cの厚み20μmに対
応するように形成する。
【0081】また、塗布膜10c上に、内部導体パター
ン2となる導体膜21を形成する場合には、容量電極パ
ターン23b、マイクロストリップ線路導体膜24とな
るように全面導体膜20のエチッグ制御によって行う。
【0082】さらに、セラミック層1dは、主に所定共
振特性を発生するための層となるため、セラミック層1
dとなる塗布膜を形成する場合には、共振特性に応じ
て、例えば塗布膜10dの厚みを、ブレードの高低制御
によって、例えばセラミック層1dの厚み350μmに
対応するように形成する。
【0083】また、塗布膜10d上に、内部導体パター
ン2となる導体膜21を形成する場合には、アース導体
膜25となるように全面導体膜20をエチッグ処理す
る。
【0084】次に、図2の(h)の工程として、セラミ
ック層1eとなるセラミック塗布膜10eを形成する。
このセラミックスリップ材塗布膜10eは、塗布膜10
d上に形成した所定形状の導体膜21を覆うように、各
領域を越えて塗布膜10d全面に形成する。
【0085】次に、図2の(i)の工程として、図3
(h)に示すように、セラミック塗布膜10eに選択的
な露光処理・現像処理を行い、ビアホール導体3となる
貫通凹部30を形成する。
【0086】次に、図2の(j)の工程として、図3
(i)に示すうよに、セラミック塗布膜10eに形成し
た貫通凹部30に導電性ペーストを充填して、ビアホー
ル導体3となる導体31を形成する。
【0087】この貫通孔の充填は、貫通凹部30部分に
選択的に充填処理し、乾燥処理するだけでもよいし、ま
た、導電性ペーストで塗布膜10e上に全面導体膜を形
成し、ビアホール導体部分のみを露光処理して、その他
の部分を現像処理して除去しても構わない。積層体基板
の積層工程はこれで完了する。
【0088】尚、積層工程を終了した後に、各積層体基
板1の形状に応じて、各領域を区画する分割溝をプレス
成型などによって形成することが望ましい。
【0089】〔剥離工程〕次に、図2の(k)の工程と
して、図3(j)に示すように、支持基板15から基板
平滑層16、表面配線パターン4となる導体膜41を含
むセラミック塗布膜10e〜10a、内部導体パターン
2となる導体膜21、ビアホール導体3となる導体31
から成る積層体基板を剥離する。
【0090】上述のように剥離界面は、支持基板15と
基板平滑層16との界面となり、積層体基板側に基板平
滑層16が存在することになる。従って、剥離を機械的
に、例えば支持基板15を湾曲させてり、剥離界面にカ
ッター刃を平面状に摺動したりしても、積層体基板その
ものに悪影響(剥離による亀裂など)がなく安定して剥
離することができる。
【0091】尚、その他に、支持基板15と基板平滑層
16の界面部分に、120℃(乾燥処理の温度)以上で
発泡性反応を起こす樹脂部材を設けたり、また基板平滑
層16自身に発泡性反応を起こす樹脂材を混合させてお
き、加熱処理して剥離を容易にしても構わない。また、
支持基板15と基板平滑層16の界面部分に有機溶剤に
よって溶解するシートを介在させておき、有機溶剤に浸
漬したりしても構わない。有機溶剤によって溶解するシ
ートを用いる場合には、セラミックスリップ材、導電性
ペーストにバイダー、光硬化可能なモノマーに水系を用
い、溶剤に純水などを用いることが重要となる。
【0092】〔焼成工程〕次に、図2の(l)の工程と
して、図3(k)に示すように、支持基板15から剥離
した基板平滑層16、表面配線パターン4となる導体膜
41を含む積層体基板を焼成処理する。焼成処理は、脱
バインダ過程と焼結過程からなる。
【0093】脱バインダ過程は、セラミック塗布膜10
a〜10e、内部導体パターン2となる導体膜21、ビ
アホール導体3となる導体31、表面配線パターン4と
なる導体膜41に含まれる有機成分及び基板平滑層16
を焼失するためのものであり、例えば600℃以下の温
度領域で行われる。
【0094】また、焼結過程は、塗布膜10a〜10e
のガラス成分を結晶化させて、セラミック粉末の粒界に
均一に分散させ、積層体基板1に一定強度を与え、同時
に、内部導体パターン2となる導体膜21、ビアホール
導体3となる導体31、表面配線パターン4となる導体
膜41の導電材料、例えば、銀系粉末を粒成長させて、
低抵抗化させるとともに、セラミック層1a〜1eと一
体化させるものである。これは、ピーク温度850〜1
050℃に達する温度領域で行われる。
【0095】焼成雰囲気は、導電性ペーストの材料など
によって異なり、上述のようにAg系導体の場合は、大
気(酸化性)雰囲気又は中性雰囲気で行われ、Cu系導
体の場合は、還元性雰囲気又は中性雰囲気で行われる。
【0096】これにより、塗布膜10a〜10eはセラ
ミック層1a〜1eとなり、導体膜21は内部導体パタ
ーン2に、導体31はビアホール導体3に、導体膜41
は表面配線パターン4となり、焼成された大型積層体基
板となる。
【0097】〔表面処理工程〕次に、図2の(m)の工
程として、図3(l)に示すように、焼成処理された大
型積層体基板の両主面に表面処理を行う。
【0098】例えば、大型積層体基板の上面側主面(図
1の積層セラミック回路基板では下面側主面)に、セラ
ミック層1eに形成したビアホール導体3と接続するよ
うに、例えば銅系導電性ペーストの印刷・乾燥、焼きつ
けにより、表面配線パターン5を形成する。ここで、銅
系の表面配線パターン5と銀系導体のビアホール導体3
とが接合することになる。このため、銀と銅との共晶温
度を考慮して、銅系の導電性ペーストは低温(例えば7
80℃以下)焼成可能なものを選択し、しかも、銅の酸
化を防止するために還元性雰囲気や中性雰囲気中で行う
ことが重要である。
【0099】その後、必要に応じて、両主面に、厚膜抵
抗膜6や保護膜などを焼きつけを行い、各種電子部品7
を搭載する。
【0100】ここで、積層セラミックスリップ材回路基
板10の上面側主面の表面配線パターン4は、積層体基
板1の積層工程で形成され、その表面は積層体基板1の
表面と同一平面となる。従って、例えば厚膜抵抗体膜6
を形成するにあたり、厚膜抵抗体膜6の端部(表面配線
パターン4が被覆される部位)に段差ができず、厚膜抵
抗体膜6の段切れが発生しない。また、ICチップなど
の電子部品7を搭載するにあたっても、電子部品7の接
合面は、支持基板15によってその表面が平坦化されて
いるため、電子部品7の接合に必要な最小な面積になる
ように設定すればよく、従来のグリーンシート多層によ
る電子部品の接合面のように、表面配線パターンの凹部
を考慮した面積にする必要がなく、これにより、表面配
線パターン4の高密度配線化が可能となる。
【0101】その後、焼成前に形成した分割溝にそっ
て、大型積層体基板を所定形状の積層体基板に分割す
る。これによって、図1に示す構造の積層セラミック回
路基板が完成する。
【0102】尚、上述の実施例について、積層体基板1
の一方主面側の表面配線パターン4を積層工程の一部で
形成したが、積層体基板1の他方主面側の表面配線パタ
ーン5を積層工程の最終工程で形成して、積層体基板の
焼成と一体的におこなっても構わない。即ち、塗布膜1
0eの貫通凹部30にビアホール導体3となる導体31
を充填するために塗布膜10e上に全面導体膜を形成し
た際に、表面配線パターン5の形状になるように全面導
体膜を選択的な露光処理と現像処理を行うことによって
達成される。
【0103】また、分割溝について、上述の製造工程で
は支持基板15から積層体基板1を剥離する前に形成し
たが、要は焼成前に形成することが重要であり、支持基
板15を剥離した後に、積層体基板の両主面側に形成し
てもかまわない。また、分割溝にそって行う分割処理に
ついて、上述の製造工程は、表面処理工程の最後におこ
なっているが、電子部品7を搭載する前に分割処理して
も構わない。
【0104】以上のように、上述の製造方法による積層
工程が、セラミック層1a〜1eとなるセラミック塗布
膜10a〜10eは、光硬化可能なモノマーを有するセ
ラミックスリップ材の塗布、乾燥によって形成し、ビア
ホール導体3となる導体31は、塗布膜の選択的な露光
処理・現像処理によって形成された貫通凹部30に導電
性ペーストの充填によって形成し、さらに、内部導体パ
ターン2となる所定配線導体22、容量電極パターン2
3a、23b、マイクロストリップ線路導体膜24、ア
ース導体膜25は、塗布膜上に形成された導体膜20を
選択的な露光処理・現像処理によって形成する。
【0105】従って、スリップ材(導電性ペースト)の
全面塗布と、その選択的な露光処理・現像処理を繰り返
して積層体基板を形成することになり、露光条件・現像
条件を画一化することができ、露光・現像条件の制御が
緩和され、生産性が向上する。
【0106】また、セラミック層となるセラミック塗布
膜が、スリップ材の全面塗布によって形成されるため、
その塗布膜の膜厚が、内部導体パターンの構成やビアホ
ール導体の構成などに影響されにくく、塗布面を常に平
坦となることができ、特にドレードの高低制御によっ
て、簡単にその膜厚の制御が可能となり、配線導体22
間などの接続特性、容量素子の容量特性、マイクロスト
リップ線路などの共振特性に応じて、最適なセラミック
層の厚みを選択して簡単に形成することができる。
【0107】しかも、その塗布膜面上の各種処理、例え
ば内部導体パターン2の形成などにおいて、その形状を
非常に精度よく行えるため、容量特性、共振回路特性な
どを非常に安定化させることができる。
【0108】さらに、ビアホール導体となる導体は、セ
ラミック塗布膜の選択的な露光処理・現像処理によって
形成された貫通凹部に充填することによって形成される
ため、回路に流れる電流に応じて、ビアホール導体の形
状・径などを任意とすることができ、例えば、積層基板
内に形成した容量素子を例えば電源主回路のノイズ除去
などに用いる場合、容量電極パターン23a、23bと
電源配線導体やアース導体に接続するビアホール導体の
径を非常に大きくすることができる。
【0109】また、積層体基板内の内部導体パターン
2、ビアホール導体3などが、露光処理時の位置精度に
よって決定されるため、隣接する内部配線パターン間及
びビアホール導体との位置合わせの精度が向上し、全体
として積層位置ずれがなく、ビアホール導体の接続信頼
性が高く、内部回路に形成された受動素子、能動素子の
特性が安定化した積層セラミック回路基板となる。
【0110】尚、上述の実施例では、積層体基板1の両
主面の表面配線パターン4、5において、例えば表面配
線パターン5となる導体膜を、セラミック塗布膜10e
に形成した貫通凹部30に導電性ペーストを充填する際
に、セラミック塗布膜10e上に全面導体膜を形成し、
その全面導体膜の選択的な露光処理・現像処理によって
積層体基板1の焼成前に形成しても構わない。また、逆
に、積層体基板1の表面配線パターン4を、積層体基板
1を焼成した後に、導電性ペーストの印刷・焼きつけに
よって形成しても構わない。この場合、図2の工程図に
おいて、(b)の工程、(c)の工程は省略され、図2
の(m)の工程で表面配線パターン4を形成することに
なる。
【0111】また、塗布膜の形成方法として、セラミッ
クスリップ材をドクターブレード法によって形成し、塗
布膜の厚みをブレードの高低制御によって達成している
が、例えばセラミックスリップ材を全面スクリーン印刷
によって形成してもよい。この場合、塗布膜の厚みはス
クリーン印刷時におけるスキージの高低制御によって行
っても構わない。
【0112】また、内部導体パターン2の形成は、受動
素子、能動素子の特性安定のためには、内部導体パター
ン2となる導体膜21を、全面導体膜20の形成・選択
的な露光処理・現像処理によって形成しているが、塗布
膜10a〜10d上に、通常の導電性ペースト、即ち光
硬化モノマーを含まない導電性ペーストを用いて、通常
のスクリーン印刷でもって、導体膜10a〜10d上に
所定形状に導体膜を直接形成しても構わない。
【0113】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、積層体基
板が、光硬化可能なモノマーを有するセラミックスリッ
プ材と、光硬化可能なモノマーを有する導電性ペースト
を用いて、セラミックスリップ材の塗布、乾燥によりセ
ラミック塗布膜を形成し、そのセラミック塗布膜の選択
的な露光処理・現像処理によってビアホール導体となる
貫通凹部を形成し、また、導電性ペーストの塗布又は印
刷によって塗布膜上に所定形状の導体膜を形成して、貫
通凹部にビアホール導体となる導体を充填しているの
で、導体膜を形成するにあたり、ブレードやスキージの
高さを制御することによって簡単にセラミック層の厚み
を任意に変えることができる。
【0114】これによって、積層体基板の回路に、容量
成分、インダクタンス成分を達成するため、所定導体パ
ターンが形成されているが、これらの内部導体パターン
を挟むセラミック層の厚みが導体パターンの動作目的に
対応する複数種類のセラミック層であるため、受動素子
や能動素子などの任意の電子部品素子を形成することが
でき、しかも、その特性を非常に安定化させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層セラミック基板の断面図であ
る。
【図2】本発明の積層セラミック基板の製造を説明する
ための工程図である。
【図3】(a)〜(l)は本発明の積層セラミック基板
の製造の主要工程における断面図である。
【符号の説明】
10・・・・・・積層セラミック回路基板 1・・・・・・・積層体基板 1a〜1e・・・セラミック層 10a〜10e・・・絶縁膜 2・・・・・・・内部配線パターン 22・・・・・・配線導体 23a、23b・・容量電極パターン 24・・・・・・マイクロストリップ線路導体膜 25・・・・・・アース導体膜 3・・・・・・・ビアホール導体 30・・・・・・貫通凹部 31・・・・・・ビアホール導体となる導体 4、5・・・・・表面配線パターン 15・・・・・・支持基板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)光硬化可能なモノマーを有するセラ
    ミックスリップ材の塗布・乾燥処理よってセラミック層
    となる塗布膜を形成する工程、(2)前記塗布膜に選択
    的な露光処理・現像処理を施すことよって塗布膜に貫通
    孔を形成する工程、(3)前記塗布膜上に及び貫通孔内
    に、導電性ペーストを印刷・充填・乾燥処理して、塗布
    膜上に内部導体パターとなる導体膜を形成するととも
    に、貫通孔内にビアホール導体となる導体を形成する工
    程、の各工程(1)〜(3)を順次繰り返えして、支持
    基板上に積層体基板を形成するとともに、前記支持基板
    上から前記積層体基板を剥離して、焼成処理を行い、 複数のセラミック層を積層して成る積層体基板内に、内
    部導体パターン、ビアホール導体から成る所定回路を配
    置して成る積層セラミック回路基板であって、 前記積層体基板は、厚みの異なる複数のセラミック層で
    構成されていることを特徴とする積層セラミック回路基
    板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001006535A1 (en) * 1999-07-16 2001-01-25 Sarnoff Corporation Electron gun with laminated ceramic resistor and capacitor
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