JPH07176444A - 積層インダクタ部品の製造方法 - Google Patents

積層インダクタ部品の製造方法

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JPH07176444A
JPH07176444A JP11938594A JP11938594A JPH07176444A JP H07176444 A JPH07176444 A JP H07176444A JP 11938594 A JP11938594 A JP 11938594A JP 11938594 A JP11938594 A JP 11938594A JP H07176444 A JPH07176444 A JP H07176444A
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JP
Japan
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conductor
ceramic
coating film
coil pattern
film
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JP11938594A
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English (en)
Inventor
Akira Imoto
晃 井本
Masafumi Hisataka
将文 久高
Yuzuru Matsumoto
譲 松本
Akihiro Sakanoue
聡浩 坂ノ上
Kazumasa Furuhashi
和雅 古橋
Hiroshi Suenaga
弘 末永
Junichi Nakamura
淳一 中村
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コイルパターン間の接続信頼性が向上し、そ
の接続部分の導体抵抗が低下でき、積層数の増加やコイ
ルパターンの形状に係わらず、常に安定して、塗布膜や
コイルパターンの導体膜を安定且つ確実に形成できる積
層インダクタ部品の製造方法を提供する。 【構成】 基体15上に、光硬化可能なモノマーを含有
するガラス・セラミックのスリップ材を塗布・乾燥して
セラミック層となる塗布膜10a〜10eを形成し、前
記塗布膜10a〜10eを選択的な露光処理、現像処理
して、ビアホール導体3となる部分に貫通凹部30を形
成し、該貫通凹部30内に導電性ペーストを充填して前
記ビアホール導体3となる導体30を形成し、前記塗布
膜10a〜10e上に導電性ペーストを印刷して前記コ
イルパターン2となる導体膜20を形成し、これらを繰
り返した後に、焼成処理する積層インダクタ部品の製造
方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光硬化モノマーを含有
するセラミックのスリップ材の塗布と導電性ペーストの
印刷を繰り返して製造する積層インダクタ部品の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数のセラミック層と複数のコイルパタ
ーンとを積層されるとともに、ビアホール導体を介して
隣接するセラミック層間のコイルパターンを接続した積
層インダクタ部品の製造方法として大きく2つの製造方
法が知られている。
【0003】その一つの方法は、積層・焼成後にセラミ
ック層となるグリーンシートに、ビアホール導体となる
導体、約1ターン分のコイルパターンとなる導体膜を形
成し、積層順序に合わせてグリーンシートを複数積層
し、その後、この積層体を一体的に焼成処理するグリー
ンシート多層方法があった。
【0004】また、耐熱支持基板上に、絶縁膜をセラミ
ックペーストのスクリーン印刷で形成し、その後、半タ
ーン、例えばL字状のコイルパターンとなる導体膜を導
電性ペーストのスクリーン印刷で形成し、続いてL字状
のコイルパターンとなる導体膜の一端が露出するよう
に、絶縁膜を絶縁性ペーストのスクリーン印刷で印刷形
成し、この絶縁膜上に、先のL字状のコイルパターンと
なる導体膜の一端と接続し、且つそのパターンと対象形
状のL字状のコイルパターンとなる導体膜を導電性ペー
ストのスクリーン印刷で形成し、さらに、L字状のコイ
ルパターンとなる導体膜の一端が露出するように、絶縁
膜を絶縁性ペーストのスクリーン印刷で印刷形成し、こ
の工程を順次繰り返して積層体を形成した後、絶縁膜及
び各コイルパターンとなる導体膜を一体的に焼成処理す
る印刷多層方法があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者のグリー
ンシート多層方法では、各グリーンシートにビアホール
導体となる両主面に貫通した開口を有する貫通穴を形成
し、この貫通穴内に導電性ペーストを充填しなくてはな
らない。
【0006】また、インダクタンス特性を向上させる1
つとしては、コイルパターン、ビアホール導体の導体抵
抗を下げる必要があり、積層インダクタの小型化を無視
すれば、コイルパターンの幅を大きくすることにより達
成できるものの、ビアホール導体部分で抵抗を下げるこ
とが困難である。例えば、貫通穴の開口径を大きくする
と、導電性ペーストを貫通穴内に充填・保持できず、導
体抜けが発生してしまうためである。
【0007】また、この導電性ペーストの充填は、グリ
ーンシートを敷紙上に載置して印刷・充填されるが、敷
紙とグリーンシートとを分離する際に、貫通穴内に充填
した導電性ペーストが敷紙に奪われてしまい、貫通穴内
に保持した導電性ペーストの表面が凹んでしまい、コイ
ルパターン間の導通不良が発生することがある。さら
に、上述のグリーンシートを高い精度で位置合わせし、
積層しなくてはならないという問題点があった。
【0008】後者の印刷多層方法の場合、基本的には、
絶縁ペーストによって所定形状に印刷形成された絶縁膜
上に、半ターン分ずつのコイルパターンを形成し、これ
を繰り返しているため、所望のコイルのターン数を得る
ためには積層印刷数が増加してしまい、低背化が困難で
あった。
【0009】また、コイルパターン間の接続部分はコイ
ルパターンの一端が露出するように絶縁膜を印刷せず、
コイルパターンの中央部付近の非接続部分は導電性ペー
ストと絶縁ペーストとの交互の印刷重畳するため、積層
数が増加してしまうと、表面が積層歪みが発生してしま
い、安定した導電性ペーストや絶縁ペーストの印刷が困
難となってしまう。
【0010】また、この積層歪みが防止するため、接続
部分を各層によって変位させることも考えられるが、接
続部分の変位に応じて、絶縁ペースト、導電性ペースト
のスクリーン印刷のスクリーンを複数用意しなくてはな
らない。
【0011】また、導体抵抗を下げるため、コイルパタ
ーンの幅を大きくすると、コイルの専有面積が増大し、
小型化することができず、また、導体膜の厚みを増加さ
せると、実際の工程で行う印刷後の乾燥処理でデラミネ
ーョンが発生してしまう。尚、種々の検討した結果、導
体の厚みは30μm程度が上限である。
【0012】本発明は、上述の問題点に鑑みて案出され
たものであり、その目的は、特に、コイルパターン間を
接続するビアホール導体の導体抵抗を低下させ、且つ積
層数の増加やコイルパターンの形状に係わらず、常にセ
ラミック塗布膜の表面が均一となり、コイルパターンの
形成が容易となる積層インダクタ部品の製造方法を提供
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミック層
を複数積層して成る積層体に、各セラミック層間に配置
したコイルパターンの導体層と、該導体層どうしを接続
するためにセラミック層の厚み方向に形成されたビアホ
ール導体とからなるコイルを内装した積層インダクタ部
品の製造方法において、支持基体上に、 (1)光硬化可能なモノマーを含有するセラミックスリ
ップ材の塗布・乾燥によってセラミック層となるセラミ
ック塗布膜を形成する工程 (2)前記セラミック塗布膜に選択的な露光処理・現像
処理により、前記セラミック塗布膜の一部を除去してビ
アホール導体となる貫通部を形成する工程 (3)前記貫通部に導電性ペーストの充填により、ビア
ホール導体となる導体を形成するとともに、前記セラミ
ック塗布膜上に、導電性ペーストの印刷により、コイル
パターンの導体層となる導体膜を形成する工程の各工程
を選択的に順次繰り返して前記未焼成の積層体を形成し
た後、焼成工程で焼成処理した積層インダクタ部品の製
造方法である。
【0014】ここで、貫通部は、1層あたりの塗布膜の
厚み方向を「貫通」しているが、その貫通の下部開口か
ら下部のコイルパターンとなる導体膜によって閉塞され
て、全体として、「凹部」形状となるため、本発明で
は、グリーンシート多層方法の貫通孔と区別するため、
特に「貫通凹部」と表記する。
【0015】
【作用】本発明によれば、焼成されたセラミック層とな
るセラミック塗布膜は、光硬化可能なモノマーを含むス
リップ材を用いて、支持基体やその前工程で形成された
セラミック塗布膜や導体膜を覆うようにして塗布して形
成する。
【0016】従って、塗布膜の下部の積層状況にかかわ
らず、塗布した塗布膜の表面は、常に均一な平坦面とな
ることができる。
【0017】また、ビアホール導体となる導体は、この
塗布膜の選択的な露光処理、現像処理によって貫通凹部
を形成する工程と、この貫通凹部に導電性ペーストを充
填する工程とで形成する。
【0018】従って、ビアホール導体は、露光処理、現
像処理による貫通凹部のパターンによって任意な形状
(任意な形、任意な直径)が可能であり、導体抵抗を考
慮した比較的大きなビアホール導体を容易に形成するこ
とができる。また、この貫通凹部は、下開口が前工程で
形成された導体膜によって閉塞されて、全体が凹部形状
であるため、充填した導電性ペーストが流出したり、ペ
ースト抜けが発生することがないため、導電性ペースト
の充填を確実に行うことができる。
【0019】さらに、コイルパターンとなる導体膜が、
常に表面が均一な塗布膜上に形成されることになるた
め、安定したコイルパターンを形成することができる。
【0020】また、コイルパターンとなる導体膜とビア
ホール導体となる導体の接続位置制御は、選択的な露光
処理の位置精度によって規定されるため、ビアホール導
体とコイルパターンとの接続信頼性が大きく向上する。
【0021】
【実施例】以下、本発明の積層インダクタ部品の製造方
法を図面に基づいて説明する。
【0022】図1は、本発明にかかる積層インダクタ部
品の斜視図であり、図2は、積層体の分解斜視図であ
り、図3〜図14はその製造方法の説明図である。尚、
説明は5層のセラミック層からなる積層インダクタ部品
を用いて説明する。
【0023】図1、図2において、1は積層体であり、
1a〜1eはセラミック層、2はコイルパターン、3は
ビアホール導体、4、5は端子電極である。
【0024】積層体1の対向する端部には、一連に接続
したコイルパターン2の一端及び他端に接続する端子電
極4、5が形成されている。
【0025】図2に示すように、積層体1は、セラミッ
ク層1a〜1e、該セラミック層1a〜1eの層間に配
されたコイルパターン2、異なる層間に配された隣接す
るコイルパターン2を接続するためのビアホール導体3
とから構成されている。
【0026】セラミック層1a〜1eは、クリストバラ
イト、石英、コランダム(αアルミナ)、ムライト、ジ
ルコニア、コージェライトなどの絶縁体セラミック成分
とガラス成分、絶縁体セラミック成分単体、Mn・Zn
フェライト、Ni・Znフェライトなどの磁性体セラミ
ック成分とガラス成分、磁性体セラミック成分単体の材
料などから成り、その厚みは40〜120μmである。
このような複数のセラミック層1a〜1e間には、コイ
ルパターン2が配置されている。尚、本発明においては
各種フェライトなどの磁性体材料も、広義でセラミック
材料として取扱ものとする。
【0027】コイルパターン2は、Au単体、Au−P
tなどの金系、Ag単体、Ag−Pd、Ag−Pd−P
tなどの銀系、Cu単体、Cu−Pdなどの銅系、M
o、Wなど高融点金属系などの金属材料、さらに必要に
応じてガラス成分が成っている。
【0028】また各セラミック層1a〜1dに配置され
たコイルパターン2の一端は、各セラミック層1b〜1
eに配置されたコイルパターン2の他端に、ビアホール
導体3を介して接続されている。これにより、各セラミ
ック層1a〜1e間のコイルパターン2、ビアホール導
体3によって、一連のコイルとが達成されることにな
る。尚、セラミック層1aとセラミック層1bとの間に
配置されたコイルパターン2の他端及びセラミック層1
dとセラミック層1eとの間に配置されたコイルパター
ン2の一端は、外部に導出するようにするため、コイル
パターンの形状が若干異なり、例えば概略L字状やその
端部が延出されている。
【0029】このセラミック層1aとセラミック層1b
との間に配置されたコイルパターン2の他端及びセラミ
ック層1dとセラミック層1eとの間に配置されたコイ
ルパターン2の一端は、例えば、積層体1の端部に延出
し、端子電極4、5に接続する。
【0030】さらに、セラミック層1bとセラミック層
1cとの間、セラミック層1cとセラミック層1dとの
間のコイルパターン2は、概略1ターン分のパターンが
形成されているものの、一端側に接続するビアホール導
体3の位置が互いに変位している。
【0031】ビアホール導体3もコイルパターン2と同
様に金系、銀系、銅系、高融点の金属材料からなってい
る。
【0032】端子電極4、5は、例えば銀系や銅系の下
地導体層、Niメッキ層、半田メッキ層などの表面層な
どから成り、導電性ペーストの塗布後、焼きつけで下地
導体層を形成し、続いてメッキ処理で表面層を形成す
る。尚、下地導体層と、表面層との間に中間メッキ層な
形成しても構わない。
【0033】この端子電極4、5は積層体1の端面に形
成され、端子電極4は、例えばセラミック層1aとセラ
ミック層1bとの間に配置されたコイルパターン2の他
端に電気的に接続し、端子電極4は、例えばセラミック
層1aとセラミック層1bとの間に配置されたコイルパ
ターン2の他端に電気的に接続している。
【0034】これにより、端子電極4と端子電極5との
間には、所定数積層されたコイルパターン2・・・、ビ
アホール導体3・・・によって一連のコイルが配置され
ることになる。
【0035】次に、本発明の積層型インダク部品を構成
する積層体1の製造方法を説明する。図3〜図14は積
層体の主要工程の概略平面図と概略断面図を示し、
(a)は概略平面図であり、(b)はX−X線の断面図
である。図15はその工程図を示すものである。
【0036】まず、図15に示すように、製造方法は、
支持基体15の準備し、セラミック層1a〜1eとなる
スリップ材の形成し、コイルパターン2となる導体膜、
ビアホール導体3となる導体を形成する際の導電性ペー
ストを形成する積層前工程と、支持基体15上にセラミ
ック層1a〜1eとなる塗布膜、コイルパターン2とな
る導体膜、ビアホール導体3となる導体を形成して積層
体を形成する積層工程と、積層体を焼成処理する焼成工
程とから主になっている。
【0037】積層前工程の支持基体15の準備に関し
て、支持基体15は、耐熱性樹脂、ガラス、セラミック
などの平板基板が例示でき、この支持基体15から積層
体を剥離する場合には、支持基体15の表面に水溶性シ
ートや発泡反応を行う発泡層を形成したりする。
【0038】セラミック層1a〜1eとなるスリップ材
は、セラミック粉末、必要に応じてガラス材料、光硬化
可能なモノマー、有機バインダと、有機又は水系溶剤を
均質混練して得られる。
【0039】セラミック粉末としては、クリストバライ
ト、石英、コランダム(αアルミナ)、ムライト、ジル
コニア、コージェライト、Mn・Znフェライト、Ni
・Znフェライトなどの粉末、これらの2種以上の組み
合わせなどが例示でき、その粉末の平均粒径は、好まし
くは1.0〜6.0μm、更に好ましくは1.5〜4.
0μmである。
【0040】特に、コランダムは、コスト的に有利とな
り、コージェライト等の粉末、Mn・Znフェライト、
Ni・Znフェライトは、コイル特性的に有利となる。
【0041】尚、セラミック粉末の平均粒径が1.0〜
6.0μmと設定したのは、平均粒径が1.0μm未満
では、均質混合してスリップ化することが難しくなり、
後述の露光時に露光光が乱反射して充分な露光ができな
くなる。逆に平均粒径が6.0μmを超えると緻密で強
度の高い積層体が得られない。
【0042】ガラス材料としては、複数の金属酸化物を
含むガラスフリットであり、コイルパターンの材料など
にもってことなるが、積層体を焼成するした後、コージ
ェライト、ムライト、アノーサイト、セルジアン、スピ
ネル、ガーナイト、ウイレマイト、ドロマイト、ペタラ
イト及びその置換誘導体の結晶を少なくとも1種析出す
るものが好ましい。特に、アノーサイトまたはセルジア
ンを析出する結晶化ガラスフリットを用いると、より強
度の高い積層体が得られ、また、コージェライトまたは
ムライトを析出し得る結晶化ガラスフリットを用いる
と、焼成後の熱膨張率が低いため、この積層インダクタ
部品上に所定回路を形成して、IC等のシリコンチップ
を配置する場合に有効となる。
【0043】上述のセラミック層の強度、熱膨張率を考
慮した最も好ましいガラス材料としては、B2 3 、S
iO2 、Al2 3 、ZnO、アルカリ土類酸化物を含
むガラスフリットである。
【0044】また、このようなガラスフリットでは、ガ
ラス化範囲が広くまた屈伏点が600〜800℃付近に
ある為、850〜1050℃程度の低温焼成に適し、且
つコイルパターン2、ビアホール導体3となる銅系、銀
系及び金系の導電材料の焼結挙動に適している。
【0045】ガラス材料はスリップ材中には、フリット
の状態で混合されている。このフリットの平均粒径は、
1.0〜5.0μm、好ましくは1.5〜3.5μmで
ある。尚、ガラスフリットの平均粒径を、1.0〜5.
0μmと設定したのは、1.0μm未満の場合は、スリ
ップ化することが困難なであり、後述の露光時に露光光
が乱反射して充分な露光ができなくなる。逆に平均粒径
が5.0μmを超えると分散性が損なわれ、具体的には
絶縁材料であるセラミック粉末間に均等に溶解分散でき
ず、強度が非常に低下してしまう。
【0046】上述のガラス材料は、特に絶縁体セラミッ
ク材料などと共に使用され、比較的低温で焼成可能にす
るために用いられるものであり、例えば磁性体材料の場
合には、ガラス材料を用いることなく比較的低温で焼成
することができるため、ガラス材料が不要となることも
ある。尚、上述のセラミック材料とガラスフリットとを
混合して固形成分として用いる場合、その構成比率は、
850〜1050℃の比較的低温で焼成する場合には、
セラミック材料が10〜60wt%、好ましくは30〜
50wt%であり、ガラス材料が90〜40wt%、好
ましくは70〜50wt%である。
【0047】ここで、セラミック材料が10wt%未
満、且つガラス材料が90wt%を越えると、セラミッ
ク層にガラス質が増加しすぎ、セラミック層の強度等か
らしても不適切であり、また、セラミック材料が60w
t%を越え、且つガラス材料が40wt%未満となる
と、後述の露光時に露光光が乱反射して充分な露光がで
きなり、焼成後のセラミック層の緻密性も損なわれる。
【0048】上述のセラミックやガラスなどの固形成分
の他に、スリップ材の構成材料としては、焼結によって
消失される光硬化可能なモノマー、有機バインダーと、
有機溶剤とを含んでいる。
【0049】光硬化可能なモノマーは、低温短時間の焼
成工程に対応するために、熱分解性に優れたものであ
り、光硬化可能なモノマーとしては、スリップ材の塗布
・乾燥後の露光によって、光重合される必要があり、遊
離ラジカルの形成、連鎖生長付加重合が可能で、2級も
しくは3級炭素を有したモノマーが好ましく、例えば少
なくとも1つの重合可能なエチレン系基を有するブチル
アクリレート等のアルキルアクリレートおよびそれらに
対応するアルキルメタクリレートが有効である。
【0050】また、テトラエチレングリコールジアクリ
レート等のポリエチングリコールジアクリレートおよび
それらに対応するメタクリレートなどが挙げられる。
【0051】光硬化可能なモノマーは、露光処理によっ
て塗布膜10eが硬化され、現像処理によって露光部分
以外の部分が容易に除去できるように所定量添加され
る。例えば、固形成分に対して5〜15wt%以下であ
る。
【0052】有機バインダーは、光硬化可能なモノマー
同様に熱分解性の良好なものでなくてはならない。同時
にスリップの粘性を決めるものである為、固形分との濡
れ性も重視せねばならず、本発明者の検討によればアク
リル酸もしくはメタクリル酸系重合体のようなカルボキ
シル基、アルコール性水酸基を備えたエチレン性不飽和
化合物が好ましい。添加量としては固形分に対して25
wt%以下が好ましい。
【0053】尚、溶剤として、有機系溶剤の他に、水系
溶剤を用いることができるが、この場合、光硬化可能な
モノマー及び有機バインダは、水溶性である必要があ
り、モノマー及びバインダには、親水性の官能基、例え
ばカルボキシル基が付加されている。その付加量は酸価
で表せば2〜300あり、好ましくは5〜100であ
る。付加量が少ない場合は水への溶解性、固定成分の粉
末の分散性が悪くなり、多い場合は熱分解性が悪くなる
ため、付加量は、水への溶解性、分散性、熱分解性を考
慮して、上述の範囲で適宜付加される。
【0054】何れの系のスリップ材においても光硬化可
能なモノマー及び有機バインダは上述したように熱分解
性の良好なものでなくてはならないが、具体的には60
0℃以下で熱分解が可能でなくてはならない。更に好ま
しくは500℃以下である。
【0055】熱分解温度が600℃を越えると、セラミ
ック層内に残存してしまい、カーボンとしてトラップ
し、基板を灰色に変色させたり、セラミック層の絶縁抵
抗までも低下させてしまう。またボイドとなりデラミネ
ーションを起こすことがある。
【0056】また、スリップ材には、増感剤、光開始系
材料等を必要に応じて添加しても構わない。例えば、光
開始系材料としては、ベンゾフェノン類、アシロインエ
ステル類化合物などが挙げられる。
【0057】次に 導電性ペーストは、Au単体、Au
−Ptなどの金系、Ag単体、Ag−Pd、Ag−Pd
−Ptなどの銀系、Cu単体、Cu−Pdなどの銅系、
Mo、Wなど高融点金属系などの金属材料と、低融点ガ
ラス成分と、有機バインダーと有機溶剤とを均質混練し
たものが用いられる。尚、この他に、光硬化モノマーを
用いても構わない。
【0058】金属材料は、積層体の焼成温度、即ち塗布
膜の焼結挙動と近似させることが重要である。例えば、
スリップ材の固形成分として絶縁体セラミック粉末とガ
ラス粉末とを用いて、また、磁性体セラミック粉末を用
いて、低温焼成(850〜105℃で焼成)する場合に
は、金属材料は金系、銀系、銅系材料が例示でき、ま
た、スリップ材の固形成分として、絶縁体セラミック単
体を用いる場合には、PtやPdの比率が高い金系、銀
系、銅系材料や高融点金属が用いられる。
【0059】低融点ガラス成分は、特に積層体の焼成温
度、即ち塗布膜の焼結挙動と近似させるものであり、そ
のガラス成分の屈伏点を700〜800℃となるものを
使用することが重要である。
【0060】また、有機バンイダー、有機溶剤、さら
に、必要に応じて混練する光硬化モノマーはスリップ材
と同一である。
【0061】次に、積層工程を説明する。
【0062】まず、図3に示すように、支持基体15の
表面にスリップ材を用いてセラミック層1aとなる塗布
膜10eを形成する。
【0063】具体的には、塗布膜10eは、例えば固形
成分としてガラス−セラミックから成るスリップ材を塗
布し、乾燥処理して、40〜120μm程度になるよう
に、塗布、乾燥して形成する。尚、実施例では、塗布膜
10eにビアホール導体が形成されていないため、選択
的な露光・現像処理は省略できるが、塗布膜10e全面
に露光処理のみを行うことが望ましい。
【0064】ここで、塗布方法は、塗布膜10e上の表
面を均一にするために用いられるために、例えば、ドク
ターブレード法(ナイフコート法)、ロールコート法、
印刷法などが挙げられる。特に、ドクターブレード法で
は、支持基体15などの表面(塗布面)状況にかかわら
ず、塗布膜10eの表面をブレードでさらえるために、
塗布後の塗布膜の表面が平坦化することができる。
【0065】また、乾燥方法としては、バッチ式乾燥
炉、インライン式乾燥炉を用いて行われ、乾燥条件は、
120℃以下が望ましい。また、急激な乾燥は、表面に
クラックを発生される可能性があるため、急加熱は避け
ることが重要となる。
【0066】さらに、露光処理は、塗布膜10eの全面
に、低圧、高圧、超高圧の水銀灯系露光光を、例えば強
度10〜20mJ/cm2 程度、時間15〜30秒程度
照射して、塗布膜10e中の光硬化モノマーに重合反応
を起こして、硬化を行う。
【0067】次に、図4に示すように、塗布膜10eの
表面に、セラミック層1eとセラミック層1dとの間に
配置されるコイルパターンとなる導体膜20を形成す
る。
【0068】具体的には、例えば導電性材料として、銀
系導体材料を有し、且つ光硬化モノマーを含有するAg
系導電性ペーストを用いてスクリーン印刷によって所定
形状に印刷し、乾燥を行い、露光による光硬化を行う。
この導体膜20は、約1ターン分のコイルパターンであ
り、その一端は、塗布膜10eの端部にまで延出してい
る。また、導体膜20の幅は、部品の小型化と導体抵抗
の低減化の許容範囲で決定され、膜厚は8〜15μm程
度が好ましい。
【0069】ここで、光硬化処理は、上述の塗布膜10
eの光硬化処理と同様の条件で行う。この導体膜20の
光硬化処理は、次の塗布膜10dを形成し、選択的な露
光・現像によって、この導体膜20の一部が露出するこ
とになるが、この現像処理時に、導体膜20が侵されな
いようにするものであり、現像処理の条件を制御するこ
とにより、あえて導体膜20を光硬化させる必要がない
ことでできる。
【0070】次に、図5に示すように、塗布膜10e、
導体膜20を完全に被覆するように、セラミック層1d
となる塗布膜10dを形成する。この工程が、本発明の
課題の解決手段に記載する工程(1)に相当するもので
ある。
【0071】具体的には、図3に示す塗布膜10eと同
様に、上述のスリップ材を用いて塗布・乾燥を行う。
【0072】次に、図6、図7に示すように、塗布膜1
0dの厚み方向を貫くビアホール導体3となる貫通凹部
を形成する。この工程は、本発明の課題の解決手段に記
載する工程(2)に相当するものである。
【0073】具体的には、図6に示すように、塗布膜1
0dにおいてビアホール導体3となる部分に貫通凹部3
0が形成されるように、溶化部30’を選択的に露光処
理して形成する露光処理と、図7に示すように、塗布膜
10dにおいてビアホール導体3となる部分に貫通凹部
30が形成されるように、溶化部30’を選択的に露光
処理して形成する露光処理と、この露光処理によって形
成して溶化部30’を現像処理して貫通凹部30を形成
する現像処理とから成る。
【0074】選択的な露光処理に関して、塗布膜10d
の光硬化モノマーが、露光光の照射によって光重合され
るネガ型であるため、貫通凹部30となる溶化部30’
のみが露光光が照射されないようにして行われる。これ
は、例えば、塗布膜10dの表面に、貫通凹部30とな
る溶化部30’のみが露光処理されないように所定パタ
ーンが形成されたフォトターゲットを、塗布膜10dの
表面に載置、又は近接配置して、上述の露光条件で露光
処理を行う。
【0075】次に、露光処理した塗布膜10dを現像処
理し、溶化部30’を除去して、塗布膜10dに貫通凹
部30を形成する。これにより、貫通凹部30の下部に
は、図4で形成したコイルパターン2となる導体20の
一部が露出することになる。
【0076】この現像処理として、クロロセン、1,
1,1−トリクロロエタン、アルカリ現像溶剤を例えば
スプレー現像法やパドル現像法によって、少なくとも溶
化部30’に噴射したり、接触したりして現像処理を行
う。具体的な現像条件として、例えばスプレー方で30
秒程度の噴射により行われる。その後、必要に応じて洗
浄及び乾燥を行なう。
【0077】尚、貫通凹部30から露出する導体膜20
は光硬化処理されているために、この現像処理の際に侵
されることがない。また、この現像液の濃度、現像条件
を適宜制御して、光硬化処理されない導体膜20が侵さ
れない現像液及び現像条件を用いれば、導体膜20の光
硬化処理は不要となる。
【0078】次に、図8に示すように、塗布膜10dの
貫通凹部30にビアホール導体3となる導体31を充填
し、同時に塗布膜10d上に、セラミック層1dとセラ
ミック層1cとの間に配置されるコイルパターン2を形
成する。この工程は、本発明の課題の解決手段に記載す
る工程(3)に相当するものである。
【0079】塗布膜10dの貫通凹部30にビアホール
導体3となる導体31を、導電性ペーストの充填によっ
て形成する。具体的には、後述の導体膜20を形成する
印刷ど同時に行うこともできるし、また、ディスペンサ
ーなどを用いて貫通凹部30に導電性ペーストの供給に
よって行う。
【0080】セラミック層1dとセラミック層1cとの
間に配されるコイルパターン2となる導体20は、図4
で説明したように、導電性ペーストを所定形状に印刷可
能なスクリーン印刷により印刷形成し、乾燥処理後、露
光処理により光硬化を行う。
【0081】これにより、導体膜20は、概略1ターン
分のコイルパターンであり、その一端は、実質的にビア
ホール導体3となる導体31を被うように、また一体的
に形成されることになる。その後、少なくとも導体膜2
0を光硬化のための露光処理を行う。
【0082】次に、図9に示すように、塗布膜10d、
導体膜20を完全に被覆するように、セラミック層1c
となる塗布膜10cを上述のスリップ材を用いて塗布・
乾燥を行う。即ち、本発明の課題の解決手段に記載する
工程(1)を繰り返すものである。 次に、図10、図
11にに示すように、セラミック層1cの厚み方向を貫
くビアホール導体3に相当する塗布膜10cの所定位置
に、貫通凹部30となる溶化部30’を露光処理して形
成し、この溶化部30’を現像処理により除去して、貫
通凹部30を形成する。これにより、貫通凹部30の下
部には、図8の工程で形成したコイルパターン2となる
導体20の他端が露出することになる。
【0083】即ち、本発明の課題の解決手段に記載する
工程(2)を繰り返すものである。次に、図12に示す
ように、塗布膜10cの貫通凹部30に、ビアホール導
体3となる導体31を形成するとともに、セラミック層
1cとセラミック層1bとの間に配されるコイルパター
ン2となる導体膜20を形成する。即ち、本発明の課題
の解決手段に記載する工程(3)を繰り返すものであ
る。尚、セラミック層1cとセラミック層1bとの間の
導体膜20の形状と、セラミック層1dとセラミック層
1cとの間の導体膜20の形状とでは若干異なるため、
同一スクリーンを用いることはできない。
【0084】以上のように、塗布膜10c上にコイルパ
ターン2となる導体膜20を形成した後、工程(1)を
行い、この塗布膜10c上にコイルパターン2となる導
体膜20が完全に被覆されるように、セラミック層1b
となる塗布膜10bを形成する。続いて、工程(2)を
行い、塗布膜10bのビアホール導体3となる位置に貫
通凹部30を形成すべく、選択的露光・現像処理を行
う。
【0085】次に、図13に示すように、塗布膜10b
に形成した貫通凹部30にビアホール導体3となる導体
31を充填するするとともに、塗布膜10b上にコイル
パターン2となる導体膜20を形成する。即ち、工程
(3)を行う。
【0086】尚、塗布膜10b上に形成される導体膜2
0は、約半ターン分のコイルパターンであり、導体膜2
0の他端が塗布膜10bの端部に延出している。
【0087】次に、図14に示すように、最上層のセラ
ミック層1aとなる塗布膜10aを、塗布膜10b上に
導体膜20が被われるように形成する。尚、塗布膜10
aは全面に露光処理を施して、光硬化を行っても構わな
い。
【0088】これにより、積層体1の積層工程が終了す
る。即ち、積層体1の積層は、少なくとも塗布膜10b
〜10cは工程(1)であるスリップ材の塗布・乾燥に
より形成され、ビアホール導体3と導体は、工程(2)
である平面的に全面に形成された塗布膜10b〜10c
に対して選択的な露光処理・現像処理によって貫通凹部
が形成された後に、工程(3)の一部である導電性ペー
ストの充填によって形成され、コイルパターン2となる
導体膜は、工程(3)の一部である導電性ペーストの所
定形状の印刷によって形成され、基本的にはこの工程
(1)〜(3)の選択的な繰り返しによって達成される
ものである。尚、塗布膜10e、10eには、実施例で
はビアホール導体3となる導体31を形成する必要がな
く、選択的な露光処理・現像処理が不要となるが、例え
ば、端子電極4、5に相当する端子が、積層体の主面に
形成する場合には、塗布膜10eや10eにも選択的な
露光処理・現像処理が必要となる。
【0089】次に、塗布膜10a〜10e、導体膜2
0、導体31とから成る未焼成状態の積層体を、個々の
積層体1に分割可能にするためにプレス成型により分割
溝を形成し、支持基体15と積層体1とを分離したり、
また、支持基体15と積層体1とを分離した後、個々の
積層体1の寸法を考慮して裁断したりする。
【0090】次に、未焼成状態の積層体1を焼成する。
【0091】焼成工程は、脱バインダ過程と焼結過程か
らなる。脱バインダ過程は、塗布膜10a〜10e、コ
イルパターン2となる導体20及びビアホール導体3の
導体31に含まれる有機成分を消失するためであり、例
えば600℃以下である。また、焼結過程は、塗布膜1
0a〜10eのガラス成分を充分に軟化させて、セラミ
ック粉末の粒界に均一に充填させ、積層体1の一定強度
を達成させ、同時に、導体20、31の銀系粉末を粒成
長させて、低抵抗化させるとともに、セラミック層と一
体化させるものであり、酸化性雰囲気又は中性雰囲気で
ピーク温度850〜1050℃で行う。これにより、塗
布膜10a〜10eはセラミック層1a〜1eに、導体
膜20はコイルパターン2に、導体30はビアホール3
となる。
【0092】その後、焼成された積層体1を、必要に応
じて分割溝に沿って分割を行い、端子電極4、5を形成
する。端子電極4はセラミック層1aとセラミック層1
bとの間に配置されたコイルパターン2が露出する側の
端面に、端子電極5はセラミック層1dとセラミック層
1eとの間に配置されたコイルパターン2が露出する側
の端面に、夫々銀などの導電性ペーストを印刷・浸漬・
転写などの厚膜手法によって導体膜が形成され、その後
焼きつけ処理することにより下地導体膜が形成される。
さらに、電解メッキ法や無電解メッキ法などによって、
単層または積層構造のメッキ層を被着する。例えば、銀
などの下地導体膜上に、Niメッキ、半田メッキなどを
施す。
【0093】以上のような本発明の積層インダクタ部品
の製造方法においては、セラミックセラミック層1a〜
1eとなる塗布膜10a〜10eが、スリップ材をドク
ターブレード法などの塗布方法で形成されるため、任意
の厚みで形成することができるとともに、塗布する表
面、即ち支持基体15の表面や前までの積層工程で形成
した塗布膜10a〜10dの表面の形状にかかわらず、
その塗布した塗布膜10a〜10eの表面を均一な平坦
面とすることができる。
【0094】これにより、積層数が増加しても、塗布膜
の表面は常に均一な平坦面であるため、この塗布膜上に
導体膜を形成するにあたり、高精度で形成でき、しか
も、積層ずれなどが一切起こらない。
【0095】また、塗布膜10a〜10eに形成される
ビアホール導体3となる貫通凹部30が、選択的な露光
処理と現像処理によって形成されるため、貫通凹部30
の開口形状、開口径、即ちビアホール導体3の形状、径
を任意の大きさで簡単に形成できる。従って、コイルパ
ターン2の導体抵抗を考慮して、比較的大きな径のビア
ホール導体3をも非常に簡単に且つ確実に形成できる。
【0096】さらに、ビアホール導体3となる導体31
を形成するための貫通凹部30に導電性ペーストを充填
する場合には、実際には凹部形状の貫通凹部30に導電
性ペーストを充填するため、ビアホール導体3を緻密に
形成することができ、しかもコイルパターン2との接続
が確実に行うことができる。
【0097】また、本実施例では、ビアホール導体3の
形成位置が、露光処理時に用いるフォトターゲット(薄
膜技術の微細加工に使用するもの)の位置制御によって
決定されるため、位置精度が従来に比較して格段に向上
し、簡単となる。従って、簡単且つ安定した積層構造を
達成できる積層インダクタ部品となる。
【0098】尚、上述の実施例においては、最も基本的
なインダクタ部品で説明したが、図16に示すように、
積層体1の厚み方向に貫通穴を形成し、コイルパターン
2、ビアホール導体3で構成されるコイルの中心部に、
フェライトコア部材6を配置しても構わない。特に、こ
れはセラミック層1a〜1gに絶縁体セラミック材料を
用いた場合に有効である。フェライトコア部材6は未焼
成状態の積層体1にフェライトコア部材6が配置される
プレス成型によって貫通穴を形成したり、また、ビアホ
ール導体3となる貫通凹部30を形成する時に、各塗布
膜10a〜10eに露光・現像によって形成しても構わ
ない。
【0099】また、端子電極4、5を積層体1の端面以
外に、積層体の表面又は裏面に形成しても構わない。こ
の場合には、一連に接続されたコイルパターン2の両端
から積層体1の主面にビアホール導体を延出させること
によって達成される。
【0100】さらに、積層体1には、複数のコイルパタ
ーン2を形成しても構わないし、また、この複数のコイ
ルパターン2どうしを容量結合させて、L−Cのフィル
タ回路、共振回路、トランスを構成しても構わない。
【0101】さらに、積層体の一部に、コイルパターン
2と接続する内部配線を内装したり、さらに表面にコイ
ルパターン2と接続する表面配線を形成したり、電子部
品を搭載したりしても構わない。
【0102】さらに、支持基体15に焼成済みセラミッ
ク基板を用いて、支持基体から積層体を剥離せず、この
支持基体を積層体の一部として用いることができる。こ
の場合、焼成済みセラミック基板表面に予めコイルパタ
ーンを形成しておいても構わない。
【0103】さらに、上述の製造方法では、スリップ材
として、ガラス−セラミックの場合で説明したが、スリ
ップ剤の固形成分として、Mn・Znフェライト、Ni
・Znフェライトなどの磁性体材料を用いても構わな
い。この場合、所定フェライト焼結体を造粒して用いる
ことになるが、固形成分にガラス成分と用いては所定フ
ェライトのもつ透磁率などの特性を低下させることがあ
るため、好ましくはMn・Znフェライト、Ni・Zn
フェライトなどの磁性体セラミック材料を単独に用いる
ことが好ましい。尚、Ni・Znフェライトなどの焼結
体の温度など考慮すると、コイルパターン2となる導体
膜の金属成分として、金系、銀系、銅系などの材料を簡
単に用いることができる。
【0104】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、コイルパ
ターン間の接続信頼性が向上し、その接続部分の導体抵
抗が低下でき、積層数の増加やコイルパターンの形状に
係わらず、常に安定して、塗布膜やコイルパターンの導
体膜を安定且つ確実に形成できる積層インダクタ部品の
製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層インダクタ部品の外観斜視図
である。
【図2】図1中の積層体の分解斜視図である。
【図3】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図4】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図5】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図6】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図7】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図8】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図9】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一製
造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図10】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一
製造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図11】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一
製造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図12】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一
製造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図13】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一
製造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図14】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一
製造工程を説明する図であり、(a)はその平面図、
(b)は(a)中X−X線の断面図である。
【図15】本発明の積層インダクタ部品の製造方法の一
製造工程を説明する工程流れ図である。
【図16】本発明に係る他の積層インダクタ部品の断面
図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・積層体 1a〜1e・・・セラミック層 10a〜10e・・・塗布膜 2・・・・・・・コイルパターン 20・・・・・・コイルパターンとなる導体 3・・・・・・・ビアホール導体 31・・・・・・ビアホール導体となる導体部材 30・・・・・・貫通凹部 4、5・・・・・端子電極
フロントページの続き (72)発明者 坂ノ上 聡浩 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内 (72)発明者 古橋 和雅 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内 (72)発明者 末永 弘 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内 (72)発明者 中村 淳一 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セラミック層を複数積層して成る積層体
    に、各セラミック層間に配置したコイルパターンの導体
    層と、該導体層どうしを接続するためにセラミック層の
    厚み方向に形成されたビアホール導体とからなるコイル
    を内装した積層インダクタ部品の製造方法において、下
    記(1)〜(3)の工程を選択的に順次繰り返した後、
    焼成工程を行うことを特徴とする積層インダクタ部品の
    製造方法。支持基体上に、 (1)光硬化可能なモノマーを含有するセラミックスリ
    ップ材の塗布・乾燥によってセラミック層となるセラミ
    ック塗布膜を形成する工程 (2)前記セラミック塗布膜の一部を除去してビアホー
    ル導体の貫通部を形成するために、前記セラミック塗布
    膜に選択的な露光処理・現像処理する工程 (3)前記貫通部に導電性ペーストを充填して、前記ビ
    アホール導体となる導体を形成するとともに前記セラミ
    ック塗布膜上に、導電性ペーストを印刷してコイルパタ
    ーンの導体層となる導体膜を形成する工程。
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