JPH08185615A - クリーニング媒体 - Google Patents

クリーニング媒体

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JPH08185615A
JPH08185615A JP33965194A JP33965194A JPH08185615A JP H08185615 A JPH08185615 A JP H08185615A JP 33965194 A JP33965194 A JP 33965194A JP 33965194 A JP33965194 A JP 33965194A JP H08185615 A JPH08185615 A JP H08185615A
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JP
Japan
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cleaning
iron oxide
cleaning medium
coating layer
magnetic head
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JP33965194A
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English (en)
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Naoyuki Nagashima
直行 永島
Hideki Sasaki
英樹 佐々木
Toru Tsukahara
徹 塚原
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Original Assignee
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気ヘッドに対する傷および付着物の発生な
らびにヘッド摩耗量が少なく、磁気ヘッドのクリーニン
グ効果に優れたクリーニング媒体を提供することにあ
る。さらには、クリーニング媒体の耐久性に優れ、記録
再生特性も確保できるクリーニング媒体を提供する。 【構成】 非磁性支持体の上に、磁気ヘッドをクリー
ニングするための塗膜層を備えるクリーニング媒体にお
いて、前記塗膜層は、結合剤と、この結合剤中に分散さ
れた強磁性酸化鉄粉末および無機顔料を有し、前記無機
顔料はモース硬度が9を超えるものであり、かつ前記強
磁性酸化鉄粉末100重量部に対して20〜30重量部
含有されているように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッドのクリーニ
ング効果を備えたクリーニング媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気ヘッドをクリーニングする
ためのクリーニング媒体は、非磁性支持体上に、研磨性
の高い無機顔料を結合剤中に分散した塗料を塗設して形
成した塗膜層を有している。この塗膜層に要求される機
能としては、例えば、記録再生の際に磁気ヘッドに付着
した磁性層表面の成分や、容器に起因する塵埃などの付
着物や磁気ヘッドの摺接傷などを、磁気ヘッドを傷つけ
ずに安全に取り除くようにすること等が挙げられる。
【0003】このような目的で用いられているクリーニ
ング媒体としては、特開昭60−56870号、特開昭
61−227216号、特公昭62−60725号、特
公昭62−60726号、特公平4−24193号など
に提案されているものが存在する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
提案のものはいずれも磁気ヘッドのクリーニング媒体と
しては、十分満足なものとは言えないのが現状である。
【0005】すなわち、特開昭60−56870号にお
いては、研磨性の無機顔料を強磁性粉末に対して同等な
いしは5倍といったように過剰に用いている。そのた
め、磁気ヘッドに対するクリーニング性と記録再生特性
とのバランスが悪く、両方の機能が同時に満たせないと
いう不都合が生じる。さらには、提案されているモース
硬度の範囲すべてにおいてクリーニング効果も十分なも
のとは言えない。
【0006】特開昭61−227216号には、モース
硬度4以上の研磨剤と潤滑剤と樹脂結合剤とを含有する
塗膜を形成したクリーニングディスクが提案されてい
る。しかしながら、研磨剤の好適含有量の示唆や、モー
ス硬度が極端に高くなった場合におけるクリーニング効
果の挙動についての開示はなんらなされていない。
【0007】さらに、特公昭62−60725号および
特公昭62−60726号には、モース硬度が9より下
の研磨砥粒や、モース硬度が9より上の研磨砥粒とモー
ス硬度が9より下の研磨砥粒との混合物を用いたクリー
ニングテープが開示されている。しかしながら、必ずし
もこれらの提案の範囲すべてが最適なクリーニング効果
を発現するとはいえない。
【0008】特公平4−24193号には、BET法に
よる表面積が30m2 /g以上の針状酸化鉄粉末とモー
ス硬度7を超える硬度の粒状無機粉末が針状酸化鉄粉末
に対して2.0〜30重量%の割合で含有されているラ
ッピングテープが開示されている。しかしながら、必ず
しもこれらの提案の範囲すべてが最適なクリーニング効
果を発現するとはいえず、モース硬度が極端に高くなっ
た場合におけるクリーニング効果の挙動についての開示
もない。
【0009】また、一般的に、クリーニング媒体におい
ては、磁気ヘッドのクリーニング性を重視するために、
研磨剤の含有率が高くなり、その研磨性が強すぎて磁気
ヘッドの損傷を与えるなどの不具合が認められることが
ある。この一方で、磁気記録に寄与する磁性粉末に関し
ては、クリーニング性を重視するがために、塗膜層中に
磁性粉末をまったく含有していないか、あるいは含有し
ていたとしても極めて少量であるために記録再生が不可
能である場合が多い。さらに、これらのクリーニング媒
体は、通常、塗膜層中に多くの研磨剤を含有して、相手
を摩耗することによって塗膜の耐久性を確保しているた
め、塗膜層の耐久性(耐削れ性)が考慮されていないこ
とが多く、そのため研磨性塗膜の脱落によるアブレーシ
ブ摩耗が発生して磁気ヘッドに回復不能なダメージを与
えることもあった。
【0010】本発明はこのような実情のもとに創案され
たものであって、その目的は、磁気ヘッドに対する傷お
よび付着物の発生ならびにヘッド摩耗量が少なく、磁気
ヘッドのクリーニング効果に優れたクリーニング媒体を
提供することにある。さらには、クリーニング媒体の耐
久性に優れ、記録再生特性も確保できるクリーニング媒
体を提供することにもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明のクリーニング媒体は、非磁性支持体
の上に、磁気ヘッドをクリーニングするための塗膜層を
備え、前記塗膜層は、結合剤と、この結合剤中に分散さ
れた強磁性酸化鉄粉末および無機顔料を有し、前記無機
顔料はモース硬度が9を超えるものであり、かつ前記強
磁性酸化鉄粉末100重量部に対して20〜30重量部
含有されているように構成される。
【0012】前記強磁性酸化鉄粉末は、そのBET法に
よる比表面積が、15m2 /g以上30m2 /g未満で
あるように構成するのが好適である。
【0013】前記無機顔料は、透過電子顕微鏡法(TE
M)によって測定された粒子サイズが0.1〜1.0μ
mであるように構成するのが好適である。
【0014】前記無機顔料は、炭化珪素であるように構
成するのが好適である。
【0015】前記塗膜層は、その表面の中心線平均表面
粗さ(Ra)が、15〜50nmであるように構成する
のが好適である。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1を参照しつつ説
明する。図1には本発明のクリーニング媒体の1実施例
を例示した断面図が示される。本発明のクリーニング媒
体1は、非磁性支持体2の上に、磁気ヘッドをクリーニ
ングするための塗膜層3を備えている。そして、この塗
膜層3には、結合剤と、この結合剤中に分散された強磁
性酸化鉄粉末および無機顔料が含有されている。
【0017】本発明において、塗膜層3に含有される無
機顔料は、モース硬度が9を超えるものが用いられる。
モース硬度が9以下となると、本発明にいう極めて優れ
たクリーニング特性が得られなくなってしまうという不
都合が生じる。モース硬度は、あらかじめ硬度の分かっ
ている標準試料と測定すべき試料とを相互に引っ掻き、
合わせ傷のつく方が軟らかく硬度が小である、とする測
定方法で求められるものである。モース硬度10を最大
の値とし、該当物質がダイヤモンド(diamond)である。
大きい単結晶のできるものでは容易に測定できるが、顔
料のような微粉末では精度を考慮して一般に次のように
して相対値で求められる。すなわち、2種の顔料とビヒ
クルとをフーバーマラーか、あるいはボールミルで一定
時間混合し、これをグラインドメーターを用いて、粗粒
子の残っている程度やつぶれやすさを元の粒子(の硬
さ)と比較して定める。
【0018】本発明で用いられるモース硬度が9を超え
る無機顔料としては、例えば、炭化珪素、炭化チタン、
炭化硼素、窒化硼素、人造ダイアモンド等が挙げられる
が、原料コスト等を考えれば炭化珪素を用いるのが好適
である。含有させる無機顔料は、単一系でも混合系でも
良い。単一系または混合系における粒度分布は、後述す
る本願の範囲内であれば変化させることもでき、また、
無機顔料は、100%純粋でなくても、主成分が80%
以上であれば本発明の効果は減少しない。
【0019】これら無機質粉末の粒子の形状は、任意に
設定すれば良いが、粒状、球状または多面体形状が好ま
しい。
【0020】これらの無機顔料は、磁性粉末(強磁性酸
化鉄粉末)100重量部に対して、20〜30重量部、
好ましくは、23〜28重量部の範囲で用いられる。無
機顔料の含有量が20重量部未満となると、研磨性の粒
子が少なすぎるためクリーニング性が十分に発揮され
ず、この一方で、30重量部を超えると、研磨性の粒子
が多くなりすぎるために磁気ヘッドが過剰に摩耗される
という不都合が生じる。また、記録再生に必要な出力を
確保することも不可能となる。
【0021】このような無機顔料の透過電子顕微鏡法
(以下『TEM法』と称す)により測定される平均粒子
サイズは、0.1〜1.0μmである。この値が0.1
μm未満となると、磁気ヘッドのクリーニング性が十分
でなく、逆にこの値が1.0μmを超えると磁気ヘッド
の摩耗量が増加することに加えて磁気ヘッドの表面性が
悪化して出力不足となってしまう。なお、TEM法にお
いては、媒体(塗膜層)から直接にその平均粒子サイズ
を有効に測定できるというメリットがある。また、TE
M法による平均粒子サイズと、塗料作成前の材料選定の
ために有効な遠心沈降法による平均粒子サイズとは、あ
る程度の相関関係があることが本発明者らによって明確
にされており、上記のTEM法による平均粒子サイズを
得るには、一つの目安として遠心沈降法による平均粒子
サイズが、0.2〜2.0μmの範囲内にあるように設
定すればよい。
【0022】また、用いる無機顔料は、水に可溶なアル
カリ金属、アルカリ土類金属、塩素、硫酸、硝酸等のイ
オンが少ないことが必要で、その量が多くなると媒体化
したときの保存特性に悪影響を及ぼす。
【0023】なお、このような無機顔料は、磁性粉末
(強磁性酸化鉄粉末)との混練時、または分散時に同時
に添加しても良いし、あらかじめ結合剤で分散しておい
て、磁性塗料の分散時に添加してもかまわない。
【0024】本発明に用いられるモース硬度が9を超え
る無機顔料以外に、モース硬度が9以下の無機顔料を磁
性粉末100重量部に対して0〜10重量部であって、
本発明の無機顔料と併せて合計30重量部までであれば
添加しても良い。添加可能な無機顔料としては、例え
ば、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−
アルミナ、δーアルミナ、三酸化二クロム、α−酸化
鉄、γ−酸化鉄、ゲータイト、SiO2 、ZnO、Ti
2 、ZrO2 、SnO2 、窒化珪素、炭化モリブデ
ン、炭化タングステン、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリ
ウム、硫化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステ
ン等が挙げられる。
【0025】本発明の塗膜層3中には、クリーニング性
の向上とともに磁気記録・再生可能なように強磁性酸化
鉄粉末が所定量含有される。
【0026】本発明の塗膜層3中に含有される強磁性酸
化鉄粉末は、γ−Fe23 、Fe34 、γ−Fe2
3 とFe34 固溶体、Co化合物被着型γ−Fe2
3、Co化合物ドープ型γ−Fe23 、Co化合物
被着型Fe34 、Co化合物ドープ型Fe34 、C
o化合物被着型γ−Fe23 とCo化合物被着型Fe
3 O44固溶体、Co化合物ドープ型γ−Fe23 とC
o化合物ドープ型Fe34 固溶体等が挙げられる。
【0027】また、Co化合物とは、酸化コバルト、水
酸化コバルト、コバルトフェライト、コバルトイオン吸
着物等のコバルトの磁気異方性を保磁力向上に活用する
化合物を示す。
【0028】Co被着またはドープされたγ−Fe2
3 を用いる場合における2価の鉄の3価の鉄に対する比
は、好ましくは0〜20%であり、さらに好ましくは2
〜10%である。
【0029】なお、これら上記のすべての強磁性酸化鉄
粉末には、Al、Si、Cr、Mn、Co、Ni、Z
n、Cu、Zr、Ti、Bi、Ag、Pt、B、C、
P、N、Y、S、Sc、V、Mo、Rh、Pd、Ag、
Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、H
g、Pb、La、Sr、希土類等の元素を少量添加した
ものであってもよく、これらの元素の中でもとくに、A
l、Si、P、Y、希土類元素を添加することによって
粒度分布を向上させ、焼結を防止する等の効果が生じ
る。
【0030】また、これらの強磁性酸化鉄粉末には、A
l、Si、Pまたはこれらの酸化物膜で覆ったもので
も、Si、Al、Ti等のカップリング剤や各種の界面
活性剤等で表面処理したものでもよい。
【0031】これらのの強磁性酸化鉄粉末にはあとで述
べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤等で分散
前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0032】本発明に用いられるこのような強磁性酸化
鉄粉末は、BET法で表される比表面積が15m2 /g
以上30m2 /g未満、好ましくは20〜25m2 /g
である。比表面積が15m2 /g未満となると、分散性
が悪く、ノイズが高くなるとともに磁気ヘッドの摩耗が
増加するという不都合が生じ、比表面積が30m2 /g
以上になると磁性粉が微細化しすぎて媒体の耐久性が得
にくくなり好ましくない。
【0033】また、強磁性酸化鉄粉末の含水率は0.1
〜2%であればよいが、結合剤の種類によって最適化す
ることが好ましい。
【0034】さらに、強磁性酸化鉄粉末のpHは用いる
結合剤との組み合わせにより最適化することが好まし
く、その範囲は、4〜12であるが、好ましくは6〜1
0である。
【0035】このような強磁性酸化鉄粉末は、通常、結
合剤(バインダ)100重量部に対し100〜2000
重量部程度含有され、塗膜層3中の強磁性酸化鉄粉末の
含有量は、全体の50〜95wt%、好ましくは55〜
90wt%とされる。強磁性酸化鉄粉末の含有量が多す
ぎると塗膜層3中の樹脂を始めとする添加物の量が相対
的に減少するため、塗膜層3の耐久性が低下する等の欠
点が生じやすくなり、少なすぎると高い再生出力を得ら
れない。
【0036】これらの強磁性酸化鉄粉末は、それぞれ単
独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよ
い。
【0037】強磁性酸化鉄粉末の保磁力Hcは、500
〜900Oeの間において、システム要求値により選定
すればよいが、一般的に、Hcが大きすぎると通常のヘ
ッドで信号を記録したり消去することが困難になり、一
方、小さすぎると短波長記録の再生出力が十分に得られ
ない。
【0038】飽和磁化(σs )、は適宜選択してよい
が、耐久性、摩擦等の物性面を考慮しつつできるだけ高
い飽和磁化が得られるように実験的に選定することが好
ましく、σsが低いと高い再生出力が得られない原因と
なる。
【0039】これらの強磁性酸化鉄粉末の形状は針状、
紡錘状(ここでは針状の中心部が太い形状をいう)、粒
状、球状等が使用され、これらは磁気記録の用途等によ
って選択すれば良いが、とくに球状、粒状等よりも、塗
膜層3自体の強度を高めること等を考慮すれば針状また
は紡錘状のものが好ましい。針状または紡錘状磁性粉の
長軸/短軸の軸比としては、任意であるが、通常3〜1
0程度の軸比をもつものがよい。なお、強磁性酸化鉄粉
末は、0.05〜1.0μm程度の粒径とすればよい
が、針状あるいは紡錘状の場合は、平均長径0.05〜
0.8μm、平均軸比3〜10のものが好ましく、さら
に好ましくは、平均長径0.1〜0.7μm、平均軸比
5〜8のものである。平均長軸径が大きすぎると媒体の
バルクノイズが大きくなり、一方、小さすぎると磁気塗
料中で磁性粉どうしの凝集がおこりやすくなる。
【0040】このように塗膜層3中に強磁性酸化鉄粉末
を所定量含有させて磁気記録再生可能とする目的の一つ
には、塗膜層3中にあらかじめ磁気記録情報を入れてお
きクリーニングのやり過ぎを防止することにある。すな
わち、本発明のクリーニング媒体を用いて、磁気ヘッド
をクリーニングする際に、必要以上の長い時間のクリー
ニングを行わないように、所定の時間経過後にクリーニ
ング完了のメッセージを例えばディスプレイを通してオ
ペレータに伝達したりするために用いられる。クリーニ
ング中にその旨メッセージを流してもよい。このような
情報は、ディスク状のクリーニング媒体に特に有用であ
る。クリーニング操作中、通常、エンドレスに回り続け
るからである。もちろん、上記の用途以外に他の磁気記
録情報を入れておくこともできる。
【0041】本発明に使用される結合剤としては、熱可
塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、電子線感応型変
性樹脂等が用いられ、その組み合わせは媒体の特性、工
程条件に合わせて適宜選択使用される。
【0042】熱可塑性樹脂としては、軟化温度が150
℃以下、平均分子量5、000〜200、000、重合
度50〜2、000程度のものであり、熱硬化樹脂、反
応型樹脂または電子線官能型変性樹脂も熱可塑性樹脂同
様の平均分子量、重合度のものであって、塗布、乾燥、
カレンダー加工後に加熱、電子線照射することにより、
縮合、付加等の反応により分子量は無限大のものとなる
ものである。
【0043】これらのうちで、好ましく用いられるもの
としては、以下に示すような塩化ビニル系共重合体およ
びポリウレタン樹脂の組み合わせである。
【0044】本発明に使用される樹脂の例としては、塩
化ビニル系共重合体が挙げられ、詳しくは、塩化ビニル
含有量60〜95wt%、とくに60〜90wt%のも
のが好ましく、その平均重合度は100〜500程度で
あることが好ましい。
【0045】このような塩化ビニル系樹脂としては、塩
化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩
化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共
重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリート、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール−グリシジル(メタ)アクリレート、塩化ビ
ニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート−グリ
シジル(メタ)アクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ビニルアルコール−グリシジル(メタ)アクリレート
共重合体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレート−アリルグリシジルエーテル、塩化ビニル−
酢酸ビニル−ビニルアルコール−アリルグリシジルエー
テル等の共重合体等がある。
【0046】このような塩化ビニル系共重合体として
は、−SO4 Y、−SO3 Y、−OPO2 Y基、−PO
3 Y基、−COOY基(YはH、K、Na)、アミノ基
(−NR2 )、−NR3 Cl(RはH、メチル、エチ
ル)等を含有させることもでき、これらの極性基は、分
子中に0.01〜10wt%、とくに0.1〜5wt%
含まれていることが好ましい。
【0047】このような塩化ビニル系樹脂と併用するポ
リウレタン樹脂は、耐摩耗性および支持体への接着性が
良い点でとくに有効であり、これらには、主鎖および/
または側鎖に水酸基、極性基等を有するものであっても
良く、極性基としては、−SO3 M、−SO4 M、=P
3 M、=PO3 M、=POM、−P=O(OM1 )
(OM2 )、−OP=O(OM1 )(OM2 )、−CO
OM、−NR4 X、−NR2 、−N+3 、エポキシ
基、−SH、−CN等(ここで、M、M1 、M2 は、
H、Na、K、−NR4 、−NHR3 を示し、Rはアル
キル基もしくはHを示し、Xはハロゲン原子を示す)か
ら選ばれる少なくとも一つ以上の極性基を共重合または
付加反応で導入したものを用いることが好ましく、この
うちMとしてはとくにNaが好ましく、これら極性基
は、原子として分子中に0.01〜10wt%、とくに
0.02〜3wt%含まれていることが好ましい。
【0048】これらポリウレタン樹脂とは、ポリエステ
ルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール等
のヒドロキシ基含有樹脂とポリイソシアネート含有化合
物との反応により得られる樹脂の総称であって、下記に
詳述する合成原料を数平均分子量で500〜20000
0程度に重合したもので、そのQ値(重量平均分子量/
数平均分子量)は1.5〜4程度である。
【0049】またこれらのウレタン樹脂は、用いる結合
剤中において、ガラス転移温度Tgが−20℃≦Tg≦
80℃の範囲で異なるものを少なくとも2種類以上、さ
らにその合計量が全結合剤の10〜90wt%であり、
これら複数のポリウレタン樹脂を含有することで、高温
度環境下での走行安定性とカレンダ加工性、電磁変換特
性のバランスが得られる点で好ましい。
【0050】さらにこれら塩化ビニル系共重合体と、ポ
リウレタン樹脂とは、その重量混合比が10:90〜9
0:10となるように混合して用いることが好ましい。
【0051】なお、これらの樹脂に加えて、全体の20
wt%以下の範囲で、公知の各種樹脂が含有されていて
もよい。
【0052】上述の共重合体を三次元的に架橋するため
に、(メタ)アクリル系二重結合((メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸
アミドの残基である(メタ)アクリロイル基)を導入し
て電子線感応変性を行ったものを使用することも可能で
あるこの電子線感応変性を行うにおいて、塩化ビニル共
重合体の場合には、その水酸基とトリレンジイソシアネ
ートと2−ヒドロキシエチルメタアクリレートとの反応
物とを反応させるウレタン変性、エチレン性不飽和二重
結合とイソシアネート基を1分子中に有しかつウレタン
結合を分子中に持たないモノマー(2−イソシアネート
エチル(メタ)アクリレート等)を用いる改良ウレタン
変性と(メタ)アクリル基とカルボン酸無水物あるいは
ジカルボン酸を有する化合物を反応させてエステル変性
する方法等があり、なかでも改良ウレタン変性が、塩化
ビニル系樹脂の含有比率を上げても脆くならず、分散性
を損なうことが少ないので、表面性にすぐれた塗膜を得
ることができるため好ましく、またポリウレタン樹脂の
場合には、重合中にアクリル系二重結合を導入したり、
重合後に塩化ビル共重合体の様にグラフトして導入すれ
ば良く、これらの電子線官能基含有量は、製造安定性、
硬化性等から水酸基成分中1〜40モル%、好ましくは
10〜30モル%であり、とくに塩化ビニル系共重合体
の場合は1分子あたり1〜20個、好ましくは2〜10
個の官能基となるようにモノマーを反応させると分散
性、硬化性ともに優れた電子線硬化性樹脂を得ることが
できる。
【0053】電子線硬化に際しては、酸素濃度が1%以
下のN2 、He、CO2 等の不活性ガス雰囲気で、加速
電圧100KV〜750KV、好ましくは150〜30
0KVの電子線加速器を用い、吸収線量を20〜200
キログレイとなるように照射し、架橋率を向上させるた
めに多官能アクリレートを1〜50wt%混合して使用
してもよい。
【0054】また、電子線硬化型変性に換えて、架橋剤
として各種ポリイソシアナートを用いて架橋することも
可能で、トリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、メチレンジイソシアナート等の1種以
上を、トリメチロールプロパン等の水酸基を複数有する
ものに変性した架橋剤、またはジイソシアネート化合物
3分子が結合したイソシアヌレート型の架橋剤を用いる
ことが好ましく、架橋剤の含有量は樹脂100wt%に
対し、10〜50wt%とすることが好ましく、この架
橋剤を添加して樹脂を硬化するには、一般に加熱オーブ
ン中で50〜80℃にて6〜100時間加熱するか、低
速度にて、80〜120℃にてオーブン中を走行させる
ことにより、樹脂に含有される水酸基等と三次元的に結
合して塗膜層の耐久性が向上できる。
【0055】これら以外にも樹脂としては、(メタ)ア
クリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−ブ
タジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ニトロセルロース、スチレン−ブタジエン系共
重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール樹脂、
エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエーテル樹
脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル類、
ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポ
リブタジエンエラストマー、塩化ゴム、アクリルゴム、
イソプレンゴム、エポキシ変性ゴム、縮重合するフェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿
素樹脂、ブチラール樹脂、ポリマール樹脂、メラニン樹
脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応
樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽
和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙
げられる。
【0056】上記共重合体の中でも、末端およびまたは
側鎖に水酸基を有するものが反応型樹脂として、イソシ
アナートを使用した架橋や電子線架橋等が容易に利用で
きるため好適であり、さらに末端や側鎖に極性基として
−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−OPO3
X、−PO3 X、−PO3 X、−N+3 Cl- 、−N
2 等をはじめとする酸性極性基、塩基性極性基等を含
有していてもよく、これらの含有は分散性の向上に好適
である。
【0057】本発明に用いられるクリーニング媒体の塗
膜層3の表面の表面粗さは、JISによる中心線平均粗
さ(Ra)において15〜50nm、好ましくは15〜
30nmである。Raが50nmを超えると磁気ヘッド
の摩耗が増加し、また媒体としての出力が低下するとい
う不具合が生じ、Raが15nm未満となると磁気ヘッ
ドのクリーニング性が不十分となる。
【0058】このような表面粗さRaは、組成配合比、
分散工程、カレンダー処理工程および支持体の表面粗さ
等を組み合わせることよって制御することが可能であ
る。組成配合比と分散工程において調整するときは、塗
料の製造工程において分散状態を管理し、各工程におけ
る表面粗さを確認して塗料を製造すれば良い。
【0059】また、カレンダー処理工程で行う場合、カ
レンダ処理ロールとしてはエポキシ、ポリエステル、ナ
イロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等
の耐熱性のあるプラスチックロール(カーボン、金属や
その他の無機化合物を練り込んで有るものでもよい)と
金属ロールの組合わせ(3ないし7段の組合わせ)、ま
たは、金属ロール同志で処理することもでき、その処理
温度および/または圧力を調整するか、処理ロールの表
面性を調整する。このカレンダー条件としては、90℃
以下、好ましくは60℃以下、その線圧力は200kg
/cm以下、好ましくは100kg/cm以下、その速
度は20m/分〜700m/分の範囲である。
【0060】このような塗膜層3の厚さは、0.5〜
5.0μm、好ましくは、0.5〜2.0μm程度とさ
れる。この値が5.0μmを超えると、経済的不利益の
み生じて意味のない膜厚となり、この値が0.5μm未
満となると耐久性や出力が低下してしまう。
【0061】このような塗膜層3が形成される、非磁性
支持体2としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエ
ステル類、ポリオレフイン類、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフォンセルローストリ
アセテート、ポリカーボネート等の公知のフイルムを使
用することができ、好ましくは、PET、PEN、芳香
族ポリアミドであり、さらに好ましくは、PETないし
PENの2種ないし3種による多層共押出しによる複合
化フイルムであり、これらのフイルムを使用すると電磁
変換特性、耐久性、摩擦特性、フィルム強度、生産性の
バランスが得やすい。
【0062】また、これらの支持体には、フィラーとし
てAl、Ca、Si、Ti等の酸化物や炭酸塩等の無機
化合物、アクリル樹脂系微粉末等の有機化合物等を添加
することが好ましく、これらの量と大きさにより表面性
を自由にコントロールすることが可能となり、電磁変換
特性、耐久性、摩擦特性等をコントロールすることが可
能である。
【0063】さらに、これらの支持体には、あらかじめ
コロナ放電処理、プラズマ放電および/または重合処
理、易接着剤塗布処理、除塵処理、熱および/または調
湿による緩和処理等をおこなっても良い。
【0064】これら支持体の中心線表面粗さが0.03
μm以下、好ましくは0.02μm以下、さらに好まし
くは0.01μm以下のものを使用する必要があり、こ
れらの支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけで
はなく、0.5μm以上の粗大突起がないことが好まし
い。
【0065】このような非磁性支持体2の厚さは、特に
制限はなく、通常、磁気記録媒体の支持体厚さと同程度
とされるが、ディスク状のクリーニング媒体では、50
〜100μm程度とされる。
【0066】なお、本発明の塗膜層3を形成する際の塗
料中に用いる溶剤としては、とくに制限はないが、結合
剤(バインダ)の溶解性、相溶性および乾燥効率等を考
慮して適宜選択され、例えばメチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、イソプロパロール、ブ
タノール等のアルコール類、ジオキサン、テトヒドロフ
ラン、ジメルホルムアミド、ヘキサン、塩素置換炭化水
素類等の希釈剤ないし溶剤を単一溶剤またはこれらの任
意比率の混合溶剤として用いる。
【0067】これら有機溶剤は必ずしも100%純粋で
はなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分
解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわな
いが、これらの不純分は5wt%以下が好ましく、さら
に好ましくは3wt%以下であることが必要で、不純物
が多いと磁性粉の分散性、塗料の貯蔵安定性、塗膜の硬
化特性、媒体における保存特性等に悪影響を及ぼす。
【0068】これらの溶剤は、塗料の粘度を塗布の段階
でコーンプレート型または二重円筒型粘度計によるシェ
アレート3000sec-1において5〜100cpとす
るように、結合剤総量に対して10〜10000wt
%、とくに100〜5000wt%の割合で使用し、塗
料全体の溶剤の使用割合としては、固形分(不揮発分)
濃度5〜40wt%、好ましくは10〜35wt%程度
となるように用いればよいが、その溶剤種、混合比率、
使用量の決定には塗料に用いられている顔料の種類、比
表面積、粒子サイズ、磁性粉であればその磁化量、顔料
の体積または重量充填度、さらには塗料の希釈安定性等
を考慮して上記の粘度範囲になるよう調整して用いれば
よい。
【0069】また、溶剤添加操作は、塗料の製造の各工
程において段階的に行うことが好ましく、流量規制して
タンク内に撹拌しながら順次添加したり、配管で塗料と
徐々に混合する等の操作を行うことが良く、さらに可能
であれば溶剤添加時または希釈時に濾過および/または
分散処理を行うことがさらに好ましく、これらの操作を
行うことにより塗料の安定性と凝集物、異物の発生を抑
えることが可能となるのである。
【0070】本発明の塗膜層3には、通常、潤滑剤が含
有される。潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤の中
で、とくに脂肪酸および/または脂肪酸エステルを用い
るのが好ましく、炭素数12〜24(不飽和結合を含ん
でも、また分枝していてもかまわない)の一塩基性脂肪
酸、炭素数10〜24(不飽和結合を含んでも、また分
岐していてもかまわない)の一塩基性脂肪酸と炭素数2
〜22(不飽和結合を含んでも、また分枝していてもか
まわない)の一価、二価、三価、四価、五価、六価アル
コール、ソルビタン、ソルビトール等の環状もしくは多
糖類還元アルコール等のいずれか一つとからなるモノ脂
肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ脂肪酸エステ
ル、これらの混合物、または2種類以上を併用してもよ
い。
【0071】これらの具体例として一塩基性脂肪酸につ
いては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベ
ヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることがで
き、脂肪酸エステルについては、ブチルミリステート、
ブチルステアレート、ネオペンチルグリコールジオレエ
ート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステ
アレート、ソルビタントリステアレート、オレイルオレ
エート、イソセチルステアレート、イソトリデシルステ
アレート、オクチルステアレート、イソオクチルステア
レート、アミルステアレート、ブトキシエチルステアレ
ート等が挙げられる。
【0072】これらの脂肪酸および/または脂肪酸エス
テルの潤滑剤、分散剤としての効果は、強磁性酸化鉄粉
末に対して、その合計量として0. 1wt%以上含有さ
せることによって出現し、含有率を増加させることによ
り、その効果は顕著になるが、その含有率が強磁性微粉
末に対して、その合計量が20wt%を越えると、塗膜
層3中に留まりきれずに塗膜表面に吐出し、磁気ヘッド
を汚したり、出力を低下させる等の悪影響を及ぼす。
【0073】このため、脂肪酸および/または脂肪酸エ
ステルの磁性層中における含有量は、強磁性酸化鉄粉末
に対してその合計量として0. 1〜20wt%がよく、
1〜15wt%が好ましく、1〜12wt%がより好ま
しい。
【0074】これらの脂肪酸および/または脂肪酸エス
テルは必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異
性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分
が含まれてもかまわない。これらの不純分は40%以下
が好ましく、さらに好ましくは20%以下である。
【0075】また本発明の塗膜層3中に含有され得る脂
肪酸、脂肪酸エステル、添加剤等のすべてまたはその一
部は、本発明のクリーニング媒体構成用の塗料製造のど
の工程で添加してもかまわない。
【0076】例えば、混練工程前に顔料粉末と混合する
場合、顔料粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加す
る場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場
合、塗布直前に添加する場合、溶剤に希釈または分散さ
せた溶液を予め塗布した層上に塗布する等の方法があ
る。
【0077】本発明の塗膜層3中に含有され得る添加剤
としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果
等を有するものが使用される。
【0078】シリコーンオイル類、フッ素オイル、フッ
素置換炭化水素基含有のアルコール、脂肪酸、エステ
ル、エーテル類、パラフィン類、前記一塩基性脂肪酸類
の金属(Li、Na、K、Ca、Ba、Cu、Pb等)
塩類、前記脂肪酸エステル製造用アルコール類、アルコ
キシアルコール類、ポリエチレンオキシド付加モノアル
キエーテルの脂肪酸エステル類、脂肪族または環状アミ
ン類、脂肪酸アミド類、第四級アンモニウム塩類、ポリ
オレフィン類、ポリグリコール、ポリフェニルエーテ
ル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカ
リ金属塩、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グ
リシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド
付加体等のノニオン界面活性剤、ホスホニウムまたはス
ルホニウム等のカチオン系界面活性剤およびそのアルカ
リ金属塩、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エス
テル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面
活性剤およびそのアルカリ金属塩、アミノ酸類、アミノ
スルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エス
テル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使
用できる。
【0079】これらの添加剤量は、強磁性酸化鉄粉末に
対して総計10wt%以下、とくに0.01〜5wt%
程度とされる。
【0080】本発明の塗膜層3中に含有され得るカーボ
ンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、サ
ーマルカーボンブラック、アセチレンブラック等を用い
ることができる。これらのカーボンブラックの粒子サイ
ズ等は任意に設定すれば良いが、媒体に要求される電気
抵抗と摩擦特性および最短記録波長における出力のバラ
ンス(表面粗さ)から適宜選択すれば良く、単一系でも
混合系でも良く、単独で粒度分布等を選択することもで
きる。
【0081】これらカーボンブラックの平均粒径は10
nm〜400nm、好ましくは20〜350nmであ
り、さらに詳細には、電磁変換特性を優先的に考慮する
と20〜40nmが好ましく、摩擦特性を重視する場合
は40〜350nmの範囲で電磁変換特性において許容
される可能な限り大きな粒径を用いることが好ましい。
これらカーボンブラックのBET比表面積は100〜5
00m2 /g、好ましくは150〜400m2 /g、D
BP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは
30〜200ml/100gであるが、カーボンブラッ
クの粒子サイズ、BET値およびDBP値は密接に関係
するため、単独でかけ離れた数値とすることは実現不可
能であるため、これらの三要素は媒体の要求特性と塗料
における分散特性、流動特性とにより実験的に選定する
ことが必要である。
【0082】これらのカーボンブラックは、媒体の要求
特性と塗料における分散特性、流動特性とにより実験的
に選定することが必要である。さらに、これらのカーボ
ンブラックは、強磁性酸化鉄粉末粉との混練時に同時に
添加しても良いし、あらかじめ結合剤で分散しておい
て、塗料の分散時に添加してもかまわない。また、これ
らのカーボンブラックを潤滑剤、分散剤等で表面処理し
たり、表面の一部をグラファイト化したもの等を使用し
ても構わない。
【0083】本願における塗膜層3は、図1に示される
ごとく非磁性支持体2の片面に設けられたものであって
も、図2に示されるごとく両面に設けられたものであっ
てもよい。図2に示される形態は、シート(ディスク)
状のものに限定される。
【0084】通常、クリーニング媒体によるクリーニン
グの対象となる磁気ヘッドは、フロッピーディスクドラ
イブに用いられるいわゆるボタン型ヘッドのものや、テ
ープ媒体のドライブに代表されるビデオデッキ用のヘッ
ドがある。前者は、磁気ヘッドのギャップの突き出しを
少なくして、耐久性を向上させた曲面の緩やかなヘッド
前面形状をしている。後者は、記録密度の向上とクリー
ニング性向上のために、ギャップ部の突き出しの多い、
尖鋭なヘッド先端形状をしている。このように磁気ヘッ
ドと言えども種々の形があり、従って本来、クリーニン
グ媒体は、クリーニングの対象となる磁気ヘッドの形状
およびその材質等を考慮して最適設計する必要がある。
本発明では、特に、前者のフロッピーディスクドライブ
に用いられる磁気ヘッドに対して、特に、優れた効果を
発揮するものである。その意味では、本発明のクリーニ
ング媒体は、いわゆるシート形状のものとして用いられ
るのが好適である。しかしながら、テープ形状の磁気記
録媒体に用いられる磁気ヘッドであっても、その形態等
が前記フロッピーディスクドライブに用いられる磁気ヘ
ッドに極めて類似したものになれば、もちろん好適に使
用できる。
【0085】なお、塗膜層3の下側に表面性改良、接着
性改良、耐久性改良等の目的で各種の下地層を設けても
良い。
【0086】本発明のクリーニング媒体の塗膜層3形成
のための塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、
分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設
けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段以上
にわかれていても良く、また原料を2つ以上の工程で分
割して添加してもかまわない。
【0087】混練工程では連続ニーダー、加圧ニーダ
ー、高速ミキサー、2本ロールーミル等強い混練力をも
つものを使用することが可能である。
【0088】分散工程では、微細な分散メディアを用い
ることが望ましく、ジルコニア等のセラミック系メディ
ア、硬質ガラスビーズ等から組成配合によっては選択使
用可能である。
【0089】巻き出しロールから引き出された長尺・フ
ィルム状の非磁性支持体上には、グラビアコート、リバ
ースロールコート、エクストルージョンノズルコート等
の公知の種々の塗布手段によって分散された塗料が塗布
される。
【0090】一般に、塗料の塗布前には非磁性支持体に
対して、クリーニングおよび表面調整等の目的で、水や
溶剤等を使用する湿式クリーニング、不織布や極微細繊
維織物等をワイパーとして使用する乾式クリーニング、
圧搾空気やバキューム、イオン化空気等を使用する非接
触式クリーニング等の公知の種々の手段によって処理が
行われ、塗料の非磁性支持体との密着性や塗布面を向上
させる目的等で、コロナ放電、紫外線照射、電子線照射
等の公知の種々の非接触表面処理が行うことが可能であ
る。
【0091】さらに、水系下塗り剤、エマルジョン系下
塗り剤、溶剤系下塗り剤等の下塗りを前記の表面処理と
あわせてまたは単独で密着性の向上等を目的として行う
ことも可能である。
【0092】一般に塗膜層3は単独で塗布形成される
が、2層以上の複数層を設けることも可能である。
【0093】塗料に対しては混練、分散、塗布までの各
工程において必ずまたは適宜濾過工程を用いて塗料の濾
過を行うことが必要である。
【0094】この様な塗布工程の後に、通常は、次工程
として非磁性支持体上に設層された塗料のウエット膜面
のスムージングや塗膜規制等に関する種々の処理が行わ
れても良く、スムージング手段としては、樹脂、金属、
セラミックス類のフィルムやバー等を接触させたり、永
久磁石、電磁石等による磁界や超音波による振動等の非
接触法等の公知の方法が使用でき、要求特性によって単
独であるいは併用することができる。
【0095】また、本発明では前述のごとく、いわゆる
シート(ディスク)形状のものとして用いられるのが好
適である。それゆえ、塗布によって自然に配向された磁
性粉を永久磁石、電磁石、ソレノイド等で、できるかぎ
り無配向状態にすることが好ましい。
【0096】しかしながら、前述のごとくテープ形状の
磁気記録媒体に用いられる磁気ヘッドであっても、その
形態等が前記フロッピーディスクドライブに用いられる
磁気ヘッドに極めて類似したものになれば、本発明が好
適に使用できるために、媒体の走行方向に対して、長手
方向に磁場配向させることもある。
【0097】このようにして塗設後処理の行われた塗料
は、通常、乾燥炉等の内部に設けられた熱風、遠赤外
線、電気ヒーター、真空装置等の公知の乾燥および蒸発
手段によって、または紫外線ランプや放射線照射装置等
の公知の硬化装置によって乾燥・固定される。乾燥温度
は、室温〜300℃程度までの範囲で、非磁性支持体の
耐熱性や溶剤種、濃度等によって適宜選定すればよく、
また乾燥炉内に温度勾配をもたせてもよく、乾燥炉内の
ガス雰囲気は、一般の空気または不活性ガス等を用いれ
ばよい。
【0098】紫外線ランプや放射線照射装置によって乾
燥を行うときは、硬化反応が起こるので後加工を考慮し
た場合は、可能な限り他の乾燥手段を利用する方がよ
い。また、溶剤を含んだままで紫外線や放射線を照射す
ることは、発火や発煙を伴うことがあるので、この場合
にも可能な限り他の乾燥手段を併用することが好まし
い。
【0099】このようにして塗膜層3を乾燥した後に、
必要に応じて表面粗さの制御として、前述のカレンダー
処理を行う。カレンダー処理後、塗膜層の硬化を促進す
るために、40℃〜80℃の熱硬化処理および/または
電子線照射処理を施してもかまわない。
【0100】次いで、所定の形状にし、さらに二次加工
を行い、本発明のクリーニング媒体が形成される。
【0101】以下、本発明の具体的実施例を比較例と共
に示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、
これらの実施例に限定されるものではない。 (実施例1)以下の要領にて、塗膜層を備えたディスク
状(フロッピーディスク状)のクリーニング媒体を作製
した。
【0102】 塗膜層の形成 ・Co含有γ酸化鉄(BET値=23m2 /g,Hc=720Oe, σs=79emu/g ) … 100重量部 ・カーボンブラック(粒径=20nm,BET値=200m2 /g, DBP吸油量=130ml/100g ) … 5重量部 ・無機顔料(炭化珪素:モース硬度=9.5 ,遠心沈降法粒径粒径1.25μm, TEM法粒径0.31μm,品名:BUF−20) … 25重量部 ・電子線硬化性カルボン酸基含有塩化ビニル系樹脂 (電子線官能基量14mol/mol,重合度400, カルボン酸基1重量%含有,NV(揮発分)25%) … 88重量部 ・電子線硬化性ウレタン樹脂(電子線官能基量:6個/1分子, Mn=26000,NV(揮発分)40%) … 23重量部 ・MEK … 47重量部 ・トルエン … 23重量部 ・シクロヘキサノン … 86重量部 以上の組成物を高速撹拌機で混練混合後、サンドグライ
ンダーミルにて分散した後、さらに下記の組成物を添加
して、さらにサンドグラインダーミルにて分散して塗膜
層3形成のための塗料を作成した。
【0103】 ・ソルビタンモノステアレート … 2重量部 ・ネオペンチルグリコールジオレエート … 6重量部 ・MEK … 38重量部 ・トルエン … 19重量部 ・シクロヘキサノン … 69重量部 この塗料を、図2に示されるごとく厚み75μmの非磁
性支持体上の両面に塗布し乾燥させ、さらにエレクトロ
カーテンタイプ電子線加速装置を用いて加速電圧150
KeV、電極電流10mA、吸収線量50KGray、
2 ガス雰囲気中で電子線を照射して塗膜を硬化させ
た。しかる後、これを直径3. 5インチのドーナツ状に
打ち抜き、ディスク状のクリーニング媒体を得た(実施
例サンプル1)。硬化後の塗膜層の厚さは1. 0μmで
あった。 (実施例2)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)の添加量を25重量部から20重量部に変えた。そ
れ以外は上記実施例1と同様にして実施例サンプル2を
作製した。 (実施例3)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)の添加量を25重量部から30重量部に変えた。そ
れ以外は上記実施例1と同様にして実施例サンプル3を
作製した。 (実施例4)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)の添加量を25重量部から23重量部に変えた。そ
れ以外は上記実施例1と同様にして実施例サンプル4を
作製した。 (実施例5)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)の添加量を25重量部から27重量部に変えた。そ
れ以外は上記実施例1と同様にして実施例サンプル5を
作製した。 (比較例1)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)の添加量を25重量部から18重量部に変えた。そ
れ以外は上記実施例1と同様にして比較例サンプル1を
作製した。 (比較例2)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)の添加量を25重量部から32重量部に変えた。そ
れ以外は上記実施例1と同様にして比較例サンプル2を
作製した。
【0104】このように作製した実施例1〜5および比
較例1〜2の各クリーニング媒体を、それぞれ、プラス
チックシェルに組み込み、電磁変換特性(平均信号振
幅)、ヘッド摩耗、ヘッド傷および付着、クリーニング
性を以下に示す条件で測定した。
【0105】電磁変換特性 最外周に125KFRPI、最内周に250KFRPI
を記録し、標準フロッピーディスクとの再生出力偏差を
百分率で表した。
【0106】ヘッド摩耗 未使用ヘッドの装着の測定ドライブ(日本電気(株)製
FD−1137)を用い、基準ディスクの最内周2Fの
出力を測定し、次に試験ディスクをセットして、温度2
3±2℃、相対湿度40〜60%の条件下で3時間連続
走行後、基準ディスクに交換後、出力を測定してその偏
差を百分率で表した。
【0107】ヘッド傷および付着 測定ドライブとして日本電気(株)製FD−1137を
用い、温度23±2℃、相対湿度40〜60%の条件下
で3時間連続走行後、試験ドライブの磁気ヘッドの傷お
よび付着状況を下記の判断基準によって測定した。
【0108】(ヘッド傷および付着状況判定基準) ◎…顕微鏡にて傷、付着無し ○…目視にて傷、付着無し △…目視にて若干傷、付着有り ×…多量に傷、付着有りクリーニング性 磁気ヘッドの媒体と接触する部分に油性マジックインキ
を均一に塗布し、試験ディスクを挿入して30秒間走行
させてクリーニングを行い、磁気ヘッドに残ったマジッ
クインキの面積を測定した。
【0109】(クリーニング性判定基準) ◎…残り面積が、塗布面積の5%未満 ○…残り面積が、塗布面積の5%以上10%未満 △…残り面積が、塗布面積の10%以上30%未満 ×…残り面積が、塗布面積の30%以上 これらの測定結果を下記表1に示した。また、表面粗さ
Raも併記した。
【0110】
【表1】 次いで、用いる無機顔料の平均粒径が本発明に及ぼす影
響を調べるために下記のサンプルを作製した。 (実施例6)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)のTEM法による平均粒径を0.31μmから0.
15μmに変えた。それ以外は上記実施例1と同様にし
て実施例サンプル6を作製した。 (実施例7)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)のTEM法による平均粒径を0.31μmから1.
0μmに変えた。それ以外は上記実施例1と同様にして
実施例サンプル7を作製した。 (比較例3)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)のTEM法による平均粒径を0.31μmから1.
5μmに変えた。それ以外は上記実施例1と同様にして
比較例サンプル3を作製した。 (比較例4)上記実施例1で用いた無機顔料(炭化珪
素)のTEM法による平均粒径を0.31μmから0.
07μmに変えた。それ以外は上記実施例1と同様にし
て比較例サンプル4を作製した。
【0111】このように作製した実施例6,7および比
較例3,4の各クリーニング媒体を、それぞれ、プラス
チックシェルに組み込み、電磁変換特性(平均信号振
幅)、ヘッド摩耗、ヘッド傷および付着、クリーニング
性を前述の要領で測定した。
【0112】これらの測定結果を下記表2に示した。ま
た、実施例1のデータを再記するとともに各サンプルに
ついて表面粗さRaも併記した。
【0113】
【表2】 次いで、用いる無機顔料のモース硬度が及ぼす影響を調
べるために下記の比較サンプルを作製した。 (比較例5)上記実施例1で用いた無機顔料である炭化
珪素(モース硬度9.5)を、α−Al23 (モース
硬度9.0)に変えた。それ以外は上記実施例1と同様
にして比較例サンプル5を作製した。 (比較例6)上記実施例1で用いた無機顔料である炭化
珪素(モース硬度9.5)を、Cr23 (モース硬度
9.0)に変えた。それ以外は上記実施例1と同様にし
て比較例サンプル6を作製した。
【0114】このように作製した比較例5,6の各クリ
ーニング媒体を、それぞれ、プラスチックシェルに組み
込み、電磁変換特性(平均信号振幅)、ヘッド摩耗、ヘ
ッド傷および付着、クリーニング性を前述の要領で測定
した。
【0115】これらの測定結果を下記表3に示した。ま
た、本発明の効果を明確にするために実施例1のデータ
を再記するとともに各サンプルについて表面粗さRaも
併記した。
【0116】
【表3】 次いで、用いる強磁性酸化鉄粉末のBET値が本発明に
及ぼす影響を調べるために下記のサンプルを作製した。 (実施例8)上記実施例1で用いた強磁性酸化鉄粉末
を、BET値=23m2 /gのものからBET値=15
2 /gのものに変えた。それ以外は上記実施例1と同
様にして実施例サンプル8を作製した。 (実施例9)上記実施例1で用いた強磁性酸化鉄粉末
を、BET値=23m2 /gのものからBET値=20
2 /gのものに変えた。それ以外は上記実施例1と同
様にして実施例サンプル9を作製した。 (実施例10)上記実施例1で用いた強磁性酸化鉄粉末
を、BET値=23m2 /gのものからBET値=29
2 /gのものに変えた。それ以外は上記実施例1と同
様にして実施例サンプル10を作製した。 (比較例7)上記実施例1で用いた強磁性酸化鉄粉末
を、BET値=23m2 /gのものからBET値=32
2 /gのものに変えた。それ以外は上記実施例1と同
様にして比較例サンプル7を作製した。 (比較例8)上記実施例1で用いた強磁性酸化鉄粉末
を、BET値=23m2 /gのものからBET値=13
2 /gのものに変えた。それ以外は上記実施例1と同
様にして比較例サンプル8を作製した。
【0117】このように作製した実施例8〜10、比較
例7,8の各クリーニング媒体を、それぞれ、プラスチ
ックシェルに組み込み、電磁変換特性(平均信号振
幅)、ヘッド摩耗、ヘッド傷および付着、クリーニング
性を前述の要領で測定した。さらには、各クリーニング
媒体の耐久性を下記の要領で測定した。
【0118】耐久性 ドライブとして日本電気(株)製FD−1137を用い
て、温度および湿度を所定パターンで変化させて、連続
再生を行い、初期出力の80%になるまでのパス数を測
定し、クリーニング媒体の耐久性を調べた。
【0119】これらの測定結果を下記表4に示した。ま
た、本発明の効果を明確にするために実施例1のデータ
を再記するとともに各サンプルについて表面粗さRaも
併記した。
【0120】
【表4】 次いで、クリーニンング媒体の塗膜層表面の表面粗さ
(Ra)が本発明に及ぼす影響を調べるために下記のサ
ンプルを作製した。 (実施例11)上記実施例1の媒体の塗膜層表面の表面
粗さ(Ra)がRa=40nmから、Ra=25nmと
なるようにカレンダリング加工と行った。すなわち、カ
レンダ温度60℃、線圧100kg/cmでカレンダ加
工を行った。それ以外は上記実施例1と同様にして実施
例サンプル11を作製した。 (実施例12)上記実施例1の媒体の塗膜層表面の表面
粗さ(Ra)がRa=40nmから、Ra=15nmと
なるようにカレンダリング加工を行った。すなわち、カ
レンダ温度90℃、線圧200kg/cmでカレンダ加
工を行った。それ以外は上記実施例1と同様にして実施
例サンプル12を作製した。 (比較例9)上記実施例1の媒体の塗膜層表面の表面粗
さ(Ra)がRa=40nmから、Ra=55nmとな
るように製造条件を変えた。すなわち、SiCの含有量
を減じるとともに温度カレンダ温度90℃、線圧200
kg/cmでカレンダ加工を行った。それ以外は上記実
施例1と同様にして比較例サンプル9を作製した。
【0121】このように作製した実施例11,12、比
較例9の各クリーニング媒体を、それぞれ、プラスチッ
クシェルに組み込み、電磁変換特性(平均信号振幅)、
ヘッド摩耗、ヘッド傷および付着、クリーニング性を前
述の要領で測定した。
【0122】これらの測定結果を下記表5に示した。ま
た、本発明の効果を明確にするために実施例1および実
施例6、並びに比較例3のデータを再記した。
【0123】
【表5】
【0124】
【発明の作用および効果】上記の結果より本発明の効果
は明らかである。すなわち、上記表1〜表5に示される
ように、本発明のクリーニング媒体は、所定硬度の無機
顔料を強磁性酸化鉄粉末に対して所定量含有させている
ので、磁気ヘッドに対する傷、付着および摩耗が少な
く、磁気ヘッドのクリーニング効果に優れ、なおかつ媒
体の耐久性に優れ、さらには記録再生特性も確保される
という効果を奏する。
【0125】また、特に、本発明のクリーニング媒体に
用いられる強磁性酸化鉄粉末のBET法による比表面積
を15〜30m2 /gとすることによって、特に、媒体
の耐久性を向上させることができる。また、本発明のク
リーニング媒体に用いられる無機顔料の平均粒子サイズ
を規制することによって、さらに磁気ヘッドの摩耗を減
少させることができる。また、その塗膜層の中心線平均
表面粗さ(Ra)を、所定範囲に設定することによっ
て、さらにヘッド摩耗を改良したクリーニング媒体を得
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニング媒体の断面図を模式的に
示した図である。
【図2】本発明のクリーニング媒体の断面図を模式的に
示した図である。
【符号の説明】
1…クリーニング媒体 2…非磁性支持体 3…塗膜層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の上に、磁気ヘッドをクリ
    ーニングするための塗膜層を備えるクリーニング媒体に
    おいて、 前記塗膜層は、結合剤と、この結合剤中に分散された強
    磁性酸化鉄粉末および無機顔料を有し、 前記無機顔料はモース硬度が9を超えるものであり、か
    つ前記強磁性酸化鉄粉末100重量部に対して20〜3
    0重量部含有されていることを特徴とするクリーニング
    媒体。
  2. 【請求項2】 前記強磁性酸化鉄粉末のBET法による
    比表面積が、15m2 /g以上30m2 /g未満である
    請求項1に記載のクリーニング媒体。
  3. 【請求項3】 前記無機顔料の透過電子顕微鏡法(TE
    M)によって測定された平均粒子サイズが0.1〜1.
    0μmである請求項1または請求項2に記載のクリーニ
    ング媒体。
  4. 【請求項4】 前記無機顔料が炭化珪素である請求項1
    ないし請求項3のいずれかに記載のクリーニング媒体。
  5. 【請求項5】 前記塗膜層は、その表面の中心線平均表
    面粗さ(Ra)が、15〜50nmである請求項1ない
    し請求項4のいずれかに記載のクリーニング媒体。
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