JP3429587B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3429587B2
JP3429587B2 JP33965294A JP33965294A JP3429587B2 JP 3429587 B2 JP3429587 B2 JP 3429587B2 JP 33965294 A JP33965294 A JP 33965294A JP 33965294 A JP33965294 A JP 33965294A JP 3429587 B2 JP3429587 B2 JP 3429587B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に係り、特
に、高温高湿下に長期間保存しても電磁変換特性等を劣
化させることなく維持し得る塗布型の磁気記録媒体に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、大容量の記録装置の普及に伴い、
磁気記録の高密度化が要望されるようになり、このよう
な需要に適した磁気記録媒体として、保磁力が高く、S
FD(保磁力分布)が小さく、しかも飽和磁化が大きい
ことが要求されている。
【0003】このため、特に8ミリビデオやDAT等の
磁気記録媒体では、保磁力が高く、飽和磁化の大きい、
鉄を主成分とするFe金属磁性粉末が磁性層に用いられ
ている。磁気記録媒体はまた、良好な記録特性を得ると
同時に長期保存に耐え得ることが要求されることから、
Feにさらに希土類元素、Al、Si、Co等を添加し
たFe金属磁性粉末がこれら要求の実現のために種々提
案されている(特開昭58−60504号、特開昭56
−35705号公報、等)。
【0004】特に最近、金属磁性粉末中にCoを従来に
比してより多く含有させることによって記録特性の向上
並びに長期保存性の向上を図る技術が注目され、研究・
開発が行われている。このような例として、例えば特開
平1−257309号公報には、CoをFeに対して6
wt%以上含有させた磁気記録媒体用金属磁性粉末が記
載され、これにより大きい飽和磁化が維持でき、保存特
性が良好になることが開示されている。また特開平6−
36265号公報には、Feに対して希土類元素を1〜
10wt%、Alおよび/またはSiを0.5〜5.0
wt%、Coを6〜20wt%含有させた金属磁性粉末
を用いた磁性層を有する磁気記録媒体が記載され、これ
により保磁力や磁化量等の磁気特性が向上することが開
示されている。
【0005】ところで、金属磁性粉中にCo等を添加す
るには、一般にCoを含んだオキシ水酸化鉄または酸化
鉄を還元する方法がとられており、このCoを含んだオ
キシ水酸化鉄または酸化鉄は次の方法で得られることが
知られている。 (1)第一鉄塩と第一コバルト塩の混合水溶液にアルカ
リ水溶液を添加し、水酸化第一鉄と水酸化第一コバルト
をコロイド状に共沈させ、空気などの酸化性ガスを吹き
込み、Co含有オキシ水酸化鉄(Co含有ゲータイト)
さらにはCo含有酸化鉄を生成する方法。 (2)オキシ水酸化鉄あるいは酸化鉄をCo含有水溶液
に懸濁させ、上記酸化反応により表面にCoを含む酸化
物層を成長させる方法。 (3)オキシ水酸化鉄あるいは酸化鉄をCo含有水溶液
に懸濁させ、アルカリ水溶液の添加により、水酸化コバ
ルトを析出させる方法。
【0006】これ以外の方法としては、ゲータイト表面
に水酸化第二コバルトを付着させる方法(特公昭58−
55203号公報)、Coのキレート化合物で磁性粉表
面を処理する方法(特開昭60−175215号公報)
等が提案されている。
【0007】さらに最近、「針状」磁性粉末の形状を検
討することにより高磁気特性、流動特性の向上を図る試
みがなされている。ここでいう「針状」とは、金属磁性
粉末の長軸径が軸全長に亘ってほぼ同一径をなすものの
みならず、長軸端部に向って徐々に径が狭まり長軸端部
が比較的に尖鋭になっているもの(一般に紡錘状と呼ば
れる)から長軸端部が半球または平坦に近いものまでを
含む広い概念である。より具体的には、(X/k)n
n =1の式を満たすX,YをX軸を中心に回転させて
作られる形状であり、上記式中、nが取り得る数値は1
<n<100であり、好ましくは1.2≦n≦20、よ
り好ましくは1.5≦n≦10である。なおkは、いわ
ゆる軸比(長軸径/短軸径の比)を表し、好ましくは3
〜10である。このような「針状」磁性粉末形状を長軸
端部に向って徐々に径が狭まり長軸端部が比較的に尖鋭
になっているものとすることにより、流動特性を向上さ
せることができる。
【0008】なお、本明細書中において、以下、磁性粉
末の形状が「針状」であるとは、特に記さない限り、上
記の定義に準じた意味で用いるものとする。
【0009】さらに、磁性層の高性能化を図るために、
第一鉄塩をNaOH等のアルカリ水溶液で中和してFe
(OH)2 とする代わりにNa2 CO3 等の炭酸アルカ
リ等で中和してFeCO3 とし、これを経由してCo含
有オキシ水酸化鉄を生成する方法が提案され、実用化さ
れている。この方法によりCoの含有率が増大し、飽和
磁化量(σs)、保磁力(Hc)が格段に向上したり、
ポアや枝分れのない表面を持ち、これを用いることによ
り、高性能磁気テープが得られる。
【0010】しかしながら、上記のようにして得られた
Co含有オキシ水酸化鉄を脱水、熱処理後、還元して得
られるCo含有Fe金属磁性粉末は、ナトリウムイオン
等の可溶性イオンを外部から取り込みやすく、このよう
な可溶性イオン量が増大したFe金属磁性粉末を用いて
磁気記録媒体を作製した場合、初期特性に優れるが、高
温高湿下での保存において、可溶性イオンが不溶化塩と
なって析出することがあり、製品のドロップアウト(D
O)や出力低下等を引き起こしやすいという問題があ
る。この現象については、磁性粉末に含まれるナトリウ
ムイオンの水中への溶出が引き金となって、磁気記録媒
体中に含まれるカルシウムイオン、バリウムイオン等が
不溶性の脂肪酸塩となって析出すると考えられるという
ことが本出願人らにより既に示されている(特願平5−
303441号明細書)。
【0011】したがって、上記問題点の対処策の1つと
して、金属磁性粉末や磁気記録媒体に含まれる可溶性イ
オン量、特にナトリウムイオン量の低減化が考えられ
る。可溶性イオン量を低減する従来技術としては、磁性
粉末中のカルシウムイオン量をあらかじめ0.003重
量%以下にしておくこと(特公昭60−20807号公
報)や、磁性粉末中の水溶性カルシウム量を100pp
m以下とすること(特開平4−146519号公報)等
が提案されている。これら以外にも、例えば特開昭60
−150228号公報には強磁性合金粉末と結合剤を主
体とする磁性層面から溶出される水溶性金属イオン量を
10ppm/m2 ・100ml以下とする磁気記録媒体
が記載され、特開昭58−100402号公報には、熱
処理後、水洗、加熱還元して得られた強磁性金属粉末を
用いた磁気記録媒体が記載されている。
【0012】しかしながら従来のいずれの方法において
も、磁性粉末や磁気記録媒体の特性を損なわずに維持し
つつ、しかも可溶性イオンを低減化するという、両者を
同時に満足させることは難しかった。例えば特公昭60
−20807号公報や特開平4−146519号公報の
ものでは、磁性粉末中の水溶性カルシウム含有量が低く
なりすぎ、不溶化カルシウム塩の析出を防ぐことはでき
るものの、磁性粉末の凝集が起こって分散性が悪くな
り、結果として磁気特性の低下を招くという不具合があ
る。また特開昭60−150228号公報のものでは、
磁性層からの水溶性金属イオン量を上記所定量以下とす
るためには、水溶性金属イオンのなかでも特にDO発生
の主要因と考えられるナトリウムイオン量、カルシウム
イオン量の磁性層中の含有量を少なくとも上記溶出量以
下に抑えることとなり、そのため磁性層成分中に含まれ
るこれら可溶性イオン量が低くなり過ぎて凝集が起こ
り、磁性塗料の分散性の低下を招くおそれがある。ま
た、膜厚依存性が規定されてないので媒体の薄膜化等の
実情に合わない。特開昭58−100402号公報のも
のにおいても、酸化鉄を熱処理後、水洗を行う際、蒸留
水を用いて濾液の電離度が変化しなくなるまで水洗を行
うことから、得られた磁性粉末中の可溶性イオンの含有
量が低下し過ぎてしまい、同様に分散性の低下を招くお
それがある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、高温高湿下に長期間保存して
も電磁変換特性等を劣化させることなく維持し得る塗布
型の磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明によれば、金属磁性粉末を含有する磁性層を非
磁性支持体上に設けてなる磁気記録媒体であって、該磁
性層1gから水中へ溶出されるナトリウムイオン濃度が
200ppm以下であり、かつナトリウム/カリウムイ
オン比(溶出濃度比)が1〜4であることを特徴とする
磁気記録媒体が提供される。
【0015】ここで、本願発明における磁性層とは、磁
性層のみならず、該磁性層の可溶性イオン量に影響を与
え得る非磁性層、下地層等のいわゆる下層も含む。磁性
層の可溶性イオン量に影響を与え得るとは、例えば磁性
層−非磁性層など、磁性層との層間で可溶性イオンが相
互に移動することなどが挙げられ、結果的に磁性層の保
存特性に悪影響を与え、経時安定性を低下せしめること
となる。
【0016】また、本願発明の上記金属磁性粉末として
は、Feを主成分とし、Feに対して6〜40wt%の
Coを含有する金属磁性粉末であって、該金属磁性粉末
1gから水中へ溶出されるナトリウムイオン濃度が40
0ppm以下であり、かつナトリウム/カリウムイオン
比(溶出濃度比)が100以下であるものが好ましい。
【0017】以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】本発明に係る磁気記録媒体は、金属磁性粉
末を含有する磁性層を非磁性支持体上に設けてなるもの
で、該磁性層1gから水中へ溶出されるナトリウムイオ
ン濃度が200ppm以下、好ましくは100ppm以
下である。ここで「磁性層1gから水中へ溶出されるナ
トリウムイオン濃度が200ppm以下」とは、該磁性
層を水分に接触させた場合、磁性層1gからこの水分中
へのナトリウムイオンの遊離が濃度200ppm以下で
あることを意味し、具体的には、この磁性層を高温高湿
下で長期間保存し、磁性層に水分等が付着した場合、該
磁性層1gから水分中へ溶出されるナトリウムイオンが
200ppm以下の濃度であることをいう。さらに本発
明では、該磁性層1gから水分中へ溶出されるナトリウ
ム/カリウムイオン比(溶出濃度比)が1〜4である。
この溶出されるナトリウムイオン濃度およびナトリウム
/カリウムイオン比(溶出濃度比)をともに上記範囲内
とすることにより、磁気特性、表面性に優れ(すなわち
分散性が良好)、かつ保存特性が優れるという作用、効
果が得られ、これらナトリウムイオン溶出濃度、ナトリ
ウム/カリウムイオン比(溶出濃度比)の少なくともい
ずれか一方が上記範囲を外れると上記効果が得られな
い。例えば、ナトリウムイオン濃度が200ppmを超
えると不溶性の塩がテープ表面に析出してしまい、ドロ
ップアウトの増加、出力低下等の原因となる。さらに、
ナトリウム/カリウムイオン比が4を超えると分散性は
問題がないが、保存特性が悪化したものとなり、1未満
では分散性が低下したり、逆に、溶出カリウムイオンが
増えすぎて保存特性が低下する。また、カリウムはイオ
ン化傾向がナトリウムより唯一高く、イオンとして遊離
しやすく、また水洗度の目安としても適当である。
【0019】上述したように、本願発明における磁性層
とは、磁性層のみならず、該磁性層の可溶性イオン量に
影響を与え得る非磁性層、下地層等のいわゆる下層も含
む。したがって「磁性層1g」からの上記可溶性イオン
溶出濃度とは、非磁性層、下地層等の下層を設けている
場合は、これら下層と磁性層とを合わせて1g中からの
可溶性イオン溶出濃度を意味する。
【0020】この磁性層1gから水中へ溶出されるナト
リウムイオン、カリウムイオン濃度は公知の方法により
測定することができ、例えば、純水10ml中に磁性層
成分1gを加え、これを温度60℃で1週間保持した
後、上澄み液を取り、これを原子吸光法により分析して
測定できる。また、ナトリウム/カリウムイオン比は原
子吸光法により測定した各イオン溶出濃度から算出する
ことができる。
【0021】かかる本発明の磁気記録媒体では、金属磁
性粉末として、Feを主成分とし、Feに対して6〜4
0wt%のCoを含有する金属磁性粉末であって、該金
属磁性粉末1gから水中へ溶出されるナトリウムイオン
濃度が400ppm以下であり、かつナトリウム/カリ
ウムイオン比(溶出濃度比)が100以下であるような
ものが好適に用いられる。ナトリウムイオン溶出濃度お
よびナトリウム/カリウムイオン比(溶出濃度比)がと
もに上記範囲内にあるFe磁性粉末を用いることによ
り、本発明の磁気記録媒体における磁性層の上記作用、
効果をより有効に発揮せしめることができる。
【0022】このFeを主成分とする金属磁性粉末は、
優れた磁気特性保持や磁性層の薄膜化などのためにFe
に対してCoが6〜40wt%、好ましくは10〜40
wt%、より好ましくは20〜40wt%の割合で含有
される。また、このFe金属磁性粉末1gから水中へ溶
出されるナトリウムイオン濃度は400ppm以下、好
ましくは300ppm以下、より好ましくは200pp
m以下である。ここで「Fe金属磁性粉末1gから水中
へ溶出されるナトリウムイオン濃度が400ppm以
下」とは、該Fe金属磁性粉末を水や水溶液などの水分
に接触させた場合、これら水分中へのナトリウムイオン
の遊離が濃度400ppm以下であることを意味し、具
体的には、上記Fe金属磁性粉末を結合剤、有機溶剤等
で分散して磁性層成分を作成した場合、該Fe金属磁性
粉末1gから磁性層成分中へ溶出されるナトリウムイオ
ンが400ppm以下の濃度になる可能性があることを
示している。この溶出されるナトリウムイオン濃度が4
00ppmを超えるとNaClや脂肪酸の塩等の不溶性
の塩がテープ表面に析出し、ドロップアウトの増加や出
力低下等の原因となる。さらにまた、該Fe金属磁性粉
末1g中から水中へ溶出されるナトリウム/カリウムイ
オン比(溶出濃度比)は100以下、好ましくは60以
下である。このナトリウム/カリウムイオン比が100
を超えるとより不溶性の塩がテープ表面に析出する可能
性が高くなり、その結果保存特性が低下する。
【0023】ここで磁性粉末の凝集の度合は、磁性粉末
のフルイによる透過率を測定すればよく、フルイ目開き
1190では70%以上、好ましくは82%以上の透過
率が好ましい。
【0024】なお、Fe金属磁性粉末1gから水中へ溶
出されるナトリウムイオン、カリウムイオン濃度は公知
の方法により測定することができ、例えば、純水20m
l中に金属磁性粉末1gを加え、これを温度80℃で1
時間保持した後、超音波分散を1時間行い、濾過後、濾
液を原子吸光法により分析して測定できる。また、ナト
リウム/カリウムイオン比(溶出濃度比)は、原子吸光
法により測定した各イオン溶出濃度から算出することが
できる。
【0025】上述したようなFe金属磁性粉末の好まし
い製造法の一つは、Coを添加した第一鉄塩溶液にアル
カリ金属を含まない炭酸アルカリを加えてFeCO3
生成し、これを酸素含有気体と接触させてオキシ水酸化
鉄とした後、脱水し、次いで熱処理後、還元してFe金
属磁性粉末を得る方法である。
【0026】ここで第一鉄塩としてはFeCl2 、Fe
SO4 、Fe(NO32 等が挙げられ、なかでもFe
Cl2 、FeSO4 が好適に用いられる。またアルカリ
金属を含まない炭酸アルカリとしては、(NH42
3 、NH4 HCO3 、NH4 HCO3 ・NH4 CO2
NH2 等が挙げられる。
【0027】まず、第一鉄塩溶液にCoを添加するが、
具体的には硫酸コバルト、塩化コバルト等のCo化合物
を用い、これらCo化合物を第一鉄塩溶液に溶解し攪拌
混合する。
【0028】次にここへアルカリ金属を含まない炭酸ア
ルカリを加える。このアルカリ金属を含まない炭酸アル
カリで第一鉄塩を中和することによって、金属磁性粉末
中への外部からのアルカリ金属イオン(ナトリウムイオ
ン、カリウムイオンなど)の取り込みを防止することが
でき、最終的に得られるFe金属磁性粉末中の可溶性イ
オンの含有量を低減化することができる。また、第一鉄
塩溶液に、NaOH等のアルカリ水溶液を添加してFe
(OH)2 とする代わりに、炭酸アルカリを添加してF
eCO3 とし、これに酸化性ガスを吹き込んでオキシ水
酸化鉄(=ゲータイト;FeOOH)を生成することに
より、最終的に得られる磁性粉末が可溶性アルカリ金属
の含有量が少なく、針状形状をなす。すなわち得られた
磁性粉末は磁気特性が高く、長軸長が短い微粒子であ
り、粒度分布がシャープで、かつ表面のポアが少ないな
どの特徴を有することから磁性塗料の流動特性に優れ、
そのため磁性層の薄膜化を図ることができ、高性能の磁
気媒体を作製することができる。なお、アルカリ金属を
含まない炭酸アルカリの添加量は、第一鉄塩溶液に対し
てモル当量で1〜10倍程度とするのが好ましい。
【0029】このようにしてオキシ水酸化鉄のスラリー
を得る。このスラリーを濾過、水洗した後、再度蒸留水
中に分散させ、再びスラリーとする。
【0030】ここで結晶制御剤としてNi塩や、Ca
塩、Ba塩、Sr塩等の周期表2A族の塩、Cr塩、Z
n塩等を共存させてもよく、このような塩を適宜選択し
て用いることによって粒子形状(軸比)等をコントロー
ルすることができる。なおNi塩としては塩化ニッケル
等の塩化物が好ましく、Ca塩、Ba塩、Sr塩、Cr
塩、Zn塩等としてはそれぞれ、塩化カルシウム、塩化
バリウム、塩化ストロンチウム、塩化クロム、塩化亜鉛
等の塩化物が好ましい。
【0031】また、焼結防止剤等の添加成分を加えても
よい。これら成分を添加することにより、後工程での還
元の際の焼結を防止することができる。焼結防止剤とし
てはAl、Si、希土類元素等が挙げられる。導入方法
としては、Coを含有するオキシ水酸化鉄のスラリーを
調製した後、このスラリーにAl化合物、Si化合物等
を含有する水溶液と、希土類元素の化合物を含有する水
溶液とを各々添加し、攪拌混合するのが好ましいが、A
l化合物、Si化合物、希土類元素の化合物等をすべて
含む水溶液を調製し、これを添加してもよい。また、第
一鉄塩溶液にCoと同時に添加してもよい。Al化合物
としてはアルミン酸ナトリウム、メタアルミン酸ナトリ
ウム等が、Si化合物としてはケイ酸ナトリウム等が、
それぞれ例示される。また希土類元素としてはNd、S
m、Gd、Dy、La、Y等が挙げられ、これら希土類
元素の化合物としては塩化ネオジウム、塩化サマリウ
ム、塩化ガドリニウム、塩化ジスプロシウム、塩化ラン
タン、塩化イットリウム等の塩化物や、硝酸ネオジウ
ム、硝酸ダドリニウム等の硝酸塩等が挙げられる。
【0032】このようにして得られたCo含有オキシ水
酸化鉄を濾過、水洗後、再度濾過した後、乾燥器中で乾
燥し、脱水する。
【0033】次いでこれを窒素雰囲気中、400〜70
0℃の温度で熱処理を行う。
【0034】熱処理後、還元を行うが、還元は還元性雰
囲気中で加熱しながら行うことが好ましい。還元性雰囲
気としては一般に水素ガス雰囲気とすることが好まし
く、水素ガスの流量は適宜選択することができる。ま
た、加熱温度は300〜600℃程度である。
【0035】上述のFe金属磁性粉末のもう一つの好ま
しい製造法は、Coを添加した第一鉄塩溶液に炭酸アル
カリを加えてFeCO3 を生成し、これを酸素含有気体
と接触させてオキシ水酸化鉄とした後、脱水し、次いで
水洗−熱処理もしくは熱処理−水洗のいずれかの処理
後、還元してFe金属磁性粉末を得る方法である。
【0036】この製造方法は、第一鉄塩溶液に「炭酸ア
ルカリ」を加えて中和すること、および、脱水工程後、
熱処理工程の前後いずれかにおいて水洗工程を設けると
いう点において上記第一の製造方法と異なるが、それ以
外の点においては上記第一の方法と同様にして行うこと
ができる。
【0037】ここで「炭酸アルカリ」としては、(NH
42 CO3 のほかにNa2 CO3、K2 CO3 、Na
HCO3 、KHCO3 等が挙げられ、特にはNa2 CO
3 が好適に用いられる。この炭酸アルカリの添加量は、
第一鉄塩溶液に対してモル当量で2〜10倍程度とする
のが好ましい。
【0038】また、脱水工程の後に、熱処理工程の前後
いずれかにおいて水洗工程を設けるが、これによりオキ
シ水酸化鉄中に含まれる可溶性イオンを洗い出してその
含有量を低減化するとともに、ナトリウムイオンとカリ
ウムイオンの比を所定範囲内に調整する。具体的には、
最終的に金属磁性粉末1gから水中へ溶出されるナトリ
ウムイオン濃度が400ppm以下であり、かつナトリ
ウム/カリウムイオン比(溶出濃度比)が100以下と
なるような程度にまで水洗時間、水洗と熱処理工程の順
位、使用する水の種類等を調節しながら水洗する。Fe
金属磁性粉末1gから水中へ溶出されるナトリウムイオ
ン濃度、ナトリウム/カリウムイオン比(溶出濃度比)
の測定は、上記第一の好ましい製造法において述べたよ
うに公知の方法により行うことができる。
【0039】なお、水洗工程で用いる水は、多量に可溶
性イオンを含まないものであれば任意に使用でき、蒸留
水、水道水、脱イオン水、地下水等を用いることができ
る。
【0040】このようにして得られたCo含有Fe金属
磁性粉末では、Coが粉末内部に、あるいは粉末内部と
粉末表面の両方に存在すると考えられる。また、Co以
外の添加成分はおもに磁性粉末の表面付近に存在し、添
加した化合物の形のままで、あるいは酸化物や水酸化物
等となって、さらには合金等を形成して存在していると
考えられる。これらの添加元素はこれらの状態が混在し
たものであってもよい。このことはESCA等によって
確認することができる。
【0041】本発明で用いられる金属磁性粉末は、好ま
しくは「針状」形状をなし、長軸は平均で0.05〜
0.2μm、短軸は平均で0.006〜0.1μmであ
り、軸比は平均で3〜10であることが好ましい。これ
らはTEM写真等によって確認することができる。この
金属磁性粉末は、保磁力(Hc)が1500〜2500
Oe、飽和磁化量(σs)が120〜160emu/
g、BET法による比表面積が40〜80m2 /g程度
であるのが好ましい。さらにこの金属磁性粉末は表面に
酸化皮膜を有するものであってもよく、このような酸化
皮膜をもつ金属磁性粉末を用いた磁気記録媒体は、温
度、湿度などの外部環境による磁化量の低下による特性
劣化に対して有利である。
【0042】本発明に係る磁気記録媒体は、好ましくは
上記Fe金属磁性粉末を含有する磁性層を非磁性支持体
上に設けてなるもので、該磁性層は、従来から慣用的に
行われている方法により作製し、非磁性支持体上に塗設
して設けることができる。例えば、上記Fe金属磁性粉
末に、結合剤、潤滑剤や、帯電防止効果、分散効果、可
塑効果等を発現させるための添加剤、無機質粉末、カー
ボンブラック、非強磁性有機質粉末等を加え、これを有
機溶剤に混練、分散して高濃度磁性層成分を調製し、次
いでこの高濃度磁性層成分をさらに溶媒で希釈して磁性
層成分(磁性塗料)を調製した後、非磁性支持体の表面
に塗布する。
【0043】磁性層成分の作製においては、通常、プレ
ミックス、例えばニーダー等を用いて高固形または高濃
度で混練を行ったり、あるいは高速攪拌機で材料を混合
した後、希釈し若しくはそのままで、サンドグラインダ
ーミル等のメディア攪拌型ミルを用いて分散を行う。分
散においては従来より、分散メディアとしてSiO2
CaO、MgO、Al23 等にNa2 O、K2 Oを加
えた軟質ガラスビーズを用いているが、これら軟質ガラ
スビーズを用いた場合、そこに含まれるアルカリ金属イ
オン(特にナトリウムイオン)がビーズから磁性層成分
中に溶出され、そのため磁性層成分中の可溶性イオン含
有量が多くなり、高温高湿下で長期保存した場合、不溶
化カルシウム塩の析出を促す結果となっていた。
【0044】本発明においては、好ましくは、上記の製
造法によって得られたFe金属磁性粉末を、アルカリ金
属を含まない分散メディアを用いて分散して磁性層成分
を調製する。分散メディアとしてアルカリ金属を含まな
いものを使用することにより、分散工程における磁性層
成分中へのナトリウムイオンの溶出、増加がなく、析出
物を防ぐことができる。
【0045】このアルカリ金属を含まない分散メディア
としては、例えば軟質ガラスビーズを無アルカリ化した
もの;SiO2 、CaO、MgO、Al23 、ZrO
2 、B23 、TiO等からなる硬質ガラスビーズ;Z
rO223 、ZrO2 MgO、Al23 、(Zr
2 、SiO2 )、(ZrO2 、SiO2 、Al2
3 )TiO2 、SiAlON等からなるセラミックビー
ズ;鉄の合金、例えばSUS304、306等の金属ビ
ーズ等が挙げられる。このなかでも特に、アルカリ金属
を含まず、耐摩耗性の良好なセラミックビーズが好まし
い。
【0046】分散メディアの分散機への投入量は、分散
機の形状(横型か縦型か、ピン型かディスク型か、ギャ
ップ型かスクリーン型か)、主軸の回転数、被分散物の
塗料粘度、流量などにより大きく異なる。そのため分散
性だけでなく、製造上の条件を加味して分散メディアの
投入量を決めることが好ましい。また、分散メディアの
粒径は、0.2〜2mm程度が好ましく、より好ましく
は0.5〜1.5mmで、塗料により高分散化が要求さ
れる場合は小径ビーズが好ましい。また、ビーズ種につ
いては、ガラスビーズに比べ比重の大きい(3〜6)セ
ラミックビーズが好ましい。
【0047】磁性層成分(磁性塗料)に用いる結合剤と
しては、熱可塑性樹脂、熱硬化性ないし反応型樹脂、電
子線感応型変性樹脂等が用いられる。これらは1種、あ
るいは2種以上を組み合わせて用いられるが、その組み
合せは磁気記録媒体の特性、工程条件に合せて適宜選択
使用される。熱可塑性樹脂は、軟化温度が150℃以
下、平均分子量5,000〜200,000、重合度5
0〜2,000程度のものが好ましい。熱硬化性樹脂、
反応型樹脂および電子線感応型変性樹脂も、上記と同様
の平均分子量、重合度のものが用いられ、塗布、乾燥、
カレンダー加工後に加熱、および/または電子線照射す
ることにより、縮合、付加等の反応により分子量は無限
大のものとなる。
【0048】これらのうち、熱可塑性樹脂のなかで塩化
ビニル系共重合体とポリウレタン樹脂の組み合せが最も
好ましく用いられる。
【0049】塩化ビニル系共重合体は、塩化ビニル含有
量が60〜95wt%、特には60〜90wt%のもの
が好ましく、平均重合度は100〜500程度が好まし
い。具体的には、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアル
コール共重合体、塩化ビニル−ヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレート共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−
マレイン酸、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル−マレイン酸、塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリート、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリート−マレイン
酸、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール−グリ
シジル(メタ)アクリレート、塩化ビニル−ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート−グリシジル(メタ)ア
クリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、塩化ビ
ニル−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート−アリ
ルグリシジルエーテル、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニ
ルアルコール−アリルグリシジルエーテル等の共重合体
が挙げられる。特には、塩化ビニルとエポキシ(グリシ
ジル)基を含有する単量体との共重合体が好ましい。
【0050】またこの塩化ビニル系共重合体は、硫酸基
および/またはスルホ基を極性基(以下「S含有極性
基」と記す)として含有するものが好ましい。S含有極
性基としては、例えば−SO4 Y、−SO3 Y(ただ
し、Yは、Hまたはアルカリ金属を示す)等が挙げら
れ、これらのなかでも−SO4 K、−SO3 K(Y=カ
リウム)が特に好ましい。これらはいずれか一方を含有
するものであってもよく、あるいは両者を含有するもの
であってもよく、両者を含むときにはその比は任意であ
る。
【0051】これらS含有極性基は、S原子として分子
中に0.01〜10wt%、特に0.1〜5wt%含ま
れるのが好ましい。また極性基としては、必要に応じ、
S含有極性基の他に、−OPO2 Y、−PO3 Y、−C
OOY(Yは、Hまたはアルカリ金属)、アミノ基(−
NR2 )、−NR3 Cl(Rは、H、メチル、エチル)
等を含有させることもできる。このなかでアミノ基は前
記Sと併用しなくともよく、また種々のものであってよ
いが、特にジアルキルアミノ基(好ましくは炭素原子数
1〜10のアルキル)が好ましい。このようなアミノ基
は通常、アミン変性によって得られ、塩化ビニル・アル
キルカルボン酸ビニルエステルの共重合体をアルコール
等の有機溶剤に分散あるいは溶解させ、その中にアミン
化合物(脂肪族アミン、脂環状アミン、アルカノールア
ミン、アルコキシアルキルアミン等の第1級、第2級も
しくは第3級アミン等)と、容易にケン化反応を進行さ
せるためのエポキシ基含有化合物とを加えてケン化反応
を行なうことで得られ、そのアミノ基を有するビニル単
位が0.05〜5wt%で、なおアンモニウム塩基が結
果的に含まれていてもよい。
【0052】S含有極性基が結合する樹脂骨格は、塩化
ビニル系樹脂であり、塩化ビニル、エポキシ基を有する
単量体、さらに必要に応じてこれらと共重合可能な他の
単量体を、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等のS
を含む強酸根を有するラジカル発生剤の存在下に重合し
て得ることができる。これらのラジカル発生剤の使用量
は、単量体に対して通常は0.3〜9.0wt%、好ま
しくは1.0〜5.0wt%であり、重合においては水
溶性のものが多いので、乳化重合、メタノール等のアル
コールを重合媒体とする懸濁重合や、ケトン類を溶媒と
する溶液重合が好適である。この際、Sを含む強酸根を
有するラジカル発生剤に加えて、通常塩化ビニルの重合
に用いられるラジカル発生剤を使用することも可能であ
る。また、Sを含む強酸根を有するラジカル発生剤に、
ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、亜硫酸ナ
トリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合せて
もよい。
【0053】ここでエポキシ基を有する単量体の例とし
ては、(メタ)アリルグリシジルエーテル等の不飽和ア
ルコールのグリシジルエーテル類、グリシジル(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリル酸のグリシジルエス
テル類、グリシジル−p−ビニルベンゾエート、メチル
グリシジルイタコネート、グリシジルエチルマレート、
グリシジルビニルスルホネート、グリシジル(メタ)ア
リルスルホネート等の不飽和酸のグリシジルエステル
類、ブタジエンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセン
モノオキサイド、2−メチル−5,6−エポキシヘキセ
ン等のエポキシドオレフィン類等が挙げられ、一般に共
重合体中のエポキシ基の量が0.5wt%以上となる範
囲で使用される。
【0054】また塩化ビニルとエポキシ基を有する単量
体のほかに必要に応じて使用できる他の単量体の例とし
ては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸
ビニルエステル、メチルビニルエーテル、イソブチルビ
ニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテ
ル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のビニリデン、
マレイン酸ジエチル、マレイン酸ブチルベンジル、マレ
イン酸ジ−2−ヒドロキシエチル、イタコン酸ジメチ
ル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル
酸−2−ヒドロキシプロピル等の不飽和カルボン酸エス
テル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、(メタ)
アクリロニトリル等の不飽和ニトリル等が挙げられる。
【0055】上述した塩化ビニル系樹脂と組み合せて用
いられるポリウレタン樹脂は、耐摩耗性および支持体へ
の接着性が良い点で特に有効であり、その側鎖に極性
基、水酸基等を有するものであってもよく、特に硫黄
(S)または燐(P)を含有する極性基を含有するもの
が好ましい。
【0056】ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオ
ールおよび/またはポリエーテルポリオール等のヒドロ
キシル基含有樹脂とポリイソシアネート含有化合物との
反応により得られる樹脂の総称であって、下記に詳述す
る合成原料を数平均分子量で500〜200,000程
度に重合したもので、そのQ値(重量平均分子量/数平
均分子量)は1.5〜4程度である。
【0057】このポリウレタン樹脂は、用いる結合剤中
において、ガラス転移温度Tgが−20℃≦Tg≦80
℃の範囲で異なるものを少なくとも2種類以上、さらに
その合計量が全結合剤の10〜90wt%となるよう含
有され、これら複数のポリウレタン樹脂を含有すること
で、高温度環境下での走行安定性とカレンダ加工性、電
磁変換特性のバランスが得られる点で好ましい。
【0058】また、塩化ビニル系共重合体とSおよび/
またはP含有極性基含有ポリウレタン樹脂が、その重量
混合比が10:90〜90:10となるよう混合して用
いられるのが好ましい。さらにこれらの樹脂に加えて、
全体の20wt%以下の範囲で、公知の各種樹脂が含有
されていてもよい。
【0059】上記のポリウレタン樹脂の原料のうち、ヒ
ドロキシル基含有樹脂としてはポリエチレングリコー
ル、ポリブチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル等のポリアルキレングリコール、ビスフェノールA等
のアルキレンオキサイド付加物、各種のグリコールおよ
びヒドロキシル基を分子鎖末端に有するポリエステルポ
リオール等が挙げられる。
【0060】ここで、ポリエステルポリオールのカルボ
ン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オル
ソフタル酸、1、5−ナフタル酸等の芳香族ジカルボン
酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)
安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジ
ピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボ
ン酸等の脂肪酸ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、
イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタ
ル酸等の不飽脂肪酸および脂環族ジカルボン酸、トリメ
リット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等のトリおよ
びテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0061】またポリエステルポリオールのグリコール
成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル
−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、ビスフェノールA等のエチレンオキサイ
ド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビ
スフェノールAのエチレンオキサイドおよびプロピレン
オキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が
挙げられる。また、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の
トリおよびテトラオールを併用してもよい。
【0062】ポリエステルポリオールとしては他にカプ
ロラクトン等のラクトン類を開環重合して得られるラク
トン系ポリエステルジオール鎖が挙げられる。
【0063】上記のポリウレタン樹脂の原料のうち、ポ
リイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テ
トラメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイ
ソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサ
ン、ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、ジメトキ
シビフェニレンジイソシアネート、ジイソシアネートジ
フェニルエーテル等のジイソシアネート化合物あるい
は、全イソシアネート基のうち7モル%以下のトリレン
ジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシア
ネートの三量体等のトリイソシアネート化合物が挙げら
れる。
【0064】ポリウレタン樹脂に含まれ得る極性基とし
て、例えば、S含有基としては−SO3 M(スルホン酸
基)、−SO4 M(硫酸基)を、P含有極性基としては
=PO3 M(ホスホン酸基)、=PO2 M(ホスフィン
酸基)、=POM(亜ホスフィン酸基)、−P=O(O
1 )(OM2 )、−OP=O(OM1 )(OM2 )、
−COOM、−NR3 X、−NR2 、−OH、エポキシ
基、−SH、−CN等から選ばれる少なくとも一つ以上
の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用い
ることが好ましい(ここで、M、M1 、M2 は、H、L
i、Na、K、−NR3 、−NHR2 を示し;Rはアル
キル基もしくはHを示し;Xはハロゲン原子を示す)。
なお、Mとしては特にNaが好ましい。これら極性基
は、骨格樹脂の主鎖中に存在しても、分枝中に存在して
もよく、原子として分子中に0.01〜10wt%、特
には0.02〜3wt%含まれていることが好ましい。
【0065】これらポリウレタン樹脂は公知の方法によ
り、特定の極性基含有化合物および/または特定の極性
基含有化合物と反応させた原料樹脂等を含む原料とを溶
剤中、または無溶剤中で反応させることにより得られ
る。
【0066】熱可塑性樹脂としては、上述の塩化ビニル
系共重合体およびポリウレタン樹脂の他に、例えば(メ
タ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリ
ル−ブタジエン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニ
ルブチラール、ニトロセルロース、スチレン−ブタジエ
ン系共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、アセタール
樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエーテ
ル樹脂、ポリカプロラクトン等の多官能性ポリエーテル
類、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹
脂、ポリブタジエンエラストマー、塩化ゴム、アクリル
ゴム、イソプレンゴム、エポキシ変性ゴム等が挙げられ
る。
【0067】熱硬化性樹脂としては、縮重合するフェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿
素樹脂、ブチラール樹脂、ポリマール樹脂、メラニン樹
脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系反応
樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、飽
和ポリエステル樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙
げられる。
【0068】上記樹脂のなかでも、末端および/または
側鎖に水酸基を有するものが反応型樹脂として、ポリイ
ソシアネートを使用した架橋や電子線架橋変性等が容易
に利用できるため好適である。さらに末端や側鎖に極性
基として−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−O
PO3 X、−PO3 X、−PO2 X、−N+3 Cl
- 、−NR2 等をはじめとする酸性極性基、塩基性極性
基等を含有していてもよく、これらの含有は分散性の向
上に好適である。これらは一種単独で使用しても、二種
以上を組み合わせて使用してもよい。
【0069】上記樹脂を硬化する架橋剤としては、各種
ポリイソシアネートを用いることができ、なかでも、ト
リレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、メチレンジイソシアネート等の1種以上を、トリ
メチロールプロパン等の水酸基を複数有するものに変性
した架橋剤、またはジイソシアネート化合物3分子が結
合したイソシアヌレート型の架橋剤を用いることが好ま
しい。架橋剤は樹脂100重量部に対し1〜50重量部
の割合で配合するのが好ましく、この架橋剤により樹脂
に含有される水酸基等と三次元的に結合して塗膜層の耐
久性が向上できる。架橋剤は、具体的には日本ポリウレ
タン工業(株)製のコロネートL、HL、3041、旭
化成(株)製の24A−100、TPI−100、BF
・Goodrich社製のデスモジュールL、N等が挙
げられる。
【0070】一般に、このような反応性または熱硬化性
樹脂を硬化するには、加熱オーブン中で50〜80℃に
て6〜100時間加熱したり、あるいは低速度にて、8
0〜120℃のオーブン中を走行させたりする。
【0071】さらに上記共重合体に公知の手法により、
(メタ)アクリル系二重結合を導入して電子線感応変性
を行ったものを使用することも可能である。ここでアク
リル系二重結合とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)ア
クリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミドの残基で
ある(メタ)アクリロイル基をいう。
【0072】この電子線感応変性を行うには、トリレン
ジイソシアネート(TDI)と2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート(2−HEMA)との反応物(ア
ダクト)を樹脂と反応させるウレタン変性や、エチレン
性不飽和二重結合を1個以上およびイソシアネート基1
個を1分子中に有し、かつウレタン結合を分子中に持た
ないモノマー(2−イソシアネートエチル(メタ)アク
リレート等)を樹脂と反応させる改良型ウレタン変性、
さらには水酸基やカルボン酸基を有する樹脂に対し(メ
タ)アクリル基とカルボン酸無水物あるいはジカルボン
酸を有する化合物を反応させてエステル変性する方法等
よく知られているが、これらのなかでも、改良ウレタン
変性が、塩化ビニル系樹脂の含有比率を上げても脆くな
らず、しかも分散性、表面性にすぐれた塗膜を得ること
ができるため好ましい。
【0073】また、その電子線感応基含有量は、製造時
の安定性、電子線硬化性等から水酸基成分中1〜40モ
ル%、好ましくは10〜30モル%であり、特に塩化ビ
ニル系共重合体の場合1分子あたり1〜20個、好まし
くは2〜10個の官能基となるようにモノマーを反応さ
せると分散性、硬化性ともに優れた電子線硬化性樹脂を
得ることができる。これら電子線感応変性樹脂を用いる
場合、架橋率を向上させるために従来公知の多官能アク
リレートを1〜50wt%混合して使用してもよい。
【0074】電子線感応性変性樹脂を結合剤として用い
た場合の硬化に際しての照射線源としては、吸収線量の
制御、製造工程ラインへの導入、電離放射線の遮蔽の見
地から、電子線を使用する方法および/または紫外線を
使用する方法が有利である。電子線の場合には加速電圧
100KV〜750KV、好ましくは150〜300K
Vの電子線加速器を用い、吸収線量を20〜200キロ
グレイになるように照射するのが好都合である。また電
子線架橋に際しては、酸素濃度が1%以下のN2 、H
e、CO2 等の不活性ガス雰囲気で電子線を照射するこ
とが重要で、これは放射線照射により生じたO3 等がラ
ジカルを捕捉するのを防ぐためである。一方、紫外線を
用いる場合には、電子線硬化性樹脂を含有する結合剤の
中には、従来公知の光重合増感剤が加えられ、その照射
については、キセノン放電管、水素放電管等の紫外線電
球等を用いればよい。
【0075】このような本発明で用いる結合剤は、当然
のことながら可溶性イオン量が少ない方が好ましい。ま
た、この結合剤はFe金属磁性粉末100重量部中に5
〜50重量部含有される。
【0076】有機溶剤としては、特に制限はないが、結
合剤の溶解性、相溶性および乾燥効率等を考慮して適宜
選択される。例えば、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル類、イソプロパノール、ブタノール
等のアルコール類、ジオキサン、テトヒドロフラン、ジ
メチルホルムアミド、ヘキサン、塩素置換炭化水素類等
の希釈剤ないし溶剤を単一溶剤またはこれらの任意比率
の混合溶剤として用いる。
【0077】これら有機溶剤は必ずしも100%純粋で
はなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分
解物、酸化物、水分等の不純分が含まれていてもかまわ
ないが、その含有量は有機溶剤中5wt%以下が好まし
く、さらに好ましくは3wt%以下である。不純物が多
いと磁性粉の分散性、塗料の貯蔵安定性、磁性層の硬化
特性、媒体における保存特性等に悪影響を及ぼす。
【0078】これら有機溶剤は、塗料の粘度を塗布の段
階でコーンプレート型または二重円筒型粘度計によるシ
ェアレート3000sec-1 において5〜100cpとす
るように、結合剤総量に対して10〜10000wt
%、特に100〜5000wt%の割合で使用される。
磁性塗料全量に対する使用割合としては、固形分(不揮
発分)濃度が5〜45wt%、好ましくは10〜35w
t%程度となるように用いるのがよい。ただし、その溶
剤種、混合比率、使用量の決定には塗料に用いられてい
る顔料の種類、比表面積、粒子サイズ、磁性粉であれば
その磁化量、顔料の体積または重量充填度、さらには塗
料の希釈安定性等を考慮して上記の粘度範囲になるよう
調整して用いればよい。
【0079】また、有機溶剤添加操作は、磁性塗料の製
造の各工程において段階的に行うことが好ましく、流量
規制してタンク内に撹拌しながら順次添加したり、配管
で塗料と徐々に混合する等の操作を行うことがよく、さ
らに可能であれば有機溶剤添加時または希釈時に濾過お
よび/または分散処理を行うことがさらに好ましく、こ
れらの操作を行うことにより磁性塗料の安定性と凝集
物、異物の発生を抑えることが可能となるからである。
【0080】なお、このような本発明で用いる有機溶剤
は、当然のことながら可溶性イオン量が少ない方が好ま
しい。
【0081】潤滑剤としては、公知の種々の潤滑剤を用
いることができるが、特には脂肪酸および/または脂肪
酸エステルを用いるのが好ましく、炭素数12〜24
(不飽和結合を含んでもよく、また分枝していてもよ
い)の一塩基性脂肪酸、炭素数10〜24(不飽和結合
を含んでもよく、また分枝していてもよい)の一塩基性
脂肪酸と炭素数2〜22(不飽和結合を含んでもよく、
また分枝していてもよい)の1価、2価、3価、4価、
5価、6価アルコール、ソルビタン、ソルビトール等の
環状もしくは多糖類還元アルコール等のいずれか1つと
からなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル、トリ
脂肪酸エステル、これらの混合物、または2種類以上を
併用してもよい。
【0082】これらの具体例として、一塩基性脂肪酸に
ついてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベ
ヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等が挙げられ、脂肪酸
エステルについては、ブチルミリステート、ブチルパル
ミテート、ブチルステアレート、ネオペンチルグリコー
ルジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビ
タンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オ
レイルオレエート、イソセチルステアレート、イソトリ
デシルステアレート、オクチルステアレート、イソオク
チルステアレート、アミルステアレート、ブトキシエチ
ルステアレート等が挙げられる。
【0083】これら脂肪酸および/または脂肪酸エステ
ルの潤滑剤、分散剤としての効果は、強磁性微粉末に対
して、その合計量として0. 1wt%以上含有させるこ
とによって出現し、含有率を増加させることによりその
効果は顕著になるが、上記合計量が20wt%を超える
と、磁性層中に留まりきれずに塗膜表面に吐出し、磁気
ヘッドを汚したり、出力を低下させる等の悪影響を及ぼ
す。そのため脂肪酸および/または脂肪酸エステルの磁
性層中における含有量は、強磁性微粉末に対してその合
計量として0. 1〜20wt%、より好ましくは1〜1
5wt%、最も好ましくは1〜12wt%である。
【0084】またこの潤滑剤は、磁性層以外にもバック
コート層、下地層等に含有させることが好ましく、特に
磁性層が薄い場合等は、下地層に含有させることでスチ
ル耐久性の向上ができるため有効である。さらに、バッ
クコート層がある場合は、潤滑剤をバックコート層側に
多く含有させて、磁性層表面への転写による表面潤滑性
の向上を図ることができる。
【0085】これらの脂肪酸および/または脂肪酸エス
テルは必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異
性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分
が含まれてもかまわない。これらの不純分は40%以下
が好ましく、さらに好ましくは20%以下である。
【0086】また、用いられる脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、添加剤等のすべてまたはその一部は、磁気記録媒体
構成用の塗料製造のどの工程で添加してもかまわない。
例えば、混練工程前に顔料粉末と混合する場合、顔料粉
末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散
工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前
に添加する場合、溶剤に希釈または分散させた溶液を予
め塗布した層上に塗布する等の方法がある。
【0087】なお、このような本発明で用いる潤滑剤
は、当然のことながら可溶性イオン量が少ない方が好ま
しい。
【0088】磁性塗料中には、さらに通常、潤滑効果、
帯電防止効果、分散効果、可塑効果等を発現させるため
の添加剤が含有される。例えば、シリコーンオイル類、
フッ素オイル、フッ素置換炭化水素基含有のアルコー
ル、脂肪酸、エステル、エーテル類、パラフィン類、前
記一塩基性脂肪酸類の金属(Li、Na、K、Ca、B
a、Cu、Pb等)塩類、前記脂肪酸エステル製造用ア
ルコール類、アルコキシアルコール類、ポリエチレンオ
キシド付加モノアルキルエーテルの脂肪酸エステル類、
脂肪族または環状アミン類、脂肪酸アミド類、第四級ア
ンモニウム塩類、ポリオレフィン類、ポリグリコール、
ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステ
ルおよびそのアルカリ金属塩、アルキレンオキサイド
系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノー
ルエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、
ホスホニウムまたはスルホニウム等のカチオン系界面活
性剤およびそのアルカリ金属塩、カルボン酸、スルホン
酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基
を含むアニオン界面活性剤およびそのアルカリ金属塩、
アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの
硫酸または燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両
性界面活性剤等も使用できる。なお、これら界面活性剤
については「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発
行)に詳細に記載されている。
【0089】これら添加剤の配合量は、磁性粉末に対し
て総計10wt%以下、特に0.01〜5wt%とし、
磁性粉末が存在しない場合には、結合剤に対して0.0
05〜50wt%の範囲で用いることができる。
【0090】なお、これら本発明で用いる添加剤は、当
然のことながら可溶性イオン量が少ない方が好ましい。
【0091】さらに、磁性塗料中には無機化合物を含有
させてもよい。使用できる無機質粉末としては、例え
ば、金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属
窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機質粉末が挙げ
られる。具体的には、α−アルミナ、β−アルミナ、γ
−アルミナ、θ−アルミナ、δーアルミナ、三酸化二ク
ロム、α−酸化鉄、γ−酸化鉄、ゲータイト、SiO
2 、ZnO、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、窒化珪
素、窒化硼素、炭化珪素、炭化チタン、炭化モリブデ
ン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭酸カルシウム、
炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、炭酸マグネシウ
ム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫
化タングステン、人造ダイアモンド等が単独または組み
合わせて使用される。これらの無機化合物は、磁性粉末
に対して、重量比率で0.1〜20wt%の範囲で用い
られる。またこれらの無機化合物は磁性層の要求特性に
合わせて適宜組み合わせて用いればよい。
【0092】これら無機質粉末の粒子の形状、サイズ等
は任意に設定すれば良いが、粒子形状は球状、粒状また
は多面体が好ましく、粒子サイズは好ましくは0.01
〜0.7μmであり、これらは必要に応じて、媒体に要
求される耐久性とヘッド摩耗および最短記録波長におけ
る出力のバランスから適宜選択すれば良く、単一系でも
混合系でもよく、単独で粒度分布等を選択することもで
きる。
【0093】上記の無機化合物は、必ずしも100%純
粋である必要はなく、主成分が70%以上であれば効果
は減少しない。
【0094】またこれらの無機化合物は水に可溶なアル
カリ金属、アルカリ土類金属、塩素、硫酸、硝酸等のイ
オンが少ないことが必要で、その量が多いと媒体化した
ときの保存特性に悪影響を及ぼす。さらに、これらの無
機化合物は、磁性粉末との混練時または分散時に同時に
添加しても良いし、あらかじめ結合剤で分散しておい
て、磁性塗料の分散時に添加してもかまわない。
【0095】さらに、磁性塗料中には、カーボンブラッ
クを含有させてもよい。カーボンブラックとしてはファ
ーネスカーボンブラック、サーマルカーボンブラック、
アセチレンブラック等を用いることができる。これらの
カーボンブラックの粒子サイズ等は任意に設定すれば良
いが、媒体に要求される電気抵抗と摩擦特性および最短
記録波長における出力のバランス(表面粗さ)から適宜
選択すれば良く、単一系でも混合系でも良く、単独で粒
度分布等を選択することもできる。これらカーボンブラ
ックの平均粒径は10〜400nm、好ましくは20〜
350nmであり、さらに詳細には、電磁変換特性を優
先的に考慮すると20〜40nmが好ましく、摩擦特性
を重視する場合は40〜350nmの範囲で電磁変換特
性において許容される可能な限り大きな粒径を用いるこ
とが好ましい。また、カーボンブラックの選定において
は、粒子サイズのみならず、BET値、DBP値を考慮
する必要があるが、カーボンブラックの粒子サイズ、B
ET値およびDBP値は密接に関係するため、単独でか
け離れた数値とすることは実現不可能であるため、これ
らの三要素は媒体の要求特性と塗料における分散特性、
流動特性とにより実験的に選定することが必要である。
【0096】これらのカーボンブラックは、結合剤に対
して、重量比率で10〜500wt%、あるいは磁性粉
末に対して、0.1〜20wt%の範囲で用いられる
が、媒体の要求特性と塗料における分散特性、流動特性
とにより実験的に選定することが必要である。これらの
カーボンブラックは磁性層、バックコート層、下地層等
の要求特性に合わせて適宜組み合わせて用いればよい。
さらに、これらのカーボンブラックは、磁性粉との混練
時または分散時に同時に添加してもよいし、あらかじめ
結合剤で分散しておいて、磁性塗料の分散時に添加して
もかまわない。また、これらのカーボンブラックを潤滑
剤、分散剤等で表面処理したり、表面の一部をグラファ
イト化したもの等を使用しても構わない。本発明で使用
できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック
便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることが
できる。
【0097】なお、このカーボンブラックは、本発明で
用いる場合、当然のことながら可溶性イオン量が少ない
方が好ましい。
【0098】さらに磁性塗料中には、非強磁性有機質粉
末を含有させてもよい。用いられる非強磁性有機質粉末
としては、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナ
ミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系
顔料、アゾ系顔料、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエ
ステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド
系樹脂粉末、フッ化炭化水素樹脂粉末、ジビニルベンゼ
ン系樹脂粉末等が挙げられる。このような非強磁性有機
質粉末は、結合剤に対して、重量比率で0.1〜20w
t%の範囲で用いられる。
【0099】なお、この非強磁性有機質粉末は、本発明
で用いる場合、当然のことながら可溶性イオン量が少な
い方が好ましい。
【0100】このような磁性塗料が塗設される非磁性支
持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエ
ステル類、ポリオレフイン類、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルホンセルローストリア
セテート、ポリカーボネート等の公知のフィルムを使用
することができ、好ましくは、PET、PEN、芳香族
ポリアミドであり、さらに好ましくは、PETないしP
ENの2種ないし3種による多層共押出しによる複合化
フィルムまたは芳香族ポリアミドであり、これらのフィ
ルムを使用すると電磁変換特性、耐久性、摩擦特性、フ
ィルム強度、生産性のバランスが得やすい。
【0101】また、これらの非磁性支持体には、フィラ
ーとしてAl、Ca、Si、Ti等の酸化物や炭酸塩等
の無機化合物、アクリル樹脂系微粉末等の有機化合物等
を添加することが好ましく、これらの量と大きさにより
表面性を自由にコントロールすることが可能となり、電
磁変換特性、耐久性、摩擦特性等をコントロールするこ
とが可能である。
【0102】さらに、これら非磁性支持体には、あらか
じめコロナ放電処理、プラズマ放電および/または重合
処理、易接着剤塗布処理、除塵処理、熱および/または
調湿による緩和処理等を行ってもよい。
【0103】これら非磁性支持体の中心線表面粗さが
0.03μm以下、好ましくは0.02μm以下、さら
に好ましくは0.01μm以下のものを使用する必要が
あり、これらの非磁性支持体は単に中心線平均表面粗さ
が小さいだけではなく、0.5μm以上の粗大突起がな
いことが好ましい。
【0104】また、非磁性支持体のテープ走行方向およ
びテープ幅方向のいわゆるF−5の値は、好ましくは5
〜50Kg/mm2 であり、テープ長手方向のF−5値
がテープ幅方向のF−5値より高いのが一般的である
が、特に民生用DVTテープのように幅方向の強度を高
くする必要がある場合もある。また、非磁性支持体のテ
ープ走行方向および幅方向の100℃30分での熱収縮
率は好ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以
下、80℃30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、
さらに好ましくは、0.5%以下である。
【0105】また、非磁性支持体の破断強度は、両方向
とも5〜100Kg/mm2 が好ましく、弾性率は10
0〜2000Kg/mm2 が好ましい。
【0106】本発明において非磁性支持体の形態は特に
制限はなく、テープ状、フィルム状、シート状、カード
状、ディスク状、ドラム状等の形態を取り得、非磁性支
持体の厚みも用途に応じて適宜に最適なものが選択され
る。
【0107】本発明の一態様としては、非磁性支持体と
磁性層との間に少なくとも1層の下層を設けることであ
る。この下層としてはいわゆる下地層や非磁性層等が含
まれる。この下層には磁性粉末または非磁性粉末の他
に、上記磁性層形成で用いた結合剤、潤滑剤、研磨剤、
帯電防止剤、分散剤等の添加成分を適宜添加し、有機溶
剤に混練、分散して形成することができる。なお、本発
明では、このような下層を設けた場合、下層が水と接触
した際の該下層と上層磁性層とからの可溶性ナトリウム
イオン溶出濃度の合計が200ppm以下であり、かつ
ナトリウム/カリウムイオン比が1〜4であるものとす
る。
【0108】この下層に用いられる磁性粉末としては、
酸化鉄磁性粉末、強磁性金属粉末、板状六方晶フェライ
ト、二酸化クロム等が挙げられる。
【0109】この下層に含まれる非磁性粉末としては、
前述の無機化合物を用いればよく、その形状はいかなる
ものでもよいが、針状であることが好ましい。粉末の形
状が針状のものを用いると下層の表面の平滑性を向上さ
せることができ、その上に積層される磁性層の表面の平
滑性も向上させることができる。粉末の平均長軸径は
0.3μm未満であり、好ましくは0.20μm未満で
あり、平均短軸径は0.05μm未満であり、好ましく
は0.03μm未満である。粉末の軸比としては通常2
〜15であり、好ましくは3〜10である。ここでいう
軸比とは、平均短軸径に対する平均長軸径の比(平均長
軸径/平均短軸径)のことをいう。非磁性粉末のBET
法による比表面積は10〜250m2 /g程度であり、
好ましくは20〜150m2 /gである。
【0110】また、非磁性粉末がSi化合物および/ま
たはAl化合物により表面処理されていることが好まし
い。表面処理工程を経ることにより可溶性イオン量が減
少するとともに、表面処理のなされた非磁性粉末を用い
ると磁性層である上層の表面状態を良好にすることがで
きる。前記Siおよび/またはAlの含有量としては、
非磁性粉末に対してSi、Alとも0.1〜10重量%
であることが好ましい。この下層は乾燥膜厚0.3〜
3.0μm程度となるよう非磁性支持体上に塗設され
る。
【0111】この下層上に、磁性層が乾燥膜厚で0.0
8〜1.0μm程度となるよう塗設される。さらに、非
磁性支持体の磁性層が設けられていない面(裏面)に
は、磁気記録媒体の走行性の向上、帯電防止および転写
防止等を目的として、公知のバックコート層を適宜設け
ることが好ましい。バックコート層の可溶性イオン量も
磁性層以下にすることが好ましい。
【0112】次に、本発明の磁気記録媒体の製造工程に
ついて説明する。
【0113】まず、本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を
製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およ
びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程か
らなる。
【0114】個々の工程はそれぞれ2段以上に分れてい
てもよく、また原料を2つ以上の工程で分割して添加し
てもかまわない。
【0115】磁性塗料の混練にあたっては、各種の混練
機を使用することができる。この混練機としては、例え
ば二本ロールミル、三本ロールミル、オープンニーダ
ー、連続式二軸混練機、連続式一軸混練機、加圧ニーダ
ー、プラネタリーミキサー等が挙げられ;高速撹拌機と
しては高速インペラー分散機、高速ストーンミル、ディ
スパー、高速ミキサー、ホモジナイザー等が挙げられ;
メディア撹拌型ミルとしてはボールミル、ペプルミル、
コボルミル、サンドグラインダー、ピン型ミル、ウルト
ラファインミル、アトライター、バスケットミル等が挙
げられる。
【0116】連続ニーダーまたは加圧ニーダーを用いる
場合は強磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(た
だし全結合剤の30wt%以上が好ましい)および強磁
性粉末100wt%に対し15〜500wt%の範囲で
混練処理される。
【0117】また、各工程において使用可能な塗料の分
散においては高比重の分散メディアを用いることが望ま
しく、前述のジルコニア等のセラミック系メディアが好
適である。
【0118】巻き出しロールから引き出された長尺・フ
ィルム状の非磁性支持体上には、グラビアコート、リバ
ースロールコート、エクストルージョンノズルコート等
の公知の種々の塗布手段によって塗料が塗布される。
【0119】一般に、塗料の塗布前には非磁性支持体
に、クリーニングおよび表面調整等の目的で、水や溶剤
等を使用する湿式クリーニング、不織布や極微細繊維織
物等をワイパーとして使用する乾式クリーニング、圧搾
空気やバキューム、イオン化空気等を使用する非接触式
クリーニング等の公知の種々の手段によって処理が行わ
れ、塗料の非磁性支持体との密着性や塗布面を向上させ
る目的等で、コロナ放電、紫外線照射、電子線照射等の
公知の種々の非接触表面処理が行われることも多い。
【0120】さらに、水系下塗り剤、エマルジョン系下
塗り剤、溶剤系下塗り剤等の下塗りを前記の表面処理と
合わせてまたは単独で密着性の向上等を目的として行う
こともあり、技術的には樹脂だけの下塗りに変えて、非
強磁性の無機顔料や有機顔料を結合剤中に分散させた塗
料を下塗り層として塗布してもよく、先の表面処理と併
用してもかまわない。
【0121】一般に磁性層は単独で塗布形成されるが、
より高度な機能をもたせるために2層以上の複数層を設
けることも可能で、その場合には磁性層や非強磁性層
を、ウェットオンドライ法やウェットオンウェット法等
の公知の方法を用いて行えばよい。
【0122】この様な塗布工程の後に、通常は、次工程
として非磁性支持体上に設層された磁性塗料のウエット
膜面のスムージングや塗膜規制等に関する種々の処理が
行われる。スムージング手段としては、樹脂、金属、セ
ラミックス類のフィルムやバー等を接触させたり、永久
磁石、電磁石等による磁界や超音波による振動等の非接
触法等の公知の方法が使用でき、要求特性によって単独
であるいは併用することができる。
【0123】また、磁性層を設層した後、磁場を印加し
て、層中の磁性粒子を配向させることが必要で、その配
向方向は、媒体の走行方向に対して長手方向、垂直方
向、斜め方向のいずれであってもよく、所定方向へ向け
るためフェライト磁石や希土類磁石等の永久磁石、電磁
石、ソレノイド等で1000G以上の所定方向に磁界を
印可したり、これらの磁界発生手段を複数併用すること
が好ましく、さらには乾燥後の配向性が最も高くなるよ
うに、配向前に予め適度の乾燥工程を設けたり、配向と
同時に乾燥を行う等して配向を行ってもよいし、フロッ
ピーディスクの場合には、塗布によって自然に配向され
た磁性粉を永久磁石、電磁石、ソレノイド等で、できる
かぎり無配向状態にしてもよい。
【0124】このようにして塗設後処理の行われた磁性
塗料は、通常、乾燥炉等の内部に設けられた熱風、遠赤
外線、電気ヒーター、真空装置等の公知の乾燥および蒸
発手段によって、または紫外線ランプや放射線照射装置
等の公知の硬化装置によって乾燥・固定される。
【0125】乾燥温度は、室温から300℃程度までの
範囲で、非磁性支持体の耐熱性や溶剤種、濃度等によっ
て適宜選定すればよく、また乾燥炉内に温度勾配をもた
せてもよく、乾燥炉内のガス雰囲気は、一般の空気また
は不活性ガス等を用いればよい。
【0126】紫外線ランプや放射線照射装置によって乾
燥を行うときは、硬化反応が起こるので後加工を考慮し
た場合は、可能な限り他の乾燥手段を利用する方がよ
い。
【0127】また、溶剤を含んだままで紫外線や放射線
を照射することは、発火や発煙を伴うことがあるので、
この場合にも可能な限り他の乾燥手段を併用することが
好ましい。
【0128】このようにして磁性層を乾燥した後に、必
要に応じて表面平滑化処理としてカレンダ処理を行う
が、カレンダ処理ロールとしてはエポキシ、ポリエステ
ル、ナイロン、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドア
ミド等の耐熱性のあるプラスチックロール(カーボン、
金属やその他の無機化合物を練り込んであるものでもよ
い)と金属ロールの組合わせ(3ないし7段の組合わ
せ)、または、金属ロール同志で処理することもでき、
その処理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好まし
くは80℃以上であり、また線圧力は好ましくは200
kg/cm、さらに好ましくは300kg/cm以上で
あり、速度は20m/分〜700m/分の範囲である。
カレンダー処理後、磁性層、バックコート層、非磁性層
の硬化を促進するために、40℃〜80℃の熱硬化処理
および/または電子線照射処理を施してもかまわない。
次いで、所定の形状にし、さらに二次加工を行い、磁気
記録媒体を作製する。
【0129】その後は、必要に応じてバーニッシュ処理
またはブレード処理を行ってスリッティングされる。
【0130】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説
明するが、本発明の範囲はこれによって何ら制限される
ものでないことはいうまでもない。
【0131】なお、本実施例における金属磁性粉末試料
および磁気記録媒体の特性評価は、下記基準に従った。
【0132】[金属磁性粉末の特性評価] 〔ナトリウムイオン、カリウムイオン溶出濃度〕純水2
0mlをパイレックス製ビーカーに入れ、ここに試料を
1g加えて密封した。これを温度80℃にて1時間保持
した後、超音波分散を1時間行い、次いで試料を濾過
し、濾液を原子吸光法で常法により分析し、各試料1g
からの水中へのナトリウムイオン、カリウムイオン溶出
濃度を測定した。
【0133】〔ナトリウム/カリウムイオン比〕上記測
定から比を求めた。
【0134】〔アルカリ金属イオン比〕ナトリウム、カ
リウムイオン溶出量を測定した濾液を用いて、ICPに
てカルシウムイオン、マグネシウムイオン溶出量を求め
た。(Na+ 、K+ 、Ca2+およびMg2+)合計溶出濃
度に対する(Na+ とK+ )合計溶出濃度の比率をアル
カリ金属イオン比とする。
【0135】〔保磁力Hc、飽和磁化量σs〕東英工業
(株)製VSMを用いて、印加磁界10KOeで磁気測
定を行い、保磁力(Hc)、飽和磁化量(σs)を測定
した。
【0136】〔経時安定性〕温度60℃、ドライな環境
下に7日間保存した後の飽和磁化量の変化{△σs=
〔(保存後σs−保存前σs)/保存前σs〕×100
(%)}を測定した。
【0137】〔磁性粉透過率〕試料50gを円筒形のカ
ゴ(フルイ目開き1190の金網)に入れ、このカゴを
回転数700rpmで回転させて試料を解砕させ、カゴ
のフルイからの透過率を求めた。
【0138】[磁気記録媒体の特性評価] 〔分散光沢〕GLDSS METER GM−3D(村
上色彩研究所)を使用し、入射角60℃で測定した。
【0139】〔分散時粘度〕サンドミルで30分間分散
後、および3時間分散後の塗料のシェアレート3000
-1/secの見かけ粘度をコーンプレート型粘度計(コ
ーン角度0.5度)でそれぞれ測定した。
【0140】〔磁気特性〕東英工業(株)製VSMを用
いて、印加磁界10KOeで磁気測定を行い、保磁力
(Hc)、角型比Br/Bmを測定した。
【0141】〔電磁変換特性〕Hi−8デッキ(ソニー
(株)製EVS−900)を用いて、以下の特性を測定
した。
【0142】・7M−OUT:7MHZ の波長の記録信
号再生出力を測定した。このときのrefはTDK−r
efテープで行った(実施例4のみ5MHZ )。
【0143】・Y−S/N: 50%輝度レベルのビデ
オ信号を録再し、ビデオノイズメーターにより測定し
た。このときのrefはTDK−refテープで行っ
た。
【0144】・C−OUT: クロマ信号の再生出力を
測定した。
【0145】・C−S/N: 50%輝度レベルのビデ
オ信号の上に100%クロマ信号を重ねて記録し、ビデ
オノイズメーターによりAM成分を測定した。
【0146】〔可溶性イオン特性〕 (1)ナトリウムイオン、カリウムイオン溶出濃度 純水10mlを入れたポリプロピレン製の容器に、試料
のテープの磁性層で1gになるようにした量を完全に浸
るように入れ、密封した。これを温度60℃の恒温槽に
入れ、1週間保持した後、上澄み液を取り、各磁気テー
プ1gからの水中へのナトリウムイオン、カリウムイオ
ン溶出濃度を原子吸光法で常法により測定した。 (2)ナトリウムイオン/カリウムイオン比 上記の測定により比を求めた。
【0147】〔保存DO増加量、電磁変換特性劣化〕作
製した磁気テープを、気温50℃、80%RHの環境下
にて5日間、カセットの状態で保存した。保存前に記録
再生を行い、同じところを保存後再生および記録再生し
て、ドロップアウトおよび7MHz出力を測定した。
【0148】ドロップアウトは電磁変換特性を測定した
デッキと同じEVS−900(ソニー(株)製)を用
い、10μsec/−16dBと3μsec/−10d
Bを測定した。測定時間は10分間とし、6回測定の平
均値を求めた。電磁変換特性劣化は、保存前と保存後の
電磁変換特性の出力差を算出した。
【0149】〔目づまり発生率〕0℃、20℃で60%
RH、40℃80%RHの各磁気テープ108mを全長
記録後、50回の全長繰り返し再生を行い、各環境下に
おいて3dB以上1分間以上のRFの出力低下が認めら
れたものを目づまりとし、そのサンプル数をカウント
し、測定全サンプルに対する比率を発生率として求め
た。
【0150】(実施例1−1)FeCl2 ・4H2
1000g(5.0mol)を45℃に保温した10リ
ットルのH2 Oに溶解させ、これに塩化コバルト(Co
Cl2 )をCo量がFeに対して20.0重量%となる
ように溶解し攪拌混合した。この溶液に、(NH42
CO3 865g(9.0mol)を10リットルのH
2 Oに溶解させた45℃の水溶液を徐々に添加しながら
攪拌して懸濁液とし、終了後60分間攪拌混合した。
【0151】この懸濁液の温度を45℃に保ちながら、
10リットル/分の流量で空気を吹き込みながら6時間
攪拌を続けた。その後室温まで放冷、濾過し、残渣を水
洗し、60℃で24時間乾燥して針状のオキシ水酸化鉄
を得た。
【0152】得られたオキシ水酸化鉄100gを6リッ
トルのH2 O中に投入して攪拌混合し、これに塩化イッ
トリウム(YCl3 ・6H2 O)をY量がFeに対して
8.0重量%になるように溶解した1リットルの水溶液
を加えて攪拌混合し、さらにpHが8になるようにNa
OH水溶液を加え、攪拌混合した。次に塩化アルミニウ
ム(AlCl3 )をAl量がFeに対して7.0重量%
になるように溶解した1リットルの水溶液を加え、さら
に、pHが8になるようにNaOH水溶液を添加した。
これを十分攪拌した後、濾別し、残渣を水洗した後、乾
燥を行った。
【0153】このようにして得られたオキシ水酸化鉄を
窒素雰囲気下で600℃、1時間熱処理した。
【0154】次にこれを50g採取し、温度480℃、
水素流量1リットル/minで6時間かけて還元した。
次いで、これを室温まで冷却した後、窒素ガス中に徐々
に空気を流し込み、徐酸化皮膜を磁性粉表面に形成し、
金属磁性粉末を得た。これを磁性粉末試料No.1とす
る。
【0155】得られた磁性粉末試料No.1は、TEM
写真から、平均長軸長(L)=0.13μm、軸比(L
w)=7であった。なお、磁性粉末試料No.1におけ
るCo量、Al量、Y量はICP発光分析により確認し
た。また、ESCA等の結果から、Al、Yはおもに粉
体表面に存在していることがわかった。
【0156】(実施例1−2、1−3、1−7)磁性粉
末試料No.1において、塩化コバルト量を、Co量が
Feに対してそれぞれ30、40、50重量%となるよ
うに添加量を調整した以外は、上記と同様にして、磁性
粉末試料No.2、3、7を得た。
【0157】(比較例1−4)FeCl2 ・4H2
1000g(5.0mol)を45℃に保温した10リ
ットルのH2 Oに溶解させ、これに塩化コバルト(Co
Cl2 )をCo量がFeに対して20.0重量%となる
ように溶解し攪拌混合した。この溶液に、Na2 CO3
930g(8.8mol)とNaOH50g(1.2
5mol)を10リットルのH2 Oに溶解させた45℃
の水溶液を徐々に添加しながら攪拌して懸濁液とし、終
了後60分間攪拌混合した。
【0158】この懸濁液の温度を45℃に保ちながら、
10リットル/分の流量で空気を吹き込みながら6時間
攪拌を続けた。その後室温まで放冷、濾過し、残渣を水
洗し、60℃で24時間乾燥して針状のオキシ水酸化鉄
を得た後、実施例1−1と同様に処理して比較磁性粉末
試料No.4を得た。
【0159】(比較例1−5、1−6)比較磁性粉末試
料No.4において、塩化コバルト(CoCl2 )をC
o量がFeに対してそれぞれ30、40重量%となるよ
うに添加量を調整した以外は上記比較磁性粉末試料N
o.4と同様にして、比較磁性粉末試料No.5、6を
得た。
【0160】
【0161】 上記磁性粉末試料No.1〜3および
7、並びに比較磁性粉末試料No.4〜6を用いて、上
記基準に従って、金属磁性粉末の特性を評価した。結果
を表1、表2に示す。
【0162】 磁気記録媒体の作製 上記磁性粉末試料No.1〜3および7、並びに比較磁
性粉末試料No.4〜6を用いて、磁気記録媒体(磁気
テープ)を作製した。
【0163】すなわち、上記各金属磁性粉末試料に下記
の磁性層組成の一部またはすべてを、ニーダーで混練し
た後、分散メディアとしてセラミックビーズ(ZrO2
・Y23 99重量部以上、SiO2 0.04重量部以
下)を用いてサンドミルで分散、混合、希釈を行い、各
磁性塗料を作製した。
【0164】得られた各磁性塗料に硬化剤(コロネート
L;日本ポリウレタン(株)製)を3.3重量部混合添
加し、乾燥厚みが2.5μmになるように、表面粗さ
(Ra)が12nmのポリエチレンテレフタレート(厚
さ7.5μm)上に塗布、配向処理、乾燥、カレンダー
処理を行った。さらに磁性層の反対側面に、下記の組成
のバックコートを乾燥厚み0.5μmになるように塗布
を行い、カレンダー処理後熱硬化を行った。
【0165】こうしてできあがった原反を8mm幅に切
断し磁気テープとした。 (磁性層組成) 金属磁性粉末 100.0重量部 塩化ビニル共重合体 8.3 (MR−110;日本ゼオン(株)製) ポリエステルポリウレタン 8.3 (UR8700;東洋紡(株)製) α−アルミナ(HIT60A;住友化学工業(株)製) 8.0 (可溶性ナトリウムイオン10ppm含有) (可溶性カリウムイオン2ppm含有) ステアリン酸 1.0 ステアリン酸ブチル 1.0 メチルエチルケトン 111.0 トルエン 111.0 シクロヘキサノン 74.0 (バックコート層組成) カーボンブラック−1 80.0 (Scウルトラ:コロンビヤンカーボン社製) (平均粒径21nm、BET220m2 /g) (可溶性ナトリウムイオン17ppm含有) (可溶性カリウムイオン9ppm含有) カーボンブラック−2 1.0 (MT−CI:コロンビヤンカーボン社製) (平均粒径350nm、BET8m2 /g) (可溶性ナトリウムイオン46ppm含有) (可溶性カリウムイオン27ppm含有) α−酸化鉄(戸田工業(株)製 100ED) 1.0 (平均粒径0.1μm) 塩化ビニル共重合体A 40.0 (日信化学工業(株)製、MPR−TA) (塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体、平均重合度420) 塩化ビニル共重合体B 25.0 (日信化学工業(株)製、MPR−ANO(L)) (塩ビ−酢ビ−ビニルアルコール共重合体、窒素原子390ppm 含有、平均重合度340) ポリエステルポリウレタン 35.0 (TS9555:東洋紡(株)製) (−SO3 Na含有、数平均分子量40000) メチルエチルケトン 700.0 トルエン 400.0 シクロヘキサノン 300.0 この磁気テープを用い、それぞれ上記基準に従って、各
特性の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】この懸濁液の温度を45℃に保ちながら、
10リットル/分の流量で空気を吹き込みながら6時間
攪拌を続けた。その後室温まで放冷、濾過し、残渣を水
洗し、60℃で24時間乾燥して針状のオキシ水酸化鉄
を得た。
【0169】得られたオキシ水酸化鉄100gを6リッ
トルのH2 O中に投入して攪拌混合し、これに塩化ネオ
ジウム(NdCl3 ・6H2 O)をNd量がFeに対し
て10.0重量%になるように溶解した1リットルの水
溶液を加えて攪拌混合し、さらにpHが8になるように
NaOH水溶液を加え、攪拌混合した。次にケイ酸ナト
リウム(Na2 SiO3 )をSi量がFeに対して2.
0重量%、アルミン酸ナトリウム(Na3 AlO3 )を
Al量がFeに対して4.0重量%になるように溶解し
た1リットルの水溶液を加え、さらにpHが8になるよ
うにNaOH水溶液を添加した。これを十分攪拌した
後、濾別し、120℃にて乾燥した。
【0170】さらに、この残渣を45℃に保温した水道
水を用いて濾液のNa/Kイオン比が一定になるまで水
洗を行った後、再度120℃にて乾燥した。この試料を
G−1とする。
【0171】このようにして得られたオキシ水酸化鉄
(試料G−1)を窒素雰囲気中にて600℃で1時間熱
処理し、α−酸化鉄とした。
【0172】次にこれを50g採取し、温度480℃、
水素流量1リットル/minで6時間かけて還元した。
次いで室温まで冷却した後、窒素ガス中に徐々に空気を
流し込み徐酸化皮膜を磁性粉表面に形成し、金属磁性粉
末試料を得た。これを磁性粉末試料No.9とする。
【0173】(実施例2−2)磁性粉末試料No.9の
水洗において、水道水に代えて蒸留水を用い(試料G−
2)、その後は上記と同様に還元、酸化処理を行い、磁
性粉末試料N0.10を得た。
【0174】(実施例2−3)実施例2−1において、
試料G−1を窒素雰囲気中で300℃で1時間熱処理
し、α−酸化鉄とした。このα−酸化鉄を45℃に保温
した水道水を用いて濾液のNa/Kイオン比が一定にな
るまで水洗を行った後、120℃で再度乾燥した(試料
α−1)。
【0175】その後は磁性粉末試料No.9と同様に還
元、酸化処理を行い、磁性粉末試料No.11を得た。
【0176】(実施例2−4)磁性粉末試料No.11
の水洗において、水道水に代えて蒸留水を用いた(試料
α−2)以外は、上記と同様にして、磁性粉末試料N
0.12を得た。
【0177】(実施例2−5)磁性粉末試料No.11
の窒素雰囲気中での熱処理温度300℃を600℃に変
えた(試料α−3)以外は、上記と同様にして、磁性粉
末試料N0.13を得た。
【0178】(実施例2−6)磁性粉末試料No.11
において、窒素雰囲気中での熱処理温度300℃を60
0℃に変え、水道水に代えて蒸留水を用いて水洗を行っ
た(試料α−4)以外は、上記と同様にして、磁性粉末
試料N0.14を得た。
【0179】(実施例2−7)磁性粉末試料No.11
の窒素雰囲気中での熱処理温度300℃を900℃に代
えた(試料α−5)以外は、上記と同様にして、磁性粉
末試料N0.15を得た。
【0180】(実施例2−8)磁性粉末試料No.11
において、窒素雰囲気中での熱処理温度300℃を90
0℃に変え、水道水に代えて蒸留水を用いて水洗を行っ
た(試料α−6)以外は、上記と同様にして、磁性粉末
試料N0.14を得た。
【0181】(比較例2−9)試料α−3(実施例2−
5のα−酸化鉄)を50gを採取し、温度480℃、水
素流量1リットル/minでマグネタイトまで還元し
た。次いで室温まで冷却した後、45℃に保温した水道
水で濾液のNa/Kイオン比が変化しなくなるまで水洗
し、乾燥後、温度480℃、水素流量1リットル/mi
nでさらに還元し、次に窒素ガス中に徐々に空気を流し
込み徐酸化皮膜を形成し、比較磁性粉末試料No.17
を得た。
【0182】(比較例2−10、11)試料α−3(実
施例2−5におけるα−酸化鉄)50gを採取し、温度
480℃、水素流量1リットル/minで還元した。次
いで室温まで冷却した後、窒素ガス中に徐々に空気を流
し込み、徐酸化皮膜を磁性粉表面に形成し、比較磁性粉
末試料試料No.19(比較例2−11)を得た。
【0183】さらにこの比較磁性粉末No.19を45
℃に保温した水道水を用いて濾液のNa/Kイオン比が
変化しなくなるまで水洗し、120℃で乾燥を行い、比
較磁性粉末試料N0.18を得た(比較例2−10)。
【0184】上記磁性粉末試料No.9〜16、比較磁
性粉末試料No.17〜19を用いて、実施例1の場合
と同様にして、磁気記録媒体(磁気テープ)を作製し
た。この磁気テープを用い、それぞれ上記基準に従っ
て、各特性の評価を行った。結果を表3、表4に示す。
【0185】
【表3】
【0186】
【表4】 (実施例3−1)FeCl2 ・4H2 O 1000g
(5.0mol)を45℃に保温した10リットルのH
2 Oに溶解させ、これに塩化コバルト(CoCl2 )を
Co量がFeに対して10.0重量%となるように溶解
し攪拌混合した。この溶液に、NaOH 1000g
(25.0mol)を10リットルのH2 Oに溶解させ
た45℃の水溶液を徐々に添加しながら攪拌して懸濁液
とし、さらに60分間攪拌混合した。
【0187】懸濁液の温度を45℃に保ちながら、10
リットル/分の流量で空気を吹き込みながら6時間攪拌
を続けた。その後室温まで放冷、濾過し、残渣を水洗
し、60℃で24時間乾燥して針状のオキシ水酸化鉄を
得た。
【0188】得られたオキシ水酸化鉄100gを6リッ
トルのH2 O中に投入して攪拌混合し、これに塩化ネオ
ジウム(NdCl3 ・6H2 O)をNd量がFeに対し
て5.0重量%になるように溶解した1リットルの水溶
液を加えて攪拌混合し、さらにpHが8になるようにN
aOH水溶液を加え、攪拌混合した。次にケイ酸ナトリ
ウム(Na2 SiO3 )をSi量がFeに対して2.0
重量%、アルミン酸ナトリウム(Na3 AlO3 )をA
l量がFeに対して3.0重量%になるように溶解した
1リットルの水溶液を加え、さらにpHが8になるよう
にNaOH水溶液を添加した。これを十分攪拌した後、
濾別し、120℃にて乾燥した。
【0189】さらに、この残渣を45℃に保温した水道
水を用いて濾液のNa/Kイオン比が一定になるまで水
洗を行った後、再度120℃にて乾燥した。この試料を
G−3とする。
【0190】このようにして得られたオキシ水酸化鉄
(試料G−3)を窒素雰囲気中にて600℃で1時間熱
処理し、α−酸化鉄とした。
【0191】次にこれを50g採取し、温度480℃、
水素流量1リットル/minで6時間かけて還元した。
次いで室温まで冷却した後、窒素ガス中に徐々に空気を
流し込み徐酸化皮膜を磁性粉表面に形成し、金属磁性粉
末試料を得た。これを磁性粉末試料No.20とする。
【0192】(実施例3−2)磁性粉末試料No.20
の水洗において、水道水に代えて蒸留水を用い(試料G
−4)、その後は上記と同様に還元、酸化処理を行い、
磁性粉末試料N0.21を得た。
【0193】(実施例3−3)実施例3−1において、
試料G−3を窒素雰囲気中で300℃で1時間熱処理
し、α−酸化鉄とした。このα−酸化鉄を45℃に保温
した水道水を用いて濾液のNa/Kイオン比が一定にな
るまで水洗を行った後、120℃で再度乾燥した(試料
α−7)。
【0194】その後は磁性粉末試料No.20と同様に
還元、酸化処理を行い、磁性粉末試料No.22を得
た。
【0195】(実施例3−4)磁性粉末試料No.22
の水洗において、水道水に代えて蒸留水を用いた(試料
α−8)以外は、上記と同様にして、磁性粉末試料N
0.23を得た。 (実施例3−5)磁性粉末試料No.22の窒素雰囲気
中での熱処理温度300℃を600℃に代えた(試料α
−9)以外は、上記と同様にして、磁性粉末試料N0.
24を得た。
【0196】(実施例3−6)磁性粉末試料No.22
において、窒素雰囲気中での熱処理温度300℃を60
0℃に変え、水道水に代えて蒸留水を用いて水洗を行っ
た(試料α−10)以外は、上記と同様にして、磁性粉
末試料N0.25を得た。
【0197】(比較例3−7)試料α−7(実施例3−
3のα−酸化鉄)を50gを採取し、温度480℃、水
素流量1リットル/minでマグネタイトまで還元し
た。次いで室温まで冷却した後、45℃に保温した水道
水で濾液のNa/Kイオン比が変化しなくなるまで水洗
し、乾燥後、温度480℃、水素流量1リットル/mi
nでさらに還元し、次に窒素ガス中に徐々に空気を流し
込み徐酸化皮膜を形成し、比較磁性粉末試料No.26
を得た。
【0198】(比較例3−8、9)試料α−7(実施例
3−3のα−酸化鉄)50gを採取し、温度480℃、
水素流量1リットル/minで還元した。次いで室温ま
で冷却した後、窒素ガス中に徐々に空気を流し込み、徐
酸化皮膜を磁性粉表面に形成し、比較磁性粉末試料試料
No.28(比較例3−9)を得た。
【0199】さらにこの比較磁性粉末No.28を45
℃に保温した水道水を用いて濾液のNa/Kイオン比が
変化しなくなるまで水洗し、120℃で乾燥を行い、比
較磁性粉末試料N0.27を得た(比較例3−8)。
【0200】上記磁性粉末試料No.20〜25、比較
磁性粉末試料No.26〜28を用いて、実施例1の場
合と同様にして、磁気記録媒体(磁気テープ)を作製し
た。この磁気テープを用い、それぞれ上記基準に従っ
て、各特性の評価を行った。結果を表5、表6に示す。
【0201】
【表5】
【0202】
【表6】 (実施例4−1、4−2)磁性粉末試料No.10、1
4において、Co量をFeに対して25%からそれぞれ
7%に代えた以外は、上記各場合と同様にして、磁性粉
末試料No.29、30を得た。
【0203】(比較例4−3)比較磁性粉末試料No.
19において、Co量をFeに対して25%から7%に
代えた以外は、上記と同様にして、比較磁性粉末試料N
o.31を得た。
【0204】上記磁性粉末試料No.29、30、比較
磁性粉末試料No.31を用いて、実施例1の場合と同
様にして、磁気記録媒体(磁気テープ)を作製した。た
だし磁性塗料を作る際ニーダーの代わりに高速ミキサー
で撹拌後サンドミルで分散した。また磁性層厚みを2.
5μmから1.5μmに変えた。
【0205】この磁気テープを用い、それぞれ上記基準
に従って(ただし、電磁変換特性の出力は5MHzとし
た)、各特性の評価を行った。結果を表7に示す。
【0206】
【表7】 (実施例5−1)磁性粉末試料No.1を用い、分散メ
ディアとしてセラミックビーズ(ZrO2 99重量部以
上、SiO2 0.04重量部未満)を用いて、実施例1
の場合と同様にして単層の磁気記録媒体(磁気テープ)
を作製した。
【0207】(実施例5−2)磁性粉末試料No.1を
用い、分散メディアとして硬質ガラスビーズ(SiO2
72重量部、CaO17重量部、MgO18重量部、A
23 13重量部、ZrO2 3重量部、TiO1重量
部)を用いて、実施例1の場合と同様にして単層の磁気
記録媒体(磁気テープ)を作製した。
【0208】(比較例5−3)比較磁性粉末試料No.
19を用い、分散メディアとしてセラミックビーズ(Z
rO2 99重量部以上、SiO2 0.04重量部未満)
を用いて、実施例1の場合と同様にして単層の磁気記録
媒体(磁気テープ)を作製した。
【0209】(実施例5−4)磁性粉末試料No.13
を用い、分散メディアとして硬質ガラスビーズ(SiO
2 72重量部、CaO17重量部、MgO18重量部、
Al23 13重量部、ZrO2 3重量部、TiO1重
量部)を用いて、実施例1の場合と同様にして単層の磁
気記録媒体(磁気テープ)を作製した。
【0210】(比較例5−5)磁性粉末試料No.9を
用い、分散メディアとしてセラミックビーズ(ZrO2
99重量部以上、SiO2 0.04重量部未満)を用い
て、実施例1の場合と同様にして単層の磁気記録媒体
(磁気テープ)を作製した。
【0211】上記の各磁気テープを用い、それぞれ上記
基準に従って、各特性の評価を行った。結果を表8に示
す。
【0212】
【表8】 (実施例6−1)磁性粉末試料No.3を用い、分散メ
ディアとしてセラミックビーズ(ZrO2 99重量部以
上、SiO2 0.04重量部未満)を用いて、下記の組
成からなる磁性層成分(磁性塗料)を作製した。
【0213】さらに、下記に示す非磁性下層塗料(分散
メディアはセラミックビーズZrO2 99重量部以上、
SiO2 0.04重量部未満)を作製し、上記磁性塗料
と2つの押出しノズルを用いて、磁性層厚0.2μm、
非磁性下層厚2.0μm(乾燥厚み)になるようにウェ
ット・オン・ウェット方式で塗布し、その後、配向、乾
燥、カレンダー処理を行った後、磁気テープを作製し
た。
【0214】(実施例6−2)磁性粉末試料No.3を
用い、分散メディアとして硬質ガラスビーズ(SiO2
72重量部、CaO17重量部、MgO18重量部、A
23 13重量部、ZrO2 3重量部、TiO1重量
部)を用いて、下記の組成からなる磁性層成分(磁性塗
料)を作製した。
【0215】さらに実施例6−1と同様にして、下記に
示す非磁性下層塗料を作製後、磁性層厚0.2μm、非
磁性下層厚2.0μm(乾燥厚み)になるようにウェッ
ト・オン・ウェット方式で塗布し、その後、配向、乾
燥、カレンダー処理を行った後、磁気テープを作製し
た。
【0216】(比較例6−3)比較磁性粉末試料No.
6を用い、分散メディアとしてセラミックビーズ(Zr
2 99重量部以上、SiO2 0.04重量部未満)を
用いて、下記の組成からなる磁性層成分(磁性塗料)を
作製した。
【0217】さらに実施例6−1と同様にして、下記に
示す非磁性下層塗料を作製後、磁性層厚0.2μm、非
磁性下層厚2.0μm(乾燥厚み)になるようにウェッ
ト・オン・ウェット方式で塗布し、その後、配向、乾
燥、カレンダー処理を行った後、磁気テープを作製し
た。
【0218】(実施例6−4)比較磁性試料No.6に
おいて、α−化前の乾燥後に、蒸留水による水洗工程を
加えた以外は、上記と同様にして磁性粉末試料No.3
2を得た。この試料を用い、分散メディアとしてセラミ
ックビーズ(ZrO2 99重量部以上、SiO2 0.0
4重量部未満)を用いて、下記の組成からなる磁性層成
分(磁性塗料)を作製した。
【0219】さらに実施例6−1と同様にして、下記に
示す非磁性下層塗料を作製後、磁性層厚0.2μm、非
磁性下層厚2.0μm(乾燥厚み)になるようにウェッ
ト・オン・ウェット方式で塗布し、その後、配向、乾
燥、カレンダー処理を行った後、磁気テープを作製し
た。
【0220】(実施例6−5)同じく比較磁性試料N
o.6において、α−化後に、水道水による水洗工程を
加えた以外は、上記と同様にして、磁性粉末試料No.
33を得た。この試料を用い、分散メディアとしてセラ
ミックビーズ(ZrO2 99重量部以上、SiO2 0.
04重量部未満)を用いて、下記の組成からなる磁性層
成分(磁性塗料)を作製した。
【0221】さらに実施例6−1と同様にして、下記に
示す非磁性下層塗料を作製後、磁性層厚0.2μm、非
磁性下層厚2.0μm(乾燥厚み)になるようにウェッ
ト・オン・ウェット方式で塗布し、その後、配向、乾
燥、カレンダー処理を行った後、磁気テープを作製し
た。
【0222】(実施例6−6)磁性粉末試料No.20
を用いて、実施例6−1と同様にして磁気テープを作製
した。
【0223】(実施例6−7)磁性粉末試料No.28
を用いて、実施例6−1と同様にして磁気テープを作製
した。ただし、磁性塗料において、塩化ビニル共重合体
とポリエステルポリウレタンを8.3重量部からともに
20重量部に変更した。
【0224】(実施例6−8)磁性粉末試料No.28
を用いて、実施例6−1と同様にして磁気テープを作製
した。ただし、非磁性下層塗料において、塗布直前にコ
ロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)を10重
量部添加した。 (磁性層組成) 金属磁性粉末 100.0重量部 塩化ビニル共重合体 8.3 (MR−110;日本ゼオン(株)製) ポリエステルポリウレタン 8.3 (UR8700;東洋紡(株)製) α−アルミナ(HIT60A;住友化学工業(株)製) 5.0 (可溶性ナトリウムイオン10ppm含有) ステアリン酸 1.0 ステアリン酸ブチル 1.0 メチルエチルケトン 111.0 トルエン 111.0 シクロヘキサノン 74.0 (非磁性層組成) 針状α−酸化鉄粉末(長軸長0.15μm、BET53m2 /g、 Naイオン量70ppm含有) 100.0重量部 塩化ビニル共重合体 8.3 (MR−110;日本ゼオン(株)製) ポリエステルポリウレタン 4.2 (UR8700;東洋紡(株)製) ポリエステルポリウレタン 4.2 (UR8200;東洋紡(株)製) α−アルミナ(HIT60A;住友化学工業(株)製) 5.0 ステアリン酸 1.0 ステアリン酸ブチル 1.0 メチルエチルケトン 88.0 トルエン 88.0 シクロヘキサノン 60.0 このようにして得られた磁気テープを用い、それぞれ上
記基準に従って、各特性の評価を行った。結果を表9、
表10に示す。なお、同表中、磁気記録媒体における可
溶性イオン量は、磁性層と非磁性層との両者を合わせた
ものについて測定した。
【0225】
【表9】
【0226】
【表10】
【0227】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、金属
磁性粉末を含有する磁性層を非磁性支持体上に設けてな
る磁気記録媒体において、該磁性層1gから水中へ溶出
されるナトリウムイオン濃度が200ppm以下であ
り、かつナトリウム/カリウムイオン比(溶出濃度比)
が1〜4となるよう構成したので、分散性を低下させる
ことなく磁性層の形成ができ、また高温高湿保存下にお
いても保存以前の高い電磁変換特性を維持できる磁気記
録媒体を提供することができるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 豊 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 磯辺 亮介 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−150228(JP,A) 特開 昭62−209806(JP,A) 特開 平6−259753(JP,A) 特開 平4−147909(JP,A) 特開 昭56−143531(JP,A) 特開 昭56−101649(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/70

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属磁性粉末を含有する磁性層を非磁性
    支持体上に設けてなる磁気記録媒体であって、該磁性層
    1gから水中へ溶出されるナトリウムイオン濃度が20
    0ppm以下であり、かつナトリウム/カリウムイオン
    比(溶出濃度比)が1〜4であることを特徴とする磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記金属磁性粉末は、鉄(Fe)を主成
    分とし、Feに対して6〜40wt%のコバルト(C
    o)を含有する金属磁性粉末であって、該金属磁性粉末
    1gから水中へ溶出されるナトリウムイオン濃度が40
    0ppm以下であり、かつナトリウム/カリウムイオン
    比(溶出濃度比)が100以下である、請求項1に記載
    の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記金属磁性粉末は、Coを添加した第
    一鉄塩溶液にアルカリ金属を含まない炭酸アルカリを加
    えてFeCO3 を生成し、これを酸素含有気体と接触さ
    せてオキシ水酸化鉄とした後、脱水し、次いで熱処理
    後、還元して得られたものである、請求項1または2に
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記金属磁性粉末は、Coを添加した第
    一鉄塩溶液に炭酸アルカリを加えてFeCO3 を生成
    し、これを酸素含有気体と接触させてオキシ水酸化鉄と
    した後、脱水し、次いで水洗−熱処理もしくは熱処理−
    水洗のいずれかの処理後、還元して得られたものであ
    る、請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性層は、Coを添加した第一鉄塩
    溶液にアルカリ金属を含まない炭酸アルカリを加えてF
    eCO3 を生成し、これを酸素含有気体と接触させてオ
    キシ水酸化鉄とした後、脱水し、次いで熱処理後、還元
    して得られた金属磁性粉末を、アルカリ金属を含まない
    分散メディアで分散して得られたものである、請求項1
    〜3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記磁性層は、Coを添加した第一鉄塩
    溶液に炭酸アルカリを加えてFeCO3 を生成し、これ
    を酸素含有気体と接触させてオキシ水酸化鉄とした後、
    脱水し、次いで水洗−熱処理もしくは熱処理−水洗のい
    ずれかの処理後、還元して得られた金属磁性粉末を、ア
    ルカリ金属を含まない分散メディアで分散して得られた
    ものである、請求項1、2または4のいずれかに記載の
    磁気記録媒体。
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