JP3232587B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3232587B2
JP3232587B2 JP17734991A JP17734991A JP3232587B2 JP 3232587 B2 JP3232587 B2 JP 3232587B2 JP 17734991 A JP17734991 A JP 17734991A JP 17734991 A JP17734991 A JP 17734991A JP 3232587 B2 JP3232587 B2 JP 3232587B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性粉末として強磁性
金属微粒子が使用される磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気テープ等の磁気記録媒体は、
磁性粉末、バインダーからなる磁性塗料を非磁性支持体
上に塗布、乾燥することにより製造される。近年、磁気
記録の分野、特にビデオテープレコーダ等においては高
画質化をはかるために、より一層の高記録密度化が要求
されている。この高密度化にともない、従来より磁気記
録媒体等の磁性粉末として使用されていた酸化鉄系材料
に代わり、鉄または鉄を主体とする金属材料が用いられ
るようになっている。
【0003】これらの鉄または鉄から構成される強磁性
金属粒子は、酸化鉄やオキシ水酸化鉄、あるいはCo,
Ni,Mn,Cu,Zn,Ti,V等の鉄以外の金属を
含む酸化鉄やオキシ水酸化鉄等を、水素ガスで還元する
ことにより製造される。これらの強磁性金属粒子は、従
来の酸化鉄系の強磁性微粒子よりも優れた磁気記録特性
を有している。
【0004】ところが、上記強磁性金属粒子は表面活性
が高く、大気中で酸化され易い特性を有しており、場合
によっては発火を伴う恐れがある。このような性質は磁
気記録媒体の低ノイズ化に伴い磁性粉末の微細化が進め
られるにともない、ますます強くなる傾向がある。この
ために、上記強磁性金属微粒子を磁気記録媒体の磁性粉
末として用いた場合には、強磁性金属微粒子の保存中、
あるいは樹脂や有機溶剤等との組み合わせによる塗料化
の工程中、さらにはポリエステルフィルム等の非磁性支
持体上に塗布してシート化した後、所定の雰囲気や温
度、湿度等の条件下での保管中に、主として酸素やある
種のガス及び水分等の影響による酸化が進行して、飽和
磁化等の磁気特性に経時劣化がもたらされ、保存安定性
に問題があった。
【0005】この問題に対して、強磁性金属微粒子の表
面の安定化を図るために、一般的には液層法、または気
層法で粒子の表面に酸化皮膜を形成して不動態化させる
方法がとられてきた。また、強磁性金属微粒子のある種
の金属元素や界面活性剤、樹脂等の有機物で覆う方法等
もとられてきた。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述
の酸化皮膜不動態を形成する方法やある種の金属元素や
有機物で覆う方法では、強磁性金属微粒子の酸化を抑
え、磁気記録特性の経時劣化を防ぐ上で必ずしも十分な
ものとは言い難い。また、処理の方法によっては、逆に
表面処理すること自体が磁気記録特性の劣化をもたらす
場合や、塗料化の際の分散性の低下をきたす虞がある。
【0007】そこで、本発明はこのような実状に鑑みて
提案されたものであり、磁気記録媒体の経時的安定性を
高め、保存安定性に優れた磁気記録媒体を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成せんものと鋭意検討の結果、非磁性支持体上に
強磁性金属微粒子と結合剤とを主体とする磁性層が形成
されてなる磁気記録媒体において、その磁性層中に、酸
性度の異なる3種類の芳香族有機酸が含有されることに
よって、媒体としての耐酸化性、耐錆性の向上をはか
り、磁気特性の経時劣化を押さえることができることを
見出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわ
ち、本発明は、非磁性支持体上に強磁性金属微粒子と結
合剤とを主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒
体において、ヘテロ原子上のπ電荷の値が+0.1以
上、+0.2未満である第1グループの芳香族有機酸
と、ヘテロ原子上のπ電荷の値が+0.2以上、+0.
4未満である第2グループの芳香族有機酸と、ヘテロ原
子上のπ電荷の値が+0.4以上、+0.7未満である
第3グループの芳香族有機酸とが含有されていることを
特徴とするものである。
【0009】本発明における強磁性金属微粒子として
は、Fe,Co,Ni等の強磁性金属材料や、Fe−C
o,Fe−Ni,Fe−Co−Ni,Co−Ni,Fe
−Mn−Zn,Fe−Ni−Zn,Fe−Co−Ni−
Cr、Fe−Co−Ni−P,Fe−Co−B,Fe−
Co−Cr−B、Fe−Co−V等のFe,Co,Ni
を主成分とする各種強磁性合金材料からなる強磁性金属
微粒子であり、更に、これらの種々の特性を改善する目
的でAl,Si,Ti,Cr,Mn,Cu,Zn,M
g,P等の元素が添加されたものであっても良い。これ
ら強磁性金属微粒子の比表面積は任意であるが、比表面
積25m2 /g以上、特に30m2 /g以上のものに適
用した場合の有効性が大きい。
【0010】一般に有機酸の酸性度は、そのプロトンの
酸としての解離度で表される場合が多い。しかるに、こ
の酸解離度ではイオン強度の問題、溶媒を変えたときの
問題、多官能の酸の逐次解離に伴う多段階の酸解離定数
等の不確定要因が増す。そこで本発明では、芳香族有機
酸の酸性度を表すパラメータとして、単純LCAO法に
よるπ電荷を採用する。本分子軌道法は一般にヒュッケ
ル近似と呼ばれるものであり、既に我々は本分子軌道計
算による防錆剤の防性能に、強磁性金属微粒子表面酸化
層の金属イオンと直接結合するヘテロ原子のπ電荷と密
接な相関が存在することを見いだしている。
【0011】強磁性金属微粒子の表面酸化層には、一般
に化学吸着水に由来する表面水酸基が存在し、とりわけ
6配位の金属イオンに吸着した化学吸着水は塩基性が強
いことが知られている。この塩基性水酸基に対して、芳
香族有機酸は脱水反応で化学的に吸着する。このこと
は、芳香族有機酸で処理する前と後で、強磁性金属微粒
子のKBr希釈サンプルの赤外反射吸収スペクトルに観
測される、表面化学吸着水の水酸基に由来する3690
cm-1のO−H伸縮振動が消失することからも明らかで
ある。従って、芳香族有機酸と強磁性金属微粒子表面酸
化被膜との反応は、例えば芳香族有機酸としてカテコー
ルを用いた場合、下記の(1) 式に表されるようになる。
【0012】
【化1】
【0013】ここで、有効に防錆能を発現する芳香族有
機酸は、その官能基が芳香族性の水酸基の場合には、2
官能でしかもオルト位に存在することが望ましい。この
ことは、上に示したカテコールの場合に見られるよう
に、カテコールの2つの酸素原子間距離が、強磁性金属
微粒子酸化被膜格子の鉄原子間距離にほぼ等しく、価電
子状態に無理のない形で化学吸着反応が起きることに由
来する。官能基が芳香族カルボキシル基の場合には、例
えばナフタレン骨格を有する場合に、2,3−ナフタル
酸のごときオルト型の2官能化合物、または1,8−ナ
フタル酸の様にクロスリンク結合の炭素原子をはさんで
いてもよい。これはカルボキシル基が水酸基に比べ、構
造がフレキシブルであることによる。
【0014】上記2,3−ナフタル酸及び1,8−ナフ
タル酸は、下記の化2に示す構造式を有する。
【0015】
【化2】
【0016】芳香族有機酸の酸性度のパラメータである
ヘテロ原子上のπ電荷と、防錆能の関係は既に報告した
通りであり、これにより防錆剤の分子設計が効果的に行
うことが可能である(例えば、特開平4−176017
号公報参照)。本発明で言うところの酸性度のパラメー
タも全く同じ方法を踏襲する。すなわち上記の水酸基、
カルボキシル基等の酸官能基のうち、酸として解離する
プロトンが結合しているヘテロ原子上のπ電荷を単純L
CAO法(π電子近似)の分子軌道法によって計算し、
このπ電荷を処理剤として用いられる芳香族有機酸の酸
性度の指標として用いる。このπ電荷は、ヘテロ原子が
π電子共役系に寄与している電子の個数から、分子軌道
計算において得られる結合次数マトリックスの対角項
(原子上の荷子密度)を差し引いた値であり、一般にこ
の正の値が大きいほど強い酸性であることを意味する。
このように、芳香族有機酸の酸性度の指標として上記π
電荷を用いれば、例えばカテコールの様な2価以上の芳
香族有機酸についても、酸性度を1つのパラメータで表
すことが可能となり、逐次解離による複数の酸解離定数
を用いる煩雑さがなくなる。従って、芳香族有機酸の酸
性度と該芳香族有機酸により表面処理された強磁性金属
微粒子の耐酸化性との相関を容易に評価することが可能
となる。
【0017】なお、2価以上の芳香族有機酸のように酸
解離するプロトンが直接結合しているヘテロ原子が複数
個存在する場合においては、酸性度の大きい方を指標と
して採用する。これは、酸性度が等価な芳香族有機酸に
おいても、一般的には第一解離が第二解離よりも数値が
大きいことから判断される。なお、計算に用いるクーロ
ン及び共鳴積分値については、特開平4−176017
号公報に記載される通りである。
【0018】このように単純π電子近似LCAO分子軌
道法によるπ電荷と芳香族有機酸による表面処理後2週
間を経た強磁性金属微粒子の飽和磁化σsの低下率Δσ
sの関係を図1に示す。なお、飽和磁化の低下率は下記
の(2) 式で評価した。
【0019】
【数1】
【0020】ここで、2週間の飽和磁化の低下を顕著に
するために、表面処理された強磁性金属微粒子は、湿度
90%、温度60℃下に置かれた。図1に示したヘテロ
原子上のπ電荷とΔσsとの相関の縦軸、すなわち飽和
磁化の劣化率は強磁性金属微粒子の表面酸化層のミクロ
ポアに依存する。すなわち比表面積の大きい金属微粒子
ほど低下率が大きい傾向が存在する。しかしながら、相
関カーブそのものはほとんどすべての強磁性金属微粒子
について成り立つ。
【0021】図1は、強磁性金属微粒子の酸化に由来す
る飽和磁化の経時劣化は、芳香族有機酸のヘテロ原子上
のπ電荷に依存していることを示しており、この値が大
きくなるにつれて、経時による飽和磁化の低下率は減少
するが、ある一定の値を越えると逆に飽和磁化の劣化率
は増大する傾向がある。そこでこのπ電荷で示される芳
香族有機酸の酸性度を規定することにより、飽和磁化の
低下率が押さえられ、強磁性金属微粒子の耐酸化性を改
善することが可能となる。種々の強磁性金属微粒子で第
1図に示した相関を確認したところ、一般に酸性度の指
標であるところのπ電荷の最適値は+0.3程度である
ことがわかった。
【0022】前述したとおり、一般に強磁性金属微粒子
表面には安定化のための酸化被膜が形成されているが、
しかしこの酸化被膜形成は体積の膨張を伴い、その酸化
被膜は整然とした酸化格子とは異なり、構造の不整が著
しい。従って、強磁性金属微粒子の酸化被膜表面に存在
する化学吸着水に由来する水酸基も、この構造不整によ
り、酸及び塩基性度に分布が生じているはずであろう事
が容易に推察される。
【0023】以上の点に鑑み、本発明においては、前述
のような強磁性金属微粒子の表面を酸性度の異なる3種
類の芳香族有機酸で処理し、強磁性金属微粒子の酸化被
膜表面の化学吸着水に由来する水酸基に対して、効率よ
く芳香族有機酸を反応させ、この事によりさらに有効な
耐酸化性を実現できる事を見いだしたものである。すな
わち、図1におけるヘテロ原子のπ電荷を+0.1以
上、+0.2未満の範囲、+0.2以上、+0.4未満
の範囲、+0.4以上、+0.7未満の範囲の3つの領
域に分割し、芳香族有機酸をそのヘテロ原子上のπ電荷
の値に応じてこの3つの領域に含まれるものに分割す
る。π電荷が+0.1以上、+0.2未満の芳香族有機
酸を第1グループ、+0.2以上、+0.4未満のもの
を第2グループ、+0.4以上、+0.7未満のものを
第3グループと分類する事とする。それぞれのグループ
に含まれる芳香族有機酸については、特開平4−176
017号公報に記載される。代表的なものをいくつか挙
げると、第1グループとしては、オルトジチオール、カ
テコール、2,3−ジヒドロキシナフタレン等があり、
第2グループとしては、2,3−及び1,8−ナフタレ
ンジカルボン酸、多くのカテコール及び2,3−ジヒド
ロキシナフタレンのニトロ誘導体等があり、第3グルー
プとしては、フタルイミド、フタルヒドラジド、及びこ
れら化合物のアミノ基、メトキシ基を導入した誘導体等
がある。
【0024】上記芳香族有機酸により強磁性金属微粒子
を表面処理する方法としては、例えば有機溶媒に溶解さ
せた処理液中に強磁性金属微粒子を浸漬する方法が挙げ
られる。この場合、上記芳香族有機酸の溶媒としては、
特に限定されないが、水、エタノール等のアルコール系
溶媒、アセトン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族
系溶媒がいずれも使用可能である。
【0025】これら3グループの芳香族有機酸の金属微
粒子に対する被着量としては、強磁性金属微粒子100
重量部に対し、0.03〜30重量部である事が望まし
く、0.1〜10重量部であることがより好ましい。前
記範囲を越えて上記芳香族有機酸が過剰に存在してもそ
の効果は変わらず、過剰分が無駄になる。また、あまり
過剰に被着しておくと、磁気記録媒体の磁性塗膜の物性
に悪影響を与える虞もある。逆に前記範囲を下回ると、
すなわち、0.03重量部以下であると効果が不足して
充分な経時安定性が得られない。
【0026】又、前記3グループの芳香族有機酸の混合
使用比率は、99.0:0.5:0.5〜0.5:9
9.0:0.5〜0.5:0.5:99.9の範囲であ
り、この範囲外では、混合使用の有効性が得られない。
【0027】本発明の磁気記録媒体用金属微粒子は、樹
脂結合剤や有機溶剤、各種添加剤と共に磁性塗料とする
事ができ、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する事
により磁気記録媒体が作製される。この場合、樹脂結合
剤や有機溶剤、各種添加剤としては通常の磁気記録媒体
に用いられる物が何れも使用可能であり、配合比等も通
常の磁気記録媒体の場合に準じて設定される。
【0028】本発明においては、上述のような強磁性金
属微粒子をもってなる磁気記録媒体において、その磁性
層に酸性度の異なる3種類の芳香族有機酸を含有する。
これら化合物は塗料化に際して添加されているが、もち
ろん予めこれら化合物を含む水あるいは有機溶媒中で処
理された強磁性金属微粒子を用いても良い。
【0029】上記化合物を用いる方法としては、強磁性
金属微粒子への表面被着の場合は、水及びアルコール
系、ケトン系、芳香族系有機溶媒中において、強磁性金
属微粒子を、予め処理する方法、あるいは、磁性塗料作
製工程中に磁性塗料中に添加する方法がある。この上記
化合物の使用量は、上記磁性金属微粒子100重量部に
対し、0.03〜30重量部、好ましくは0.1〜10
重量部である。上記範囲外で少量の場合は有効な耐酸化
性が得られず、また上記範囲外で多量の場合はその効果
は変わらず、過剰分が無駄になり、磁気記録媒体の磁性
塗膜の物性に悪影響を及ぼす虞がある。
【0030】本発明においては、磁気記録媒体用強磁性
金属微粒子と上記化合物をバインダーや有機溶剤、各種
添加剤と共に混練して塗料化し、非磁性支持体上に塗布
することにより磁気記録媒体が得られる。この場合、こ
れら芳香族有機酸は、別途、強磁性金属粉の表面処理剤
として用いられていても良いし、塗料化に際して加えら
れても良い。バインダーや有機溶剤、各種添加剤として
は、通常の磁気記録媒体に用いられるものがいずれも使
用可能である。また、この場合、混合比等も通常の磁気
記録媒体の場合に準じて設定される。
【0031】上記磁性層に使用可能なバインダーとして
は、平均分子量が10000〜200000のものがよ
く、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−ポリビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−アクリ
ロニトリル共重合体、ポリウレタン樹脂、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニ
ルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテー
トブチレート、セルロースダイアセテート、セルロース
トリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセ
ルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエ
ステル樹脂、各種の合成ゴム系、フェノール樹脂、エポ
キシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、
シリコン樹脂、アクリル系樹脂、高分子量ポリエステル
樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエス
テルポリオールとポリイソシアネートの混合物、尿素ホ
ルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコールと高分子量ジ
オールとイソシアネートの混合物、及び、これらの混合
物等が例示される。これらの結合剤は、−SO3 M、−
COOM、−PO(M’O)2 (但しMは水素、又は、
リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、
M’は水素、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアル
カリ金属を示す。)等の親水性極性基を含有した樹脂で
あるのが望ましい。即ちこのような樹脂はその分子内の
極性基によって強磁性金属微粒子とのなじみが向上し、
これによって強磁性金属微粒子同志の凝集が抑えられる
ことから強磁性金属微粒子の分散安定性を増し、ひいて
は媒体としての耐久性も向上させ得る。
【0032】また、上記バインダーのうち、塩化ビニル
系の共重合体は、塩化ビニルモノマー、スルホン酸もし
くはリン酸アルカリ塩を含有した共重合性モノマー及び
必要に応じて他の種々の共重合性モノマーをビニル重合
により共重合させて容易に得ることができる。これによ
り共重合体の極性を任意にコントロールし、粒子の分散
安定性を図ることが可能である。
【0033】上記磁性層を形成するのに使用される磁性
塗料には分散剤が使用され、また必要に応じ潤滑剤、研
摩剤、マット剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させてよ
い。本発明に使用される分散剤としては、燐酸エステ
ル、アミン化合物、アルキルサルフェート、脂肪酸アミ
ド、高級アルコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ
琥珀酸、スルホ琥珀酸エステル、公知の界面活性剤等及
びこれらの塩があり、また、陰性有機酸(例えば−CO
OH)を有する重合体分散剤の塩を使用することも出来
る。これら分散剤は1種類のみで用いても、或いは2種
類以上を併用してもよい。
【0034】潤滑剤としては、シリコーンオイル、グラ
ファイト、カーボンブラックグラファイトポリマ、二硫
化モリブデン、二硫化タングステン、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、炭素原子数12〜16の脂肪酸と該脂肪酸の
炭素原子数と合計して炭素原子数21〜23個の一価ア
ルコールから成る脂肪酸エステル等も使用できる。これ
らの潤滑剤はバインダー100重量部に対して、通常、
0.2〜20重量部の範囲で添加される。
【0035】研摩剤としては、一般に使用される材料で
溶融アルミナ、αアルミナ等の各種アルミナ、炭化珪
素、酸化クロム、コランダム、人造コランダム、人造ダ
イヤモンド、ざくろ石、エメリ等が使用される。これら
の研摩剤は平均粒子径0.05〜5μmの大きさのもの
が使用され、特に好ましくは0.1〜2μmである。こ
れらの研摩剤は結合剤100重量部に対して、通常、1
〜20重量部の範囲で添加される。
【0036】マット剤としては、有機質粉末或いは無機
質粉末をそれぞれに或いは混合して用いられる。本発明
に用いられる有機質粉末としては、アクリルスチレン系
樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹
脂粉末、フタロシアニン系顔料が好ましいが、ポリオレ
フィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミ
ド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリ弗化エチレ
ン樹脂粉末等も使用でき、無機質粉末としては酸化珪
素、酸化チタン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化クロム、炭化珪
素、酸化鉄、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、窒化
ホウ素、弗化亜鉛、二酸化モリブデンが挙げられる。
【0037】帯電防止剤としては、カーボンブラックを
はじめ、グラファイト、酸化錫−酸化アンチモン系化合
物、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモン系化合物など
の導電性粉末、サポニンなどの天然界面活性剤、アルキ
レンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系など
のノニオン界面活性剤、高級アルキルアミン、第4級ア
ンモニウム塩類、ピリジン、その他の複素環類、ホスホ
ニウムまたはスルホニウム類などのカチオン界面活性
剤、カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基等
の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミ
ノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エ
ステル類等の両性活性剤などがあげられる。
【0038】上記塗料に配合される溶媒或いはこの塗料
の塗布時の希釈溶剤としては、アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノ
アセテート等のエステル類、グリコールジメチルエーテ
ル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族炭化水素、メチレンクロライド、エ
チレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロ
ルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等のものが使用でき
る。
【0039】また、非磁性支持体としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイア
セテート等のセルロース誘導体、ポリアミド、ポリカー
ボネートなどのプラスチックが挙げられるが、銅、アル
ミニウム、亜鉛等の金属、ガラス、窒化ホウ素、炭化珪
素等のセラミクスなども使用できる。
【0040】これらの非磁性支持体の厚みはフィルム、
シート状の場合は約3〜100μm程度、好ましくは5
〜50μmであり、ディスク、カード状の場合は30μ
m〜10mm程度であり、ドラム状の場合は円筒状で用
いられ、使用するレコーダに応じてその型は決められ
る。この支持体と磁性層の中間には接着性を向上させる
中間層を設けてもよい。
【0041】このような非磁性支持体上に上記磁性層を
形成するための塗布方法としては、エアードクターコー
ト、ブレードコート、エアーナイフコート、スクィズコ
ート、含浸コート、リバースロールコート、トランスフ
ァロールコート、グラビアコート、キスコート、キャス
トコート、スプレーコート、エクストルージョンコート
等が利用できるが、これらに限定されない。これらのコ
ート法によって支持体上に磁性層を構成させる場合、一
層ずつ塗布乾燥工程を積み重ねる方式と乾燥されていな
い湿潤状態にある層の上に次の層を逐次重ねて塗布する
方式とがあるが、本発明の磁気記録媒体の製造に当たっ
てはいずれの方式を採ることもできる。
【0042】このような方式により、非磁性支持体上に
塗布された磁性層は必要により層中の強磁性金属微粒子
を配向させる処理を行った後、形成した磁性層を乾燥す
る。この場合配向磁場は交流または直流で約500〜5
000ガウス程度であり、乾燥温度は約50〜120℃
程度、乾燥時間は約0.1〜10分程度である。また必
要に応じて平面平滑処理を施したり、所望の形状に裁断
したりして、本発明の磁気記録媒体を製造する。
【作用】金属と錯形成する典型的な化合物である2,
2’−ビピリジルや9,10−フェナンスロリンによる
強磁性金属微粒子の表面処理では、金属微粒子の表面に
これら化合物が多量に吸着するにもかかわらず、飽和磁
化の保持率は未処理の場合とほぼ同じ程度であり、耐酸
化性の効果が全く発現しない。これに対し本発明におい
て使用される一定範囲の酸性度を有する芳香族有機酸は
処理反応において水を生成している事が確認された。こ
の事は処理剤と強磁性金属微粒子表面との吸着反応が脱
水型であり、処理剤としての芳香族有機酸のヘテロ原子
と強磁性金属微粒子の表面(例えば鉄)とが直接結合す
る構造を取っている事を示唆する。この事については前
述したとおりである。
【0043】従って、一定範囲の酸性度を有する芳香族
有機酸による表面処理においては、その溌水性により耐
酸化性が得られるのではなく、強磁性金属微粒子の表面
に存在するFe−OHと処理剤としての芳香族有機酸が
イオン性の強い結合を形成し、この結合形成のポテンシ
ャルが内部構造に影響を与え、耐酸化性向上に寄与する
と考えられる。
【0044】即ち、強磁性金属微粒子を一定範囲の酸性
度を有する芳香族有機酸によって表面処理すると、前記
芳香族有機酸と強磁性金属微粒子の表面が脱水反応を起
こし、強磁性金属微粒子の表面に前記芳香族有機酸の被
膜が形成される。この芳香族有機酸の被膜によって強磁
性金属微粒子の保存中、強磁性金属微粒子を含む磁性塗
料の調製中、及び磁気記録媒体の保存中等に進行する強
磁性金属微粒子の表面の酸化反応が防止される。また、
本発明では用いられる芳香族有機酸が各々酸性度の異な
る酸の混合物であり、強磁性金属微粒子の表面の構造不
整による異なる塩基性度を有する化学吸着水に由来する
水酸基と有効に反応し、強磁性金属微粒子表面での芳香
族有機酸の被膜形成がより効果的に進行し、この事によ
り高い耐酸化性が実現する。
【0045】
【実施例】次に実施例により本発明を説明するが、言う
までもなく本発明はこの実施例により制限されるもので
はない。
【0046】実施例1〜6 本実施例は、下記の表1に示す酸性度の異なる3種類の
芳香族有機酸からなる混合物A〜Fが処理剤として用い
られ、これら処理剤により表面処理された磁気記録媒体
用針状金属鉄磁性粒子(比表面積53.9m2 /g,保
磁力Hc=1590Oe,飽和磁化σs=120emu
/g,平均長軸長0.3μm,針状比8〜10)が磁性
層中に含有された磁気テープの例である。なお、上記混
合物A〜Fにおいては、グループ1の化合物はモル比2
0%、グループ2の化合物はモル比70%、グループ3
の化合物はモル比10%とした。
【0047】
【表1】
【0048】先ず、表1に示す混合物A〜Fの2.0×
10-3mol/lのエタノール溶液10重量部に、上記
磁性粒子5重量部を分散し、約30分間超音波を照射し
た後、約2時間静置した。この磁性粒子をろ過し、エタ
ノールで繰り返し洗浄した後、真空乾燥を行って処理磁
性粒子を得た。
【0049】この処理磁性粒子を用い、下記の組成に従
って磁性塗料を調製した。
【0050】 処理磁性粒子 100重量部 塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 10重量部 ポリウレタン樹脂 10重量部 カーボン 3重量部 酸化アルミニウム 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部 この磁性塗料を9μmポリエステルベースフィルム上に
塗布して磁気テープを作成した。
【0051】このようにして得られた磁気テープを湿度
90%、温度60℃の条件下で1週間保持し、保存前の
初期値との比較から磁気特性の経時劣化について調べ
た。この結果を表2に示す。なお、比較として、上記処
理剤を表1に示す混合物a〜dに変えた場合(比較例1
〜4)及び上記表面処理として芳香族有機酸を含まない
エタノールのみで行った場合(比較例5)についても同
様にして調べ、その結果も併せて表2に記した。
【0052】
【表2】
【0053】実施例7〜12 本実施例は、上述のような表面処理を行わず、未処理の
磁気記録媒体用針状金属鉄磁性粒子を用い、上記表1に
示す混合物A〜Fを磁性塗料の調製時に直接磁性塗料中
に添加した例である。
【0054】なお、磁性塗料の組成は以下の通りであ
る。
【0055】 混合物A〜F 3重量部 未処理磁性粒子 100重量部 塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 10重量部 ポリウレタン樹脂 10重量部 カーボン 3重量部 酸化アルミニウム 2重量部 メチルエチルケトン 100重量部 トルエン 100重量部 シクロヘキサノン 50重量部 上記組成に従って磁性塗料を調製し、この磁性塗料を9
μmポリエステルベースフィルム上に塗布して磁気テー
プを作成した。
【0056】このようにして得られた磁気テープについ
て、上述と同様にして経時劣化を検討し、この結果を表
3に示す。なお、比較として、上記磁性塗料の組成中の
混合物A〜Fを混合物a〜dに変えた場合(比較例6〜
9)及び芳香族有機酸を添加しなかった場合(比較例1
0)についても同様にして調べ、その結果も併せて表3
に記した。
【0057】
【表3】
【0058】
【発明の効果】表2,3で明らかなように、未処理の強
磁性金属微粒子を用いた場合に比べ、芳香族有機酸で処
理された金属微粒子を用いたり、或いは塗料化に際して
混合した場合の磁気テープでは、残留磁束密度や保持力
の低下は極めて小さく、また角形比は初期値が維持され
る。従って本発明における磁気記録媒体においては、磁
気特性の経時安定性や保存安定性が著しく向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香族有機酸のヘテロ原子上のπ電荷と表面処
理後2週間を経た強磁性金属微粒子の飽和磁化σsの低
下率Δσsの関係を示す特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−105214(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/708

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に強磁性金属微粒子と結
    合剤とを主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録媒
    体において、 上記磁性層中には、酸性度の異なる3種類の芳香族有機
    酸が含有されており、 この酸性度の異なる3種類の有機酸は、ヘテロ原子上の
    π電荷の値が+0.1以上、+0.2未満である第1グ
    ループの芳香族有機酸と、ヘテロ原子上のπ電荷の値が
    +0.2以上、+0.4未満である第2グループの芳香
    族有機酸と、ヘテロ原子上のπ電荷の値が+0.4以
    上、+0.7未満である第3グループの芳香族有機酸と
    であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記第1グループの芳香族有機酸はカテ
    コール、2,3−ジヒドロキシナフタレン、o−ジチオ
    ールから選ばれる少なくとも1種であり、上記第2グル
    ープの芳香族有機酸は3,4−ジニトロカテコール、
    2,3−ナフタル酸、1,8−ナフタル酸から選ばれる
    少なくとも1種であり、上記第3グループの芳香族有機
    酸はフタルヒドラジド、フタルイミドから選ばれる少な
    くとも1種であることを特徴とする請求項1記載の磁気
    記録媒体。
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