JPH08184377A - 往復動用密封装置 - Google Patents

往復動用密封装置

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JPH08184377A
JPH08184377A JP7078341A JP7834195A JPH08184377A JP H08184377 A JPH08184377 A JP H08184377A JP 7078341 A JP7078341 A JP 7078341A JP 7834195 A JP7834195 A JP 7834195A JP H08184377 A JPH08184377 A JP H08184377A
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Yoshiyuki Kanzaki
芳行 勘崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールリップの摩擦力低減を図ると共に、耐
摩耗性向上を図る。 【構成】 シールリップ6の相手部材4との接触面に、
軸方向に所定距離だけ離間する一対の突起9,10を設
け、油側の突起9の接触角を、油側をβ1とし、大気側
をα1とした場合に、α1≧β1に設定し、大気側の突
起10の、油側の接触角をβ2とし、大気側の接触角を
α2とした場合に、β2>α2に設定したことを特徴と
する。突起の高さは、1〜500[μm]の範囲内で形
成される微細突起とし、上記接触角構造の一対の微細突
起を一組として、複数組配置したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は往復動用の密封装置に関
し、特にシールリップの摺動面に複数の突起を設けたも
のに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の往復動用密封装置として
は、たとえば、図4(a)に示すようなものがある。す
なわち、軸方向に相対往復移動自在に設けられるハウジ
ング100と軸101間をシールするもので、ハウジン
グ100の軸孔102内周に固定される環状の密封装置
本体103と、密封装置本体103に一体的に取り付け
られるシールリップ104とを備えている。
【0003】そして、このシールリップ104のリップ
摺動面には、圧力変動等による1段目突起105の接触
状態を安定化させるということを主目的として、複数の
突起105,106が設けられていた。各突起105,
106の軸101との大気側の接触角α、油側の接触角
βは、各段の突起105,106において、α1<β
1,α2<β2として密封性を高めていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術の場合には、1段目突起105が油を掻き落
とすために、後段の2段目以降の突起106での潤滑不
足によって摩擦力が大きくなるという問題があった。
【0005】また、密封圧力が高くなると、シールリッ
プ104が軸に押し付けられるため、緊迫力が大きくな
って、必然的に摩擦力も大きくなるという問題がある。
【0006】また、図4(c)に示すように、シールリ
ップ107のリップ摺動面に摩擦低減のために、複数の
微細突起群108を設けたものも知られている。
【0007】しかし、このような従来の多段微細突起群
108で構成されるシールリップ107も、図4(e)
に示すように、同一形状の微細突起109を配列して油
を単に微細突起109間に保持し、それによる潤滑効果
を期待するだけで、積極的な油の導入とその効果を活用
するものではなかった。各微細突起109の密封対象流
体側と大気側の接触角α,βは、上記従来例と同様にα
1≦β1,α2≦β2に設定されており、微細突起10
9間に油が導入されなかった場合には、潤滑不足のため
に本来の摩擦低減効果が得られない。
【0008】また、図4(f)に示すように、微細突起
109先端の最大接触圧力(図中a)は、突起なしの場
合(図中b)より相当大きくなっているために、油膜が
薄くなるような条件では摩耗を促進してしまう。
【0009】また、密封圧力が高くなってシールリップ
107の押付け力が増加すると、押付け力が増加した
分、油膜が薄くなって微細突起109間への油の導入が
妨げられてしまい、さらに摩擦力の増加を助長する。
【0010】また、その他の従来技術として実公平5−
29419号公報に示されるものがある。
【0011】これは、往復動用密封装置であって、ゴム
または樹脂等からなる単材質タイプのシールがシリンダ
状のハウジング及びコイルスプリング等のバネ部材によ
り前記ハウジングに押し付けられて保持され、シール面
に溝を形成する突起状のシールリップの軸に対する接触
角を設定したものである。
【0012】しかし、この従来技術でのシールは、ゴム
または樹脂等からなる単材質製で剛性を持たせなければ
ならず、それによって緊迫力がかなり高くなり、油膜を
掻き落とす量も多くなることから油膜が相当薄くなって
しまう。したがって、蓄圧効果を生ぜしめる油膜(流
体)が少なくなることとなり、蓄圧効果が少なくなって
しまう。
【0013】また、緊迫力が高まることにより摩擦力も
大きくなり、突起状のシールリップの変形が大きくなっ
たり、シールが軸の往復動によって軸方向に変位するこ
とがある。よって、シールリップの角度が一定に保てな
くなり、密封性や蓄圧効果が不安定となる傾向にある。
【0014】本発明は上記した従来技術の問題点を解決
するためになされたもので、その目的とするところは、
シールリップの摩擦力低減を図ると共に、耐摩耗性向上
を図り得る往復動用密封装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明にあっては、軸方向に相対移動自在に設けら
れる2部材間をシールするもので、一方の部材に固定さ
れる環状の密封装置本体と、該密封装置本体から他方の
部材に向かって延びて他方の部材に摺動自在に密封接触
するシールリップとを備えた往復動用密封装置におい
て、前記シールリップの相手部材との接触面に、軸方向
に所定距離だけ離間する一対の突起を設け、該突起先端
を相手摺動面に摺動自在に接触させて突起間と相手摺動
面間に空間を形成し、密封対象流体側の突起の、密封対
象流体側の接触角をβ1とし、反密封対象流体側の接触
角をα1とした場合に、α1≧β1に設定し、反密封対
象流体側の突起の、密封対象流体側の接触角をβ2と
し、反密封対象流体側の接触角をα2とした場合に、β
2>α2に設定したことを特徴とする。
【0016】また、一対の突起を、軸方向に複数組設け
たことを特徴とする。
【0017】突起の高さは、1〜500[μm]の範囲
内で形成される微細突起であることが好ましい。
【0018】
【作用】本発明にあっては、一対の突起の特有の接触角
によって、密封すべき油等の流体を突起間に積極的に充
填し、突起間の圧力を上昇させて蓄圧させる。流体の密
封は主に2段目の突起で行う。
【0019】すなわち、シールリップに対して相手部材
が相対的に反密封対象流体側に移動した場合、密封対象
流体側の突起の接触角がα1≧β1となっているので、
突起接触面間において、密封対象流体が厚い油膜で突起
間の谷部空間に流入する。一方、反密封対象流体側の突
起の接触角がβ2>α2に設定されているので、谷部空
間に流入した流体が極端に薄い油膜でしか(又は厚い油
膜としては)外部に流出しない。また、シールリップに
対して相手部材が相対的に密封対象流体側に移動した場
合、密封対象流体側の突起において、谷部空間の流体の
密封対象流体側への厚い油膜としての流出は阻止され、
往復動をするにつれて突起間に密封対象流体が流入して
蓄圧される。
【0020】この突起間に蓄圧された圧力が密封圧力や
緊迫力という摩擦力のもとになる力に対して打ち消す方
向に働き、摩擦力を低減させる。つまり、蓄圧された流
体で突起が設けられたシールリップ全体を持ち上げる効
果がある。
【0021】また、密封圧力が増大した場合、それに伴
って突起間圧力も追随して大きくなり、摩擦低減効果も
密封圧増大前よりも大きくなるという自己追随能力を有
する。すなわち、密封圧力増大にともなって、各突起の
接触面圧が増大して、蓄圧可能な限界圧力が増大するか
らである。
【0022】一対の突起を複数組設ければ、往復運動に
よって発生する流体膜が各組の突起間に積極的に蓄積さ
れ、各突起間の圧力が上昇する。
【0023】一組の突起間で発生する圧力の上昇速度
は、その突起で形成される谷部空間の体積に大きく左右
される。突起を微細突起で構成することにより、空間の
体積は非常に小さくなり、流れ込む流体の量が流体膜程
度の少量であっても、その空間に油等の流体を急速に充
満させ、瞬時に蓄圧を達成することができる。つまり、
微細突起の効果をうまく引き出すことができる。
【0024】微細突起を構成要素とすると、実際に接触
する面積が減少し、シールリップ形状や緊迫力付与用の
ばねが同一であれば、緊迫力も同じ値となるが、接触面
積が小さく、突起先端で局所的に強く当たっているた
め、突起の最大接触圧力の値は、微細突起が無い場合に
比較して相当大きくなる。このため、蓄圧される限界値
が高くなり、その分摩擦低減効果も大きくなる。
【0025】
【実施例】以下に本発明を図示の実施例に基づいて説明
する。
【0026】図1は本発明の第1実施例に係る往復動用
密封装置を示している。この往復動用密封装置1は、軸
方向に相対移動自在に設けられる2部材としてのハウジ
ング2と、ハウジング2の軸孔3に挿通される軸4との
間をシールするものであり、ハウジング2の軸孔3内周
に固定される環状の密封装置本体としての金属環5と、
金属環5から軸4に向かって延びて外周面に摺動自在に
密封接触するシールリップ6とを備えている。
【0027】金属環5は断面略L字形状の環状部材で、
円筒状の外周嵌合部7と、この外周嵌合部7の一端から
半径方向内方に向かって延びる内向きフランジ部8と、
を備えている。
【0028】シールリップ6は合成ゴム等のゴム状弾性
材によって構成され、前記金属環5の内向きフランジ部
8の内端から軸方向密封対象流体側Oに延びるテーパ円
筒形状で、大径の一端が内向きフランジ部8の内端に固
定され、小径のリップ先端部が軸4外周に密封接触して
いる。また、リップ先端部の背面にはばね部材16が装
着されている。
【0029】このシールリップ6の相手軸4との接触面
に、軸方向に所定距離だけ離間する一対の突起9,10
が設けられている。この突起9,10先端は相手部材と
しての軸4表面に摺動自在に接触して突起9,10間と
軸外周面間に空間11が形成されている。
【0030】そして、図1(b)に示すように、密封対
象流体側Oの突起9の、密封対象流体側Oの接触角をβ
1とし、反密封対象流体側(空間11側)の接触角をα
1とした場合に、α1をβ1以上に設定し(α1≧β
1)、反密封対象流体側の突起10の、密封対象流体側
(空間11側)の接触角をβ2とし、反密封対象流体側
の接触角をα2とした場合に、β2をα2より大きくな
るように設定している(α2<β2)。
【0031】上記構成の往復動用密封装置にあっては、
軸1が反密封対象流体側である大気側Aへ摺動すると、
1段目突起9より2段目突起10に形成される油膜が薄
くなり、つまり2段目突起10によって油膜が掻き落と
されるため、1段目と2段目の突起9,10間に油が蓄
積される。逆に、密封流体側Oへ軸4が摺動しても、同
様に突起9,10間に油が蓄積される。この突起9,1
0間に油が充満されるに従って、突起9,10間の圧力
Pが上昇し蓄圧される。
【0032】すなわち、軸1が大気側Aに移動した場
合、1段目の突起9の接触角がα1≧β1となっている
ので、突起9接触面間において、密封対象流体が突起
9,10間の空間11内に流入する。一方、2段目の突
起10の接触角がβ2>α2に設定されているので、空
間11内に流入した流体が極端に薄い油膜でしか(又は
厚い油膜では)外部に流出しない。また、シールリップ
6に対して軸4が密封対象流体側Oに移動した場合、1
段目の突起9において、空間11内の流体が密封対象流
体側Oへ厚い油膜として流出することが阻止され、往復
動をするにつれて突起9,10間の谷部空間11に密封
対象流体が流入することになる。
【0033】この蓄圧された油等の流体が、図1(d)
に示すようにシールリップ6を持ち上げる方向に働き、
密封圧力によって増大してしまう軸4に対する緊迫力を
打ち消し、軸4にかかる垂直力Wを低減する。摩擦係数
fが一定ならば、摩擦力F=f×Wとなるため、Wの低
減分だけFは減少して良好な摺動を達成する。
【0034】リップ間圧力Pは、1段目、2段目突起
9,10の最大接触圧力より上昇しようとすると、油膜
として突起9,10間外へ流出するため、最大接触圧力
よりも高くならない限界圧力値をもつ。
【0035】密封圧力が上昇した場合、シールリップ6
全体が軸4へ押付けられ、1段目、2段目突起9,10
先端の最大接触圧力も増大する。その増大によって突起
9,10間の蓄圧の限界値が大きくなって、突起間圧力
Pは増加し、シールリップ6を持ち上げる力が増加する
ため、密封圧力に起因する摩擦力増加を押さえる効果が
ある。つまり、密封圧力に対する自己追随効果を有して
いる。
【0036】突起9,10各段の最大圧力に、突起間圧
力Pが近づいていくと、それ以上蓄積されようとする油
は油膜として突起9,10間外へ流出する。大気側Aへ
油が流出すると密封性が低下してしまう。その密封性を
向上させるためには、油を油側Oへ戻るようにする必要
性がある。
【0037】そのためには、図1(c)のように、2段
目突起10の最大接触圧P2を1段目突起9のP1より
大きくすると、より低い1段目突起9の最大接触圧P1
の山を越えて油が油側Oへ戻るように蓄圧性能を制御す
ることで摩擦力を低減すると共にシール性向上を図るこ
とができる。
【0038】さらに、上記の蓄圧性能を制御する方法と
しては、α1,β1で定まる1段目突起の形状とα2,
β2で定まる2段目突起の形状を、α1≧β1、α2<
β2の条件下で、一対の突起間に形成される谷部空間に
対して両突起の形状を断面非対称とし、β2≧α1、α
2<β1と設定することが好適である。
【0039】本発明は、シールリップ6の突起9,10
間の積極的蓄圧効果によって負荷容量(シールリップ6
を持ち上げる能力)を分担させて低摩擦化させる。その
ため、本案の偏心追随性の良好な構造である片持ち支持
のシールリップ6に適用させた場合には、密封圧の増減
に応じて、突起9,10の先端に生じる接触圧も増減
し、その変動に対して蓄圧効果が追随するため、圧力変
動による影響を受けにくい安定した低摩擦特性が得られ
る。特に、本発明ではシールリップ6が片持ち構成とな
っているので、自由端側が変形しやすく、蓄圧力に対す
る応答性が優れている。
【0040】従来の形状においては、1段目突起が油を
掻き落とすために2段目突起の潤滑性が悪く摩擦力と摩
耗が大きい。これに対して、本発明の形状は、積極的に
2段突起9,10まで油を供給するため、2段目突起1
0の潤滑性を良くする。このため、2段目突起10の摩
擦力と摩耗を低減する効果も有している。
【0041】−実験例− 緊迫力が等しい二種類のサンプル、つまり図4(a)に
示される従来形状のサンプルAと、図1に示される本発
明の形状のサンプルBを用いて、表1に示す軸4となす
接触角になるように作成し、摩擦力を計測した。
【0042】
【表1】 試験は、図2に示す装置で行った。
【0043】サンプルSはチャンバ20の下部に装着
し、その上部に油21を入れる。サンプルSのシールリ
ップは軸22表面と表1の接触角をなして接触してい
る。この状態で、軸22を上下方向に正弦波で加振し、
そのときの摩擦力をロードセル等の力検出器23で計測
した。また、突起9,10間に発生する圧力は、ゴム状
弾性材からなる1段目と2段目の突起9,10の中間に
細い軟質チューブを埋め込んで計測した。
【0044】試験条件は、油種;パラフィン系鉱油、ロ
ッドストローク;50[mm]、加振周波数;1.2
[Hz]、チャンバー内圧力;0.25[MPa]
(2.5[kgf/cm2 ])、温度;27[℃]とし
た。
【0045】得られた結果を、図2(b),(c)にス
トローク位置と摩擦力の関係で示し、表2に突起間発生
圧力Pと、図2(b),(c)で求められるストローク
中央位置での片側平均摩擦力を示す。
【0046】
【表2】 従来形状のサンプルと本発明のサンプルBを比較する
と、図2(b),(c)に示すように、摩擦力が本発明
のサンプルにおいて格段に低減されていることが明らか
であり、表2によると、その片側平均摩擦力は41%に
まで低減されている。また、突起間圧力Pは、従来のサ
ンプルAでは発生せず、本発明のサンプルBのみ0.1
5[MPa]発生しており、摩擦力を低減する効果を有
することが明らかである。
【0047】図3には、本発明の第2実施例にかかる往
復動用密封装置が示されている。
【0048】この第2実施例では、シールリップ16の
軸4との接触部の全領域にわたり、図3(c)に示すよ
うに、油等の密封対象流体側Oに最も近い1段目突起1
3と軸4との接触角α1,β1をα1≧β1とし、2段
目突起14と軸4との接触角α2,β2を、α2<β2
とし、これら1段目と2段目の突起13,14を一組と
して、複数組の微細突起群15を突起高さ5〜50[μ
m]の範囲内で形成したものである。この微細突起群1
5の背面にばね部材16が装着されている。
【0049】その他の構成は第1実施例と同一であるの
で、同一の構成部分については同一の符号を付して説明
を省略する。
【0050】本第2実施例の往復動用密封装置では、軸
4との接触角を対向させた2段の微細突起を1組を基本
とする微細突起群15において、軸4が大気側へ摺動す
ると、1段目突起13と比べ2段目突起14で形成され
る油膜が薄くなり、つまり2段目突起14によって油膜
が掻き落とされ、逆に軸4が密封対象流体側Oへ摺動す
ると2段目突起14と比べ1段目突起13で形成される
油が薄くなるため、いずれの摺動方向においても、1段
目と2段目の突起13,14間に油が蓄積される。油が
突起13,14間に充満されるにしたがって、突起間圧
力が上昇して蓄圧が達成される。最初に最も油側に位置
する2段1組の突起13,14間が蓄圧され、順次大気
側の突起間に蓄圧領域が拡大されていく。
【0051】図4(c)に示した従来のシールリップの
微細突起群においては、積極的に突起109間に油を導
入する形状となっていないために、接触摺動領域内で潤
滑不足に陥りやすく、摩擦力が増加し摩耗しやすい。特
に、大気側に近い接触域の突起では、油側に近い突起で
油が阻止されるために、潤滑不足となって摩耗しやす
い。また、密封圧力が増大した場合には、摺動によって
発生する油膜が薄くなるために、突起の摩耗が促進され
やすい。
【0052】これに対して、本発明の微細突起群15に
おいては、2段1組の微細突起13,14間に積極的に
油を蓄積する形状となっているために、各微細突起1
3,14は必ず油と接し、潤滑性が良好で低摩擦で摩耗
が少ないという効果をもたらす。
【0053】本案の微細突起への適用については、微細
化することで接触面積が小さくなり接触面圧がその先端
で激増するため、蓄圧が増大し、一段と低摩擦化を図る
ことができる。また、油を貯える突起13,14間の体
積が非常に小さくでき、蓄圧つまり低摩擦化に即効性が
得られる点がポイントである。
【0054】微細突起13,14の各高さは5〜50
[μm]が最適であるが、1〜500[μm]でもその
効果を有している。
【0055】なお、微細突起を設ける際に、図3(d)
に示すように、所定の平坦部17を形成する場合もあ
る。これは、シールの初期の大気圧状態ではシールリッ
プ12の先端部12aのみ、または先端部12aと微細
突起の何本かが軸に接触し、比較的高圧になった場合、
多数の微細突起が接触するように設定することにより、
密封流体の圧力に応じた蓄圧効果を発現させたり、耐摩
耗性等を狙ったものである。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特有の接触角構造を有する一対の突起を設けたので、突
起間に油等の流体を積極的に蓄圧してシールリップを全
体を持ち上げて軸にかかる垂直力を小さくすることがで
き、摩擦力低減、摩耗低減を図ることができる。
【0057】また、密封圧力が増大した場合、それに伴
って突起間圧力も追随して大きくなり、摩擦低減効果も
密封圧増大前よりも大きくなるという自己追随能力を有
する利点もある。
【0058】一対の突起を複数組設けることで、各組の
突起間に流体を蓄積させて、摩擦力低減、摩耗低減の効
果を高めることができる。
【0059】また、突起を微細突起で構成することによ
り、谷部体積は非常に小さくなり、流れ込む流体の量が
流体膜程度の少量であっても、その空間に油を急速に充
満させ、瞬時に蓄圧を達成することができる。つまり、
微細突起の効果をうまく引き出すことができる。
【0060】微細突起を構成要素とすると、実際に接触
する面積が減少し、シールリップ形状や緊迫力付与用の
ばねが同一であれば、緊迫力も同じ値となるが、接触面
積が小さく、突起先端で局所的に強く当たっているた
め、最大接触圧力の値は、微細突起が無い場合に比較し
て相当大きくなる。このため、蓄圧される限界値が高く
なり、その分摩擦低減効果も大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施例に係る往復動用密封
装置を示すもので、同図(a)は要部断面図、同図
(b)はシールリップの接触状態を示す図、同図(c)
は接触部の面圧分布を示す図、同図(d)は接触部間の
蓄圧状態を示す図である。
【図2】図2(a)は図1の装置の実験装置を示す図、
同図(b),(c)は実験結果を示すグラフである。
【図3】図3は本発明の第2実施例に係る往復動用密封
装置を示すもので、同図(a)は要部断面図、同図
(b)はシールリップの接触状態を示す図、同図(c)
は接触部の拡大図、同図(d)はリップ先端に平坦部を
設けたリップ先端部の拡大である。
【図4】図4は従来の往復動用密封装置を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 往復動用密封装置 2 ハウジング 3 軸孔 4 軸 5 金属環(密封装置本体) 6 シールリップ 7 円筒状嵌合部 8 内向きフランジ部 9 突起 10 突起 11 空間 12 シールリップ 13 微細突起 14 微細突起 15 微細突起群 20 チャンバ 21 油 22 軸 23 力検出器 O 密封対象流体側 A 大気側(反密封対象流体側) α1,α2 接触角(密封対象流体側) β1,β2 接触角(反密封対象流体側)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に相対移動自在に設けられる2部
    材間をシールするもので、一方の部材に固定される環状
    の密封装置本体と、該密封装置本体から他方の部材に向
    かって延びて他方の部材に摺動自在に密封接触するシー
    ルリップとを備えた往復動用密封装置において、 前記シールリップの相手部材との接触面に、軸方向に所
    定距離だけ離間する一対の突起を設け、該突起先端を相
    手摺動面に摺動自在に接触させて突起間と相手摺動面間
    に空間を形成し、 密封対象流体側の突起の、密封対象流体側の接触角をβ
    1とし、反密封対象流体側の接触角をα1とした場合
    に、α1≧β1に設定し、 反密封対象流体側の突起の、密封対象流体側の接触角を
    β2とし、反密封対象流体側の接触角をα2とした場合
    に、β2>α2に設定したことを特徴とする往復動用密
    封装置。
  2. 【請求項2】 一対の突起を、軸方向に複数組設けたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の往復動用密封装置。
  3. 【請求項3】 突起の高さは、1〜500[μm]の範
    囲内で形成される微細突起である請求項2に記載の往復
    動用密封装置。
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