JPH08182756A - 医療用材料およびホスホリルコリン基を有するポリビニルアルコール系重合体 - Google Patents

医療用材料およびホスホリルコリン基を有するポリビニルアルコール系重合体

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JPH08182756A
JPH08182756A JP6340416A JP34041694A JPH08182756A JP H08182756 A JPH08182756 A JP H08182756A JP 6340416 A JP6340416 A JP 6340416A JP 34041694 A JP34041694 A JP 34041694A JP H08182756 A JPH08182756 A JP H08182756A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 PVA系重合体の主鎖にホスホリルコリン基
を有する側鎖が結合している重合体、該重合体を原料と
して用いて製造されたか又は該重合体で基材を被覆した
医療用材料又は医療用製品、或いは予め製造されたPV
A系重合体の物品表面にホスホリルコリン基を有する化
合物が結合された医療用材料又は医療用製品、並びにそ
れらの製造方法。 【効果】 本発明の重合体、医療用材料及び医療用製品
は、いずれも血液適合性に優れ、しかもその優れた血液
適合性が長期にわたり保持されるので、人工臓器をはじ
めとして、種々の医療用材料および/または医療用製品
として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液適合性に優れる医
療用材料および/または医療用製品、並びに、前記医療
用材料および/または医療用製品として有用な重合体に
関する。本発明の医療用材料および医療用製品は血液適
合性に優れ、しかもその優れた血液適合性が長期にわた
り保持されるので、人工臓器を初めとする種々の医療用
材料および/または医療用製品として極めて有用であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、人工臓器などの開発が活発に行わ
れているが、この技術分野においては生体適合性の問題
が存在しており、特に血液凝固を惹き起こさず、補体系
を活性化しないような血液適合性に優れる医療用材料の
開発が所望されている。血液適合性に優れる医療用材料
および/または医療用製品を得る方法としては、主とし
て下記の4種類の方法が試みられている。 血液適合性に優れる合成高分子材料を原料として用
いて成形や紡糸などを行うか、または血液適合性に優れ
る合成高分子材料で医療用材料や医療用製品の表面を被
覆する方法。 医療用合成高分子材料またはそれからなる医療用製
品の表面に血液適合性を有する化学物質を結合させる方
法。 ヘパリン、ウロキナーゼなどの抗凝固性生理活性物
質を医療用材料に添加しするか、または医療用材料や医
療用製品の表面に結合させる方法。 コラーゲン、生体弁などの生体材料を原材料として
用いる方法。
【0003】上記した〜の方法のうち、および
の方法は、原材料として使用する生理活性物質や生体材
料が天然物であって大量に入手することが困難であり、
かつ高価である上に、医療用材料や医療用製品の製造条
件や保存条件によっては血液適合性が失われるなどの問
題点がある。そのため、比較的安価に大量生産が可能
な、血液適合性に優れる合成高分子材料を用いる上記
の方法、合成高分子材料の表面に血液適合性を有する化
学物質を結合させる上記の方法が盛んに研究されてお
り、その場合に、より優れた血液適合性を有し、しかも
その血液適合性が長期にわたって保持され得るような合
成高分子の開発が強く求められている。
【0004】ところで、リン脂質は生体膜の主要な構成
成分であって、細胞の膜様構造に特異的に存在し、リン
脂質単独または膜タンパク質との相互作用を介して生体
膜の機能に関与していることが知られている。このこと
からリン脂質のみならず、リン脂質に類似した化合物は
血液適合性、ひいては生体適合性に優れていると考えら
れ、近年盛んに研究されている。そのような従来技術と
しては、(i)本出願人による、生体適合性に優れる2
−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(以下
「MPC」ということがある)の開発(特開昭54−6
3025号公報)、(ii)メタクリル酸エチルなどのメ
タクリル酸エステルとMPCと共重合体の開発(特開平
3−39309号公報)、並びに(iii)ホスホリルコ
リン基を有する糖質誘導体またはその官能性誘導体が固
定されている抗血栓性再生セルロース系膜およびその製
造法(特開平5−220218号公報)を挙げることが
できる。
【0005】本出願人により開発された上記(i)のM
PCは、良好な血液適合性を有していて、MPCをメタ
クリル酸メチルと共重合させたり、MPCをポリメタク
リル酸メチルまたはポリスチレンにグラフト重合するこ
とによって、メタクリル酸メチル重合体やポリスチレン
に生体適合性を付与することができる。しかし、ポリメ
タクリル酸メチルまたはポリスチレンにMPCをグラフ
ト重合させてもそのグラフト重合の反応性が低いため、
血液適合性が顕著に改善されたグラフト重合体を得るこ
とは困難であり、前記の特開昭54−63025号公報
に記載されている実施例においても血液適合性の向上が
未だ不充分である。
【0006】そして、上記(ii)のMPCとメタクリル
酸エステルとの共重合体の場合も、その共重合体と基材
表面との反応性が低く、基材へ安定に固定させることが
困難であることから、使用中に上記共重合体が基材表面
から剥離し易く、かつ滅菌処理する際に基材表面から脱
離し易い。そして、基材から剥離したり、医療用材料か
ら溶出した共重合体が体内に入ると予期し得ぬ危険を生
ずる可能性があるので、医療用材料として脱離などの生
じない、より安定性のあるものが求められている。
【0007】また、上記(iii)の抗血栓性再生セルロ
ース膜は、セルロース膜に固定されたホスホリルコリン
基を有する糖質誘導体またはその官能性誘導体がセルロ
ース膜から脱落しにくいために、その血液適合性をある
程度長期にわたって持続することができるとされている
が未だ充分に満足のゆくものではない。しかも、この
(iii)の抗血栓性再生セルロース膜を得るには、糖質
誘導体またはその官能性誘導体にホスホリルコリン基を
有するモノマーをグラフト重合させる操作、およびそれ
により得られたホスホリルコリン基を有する糖質誘導体
またはその官能性誘導体を再生セルロース膜に固定する
二段階の操作が必要であるために工程が繁雑となる。特
に、前記二段目の操作は、ホスホリルコリン基を有する
糖質誘導体またはその官能性誘導体を再度溶媒に溶解さ
せて再生セルロース膜に固定する方法により行われる
が、その固定操作の後に、溶媒中に残留する未固定のホ
スホリルコリン基を有する糖質誘導体またはその官能性
誘導体を再生セルロース膜面より遠心分離や吸引などに
よって除去しなければならず、また残留する溶媒も比較
的低温で除去しなければならず、その操作が非常に繁雑
である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、繁雑
な工程を要せずに容易に製造することができ、しかも優
れた血液適合性を有し、且つその優れた血液適合性が長
期にわたって保持される医療用材料および/または医療
用製品、並びにそのような医療用材料や医療用製品の製
造に有効に使用することのできる合成高分子を提供する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らが上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリビニルアルコール
系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有する化
合物が側鎖基として結合している重合体、または前記重
合体を構成要素として少なくとも有する材料や製品が、
優れた血液適合性を有し、且つその優れた血液適合性が
長期にわたって保持されることを見出した。さらに、本
発明者らは、ホスホリルコリン基を有する化合物が側鎖
基としてポリビニルアルコール系重合体に結合している
そのような医療用材料および/または医療用製品が、ポ
リビニルアルコール系重合体を用いて予め所定の形状お
よび/または構造の物品をつくり、その物品の表面にホ
スホリルコリン基を有する化合物をグラフト重合やその
他の適当な方法で結合させることによって、繁雑な工程
を要せずに容易に製造できることを見出し、それらの知
見に基づいて本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明は、ポリビニルアルコー
ル系重合体にホスホリルコリン基を有する化合物が側鎖
基として結合している重合体を構成要素とする医療用材
料または医療用製品である。そして、上記した本発明の
医療用材料または医療用製品は、ポリビニルアルコール
系重合体を用いて予め製造された所定の形状および/ま
たは構造を有する物品にホスホリルコリン基を有する化
合物を結合させて得られたものであっても、ポリビニル
アルコール系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基
を有する側鎖が結合している重合体を原料として用いて
製造されたものであっても、或いはポリビニルアルコー
ル系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有する
側鎖が結合している重合体で基材を被覆したものであっ
てもよい。
【0011】さらに、本発明は、ポリビニルアルコール
系重合体を用いて予め製造された所定の形状および/ま
たは構造を有する物品に、ホスホリルコリン基を有する
不飽和モノマーをグラフト重合させて、上記した医療用
材料または医療用製品を製造する方法を包含する。
【0012】そして、本発明は、ポリビニルアルコール
系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有する側
鎖が結合していることを特徴とする重合体をも包含す
る。本発明の上記重合体は、好ましくは、ポリビニルア
ルコール系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を
有する不飽和モノマーをグラフト重合させた重合体であ
り、したがって、本発明は、ポリビニルアルコール系重
合体にホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーをグ
ラフト重合させて前記重合体を製造する方法を包含す
る。
【0013】本発明の医療用材料または医療用製品は、
ポリビニルアルコール系重合体(以下「PVA系重合
体」という)を用いて予め製造された所定の形状および
/または構造を有する物品にホスホリルコリン基を有す
る化合物を結合させることにより製造することができ
る。そして予め製造されたPVA系重合体からなる物品
にホスホリルコリン基を有する化合物を結合させるこの
方法による場合は、物品の表面に、所定量で且つ多量の
ホスホリルコリン基をより確実に結合させることができ
るので、血液適合性に極めて優れる医療用材料および/
または医療用製品を得ることができる。その場合に、P
VA系重合体から予め製造された物品としては、最終的
な製品形態のもの、半製品の形態のもの、製品にする前
の素材形態のものなどのいずれでもよい。また、PVA
系重合体からなる物品は、そのすべてがPVA系重合体
から形成されていても、または一部がPVA系重合体か
ら形成されていてもよく、要するに、PVA系重合体が
物品の少なくとも一部の表面に存在し、その部分にホス
ホリルコリン基を有する化合物を結合させるようになっ
ているものであればよい。限定されるものではないが、
ここでいうPVA系重合体からなる物品の例としては、
フイルム、シート、膜、中空糸膜、人工血管、カテーテ
ルやその他の管状物、血液バッグなどの袋状物、容器、
繊維、布帛状物、ビーズ、その他の各種医療用製品や素
材などを挙げることができ、物品の形状、構造、大きさ
などは特に制限されない。
【0014】PVA系重合体からなる物品は、ビニルア
ルコールのみからなる単独重合体(以下「PVA単独重
合体」という)、または60モル%以上のビニルアルコ
ール単位と40モル%未満の他の共重合成分単位を有す
るPVA単位と他の共重合成分単位との共重合体(以下
「PVA共重合体」という)であるのが好ましい。物品
がPVA共重合体から形成されている場合は、該PVA
共重合体における他の共重合成分単位はビニルアルコー
ル(酢酸ビニル)と共重合可能なモノマーに由来する共
重合成分単位であればいずれでもよく、例えば、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプ
テン、メタクリル酸、塩化ビニル、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、アク
リロニトリル、ビニルピロリドン、スチレンなどのモノ
マーに由来する共重合成分単位を挙げることができる。
PVA共重合体はこれらの共重合成分単位の1種のみを
有していても、または2種以上を有していてもよい。P
VA共重合体における他の共重合成分単位の割合が40
モル%を超えると、PVA共重合体からなる主鎖にホス
ホリルコリン基を有する側鎖の導入量が低減して、血液
適合性に優れたPVA系重合体が得られなくなるので好
ましくない。
【0015】PVA単独重合体または他の共重合成分単
位を40モル%未満の割合で有するPVA共重合体は、
通常、酢酸ビニルで代表されるビニルアルコールのカル
ボン酸エステルの単独重合、またはビニルアルコールの
カルボン酸エステルと他の共重合可能なモノマーとの共
重合を行った後に、ビニルアルコールのカルボン酸エス
テル基をケン化することによって得られるが、物品の製
造に用いるPVA系重合体(PVA単独重合体およびP
VA共重合体)では、そのケン化度は50%以上である
のが好ましく、85〜100%であるのが好ましい。
【0016】特に、物品を構成するPVA系重合体とし
て、PVA単独重合体、またはエチレン単位を20モル
%以上40モル%未満の割合で含有するエチレン−ビニ
ルアルコール共重合体(以下「EVAL樹脂」という)
を用いるのが、最終的に得られる医療用材料または医療
用製品の血液適合性、入手の容易性、価格などの点から
好ましい。また、物品を構成するPVA系重合体は、そ
の重合度が500〜16000であるのが成形性、成形
品の強度などの点から好ましく、900〜4000であ
るのがより好ましい。
【0017】そして、予め所定の形状および/または構
造になしたPVA系重合体からなる物品の表面にホスホ
リルコリン基を有する化合物を結合させた本発明の医療
用材料または医療用製品は、ホスホリルコリン基をその
表面に有していることによって、良好な血液適合性を発
現するが、その表面における単位面積当たりのホスホリ
ルコリン基の密度(個数)が8×1015個/cm2以上
であるのが好ましく、40×1015個/cm2以上であ
るのが更に好ましい。表面における単位面積当たりのホ
スホリルコリン基の密度が8×1015個/cm2未満で
あると、血液適合性が充分に発現されにくくなる。
【0018】そして、PVA系重合体からなる物品の表
面に後からホスホリルコリン基を導入して本発明の医療
用材料および/または医療用製品を製造する当たって
は、 (a) ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーを
触媒の存在下にPVA系重合体からなる物品の表面にグ
ラフト重合させる方法; (b) ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーを
紫外線や放射線などのエネルギー線を用いてPVA系重
合体からなる物品の表面にグラフト重合させる方法; (c) ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーを
予め重合させてプレポリマーを形成しておき、そのプレ
ポリマーを例えばエポキシ化合物、イソシアネート化合
物、ハロゲン化トリアジンなどのスペーサーを介してP
VA系重合体からなる物品の表面に結合させる方法; (d) ホスホリルコリン基を有し且つ活性水素を有す
る化合物をエポキシ化合物、イソシアネート化合物など
のスペーサーを介してPVA系重合体からなる物品の表
面に結合させる方法; などを採用することができる。
【0019】上記した(a)〜(d)の方法のうちで
も、(a)の方法が、反応操作が比較的簡単であり、し
かも穏やかな重合条件で行うことができ、PVA系重合
体物品の損傷も小さいなどの点から好ましく行われる。
そして、上記した(a)〜(c)の方法で用いるホスホ
リルコリン基を有する不飽和モノマーとしては、PVA
系重合体の表面にグラフト重合やその他の官能性基を介
して結合することのできるホスホリルコリン基を有する
不飽和モノマーのいずれもが使用でき、例えば、MP
C、2−メタクリロイルオキシエトキシエチルホスホリ
ルコリン、6−メタクリロイルオキシヘキシルホスホリ
ルコリン、10−メタクリロイルオキシノニルホスホリ
ルコリン、アリルホスホリルコリン、ブテニルホスホリ
ルコリン、ヘキセニルホスホリルコリン、オクテニルホ
スホリルコリン、デセニルホスホリルコリンなどを挙げ
ることができる。これらの不飽和モノマーは単独で使用
してもまたは2種以上を併用してもよい。そのうちで
も、MPCが価格、入手の容易性、重合反応性などの点
からより好ましく用いられる。
【0020】そして、上記した(a)のグラフト重合に
よる場合には、PVA系重合体物品の表面におけるホス
ホリルコリン基の密度が好ましくは上記した8×1015
個/cm2以上になるようにして、ホスホリルコリン基
を有する不飽和モノマーをPVA系重合体物品の表面に
グラフト重合させる。そして、PVA系重合体物品の表
面にホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーをグラ
フト重合させるに当たっては、4価のセリウム化合物を
触媒として用いて、硝酸の存在下にグラフト重合を行う
と、グラフト重合を極めて円滑に行うことができる。そ
の場合の4価のセリウム化合物からなる触媒としては、
例えば硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸セリウム
(IV)アンモニウム二水和物、硫酸セリウム(IV)アン
モニウム四水和物、硫酸セリウム(IV)四水和物、水酸
化セリウム(IV)、酸化セリウム(IV)などを用いるこ
とができる。また、4価のセリウム化合物からなる触媒
の使用量は、通常、ホスホリルコリン基を有する不飽和
モノマーの全重量に基づいて、約1〜100%とするの
が好ましい。
【0021】PVA系重合体物品の表面にホスホリルコ
リン基を有する不飽和モノマーをグラフト重合させるに
当たっては、ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマ
ー、4価のセリウム化合物および硝酸を溶解し、その一
方でPVA系重合体物品は溶解せず、しかも生体にとっ
て害の少ない、水、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノールなどの低級アルコール、DMSOなど
が好ましく用いられ、これらの溶媒は単独で使用しても
2種以上を併用してもよい。
【0022】そして、PVA系重合体物品の表面への不
飽和モノマーの上記したグラフト重合は、溶液中におけ
るホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーの濃度が
約0.1〜50重量%、4価のセリウム化合物触媒の濃
度が約0.001〜50重量%、および硝酸の濃度が約
0.001〜10重量%である均一な溶液を形成し、そ
してPVA系重合体物品の血液適合性を付与したい表面
を少なくともこの溶液と無酸素雰囲気下に25〜45℃
の温度で1〜5時間接触させ、次いで水洗などによって
PVA系重合体物品の表面に残留している未反応の不飽
和モノマー、硝酸、4価のセリウム化合物を除去するこ
とにより行うことができる。
【0023】上記により得られたPVA系重合体物品の
表面に存在しているホスホリルコリン基のモル比(グラ
フト重合したホスホリルコリン基を有する物品表面のビ
ニルアルコール単位のモル比)は、ESCA(Electron
Spectroscopy for ChemicalAnalysis)による表面分析
を行って、酸素とリンの原子数百分率を求め、下記の数
式(1)にしたがって求めることができる。
【0024】
【数1】 A=B/(C−6B) (1) 上記式中、A=PVA系重合体を構成するモノマー単位
1モル当たりのホスホリルコリン基のモル数 B=ESCAにより求めたリンの原子数百分率(モル
%) C=ESCAにより求めた酸素の原子数百分率(モル
%)
【0025】また、本発明では、予め製造されたPVA
系重合体からなる物品の表面にホスホリルコリン基を有
する化合物を結合させて血液適合性に優れる医療用材料
および/または医療用製品とする上記の方法に代えて、
PVA系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有
する側鎖が結合した重合体をつくり、この重合体を用い
て成形、紡糸、またはその他の方法によって血液適合性
を有する医療用材料や医療用製品を製造してもよく、或
いは、医療用材料や医療用製品として用いられる基材の
表面にPVA系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン
基を有する側鎖が結合した上記の重合体を被覆・固定し
て血液適合性を有する医療用材料や医療用製品としても
よく、したがって、上述のように、本発明はこれらの医
療用材料および医療用製品、並びにPVA系重合体から
なる主鎖にホスホリルコリン基を有する側鎖が結合した
重合体を本発明の範囲に包含する。
【0026】ホスホリルコリン基を有する側鎖が結合し
た本発明のPVA系重合体において、主鎖を構成するP
VA系重合体は、上記したPVA系重合体からなる物品
の場合と同様に、PVA単独重合体、または60モル%
以上のビニルアルコール単位と40モル%未満の他の共
重合成分単位を有するPVA共重合体であるのが好まし
い。そして主鎖がPVA共重合体である場合は、他の共
重合成分単位としてはビニルアルコール(酢酸ビニル)
と共重合可能な前記のモノマーに由来する共重合成分単
位であればいずれでもよく、PVA共重合体はそれらの
共重合成分単位の1種のみを有していても、または2種
以上を有していてもよい。PVA共重合体における他の
共重合成分単位の割合が40モル%を超えると、PVA
共重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有する側
鎖の導入量が低減して、血液適合性に優れたPVA系重
合体が得られなくなるので好ましくない。また、PVA
単独重合体またはPVA共重合体は、ビニルアルコール
単位のケン化度が50%以上であるのが好ましく、85
〜100%であるのが好ましい。
【0027】主鎖を構成するPVA系重合体として、P
VA単独重合体、またはエチレン単位を20モル%以上
40モル%未満の割合で含有する上記したEVAL樹脂
を用いると、最終的に得られる重合体の血液適合性、入
手の容易性、価格などの点から好ましい。また、主鎖を
構成するPVA系重合体は、その重合度が500〜16
000であるのが成形性、成形品の強度などの点から好
ましく、900〜4000であるのがより好ましい。
【0028】そして、本発明の重合体は、上記したPV
A系重合体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有する
化合物が側鎖として結合しているが、PVA系重合体を
構成するモノマー単位(例えばケン化度が100%のP
VA単独重合体の場合はビニルアルコール単位、またケ
ン化度が100%のPVA共重合体の場合はビニルアル
コール単位と他の共重合成分単位の合計)1モルに対し
て、ホスホリルコリン基が0.004〜0.01モルの
割合で結合しているのが、血液適合性、ホスホリルコリ
ン基を有する化合物のPVA系重合体への結合の容易
性、PVA系重合体の物理的性質などの点から好まし
い。また、ホスホリルコリン基を有する側鎖の化学構
造、長さ、分子量などは、側鎖を構成するのに用いるホ
スホリルコリン基を有する化合物(ホスホリルコリン基
を有する重合性モノマー、プレポリマー、その他の官能
基を有する化合物)の種類、PVA系重合体からなる主
鎖へのホスホリルコリン基を有する化合物の結合方法、
結合量などに応じて変わってくるが、例えばホスホリル
コリン基を有する不飽和モノマーをPVA系重合体から
なる主鎖にグラフト重合させて側鎖を形成する場合に
は、1個の側鎖が約1〜5個程度の前記不飽和モノマー
の重合物によって形成されているようにすることができ
る。
【0029】本発明の重合体中におけるホスホリルコリ
ン基の含有量の定量は、湿式分解−モリブデン ブルー
吸光光度計法により行うことができる。すなわち、この
方法は有機物中のリンを定量する方法であって、リンを
含む有機物に硫酸、硝酸および過塩素酸を加えて加熱す
ることにより有機物を分解し、有機物中のリンをリン酸
イオンの形態にした後に、モリブデン酸アンモニウム、
および塩化スズを加えて青色に呈色させ、700nmに
おける吸光度を測定して予め作成しておいた検量線より
リンの量を求める方法であり、その詳細は「分析化学便
覧 17−2−6 リンの光分析法」に記載されてい
る。
【0030】PVA系重合体からなる主鎖に対してホス
ホリルコリン基を有する側鎖を結合させる方法として
は、 (a') ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマー
を、触媒の存在下にPVA系重合体にグラフト重合させ
る方法; (b') ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマー
を、紫外線や放射線などのエネルギー線を用いてPVA
系重合体にグラフト重合させる方法; (c') ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマー
を予め重合させてプレポリマーを形成しておき、そのプ
レポリマーを例えばエポキシ化合物、イソシアネート化
合物、ハロゲン化トリアジンなどのスペーサーを介して
PVA系重合体に結合させる方法; (d') ホスホリルコリン基を有し且つ活性水素を有
する化合物をエポキシ化合物、イソシアネート化合物な
どのスペーサーを介してPVA系重合体に結合させる
か、またはPVA系重合体の水酸基との間で縮合反応を
生じさせてPVA系重合体に結合させる方法; などを挙げることができる。
【0031】上記した(a')〜(d')の方法のうちで
も、(a')の方法が、反応操作が比較的簡単であり、
しかも穏やかな重合条件で行うことができ、PVA系重
合体の損傷も小さいなどの点から好ましく用いられる。
そして、上記(a')〜(c')の方法によりホスホリル
コリン基を有する側鎖を結合させる場合は、ホスホリル
コリン基を有する不飽和モノマーとしては、ホスホリル
コリン基を有し且つグラフト重合が可能であるかまたは
プレポリマー形成のための重合が可能な不飽和基を有す
るモノマーであればいずれも使用でき、例えば前記した
と同様の、MPC、2−メタクリロイルオキシエトキシ
エチルホスホリルコリン、6−メタクリロイルオキシヘ
キシルホスホリルコリン、10−メタクリロイルオキシ
ノニルホスホリルコリン、アリルホスホリルコリン、ブ
テニルホスホリルコリン、ヘキセニルホスホリルコリ
ン、オクテニルホスホリルコリン、デセニルホスホリル
コリンなどを挙げることができ、これらのモノマーは単
独で使用しても、または2種以上を併用してもよい。な
かでも、MPCがPVA系重合体へのグラフト重合性に
優れ、入手が容易であり、血液適合性にも優れている点
から好ましく用いられる。
【0032】そして、上記(a')の方法により本発明
のを製造する場合には、PVA系重合体1モルに対し
て、上記したホスホリルコリン基を有する不飽和モノマ
ーを約0.01〜1.0モルの割合で用いてグラフト重
合を行うと、血液適合性に優れる重合体が得られるので
好ましい。また、上記(a')の方法を、4価のセリウ
ム化合物を触媒として用いて、硝酸の存在下に、PVA
系重合体にホスホリルコリン基を有する不飽和モノマー
がグラフト重合させる方法により行うと、そのグラフト
重合を極めて円滑に行うことができる。その場合の4価
のセリウム化合物からなる触媒としては、前記と同様
に、例えば硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸セリ
ウム(IV)アンモニウム二水和物、硫酸セリウム(IV)
アンモニウム四水和物、硫酸セリウム(IV)四水和物、
水酸化セリウム(IV)、酸化セリウム(IV)などを挙げ
ることができる。また、グラフト重合に当たっては、4
価のセリウム化合物からなる触媒は、通常、ホスホリル
コリン基を有する不飽和モノマーの全重量に基づいて、
約1〜100%の割合で使用するのが好ましい。
【0033】PVA系重合体からなる主鎖にホスホリル
コリン基を有する不飽和モノマーをグラフト重合させる
に当たっては、PVA系重合体、ホスホリルコリン基を
有する不飽和モノマー、4価のセリウム化合物および硝
酸を溶媒に溶解して均一な溶液を形成して重合を行うの
がよい。その場合の溶媒としては、それらの4者を溶解
し得る溶媒であればいずれも使用できるが、安全性の面
などから、生体にとって害の少ない、水、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アル
コール、ジメチルスホキシド(DMSO)、アセトン、
シクロヘキサノール、フェノールなどが好ましく用いら
れ、これらの溶媒は単独で使用してもまたは2種以上を
併用してもよい。
【0034】そして、上記のグラフト重合は、PVA系
重合体100重量部当たり、ホスホリルコリン基を有す
る不飽和モノマーを約5〜300重量部、4価のセリウ
ム化合物触媒5〜300重量部、および硝酸約1〜50
重量部を約300〜3000重量部の溶媒に溶解して均
一な溶液を形成し、無酸素雰囲気下に、25〜45℃の
温度で1〜5時間行うとよい。次いで、良溶媒と貧溶媒
との混合溶媒(例えばDMSO/メタノール、ジメチル
ホルムアミド/メタノール、水/メタノールなど)を用
いて再沈殿などの操作を行って、グラフト重合により得
られた重合体を精製し、PVA系重合体からなる主鎖に
ホスホリルコリン基を有する側鎖が結合している本発明
の重合体を回収する。これにより得られた本発明の重合
体におけるホスホリルコリン基を有する不飽和モノマー
のグラフト重合割合は、上記した湿式分解−モリブデン
ブルー吸光光度計法によって重合体中のリン含有量を
定量し、それに基づいて算出することによって求めるこ
とができる。
【0035】PVA系重合体からなる主鎖にホスホリル
コリン基を有する側鎖が結合している本発明の重合体
は、上記したホスホリルコリン基を有する不飽和モノマ
ーのグラフト重合により得られた重合体、さらにはグラ
フト重合によらずに他の方法でホスホリルコリン基を有
するプレポリマーやその他の化合物をPVA系重合体に
結合させて得られた重合体のいずれの場合も、ホスホリ
ルコリン基を有する側鎖がPVA系重合体からなる主鎖
に対してペンダント状に懸垂して結合していることによ
って、優れた血液適合性を有している。しかも、重合体
の主鎖がPVA系重合体から構成されているので、主鎖
がポリメタクリル酸メチルやポリスチレンから構成され
ている上記した従来のホスホリルコリン基を有する重合
体に比べて血液適合性の点で優れており、医療用材料と
して極めて有用である。
【0036】PVA系重合体からなる主鎖にホスホリル
コリン基を有する側鎖が結合している本発明の重合体を
医療用材料および/または医療用製品として用いるに当
たっては、重合体を好ましくはDMSO、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセドアミド、プロパノールなどの
溶媒に溶解し、その溶液を用いて乾式法、湿式法などの
従来PVA系重合体に対して用いられているのと同様な
成形法、紡糸法などを用いて、平膜状、フイルム状、シ
ート状、中空糸膜状、管状、各種の型成形品、繊維など
の各種物品や製品を製造することによって、血液適合性
に優れる各種の医療用材料および/または医療用製品を
製造することができる。また、PVA系重合体からなる
主鎖にホスホリルコリン基を有する側鎖が結合している
本発明の重合体は、溶媒に溶解して溶液状とし、その溶
液を既に製造されている各種の基材(例えばシート、フ
イルム、膜、型成形品、布帛、管、その他の製品)に塗
布、浸漬などによって施して、それらの製品の上に本発
明の重合体の被覆層を形成させることによって、血液適
合性に優れる各種の医療用材料および医療用製品を製造
することができる。
【0037】PVA系重合体からなる物品の表面にホス
ホリルコリン基を有する化合物を結合させた本発明の医
療用材料および/または医療用製品、PVA系重合体の
主鎖にホスホリルコリン基を有する側鎖を結合した重合
体を原料として用いて成形や紡糸などを行って、或いは
被覆材として用いて得られた本発明の医療用材料および
/または医療用製品は、いずれも、良好な血液適合性を
有していて、血液と接触しても血栓が生じにくく、補体
の活性化もおこりにくい。しかも表面に結合したホスホ
リルコリン基がPVA系重合体物品から容易に脱離しな
いので、その血液適合性が長期間にわたって保持され
る。その上、上記した本発明の医療用材料および医療用
製品は、いずれも、γ線滅菌、高圧蒸気滅菌、エチレン
オキサイドガスによる滅菌などの医療用具を対象とする
滅菌法を施しても脱離したり変質することがない。した
がって、本発明の医療用材料および医療用製品は、人工
透析膜、血漿分離膜、血液吸着剤など数時間の単位で血
液と接触する医療用材料や医療用製品をはじめとして、
長期にわたって血液と接触するカテーテル、人工血管、
呼吸補助循環装置、持続的血液濾過装置[例えばCAV
H(Continuous Arteriovenous Hemofiltration)等]
などにも有効に使用することができる。
【0038】なお、本発明では医療用材料または医療用
製品の血液適合性の評価は、以下の実施例で具体的に説
明するように、血液適合性の評価を行う医療用材料を全
血と接触させて、凝血塊重量の経時変化を観察する方法
(kinetic method)、および医療用材料を血小板多血
漿と接触させ、カルシウムイオン(Ca2+)感受性蛍光
色素(Fura2)を用いて外部からの刺激による血小
板細胞内の遊離カルシウムイオン濃度の変化を測定する
方法により行った。
【0039】
【実施例】以下に本発明を実施例などにより具体的に説
明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。
【0040】《実施例 1》 [実験 1] (1) EVAL樹脂[(株)クラレ製;エチレン含有
量=32モル%、重合度Pv=1100]85gをDM
SO中に全量が500gとなるように添加し、撹拌しな
がら80℃の温水浴中で加温して溶解させた。得られた
EVAL樹脂の溶解液をガラス板上に流し、水浴中にガ
ラス板と共に浸して溶解液を凝固させ、さらに一晩流水
中で水洗して、膜厚が約100μmのEVAL樹脂の多
孔質平膜を得た。 (2) 上記(1)で得られたEVAL樹脂の多孔質平
膜から5cm×5cmの片を切り取り、MPC(日本油
脂株式会社製)0.33g(1.1×10-3モル)、硫
酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物0.03g
(5.0×10-5モル)、硝酸5.0×10-4モルおよ
び蒸留水10mlと共に重合用の反応容器に入れ、アル
ゴンガスで容器内を置換した。EVAL樹脂多孔質平膜
とMPCなどを含んだ上記の反応液の入った反応容器を
35℃の温水浴に浸漬し、容器内を4時間撹拌して重合
反応を行わせた。反応終了後にEVAL樹脂多孔質平膜
を容器から取り出し、充分に水洗して、MPCをグラフ
ト重合したEVAL樹脂多孔質平膜を得た。
【0041】(3) 上記(2)で得られたMPCをグ
ラフト重合したEVAL樹脂多孔質平膜におけるMPC
のグラフト量を前記した湿式分解−吸光光度法により定
量し、EVAL樹脂多孔質平膜の表面にグラフト重合さ
れているホスホリルコリン基の密度(個/cm2)を算
出した。また、ESCAによる表面分析を行い、MPC
をグラフト重合したEVAL樹脂多孔質平膜の表面に存
在するホスホリルコリン基の表面密度を算出し、湿式分
解−吸光光度法による結果と比較した。それらの結果を
下記の表1に示す。
【0042】[実験 2]MPCの使用量を0.15g
(0.5×10-3モル)に代えた以外は実験1と同様に
してMPCを表面のグラフト重合させたEVAL樹脂多
孔質平膜を製造した。得られた平膜におけるホスホリル
コリン基の密度を実験1と同様にして湿式分解−吸光光
度法およびESCAによって算出したところ、下記の表
1に示すとおりであった。
【0043】[実験 3]MPCの使用量を0.015
g(0.05×10-3モル)に代えた以外は実験1と同
様にしてMPCを表面のグラフト重合させたEVAL樹
脂多孔質平膜を製造した。得られた平膜におけるホスホ
リルコリン基の表面密度を実験1と同様にして湿式分解
−吸光光度法およびESCAによって算出したところ、
下記の表1に示すとおりであった。
【0044】[実験 4]MPCの使用量を0.009
g(0.03×10-3モル)に代えた以外は実験1と同
様にしてMPCを表面のグラフト重合させたEVAL樹
脂多孔質平膜を製造した。得られた平膜におけるホスホ
リルコリン基の表面密度を実験1と同様にして湿式分解
−吸光光度法およびESCAによって算出したところ、
下記の表1に示すとおりであった。
【0045】[血液適合性試験(血液凝固試験)] (1) 上記の実験1〜4で得られたMPCをグラフト
重合したEVAL樹脂多孔質平膜を、同一のサンプルに
ついて3cm×3cmの大きさに切断したものをそれぞ
れ4枚ずつ準備し、それぞれを別のガラス製の時計皿上
に載せた。MPCをグラフト重合したEVAL樹脂多孔
質平膜を載せた時計皿を37℃の恒温槽内に置き、各平
膜上にACD(抗血液凝固剤:クエン酸ナトリウム2.
2g、クエン酸0.8g、ブドウ糖2.2gに蒸留水を
加えて100mlにしたもの)を13重量%の割合で添
加した人の血液を0.20mlずつ載せ、更に0.1g
/リットルの塩化カルシウム水溶液0.020mlを加
えて凝血を開始させた。 (2) 4枚の時計皿をガラス板で覆い、塩化カルシウ
ム水溶液の添加後それぞれ3分、5分、7分および9分
に蒸留水を加えて凝血を停止させた。生成した凝血塊を
水中に5分間、次いでホルマリンに10分間浸漬した後
水洗し、凝血塊を濾紙で軽くおさえることによって水分
を充分に除去してから秤量した。対照として、EVAL
樹脂多孔質平膜を載せてないガラスの時計皿で同様の試
験を行って時計皿上における凝血塊の重量を測定し、そ
の接触時間が9分の時の凝血塊の重量を100%とし
て、各サンプルの各接触時間における凝血塊重量の百分
率を算出したところ、下記の表1に示すとおりであった
(実験5)。また、その他のコントロールサンプルとし
てポリスチレン製の平膜についても、上記と同様の血液
凝固試験を行ったところ(実験6)、下記の表1に示す
とおりであった。
【0046】
【表1】
【0047】上記表1の結果から、表面にホスホリルコ
リン基を有する実験1〜4のEVAL樹脂平膜は、血液
と接触しても血液の凝固を全く生じないか極めて少な
く、血液適合性に優れていること、特に平膜表面におけ
るホスホリルコリン基の密度が8×1015個/cm2
上である実験1〜3のEVAL樹脂多孔質平膜は、血液
と接触しても血液の凝固を全く生じないか極めてわずか
しか生じず、血液適合性に極めて優れていることがわか
る。
【0048】[滅菌処理試験]上記の実験2で得られ
た、表面にMPCをグラフト重合したEVAL樹脂多孔
質平膜を、蒸留水の共存下にγ線を25KGy照射して
滅菌処理した後、該多孔質平膜と共存していた蒸留水に
ついてMPCに由来するリンの定量を行ったが、リンは
全く検出されず、グラフト重合したMPCはγ線を照射
して滅菌処理しても基材であるEVAL樹脂多孔質平膜
の表面から脱離することがなかった。
【0049】《実施例 2》 [実験 1] (1) EVAL樹脂[(株)クラレ製;エチレン含有
量=32モル%、重合度Pv=1100]を用いて紡糸
した血液透析器用の多孔質中空糸膜(内径175μm)
を用いて、内表面積が約50cm2のミニモジュールを
作製した。このミニモジュールの中空糸膜内表面に、M
PC(日本油脂株式会社製)0.33g(1.1×10
-3モル)、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物
0.032g(5.0×10-5モル)および硝酸5.0
×10-4モルを蒸留水10mlに溶かした反応液を、脱
気してから、35℃の雰囲気下に4時間循環することに
よって接触させた後、充分に水洗を行って中空糸膜表面
にMPCをグラフト重合したミニモジュールを得た。 (2) 上記(1)で得られたMPCをグラフト重合し
たミニモジュールの中空糸膜内表面における単位面積当
たりのMPCのグラフト重合量を実施例1と同様にして
求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。 (3) また、上記(1)で得られたMPCをグラフト
重合したミニモジュールの中空糸膜内表面にホスホリル
コリン基の密度を実施例1と同様にして湿式分解−吸光
光度法およびESCAによって算出したところ、下記の
表2に示すとおりであった。
【0050】[血液適合性試験(血液凝固試験)]実験
1の上記(1)で得られたMPCをグラフト重合したミ
ニモジュール(内表面積50cm2)について、該ミニ
モジュールを含む閉鎖回路をシリコンチューブを用いて
作製した。ヒト多血小板血漿を所定の方法によりCa2+
感受性蛍光色素(Fura2)で負荷することによって
得られた血小板浮遊液[血小板濃度=2×108個/m
l;HEPES緩衝液(N−2−ヒドロキシエチルピペ
ラジン−N’−2−エタンスルホン酸)]に、1ミリモ
ル/リットルとなるように塩化カルシウムを添加した
後、37℃の雰囲気下に、上記閉鎖回路内を10分間循
環させて、EVAL樹脂多孔質中空糸膜の内表面と接触
させた。循環したFura2負荷血小板浮遊液の2波長
励起1波長蛍光強度比の経時変化を測定し、さらにトリ
トンX−100(ポリエチレングリコール−モノ−p−
オクチルフェニルエーテル)、EGTA(グリコールエ
ーテルジアミンテトラ酢酸)を順次加えて、Ca2+濃度
が最大のときとゼロのときの蛍光強度を測定した。これ
らの測定値を下記の式(2)で表される Tsien らの式
に代入し、Ca2+濃度[Ca2+](nモル/リットル)を算
出したところ、下記の表2に示す結果を得た。
【0051】
【数2】 [Ca2+]={(R−Rmin)/(Rmax−R)}×(sf380/sb380)×Kd (2) 式中、 R=蛍光強度比(340nmで励起した場合の蛍光強度
を380nmで励起した場合の蛍光強度で割った値) Rmin=EGTAを用いてCa2+濃度をゼロにした際の
蛍光強度比の最小値 Rmax=トリトンX−100を用いて血小板を壊して1
mMのCa2+とFura2が結合した際に観測される蛍光強
度比の最大値 sf380=EGTAを用いてCa2+濃度をゼロにした際の
380nmで励起した場合の蛍光強度 sb380=トリトンX−100を用いて血小板を壊して1
mMのCa2+とFura2が結合した際の380nmで励起
した場合の蛍光強度 Kd=Ca2+とFura2の解離定数
【0052】なお、上記の式(2)で表される Tsien ら
の式の詳細は、J.Biol.Chem.260,3440(1985)にお
けるTsienらによる“A new generation of Ca2+ indica
tionwith greatly improved fluorescence propertie
s”に、またCa2+濃度を指標とする人工透析膜の生体
適合性の評価法については、「人工臓器」18(3),1185
−1190(1989)における武本らによる“細胞内Caイオ
ン動態を指標とする新しい人工透析膜の生体適合性評価
法の開発”に記載されている。
【0053】[実験 2]上記(1)におけるのと同じ
EVAL樹脂を用いて紡糸して得た血液透析器用の多孔
質中空糸膜(内径175μm)(内表面積が約50c
2)を用いてミニモジュールを作製し、このミニモジ
ュールをそのまま用いてMPCが表面にグラフト重合さ
れていない閉鎖回路を試験1と同様にして作製した。こ
のMPCがグラフト重合されていない閉鎖回路内を上記
の実験1と同様にして血小板浮遊液を10分間循環させ
て、実験1と同様にして蛍光強度を測定しその測定値か
らCa2+濃度を算出したところ、下記の表2に示す結果
を得た。
【0054】[実験3 ]また、EVAL樹脂多孔質中
空糸膜からなるミニモジュールを用いずにシリコンチュ
ーブのみを用いて閉鎖回路を形成し、上記の実験1およ
び実験2と同様にして血小板浮遊液を10分間循環させ
て、蛍光強度を測定し、その測定値からCa2+濃度を算
出したところ、下記の表2に示す結果を得た(対照)。
【0055】
【表2】
【0056】血栓の生成に係わる血小板の一連の活性化
過程の初期段階には、外部からの刺激を血小板の内部に
伝達する上で遊離のカルシウムイオンCa2+が非常に重
要な役割を果たしており、血小板の活性化は細胞の内部
ではカルシウムイオンCa2+の濃度によって支配されて
いる。したがって、異物との接触による細胞質内の遊離
カルシウムイオンCa2+の濃度上昇は血小板が活性化さ
れたことを反映する指標となる。そこで、かかる点に基
づいて上記の表2の結果を見ると、MPCを表面に固定
(グラフト重合)したEVAL樹脂多孔質中空糸膜から
なるミニモジュールを用いて作製した閉鎖回路を使用し
ている実験1は、MPCを表面に固定していないEVA
L樹脂多孔質中空糸膜からなるミニモジュールを用いて
作製した閉鎖回路を使用している実験2に比べて、血小
板浮遊液を閉鎖回路内に10分間循環させた後の血小板
浮遊液中におけるカルシウムイオンCa2+の濃度が大幅
に低くなっており、良好な抗血栓性を示すことがわか
る。
【0057】《実施例 3》 [実験 1] (1) EVAL樹脂[(株)クラレ製;エチレン含有
量=32モル%、重合度Pv=1100]を用いて紡糸
した血漿成分分離器用の多孔質中空糸膜(内径175μ
m)を用いて、内表面積が約450cm2のミニモジュ
ールを作製した。このミニモジュールの中空糸膜内表面
に、MPC(日本油脂株式会社製)0.97g(3.3
×10-3モル)、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二
水和物0.96g(1.5×10-4モル)および硝酸
1.5×10-3モルを蒸留水30mlに溶かした反応液
を、脱気してから、35℃の雰囲気下に4時間循環する
ことによって接触させた後、充分に水洗を行って中空糸
膜表面にMPCをグラフト重合したミニモジュールを得
た。 (2) 上記(1)で得られたMPCをグラフト重合し
たミニモジュールの中空糸膜内表面における単位面積当
たりのMPCのグラフト重合量を実施例1と同様にして
求めたところ、下記の表3に示すとおりであった。 (3) また、上記(1)で得られたMPCをグラフト
重合したミニモジュールの中空糸膜内表面にホスホリル
コリン基の密度を実施例1と同様にして湿式分解−吸光
光度法およびESCAによって算出したところ、下記の
表3に示すとおりであった。
【0058】[血液適合性試験]上記の実験1の(1)
で得られたMPCをグラフト重合したミニモジュール
(内表面積450cm2)を用いて、ex vivo評
価を行った。すなわち、該ミニモジュールを体重が14
kgの雑種成犬の右大腿動静脈に送脱血用動静脈カニュ
ーレを挿管し、ローラーポンプを用いて血液を5ml/
分でミニモジュール内に導き循環したところ、下記の表
3に示すように循環開始後48時間を経過してもミニモ
ジュール内で血栓の形成は見られなかった。試験終了後
に、ミニモジュールを取り出して生理食塩水で洗浄し、
1.25%グルタルアルデヒド生理食塩水溶液を中空糸
膜内部に封入して2時間放置した。次いで、中空糸膜内
部を純水で置換してから、凍結乾燥、金蒸着を順次行っ
て、走査型電子顕微鏡(SEM)で中空糸膜内表面を観
察したところ、血球成分や血漿蛋白質の付着は観察され
なかった。なお、循環用回路としては、ヘパリンをその
表面に固定したポリ塩化ビニル製のチューブを使用し
た。
【0059】[実験 2]上記(1)におけるのと同じ
EVAL樹脂を用いて紡糸して得た血漿成分分離器用の
多孔質中空糸膜(内径175μm)を用いて、MPCが
固定されていない内表面積が約450cm2のミニモジ
ュールを作製した。このミニモジュールを体重が12k
gの雑種成犬の右大腿動静脈に送脱血用動静脈カニュー
レを挿管し、上記の実験1と同様にして循環試験を行っ
たところ、下記の表3に示すように循環開始4時間後に
ミニモジュール内で血液が凝固し始め、血栓が形成され
た。
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】PVA系重合体からなる物品の表面にホ
スホリルコリン基を有する化合物を結合させてなる本発
明の医療用製品および医療用製品、並びにPVA系重合
体からなる主鎖にホスホリルコリン基を有する側鎖が結
合している本発明の重合体を原料または被覆材として用
いて成形、紡糸、基材の被覆など行って得られた本発明
の医療用材料および医療用製品は、いずれも血液適合性
に優れ、しかもその優れた血液適合性が長期にわたり保
持されるので、人工臓器を初めとする種々の医療用材料
および/または医療用製品として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61M 1/18 500 (72)発明者 檜垣 達彦 大阪府大阪市北区梅田1−12−39 株式会 社クラレ内 (72)発明者 稲井 公二 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系重合体にホスホ
    リルコリン基を有する化合物が側鎖基として結合してい
    る重合体を構成要素とする医療用材料または医療用製
    品。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系重合体を用いて
    予め製造された所定の形状および/または構造を有する
    物品にホスホリルコリン基を有する化合物を結合させた
    ものである請求項1の医療用材料または医療用製品。
  3. 【請求項3】 物品表面におけるホスホリルコリン基の
    密度が8×1015個/cm2以上である請求項2の医療
    用材料または医療用製品。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコール系重合体からなる
    主鎖にホスホリルコリン基を有する側鎖が結合している
    重合体を原料として用いて製造されたか、または前記重
    合体で基材を被覆したものである請求項1の医療用材料
    または医療用製品。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアルコール系重合体を用いて
    予め製造された所定の形状および/または構造を有する
    物品に、ホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーを
    グラフト重合させることを特徴とする請求項2または3
    の医療用材料または医療用製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリビニルアルコール系重合体からなる
    主鎖にホスホリルコリン基を有する側鎖が結合している
    ことを特徴とする重合体。
  7. 【請求項7】 ポリビニルアルコール系重合体からなる
    主鎖にホスホリルコリン基を有する不飽和モノマーをグ
    ラフト重合させたものである請求項6の重合体。
  8. 【請求項8】 ポリビニルアルコール系重合体にホスホ
    リルコリン基を有する不飽和モノマーをグラフト重合さ
    せて請求項7の重合体を製造する方法。
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