JP2009120666A - 樹脂材料の表面改質方法及び表面改質樹脂材料 - Google Patents

樹脂材料の表面改質方法及び表面改質樹脂材料 Download PDF

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Abstract

【課題】ホスホリルコリン類似基を高密度で表面に導入することが可能な樹脂材料の表面改質方法及びホスホリルコリン類似基が高密度で表面に導入されている表面改質樹脂材料の提供。
【解決手段】樹脂材料の表面改質方法は、樹脂材料の表面をオゾン処理する工程と、オゾン処理により樹脂材料の表面に生成した官能基に対して反応性を有する官能基と、特定のホスホリルコリン類似基を有する4級アンモニウム塩で表される官能基を有する表面改質剤を用いて樹脂材料の表面を改質する工程を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂材料の表面改質方法及び表面改質樹脂材料に関する。
従来、ホスホリルコリン基を有する高分子は、生体適合性高分子として知られており、このような高分子で各種樹脂材料を被覆した生体適合性材料が知られている。
特許文献1には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンを単量体の1つとして、重合させることにより得られる重合体で粉体を被覆することにより、容易に脱離せず、改質効果の持続性に優れ、且つ、保湿性に優れた化粧料用の粉体が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、基材の表面に、ホスホリルコリン類似基を側鎖に有する単量体と、ヘパリン又はヘパリン誘導体と結合可能な基を有する単量体の共重合体と、ヘパリン又はヘパリン誘導体から構成される被覆層が形成されている医療用材料が開示されている。このような医療用材料は、各種のカテーテル、ガイドワイヤー、人工血管、血液透析膜、内視鏡などの医療材料に適する長期にわたり優れた抗血栓性および生体適合性を発現する。
さらに、特許文献3には、ホスホリルコリン類似基を少なくとも表面に有し、表面のX線光電子分光分析によって測定したスペクトルにおける、ホスホリルコリン類似基に由来するリン元素の量Pと、炭素元素の量Cとの比(P/C)が0.002〜0.3となる分離材が開示されている。このような分離材は、広範囲に及ぶ特定成分、特に、生体に由来する細胞、蛋白質又は情報伝達物質等を選択的に分離し、さらにその成分を回収することが可能である。
一方、特許文献4には、眼用レンズ材料をプラズマ処理して水酸基を導入した後、有機溶媒中で、ホスホリルコリン基とカルボキシル基を有する化合物と反応させてエステル結合により共有結合させる方法が開示されている。また、特許文献5には、プラズマ処理により眼用レンズ材料の表面にOH基を導入した後、水中、有機溶媒中又は水−有機溶媒混合液中で、ホスホリルコリン基とアルデヒド基を有する化合物と反応させてアセタール結合により共有結合させる方法が開示されている。しかしながら、プラズマ処理では、処理効率が基板の形状に依存するため、ホスホリルコリン類似基を均一に導入することが困難である。また、表面に生成した官能基が経時的に減少するため、ホスホリルコリン類似基を高密度で表面に導入することが困難である。
特開平7−118123号公報 特開2000−279512号公報 特開2002−98676号公報 特開2006−11381号公報 特開2006−11383号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、ホスホリルコリン類似基を高密度で表面に導入することが可能な樹脂材料の表面改質方法及びホスホリルコリン類似基が高密度で表面に導入されている表面改質樹脂材料を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、樹脂材料の表面改質方法において、樹脂材料の表面をオゾン処理する工程と、該オゾン処理により樹脂材料の表面に生成した官能基に対して反応性を有する官能基と、一般式
Figure 2009120666

(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1以上6以下のアルキル基であり、mは、2以上6以下の整数、nは、1又は2である。)
で表される官能基を有する表面改質剤を用いて、該オゾン処理された樹脂材料の表面を改質する工程を有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂材料の表面改質方法において、前記オゾン処理により樹脂材料の表面にカルボキシル基を生成させることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の樹脂材料の表面改質方法において、前記表面改質剤は、アミノ基又はヒドロキシル基を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂材料の表面改質方法において、前記オゾン処理により樹脂材料の表面にヒドロキシル基を生成させることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の樹脂材料の表面改質方法において、前記表面改質剤は、カルボキシル基又はアルデヒド基を有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、表面改質樹脂材料において、樹脂材料の表面に、一般式
Figure 2009120666
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1以上6以下のアルキル基であり、mは、2以上6以下の整数、nは、1又は2である。)
で表される官能基を有する表面改質剤が0.03nmol/cm以上3nmol/cm以下導入されていることを特徴とする。
本発明によれば、ホスホリルコリン類似基を高密度で表面に導入することが可能な樹脂材料の表面改質方法及びホスホリルコリン類似基が高密度で表面に導入されている表面改質樹脂材料を提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明の樹脂材料の表面改質方法は、樹脂材料の表面をオゾン処理する工程と、オゾン処理により樹脂材料の表面に生成した官能基に対して反応性を有する官能基と、一般式
Figure 2009120666
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1〜6のアルキル基であり、mは、2〜6の整数、nは、1又は2である。)
で表されるホスホリルコリン類似基を有する表面改質剤を用いて、オゾン処理された樹脂材料の表面を改質する工程を有する。これにより、ホスホリルコリン類似基を高密度で表面に導入することができる。その結果、樹脂材料へのタンパク質やポリペプチドの吸着を効果的に抑制することができ、生体適合性の高い樹脂材料が得られる。
本発明において、オゾン処理により樹脂材料の表面が酸化される。このとき、オゾン処理により生成する官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、ケトン基等が挙げられるが、反応性が高いことから、カルボキシル基が好ましい。カルボキシル基に対して反応性を有する官能基としては、アミノ基、ヒドロキシル基等が挙げられるが、反応性が高いことから、アミノ基が好ましい。また、ヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基としては、カルボキシル基、アルデヒド基等が挙げられるが、反応性が高いことから、カルボキシル基が好ましい。さらに、アルデヒド基に対して反応性を有する官能基としては、アミノ基、ヒドロキシル基が挙げられる。
オゾン処理法は、樹脂材料の種類等に応じて、適宜選択すればよいが、例えば、40ppmの濃度でオゾンが溶解した水溶液に室温で15分間浸漬する方法が挙げられる。
表面を改質する樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
また、樹脂材料の形状としては、特に限定されないが、シート状、粒子状、管状等が挙げられる。
本発明において、ホスホリルコリン類似基を高密度で表面に導入するためには、表面改質剤は、分子量が255〜549であることが好ましく、255〜283がさらに好ましい。
以下、ホスホリルコリン類似基を有する表面改質剤について説明する。
まず、アミノ基を有する表面改質剤は、一般式(1)
Figure 2009120666
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1〜6のアルキル基であり、Aは、イミノ基、エステル結合又はアミド結合であり、Bは、炭素数が1〜3のアルキレン基、炭素数が1〜3のポリオキシエチレン基又はアリーレン基であり、mは、2〜6の整数、nは、1又は2である。)
で表される化合物であることが好ましい。
Aがイミノ基である場合、一般式(1)で表される化合物は、例えば、グリセロホスホリルコリンを過ヨウ素酸により酸化させて、アルデヒド基を有するホスホリルコリン誘導体を合成した後、アミノ基を有する化合物と縮合させることにより、合成することができる。また、Aがアミド結合又はエステル結合である場合、一般式(1)で表される化合物は、例えば、グリセロホスホリルコリンを過ヨウ素酸及び三塩化ルテニウムにより酸化させる方法でカルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体を合成した後、アミノ基又はヒドロキシル基を有する化合物と縮合させることにより、合成することができる。
Aがアミド結合又はエステル結合である場合、一般式(1)で表される化合物は、例えば、グリセロホスホリルコリンを過マンガン酸及び塩酸により酸化させて、カルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体を合成した後、アミノ基又はヒドロキシル基を有する化合物と縮合させることにより、合成することができる。
次に、一般式(1)で表される化合物の製造方法を具体的に説明する。
(アミノ基を有する表面改質剤の製造例1)
まず、化学式
Figure 2009120666
で表されるL−α−グリセロホスホリルコリン(市販品)を蒸留水に溶解させ、氷水浴中で冷却した後、過ヨウ素酸ナトリウムを添加し、5時間攪拌する。さらに、減圧濃縮及び減圧乾燥を行った後、メタノールで抽出することにより、化学式
Figure 2009120666
で表されるアルデヒド基を有するホスホリルコリン誘導体Aが得られる。
次に、ホスホリルコリン誘導体Aをメタノールに溶解させた後、エチレンジアミンを添加し、室温で撹拌する。さらに、氷水浴中で冷却した後、シアノヒドロホウ素化ナトリウムを添加し、室温に戻して16時間撹拌する。なお、反応容器には乾燥窒素を流し続ける。次に、ろ過により沈殿を除去した後、減圧濃縮及び減圧乾燥を行うことにより、化学式
Figure 2009120666
で表されるアミノ基を有するホスホリルコリン誘導体Bが得られる。
(アルデヒド基を有するホスホリルコリン誘導体Aの合成の確認)
L−α−グリセロホスホリルコリン450mgを蒸留水15mlに溶解させ、氷水浴中で冷却した後、過ヨウ素酸ナトリウム750mgを添加し、5時間攪拌した。次に、減圧濃縮及び減圧乾燥を行った後、メタノールで抽出することにより、ホスホリルコリン誘導体Aを得た。ホスホリルコリン誘導体Aの重水中のH NMRスペクトル(図1参照)から、ホスホリルコリン誘導体Aにアルデヒド基が導入されていることがわかる。
(アミノ基を有する表面改質剤の製造例2)
まず、L−α−グリセロホスホリルコリンの水溶液を氷水浴中で冷却した後、過ヨウ素酸ナトリウム及び三塩化ルテニウムを添加し、3時間攪拌する。次に、メタノールを添加して、さらに30分間攪拌した後、ろ過により沈殿を除去し、減圧濃縮及び減圧乾燥を行うことにより、化学式
Figure 2009120666
で表されるカルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体Cが得られる。
次に、ホスホリルコリン誘導体Cのメタノール溶液に、エチレンジアミンを添加した後、トリアジン型脱水縮合剤(DMT−MM)を添加し、3時間撹拌する。さらに、ろ過により沈殿を除去し、減圧濃縮及び減圧乾燥を行うことにより、化学式
Figure 2009120666
で表されるアミノ基を有するホスホリルコリン誘導体Dが得られる。
(カルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体Cの合成の確認)
L−α−グリセロホスホリルコリン500mgを蒸留水10mlに溶解させ、氷水浴中で冷却した後、過ヨウ素酸ナトリウム1700mgと三塩化ルテニウムを8mg添加し、室温で2時間攪拌した。次に、減圧濃縮及び減圧乾燥を行った後、メタノールで抽出することにより、ホスホリルコリン誘導体Cを得た。ホスホリルコリン誘導体Cの重水中のH NMRスペクトル(図2参照)から、ホスホリルコリン誘導体Cにカルボキシル基が導入されていることがわかる。
(アミノ基を有する表面改質剤の製造例3)
まず、L−α−グリセロホスホリルコリンを氷水浴中で冷却しながら、塩酸に溶解させた後、過マンガン酸カリウムを添加し、3時間攪拌する。次に、メタノールを添加して、さらに30分間攪拌した後、ろ過により沈殿を除去し、減圧濃縮及び減圧乾燥を行うことにより、ホスホリルコリン誘導体Cが得られる。
次に、ホスホリルコリン誘導体Cのメタノール溶液に、エチレンジアミンを添加した後、トリアジン型脱水縮合剤(DMT−MM)を添加し、3時間撹拌する。さらに、ろ過により沈殿を除去し、減圧濃縮及び減圧乾燥を行うことにより、ホスホリルコリン誘導体Dが得られる。
(ホスホリルコリン誘導体Cの合成の確認)
L−α−グリセロホスホリルコリン500mgを氷水浴中で冷却しながら、0.2M塩酸10mlに溶解させた後、過マンガン酸カリウム8800mgを添加し、室温で2時間攪拌した。次に、減圧濃縮及び減圧乾燥を行った後、メタノールで抽出することにより、ホスホリルコリン誘導体Cを得た。ホスホリルコリン誘導体Cの重水中のH NMRスペクトル(図3参照)から、ホスホリルコリン誘導体Cにカルボキシル基が導入されていることがわかる。
なお、アミノ基を有する表面改質剤は、アミノ基以外の官能基を有する表面改質剤の出発物質として用いることもできる。
オゾン処理により樹脂材料表面に生成したカルボキシル基と、アミノ基を有する表面改質剤は、一般的な反応によりカルボキシル基とアミノ基を脱水させることで、アミド結合を形成する。この反応は、特に限定されないが、通常、水中、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中、又は水と有機溶媒の混合溶媒中において、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系カップリング剤の存在下で進行する。このため、アミノ基を有する表面改質剤の添加量、触媒の添加量、反応温度、反応時間により、樹脂材料の表面に導入するホスホリルコリン類似基の密度を調整することができる。このようにして、化学的及び物理的に安定なホスホリルコリン類似基による表面改質を行うことができる。
さらに、オゾン処理により樹脂材料表面に生成したアルデヒド基と、アミノ基を有する表面改質剤は、一般的な反応によりアルデヒド基とアミノ基を縮合させることで、イミノ結合を形成する。この反応は、特に限定されないが、通常、水中、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒中又は水と有機溶媒の混合溶媒中において、塩酸、酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下、室温から100℃で進行する。このため、アミノ基を有する表面改質剤の添加量、酸触媒の添加量、反応温度、反応時間により、樹脂材料の表面に導入するホスホリルコリン類似基の密度を調整することができる。このようにして、化学的及び物理的に安定なホスホリルコリン類似基による表面改質を行うことができる。
また、ヒドロキシル基を有する表面改質剤としては、特に限定されないが、例えば、L−α−グリセロホスホリルコリン等が挙げられる。ヒドロキシル基を有する表面改質剤の製造方法としては、例えば、アルデヒド基を有するホスホリルコリン誘導体A又はカルボキシル基を有するホスホリルコリン誘導体Cを水素化ホウ素ナトリウム等により還元する方法が挙げられる。
オゾン処理により樹脂材料表面に生成したカルボキシル基と、ヒドロキシル基を有する表面改質剤は、一般的な反応によりカルボキシル基とヒドロキシル基を脱水させることで、エステル結合を形成する。この反応は、特に限定されないが、通常、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒中において、カルボニルジイミダゾール、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系カップリング剤、塩化チオニル、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リン、オキザリルクロライド等の触媒の存在下で進行する。このため、ヒドロキシル基を有する表面改質剤の添加量、触媒の添加量、反応温度、反応時間により、樹脂材料の表面に導入するホスホリルコリン類似基の密度を調整することができる。このようにして、化学的及び物理的に安定なホスホリルコリン類似基による表面改質を行うことができる。
さらに、オゾン処理により樹脂材料表面に生成したアルデヒド基と、ヒドロキシル基を有する表面改質剤は、一般的な反応によりアルデヒド基とヒドロキシル基を付加させることで、アセタール結合を形成する。この反応は、特に限定されないが、通常、水中、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の有機溶媒中又は水と有機溶媒の混合溶媒中において、塩酸、酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下、室温から100℃で進行する。このため、ヒドロキシル基を有する表面改質剤の添加量、酸触媒の添加量、反応温度、反応時間により、樹脂材料の表面に導入するホスホリルコリン類似基の密度を調整することができる。このようにして、化学的及び物理的に安定なホスホリルコリン類似基による表面改質を行うことができる。
また、カルボキシル基を有する表面改質剤としては、特に限定されないが、例えば、特開2006−111381号公報に開示されている化合物等が挙げられる。
オゾン処理により樹脂材料表面に生成したヒドロキシル基と、カルボキシル基を有する表面改質剤は、一般的な反応によりヒドロキシル基とカルボキシル基を脱水させることで、エステル結合を形成する。この反応は、特に限定されないが、通常、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒中において、カルボニルジイミダゾール、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド系カップリング剤、塩化チオニル、五塩化リン、オキシ塩化リン、三臭化リン、オキザリルクロライド等の触媒の存在下で進行する。このため、カルボキシル基を有する表面改質剤の添加量、触媒の添加量、反応温度、反応時間により、樹脂材料の表面に導入するホスホリルコリン類似基の密度を調整することができる。このようにして、化学的及び物理的に安定なホスホリルコリン類似基による表面改質を行うことができる。
また、アルデヒド基を有する表面改質剤としては、特に限定されないが、例えば、特開2006−111383号公報に開示されている化合物等が挙げられる。
さらに、オゾン処理により樹脂材料表面に生成したヒドロキシル基と、アルデヒド基を有する表面改質剤は、一般的な化学反応によりヒドロキシル基とアルデヒド基を付加させることで、アセタール結合を形成する。この反応は、特に限定されないが、通常、水中、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の有機溶媒中又は水と有機溶媒の混合溶媒中において、塩酸、酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の酸触媒存在下、室温から100℃で進行する。このため、アルデヒド基を有する表面改質剤の添加量、酸触媒の添加量、反応温度、反応時間により、樹脂材料の表面に導入するホスホリルコリン類似基の密度を調整することができる。このようにして、化学的及び物理的に安定なホスホリルコリン類似基による表面改質を行うことができる。
本発明において、樹脂材料の表面に導入された表面改質剤の密度は、過塩素酸を用いて前処理を行った後、モリブデンブルー法によりリンを定量することにより求められる(実験化学講座(14)第4版分析,3.8.2リン 丸善参照)。
本発明の表面改質樹脂材料は、樹脂材料の表面に、ホスホリルコリン類似基を有する表面改質剤が0.03nmol〜3nmol/cm導入されていることが好ましく、0.3nmol〜3nmol/cm導入されていることがさらに好ましい。これにより、生体適合性及び親水性に優れる樹脂材料が得られる。このような表面改質樹脂材料は、化粧料、人工臓器、手術用器具等の医用材料、クロマト用充填剤、アフィニティー粒子、塗料等の用途に応用することができる。
ポリスチレン製のウェルプレートを40ppmのオゾン水溶液に15分間浸漬させ、オゾン処理した。170mgのアミノ基を有するホスホリルコリン誘導体D、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド48mg、N−ヒドロキシスクシンイミド30mgを水50mlに溶解させた水溶液1mLを、オゾン処理したウェルプレートに入れて16時間静置し、ウェルプレートとホスホリルコリン誘導体Dを反応させ、表面にホスホリルコリン誘導体Dを0.3nmol/cm導入した。
未処理のウェルプレート、オゾン処理したウェルプレート及びPCで表面改質したウェルプレートに1μg/mLのFITC標識ウシ血清アルブミン溶液を500μL添加し、37℃にて1時間吸着させた。吸着後のアルブミン溶液の蛍光強度測定により吸着量を算出した。評価結果を図4に示す。図4から、表面改質したウェルプレートは、タンパク質の吸着を抑制することがわかる。
ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネート製の各樹脂板(1cm四方)を、80ppmのオゾン水溶液に15分間浸漬し、オゾン処理した。また、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)製の各樹脂板(1cm四方)に、UV照射を行いながら、80ppmのオゾン水溶液に15分間浸漬し、オゾン処理した。
次に、オゾン処理した各樹脂板を、アミノ基を有するホスホリルコリン誘導体D170mg、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド48mg、N−ヒドロキシスクシンイミド30mgを水50mlに溶解させた水溶液1mLに16時間浸漬し、各樹脂板の表面にホスホリルコリン誘導体Dを0.3nmol/cm導入した。
得られた樹脂板の静的接触角を液滴法で測定した。評価結果を表1に示す。
Figure 2009120666
表1から、表面改質した樹脂板は、接触角が減少し、親水化されていることがわかる。
ホスホリルコリン誘導体Aの重水中のH NMRスペクトルを示す図である。 ホスホリルコリン誘導体Cの重水中のH NMRスペクトルを示す図である。 ホスホリルコリン誘導体Cの重水中のH NMRスペクトルを示す図である。 実施例1のタンパク質の吸着量の評価結果を示す図である。

Claims (6)

  1. 樹脂材料の表面をオゾン処理する工程と、
    該オゾン処理により樹脂材料の表面に生成した官能基に対して反応性を有する官能基と、一般式
    Figure 2009120666

    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1以上6以下のアルキル基であり、mは、2以上6以下の整数、nは、1又は2である。)
    で表される官能基を有する表面改質剤を用いて、該オゾン処理された樹脂材料の表面を改質する工程を有することを特徴とする樹脂材料の表面改質方法。
  2. 前記オゾン処理により樹脂材料の表面にカルボキシル基を生成させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂材料の表面改質方法。
  3. 前記表面改質剤は、アミノ基又はヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項2に記載の樹脂材料の表面改質方法。
  4. 前記オゾン処理により樹脂材料の表面にヒドロキシル基を生成させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂材料の表面改質方法。
  5. 前記表面改質剤は、カルボキシル基又はアルデヒド基を有することを特徴とする請求項4に記載の樹脂材料の表面改質方法。
  6. 樹脂材料の表面に、一般式
    Figure 2009120666
    (式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数が1以上6以下のアルキル基であり、mは、2以上6以下の整数、nは、1又は2である。)
    で表される官能基を有する表面改質剤が0.03nmol/cm以上3nmol/cm以下導入されていることを特徴とする表面改質樹脂材料。
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