JP4530197B2 - フィルター材料 - Google Patents
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Description
特許文献1には、2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルの共重合体が製造され、特許文献2には2−メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンの単独重合体が製造されている。
特許文献3には、ホスホリルコリン基を有する重合体で被覆した医療用材料が記載されている。
特許文献4には、ホスホリルコリン基を有する重合体で被覆した分離剤が開示されている。
この方法によれば、ホスホリルコリン構造を有するポリマーを単に表面に物理的に被覆させるため、被膜の均一性や耐久性が十分であるとは言い難い。
無機材料においてナノオーダーで制御された均一孔を有する素材の一つとして、酸性浴中で陽極酸化条件を厳密に制御し、アルミニウムを陽極酸化したポーラスアルミナが知られている。
(1)
(2)
本発明のフイルター材料は、抗体、酵素などの分離、濃縮の他に血液透析用フィルターなどの広範囲な生体物質のろ過に有用である。
ステップ1:任意の担体に、公知の方法若しくは今後開発される方法にてアミノ基を導入する。アミノ基はフィルター担体表面に直接的に導入される。直接的とは、アミノ基を有する重合体で被覆する方法は含まないことを意味する。アミノ基は一級アミン若しくは二級アミンである。
ステップ2:アミノ基を有する担体に対し、グリセロホスホリルコリンの酸化的解裂反応により得られたアルデヒド体あるいはハイドレート体を、還元的アミノ化反応によって、ホスホリルコリン基をフィルター担体表面に直接的に付加させる。
これらの担体にアミノ基を導入する公知の方法(ステップ1)としては、下記が挙げられる。
窒素ガス雰囲気下で低温プラズマにより担体表面にアミノ基を導入する。具体的には担体となる粉体をプラズマ反応容器内に収容し、反応容器内を真空ポンプで真空にした後、窒素ガスを導入する。続いてグロー放電により、担体表面にアミノ基を導入できる。プラズマ処理した担体を機械的に粉体化することも可能である。プラズマ処理に関する文献を下記に示す。
1. M. Muller, C. oehr
Plasma aminofunctionalisation of PVDF microfiltration membranes: comparison of the in plasma modifications with a grafting method using ESCA and an amino-selective fluorescent probe
Surface and Coatings Technology 116-119 (1999) 802-807
2. Lidija Tusek, Mirko Nitschke, Carsten Werner, Karin Stana-Kleinschek, Volker Ribitsch
Surface characterization of NH3 plasma treated polyamide 6 foils
Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 195 (2001) 81-95
3. Fabienne Poncin-Epaillard, Jean-Claude Brosse, Thierry Falher
Reactivity of surface groups formed onto a plasma treated poly (propylene) film
Macromol. Chem. Phys. 200. 989-996 (1999)
アミノ基を有するアルコキシシラン、クロロシラン、シラザンなどの表面改質剤を用いて、水酸基含有フィルター担体表面を処理する。
例えば、1級アミノ基を有する3−アミノプロピルトリメトキシシランにより、ホウケイ酸ガラス繊維ろ紙を処理してアミノ基を導入する。具体的には、ホウケイ酸ガラス繊維ろ紙を水−2−プロパノール混合液中に浸し、3−アミノプロピルトリメトキシシランを添加後、100℃に加熱し6時間反応させる。室温に冷却後、ホウケイ酸ガラス繊維ろ紙をメタノールで洗浄し、乾燥してアミノ基がシリカ表面に直接導入されたフィルター材料が得られる。本法において好ましく処理される担体としては、ホウケイ酸ガラス以外に、シリカ、ゼオライト、アルミナ、粘土鉱物等の無機多孔質体、多孔質の有機高分子樹脂等が挙げられる。
フィルター担体をメタノール中に浸漬し、ホスファチジルグリセロアルデヒドを添加後、室温で6時間放置する。そして、シアノホウ素酸ナトリウムを0℃で添加、一晩加熱攪拌し、アミノ基にホスホリルコリン基を付加させる。フィルター担体をメタノールで洗浄後、乾燥し、ホスホリルコリン基を表面に直接有するフィルター担体が得られる。反応溶媒はメタノール以外にも水、エタノール、2−プロパノール等プロトン性溶媒であれば使用可能であるが、メタノールを用いた場合の導入率が高い傾向にある。
表面改質剤に3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いて、ホスホリルコリン基(PCと略す)を導入する方法のスキームをシリカの例にとって下記に示す。
上記の製造方法により、親水性のホスホリルコリン基を任意の量で含有するフィルター材料が簡単に得られる。
さらに、本発明におけるフィルター担体として、アルミニウムを酸性、あるいはアルカリ性電解液中において陽極酸化することにより得られ、フィルター面に垂直で均一な細孔径を有する直行細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナやこの陽極酸化ポーラスアルミナの基体を鋳型として転写し製造されるフィルター材料を用いることにより、このフィルター材料の細孔径の均一性が高いことを利用して、分子量の異なるタンパク質の精密な分画が可能なフィルター材料を提供することができるのである。
450mgのL−α−グリセロホスホリルコリンを15mLの蒸留水に溶解し、氷水浴中で冷却した。750mgの過ヨウ素酸ナトリウムを添加し2時間攪拌した。更に150mLのエチレングリコールを添加して1晩攪拌した。反応液を減圧濃縮、減圧乾燥し、メタノールにより目的物を抽出した。
構造式及びNMRスペクトルを図1に示す。
(ホスホリルコリン基結合ホウケイ酸ガラス繊維フィルター担体の調製)
100mL三角フラスコに15gのイオン交換水、15gの2−プロパノール、1gの3−アミノプロピルトリメトキシシランを入れかき混ぜた。これにワットマンジャパン株式会社製ホウケイ酸ガラス繊維フィルター(ガラス繊維ろ紙グレードGF/F)5枚を添加後、100℃に加熱し5時間還流煮沸した。室温に冷却後、フィルターをろ過、洗浄し、減圧乾燥してアミノプロピル基が直接的に導入されたホウケイ酸ガラス繊維フィルターを得た。
次にアミノプロピル基が直接的に導入されたホウケイ酸ガラス繊維フィルターを100mlのメタノールに入れ、合成例1により得られた化合物1gと混合し室温で5時間静置した。続いてこの混合液を氷浴中で冷却し、シアノヒドロホウ酸ナトリウム0.3gを添加し、室温で一晩撹拌した後、フィルターをろ過、メタノールで洗浄、減圧乾燥して目的とするホスホリルコリン基を表面に直接有するホウケイ酸ガラス繊維フィルターを得た。
10mgのウシ血清アルブミン(BSA)を100mLのリン酸緩衝液(タカラバイオ社製PBSタブレット1錠を蒸留水に溶解し、全量を100mLとしたもの。pH7.4〜7.5)に溶解しBSA溶液とした。3本のポリプロピレン製30mLサンプル管にBSA溶液を2.0gずつ取り、このうち1本のサンプル管に実施例1で調製したホウケイ酸ガラス繊維フィルター(PC処理フィルター)を別の1本のサンプル管に未処理のホウケイ酸ガラス繊維フィルター(未処理フィルター)を入れ浸漬させた。24時間室温(25℃)で放置し、Lowry法にて3本それぞれのサンプル管から採取したBSA溶液を発色させ、吸光光度分析することによりフィルターへのBSA吸着量を定量した。その結果を「表1」に示す。
実施例1のホウケイ酸ガラス繊維フィルターをワットマンジャパン株式会社製アルミナ製メンブレンフィルター(ANOPORETM孔径0.02μm、直径25mm)に変更した以外は同様の方法にて、アルミナ製フィルター材料を製造した。
99.99%のアルミニウム板をアセトン中に一日浸漬し脱脂し、電解研磨後、0.5mol/Lのシュウ酸浴中で、16℃40Vで5時間陽極酸化を行った。陽極酸化終了後、酸化クロム−リン酸水溶液中に15時間浸漬し、アルミニウム表面に形成されたアルミナ層を一旦除去し、再度0.5mol/Lのシュウ酸浴中で、16℃40Vで15時間陽極酸化を行った。その後、塩化水銀(II)の飽和溶液中で数時間浸漬することでアルミニウムを完全に溶解し、イオンミリング装置等によりアルミナ底部のバリヤー層を除去することで約60nmの細孔を有するポーラスアルミナを作製した。
実施例1のホウケイ酸ガラス繊維フィルターを、陽極酸化アルミナフィルター15×30mmに変更した以外は同様の方法にて、陽極酸化アルミナ製フィルター材料を製造した。
本発明のフィルター材料は、抗体、酵素などの分離、濃縮や血液透析、血液フィルターなどの血液浄化、分析等の広範囲な生体物質のろ過に有用である。
Claims (3)
- 前記フィルター担体が、ホウケイ酸ガラス繊維フィルターであることを特徴とする請求項1記載のフィルター材料。
- 前記フィルター担体が、アルミニウムを酸性、あるいはアルカリ性電解液中において陽極酸化することにより得られ、フィルター面に垂直で均一な細孔径を有する直行細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナであることを特徴とする請求項1記載のフィルター材料。
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