JPH0817631B2 - コンバインにおける揺動選別装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、コンバインにおける揺動選別装置に関する
ものである。

＜従来の技術＞ 普通コンバインのように扱室内に穀稈と共に供給する
ものは、稈切れ或は穂切れ、小枝梗等の未処理物も漏下
体から漏下する（送塵口からも排出される）ため、漏下
体の目合いはある程度大きく設定されている。一方自脱
型のコンバインにおいても、扱室で脱粒されたものを速
やかに漏下させないと穀粒損傷を来したり、滞動穀粒の
増大によりササリ粒や３番損失の原因となると共に、扱
室の負荷が大となって能率を低下させるため、漏下体の
目合いを通常のものよりも粗大に構成したものも見受け
られる。

＜発明が解決しようとする問題点＞ しかし、扱室漏下体の目合いを大きくすると、稈切や
未処理物の漏下も多くなって、選別作用に悪影響を与え
ることになる。そのため近時、漏下体の下方にチャフシ
ーブを設け、このチャフシーブの目合いを扱室からの漏
下量の多寡に対応して可変に構成したものも提供されて
いる。しかしながら、単にチャフシーブの目合いを変化
させるのみでは低能率時から高能率時の各状態に応じ適
切な層状選別作用及び風選別作用を保持しながら良好な
選別性能を発揮させることは困難であった。

＜問題点を解決するための手段＞ そこで本発明は、扱室６の漏下体８下方にチャフシー
ブ12を揺動自在に設けたものにおいて、上記チャフシー
ブ12を支持する揺動枠27に対してチャフシーブ12の傾斜
角度を緩急調整自在に構成するとともに、チャフ シー
ブ12を構成する多数の横桟22の傾斜角度を、横桟を支持
する チャフシーブ側枠23に対して緩急調整することに
より、チャフシーブ12の目合いｃを大小可変調整可能に
構成し、チャフシーブ12の傾斜角度を急傾斜にしたとき
は目合いｃが大となり、チャフシーブ12の傾斜角度を緩
傾斜にしたときは目合いｃが小となるようにチャフシー
ブ12の目合い可変機構ａをチャフシーブ12の傾斜角度調
整機構ｂに連動連結したことにより、低能率状態から高
能率状態のいずれの状態においても常に良好な選別作用
を維持させることができるようにしたものである。

＜作用＞ 低能率時即ち、扱室で発生漏下する穀粒及び未処理物
（被選別物）が少ない場合は、チャフシーブ上を比重差
による層状態（重い穀粒は下、軽いワラ屑等は土）で揺
動移送される被選別物の層状態が薄くなるため、穀粒の
漏下率が良過ぎる結果となり上層の屑や稈切り等もチャ
フシーブの目合いから下方の精粒漏下網上に落下し易く
なる。このような場合には、チャフシーブの角度操作に
よりその傾斜角度を緩くすればチャフシーブ上の被選別
物の移送速度が早くなり、また上記角度操作に連動して
チャフシーブの目合いが小さくなるため、穀粒の漏下率
が低下することと相俟って精粒漏下網上への稈切れ等の
落下混入が防止される。

また、高能率時においてはチャフシーブ上の被選別物
の層状態が厚くなる（下層の穀粒層も厚くなる）が、こ
のような場合はチャフシーブの傾斜角度を急にすれば、
被選別物の移送速度が遅くなるうえ、チャフシーブの目
合いが大きくなるため厚層の穀粒でもチャフシーブ通過
過程で略全量精粒漏下網上に漏下すると共に、チャフシ
ーブを通過浮上する唐箕からの風量が多くなってチャフ
シーブから精粒漏下網上に落下する稈切れ等が少なくな
る。このため精粒漏下網上においては、低能率状態又は
高能率状態のいかなる状態においても常に良好な精選別
作用が行われる。

＜実 施 例＞ 第１図は普通型コンバインの全体的な構造を示すもの
であって、リール１で刈取対象の穀稈を引寄せて刈刃２
で株元を切断し、刈取穀稈はオーガ３により機体の幅方
向中央に寄せられ、更に搬送装置４で揚上搬送され、上
端供給口５から扱室６内に投入されるようになってい
る。７は扱胴、８は扱胴７に対設された漏下体、９は送
塵口、10は扱胴軸7aに平行して漏下体８の下方に横架さ
れた螺旋移送体である。上記漏下体８の下方には段付き
移送体11、チャフシーブ12、精粒漏下網13、ストローラ
ック14等からなる揺動選別体Ａが設けられている。15は
唐箕、16は１番螺旋、17は２番螺旋、18は排塵口、19は
副唐箕、20は２番物還元筒体、21はクローラ走行装置で
ある。

第２図及び第３図は上記チャフシーブ12の斜視図及び
分解斜視図で、断面Ｌ字型状に形成された横桟22の両端
には突子22a,22bが夫々突設されており、突子22aは側枠
23の上部に設けた丸穴23aに、突子22bは丸穴23aの下方
に位置して該丸穴23aと互違いい状に側枠23に設けた円
弧穴23bに夫々嵌入されている。そして突子22a,22bには
合成樹脂等で形成されたコ字型状連結具24が側枠23の外
方から差込まれており、各横桟22は側枠23に添接された
連結杆及び上記連結具24等からなる目合い可変機構ａを
介して連動連結されている。25aは連結杆25に設けた嵌
合孔である。

またチャフシーブ12は移送終端側が支点軸26を介して
揺動枠27に枢支され、始端側がステー27a及びスプリン
グ28を介し始端側が低い傾斜状態で揺動枠27に吊下され
ている。29は左右の側枠23を連結する連結棒、30は連結
杆25の始端部に突設したピンで、これら連結棒29の突出
端とピン30は揺動枠27に設けた傾斜状のガイド長孔27a,
27bに遊嵌されている。30aはピン30に嵌装されたローラ
である。31aは脱穀側板31に設けた開口部、32、33はゴ
ム又はスポンジ等の弾性部材である。第７図乃び第８図
は横桟22の他の実施例であり、鉄板製の横桟本体22′の
左右両端部に合成樹脂製の連結部22′ａを結合したもの
であって、このものは鉄板部分は折曲加工のみでよいの
で加工を簡単に行うことができる。

第９図は各横桟22の回動支点を上記本実施例とは逆の
傾斜下端側に設けたものである。34は運転席（図示せ
ず）近傍に設けたチャフシーブ12の傾斜角度調整用操作
レバーで、各操作レバー34はワイヤ35を介して前記連結
棒29に連結され、このレバー34の操作によりチャフシー
ブ12の傾斜角度を緩急自在に調整し得るようになってい
て、これらによりチャフシーブ12の角度調整機構ｂが構
成されている。そしてチャフシーブ12の傾斜角度を急傾
斜にしたときは目合いｃが大となり、緩傾斜にしたとき
は目合いｃが小となるように角度調整機構ｂは前記目合
い可変機構ａに連動連結されている。

即ち、チャフシーブ12が支点軸26を中心にして始端側
がスプリング28に抗し下方に回動し急傾斜になると、連
結杆25に突設したピン30と揺動枠27に設けた傾斜状の案
内長孔27bとの嵌合構成により連結杆25がチャフシーブ1
2の終端方向に向け強制的に移動せしめられ、これによ
り各横桟22が上部突子22aを中心にして回動起立し、隣
接する横桟22相互間の目合いｃが大となり（第３図II参
照）、またチャフシーブ12が上方に回動し緩傾斜になる
と連結杆25及び各横桟22が夫々上記とは逆の方向に移動
して目合いｃが小に変化するものである。

一方、上記レバー34はワイヤ36を介して唐箕15の風量
調節用シャッタ15aに連結されていて、レバー34をチャ
フシーブ角度急側（高能率時）に操作するとシャッタ15
aが開側に回動し唐箕15の風力が増大するようになって
いる。37はシャッタ15aの回動支点、38は吸気口、39は
スプリングである。

尚、唐箕15の回転数を変えて風力の増減を図るように
してもよい。また、チャフシーブ12の傾斜角度及び目合
い調整・唐箕の風量調整を自動化してもよい。例えば、
穀稈移送装置ｄの適所に穀稈移送量を感知するセンサｓ
を付設し（第11図参照）或は２番物の還元量を感知する
センサｓを付設し（第１図参照）又は扱室漏下体８下方
に被選別物の量を感知するセンサｓを付設したり（第１
図参照）、チャフシーブ12上の被選別物重量をスプリン
グ28で感知する等して被選別物の多寡に応じてチャフシ
ーブ12の傾斜角度等を自動的に調整するものである。刈
取速度又は車速レバーｅに連動構成（第12図参照）して
もよい（高速時はチャフシーブ急傾斜、低速時は緩傾斜
とする）。

上記のような構成において、穀粒等の被選別物の発生
量が少ない低能率時には、操作レバー34を緩傾斜側に操
作する。これによりワイヤ35が緩むためチャフシーブ12
がスプリング28の張力により支点軸26を中心にして始端
側が上方に回動しその傾斜角度が略水平に近い緩傾斜と
なると共に、それに連動してチャフシーブ12の目合いｃ
が小さくなる。これにより、チャフシーブ12上の被選別
物の移送速度が早くなり、目合いｃからの穀粒等の漏下
率が低下するため、薄い層状態であってもチャフシーブ
12における層状選別作用は良好に保持される。また、チ
ャフシーブ12下方の精粒漏下網13上には稈切れ等の混入
が防止され、殆ど穀粒のみが落下するようになるので常
に良好な精選別作用が行われる。

ところで、低能率時には唐箕15の圧風が強過ぎるとチ
ャフシーブ12の目合いｃから浮上した圧風で３番飛散を
きたしたり２番還元量の増大を招く不都合があるが、上
記レバー操作により唐箕15の風力が減少するため、目合
いｃが小さくなることと相俟って上記の不都合は解消さ
れる。

一方穀粒等が多量に発生する高能率時には、操作レバ
ー34を急傾斜側に傾動すれば、チャフシーブ12が急傾斜
となり、目合いｃも大となる。これにより上記の場合と
は逆に被選別物の移送速度が遅くなりまた漏下率もアッ
プするため、厚い層状態であっても下層の穀粒はチャフ
シーブ12の移送過程で分散しながら殆ど漏下し、上層の
稈切れ等の精粒漏下網13上への落下も防止される。また
上記レバー操作により唐箕15の圧風が増大するため、目
合いｃの拡大と相俟って大量の穀粒層といえども良好な
選別作用が行われる。

尚、本実施例では、チャフシーブ12の角度調整等を手
動で行うようにしたものであるが、穀稈搬送量や被選別
物の量等をセンサｓにより感知し或いは刈取速度・車速
等に連動せしめると共に、モータやソレノイド等適宜の
駆動源を利用し、チャフシーブ12の傾斜角度等を被選別
物の量に応じて自動的に調整するようにすれば、オペレ
ータの労力が軽減すると共に、高性能化が達成できる。

＜発明の効果＞ 上記のように構成される本発明によれば、穀粒等の被
選別物の発生量が少ない低能率時には、チャフシーブを
緩傾斜側に操作することにより、その傾斜角度が排風方
向に対して緩傾斜となるとともに、それに連動してチャ
フシーブの目合いが小さくなる。これによりチャフシー
ブ上の被選別物の移送速度が早くなり、目合いからの穀
粒等の漏下率が低下するため、薄い層状態であってもチ
ャフシーブにおける層状選別作用は良好に保持される。

一方、穀粒等が多量に発生する高能率時には、チャフ
シーブを急傾斜側に傾動させることにより、チャフシー
ブが排風方向に対して急傾斜となり、目合いも大とな
る。これにより上記の場合とは逆に被選別物の移送速度
が遅くなりまた漏下率もアップするため、厚い層状態で
あっても下層の穀粒はチャフシーブの移送過程で分散し
ながら殆ど漏下し、上層の稈切れ等の下方への落下も防
止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を装備した普通型コンバインの縦段側面
図、第２図はチャフシーブの一部切欠傾斜図、第３図Ｉ
はチャフシーブの分解斜視図、同IIはチャフシーブの目
合いが変化する状態を示す作用説明図、同IIIは連結具
の正面図、第４図はチャフシーブの正面図、第５図及び
第６図は夫々要部の断面図及び側面図、第７図及び第８
図は横桟の他の実施例を示す正面図及び分解斜視図、第
９図は横桟の更に他の実施例を示す側面図、第10図は唐
箕の風力調整機構の平面図、第11図は穀稈搬送装置（排
ワラ装置）の正面図、第12図I,IIは夫々変速レバーをチ
ャフシーブに連動連結した構造の縦断正面図及び作用説
明図、第13図は目合い可変機構の縦断正面図、第14図は
チャフシーブ支点軸部の正面図である。 6:扱室 8:扱室の漏下体 12:チャフシーブ a:チャフシーブの目合い可変機構 b:チャフシーブの角度調整機構 c:チャフシーブの目合い

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】扱室（６）の漏下体（８）下方にチャフシ
   ーブ（12）を揺動自在に設けたものにおいて、上記チャ
   フシーブ（12）を支持する揺動枠（27）に対してチャフ
   シーブ（12）の傾斜角度を緩急調整自在に構成するとと
   もに、チャフシーブ（12）を構成する多数の横桟（22）
   の傾斜角度を、横桟を支持するチャフシーブ側枠（23）
   に対して緩急調整することにより、チャフシーブ（12）
   の目合い（ｃ）を大小可変調整可能に構成し、チャフシ
   ーブ（12）の傾斜角度を急傾斜にしたときは目合い
   （ｃ）が大となり、チャフシーブ（12）の傾斜角度を緩
   傾斜にしたときは目合い（ｃ）が小となるようにチャフ
   シーブ（12）の目合い可変機構（ａ）をチャフシーブ
   （12）の傾斜角度調整機構（ｂ）に連動連結したことを
   特徴とするコンバインにおける揺動選別装置。