次に、本発明の構成の形態を、図面に基づいて説明する。図1はコンバイン全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は本発明に係る選別装置の全体構成を示す機体進行方向に対する左側面図、図4は選別装置の動力伝達構成の一構成例を示すスケルトン図、図5は同じく他の構成の動力伝達構成を示すスケルトン図、図6は二番処理装置の内部構造を示す正面図、図7は同じく選別装置との配置関係を示す斜視図、図8は二番処理装置の取付構造を示す図、図9は二番処理装置と扱胴との配置関係を示す正面図、図10は二番処理装置の筒体の展開図、図11は二番処理装置の内部構成を示す機体進行方向に対する右側面図、図12は同じく正面図、図13は図11の構成における二番処理装置への駆動伝達構成を示すスケルトン図、図14は二番処理装置の配置を示す機体進行方向に対する正面図、図15はツースバーの配置を示す機体進行方向に対する右側面図、図16はツースバーの取外しや開閉を示す機体進行方向に対する右側面図、図17は二番処理装置の二番還元コンベアとの配置関係を示す斜視図である。また、以下の説明中において、前後方向は、機体進行方向及び反機体進行方向を基準とし、左右方向は、機体進行方向Fにおける左右方向を基準とする。さらに、上下方向は、機体の上下方向を基準とする。
まず、図1及び図2を用いて、コンバインの全体構成から説明する。本構成例におけるコンバインでは、機体フレーム29に架設したトラックフレーム27にクローラ式走行装置2を装設し、該機体フレーム29上方に脱穀装置9を配設している。該脱穀装置9では、フィードチェーン7を機体進行方向左側に張架し、扱胴20及び送塵口二番処理胴21(図2)を内蔵している。そして、油圧シリンダ111(図1)によって刈取フレーム112を介して昇降できるように構成された刈取装置8では、前端に分草板3を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース26を立設して該引起しケース26より突出したタイン24の回転により穀稈を引き起こして、分草板3後部に配設した刈刃5にて株元を刈り取り、刈り取られた穀稈を、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置6等の穀稈搬送機構110にて後部へ搬送し、フィードチェーン7に受け継ぐようにしている。
前記脱穀装置9後方に位置する排藁処理部16には、上部に排藁チェン114の終端が位置し、下部に排藁カッター装置17が配置される。また、選別後の精粒は後述する一番コンベア22より揚穀コンベア13を介してグレンタンク12に搬入し、排出オーガ95によって前記グレンタンク12内の穀粒を機外に排出できるようにしている。そして、グレンタンク12の前方に位置する運転部19内には、運転操作部119及び運転席120(図2)を備え、エンジン121(図2)を運転部19下方に設けて、該エンジンから動力を取り出して連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
次に、選別装置1及び脱穀装置9について説明する。図3及び図4に示すごとく、脱穀装置9に形成された扱室122には機体の前後方向に軸架する扱胴20を内設させ、扱口123より該扱室122に穀稈を挿入するよう構成している。前記扱室122下方にクリンプ網31を張架させ、揺動選別装置125は前記クリンプ網31下方に前端を臨ませて前後方向に揺動自在に支持されている。前記クリンプ網31の下方に揺動選別装置125の第一・第二フィード板52・53を上下二段に配設し、フルイ線54を前フィード板52の後端側に上下揺動自在に設け、チャフシーブ55を後フィード板53後端後方に連設し、また、グレンシーブ49をチャフシーブ55下方に配設している。また、チャフシーブ55後部と揺動本体50後部との間には、固定チャフ部57が配されている。また、正面視において、扱胴20の右側には、送塵口二番処理胴21を並設し、側面視において、その前部を扱胴20の後部にラップさせ、扱胴20で処理しきれなかった穂切粒・枝梗付着等を処理し、送塵口二番処理胴21の下部に配するクリンプ網21aより脱粒された穀粒を固定チャフ部57上に落下させるようにしている。また、揺動本体50後部下面は、クランク軸等の揺動駆動機構48によって揺動駆動可能に連結されている。
また、両フィード板52・53の上下間に選別風を送給するプレファンである送塵ファン131と、チャフシーブ55とグレンシーブ49間及びグレンシーブ49下方に選別風を送給するメインの送風装置である唐箕25からの送風により、クリンプ網31・21aを漏下した穀粒の拡散が行なわれる。そして、穀粒と穀粒藁とが比重選別と風選別により一番物と二番物と藁屑等に選別が行なわれる。なお、前フィード板52と後フィード板53の上側表面は、板体を波状に成型し、穀粒を後方に搬送しやすい形状をしている。
前記グレンシーブ49下方に横設される一番コンベア22は、揚穀コンベア13に連通して前記グレンタンク12に穀粒を取り出す構成としている。また、一番コンベア22の後方には、二番コンベア23が横設され、該二番コンベア23に回収される二番物を、二番還元コンベア14に搬送する。そして、該二番還元コンベア14により、二番物は、該二番還元コンベア14の前方側端部に連結した二番処理装置10まで搬送され、該二番処理装置10内の二番処理胴により枝梗を除去された後、揺動本体50の選別開始部に再投入される構成となっている。
また、前記揺動選別装置125の後端上方には、吸引ファン30が配設され、該吸引ファン30により、藁屑を吸引し、機体後部より排出するようにしている。
このような構成において、前記フィードチェーン7により挟持された穀稈は、後方へ搬送されながら前記脱穀装置9の扱室122に備えられた扱胴20の回転によって脱粒され、排藁等は後方の排藁カッター装置17に送られて切断後に後方より圃場に放出される。一方、クリンプ網31を漏下した穀粒・藁屑等は、揺動選別装置125上に落ち、そこで揺動選別されながら後方へ送られる。そして、この穀粒・藁屑等は、前記チャフシーブ55やグレンシーブ49等を通過して流穀板等にガイドされながら一番樋上に落下し、その落下途中において、送塵ファン131及び唐箕25から供給された選別風によって風選別が施される。
次に、図5に示すスケルトン図を用いて、選別装置の動力伝達構成について説明する。コンバインのエンジン121の左右方向に出力軸60を突出し、該出力軸60の一端(左側)をギアケース59に入力して、該ギアケース59より、クローラ式走行装置2(走行ミッションケース)・引起し・刈取装置8・選別装置1・脱穀装置9(扱胴20・送塵口二番処理胴21)へ駆動を分配する構成としている。
一方、前記出力軸60の他端(右側)より、プーリーやベルトや連動軸やベベルギアを介して排出コンベア93に動力を伝達し、更に、縦コンベア94、排出オーガ95を駆動する構成として、グレンタンク12(図1)内に貯留した穀粒を排出可能としている。
以上の構成の中から、選別装置1への駆動伝達について詳述すると、前記ギアケース59より側方に駆動軸61を突出し、該駆動軸61の端部のベベルギア66を、機体の左側部に配する動力伝達部に入力して、プーリー、ベルトを介し、唐箕25・一番コンベア22といった順に動力を伝達する構成としている。
更に、前記一番コンベア22のコンベア軸96の左端よりプーリー・ベルトを介して、二番コンベア23・揺動駆動機構48・吸引ファン30・排藁カッター装置17へ駆動を伝達する構成としている。また、前記一番コンベア22の他側にベベルギアを介して揚穀コンベア13を駆動しており、一番コンベア22によって搬送された穀粒が揚穀コンベア13を介して前記グレンタンク12(図1)に搬送される。そして、前記二番コンベア23の他端部より、ベベルギアを介して二番還元コンベア14を駆動する。また、該二番還元コンベア14の他端は二番処理装置10へ連通している。
以上が選別装置1の構成であって、次に各部の詳細について説明する。まず、二番処理装置10への駆動伝達構成について説明する。図4の構成例では、駆動源であるエンジン121からの駆動は、出力軸60、ギアケース59、駆動軸61、唐箕25、一番コンベア22、二番コンベア23、二番還元コンベア14、そして、該二番還元コンベア14の末端から二番処理装置10へ伝達される構成としている。この構成では、ベベルギア36・37を介して、二番還元コンベア14の下流に二番処理装置10を配置し、お互いを連動連結している。一方、図5の構成例では、前記二番還元コンベア14の終端近傍に、二番処理胴11(図5)を備える二番処理装置10を配置し、唐箕25の動力を伝達して前記二番処理胴11を駆動する構成としている。また、二番コンベア23の動力は、二番還元コンベア14のコンベア軸34へ伝達される。図4の構成例では、二番処理装置10の負荷が二番還元コンベア14に影響し、二番還元コンベア14と、二番処理装置10との間の駆動伝達部材(ベベルギア36・37)や該部材は、剛性の確保のために重量を増さなければならないといった問題がある。
これに対し、図5の構成例では、二番処理胴11の回転駆動を二番還元コンベア14より取出す必要がなくなることから、伝動経路が短くなりベベルケース等を排除でき、部品点数の削減によるコスト削減と、構造のシンプル化・軽量化を図ることができる。また、二番還元コンベア14に二番処理胴11の駆動分の負担がかからないことから、例えば、図4の構成例では、駆動伝達軸としても機能させるために十分な強度が必要であったコンベア軸34を、単なる回転軸として機能させることが可能となって、駆動軸を細く構成することができるのである。このように、構成部品の軽量化が図れるのである。なお、本構成例では、唐箕25より駆動チェーン32・スプロケット33を介して伝達する構成を示しているが、一番コンベア22(図5)より二番処理胴11に回転駆動を伝達する構成としてもよい。
次に、二番処理装置10について説明する。まず、二番還元コンベア及び二番処理装置に係る技術について述べる。コンバインにおいて、選別装置より選別した後の二番物を、二番コンベア、二番還元コンベアを介して二番処理装置へ送り、該二番処理装置により枝梗等を取り除いた後に、再び選別装置へ戻す二番物還元サイクルが採用されている。これらの構成としては、例えば、日本特許第2589965号、日本特許出願公開昭和(以後、「特開昭」)61−021026号、特開昭61−021027号、日本実用新案出願公開昭和(以後、「実開昭」)62−004935号、実開昭58−055442号に開示される如くである。これらは、いずれも、平面視で回転軸を扱胴の回転軸と平行に配置した二番処理装置を開示している。
また、二番還元コンベアから二番処理装置への二番物の受渡しについては、いずれも、二番処理装置の筒体の始端側面、即ち、日本特許第2589965号以外では、鉛直平坦な始端面に、二番還元コンベアとの連通孔を設けている。また、日本特許第2589965号においても、二番還元コンベアと二番処理装置の駆動軸が、斜め上向きの共通軸となっている。従って、二番還元コンベアと二番処理装置との間の二番物の受け渡し方向は、二番処理装置の筒体の軸芯方向であって、略水平方向、或いは、斜め上方に受渡しされることとなる。
まず、二番還元コンベア及び二番処理装置に係る技術における課題として、二番還元コンベアから二番処理装置への受渡し方向が、略水平方向、或いは斜め上方になっていることにより、二番還元コンベアと二番処理装置との間で、二番物が詰まりやすい。特に、二番処理装置における二番物の滞留期間を長く設定すると、更にこの傾向は強まる。また、二番処理装置は、回転歯の回転で搬送しながら処理するのであるが、二番処理装置内での穀粒の移動速度、つまり、処理能力を変えることができないため、稲や麦等の穀物の種類によって処理具合を変えることができなった。そのため、稲用に設定した場合には、枝梗付着の無い稲、又は麦刈取作業時は、穀粒が損傷することがあり、また、麦刈り用に設定した場合には、枝梗の多い稲は、枝梗を完全に除去されないという不具合があった。このことから、本発明では、選別装置の選別性能・枝梗除去の精度の向上、機体のコンパクト化を図ることを課題としている。
図6乃至図8に示すごとく、二番処理装置10は、二番処理胴11を二番還元コンベア14の前終端下方に配置しており、駆動軸11aを左右方向に横架している。前記二番処理胴11の外周面には、回転歯44・44・・・が、適宜間隔を開けて配置されている。該二番処理胴11は筒体45内に収納され、該筒体45の右側上後部に投入口41を設けて二番還元コンベア14と連通されている。該筒体45の内側面には、ツースバー(固定側処理刃)51・51・・・や、後述する制御弁63・63・63が突設されている。二番処理装置10は、グレンタンクの裏側、つまり、正面視グレンタンクの右側で選別装置1の左側に位置している。よって、グレンタンク12を開放することによって二番処理装置10をメンテナンスすることができるようになっている。即ち、二番処理装置10は、グレンタンクの裏側へ設け、グレンタンクを開放することによってアクセス可能、つまり、グレンタンク開放側から二番処理装置10の点検や修理等といったメンテナンスが可能となっている。また、筒体45の左側下方に排出口42を設けて、選別装置1の開始部に臨ませて配置している。該排出口42の前部又は側部には穀粒ガイド板43を上下方向に配置して落下する穀粒が飛散しないようにガイドしている。
ここで、二番処理装置10と二番還元コンベア14との取付構造については、筒体45に二番処理胴11を回転駆動自在に構成した二番還元処理機構において、筒体45の上面(右側上後部)に投入口41を設け、該投入口に二番還元コンベア14の終端の開口を連通させ、二番処理胴11に対し、上方から二番物を落下投入する構成としている。このように、筒体に二番処理胴を回転駆動自在に収納して二番還元処理機構を構成し、前記筒体の周状面に投入口を設け、該投入口に二番還元コンベアの終端の開口を連通させたので、二番還元コンベアより還元される二番物を余すことなく筒体内に落下投入することができ、しかも、二番還元コンベアの終端の開口の内側面に二番物が付着しづらいので(二番物が開口より自由落下するため)、二番還元コンベアの終端での二番物の詰まりの心配がない。
また、図8に示すごとく、二番処理装置10は、扱胴20のグレンタンク側の隔壁80に設けた開口に、筒体45の一側(機体正面視右側)を挿入し、隔壁80内に排出口42を配するようにするとともに、筒体45外周と隔壁80間にフランジ板81を挟装する構成とし、フランジ板81を隔壁80に対しボルト固定することで、隔壁80に支持・固定されている。即ち、扱胴20が収容される空間(扱室)とは、別の空間を筒体45で形成し、両空間をフランジ板81で接合することにより、両空間で一つの密閉空間を形成している。また、扱胴20の側方には、前記隔壁80の上部に連続して隔壁88が設けられ、扱室と外部の空間とを仕切る構成としている。該構成により、二番処理装置10に不具合が生じた際には、フランジ板81を取外すだけで、容易に二番処理装置10をアセンブリーで摘出することが可能となり、メンテナンス性・作業性の向上が図られている。また、本構成であれば、二番還元コンベア14と、二番処理装置10は、完全に別体で構成されるため、上述したように二番処理装置10の不具合の場合においても、二番還元コンベア14は取外すことなく、両者を個別に扱えるとともに、脱穀処理量の対応した二番処理装置10の容量の変更や、取付角度の微調整といった設計変更に柔軟に対応することができる。
以上の構成において、二番還元コンベア14からの二番物の流れを説明すると、二番物は、投入口41より二番処理装置10内へ投入された後、二番処理胴11の回転により、該二番処理胴11の外周に備える回転歯44・44・・・と、二番処理装置10の外枠を構成する筒体45の内側面に突設したツースバー51・51・・・とにより、枝梗を除去されつつ排出口42まで搬送され、該排出口42から下方に向けて排出された後、該排出口42の近傍に配置された穀粒ガイド板43に当たって、選別装置1の選別開始部、即ち、前フィード板52の前方表面上へ落下するように案内される。本構成例では、該穀粒ガイド板43の配置は、排出口42の前方とし、該排出口42の開口が、機体正面視中央側にかけて広くなるように構成されている。
そして、以上の構成により、次の二つの効果が得られる。まず、第一の効果として、投入口41と排出口42の位置関係が、二番処理装置10の内部空間における最長距離、即ち、対角の関係となるように、一方を正面視左上方とし、他方を正面視右下方としているので、二番物を二番処理胴11の回転歯44・44・・・及びツースバー51・51・・・に対して効果的に作用させることができ、枝梗除去の効率を上げることができる。次に、第二の効果として、排出口42より排出される二番物を、穀粒ガイド板43に当てることで、該二番物を無造作に飛散させることなく、前フィード板52の前方表面上へ確実に落下させることができる。このように、前フィード板52の前方表面上に落下させることで、前フィード板52を移動させる距離を十分に確保し、二番物を拡散させ、穀粒層を薄くすることができ、一番コンベア22への漏下が行われ易くなる。即ち、選別性能の向上が図られるのである。
次に、図7に示すごとく、前記二番処理胴11は、平面視において、機体進行方向と直交して配置し、該二番処理胴11の回転方向は、機体進行方向左側面視において、時計回りとしている。この二番処理胴11の回転方向(図7中矢印L)により、前記投入口41より投入される二番物が、筒体下方の排出口42から排出される際には、二番処理胴11の回転による風の流れによって前方(機体進行方向)に向けて流され、前フィード板52の前方に排出されるようになる。
こうして、前フィード板52を移動させる距離を十分に確保し、二番物を拡散させ、穀粒層を薄くすることができ、一番コンベア22への漏下が行われ易くなる。即ち、選別性能の向上が図られるのである。また、上述した穀粒ガイド板43に、排出後の二番物を確実に当てることができるので、穀粒ガイド板43による選別性能の向上をさらに効果的なものにすることができる。
次に、図3、図5、及び図9に示すごとく、前記二番処理胴11の軸方向と、選別装置上方に備える扱胴20の軸方向とは、平面視において、直交する関係とし、前記二番処理装置10の正面視右手側は、正面視において扱胴軸心Gの略左斜下方としている。これは、扱胴20の下方に配置されるクリンプ網31は、正面視において扱胴20の側面形状に沿う形状としているので、該正面視における扱胴20の軸心を中心とした第三象限S3においては、二番処理装置の正面視右側端部と、扱胴20の軸心との水平距離を、扱胴20の胴半径よりも短く構成することができことから、二番処理装置を扱胴20の軸心に可能な限り近づけているのである。
そして、以上の構成により、次の二つの効果が得られる。まず、第一の効果として、扱胴20に対し、二番処理装置10を可能な限り近づけることができるので、扱胴20と二番処理装置10が占める横幅空間をコンパクトにでき、選別装置1及び脱穀装置9のコンパクト化を図ることができる。次に、第二の効果として、二番処理装置10の正面視右側下方に備える排出口42を、選別装置1の正面視中央位置に近い位置に構成することができるので、該排出口42から落下する二番物を、左右方向に拡散されやすい位置、即ち、前フィード板52の中心に近い位置に落下させることができるので、穀粒層を薄くすることができ、一番コンベア22への漏下が行われ易くなる。即ち、選別性能の向上が図られるのである。
次に、図6及び図10示すごとく、前記二番処理装置10の二番処理胴11を覆う筒体45の内面に、複数のツースバー51・51・・・を設け、該ツースバー51・51・・・に下流側方向へ向くリード角を持たせている。
該ツースバー51・51・・・は、二番処理胴11の回転歯44・44・・・とともに、二番物を擦るようにして枝梗を除去する機能を果たすものである。このことから、枝梗を完全に除去させるためには、ツースバー51・51・・・と回転歯44・44・・・との面が正面視平行となるようにして、二番物の図6の紙面における右方向の送りを遅くさせることが望ましい。言い換えるならば、二番処理装置10内に長くとどめるほど処理効率は上がるといえる。
しかし、多量の二番物が送りこまれた場合には、二番処理装置10での処理が追いつかず、二番処理装置10の詰まりが生じてしまう場合がある。一方で、少量の二番物を長期間、二番処理装置10にとどめてしまうと、回転歯44・44・・・及びツースバー51・51・・・により、二番物を傷つけてしまい、品質のよい穀粒が回収できなくなってしまう。
そこで、複数あるツースバー51・51・・・のうち、一部のツースバー51・51・・・に、その立設表面の前後方向の一端を、下流側、即ち、排出口42側に傾けたリード角を持たせることにより、二番物を下流側に流れやすくするように構成した。
このリード角は、図10の筒体45の展開図に示すところの角度Rであって、筒体45を展開した状態で、かつ、内側面を上側とする平面視において、ツースバー51・51・・・を投入口41から排出口42側へ角度R分だけ傾かせているのである。なお、リード角を持たせるツースバー51・51・・・の数は、任意とし、選別装置1、二番処理装置10等の処理能力によって、適宜設計されるものである。
こうして、二番物が多い場合・少ない場合でも、枝梗の除去に適正な期間だけ二番処理装置10内にとどめることができ、二番処理装置10のパフォーマンスを最大限に発揮させることができる。
さらに、リード角を有するツースバー51・51・・・により、二番物が排出口42側へ送られ易くなっていることから、二番物が極端に少ない場合においても、二番物が二番処理装置10内に詰まるといった不具合が生じることもないのである。
次に、二番処理装置の構成の他の構成例について説明する。なお、本構成例における二番処理装置10への駆動伝達構成については、図11及び図12に示すごとく、駆動源であるエンジンからの駆動は、出力軸、ギアケース、一番コンベア22、二番コンベア23等を介して、二番還元コンベア14に伝達され、該二番還元コンベア14の末端から二番処理装置10へ伝達する構成とするものであり、二番還元コンベア14のコンベア駆動軸70終端にベベルギア71を設け、スプロケット72、チェーン73を介して、駆動軸11aに動力を伝達し、二番処理胴11を回転する構成とするものである。なお、該駆動伝達構成については、上述の構成例の構成(図4に示すスケルトン図のごとくの構成)としてもよい。つまりは、二番還元コンベア14のコンベア駆動軸と、二番還元処理胴11は増速させて駆動伝達している。また、細かくは、『スプロケット72→チェーン73→スプロケット72a』の構成で、駆動伝達するものとしている(図13に示すスケルトン図)。
次に本構成例における二番処理装置において、要部となる制御弁63について図11及び図12を用いて説明する。制御弁63は、投入口41の下方の、二番処理装置10の外枠を構成する筒体45の内側面に設けられ、二番処理装置10内の二番物の送り速度を調節するものである。制御弁63は、駆動軸11aと直角方向に形成した弁部と、筒体45に固定するための弁部と直角に配置した面よりなる固定部よりなり、該固定部の上部には回動部75が、下部には支持部76が形成されている。該支持部76において、制御弁63と筒体45は、制御弁63下部でボルトなどの固定手段で、枢結されている。たとえば、制御弁63下部と筒体45には、ボルト孔が設けられ、筒体45内部から該ボルト孔にボルト76aを挿通して、筒体45外部からナット76bを締め付けることにより固定できるようにしている。
前記回動部75において、制御弁63の固定部の上部にボルト孔が穿設されている。一方、筒体45に前記ボルト76aを中心とした円弧状の長孔45aが穿設され、該長孔45aにボルト75aを挿通し、筒体45内部からボルト75aを挿通し、筒体45外面にボルト75aを突出させ、制御弁63とボルト75aをロックノブ65で固定する。制御弁63は複数設けられており、連結手段となる連杆64により連結されて、角度変更可能としている。つまり、連杆64は筒体45外面に配設され、該連杆64には一定間隔をおいて複数のボルト孔64a・64a・64aが穿設されている。該ボルト孔64a・64a・64aに、筒体45内面から突出した前記ボルト75a・75a・75aを挿通し、筒体45外部からロックノブ65・65・65で締め付け、連杆64を介して制御弁63・63・63を筒体45に固定している。本構成例では、制御弁63、連杆64のボルト孔64a、ロックノブ65を各々三個配設したが、数は限定されるものではない。
このような構成にすれば、支持部76のボルト76aが回動支点となり、ボルト76aを中心に制御弁63が回動するので、制御弁63の角度を調節することができる。また、複数の制御弁63を連杆64でつないでいるので、連杆64を動かすことで、複数の制御弁63を同時に同一角度傾けることができる。また、連杆64により長孔45aを閉じることができて穀粒の漏れを防止できる。こうして、制御弁63の角度を変えれば、二番処理装置内の二番物の送り速度を変えることができる。例えば、枝梗付着の無い稲又は麦刈取作業時は、制御弁63の上部を投入口41側に倒すことで、筒体45内部の二番物をはやく送り出すことができ、二番物の損傷をなくすことができる。
一方、枝梗の多い稲の時は、制御弁63上部を排出口42側に傾けることで、筒体45内部に二番物を長くとどめて、二番物とチリをよくもむことで、枝梗を取り除き精選率を良くすることができる。そして、この制御弁63の角度を変える作業は、容易に行なえることができる。即ち、二番処理装置10は、二番処理胴11を二番還元コンベア14の前終端下方に配置され、二番処理装置10はグレンタンクの裏側、つまり、正面視グレンタンクの右側で選別装置1の左側に位置しているので、グレンタンク12を開放することによって二番処理装置10をメンテナンスすることができ、制御弁63の調整が容易にできるのである。
また、図14に示すように、二番処理装置10の中心線(筒体45、駆動軸11aの軸心線)を水平線より角度A1だけ出口側が下がるように配設している。この角度A1は排出を助長できる角度でよく、自然に転がり落ちるほど急な角度とはしない。このように、二番処理装置10を斜めに配設することで、排出口42が下がり、筒体45内部の二番物が排出口42から出やすくなり、作業終了時に二番物が筒体45内部に残るのを防ぐことができる。また、筒体45が傾斜しているので、掃除等がし易くなる。
さらに、ツースバー51を、側面視において、筒体45の最下部に位置しないように配設している。つまり、ツースバー51が筒体45の底部にあると、二番物がツースバー51に詰まり、二番物が筒体45内部に残りやすい。そのため、図15に示すように、筒体45の下側内部において、B1の距離だけ離れてツースバー51を配設するとともに、駆動軸11aの中心を通る鉛直線上と筒体45の内部と交わる位置から所定距離離れてツースバー51を配設し、底部近傍にはツースバー51を配設しない構成としている。このような構成にすることで、筒体45内部に、二番物が残りにくく、また、清掃等がし易くなる。
また、筒体45内部の掃除がしやすいように、ツースバー51は、取外し又は開閉できる構成とした。図16に示すように、筒体45に、筒体45下部に回動部68が、筒体45上部に取外し部67が配設されている。回動部68は、ツースバー51・51、筒体45の一部、回動軸66aと取付部66bで構成されている。回動部68の一端には、回動軸66aが配設され、回動部68は、回動軸66aを中心に回動する。また、筒体45外面に、回動部取付プレート45bがボルトなどの固定手段で固設され、該回動部取付プレート45bに、回動軸66aが固設されている。回動部68の他端には取付部66bが配設されている。該取付部66bは、筒体45外面に突設されている取付部45cにボルト・ナットなどの固定手段で、着脱可能に固定されている。取付部66bのボルトを外せば、回動部68は回動軸66aを中心に回動する。
取外し部67は、ツースバー51・51、筒体45の一部と取付部67a・67aで構成されている。取外し部67の両端には、取付部67a・67aが配設されている。該取付部67a・67aは、筒体45外面に突設されている取付プレート45d・45dにボルト・ナットなどの固定手段で、着脱可能に固定されている。取付部67a・67aのボルトを外せば、取外し部67を簡単に取り外すことができる。
また、二番処理装置10は、機体内部のグレンタンク12に並設されているため、グレンタンク12を機体外方に開放することによって、二番処理装置10をメンテナンスすることができ、回動部68の回動や、取外し部67を取り外しての清掃作業が容易に行なえる。このように、二番処理装置10を、グレンタンクの裏側、つまり、正面視グレンタンクの右側で選別装置1の左側に位置させることで、筒体45内部を簡単に清掃することができ、また、筒体45内部のメンテナンス性にも優れたものにすることができる。
また、図17に示すごとく、支持アーム46aを筒体45の左側端部69の内側面より突設し、該支持アーム46aにて駆動軸11aの左側端部を枢支する構成とし、また、支持アーム46aを側面視三角形状の枠体として開口47を形成し、筒体45の内部と、前記扱室122を連通する構成とすることで、筒体45の左側面の開口が極力広く形成されている(筒体45が支持アーム46aによって、塞がれないということ)。このような構成で、筒体45に過剰な二番物の投入があった場合においても、開口47の構成により、筒体45全体としての開口を広く形成したので、該筒体45の左側開口全体(開口47を含む)より、扱室122内に二番物を逃がすことができるので、筒体45が詰まることがない。なお、同図に示す支持アーム46bのごとく、一本のスポーク85より支持する構成であっても、上記と同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の脱穀処理量に応じ、揺動選別装置のチャフシーブの開度の自動調節を行なう構成について説明する。図18は、本構成を実施する際の選別装置の構成の一例を示す側面図である。また、図19は第一実施例の第一形態に係るチャフシーブ部及びシャッタ部と排藁量との関係説明図、図20は同じくコンバインの脱穀装置の制御回路図、図21は第一実施例の第二形態に係るチャフシーブ部及びシャッタ部と排藁量との関係説明図、図22は同じくコンバインの脱穀部の制御回路図、図23はチャフシーブ及びシャッタ部の側面図、図24はチャフ及び切換レバー部の側面図、図25はチャフ開度調節部の正面図、図26は同じく側面図、図27は排藁チェン部を示す図、図28は脱穀部背面の断面図、図29は選別流量センサの側面図、図30は同じく背面図である。
また、図31はチャフシーブの開度と排藁量の関係を示す図、図32はチャフワイヤのストロークと排藁量の関係を示す図である。図33は検出アーム及びチャフワイヤの連結部を示す図、図34はチャフワイヤのストロークを示す図である。また、図35は第二実施例に係る検出アーム及びチャフワイヤの連結部を示す図、図36は同じくチャフシーブ及びシャッタ部の側面図、図37はチャフワイヤのストロークと排藁量の関係を示す図、図38はチャフシーブの開度と排藁量の関係を示す図である。また、図39は検出アーム及びチャフワイヤの連結部の構成の一例を示す図である。
以下では、本発明に係るコンバインの脱穀装置9の、脱穀処理量に応じ揺動選別装置125のチャフシーブ55の開度を自動調節するようにした構成について詳細に説明する。但し、本実施例では脱穀処理量を排藁量より検知できるよう構成している。また、以下に示す第一実施例においては、チャフシーブ55の開度制御の構成として第一形態と第二形態を提案する。
第一形態では、図19及び図20に示すごとく、前記チャフシーブ55の開度を調節するチャフレバー138と、前記送塵ファン131及び唐箕25の側方に設けたファンシャッタ139(図23)・140の開度を調節するシャッタレバー141とに、夫々チャフワイヤ142及びシャッタワイヤ143を接続して、他方を前記排藁チェン114のチェンガイド144に連動連結させて、排藁量の多少によってチャフシーブ55の間隔を大小に変化させるよう構成している。すなわち、チャフシーブ55の開度を機械的に制御している。
第二形態では、図21及び図22に示すごとく、前記チャフシーブ55の開度を調節するチャフレバー138と、前記送塵ファン131及び唐箕25の側方に設けたファンシャッタ139・140の開度を調節するシャッタレバー141とに、夫々チャフワイヤ142及びシャッタワイヤ143を接続して、他方を前記排藁チェン114のチェンガイド144に連動連結させて、排藁量の多少によってチャフシーブ55の間隔を大小に変化させ、さらに、選別流量センサ172により検知したチャフシーブ55上の穀物流量の増減に基づいてモータ157を駆動制御して、設定開度に調節されるチャフシーブ55の開度補正を行うように構成している。すなわち、チャフシーブ55の開度を機械的機構により変化させたうえで、コントローラにより開度補整をして、チャフシーブ55の開度を制御している。
以上のように、第二形態は第一形態に開度補正の過程を付加したものであるので、本実施例においては、第二形態についての説明し、第一形態についての説明は省略することにする。
図21乃至図27に示すごとく、前記排藁チェン114には排藁を挟持するために下側にチェンガイド(挟扼杆)144が配置され、該チェンガイド144に検出リンク145が垂設され、該検出リンク145に検出板146が当接されて、該検出板146に検出アーム147が連動連結されている。こうして排藁の通過によってチェンガイド144が上下に変動し、アーム軸148を中心として検出アーム147が回動しシャッタワイヤ143を引っ張る状態のとき、シャッタレバー軸150を中心として、シャッタレバー141を反時計方向に回転させて、ファンシャッタ139・140によって閉塞される送塵ファン131及び唐箕25右側方の空気取入口151・152の開度を大とさせるように構成している。
また、チャフワイヤ142を引っ張る状態のとき、前記チャフレバー138をレバー軸149を中心として反時計方向に回転させ、チャフシーブ55左右両端の下端側を支持する下部可動板153を移動させて、チャフシーブ55を構成する各チャフフィン154・154・・・の傾斜角を大(立てる)とさせるとき、このチャフシーブ55の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィン154・154・・・の傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ55の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
さらに、前記チャフワイヤ142のチャフレバー138側のアウタ142aを、前記レバー軸149を中心として回動自在な切換レバー155のワイヤブラケット156に支持すると共に、チャフ開度モータ157で操作される開度調節シリンダ158のシリンダアーム158a先端に揺動アーム159及び切換ワイヤ160を介して前記切換レバー155を連動連結させて、前記シリンダ158の進退駆動によって切換レバー155をレバー軸149を中心に揺動させるとき、チャフワイヤ142のアウタ142aを移動させてチャフシーブ55の開度調節を行うように構成している。
前記チャフレバー138、切換レバー155及びシリンダ158は脱穀側板161の外壁に固設するベース台162・163にそれぞれ取付け、ベース台162と切換レバー155間、及びチャフレバー138と切換レバー155間にそれぞれ戻りバネ164・165を介設させると共に、前記切換ワイヤ160のアウタ160aの一端側をベース台162に、またアウタ160aの他端側をベース台163に固定する取付台166のワイヤブラケット167に取付けている。
そして、前記取付台166に固設する軸受板168の軸受169に、前記揺動アーム159中間のアーム軸170を揺動自在に支持させると共に、揺動アーム159の一端側に前記切換ワイヤ160の他端側を連結させ、また、揺動アーム159の他端側に前記シリンダアーム158aの先端を連結させて、該シリンダアーム158aを進退させるとき、揺動アーム159を介して切換ワイヤ160を引っ張り或いは弛めて切換レバー155を回動させるように構成している。なお、171は前記チャフレバー138の移動位置を検出するチャフ位置センサである。
そして、前記チャフシーブ55の送り始端上方に、チャフシーブ55上の穀物の流圧を検出するポテンショメータ式選別流量センサ172を設けて、チャフシーブ55上の穀物流量の増減に基づいて前記モータ157を駆動制御して、設定開度に調節されるチャフシーブ55の開度補正を行うように構成している。
図28乃至図30に示すごとく、前記選別流量センサ172は扱胴20の右側で後方に並設する送塵口二番処理胴21の側板173の入口側板174に取付けると共に、背面視において二番コンベア23の二番処理物を揺動選別装置125に還元する二番還元出口175近傍に配備させている。前記側板173の固定取付板176にボルト177を介しセンサ台178を左右位置調節自在に取付け、該センサ台178にポテンショメータ179を固設する門形のメータ取付板180をボルト181を介し上下位置調節自在に取付けている。そして、前記ポテンショメータ179のメータ軸179aに揺動自在に固設する前側の傾斜状の検出板182を、チャフシーブ55上の風を含んだ穀物の流れ内に臨ませて、該検出板182で受ける穀物の流圧によってチャフシーブ55上の穀物流量を検出するように構成している。
また、前記選別流量センサ172は前側の検出板182の後側位置に下部を錘り183aに形成する垂直状の復帰片183を一体に設け、メータ軸179aから検出板182最下端までの距離L1に対し、メータ軸179aから復帰片183最下端までの距離L2を小に設け、穀物の流れを検出板182のみに作用させ復帰片183には作用させないように設けて、この検出精度を向上させると共に、穀物の流れの停止時には前記復帰片183の自重によって検出板182を初期姿勢に戻すように構成している。
また、図21及び図22に示すごとく、稲麦切替スイッチ184によって、稲及び麦の品種によってチャフシーブ55開度の標準位置の切換えを行うよう構成しており、麦選択の場合は若干閉側に標準位置をオフセットする。また、補正選別調節ダイヤル185によって、湿材或いは枝梗の多少によってチャフシーブ55開度の標準位置の切替を行なうよう構成しており、湿材の場合は開側に、枝梗の場合は閉側にオフセットする。前記稲麦切替スイッチ184及び補正選別調節ダイヤル185は、運転操作部119に設けた図示せぬ操作パネルに設けられている。
そして、図2及び図22に示すごとく、刈取装置8の引起しケース26の裏側位置に取付けて刈取られる穀稈の長さを感知する穀稈センサ187と、運転操作部119の作業クラッチレバー188による刈取クラッチの入切を感知する刈取スイッチ189と、フィードチェーン7の送り終端側で該フィードチェーン7の駆動を入切するフィードチェンクラッチ190と、刈取装置8を車速同調より一定回転駆動に切換える刈取クイックスイッチ191と、前記開度調節シリンダ158によって操作される切換レバー155の操作位置を検出するチャフアウタセンサ192と、本機のミッションケースに設けて車速を検出する車速センサ193と、前記チャフ位置センサ171と、選別流量センサ172とを入力接続させるコントローラ194を備えると共に、前記チャフ開度モータ157のモータ駆動回路199にコントローラ194を出力接続させて、該チャフ開度モータ157の駆動制御を行うように構成している。
上述のごとく構成したチャフシーブ55が、排藁量を検出する検出アーム147とチャフワイヤ142による機械的制御によりチャフシーブ55開度を変化させるときは、チャフワイヤ142のストローク(引っ張り量)に対応してチャフシーブ55の開度が変化するように構成されている。図39に示す従来の構造では、検出板146に対して、検出アーム147’は相対的に略直角の位置にあり、検出板146及び検出アーム147’が一定の角度を保持した状態でアーム軸148を中心として回動するように構成されていた。以下、この構造を「タイプB」と記載する。
上述のタイプBでは、図31に示すごとく、排藁量に対するチャフワイヤ142のストローク(197)の変化量は一定であり、図32に示すごとく、チャフシーブ55の開度(197a)は排藁量と比例する。しかし、比較的容量の大きい脱穀機では、脱穀の処理能力を向上するためにチャフシーブ55の面積も拡張されており、脱穀量が少ない段階で必要以上にチャフシーブ55の開度が大きくなって稈が中途で切れたり枝梗粒の選別能力が低下したりすることが問題となっている。
そこで、本発明に係る構成においては、図31に示すごとく、排藁量に対するチャフワイヤ142のストローク(198)の変化量が増加するように、検出アーム147の形状を決定している。すなわち、排藁量が多くなり処理量が増加するに従ってチャフワイヤ142のストロークが非線形的、言い換えるならば、放物線状に増加して、図32に示すごとく、排藁量が多くなるほどチャフシーブ55の開度(198a)の変化量が排藁量が少ないときと比べて大幅に増加するようにしているのである。
詳しくは、図33に示すごとく、チャフシーブ55の開度が最小である状態において、検出板146の回動中心であるアーム軸148と、検出アーム147に連結されたチャフワイヤ142のワイヤブラケット195とを結んだ直線上に該検出アーム147の長尺方向を向けて、アーム軸148、検出アーム147、チャフワイヤ142及びワイヤブラケット195が略直線上に位置するようにしている。以下、この構造を「タイプA」と記載する。なお、タイプBでは検出アーム147’を一部材で構成して、一部材にチャフワイヤ142とシャッタワイヤ143の二本のワイヤを連結しているが、タイプAではチャフワイヤ142とシャッタワイヤ143が同一直線上にある検出アーム147の回動位置が存在するため、ワイヤ同士が干渉しないように検出アーム147を二部材で構成している。
前記タイプAでは、排藁量が増加すると図34の矢印201に示す軌道を描いて検出板146がアーム軸148を中心として回動し、これに伴って検出アーム147が矢印202に示す軌道を描いてアーム軸148を中心として回動する。検出アーム147がこのような軌道を描くとき、検出アーム147の回動角度が一定に増加するときは、排藁量が多いときは排藁量が少ないときと比べて、チャフワイヤ142及びシャッタワイヤ143のストロークの変化量が大きくなる。タイプAではタイプBと比べてこの傾向が顕著に現れて、排藁量が増加するに従ってチャフワイヤ142のストロークが非線形的に増加して、排藁量が多くなるほどチャフシーブ55の開度の変化量が排藁量が少ないときと比べて大幅に増加する。このように、タイプAではシンプルな構造でありながらも良好で確実な制御をすることができて、選別性能の向上に寄与している。また、タイプBの構造をタイプAに変換する際には、検出アーム147を取り替えてワイヤブラケット195の位置を変更するのみでよいので、比較的低コストで良好な選別性能を得ることができる構造に変更することができる。
そして、上記タイプAにおけるチャフワイヤ142と同様に検出アーム147に連結されたシャッタワイヤ143においても、排藁量が増加するに従って該シャッタワイヤ143のストロークが非線形的に増加して、排藁量が多くなるほどシャッタ139・140の開度の変化量が排藁量が少ないときと比べて大きくなり、より脱穀処理量に応じた送風量とすることができる。
また、上述の構成では、チャフワイヤ142をチャフレバー138に連結して機械的制御によりチャフシーブ55の開度を変化させて、チャフ開度モータ157に連結された切換レバー155で開度を微調整するよう構成しているが、チャフワイヤ142のストロークをコントローラ194により制御されたチャフ開度モータ157によって調整することも可能であり、以下に第二実施例として示す。
図35及び図36に示すごとく、排藁量を検出する検出アーム147’に連結されたチャフワイヤ142のワイヤブラケット195近傍に、チャフシーブ55の基本角度を変化させるためのアクチュエータであるチャフ開度モータ157を配設して、該チャフ開度モータ157により伸縮駆動される開度調節シリンダ158のシリンダアーム168aとワイヤブラケット195とを直接連結するようにしている。
そして、コントローラ194が前記チャフ位置センサ171や選別流量センサ172等の各センサからの情報により適切なチャフシーブ55の開度を演算して、前記チャフ開度モータ157のモータ駆動回路199にコントローラ194を出力接続させて、該チャフ開度モータ157の駆動制御して開度調節シリンダ158を伸縮させるように構成している。従って、チャフワイヤ142及びシャッタワイヤ143のストロークは、開度調節シリンダ158のシリンダアーム158aに固定されたワイヤブラケット195の位置調整によって微量調整される。
上述のごとく構成すれば、チャフシーブ55の開度をチャフレバー138で変化させて、さらに、切換レバー155でその開度を微量調整する構成と比較すると、チャフレバー138の操作源が二箇所から一箇所に減少し、さらに、チャフレバー138を引くチャフワイヤ142の制御をワイヤブラケット195近傍で行うので、制御精度の向上が期待される。そして、切換レバー155によりチャフシーブ55の開度を調整する必要がないので、切換レバー155と開度調節シリンダ158のシリンダアーム158aとを連結していた切換ワイヤ160及びその周辺の部材が不要となり、構成部品点数を削減することができて、組立工程の簡易化及びコスト削減の点で優位である。
上述の第二実施例によれば、コントローラ194を設定することによって第一実施例(図31の198)で示すように排藁量に対するワイヤストロークを変化させることができる。また、図38のタイプC(210a)に示すように予め単数又は複数の基準排藁量(基準脱穀処理量)(n1・n2・・・)を決定し、該基準排藁量(n1・n2・・・)に達するまでは排藁量に対するワイヤストロークが直線的に増加し、基準排藁量(n1・n2・・・)を境界としてワイヤストロークの変化量が増加するように制御することもできる。このとき、排藁量に対するチャフシーブ55の開度(図38の210)も基準排藁量(n1・n2・・・)を境界として開度の変化量が増加する。さらに、変化量は基準排藁量(n1・n2・・・)を境界として大きくするだけでなく変化量をゼロにすることもできて、チャフシーブ55の開度が一定である排藁量の区間をつくることもできる。なお、基準排藁量(n1・n2・・・)の数を増加させることによってより精密な制御が期待される。また、上述したようなワイヤストロークの変化の形態は、コンバインの能力及び形態に応じ、より最適なものを選択することが好ましい。
なお、本実施例では、排藁チェンによって搬送される排藁量より排藁処理量を検知するよう構成しているが、脱穀処理量の検知方法はこれに限定されるものではなく、例えば、フィードチェーン7によって搬送される穀稈の量や、揺動選別装置125上の処理量を知ることで脱穀処理量を検知できるように構成することもできる。
次に、脱穀処理量の増減に応じて自動的にチャフシーブの開度調節が行なわれるとともに、該開度調節は、脱穀処理量が少ない場合には、閉じ勝手に調整が行なわれるように構成した開度調節機構について説明する。図40は、脱穀処理量が所定値よりも少ない場合には閉じ勝手に開度調整が行なわれ、該所定値を変更可能とする構成の一例を示す図、図41は同じく他の構成を示す図、図42は図40又は図41の構成における脱穀処理量とチャフシーブ開度の関係を示す図である。
この構成は、前記検出リンク145(図40)と検出板146の距離を、機械的に調整することにより、検出リンク145が検出板146に作用するまでに必要な排藁量の変化量を変化させることで、排藁量(脱穀処理量)が所定値よりも多い場合にのみ行なわれる構成とするとともに、前記所定値を変更可能にした構成(機械的制御)、または、コントローラ194(チャフ開度モータ157)によるチャフレバー155の補正によって、検出リンク145の作用によるチャフワイヤ142の引張りに抗して、切換ワイヤ160を切換レバー155(図24)に作用させることにより、排藁量(脱穀処理量)が所定値よりも多い場合にのみ行なわれる構成とするとともに、前記所定値を変更可能にした構成(電気的制御)である。ここで、「脱穀処理量が所定値よりも少ない場合には閉じ勝手に開度調整が行なわれる」とは、図42に示す曲線301のごとく、脱穀処理量が処理量302よりも多い場合にのみ、チャフシーブの開度が変更されるということであり、「所定値を変更可能」とは、処理量302の幅が変更可能ということである。
以下、本構成の具体的な実施例について説明する。図40は、上記タイプAの構成において、機械的制御を適用した構成を示すものである。検出アーム147の近傍に、ブラケット241を配し、該ブラケット241より、ステー244を突設し、該ステー244にストッパーボルト242をねじ込み可能に螺接し、ステー244の前後に規制ナット243を締結し、ストッパーボルト242の先端のストッパーピン245を、検出アーム147の側面に当接可能に構成する。そして、調整長さ79を、ストッパーボルト242のねじ込みにより、調整可能とし、該調整長さ79の変更で、検出リンク145の底部に備える当接端77と検出板146との当接距離78を変更可能に構成する。この構成で、調整長さ79を増加させると、当接距離78が増加し、逆に、調整長さ79を減少させると、当接距離78が減少することになる。
そして、当接距離78を増加させた場合には、増加させる前と比較して、検出板146に当接端77が作用するまでに必要となる排藁量(脱穀処理量)が多く必要とされる。即ち、チャフシーブ55の開度調節が開始されるまでに要される排藁量(脱穀処理量)が多く必要となり、言い換えれば、所定の排藁量(所定値)に至るまでは、チャフシーブ55の開度調節が開始されない、又は、所定値(排藁量(脱穀処理量))よりも少量である場合においては、チャフシーブ55の開度調節が行なわれないということができる。このようにして、排藁量(脱穀処理量)が少量である場合においては、チャフシーブ55の開度を大きくしない(最小)に維持することで、比重の軽い枝梗粒・藁等のチャフシーブ55からの漏下を妨げるようにして、一番コンベア22で回収される穀粒の品質を向上させるとともに、これら枝梗粒・藁等を二番コンベア23に導いて、二番還元量を増加させ、二番処理装置10における枝梗処理を施すことができる。なお、図41は、検出アーム147及び検出板146の他の構成における実施例であり、該構成である場合は、図42の線303のごとく、排藁量が少ない場合には、開度が閉じ勝手に調整される変化特性を示すようになる(区間302では、チャフシーブ55は開かず、排藁量(脱穀処理量)が所定値よりも多い場合に、開度調整が行なわれるということ)。
次に、電気的制御について説明する。該電気的制御は、図22乃至図24の構成において、コントローラ194によるチャフ開度モータ157の作動を制御し、検出リンク145の作用によるチャフワイヤ142の引張りに抗して、切換ワイヤ160を切換レバー155(図24)に作用させることにより、脱穀処理量が所定値よりも多い場合にのみチャフシーブの開度調整を行ない、また、コントローラ194にて、該所定値を変更可能とするものである。また、該電気的制御の構成であれば、図42における処理量302を、補正選別調節ダイヤル185(図20)の操作により変更可能に構成とすることも可能である。
次に、「精選別」を適切に行い選別能力の向上を図るとともに、二番還元量を増加させ、品質の向上を図る構成について説明する。図43は、精選別を適切に行い選別能力の向上を図るとともに、二番還元量を増加させ、品質の向上を図った選別装置の構成を示す図である。
この構成は、チャフシーブを漏下する前、及び、漏下した後の穀粒・藁等に選別風を効果的に作用させることにより、グレンシーブ49上に穀粒・藁等が堆積することを防止して、「精選別」を適切に行えるようにするとともに、一番コンベア22に漏下しグレンタンク12に搬送されるところの穀粒を、あえて、二番コンベア23へ導くことにより、二番還元量を増加させ、品質の向上を目的とするものである。
即ち、図43に示すごとく、一番物を、一番コンベアと揚穀コンベアを介してグレンタンクに搬送する一番回収機構と、二番物を、二番コンベアと二番還元コンベアを介して二番処理装置へ送り、該二番処理装置により枝梗等を取り除いた後に、再び選別部へ再投入する二番物還元サイクル機構と、一又は複数のファンから構成する風選別機構と、揺動選別装置と、一番コンベア上方を流れる選別風を、前方から後方に流す風路とを備えることである。また、前記一番コンベアに穀粒を導く第一流穀板に前低後高の傾斜を構成し、該第一流穀板に衝突する前記選別風を、後方斜め上方へ導く風路を形成するものである。
以下、該構成の詳細及び作用・効果について詳述する。図43に示すごとく、一番回収機構は、一番コンベア22・揚穀コンベア13・グレンタンク12(図1)より構成されるものである。また、二番還元サイクル機構は、二番コンベア23・二番還元コンベア14・二番処理装置10より構成されるものである。また、風選別機構は、プレファンである送塵ファン131と、メインの送風装置である唐箕25より構成されるものである。
また、揺動選別装置は、上から順に、前フィード板52→後フィード板53・チャフシーブ55・固定チャフ部57→流穀板58・グレンシーブ49を横設してなるものであり、揺動本体50内部を層状に分割し、前記風選別機構により生じる選別風を通過させる複数の風路を形成するようになっている。
この風路については、図43に示すごとく、前フィード板52と後フィード板53の間の空間を、第一風路401とし、該第一風路401には、送塵ファン131により生じる第一選別風501が流れるものとしている。この第一風路401は、略水平に横設される前フィード板52と後フィード板53によって形成されるため、第一選別風501は、前方から後方に流されるとともに、吸引ファン30との吸引力とも相まって、前記クリンプ網31・21aより漏下する軽量の穀粒(未熟粒)や枝梗粒、藁等をより後方に導くように作用する。
また、後フィード板53と流穀板58の間の空間を第二風路402とし、該第二風路402には、唐箕25により生じる第二選別風502が流れるものとしている。この第二風路402は、略水平に横設される後フィード板53と流穀板58によって形成されるため、第二選別風502は、前方から後方に流されるとともに、吸引ファン30との吸引力とも相まって、前記チャフシーブ55より漏下する軽量の穀粒(未熟粒)や枝梗粒、藁等をより後方に導くように作用する。また、該第二選別風502の一部(502a)は、チャフシーブ55の間より上方に抜けるように流れるので、比重の軽い枝梗粒・藁等のチャフシーブ55から流入を妨げるように作用するようになっている。
また、流穀板58とチャフシーブ55より下部の空間を第三風路403とし、該第三風路403には、唐箕25により生じる第三選別風503が流れるものとする。さらに、該第三風路403において、唐箕25の後方であって、唐箕25の回転中心と略同一の高さの位置に断面視三角形状の風向ガイド525が横設されている。この風向ガイド525は、第三選別風503の風量確保と、方向を制御する働きをするものであり、本実施例では、第三選別風503を、上向き・下向きの二つの流れ503b・503cを形成し、上向きの第三選別風503bは、後方斜め上方に向かって流れるものとし、下向きの第三選別風503cは、後方斜め下方に向かって流れる構成としている。なお、該風向ガイド525の形状であるが、断面視三角形状に限定されるものではなく、断面視円弧状、又は、板状などであってもよい。また、該風向ガイド525の側面視における傾きは、任意に角度調整可能に構成し、第三選別風の風向を変更自在に構成し、第三選別風503の風向の微調整が行なえる構成としてもよい。そして、以上の第三選別風503b・503cは、前方から後方に流されるとともに、吸引ファン30との吸引力とも相まって、風力損失のないまま、第一流穀板410に衝突することになる。
この第一流穀板410は、一番コンベア22より斜め後上方向かって、上端をグレンシーブ49の後端下方に配し、第三風路403と、二番コンベア23が配される空間405と仕切っている。ここで、第一流穀板410の傾斜であるが、前低後高(本実施例では略30度)としている。そして、この第一流穀板410の傾斜により、上記第三選別風503b・503cの風向が、斜め上方に向かうように変更される。以上のような風向の変更により、第一流穀板410の上面には、一番コンベア22から、チャフシーブ55を通過して、吸引ファン30に流入する気流503aが生じ、この気流503aが、グレンシーブ49を通過して一番コンベア22に漏下しようとする穀粒・藁等を吹き上げるようにして、比重の軽い枝梗粒・穂切粒・藁等の一番コンベア22への流入を妨げるように作用する。なお、下向きの第三選別風503cについては、第一流穀板410に衝突した際、一部の風向が下方に向かうようになり(第三選別風503d)、第一流穀板410の表面に付着した穀粒を効果的に一番コンベアに導くようになっている。
以上、三種の選別風501・502・503は、一番コンベア上方においては、各風路401・402・403で、前方から後方に流されることとなって、各風路401・402・403において、選別装置の前部から後部に渡る広い範囲で、風速が確保され、クリンプ網31・21aより漏下する穀粒・藁等の選別能力の向上が図られる。また、第一・第二選別風501・502においては、一番コンベア上方では前方から後方に流されることとなって、比重が軽く浮遊する枝梗粒・穂切粒・藁等を、グレンシーブ49・チャフシーブ55に着床する前に後方、そして、二番コンベア23に導くことで「精選別」を適切に行なうとともに、グレンシーブ49に着床・堆積する穀粒の中における枝梗粒・穂切粒・藁等の含有率を減少させることになって、品質のよい穀粒が回収されることになる。また、第三選別風503においては、一番コンベア上方では前方から後方に流されることとなって、比重の小さい枝梗粒・穂切粒・藁等がグレンシーブ49を通過して一番コンベア22へ流入することを妨げるとともに、結果として、二番コンベア23へ導かれる穀粒・枝梗粒等の量を増加させるので、二番還元サイクルにより枝梗処理が行なわれる穀粒・枝梗粒等の量を増やすことができる。以上のようにして、脱穀処理量が増加した場合においても、枝梗粒・穂切粒・藁等の一番コンベア22への流入が阻止されるとともに、これらが二番還元サイクルにより枝梗除去処理・再選別を行なわれることにより、最終的に前記グレンタンク12に回収される穀粒の品質の向上が図られるとともに、選別ロスによる穀粒の回収量の減少を防ぐことができる。
次に、上記チャフシーブの開度の調整に関連し、「精選別」を適切に行い選別能力の向上を図るとともに、二番還元量を増加させ、品質の向上を図る構成について説明する。この構成は、排藁量(脱穀処理量)が多く、チャフシーブ55の開度が大きくなり、チャフシーブからの漏下量が増加するような場合においては、チャフシーブを漏下する前、及び、漏下した後の穀粒・藁等に選別風を効果的に作用させることにより、グレンシーブ上へ穀粒・藁等が堆積することを防止して、「精選別」を適切に行えるようにするとともに、一番コンベア22に漏下しグレンタンク12に搬送されるところの穀粒を、あえて、二番コンベア23へ導くことにより、二番還元量を増加させ、品質の向上を図るものである。一方、排藁量(脱穀処理量)が少なくなった場合においては、図31・図32(図37・図38、図42においても同じ)において説明したごとく、チャフシーブ55の開度が小さいままに維持されるという利点(変化特性の改善)を生かし、一番コンベア22への漏下量を極力少なくし、二番コンベア23へ導くことにより、品質の向上を図るものである。また、脱穀処理量に応じて、チャフシーブの開度を自動調整することにより、所定の脱穀処理量に対し、最適なチャフシーブからの漏下量とすることで、選別能力の向上を図るものである。
即ち、図43に示すごとく、一番物を、一番コンベアと揚穀コンベアを介してグレンタンクに搬送する一番回収機構と、二番物を、二番コンベアと二番還元コンベアを介して二番処理装置へ送り、該二番処理装置により枝梗等を取り除いた後に、再び選別部へ再投入する二番物還元サイクル機構と、一又は複数のファンから構成する風選別機構と、脱穀処理量の増減に応じて自動的にチャフシーブの開度を調整する開度調節機構と、揺動選別装置と、一番コンベア上方を流れる選別風を、前方から後方に流す風路とを備えるとすることである。図43に示すごとく、開度調節機構は、上述した、チャフシーブ55の開度調節の構造における「第一実施例の第一形態」を採用するものであり、チャフシーブ55の開度を機械的に制御するものとなっている(図19・図20の構成を採用)。なお、選別流量センサ172を備える上記「第一実施例の第二形態」を採用してもよい。この開度調節機構により、排藁量(脱穀処理量)に見合った最適なチャフシーブの開度設定が行なわれる。
以下に、本構成における二番還元量の増加について説明する。排藁量が多く、脱穀処理量が多くなった場合には、チャフレバー138の回動により、チャフシーブ55の開度は大きくなり、チャフシーブ55からグレンシーブ49へ漏下する量が増加する。また、これに伴い、グレンシーブ49から一番コンベア22へ漏下しようとする量も増加する。このような場合においては、上記と同様、枝梗粒・穂切粒・藁等の一番コンベア22への流入が阻止されるとともに、これらが二番還元サイクルにより枝梗除去処理・再選別を行なわれることにより、最終的に前記グレンタンク12に回収される穀粒の品質の向上が図られるとともに、選別ロスによる穀粒の回収量の減少を防ぐことができる。
一方、排藁量が少なく、脱穀処理量が少なくなった場合には、チャフレバー138の回動により、チャフシーブ55の開度は小さくなる。ここで、排藁量(脱穀処理量)が少ない場合のチャフシーブ55の開度については、図31及び図32(図37及び図38に示す第二実施例の場合においても同様、また、図40及び図41に示す構成についても同様)に示すごとく、チャフシーブの開度は閉じ勝手(排藁量の増加に対するチャフシーブの開度の増加量が少ないということ)となっており、排藁量(脱穀処理量)が少ない場合においては、特に、枝梗粒・穂切粒・藁等が、チャフシーブ55から漏下し難い状態となっている。そして、チャフシーブ55からグレンシーブ49へ漏下する量が減少することに伴い、風路401・402において浮遊、又は、チャフシーブ55・グレンシーブ49に着床した穀粒・藁等が、選別風501・502により固定チャフ部57へ導かれ、二番コンベア23へ漏下させることにより二番還元量が増加することになる。このように、選別風の作用による穀粒・藁等の後部への搬送に加え、上述したチャフシーブ55の開度の変化特性の改善(図31・図32、図37・図38、図42)により、排藁量(脱穀処理量)が少ない場合においても、確実に、二番還元量を増加させることが可能となる。そして、枝梗粒・穂切粒・藁等の一番コンベア22への流入が減少し、これらを二番還元サイクルにより枝梗除去処理・再選別を行なうことで、最終的に前記グレンタンク12に回収される穀粒の品質の向上が図られるとともに、選別ロスによる穀粒の回収量の減少を防ぐことができる。
以上に述べた構成、即ち、一番物を、一番コンベアと揚穀コンベアを介してグレンタンクに搬送する一番回収機構と、二番物を、二番コンベアと二番還元コンベアを介して二番処理装置へ送り、該二番処理装置により枝梗等を取り除いた後に、再び選別部へ再投入する二番物還元サイクル機構と、一又は複数のファンから構成する風選別機構と、脱穀処理量の増減に応じて自動的にチャフシーブの開度調節が行なわれるとともに、該開度調節は、脱穀処理量が少ない場合には、閉じ勝手に調整が行なわれるように構成した開度調節機構と、揺動選別装置と、一番コンベア上方を流れる選別風を、前方から後方に流す風路とを備える構成を採用し、所定の脱穀処理量の条件で脱粒を行い、一番コンベア及び二番コンベアに回収される枝梗粒の量の比較を行なったところ、二番コンベアに回収される枝梗粒の数は、一番コンベアに回収された枝梗粒の数の三倍以上になるという結果を得るに至った。なお、二番コンベアに回収される枝梗粒の量は、通常は、二番コンベアに搬送されるところの二番物を回収して測定したものであり、また、ここでいう枝梗粒には、穂切粒も含まれるものとする。このように、枝梗粒の多くは、二番コンベアに回収され、二番還元サイクルが施されることになり、枝梗除去処理されて、最終的には、枝梗のない品質のよい穀粒として、一番コンベア、そして、グレンタンクに回収されることになる。以上のように、本実施例の構成によれば、選別能力の飛躍的な向上が図られ、二番還元量の増加により、最終的にグレンタンクに回収される穀粒の品質の向上が実現される。