JPH08175763A - ワインダの口出しシステム及び口出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 口出し処理を行う処理動作が簡潔且つ確実
で、装置の簡素化を図ることができ、精紡機とワインダ
とをリンクしてボビンの自動供給を行うのに最適なワイ
ンダの口出しシステム及び口出し装置を提供する。 【構成】 精紡上がりのボビンの胴巻きとトップバンチ
の一部を解舒すると共に切断除去して、所定巻数のトッ
プバンチのみを残す処理を行い、この処理を施したボビ
ンをワインディングユニットに供給し、該ユニットにお
いて上記トップバンチの糸を口出しするようにした。ま
た、ワインディングユニット側からの放出ボビンは、糸
を一旦解舒してから該糸をボビン頂部に所定数巻付け、
その後、余剰糸端を切断除去してトップバンチを形成す
る処理を行い、該ボビンをワインディングユニットに供
給し、該ユニットにおいて上記トップバンチの糸を口出
しするようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ワインダの口出しシス
テム及び、該システムを構成する口出し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、精紡上がりのボビンを口出しして
ワインダの各ワインディングユニットに送る場合、ボビ
ンから糸端を解舒して一旦上方に引出した後、サクショ
ン部材によりボビンの下側から該ボビン中心孔内を吸引
しつつ上記糸端を切断して該切断糸端をボビンの天孔に
挿入する口出し処理を行っていた。

【０００３】このような口出し処理を行うにあたって
は、上記各作業を行う複数のステーションを設けなけれ
ばならず、装置及び工程が複雑であった。また、ボビン
内に必要以上に長い糸が引き込まれると糸引きを起こ
し、ユニットの口出しミスの原因となるという問題もあ
った。更に、ボヒンの内側に傷があると、該傷に糸端が
引掛り、それも口出しミスの原因となっていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
のこのような点に鑑みて、口出し処理を行う処理動作が
簡潔且つ確実で、装置の簡素化を図ることができ、精紡
機とワインダとをリンクしてボビンの自動供給を行うの
に最適なワインダの口出しシステム及び口出し装置を提
供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】精紡上がりのボビンの胴
巻きとトップバンチの一部を解舒すると共に切断除去し
て、所定巻数のトップバンチのみを残す処理を行い、こ
の処理を施したボビンをワインディングユニットに供給
し、該ユニットにおいて上記トップバンチの糸を口出し
するようにした。また、ワインディングユニット側から
の放出ボビンは、糸を一旦解舒してから該糸をボビン頂
部に所定数巻付け、その後、余剰糸端を切断除去してト
ップバンチを形成する処理を行い、該ボビンをワインデ
ィングユニットに供給し、該ユニットにおいて上記トッ
プバンチの糸を口出しするようにした。

【０００６】そして、上記システムを構成する装置とし
て、ワインディングユニットにボビンを搬送する搬送経
路上に、ボビンを軸回りに回転する回転手段と、該ボビ
ンの糸層から解舒する糸解舒手段と、上記ボビンより解
舒された糸をボビン頂部に案内する糸ガイドと、該糸ガ
イドとボビン頂部との間で糸を切断する糸切断手段とを
備えた。また、上記糸解舒手段はボビンの糸層部分に沿
って吸引口を開口した吸引手段であって、該吸引手段の
吸引管路上にシャッターカッタを設けた。更に、上記処
理位置、又はそのボビン搬送方向上流側に、精紡上がり
のボビンと、ワインディングユニット側からの放出ボビ
ンとを判別する手段を備えた。そして、ワインディング
ユニットの巻上げ位置に位置決めされたボビン頂部に被
嵌可能に設けた筒状体と、上記ボビン頂部に対向して、
下方より上方に向かうブラストエアを噴射する噴射手段
とを設けた。また、上記筒状体が、ボビンから解舒され
る糸のバルーンを規制するバルーン規制部材を兼ねたも
のであっても良い。

【０００７】

【作用】精紡上がりのボビンは、ボビン糸層部を吸引手
段により吸引しながら、該ボビンを解舒方向に所定回転
数だけ回転して胴巻きとトップバンチの一部を解舒し、
その後、糸を切断手段によりボビン頂部近傍で切断し
て、切断糸端を吸引手段により吸引除去すれば、所定巻
数のトップバンチのみが残る。

【０００８】また、口出しミスしたボビンや残糸付ボビ
ン等、ワインディングユニット側からの放出ボビンは、
ボビン糸層部を吸引手段により吸引しながら該ボビンを
解舒方向に回転して糸を一旦解舒してから、ボビンを巻
取方向に所定回転数だけ回転して糸をボビン頂部に巻付
け、その後、余剰糸端を切断手段により切断除去すれば
所定巻数のトップバンチが形成される。

【０００９】上記各処理は、いずれもトップバンチを形
成した後に糸を切断除去するので、解舒糸端や余剰糸端
の糸引きは起こらない。また、上記吸引手段の吸引管路
上に設けたシャッターカッタは吸引手段の吸引と停止と
の切換えを行うと共に、放出ボビンの処理時には放出ボ
ビンから解舒された糸端を一旦切断して、トップバンチ
を形成する際の巻取りに要するトルクを軽減する。

【００１０】そして、これらの処理が施されたボビンを
ワインディングユニットに供給し、該ワインディングユ
ニットにおいて、トップバンチの糸に対してブラストエ
アを噴射すれば、糸端が吹上げられて口出しされる。

【００１１】

【実施例】実施例について図面と共に説明する。

【００１２】図１に、本発明の口出しシステムを実施し
たワインダの機台配置を示す。図において、多数のワイ
ンディングユニットＷｕを並設したワインダＷと精紡機
Ｓｐとは閉ループをなす搬送路Ｌ１，Ｌ２によって連結
され、該搬送路Ｌ１，Ｌ２に沿って循環するトレイＴに
ボビンＢを挿立した状態で精紡機ＳｐからワインダＷへ
の実ボビン（精紡管糸）Ｂ１の供給と、ワインダＷから
精紡機Ｓｐへの空ボビンＢ０の回収とを行うようにして
いる。

【００１３】そして、ワインダＷの精紡機Ｓｐに隣接す
る部分は、糸の口出しとそれに関わるボビンの各種処理
を行う口出し部Ｗｆになっており、本発明の口出しシス
テムは、口出し部Ｗｆの搬送路Ｌ１上に設けた口出し装
置１と各ワインディングユニットＷｕに設けたユニット
側口出し装置２とから構成されている。尚、Ｌ３は口出
しミスしたボビンＢ３の排出路、Ｌ４は口出しミスボビ
ンＢ３やワインディング工程を経た残糸付きボビンＢ４
等の放出ボビンを搬送路Ｌ２から迂回させるバイパス
路、Ｌ５は上記放出ボビンＢ３，Ｂ４を口出し装置１に
フィードバックするフィードバック路であり、該フィー
ドバック路Ｌ５の搬送路Ｌ１との合流点近くには放出ボ
ビントレイＴの通過を検出するセンサＳ５を設ける一
方、搬送路Ｌ１の上記合流点手前には精紡上がりのボビ
ントレイＴの通過を検出するセンサＳ１を設けている。
また、３は巻取りを継続することが不可能である極少残
糸付ボビンから残糸を除去するボビンストリッパであ
る。

【００１４】口出し装置１は、図２及び図３に示す如
く、口出し処理を行う位置１０において、ストッパ１１
により停止したトレイＴを回転して、該トレイＴに挿立
したボビンＢ（Ｂ１）を回転する回転手段１２、該ボビ
ンＢの糸層部分に沿ってスリット状の吸入口１３ａを開
口したサクションマウス１３（吸入手段）、それらによ
りボビンＢより解舒された糸Ｙをボビン頂部Ｂａに案内
する糸ガイド１４、及び、該糸ガイド１４とボビン頂部
Ｂａとの間で糸Ｙを切断するカッタ１５（糸切断手段）
より主に構成されている。尚、１６は搬送路Ｌ１に沿っ
てトレイＴを搬送するベルトコンベアである。

【００１５】回転手段１２は、モータＭの回転軸にフリ
クションローラ１２ａを固定してなる。モータＭはリバ
ーシブルモータであって、該モータＭによりフリクショ
ンローラ１２ａを正逆駆動回転し、ストッパ１１の２個
のローラ１１ａ，１１ａによって上記フリクションロー
ラ１２ａに圧接した状態で位置決めされているトレイＴ
を正逆回転することにより、該トレイＴに挿立したボビ
ンＢを正逆回転可能である。

【００１６】サクションマウス１３は、サクションパイ
プ１３ｂを介して図示しないブロワに接続すると共に、
サクションマウス１３とサクションパイプ１３ｂとの接
続部分にはシャッターカッタ１７を設けている。シャッ
タカッタ１７は、ケーシング１７ｃ内に揺動自在に支持
されている弁体を兼ねた可動刃体１７ａの他端部にエア
シリンダ１７ｂのピストンロッドを連結している。そし
て、エアシリンダ１７ｂが作動してそのピストンロッド
を突出することにより可動刃体１７が揺動し、サクショ
ンマウス１３からサクションパイプ１３ｂに至る吸引経
路を遮断してサクションマウスの吸引を停止すると共
に、該吸引管路上に位置した糸を切断することが可能で
ある。

【００１７】また、上記シャッターカッタ１７の吸引方
向上流側のサクションパイプ１３ｂ屈曲部分には、該部
分における糸を有無を検出するセンサ１８を設けると共
に、該センサ１８の検出部分に糸（Ｙａ，Ｙｂ）をガイ
ドする略Ｖ字形の糸ガイド１８ａを設けている。

【００１８】糸ガイド１４は、サクションマウス１３の
吸入口１３ａ前面に、ボビン頂部Ｂａに近接して設けら
れ、該ボビンＢのトップバンチ位置（Ｂａ）と等高位置
で図中下側より導入される糸Ｙａ，Ｙｂを案内する糸ガ
イド溝１４ａを形成している。また、糸ガイド１４は、
ブラケット１４ｂにおいて支持板１４ｃに支持されてい
る。支持板１４ｃには、高さ方向に上記ブラケット１４
ｂ固定用のタップ穴１４ｄを複数穿設しており、ボビン
長に応じてタップ穴１４ｄの位置を適宜変更することに
より、糸ガイド１４の位置を調整可能である。

【００１９】カッタ１５は、上記糸ガイド１４のガイド
溝１４ａに設けられ、揺動可能に支持されている可動刃
１５ａと、固定刃１５ｂとからなり、上記可動刃１５ａ
の他端部にはエアシリンダ１５ｃのピストンロッドを連
結し、該エアシリンダの作動により上記ガイド溝１４ａ
内に位置した糸を切断可能である。尚、カッタ１５は上
記ボビン糸ガイド１４に固定されているので、糸ガイド
１４の取付位置を変更した際には、それと共にカッタ１
５の位置も変更されるようになっている。

【００２０】上述の如く構成された口出し装置１は、停
止位置１０におけるトレイＴの有無を検出するセンサ１
９を設けると共に、上記停止位置１０の導入側には、口
出し装置１に導入されるボビンＢが実ボビン（精紡上が
りのボビンＢ１、又は放出ボビンＢ３，Ｂ４）である
か、空ボビンＢ０であるかを判別する実空判別フィーラ
２０を設けている。

【００２１】実空判別フィーラ２０は、ブラケット２０
ｂで回転自在に支持されている軸２０ａの一端に検出ワ
イヤー２０ｃを固定すると共に、軸２０ａの他端にはレ
バー２０ｄを設け、且つ、ブラケット２０ｂには上記レ
バー２０ｄを検出する非接触の近接スイッチ２０ｅを設
けてなり、上記検出ワイヤー２０ｃに当接する糸層の有
無によって実ボビンＢ１，Ｂ３，Ｂ４か空ボビンＢ０か
を判別するものである。

【００２２】即ち、実空判別フィーラ２０を実ボビンＢ
１，Ｂ３，Ｂ４が通過すると検出ワイヤー２０ｃがボビ
ン糸層部に当接して軸２０ａを中心に図２に２点鎖線で
示す如く揺動すると共にレバー２０ｄが揺動して近接ス
イッチ２０ｅ上から外れ、それに伴い該近接スイッチ２
０ｅから検出信号が出力され、該検出信号と前記センサ
１９の検出信号とから実ボビンＢ１，Ｂ２，Ｂ４である
と判別する。

【００２３】一方、フィーラ２０を空ボビンＢ０が通過
した場合には、近接スイッチ２０ｅから検出信号は出力
されず、該検出信号無しでセンサ１９がトレイＴを検出
した場合には、これを空ボビンＢ０と判別する。尚、空
ボビンＢ０と判別された場合、該ボビンＢ０は後述の口
出し処理は行わずに、排出路Ｌ３に排出され、バイパス
路Ｌ４、搬送路Ｌ２を通じて精紡機Ｓｐ側に還元され
る。

【００２４】次に、各ワインディングユニットＷｕのユ
ニット側口出し装置２について図４と共に説明する。

【００２５】図において口出し装置では、巻上げ位置に
位置決めされたボビンＢ２の頂部Ｂａに被嵌可能に設け
た円筒状のバルーン規制部材２１の内壁２１ａにボビン
頂部Ｂａに対向してブラストエアを噴射するエア噴射孔
２２を開口している。該エア噴射孔２２は、二重円筒構
造をなすバルーン規制部材２１の層間に形成した環状の
エア供給路２２ａから、バルーン規制部材内壁２１ａを
穿通して、該バルーン規制部材２１の周方向に等間隔で
３個所設けられ、且つ、各エア噴射孔２２は、ボビンＢ
２の軸方向に対しては、下方より上方に向けて斜に設け
られている。２２ｂは上記エア供給路２２ａに圧縮空気
を送給するエア供給管であり、該エア供給管２２ｂ上に
はソレノイドバルブＶ１を設けている。

【００２６】バルーン規制部材２１は、ガイドロッド２
４にスライドベアリングを介して上下方向に摺動可能に
支持されている昇降ブラケット２３に固定され、且つ、
該昇降ブラケット２３の他端にはエアシリンダ２５のピ
ストンロッド２５ａを連結している。また、昇降ブラケ
ット２３には図４中実線で示す後述する口出し位置にお
いてリミットスイッチ２６に当接するドグ２３ａを設け
ている。

【００２７】上記リミットスイッチ２６は、ボビンＢ２
のチェース位置Ｂｃを検出するセンサ２７の検出信号に
よりエアシリンダ２５の突出量を制御して、バルーン規
制部材２１をボビンＢ２のチェース位置Ｂｃに追従させ
る制御を行う制御装置２８に接続されている。

【００２８】そして、バルーン規制部材２１の上側に
は、該バルーン規制部材２１が外嵌可能な導糸管２９が
設けられている。導糸管２９は、その内部に下方より上
方に向かう吸引気流を生成するエア噴射孔２９ａを開口
しており、２９ｂは該エア噴射孔２９ａに圧縮空気を送
給するエア供給管であり、該エア供給管２９ｂ上には、
ソレノイドバルブＶ２を設けている。また、３０は導糸
管２９糸が挿通されたことを検出するセンサ、３１は導
糸管２９に挿通された糸端を吸引把持してワインディン
グユニットの糸継部（図示せず）に導く中継パイプであ
る。

【００２９】次に上記実施例に基づいて作用を説明す
る。

【００３０】図１において、精紡上がりの実ボビンＢ１
は、搬送路Ｌ１に沿って口出し装置１に搬送される際、
センサＳ１がこれを検出し、更に、実空判別フィーラ２
０とセンサ１９とにより該ボビンが実ボビンＢ１である
ことが検出されると、これらの検出信号に基づいて口出
し装置１は精紡上がりのボビンの口出し処理を以下の動
作手順で口出し処理を行う。

【００３１】先ず、実ボビントレイＴがストッパ１１に
より位置１０に停止されると、図２及び図３（ａ）に示
す如くシャッターカッタ１７が開いてサクションマウス
１３が吸引状態となると共に、モータＭが予め知られた
所定回転数の正回転を行いボビンＢ１をトレイＴごと図
中矢印ａ方向に所定回転数だけ回転して胴巻きトップバ
ンチの糸の一部を図中Ｙａの如く解舒する。

【００３２】その後、カッタ１５が作動してボビン頂部
Ｂａ近傍で糸Ｙａを切断すると、切断糸端はサクション
マウス１３により吸引除去され、ボビンＢ１の頂部Ｂａ
には所定巻数のトップバンチＹａ´のみが残る。この処
理後のトップバンチＹａ´の巻数は、３回未満であると
口出し装置１からワインディングユニットＷｕへの搬送
過程でトップバンチの糸Ｔａ´が解け易くなり、６回以
上になるとワインディングユニットＷｕ側での口出し時
に口出しされた糸が長過ぎて充分に分離されず、導糸管
２９を通過し難くなるといった問題が生じるため、３〜
５回程度が好適であり、それに応じて精紡機Ｓｐでの胴
巻きとトップバンチの巻数を適宜設定する。例えば、胴
巻き２〜３回、元のトップバンチ８〜１０回において、
モータＭによるボビンＢ１の回転数を７〜８回転とする
と、３〜５回のトップバンチＹａ´がボビン頂部に残さ
れることになる。

【００３３】このようにして、ボビン頂部Ｂａに所定巻
数のトップバンチＹａ´を残す処理を施した処理済みボ
ビンＢ２は、ワインディングユニットＷｕに供給され、
該ワインディングユニットＷｕにおいてユニット側口出
し装置２により以下の如く口出しを行う。

【００３４】先ず、ワインディングユニットＷｕに口出
し処理済みのボビンＢ２を挿立したトレイＴが位置決め
されると、制御装置２８によりエアシリンダ２５のピス
トンロッドが伸張され、昇降ブラケット２３が下降し
て、バルーン制御部材２１が図４中実線で示す如くボビ
ンＢ２の頂部Ｂａに外嵌する。そして、昇降ブラケット
２３のドグ２３ａがリミットスイテッチ２６に当接する
と、制御装置２８によりエアシリンダ２５は下降を停止
する。これと同時にソレノイドバルブＶ１，Ｖ２が一斉
に開いてエア噴射孔２２からブラストエアが噴射され、
それにより前記所定巻数のトップバンチの糸Ｙａ´が吹
上げられると共に、エア噴射孔２９ａからのエア噴射に
より導糸管２９内に生じる吸引気流により、吹き上げら
れた糸端は、図４中Ｙｃの如く導糸管２９に挿通され、
口出しされる。

【００３５】続いて、センサ３０が口出しされた糸端Ｙ
ｃ（下糸）を検出すると中継パイプ３１が図４に示す位
置まで降下して下糸Ｙｃを吸引把持した後、上昇して糸
継部に導き、パッケージ側から引出された上糸との糸継
を行い、巻取りを開始する。

【００３６】これと共に、エアシリンダが作動して昇降
ブラケット２３、及び、バルーン規制部材２１は一旦上
昇した後、リミットスイッチ２６が非作動状態となる代
りにセンサ２７が作動状態となって、バルーン規制部材
２１をボビンＢ２のチェース位置Ｂｃに追従させ、解舒
バルーンを規制する制御に移行する。

【００３７】一方、不測の事態により口出し装置１にお
いて口出し処理に失敗したボビンＢ３は図１に示すミス
ボビン排出路Ｌ３を通じてバイパス路Ｌ４に排出され
る。また、ユニット側口出し装置２における口出しに失
敗したボビンや、巻取中に糸切れが発生し、自動糸継装
置により糸継を試みたが、不可能であった残糸付きボビ
ンＢ４（センサ３０に下糸が検出されないボビン）は、
ワインディングユニットＷｕから搬送路Ｌ２を通じてバ
イパス路Ｌ４に放出される。そして、これら放出ボビン
Ｂ３，Ｂ４はフィードバック路Ｌ５を通じて口出し装置
１の導入側にフィードバックされ、再度口出し処理がな
される。この際、センサ５５が口出し装置１に導入され
る放出ボビン（Ｂ３，こ４）を検出し、該検出信号によ
り口出し装置１は放出ボビンの口出し処理を以下の動作
手順で行う。

【００３８】先ず、放出ボビン（残糸付きボビンＢ４）
を挿立したトレイＴがストッパ１１により位置１０に停
止されると、図３（ｂ）に示す如く、シャッターカッタ
１７が開いてサククションマウス１３が吸引状態となる
と共に、モータＭが正回転してボビンＢ４をトレイＴご
と図中矢印ａ方向に回転し、糸端を吸引してＹｂの如く
引き出す。そして、サクションパイプ１３ｂ上のセンサ
１９が該糸端Ｙｂを検出すると、シャッターカッタ１７
の可動刃体１７ａが往復揺動して上記糸端Ｙｂを一旦切
断して置く。糸端Ｙｂが長過ぎると後述の巻付け時に要
するトルクが大となりボビンが空回りする恐れがあるた
めである。

【００３９】続いて、モータＭが逆回転してボビンＢ４
を図中矢印ｂ方向に所定数回転させ、上記糸端Ｙｂを糸
ガイド１４でガイドしてＹｂ´の如くボビン頂部Ｂａに
巻付けた後、カッタ１５が作動してボビン頂部Ｂａ近傍
で糸端Ｙｂを切断すると、切断糸端はサクションマウス
１３により吸引除去され、ボビンＢ４の頂部Ｂａには所
定巻数のトップバンチＹｂ´のみが残される。このよう
な口出し処理を施したボビンＢ４はワインディングユニ
ットＷｕに供給され、先述の如くユニット側口出し装置
２により口出しされる。尚、上述の放出ボビンＢ４（残
糸付きボビン）と同様の操作により口出しミスボビンＢ
３やボトムバンチを施した精紡ボビンの口出しを行うこ
とも可能である。

【００４０】上記実施例においては、口出し装置１によ
り所定巻数のトップバンチＹａ´，Ｙｂ´を残す口出し
処理を施したボビンＢ２（Ｂ４）を、ユニット側口出し
装置２で口出しする場合を示したが、ユニット側口出し
装置２は、糸端を天孔に挿入する口出し処理を施したボ
ビンの口出しを行うことも可能である。また、回転手段
１２は、フリクションローラをボビン周面に直接当接し
て、トレイＴのペグ（図示せず）を支点にボビンのみを
回転するもの等でも良い。

【００４１】

【発明の効果】本発明は、上述の通り構成されているの
で、以下に記載されるような効果を奏する。

【００４２】精紡上がりのボビンの胴巻きとトップバン
チの一部を解舒すると共に切断除去して、所定巻数のト
ップバンチのみを残す処理を行い、この処理を施したボ
ビンをワインディングユニットに供給し、該ワインディ
ングユニットにおいて上記トップバンチの糸を口出しす
るようにしたので、糸端を解舒して切断するという極め
て簡単な操作によりボビンの口出し処理を行うことがで
き、従来のように処理操作に応じて複数ステーションを
形成する必要がなく、１つのステーションで全ての処理
が行え処理装置及び処理動作の簡素化並びに処理時間の
短縮が可能であると共に、口出し処理したトップバンチ
の糸はワインディングユニットへの搬送過程における振
動や、クリーニングエアに吹き晒されること、或いは機
台のメンテナンス時等においても外れ難く、口出しミス
を低減可能であり、且つ、余剰糸端が糸引きを起した
り、ボビンの内側に風綿が溜まるといった事態を生じる
こともない。更に、口出し処理したトップバンチの糸は
巻数が一定であるため、ワインディングユニット側での
口出しを常に同条件で確実に行うことができ、ワインデ
ィングユニット側での口出しミスを低減可能である。

【００４３】また、ワインディングユニット側からの放
出ボビンは、糸を一旦解舒してから該糸をボビン頂部に
所定数巻付け、その後、余剰糸端を切断除去してトップ
バンチを形成する処理を行い、該ボビンをワインディン
グユニットに供給し、該ワインディングユニットにおい
て上記トップバンチの糸を口出しするようにしたので、
一旦解舒した糸端をボビン頂部に確実に巻付けることが
でき、且つ、余剰糸端は切断除去されるので糸引き等を
起こすこともなく、精紡上がりのボビンの場合と全く同
様の口出し処理を行うことができ、口出しミスを低減可
能である。

【００４４】そして、上記システムを構成する装置とし
て、ワインディングユニットにボビンを搬送する搬送経
路上に、ボビンを軸回りに回転する回転手段と、該ボビ
ンの糸層から解舒する糸解舒手段と、上記ボビンより解
舒された糸をボビン頂部に案内する糸ガイトと、該糸ガ
イドとボビン頂部との間で糸を切断する糸切断手段とを
備えたので、装置の構成及び口出し処理の動作手順を簡
素化しつつも、確実な口出し処理を行うことができ、口
出しミスを低減可能である。

【００４５】また、上記糸解舒手段はボビンの糸層部分
に沿って吸引口を開口した吸引手段であって、該吸引手
段の吸引管路上にシャッターカッタを設けたので、放出
ボビンの処理時においてトップバンチを形成する際の巻
取りに要するトルクを軽減でき、ボビンの空転とそれに
伴う口出しミスを防止可能である。

【００４６】また、口出し処理を行う処理位置、又はそ
のボビン搬送方向上流側に、精紡上がりのボビンと、ワ
インディングユニット側からの放出ボビンとを判別する
手段を備えたので、１つの処理ステーションにおいて、
精紡上がりのボビンと、ワインディングユニット側から
の放出ボビンの両方の処理を行うことができる。

【００４７】そして、ワインディングユニット側口出し
装置としてワインディングユニットの巻上げ位置に位置
決めされたボビン頂部に被嵌可能に設けた筒状体と、上
記ボビン頂部に対向して、下方より上方に向かうプラス
トエアを噴射する噴射手段とを設けたので、口出し処理
したボビンから糸を確実に引き出すことができ、口出し
ミスを低減可能であると共に、従来のようにボビン内に
エア噴射を行わないため、ボビン中心孔内の風綿が飛散
するといった事態は起らない。

【００４８】また、上記筒状体が、ボビンから解舒され
る糸のバルーンを規制するバルーン規制部材を兼ねたも
のであるので、ワインディングユニットに容易に設置可
能であり、且つ、その構造も簡素で、口出しから巻取り
に至る制御動作を円滑に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の口出しシステムを実施したワインダの
機台配置を示す図である。

【図２】本発明実施例の口出しシステムを構成する口出
し装置を示す斜視図である。

【図３】（ａ）は精紡上がりのボビンの口出し処理、
（ｂ）は放出ボビンの口出し処理を示す口出し装置の側
断面図である。

【図４】本発明実施例の口出しシステムを構成するユニ
ット側口出し装置を示す正断面図である。

【符号の説明】

１ 口出し装置 ２ ユニット側口出し装置 １１ ストッパ １２ 回転手段 １３ サクションマウス（吸引手段） １４ 糸ガイド １５ カッタ １７ シャッターカッタ ２０ 実空判別フィーラ ２１ バルーン規制部材（筒状体） ２２ エア噴射孔 ２９ 導糸管 Ｂ１ 実ボビン（精紡管糸） Ｂ２ 口出し処理済みボビン Ｂ３ 口出しミスボビン Ｂ４ 残糸付きボビン Ｂａ ボビン頂部

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 精紡上がりのボビンの胴巻きとトップバ
   ンチの一部を解舒すると共に切断除去して、所定巻数の
   トップバンチのみを残す処理を行い、この処理を施した
   ボビンをワインディングユニットに供給し、該ワインデ
   ィングユニットにおいて上記トップバンチの糸を口出し
   するようにしたことを特徴とするワインダの口出しシス
   テム。
2. 【請求項２】 ワインディングユニット側からの放出ボ
   ビンは、糸を一旦解舒してから該糸をボビン頂部に所定
   数巻付け、その後、余剰糸端を切断除去してトップバン
   チを形成する処理を行い、該ボビンをワインディングユ
   ニットに供給し、該ワインディングユニットにおいて上
   記トップバンチの糸を口出しするようにした請求項１記
   載のワインダの口出しシステム。
3. 【請求項３】 ワインディングユニットにボビンを搬送
   する搬送経路上に、ボビンを軸回りに回転する回転手段
   と、該ボビンの糸層から解舒する糸解舒手段と、上記ボ
   ビンより解舒された糸をボビン頂部に案内する糸ガイド
   と、該糸ガイドとボビン頂部との間で糸を切断する糸切
   断手段とを備えたことを特徴とするワインダの口出し装
   置。
4. 【請求項４】 上記糸解舒手段はボビンの糸層部分に沿
   って吸引口を開口した吸引手段あって、該吸引手段の吸
   引管路上にシャッターカッタを設けた請求項３記載の口
   出し装置。
5. 【請求項５】 処理位置、又はそのボビン搬送方向上流
   側に、精紡上がりのボビンと、ワインディングユニット
   側からの放出ボビンとを判別する手段を備えた請求項３
   又は４記載の口出し装置。
6. 【請求項６】 ワインディングユニットの巻上げ位置に
   位置決めされたボビン頂部に被嵌可能に設けた筒状体
   と、上記ボビン頂部に対向して、下方より上方に向かう
   ブラストエアを噴射する噴射手段とを設けたことを特徴
   とするワインディングユニット側口出し装置。
7. 【請求項７】 筒状体が、ボビンから解舒される糸のバ
   ルーンを規制するバルーン規制部材を兼ねたものである
   請求項６記載のワインディングユニット側口出し装置。