JP2017193435A - 糸処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】糸端処理に適した糸処理がなされた準備済給糸ボビンを安定的に供給することができる糸処理装置を提供する。【解決手段】糸処理装置は、給糸ボビンを軸中心に回転させる回転部と、給糸ボビンの上方において、糸端を捕捉する糸端捕捉部と、糸の一部を、巻管上部の周面側方に案内する案内部と、巻管下部に接続されており、巻管上端から巻管内部に糸端を引き込む吸引部と、回転部、糸端捕捉部、案内部、及び吸引部を制御する制御部とを備える。制御部は、案内部によって糸が案内された状態で、給糸ボビンを糸の巻取方向に回転させる第一処理と、第一処理後に吸引部に吸引力を作用させる第二処理と、第二処理後に糸解舒方向に準備済給糸ボビンを回転させる第三処理と、第三処理と同時又は第三処理後に準備済給糸ボビンから案内部を離間させる第四処理と、を実行する。【選択図】図10
Description
本発明は、給糸ボビンの糸端を糸端処理に適した状態となるように処理を施す糸処理装置に関する。
精紡機等においてボビンに糸を巻き付けて形成された給糸ボビンは、自動ワインダの糸巻取機においてパッケージとして巻き取られる。パッケージとして給糸ボビンの糸を巻き取る処理を、糸巻取機が実行できるように、糸巻取機に供給される給糸ボビンの糸端を、予め所定の状態に糸端処理することが一般的に行われている。このような糸端処理を行う装置として、例えば、特許文献1には、糸端を給糸ボビンの上部に任意回数巻き付けた後、巻管の内部に挿入する糸処理装置(糸端部を準備する装置)が開示されている。
糸巻取機において給糸ボビンの糸端処理が正常に行われない場合には、当該給糸ボビンを排出し、次の給糸ボビンが供給されるのを待つ必要がある。すなわち、糸巻取機におけるパッケージの生産効率が低下する。糸巻取機において行われる糸端処理の成功率を高め、生産効率を高めるためには、糸端処理に適した糸処理がなされた準備済給糸ボビンが安定的に供給されることが必要となる。
そこで、本発明の目的は、糸端処理に適した糸処理がなされた準備済給糸ボビンを安定的に供給することができる糸処理装置を提供することにある。
本発明の糸処理装置は、給糸ボビンを処理して巻管上部にストックバンチが配置されると共に糸端が巻管の内部に配置された準備済給糸ボビンを形成する糸処理装置であって、巻管の軸方向が上下方向となるように支持された給糸ボビンを、軸を中心に回転させる回転部と、給糸ボビンの上方において、給糸ボビンの糸端を捕捉する糸端捕捉部と、巻取管上部に対して接近及び離間可能に移動し、接触することにより糸の一部を、巻管上部の側方に案内する案内部と、巻管の下部に接続されており、巻管の上端から巻管の内部に糸端を引き込む吸引部と、回転部、糸端捕捉部、案内部、及び吸引部を制御する制御部と、を備え、制御部は、案内部によって糸が案内された状態で、給糸ボビンを糸の巻取方向に回転させることによりストックバンチを形成する第一処理と、第一処理後に吸引部に吸引力を作用させる第二処理と、第二処理後に巻取方向とは逆方向に準備済給糸ボビンを回転させる第三処理と、第三処理と同時又は第三処理後に準備済給糸ボビンから案内部を離間させる第四処理と、を実行する。
本糸処理装置では、案内部によって糸が案内された状態で給糸ボビンを巻取方向に回転させるので、巻管上部にストックバンチが形成される。本糸処理装置では、巻管の下部に接続される吸引部によって巻管の上端から巻管の内部に糸端を引き込むので、糸端を巻管の内部に位置させることができる。これにより、巻管上部にストックバンチが配置されると共に糸端が巻管の内部に配置された準備済給糸ボビンが形成される。更に、本糸処理装置では、糸端が巻管の内部に引き込まれた後、巻取方向とは逆方向に準備済給糸ボビンを回転させると同時、又は回転させた後に準備済給糸ボビンから案内部を離間させるので、準備済給糸ボビンから離間する案内部が巻管の内部に引き込まれた糸を引っ掛けることにより糸を巻管の内部から引っ張り出すことを抑制できる。このため、糸端処理に適した糸処理がなされた準備済給糸ボビンを安定的に供給することができる。
本発明の糸処理装置では、制御部は、第三処理後に第四処理を実行されてもよい。
本糸処理装置では、準備済給糸ボビンから離間する案内部が巻管の内部に引き込まれた糸を引っ掛け、当該糸を巻管の内部から引っ張り出すことを、より確実に抑制できる。
本発明の糸処理装置では、制御部は、第三処理と第四処理とを同時に実行してもよい。
本糸処理装置では、準備済給糸ボビンから離間する案内部が巻管の内部に引き込まれた糸を引っ掛け、当該糸を巻管の内部から引っ張り出すことを抑制するための処理を短い時間で実行することができる。
本発明の糸処理装置では、制御部は、第三処理において、準備済給糸ボビンを四分の一回転以上、二分の一回転以下、巻取方向とは逆方向に回転させてもよい。
本糸処理装置では、限られたスペースであっても準備済給糸ボビンから離間する案内部が巻管の内部に引き込まれた糸を引っ掛け、当該糸を巻管の内部から引っ張り出すことを、より確実に抑制できる。
本発明の糸処理装置では、第三処理における準備済給糸ボビンの回転量を入力可能な入力部を更に備え、制御部は、入力部から入力された回転量に基づいて第三処理を実行してもよい。
本糸処理装置では、準備済給糸ボビン(給糸ボビン)の形状、準備済給糸ボビンの大きさ、巻管の形状、巻管の大きさ、及びストックバンチにおける糸の巻き数等の一つ又は複数の要素に合わせて適切な回転数を設定することができる。
糸端処理に適した糸処理がなされた準備済給糸ボビンを安定的に供給することができる。
以下、図面を参照して一実施形態の糸処理装置70を含む糸巻取システム1について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1に示されるように、糸巻取システム1は、自動ワインダ3と、ボビン移送装置5と、ボビン供給装置51と、糸端処理装置53と、ボビン抜取装置55と、を備えている。
自動ワインダ3は、巻管12の上部12b(以後、「巻管上部12b」とも称する。)にストック用のトップバンチであるストックバンチ15が形成されると共に糸端Y1が巻管12の内部12c(以後「巻管内部12c」とも称する。)に配置された準備済給糸ボビン11B(図4(d)参照)から糸Yを引き出し、パッケージPとして巻き取る装置である。自動ワインダ3は、図1及び図2に示されるように、エンドフレーム20と、複数(例えば24個)のワインダユニット(糸巻取機)30と、玉揚台車45と、を備えている。エンドフレーム20は、ディスプレイ等の表示部21と、入力キー等の操作部(入力部)22と、自動ワインダ3の動作を制御する機台制御部23と、を有している。表示部21は、各ワインダユニット30の運転状況等を表示する。操作部22は、オペレータによって各ワインダユニット30の運転条件、及び糸処理装置70の糸処理条件の設定等が行われる。
機台制御部(制御部)23は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等によって構成されている。機台制御部23は、自動ワインダ3及び糸処理装置70における各種制御処理を実行する。このような各種制御処理は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されることにより行われる。本実施形態では、機台制御部23によって実行される糸処理装置70の糸処理制御に一つの特徴がある。図8に示されるように、機台制御部23は、ボビン検出センサ89、糸検出センサ73F、シャッタ駆動部75D、シリンダ駆動部77D、レバー駆動部79D、レバー駆動部81B、ローラ駆動部83B、ノズル駆動部85B、及びシャッタ駆動部87Dを制御する。また、機台制御部23は、糸処理制御における準備済給糸ボビン11Bの逆回転量を、操作部22を介して受け付け可能である。機台制御部23は、操作部22から入力された逆回転量に基づいて、押えレバー79Aの離反処理を実行可能である。
ワインダユニット30は、図1及び図2に示されるように、一方向に配列されると共に、図4(d)に示されるような準備済給糸ボビン11Bから糸Yを解舒してパッケージPを形成する。図3に示されるように、ワインダユニット30は、巻取装置31と、テンション付与装置32と、糸監視装置33と、上糸捕捉装置34と、下糸捕捉装置35と、糸継装置36と、ユニット制御部40(図2参照)と、を有している。
巻取装置31は、クレードル31aと、巻取ドラム31bと、を有している。クレードル31aは、パッケージPを支持する。巻取ドラム31bは、糸YをトラバースさせつつパッケージPを回転させる。これにより、所定の位置にセットされた準備済給糸ボビン11Bから糸Yが巻き取られてパッケージPが形成される。テンション付与装置32は、準備済給糸ボビン11BからパッケージPに走行する糸Yに所定のテンションを付与する。
糸監視装置33は、糸欠陥(糸Yの太さ異常、糸Yへの異物の混入等)を検出するために、走行する糸Yを監視する。糸欠陥が検出された場合には、別途設けられたカッタによって糸Yが切断される。上糸捕捉装置34は、糸Yが切断された場合に、パッケージP側の糸Yの糸端を捕捉して糸継装置36に案内する。下糸捕捉装置35は、糸Yが切断された場合に、準備済給糸ボビン11B側の糸Yの糸端を捕捉して糸継装置36に案内する。糸継装置36は、上糸捕捉装置34及び下糸捕捉装置35によって案内された糸端同士を繋ぐ。
図2に示されるユニット制御部40は、CPU、ROM、RAM等で構成されている。ユニット制御部40は、ワインダユニット30における各種制御処理を実行する。このような各種制御処理は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されることにより行われる。
玉揚台車45は、ワインダユニット30の配列方向(一方向)に沿って移動可能であり、ワインダユニット30において満管になったパッケージPを取り外すパッケージ取外動作、糸Yを巻き付けるための巻管を装着しつつ、準備済給糸ボビン11Bの糸Yを巻管とクレードル31aの間に挟み込む(給糸ボビンの糸を巻管に配置する)糸掛動作と、を実行する。
ボビン移送装置5は、上流工程の精紡機等から供給される巻管12に糸Yが巻き付けられた状態の給糸ボビン11A(図4(c)参照)、上述した準備済給糸ボビン11B(図4(d)参照)及びワインダユニット30によって準備済給糸ボビン11Bから一部又は全部の糸Yが引き出された使用済ボビン13(図4(b)参照)について、それぞれ、搬送トレイ9に装着させた状態で移送する。なお、図4(b)は、準備済給糸ボビン11Bから全部の糸Yが引き出された状態の使用済ボビン13を示している。
図4(a)に示されるように、搬送トレイ9は、円板状のベース部91と、ベース部91から上側に突出する突出部92と、突出部92から更に上方に突出するピン93と、を有している。給糸ボビン11A、準備済給糸ボビン11B及び使用済ボビン13は、それぞれ、巻管12の下部12a(以後、「巻管下部12a」とも称する。)にピン93が差し込まれることで、巻管12の一方の端部が上側に向いた状態で搬送トレイ9に装着される。言い換えれば、搬送トレイ9は、給糸ボビン11A、準備済給糸ボビン11B及び使用済ボビン13の軸方向が鉛直方向となる直立状態で載置可能に構成されている。
図1に示されるように、ボビン移送装置5は、準備済給糸ボビン11Bの搬送路である第一搬送部61と、第一搬送部61から分岐する複数の第二搬送部62と、複数の第二搬送部62の下流側に設けられる使用済ボビン13の搬送路である第三搬送部63と、第一搬送部61と第三搬送部63とを接続して周回経路を形成する第四搬送部64と、第四搬送部64において後述する糸端処理装置53の下流側から分岐し、ボビン抜取装置55の上流側に合流する第五搬送部65と、を備えている。
第一搬送部61、第二搬送部62、及び第三搬送部63は、搬送路に沿って搬送トレイ9を移送するためのコンベヤ、コンベヤ駆動装置、及び経路規定プレート等から構成されている。第四搬送部64及び第五搬送部65は、これらの搬送路に沿って搬送トレイ9を移送するための丸ベルト、ベルト駆動装置、プーリ、及び経路規定プレート等から構成されている。
ボビン供給装置51は、第四搬送部64の搬送路に面して配置されている。ボビン供給装置51は、精紡機等、前工程において形成された給糸ボビン11Aをボビン移送装置5の搬送路上に供給する。すなわち、ボビン供給装置51は、第四搬送部64を搬送される搬送トレイ9に対し給糸ボビン11Aを装着する。
糸端処理装置53は、第四搬送部64の搬送路に面して配置されている。糸端処理装置53は、給糸ボビン11Aにおけるバンチ巻き部分をカットして糸端Y1を形成するロータリカッタ53Aと、上記糸端Y1を給糸ボビン11Aの糸層表面から引き剥がすサーチャ53Bと、糸端Y1の一部を解舒し、巻管上部12bにストックバンチ15が形成されると共に糸端Y1が巻管内部12cに配置された準備済給糸ボビン11Bを形成する糸処理装置70と、を有している。ロータリカッタ53Aと、サーチャ53Bと、糸処理装置70とは、第四搬送部64の搬送路に沿って上流側からこの順番で配置されている。
ボビン抜取装置55は、ボビン移送装置5によって搬送されてくる使用済ボビン13を回収する。すなわち、ボビン抜取装置55は、搬送トレイ9に装着された状態で第四搬送部64を搬送されてくる使用済ボビン13を、搬送トレイ9から抜き取る。また、ボビン抜取装置55の上流側には、巻管12に糸Yが巻かれているか否か、すなわち搬送トレイ9の装着された巻管12が使用済ボビン13であるか否かを判別する判別装置55Aが配置されている。ここで、ボビン抜取装置に55には、ワインダユニット30から排出されてくる使用済ボビン13と、糸端処理装置53における糸端処理の失敗後、第五搬送部65を経由して搬送されてくる給糸ボビン11Aと、が搬送されてくる。ボビン抜取装置55は、判別装置55Aによる判別結果が使用済ボビン13である場合にのみ、搬送トレイ9から使用済ボビン13を抜き取る。
図1に示されるように、糸処理装置70は、第四搬送部64の所定位置P1に面して配置されている。図5及び図6に示されるように、糸処理装置70は、筐体71と、第一吸引装置(糸端捕捉部)73と、カッタ装置75と、昇降装置77と、保持装置79と、ボビン支持装置81と、ボビン回転装置(回転部)83と、吹付装置85、第二吸引装置(吸引部)87と、ボビン検出センサ89と、を備えている。
第一吸引装置73は、給糸ボビン11Aの糸端Y1を上方に吸引する装置である。第一吸引装置73は、第四搬送部64の所定位置P1に停止する給糸ボビン11Aの上方に配置されている筒体73Aと、筒体73Aの上部に接続されている伸縮自在な蛇腹ホース73Bと、後段にて詳述するカッタ装置75を介して蛇腹ホース73Bの上方に接続されているサクションパイプ73Cと、を有している。サクションパイプ73Cは、糸端Y1を吸引するためのサクション気流(吸引力)を発生させる気流発生源73Dに接続されている。気流発生源73Dは、エンドフレーム20内に設けられたワインダユニット30にサクション気流を発生させるブロワである。第一吸引装置73とワインダユニット30とでは、共通のブロワを利用している。もちろん、第一吸引装置73専用のブロワを別途設けてもよい。筒体73Aにおける糸Yの吸引の有無は、後段にて詳述する可動シャッタ75Cの位置により切り替えられる。
サクションパイプ73Cの屈曲部のインコーナ側には、吸引した糸端Y1を所定の位置に案内するガイド73Eが配置されている。サクションパイプ73Cの内部には、糸Yの存在の有無を検出する糸検出センサ73Fが配置されている。糸検出センサ73Fから出力される信号は、機台制御部23に出力される。
カッタ装置75は、蛇腹ホース73Bとサクションパイプ73Cとの間に配置されており、第一吸引装置73によって吸引された糸Yを途中で切断すると共に、筒体73Aにおける吸引の有無を切り替える装置である。カッタ装置75は、上板75Aと、下板75Bと、可動シャッタ75Cと、を有している。上板75A及び下板75Bは、蛇腹ホース73Bとサクションパイプ73Cとの間に配置されている。上板75A及び下板75Bには、蛇腹ホース73Bとサクションパイプ73Cとを連通する連通孔が形成されている。可動シャッタ75Cは、連通孔を通過する糸Yを切断すると共に、糸Yを切断した状態において気流を遮断することができる。可動シャッタ75Cは、アクチュエータ等のシャッタ駆動部75Dにより作動する。シャッタ駆動部75Dは、機台制御部23により制御される。機台制御部23は、例えば、給糸ボビン11Aの正回転(給糸ボビン11Aの巻取方向R0への回転)が完了したタイミングで可動シャッタ75Cが糸Yを切断するように、シャッタ駆動部75Dを制御する。また、給糸ボビン11Aの回転方向は、糸の撚り方向により変更される。
昇降装置77は、筒体73Aの下端を移動可能にする装置である。昇降装置77は、アーム77Aと、ガイド77Bと、シリンダ77Cと、を有している。アーム77Aは、一端が筒体73Aに接続され、他端がシリンダ77Cのロッドに固定されている。アーム77Aには、スライドベアリング等を介してガイド77Bを内挿する貫通孔が形成されている。ガイド77Bは、上下方向に延在する円柱であり、アーム77Aに形成された貫通孔に内挿されている。シリンダ77Cは、アーム77Aをガイド77Bに沿って上下方向に移動させる機構であり、伸縮可能なロッドの先端にアーム77Aが接続されている。シリンダ77Cは、電磁バルブ等のシリンダ駆動部77Dにより作動する。シリンダ駆動部77Dは、機台制御部23により制御される。機台制御部23は、例えば、糸検出センサ73Fから出力される信号に基づいてシリンダ77Cが作動するように、シリンダ駆動部77Dを駆動させる。
保持装置79は、第一吸引装置73に吸引される糸Yを保持すると共に、給糸ボビン11Aの上部(例えば、糸Yが巻かれていない巻管上部)12bにストックバンチ15を形成する装置である。保持装置79は、押えレバー79Aを有している。図7に示されるように、押えレバー79Aは、給糸ボビン11Aの糸層から解舒され、サクションパイプ73Cに吸引される糸Yを給糸ボビン11Aの上部(例えば、糸Yが巻かれていない巻管上部)12bの側方に案内する案内部79Bが形成されている。押えレバー79Aは、筐体71に固定されている支持部71Aに回動可能に支持されており、案内部79Bを、給糸ボビン11Aにおける巻管上部12bの側方に接触させたり、離反させたりする。押えレバー79Aは、アクチュエータ等のレバー駆動部79Dにより作動する。レバー駆動部79Dは、機台制御部23により制御される。例えば、機台制御部23は、糸検出センサ73Fから出力される信号に基づいて押えレバー79Aを近接動作するように、また、準備済給糸ボビン11Bを逆回転させたタイミングで押えレバー79Aを離反動作するように、レバー駆動部79Dを駆動させる。
ボビン支持装置81は、給糸ボビン11Aが糸処理される際(特に筒体73Aによって給糸ボビン11Aの糸Yが解舒される際)に、搬送トレイ9から給糸ボビン11Aの抜け出しを防止すべく、給糸ボビン11Aの下部の糸Yが巻かれていない部分を押える装置である。ボビン支持装置81は、押えレバー81Aを有している。押えレバー81Aは、回動可能に支持されており、給糸ボビン11Aの下部に接触することにより給糸ボビン11Aを保持する。押えレバー81Aは、アクチュエータ等のレバー駆動部81Bにより作動する。レバー駆動部81Bは、機台制御部23により制御される。機台制御部23は、例えば、ボビン検出センサ89が給糸ボビン11Aを検知したタイミングで給糸ボビン11Aを保持するように、また、押えレバー79Aが離反動作を完了したタイミングで給糸ボビン11Aの保持を解除するように、レバー駆動部81Bを制御する。
ボビン回転装置83は、所定位置P1に停止する給糸ボビン11Aが載置される搬送トレイ9を回転させることにより、給糸ボビン11Aを回転させる装置である。ボビン回転装置83は、回転ローラ83Aを有している。回転ローラ83Aは、その外周面が所定位置P1に停止する給糸ボビン11Aが載置される搬送トレイ9に接触するように配置されている。回転ローラ83Aは、モータ等のローラ駆動部83Bにより回転される。
ローラ駆動部83Bは、機台制御部23により制御される。機台制御部23は、例えば、押えレバー79Aが近接動作を完了したタイミングで回転ローラ83Aを正回転(給糸ボビン11Aの巻取方向R0への回転)するようにローラ駆動部83Bを制御する。また、機台制御部23は、例えば、第二吸引装置87が糸Yの吸引を終えたタイミングで回転ローラ83Aを逆回転(給糸ボビン11Aの巻取方向R0とは逆方向の糸解舒方向R1へ回転)するようにローラ駆動部83Bを制御したりする。このとき、機台制御部23は、準備済給糸ボビン11Bを四分の一回転以上、二分の一回転以下、糸解舒方向R1に回転させたりする。
吹付装置85は、所定位置P1に停止する給糸ボビン11Aを挟む両側位置に、吹付ノズル85Aが配置されている。各吹付ノズル85Aには、給糸ボビン11Aに向って斜め上方及び斜め下方に圧縮空気を噴射する。吹付ノズル85Aから吹き付けられるブラストエアにより、例えば、給糸ボビン11Aの糸層から垂れ下がった糸Yを上方に吹き上げる。吹付ノズル85Aにおける圧縮空気の吹き出しの有無は、ノズル駆動部85Bによって切り替えられる。ノズル駆動部85Bは、機台制御部23により制御される。機台制御部23は、例えば、ボビン検出センサ89が給糸ボビン11Aを検知したタイミングで吹付ノズル85Aから圧縮空気を吹き出すように、ノズル駆動部85Bを制御する。
第二吸引装置87は、可動シャッタ75Cによって糸Yが切断された際に、その切断された糸Yの糸端Y1を給糸ボビン11Aの巻管内部12cに引き込む装置である。第二吸引装置87は、吸引管87Aと、シャッタ87Bと、を有している。吸引管87Aは、糸Yを吸引するための気流を発生させる、例えば、ブロワ等の気流発生源87Cに接続されている。吸引管87Aにおける糸Yの吸引の有無は、シャッタ87Bの位置により切り替えられる。吸引管87Aの上端開口部は、所定位置P1に停止する給糸ボビン11Aが載置される搬送トレイ9の下面中心に向けられている。シャッタ87Bは、アクチュエータ等のシャッタ駆動部87Dにより作動する。シャッタ駆動部87Dは、機台制御部23により制御される。機台制御部23は、例えば、カッタ装置75が作動して糸Yが切断されたタイミングで糸Yの吸引が可能となるように、シャッタ駆動部87Dを制御する。
ボビン検出センサ89は、第四搬送部64の所定位置P1に停止する給糸ボビン11A(搬送トレイ9)の有無を検出する。ボビン検出センサ89から出力される信号は、機台制御部23に出力される。
次に、主に、図9(a)〜図9(e)及び図10(a)〜図10(c)を参照しながら糸処理装置70の動作を説明する。給糸ボビン11Aが糸処理装置70に対する所定位置P1にまで搬送されてくると、図示しないストッパによって搬送トレイ9が保持される。更に、給糸ボビン11Aの下部が、押えレバー81A(図5及び図6参照)によって保持される。次に、吹付ノズル85Aは、圧縮空気の吹き出しを開始し、糸Yを給糸ボビン11Aの上方へ向かって吹き流す。
また、給糸ボビン11Aが糸処理装置70に対する所定位置P1にまで搬送されてくると、筒体73Aとサクションパイプ73Cとの連通を遮断していた可動シャッタ75Cが通路開放位置へと移動する。これにより、図9(a)に示されるように、サクションパイプ73Cと筒体73Aとは、カッタ装置75と蛇腹ホース73Bとを介して連通され、筒体73Aにサクション気流が作用する状態となり、シリンダ77Cが作動する。筒体73Aは、シリンダ77Cによって下方に移動されるアーム77Aを介して下降する。筒体73Aの下降に伴って、給糸ボビン11Aの周面に、上向きのサクション気流が作用するようになる。吹付ノズル85Aによって上向きに吹き流されていた糸端Y1は、図9(b)に示されるように、筒体73Aと、蛇腹ホース73Bと、カッタ装置75とを介してサクションパイプ73C内へ吸引される。
次に、糸検出センサ73Fによって、糸Yがサクションパイプ73Cの内部へ吸い込まれたことが検知されると、図9(c)に示されるように、シリンダ77Cを作動させて筒体73Aを待機位置へ移動させる。ここで、筒体73Aにサクション気流が作用させた瞬間に、糸Yがサクションパイプ73Cの内部へ吸い込まれ、糸検出センサ73Fによって吸い込まれた糸Yが検知されることがある。この場合、サクションパイプ73Cによる糸Yの捕捉は完了しているので、機台制御部23はシリンダ77Cを作動させない。
糸検出センサ73Fによって糸Yが検知され、更に筒体73Aが待機位置へ戻ると、押えレバー79Aによって、給糸ボビン11Aから繰り出された糸Yの中途部が、案内部79Bにより巻管上部12bの側方に案内される。このように、糸Yが巻管上部12bの側方に案内(保持)された状態で、回転ローラ83Aが巻取方向R0に回転する(第一処理)ことにより、糸Yが巻管上部12bに巻回される。すなわち、巻管上部12bにストックバンチ15が形成される。ストックバンチ15の巻回数は、予め記憶された情報に基づいて機台制御部23により制御される。
次に、カッタ装置75が作動して糸Yが切断される。これと同時に、サクションパイプ73Cの下端が、可動シャッタ75Cによって塞がれ、筒体73Aにおけるサクション気流が遮断される。カッタ装置75の作動と並行して、給糸ボビン11Aの巻管下部12aに接続される第二吸引装置87のシャッタ87Bが開放される(第二処理)。これにより、巻管内部12cに下向きのサクション気流を作用させる。これにより、図9(e)に示されるように、切断された糸Yの糸端Y1を給糸ボビン11Aの巻管内部12cへ吸引される。このような一連の処理により、巻管上部12bにストックバンチ15が形成されると共に糸端Y1が巻管内部12cに配置された準備済給糸ボビン11B(図4(d)参照)が完成する。
次に、図10(a)に示されるように、回転ローラ83Aを回転させて、準備済給糸ボビン11Bを糸解舒方向R1に回転させる(第三処理)。これにより、ストックバンチ15を形成する際に、糸Yが、押えレバー79Aによって案内されていた位置P2から、図10(b)に示される位置P3へ移動する。この時点で、押えレバー79Aは、準備済給糸ボビン11Bから遠ざかる方向R2への回動を開始する(第四処理)。このような一連の処理により、押えレバー79Aが準備済給糸ボビン11Bから離反する。
次に、準備済給糸ボビン11Bにおける巻管下部12aを押さえていた押えレバー81Aが回動し、準備済給糸ボビン11Bから離反する。また、搬送トレイ9を停止保持させていたストッパが待機位置へ移動する。これにより、所定位置P1に停止していた搬送トレイ9が移動を開始する。すなわち、ワインダユニット30へ準備済給糸ボビン11Bが供給される。
上記実施形態の糸処理装置70における作用効果について説明する。上記実施形態の糸処理装置70では、案内部79Bによって糸Yが案内された状態で給糸ボビン11Aを巻取方向R0に回転させるので、巻管上部12bの周面にストックバンチが形成される。その後、上記実施形態の糸処理装置70では、巻管12の下部に接続される第二吸引装置87によって巻管12の上端から巻管内部12cに糸端Y1を引き込むので、糸端Y1を巻管内部12cに位置させることができる。これにより、巻管上部12bにストックバンチが形成されると共に糸端Y1が巻管内部12cに配置された準備済給糸ボビン11Bが形成される。更に、上記実施形態の糸処理装置70では、糸端Y1が巻管内部12cに引き込まれた後、糸解舒方向R1に準備済給糸ボビン11Bを回転させると同時、又は回転させた後に準備済給糸ボビン11Bから案内部79Bを離間させるので、準備済給糸ボビン11Bから離間する案内部79Bが巻管内部12cに引き込まれた糸Yを引っ掛け、当該糸Yを巻管内部12cから引っ張り出す不具合を抑制できる。このため、糸端処理に適した糸処理がなされた準備済給糸ボビン11Bを安定的に供給することができる。
上記実施形態の糸処理装置70では、回転ローラ83Aを回転させて、準備済給糸ボビン11Bを糸解舒方向R1に回転させた後に、押えレバー79Aを準備済給糸ボビン11Bから遠ざかる方向R2へ回動させている。これにより、準備済給糸ボビン11Bから離間する案内部79Bが巻管内部12cに引き込まれた糸Yを引っ掛け、当該糸Yを巻管内部12cから引っ張り出す不具合をより確実に抑制できる。
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、糸処理装置70における糸処理制御において、回転ローラ83Aを回転させて、準備済給糸ボビン11Bを糸解舒方向R1に回転させたと同時に、押えレバー79Aを準備済給糸ボビン11Bから遠ざかる方向R2へ回動させてもよい。この場合には、準備済給糸ボビン11Bから離間する案内部79Bが巻管内部12cに引き込まれた糸Yを引っ掛け、当該糸Yを巻管内部12cから引っ張り出すことを抑制するための処理を短い時間で実行することができる。
上記実施形態又は変形例においては、糸処理装置70における糸処理制御が機台制御部23によって実行される例を挙げて説明したが、例えば、糸処理装置70が独自の制御部を備える構成としてもよいし、有線又は無線により接続された装置によって上記糸処理制御が実行されてもよい。
上記実施形態又は変形例の構成に加えて、ワインダユニット30から排出された巻管12に糸Yが残っている場合に、その糸Yを除去して糸Yが無い巻管12にする糸除去装置が備えていてもよい。
1…糸巻取システム、3…自動ワインダ、5…ボビン移送装置、9…搬送トレイ、11A…給糸ボビン、11B…準備済給糸ボビン、12…巻管、12a…巻管下部、12b…巻管上部、12c…巻管内部、13…使用済ボビン、15…ストックバンチ、22…操作部(入力部)、23…機台制御部、30…ワインダユニット(糸巻取機)、51…ボビン供給装置、53…糸端処理装置、70…糸処理装置、73…第一吸引装置(糸端捕捉部)、75…カッタ装置、77…昇降装置、79…保持装置(案内部)、81…ボビン支持装置、83…ボビン回転装置(回転部)、85…吹付装置、87…第二吸引装置(吸引部)、89…ボビン検出センサ、P…パッケージ、P1…所定位置、Y…糸、Y1…糸端。
Claims (5)
- 給糸ボビンを処理して巻管上部にストックバンチが配置されると共に糸端が前記巻管の内部に配置された準備済給糸ボビンを形成する糸処理装置であって、
前記巻管の軸方向が上下方向となるように支持された前記給糸ボビンを、前記軸を中心に回転させる回転部と、
前記給糸ボビンの上方において、前記給糸ボビンの糸端を捕捉する糸端捕捉部と、
前記巻取管上部に対して接近及び離間可能に移動し、接触することにより糸の一部を、前記巻管上部の側方に案内する案内部と、
前記巻管の下部に接続されており、前記巻管の上端から前記巻管の内部に前記糸端を引き込む吸引部と、
前記回転部、前記糸端捕捉部、前記案内部、及び前記吸引部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記案内部によって前記糸が案内された状態で、前記給糸ボビンを前記糸の巻取方向に回転させることにより前記ストックバンチを形成する第一処理と、
前記第一処理後に前記吸引部に吸引力を作用させる第二処理と、
前記第二処理後に前記巻取方向とは逆方向に前記準備済給糸ボビンを回転させる第三処理と、
前記第三処理と同時又は前記第三処理後に前記準備済給糸ボビンから前記案内部を離間させる第四処理と、
を実行する、糸処理装置。 - 前記制御部は、前記第三処理後に前記第四処理を実行する、請求項1に記載の糸処理装置。
- 前記制御部は、前記第三処理と前記第四処理とを同時に実行する、請求項1に記載の糸処理装置。
- 前記制御部は、前記第三処理において、前記準備済給糸ボビンを四分の一回転以上、二分の一回転以下、前記巻取方向とは逆方向に回転させる、請求項1〜3の何れか一項記載の糸処理装置。
- 前記第三処理における前記準備済給糸ボビンの回転量を入力可能な入力部を更に備え、
前記制御部は、前記入力部から入力された前記回転量に基づいて前記第三処理を実行する、請求項1〜4の何れか一項記載の糸処理装置。
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