JPH08174275A - 高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ - Google Patents

高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ

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JPH08174275A
JPH08174275A JP32077494A JP32077494A JPH08174275A JP H08174275 A JPH08174275 A JP H08174275A JP 32077494 A JP32077494 A JP 32077494A JP 32077494 A JP32077494 A JP 32077494A JP H08174275 A JPH08174275 A JP H08174275A
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JP
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strength
welding
toughness
wire
flux
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JP32077494A
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Ryuichi Shimura
竜一 志村
Kazushi Suda
一師 須田
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、小入熱から大入熱までの広い使用
範囲に亙って母材強度とバランスのとれた溶接継手強度
と低温高靱性を同時に確保でき、さらに溶接能率も著し
く向上できるとともに、全姿勢溶接作業性並びに耐割れ
性に優れた高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラック
ス入りワイヤを提供する。 【構成】 鋼製外皮中にフラックスを充填してなるフラ
ックス入りワイヤにおいて、ワイヤ全重量に対し、必須
成分としてC,Si,Mn,P,SおよびTa量を規制
し、さらに選択元素としてNi,Cr,Moのうちいず
れか1種または2種以上を含有し、充填フラックス中に
金属粉を95%以上含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Ar−CO2 混合ガス
をシールドガスとして使用する高張力鋼用ガスシールド
アーク溶接フラックス入りワイヤに関するものである。
詳しくは680N/mm2 級以上の高張力鋼用ガスシー
ルドアーク溶接に使用し、特に小入熱から大入熱までの
広い使用範囲に亙って低温靱性に優れた溶接金属が得ら
れるとともに、全姿勢溶接において良好な溶接作業性お
よびビード形状が確保でき、かつ耐割れ性に優れた高張
力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ
(以下、ワイヤという)に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼構造物の大型化に伴い、構造物
の軽量化を図るために高張力鋼が広く使用されるように
なった。また、鋼材の技術進歩もめざましく、高張力鋼
の溶接性は著しく改善され、特に高張力鋼の溶接におい
て問題とされていた低温割れ感受性は著しく改善されて
いる。このため、680N/mm2 級以上の高張力鋼の
需要はますます高まっている。
【0003】これら680N/mm2 級以上の高張力鋼
を使用する構造物の製造にあたっては、水素量が少な
く、耐割れ性に優れ、また溶接の高能率化に適するとい
う観点から、ガスシールドアーク溶接が使用されてい
る。従来、このような用途には、Ni、Cr、Moなど
を適量添加した高張力鋼用ガスシールドアーク溶接鋼ワ
イヤが使用されていた。しかし、これらのワイヤは強度
・靱性を確保するために低入熱で多層盛溶接を行う方法
をとっていたが、溶込み不良や融合不良等の溶接欠陥が
発生しやすく、また溶接能率が低下するという問題があ
る。
【0004】そこで、鋼ワイヤについては、大入熱溶接
におけるミクロ組織粗大化による溶接金属の強度、特に
降伏強度の低下、さらには靱性低下の防止のため種々検
討されている。その一例として、ミクロ組織の微細化に
より靱性を確保するという、特公昭60−57953号
公報記載の方法が提案されており、これはAlおよびT
iを酸可溶性成分と酸不溶性成分とに分けて個々に規定
することにより、ミクロ組織を微細化し、靱性を改善す
るというものである。しかし、この方法では溶接金属の
ミクロ組織の微細化は不十分であり、小入熱から大入熱
までの広い使用範囲に亙っての良好な靱性を確保するこ
とはできない。
【0005】また、特公昭63−32558号公報に
は、980N/mm2 以上の高張力鋼用不活性ガスシー
ルドアーク溶接鋼ワイヤについて開示されており、これ
は、0.03%以下のNbを添加することにより結晶粒
を微細化して靱性を改善するというものであるが、大入
熱溶接での強度・靱性は何ら改善されていない。さら
に、これらの鋼ワイヤで全姿勢溶接を行う場合は、溶接
金属が垂れやすく、ビード形状が凸となり、溶接作業性
が悪く、溶接欠陥が発生しやすいという欠点があった。
【0006】そこで、ワイヤ中にスラグ剤が含まれるこ
とにより、全姿勢溶接作業性に優れたフラックス入りワ
イヤでの検討が一部で試みられている。その一例とし
て、特公昭59−44159号公報では、溶接金属中の
酸素量をMg、Ti、Bの複合添加で低下させて靱性を
得る方法が、また特公昭56−6840号公報では、チ
タニア系フラックスにTi、Bを添加して靱性改善を図
る方法等が提案されている。
【0007】さらに、フラックス入りワイヤにおいて、
上記以外の、例えばTaを添加して高靱性化を図ったと
いうものは見あたらない。しかし、これらの方法では、
高張力鋼の溶接において小入熱から大入熱までの広い使
用範囲に亙って高強度と低温での高靱性を同時に確保で
き、良好な全姿勢溶接作業性並びに優れた耐割れ性が得
られるフラックス入りワイヤの開発が強く要望されてい
るのが現状であり、このようなワイヤは存在しない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するものであり、680N/mm2 級以上の高張
力鋼のガスシールドアーク溶接に使用し、特に小入熱か
ら大入熱までの広い使用範囲に亙って高強度と同時に低
温高靱性を確保するとともに、良好な全姿勢溶接作業性
並びに優れた耐割れ性が得られる高張力鋼用ガスシール
ド溶接フラックス入りワイヤを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を可決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは、金属粉を95%以上含有するフラック
スを充填してなるフラックス入りワイヤにおいて、ワイ
ヤ全重量に対し、重量%で、C:0.02〜0.15
%、Si:0.4〜1.3%、Mn:0.9〜3.5
%、P:0.015%以下、S:0.015%以下、T
a:0.01〜0.15%を必須成分とし、かつNi:
0.5〜8.0%、Cr:0.3〜2.5%、Mo:
0.2〜2.0%の1種または2種以上を含有し、残部
が鉄および不可避的不純物よりなることを特徴とする高
張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ
にある。
【0010】
【作用】本発明者らは上記の問題点を解決するため、フ
ラックス入りワイヤでのミクロ組織の微細化に有効な合
金成分について種々検討を行った。その結果、従来ミク
ロ組織微細化に有効とされているAl、Tiは靱性改善
には有効であるが、溶接入熱が増加するとミクロ組織の
微細化効果が不足し、特に大入熱溶接時における靱性確
保が難しく、また降伏強度の低下を改善する上でも不十
分であることがわかった。そこで、TiO2 などの酸化
物を核生成サイトとしてミクロ組織を微細化するという
従来の考え方から全く視点を変え、小量のTaを添加す
ることにより、溶接金属のミクロ組織が顕著に微細化さ
れ、小入熱から大入熱までの広い範囲に亙って母材と同
等の強度を確保し、かつ良好な靱性が同時に得られるこ
とを見出した。
【0011】表1に示す成分系のワイヤを用いて、図1
の開先形状を表2に示す溶接条件で780N/mm2
高張力鋼を溶接した。図2にワイヤ中のTa添加量と溶
着金属強度・靱性の関係を示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】この結果、図2よりTa量が0.01〜
0.15%の範囲において顕著な靱性改善が認められる
ことが判明した。また、強度特性については、0.01
%未満(無添加)では引張強度は780N/mm2 を超
えるが、降伏強度が680N/mm2 未満にある。しか
し、本発明範囲の0.01%以上では降伏強度は680
N/mm2 を超え、780N/mm2 級高張力鋼用ワイ
ヤとして過度に溶接金属が硬化することなく、母材強度
に相当した強度特性が得られることが明らかになった。
しかし、Ta量が0.15%を超えると溶接金属中に炭
化物が多数析出して靱性が逆に劣化する。この実験結果
から、Ta量を0.01〜0.15%に限定することに
より小入熱から大入熱までの広い使用範囲に亙って母材
と同等の強度を確保し、かつ同時に良好な高靱性が得ら
れることを見出したのである。
【0015】以下に、本発明の成分限定理由を詳細に説
明する。まず、本発明において充填フラックス中の金属
粉を95%以上と限定したのは、余分なスラグを溶接中
に生成させず溶着効率を高め、溶接の効率を高めて、全
姿勢での溶接作業性を確保するためである。充填フラッ
クス中の金属粉の比率が95%未満では、スラグ生成剤
の比率が相対的に高くなって生成スラグが多くなり、溶
着効率が鋼ワイヤより低くなる。さらに、スラグが溶接
金属表面に多く生成すると、スラグ除去の工程を要する
ようになり溶接効率が低下する。このような理由から、
充填フラックス中の95%以上は金属粉でなければなら
ない。なお、ここでいう金属粉とは、鉄粉の他、Si、
Mn、Al、Ti、V、Ni等の脱酸、脱窒元素あるい
は合金元素を意味する。これら金属元素の形態として
は、各々単体で添加しても、またはこれらから選択され
る2種以上の金属の合金として添加してもよい。
【0016】C:0.02〜0.15% Cは溶接金属の強度を得る上で必要不可欠の成分である
が、0.02%未満では680N/mm2 級以上の強度
が得られない。また、0.15%を超えると割れ感受性
が著しく高まるので、0.02〜0.15%とした。 Si:0.4〜1.3% Siは主脱酸剤であり、溶接金属の降伏強度を高めるこ
とと酸素量を低減させる効果があるが、0.4%未満で
は脱酸不足となり、溶接金属中にブローホールが発生す
る。また、1.3%を超えると溶接金属中のマトリック
スを固溶強化し、著しく靱性を低下させるので、0.4
〜1.3%とした。
【0017】Mn:0.9〜3.5% MnはSiとともに脱酸剤として使用する他、溶融金属
の流動性改善と溶接金属の靱性向上に有効な元素である
が、0.9%未満では酸脱不足となり、溶接金属中にブ
ローホールが発生する。また、3.5%を超えると引張
強さのみが増し、降伏強度を高める効果が認められない
ので、0.9〜3.5%とした。
【0018】P:0.015%以下 Pは低融点化合物を生成し、粒界の強度を低下させる結
果、靱性を著しく低下させるので、0.015%を上限
とした。 S:0.015%以下 SはPと同様に低融点化合物を生成し、粒界の強度を低
下させる。680N/mm2 級以上の高張力鋼溶接金属
では粒界における合金成分の濃化が著しく、この粒界に
P、Sが偏析し、靱性を著しく低下させるので、S量の
上限は0.015%とする。
【0019】Ta:0.01〜0.15% Taはミクロ組織を微細化し、溶接金属の強度および靱
性を改善する上で顕著な効果をもたらす元素である。し
かし、0.01%未満ではこの効果が十分得られず、ま
た0.15%を超えると溶接金属中に炭化物を多く析出
して靱性が低下するので、Ta量は0.01〜0.15
%とした。
【0020】なお、Taの添加に関しては、粒度を15
0ミクロン以下の細かいものを使用することが望まし
い。これは、Taの融点が高いため、150ミクロンを
超える粗い粒度のものを使用すると溶接金属中に未溶融
の形で入り、溶接欠陥を発生させるためである。 Ni:0.5〜8.0% Niは強度および低温靱性を確保するために添加するこ
とが好ましいが、0.5%未満では十分な靱性改善効果
が得られず、また8.0%を超えると高温割れが発生し
やすくなるので、0.5〜8.0%とした。
【0021】Cr:0.3〜2.5% Crは強度を安定して高めるために添加することが好ま
しい元素である。Cr量が0.3%未満では目標強度を
得られずその効果が十分でなく、また2.5%を超える
と靱性が低下するので、0.3〜2.5%とした。 Mo:0.2〜2.0% Moは溶接金属の強度確保、特に大入熱溶接におけるミ
クロ組織の粗大化による強度の低下を防止するために添
加することが好ましい元素である。Mo量が0.2%未
満では上記の効果が不足し、また2.0%を超えるとM
o炭化物を析出し、溶接金属を著しく硬化して靱性を低
下させるので、0.2〜2.0%とした。
【0022】
【実施例】
〔実施例1〕表3に実験に用いたワイヤを示す。表4お
よび図1に示す溶接条件および開先形状を用いて980
N/mm2 級高張力鋼で溶接継手を作製した。この溶接
継手の板厚中央部より引張試験片(JIS Z3111
A1号)およびシャルピー衝撃試験片(同4号)を採
取し、機械試験を行った結果を表5に示す。なお、引張
強度は980N/mm2 級高張力鋼同等以上を、また低
温靱性については、−40℃の吸収エネルギーが47J
以上であれば良好と判定した。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】ワイヤ記号A1〜A4は本発明ワイヤであ
り、ワイヤ記号B1〜7は比較ワイヤである。ワイヤ記
号A1〜4はいずれも母材強度に適した強度を示し、ま
た良好な高靱性が得られ、さらにX線透過試験および溶
接作業性も良好である。これに対して、比較例を個々に
説明すると、ワイヤ記号B1は高強度を得るためにCを
本発明範囲を超える0.17%含有したものであるが、
このため溶接金属が著しく硬化し、溶接金属の引張強度
が1100N/mm2 を超え、その反面靱性は31Jと
低く、溶接金属中に割れを発生した。
【0027】ワイヤ記号B2は、強度・靱性のバランス
を得るためにSi、Mnを本発明範囲未満の0.20
%、0.70%とし、Moを本発明範囲を超える2.6
8%としたものであるが、SiおよびMnが本発明範囲
未満であるため、脱酸不足となって溶接金属中にブロー
ホールが多発し、さらにMo量が多いために溶接金属が
過度に硬化し、靱性が著しく低く、かつ所定の強度が得
られなかった。
【0028】ワイヤ記号B3は、本発明の特徴であるT
aが無添加で、Siも本発明範囲を超える1.54%含
有しているもので、かつフラックス中の金属粉は94%
と本発明範囲を下回るものであるため、強度はSiおよ
びNi等の他の成分の添加により確保されているが、靱
性はTa無添加であるため比較ワイヤ中最低の18Jと
低靱性を示すとともに、金属粉含有量も94%と少ない
ために全姿勢での溶接作業性が確保できず、かつ溶着効
率も低かった。
【0029】ワイヤ記号B4は、Cが0.01%と本発
明範囲未満であり、またフラックス中の金属粉含有量も
93%と本発明範囲を下回る含有量であるため、溶接金
属の焼入れ性が不足し、母材強度を大きく下回る894
N/mm2 と所定の強度が確保できなかった。さらに、
溶着効率も低く、アークの吹付けも弱く、溶接作業性が
劣化した。
【0030】ワイヤ記号B5は、さらに強度・靱性を得
る目的で本発明の特徴であるTaを本発明範囲を超える
0.40%含有したものであり、全姿勢での溶接作業性
は得られ、また前述の図2に示したように強度はほぼ母
材強度を確保できるが、靱性は28Jと低値を示した。
ワイヤ記号B6は、必須成分が一応本発明範囲内で含有
されたものであるが、ミクロ組織改善、強度、靱性確保
のため選択的に添加すべきNi、CrおよびMoの全て
が添加されていないものである。このため、溶接金属中
のミクロ組織が粗大となり、強度が母材値を下回る90
5N/mm2 と低く、さらに靱性も31Jと低値を示し
た。
【0031】ワイヤ記号B7は、Mnが4.11%、P
が0.020%と本発明範囲を超えて含有するととも
に、フラックス中の金属含有量が94%と本発明範囲を
下回るものである。このため、溶接金属の引張強度が高
く、また多量のPが含有されているため粒界に偏析し、
低融点化合物を形成したために高温割れが発生し、X線
透過試験結果も悪く、また溶着効率も低く、溶接作業性
が劣化している。
【0032】このように、本発明の範囲内であれば良好
な溶接作業性が全姿勢溶接で確保できることは勿論のこ
と、溶接部を過度に硬化させることなく、母材強度との
バランスもよく、低温での高靱性が得られる。 〔実施例2〕次に表6に示すワイヤを試作し実験に供し
た。780N/mm2 級高張力鋼を図3(下向および立
向溶接用)、図4(横向溶接用)に示す開先形状に加工
し、表7に示す溶接条件で溶接入熱を変化させて試験を
行った。この溶接継手の板厚中央部より引張試験片(J
IS Z3111 A1号)およびシャルピー衝撃試験
片(同4号)を採取し、機械試験を行った結果を表8に
示す。なお、引張強度は780N/mm2 級高張力鋼と
同等以上を、また低温靱性については−60℃の吸収エ
ネルギーが47J以上であれば良好と判定した。
【0033】
【表6】
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】ワイヤ記号C1〜C2は本発明ワイヤであ
り、ワイヤ記号D1〜3は比較ワイヤである。ワイヤ記
号C1〜2は、いずれも小入熱から大入熱までの広い使
用範囲に亙って母材強度に適した強度を示し、また良好
な高靱性が得られている。これに対して比較例であるワ
イヤ記号D1は、本発明の特徴であるTaが無添加で、
またフラックス中の金属粉含有量が94%のものである
ため、大入熱溶接において溶接金属中のミクロ組織の微
細化が図れず、靱性が著しく低下した。
【0037】ワイヤ記号D2は、本発明の必須成分であ
るSiを除いて、一応本発明範囲内で含有されているも
のの、Siが1.42%と本発明範囲を超えており、ミ
クロ組織改善、強度、靱性確保の点から選択的に添加す
べきNi、CrおよびMoの全てが添加されていないも
のである。このため、大入熱溶接によって溶接金属中の
ミクロ組織が改善されず、母材強度を大きく下回る73
4N/mm2 と低値を示し、靱性も低い値を示してい
る。さらに、本ワイヤはSiが多量に添加されているた
め全姿勢でのスラグ発生が過多となり、溶接金属中にス
ラグ巻込みを発生している。
【0038】ワイヤ記号D3は、本発明の特徴であるT
aが本発明範囲を超える0.35%含有され、さらに強
度向上を目的にMoが2.79%と本発明範囲を大きく
上回っているものである。本ワイヤはTaが多量に添加
されているため大入熱でも強度確保ができる反面、靱性
は入熱量に関係なく全て低値を示した。このように、本
発明の範囲内であれば広範囲の溶接入熱において溶接金
属のミクロ組織を効果的に微細化できることにより、低
温靱性を改善し、かつ溶接金属を過度に硬化させること
なく、母材強度とバランスのとれた溶接継手強度を確保
できることが明らかである。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明の組成範囲にある
ワイヤであれば、小入熱から大入熱までの広い使用範囲
に亙って母材強度とバランスのとれた溶接継手強度と低
温高靱性を同時に確保できることは勿論のこと、溶接能
率も著しく向上できるとともに、全姿勢溶接作業性並び
に優れた耐割れ性が得られる。従って、680N/mm
2 級以上の高張力鋼を使用する構造物の溶接加工におい
て、溶接部の品質向上および溶接効率の大幅改善が図
れ、その他各種溶接分野での適用範囲拡大に大きく寄与
するものである。
【0040】
【図1】表1に示す成分系のワイヤを用いて、表2に示
す溶接条件で780N/mm2級の高張力鋼を溶接した
際の開先形状を示す図である。
【0041】
【図2】ワイヤ中のTa添加量と溶着金属強度・靱性の
関係を示す図である。
【0042】
【図3】表6に示す成分系のワイヤを用いて、表7に示
す溶接条件で780N/mm2級の高張力鋼を溶接した
際の開先形状(下向および立向溶接用)を示す図であ
る。
【0043】
【図4】表6に示す成分系のワイヤを用いて、表7に示
す溶接条件で780N/mm2級の高張力鋼を溶接した
際の開先形状(横向溶接用)を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】削除
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】削除
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】削除
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】削除
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】表1に示す成分系のワイヤを用いて、表2に示
す溶接条件で780N/mm2級の高張力鋼を溶接した
際の開先形状を示す図である。
【図2】ワイヤ中のTa添加量と溶着金属強度・靱性の
関係を示す図である。
【図3】表6に示す成分系のワイヤを用いて、表7に示
す溶接条件で780N/mm2級の高張力鋼を溶接した
際の開先形状(下向および立向溶接用)を示す図であ
る。
【図4】表6に示す成分系のワイヤを用いて、表7に示
す溶接条件で780N/mm2級の高張力鋼を溶接した
際の開先形状(横向溶接用)を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉を95%以上含有するフラックス
    を充填してなるフラックス入りワイヤにおいて、ワイヤ
    全重量に対し、重量%で、 C:0.02〜0.15% Si:0.4〜1.3% Mn:0.9〜3.5% P:0.015%以下 S:0.015%以下 Ta:0.01〜0.15% を必須成分とし、かつ Ni:0.5〜8.0%、 Cr:0.3〜2.5%、 Mo:0.2〜2.0% の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避
    的不純物よりなることを特徴とする高張力鋼用ガスシー
    ルドアーク溶接フラックス入りワイヤ。
JP32077494A 1994-12-22 1994-12-22 高張力鋼用ガスシールドアーク溶接フラックス入りワイヤ Withdrawn JPH08174275A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20030062217A (ko) * 2002-01-13 2003-07-23 일리노이즈 툴 워크스 인코포레이티드 저 탄소의 고속 금속 와이어
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