JPH08165990A - ピストン式バキュームポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】バキュームポンプとしての性能を低下すること
なく、信頼性の高い安価なバキュームポンプを提供す
る。 【構成】ロワーケーシング２とアッパーケーシング３間
に、開口孔３７を備えたメタルラバーパッキン２７を介
在させ、ロワーケーシング２に設けたシリンダ５内に、
ピストン６とピストンロッド１０を備え、シリンダ５に
は、Ｏリング８の弾力によってピストンリング９が押圧
されており、エンジンのカム２５により駆動される小径
ローラ２２，大径ローラ２３で、ピストン６が上下動
し、吸入弁１７，１８及び１９，２０を備えたシリンダ
上室１４，シリンダ下室１５に負圧を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はピストン式バキュームポ
ンプに係り、特に、自動車等に装備され、エンジン等に
より駆動されて、各種の負圧アクチュエータに負圧を付
与するに好適なピストン式バキュームポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】実開平5−19575号公報等には、ロワーケ
ーシングとアッパーケーシング間のシール方法として、
ロワーケーシング上端に、シールの必要な形状にＯリン
グ溝を設け、同Ｏリング溝形状に合致する異形Ｏリング
を用いていた。

【０００３】一方、吸入及び吐出通路に配設された吸入
弁及び吐出弁外周のシールについては、Ｏリングを用い
ているが、ケーシング内にアンダーカットのＯリング溝
が設けられており、Ｏリングがはみ出さない様になって
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】吸入弁及び吐出弁の外
周等シリンダから外方向に突出しているような箇所に、
異形Ｏリング用の溝が必要となるので、更に外側に突出
して、バキュームポンプの外形が大きくなっていた。

【０００５】一方、吸入弁及び吐出弁外周のシールは、
ロワーケーシング側に形成されるＯリング溝がアンダー
カットになっているために、加工の際には特殊治具が必
要となり、コスト高になっている。

【０００６】又、組立時、Ｏリングを挿入した後に、吸
入弁及び吐出弁を嵌挿するが、その際にＯリングのかみ
込みが発生しても、目視で確認できないなどの問題もあ
った。

【０００７】本発明の目的は、この様な問題点を解消で
きるバキュームポンプを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のバキュームポンプは、ロワーケーシングと
アッパーケーシングの合わせ面に、板状のシール部材を
具備し、本シール部材に、吸入弁及び吐出弁に当接する
一部分に、吸入弁及び吐出弁の外径よりも小さい開口部
を設けた。

【０００９】シール部材は、特に、金属等剛性のある芯
材に弾性部材をコーティングしたものが効果的である。

【００１０】

【作用】シール部材の特性上、シール面圧を上げる必要
があるが、これは逆に小さいシール面積でシール効果を
上げられる利点があり、その結果、吸入弁及び吐出弁等
の突出し部の外径を小さく出来、バキュームポンプ全体
を小形に出来る。

【００１１】又、吸入弁及び吐出弁外周のシール部につ
いては、シール部材がＯリング溝に覆いかぶさるため
に、本部分がＯリングのはみ出し防止機能として働く。

【００１２】このため、Ｏリング溝は従来の様なアンダ
ーカット部が不要となり、一方に開口した座ぐり穴とす
ることが可能となり、加工が容易で安価なものとなる。

【００１３】更に、Ｏリングの装着状況は、シール部材
を組付ける前に目視で観察出来るので、Ｏリングのかみ
込み等、組立時の不具合を検出することが出来る。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面により説明す
る。

【００１５】図２は本発明によるピストン式バキューム
ポンプの一実施例の断面図である。１はバキュームポン
プであり、ロワーケーシング２とアッパーケーシング３
を備え、ロワーケーシング２の下部において、エンジン
のヘッドカバー４に固定されている。

【００１６】ロワーケーシング２とアッパーケーシング
３との間には、シール部材であるメタルラバーパッキン
２７を介在させている。メタルラバーパッキン２７は、
基芯材の鋼板に弾性部材としてゴムをコーティングして
いる。

【００１７】５はロワーケーシング２の内部に形成され
たシリンダ、６はシリンダ５内を上下動するピストン
で、その外周に設けた環状溝７には、Ｏリング８と四弗
化エチレンを主成分としたピストンリング９が嵌合され
ている。Ｏリング８はその弾力でピストンリング９をシ
リンダ５に押圧すると共に、温度変化によるピストンリ
ング９の寸法変化を吸収する。

【００１８】１０はピストンロッドで、ロワーケーシン
グ２に設けた軸受１１により上下に摺動可能に軸承さ
れ、その上端はピストン６の中央に固定されている。

【００１９】１２はピストンロッド１０に嵌合するよう
に、ロワーケーシング２に設けられた四弗化エチレンを
主成分としたシールリングで、その内周には図示されて
いないオイル通路が形成されている。

【００２０】１３はシールリング１２の周りに設けたＯ
リングであり、その弾力によつてシールリング１２をピ
ストンロッド１０の外周に押圧すると共に、温度変化に
よるシールリング１２の寸法変化を吸収する。

【００２１】１４と１５はそれぞれピストン６の上下に
形成されたシリンダ上室とシリンダ下室であり、１６は
ロワーケーシング２に固定したパイプで、図示されてい
ないブレーキブースタに連通されている。

【００２２】１７と１８は吸入弁で、各々パイプ１６と
シリンダ上室１４との間と、パイプ１６とシリンダ下室
１５との間に配設されている。

【００２３】シリンダ上室１４とシリンダ下室１５は、
各々吐出弁１９，２０を経てエンジンのヘツドカバー４
内の空間に連通している。

【００２４】２１はピストンロッド１０の下端部１０ｂ
に固定されたピン、２２はピン２１に回転可能に嵌合さ
れた小径ローラ、２３は小径ローラ２２の外周に嵌合す
る大径ローラで、エンジンカム軸に形成されたカム２５
に当接している。

【００２５】１０ｃはピストンロッド１０の軸部１０ａ
の下端近くに一体成形されたフランジ状のばね受部、２
６は、ばね受部１０ｃとロワーケーシング２との間に配
設された圧縮ばねで、ピストンロッド１０を下方に付勢
して大径ローラ２３をカム２５に押圧当接している。こ
の様に、大径ローラ２３は、カム２５に従動するピスト
ン駆動部として機能する。

【００２６】実施例において、エンジンに連動してカム
２５が回転すると、ピストン駆動部である大径ローラ２
３を駆動して、ピストンロッド１０とピストン６を上下
動させる。

【００２７】ピストン６が上昇すると、シリンダ上室１
４内の空気が吐出弁１９を経てヘッドカバー４内の空間
に吐出され、シリンダ下室１５には、図示されていない
ブレーキブースタからパイプ１６、吸入弁１８を経て空
気が吸入される。

【００２８】ピストン６の下降時には、シリンダ下室１
５内の空気は吐出弁２０を経てヘッドカバー４内の空間
に吐出され、シリンダ上室１４には、ブレーキブースタ
からパイプ１６と吸入弁１７を経て、空気が吸入され
る。

【００２９】メタルラバーパッキン２７による、シール
部分の構造を、吐出弁１９の周辺を主体とした図１を用
いて以下説明する。

【００３０】吐出弁１９は、弁座部材２８，弁子２９，
ばね３０、及びバルブケーシング３１を備えて、バキュ
ームポンプのロワーケーシング２やアッパーケーシング
３とは別体のユニットとして構成されたものである。

【００３１】ロワーケーシング２には座ぐり穴３２が形
成されている。この座ぐり穴３２には、肩面３３と一方
向に開口した環状のＯリング溝３４が形成されており、
それにＯリング３５が嵌め入れられている。

【００３２】座ぐり穴３２には、弾性部材としてウェー
ブスプリング３６が嵌合されて肩面３３に支持されてお
り、その後から、前述のようにユニット化された吐出弁
１９が嵌合されている。

【００３３】メタルラバーパッキン２７は、ロワーケー
シング２とアッパーケーシング３との間に介在し、ロワ
ーケーシング２とアッパーケーシング３との面圧により
両者をシールしている。

【００３４】又、メタルラバーパッキン２７が吐出弁１
９に当接する一部分には、空気の流れを妨げない様に、
開口孔３７が設けられている。開口孔３７は、吐出弁１
９の外径よりも小さく、弁座部材２８の通路孔径より大
きい寸法となっており、壁部２４が吐出弁１９に覆いか
ぶさっている。

【００３５】上述した様に、メタルラバーパッキン２７
が、吐出弁１９に覆いかぶさる壁部２４が、Ｏリング３
５のはみ出し防止機能として働くので、ロワーケーシン
グ２に設けたＯリング溝３４の形状を、一方に開口した
座ぐり孔とすることが可能となる。

【００３６】更に、Ｏリング３５の装着状況を目視で観
察できるので、Ｏリング３５のかみ込み等、組立時の不
具合を検出することが出来る。

【００３７】

【発明の効果】本発明のバキュームポンプは、上述の様
に構成されているので、全体の外形を小さくすることが
出来、吸入弁及び吐出弁外周のＯリング溝を、一方に開
口した座ぐり孔とすることが可能となる。その結果、Ｏ
リングのかみ込み等組立時の不具合を検出することが出
来、安価なバキュームポンプを提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】吐出弁の周辺を主体としたシールの断面図。

【図２】本発明によるピストン式バキュームポンプの一
実施例の断面図。

【符号の説明】

２…ロワーケーシング、３…アッパーケーシング、１９
…吐出弁、２７…メタルラバーパッキン、３７…開口
孔。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】合わせ面を境に互いにケーシングを構成す
   るロワーケーシングとアッパーケーシングを備え、前記
   ロワーケーシングの内部に形成したシリンダに、前記シ
   リンダの軸方向に摺動可能に挿入されたピストン部と、
   前記ピストン部に環状のピストンリングを備え、前記ピ
   ストン部の上下動に応動する吸入弁及び吐出弁を配設し
   て、シリンダ室を形成すると共に、前記ピストン部の一
   端部を、エンジンカム軸の回転運動に応じて偏心運動さ
   せ、前記ピストン部を軸方向に往復運動させて、前記シ
   リンダ室に負圧を生じさせるようにしたピストン式バキ
   ュームポンプにおいて、前記ロワーケーシングと前記ア
   ッパーケーシングの合わせ面に板状のシール部材を具備
   したことを特徴とするピストン式バキュームポンプ。
2. 【請求項２】請求項１において、前記シール部材の形状
   が、前記吸入弁及び吐出弁が当接する一部分に、吸入弁
   及び吐出弁よりも小さい開口部を設けたピストン式バキ
   ュームポンプ。
3. 【請求項３】請求項１において、前記シール部材を、薄
   板状の基芯材に弾性部材をコーティングした材質とした
   ピストン式バキュームポンプ。