JPH08158291A - ケーシング用原紙の製造方法 - Google Patents

ケーシング用原紙の製造方法

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JPH08158291A
JPH08158291A JP29710894A JP29710894A JPH08158291A JP H08158291 A JPH08158291 A JP H08158291A JP 29710894 A JP29710894 A JP 29710894A JP 29710894 A JP29710894 A JP 29710894A JP H08158291 A JPH08158291 A JP H08158291A
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water
shaped substrate
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JP29710894A
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Akiko Mitsushiba
晶子 三柴
Mikio Hikita
幹雄 引田
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New Oji Paper Co Ltd
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  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた湿潤強度および耐アルカリ性を有し、
且つハム、ソーセージ等の食肉製品を充填した時に透明
性に優れ、しかも一回の乾燥工程を経るだけでよいため
操業工程がより短縮化でき、これによりコスト的にもよ
り安価となるケーシング用原紙の製造方法を提供する。 【構成】 セルロールパルプを抄紙して得られるシート
状基材に水溶性高分子物質を塗布することからなるケー
シング用原紙の製造方法であって、該シート状基材を乾
燥する前に、キトサン、キトサン塩、ゼラチン等の水溶
性高分子物質からなる水溶液をシート状基材に塗布し、
次いで乾燥する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーシング用原紙の製
造方法に関する。さらに詳しく述べれば、本発明は、良
好な湿潤強度と耐アルカリ性を有し、より安価なケーシ
ング用原紙の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハム、ソーセージ等の食肉加工品は、原
料を調合した練り製品をチューブ状のケーシングに充填
した後、加熱処理、殺菌処理、くん煙処理等を行なうこ
とによって製品にされる。ケーシングには、天然ケーシ
ングと人工ケーシング(セルロースケーシング、コラー
ゲンケーシング、プラスチックケーシング、ファイブラ
スケーシング等)があり、人工ケーシングは、天然ケー
シングに比べ安価で衛生的であり、また製品の大きさが
一定であるという利点から幅広く利用されている。
【0003】しかしながら、セルロースケーシングに
は、強度が低く、湿度に弱いという欠点があり、またプ
ラスチックケーシングにはくん煙を施すことが不可能で
あるという欠点があるため、従来から大型ロースハム、
プレスハム用にはくん煙可能で、かつ強靱なファイブラ
スケーシングが使用されている。
【0004】ファイブラスケーシングとは、セルロース
パルプからなるシート状基材にビスコースを含浸させ、
凝固、再生処理を行なったもので、この方法は米国特許
明細書第2,105,273号に開示されている。ビス
コースは重量比でセルロース分7%と水酸化ナトリウム
6%とを含む水溶液であり、したがってシート状基材に
は、湿潤強度と耐アルカリ性(アルカリ性液に強い抵抗
力)が要求される。このようなシート状基材には前記の
ビスコース含浸に耐えうる湿潤強度と耐アルカリ性を付
与するため、米国特許明細書第3,135,613号お
よび3,275,456号に開示されているように、前
記ビスコースを含浸する前に乾燥されたシート状基材に
希薄ビスコース液(セルロース分1%程度)を予備的に
含浸し、再生するという処理が施されている。
【0005】しかしながら、近年では、ビスコースは製
造コストが高いことおよびビスコース液からの硫化水素
発生による公害問題により、ケーシング原紙を供給する
側では、予備含浸処理においてビスコースに代わる薬品
の使用検討がなされてきた。例えば、米国特許明細書第
5,108,546号にはポリビニルアルコール(以下
PVAという)による乾燥済みシート状基材への予備含
浸が開示されている。
【0006】本発明者等は、希薄ビスコース液に代わる
予備含浸処理液について研究を重ね、特願平5−101
397号では、キトサン水溶液と耐水化剤との混合溶液
による予備含浸処理方法を、また特願平5−16103
4号にはキトサン水溶液、PVAおよび耐水化剤の混合
溶液による予備含浸処理方法を提案し、さらに特願平5
−299211号では、ゼラチンと耐水化剤による予備
含浸処理方法を提案した。
【0007】乾燥済みのシート状基材に薬品を予備含浸
する際に、予備含浸処理液の粘度が高いと、その含浸あ
るいは塗布の際の取り扱いが困難であると共に、含浸ム
ラを生じ、結果的に濃厚ビスコースを塗布してケーシン
グとした時に製品品質にバラツキを生じることになると
いう欠点を有する。また、予備含浸処理を行なう際にシ
ート状基材への薬品含有量が高いと、シート状基材の湿
潤強度、耐アルカリ性は向上するものの、ケーシングへ
加工する時に濃厚ビスコースとケーシング用原紙の親和
性が低下し、このようなケーシング用原紙を用いて製造
されたケーシングは強度が低くなってしまう。
【0008】強度の低いケーシングは、ケーシングに食
肉製品を充填する際に破裂し易く、ハムメーカーでの大
きなクレームとなるため、より強度の高いケーシングが
求められている。それ故、予備含浸処理時に希薄キトサ
ン水溶液の粘度を更に低下させ、含浸に際しての調整が
容易にでき、含浸ムラがなく、しかもキトサンの含有量
が少なくても、優れた原紙強度が得られ、さらに濃厚ビ
スコースとの親和性を阻害することなく、ケーシング強
度も向上するような処方の出現が望まれていた。
【0009】本発明者等は、かかる現状に鑑み、セルロ
ースパルプを原料として構成されるシート状基材を用い
たケーシング用原紙の湿潤強度および耐アルカリ性をよ
り少ないキトサンを用いて向上させる方法について鋭意
研究を重ねた結果、公知の方法でキトサンあるいはキト
サン塩を溶解した水溶液のpHが約4にあり、このpH
をアルカリ水溶液で中和して高くしていくと、キトサン
水溶液の粘度が低下するが、ある特定のpHを超えると
キトサンが析出してきて使用不可能になることが判明
し、したがって、このpHをキトサンが析出しないある
特定の範囲に調整した後、この水溶液でシート状基材を
処理すると、より低い溶液粘度で、しかもキトサンの含
有率も少なくて、従来技術の有する欠点を解決すること
ができることを見出し、特願平6−189435号で提
案した。
【0010】しかしながら、これらの提案された方法
は、どれも予め抄紙機において乾燥されたシート状基材
に新たに水溶性高分子物質の塗布処理を施し、乾燥する
ものであるため、最終的なケーシング用原紙を得るため
には二度の乾燥工程を経なければならない。この予備塗
布処理を予め乾燥されたシート状基材に施し、再度乾燥
を行なうことは、操業上非合理的であり、またコスト的
にも高くなる。したがって、ケーシング用原紙を得るま
でに、二度の乾燥工程を経ることなく、より合理的に高
い湿潤強度および耐アルカリ性を付与しうる処方の開発
が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、セルロースパルプを原料として構成される
シート状基材を用いて予め希薄な濃度の水溶性高分子物
質を塗布することからなるケーシング用原紙の湿潤強度
および耐アルカリ性を向上させる方法について鋭意研究
を重ねた結果、水溶性高分子物質の水溶液をシート状基
材が乾燥される前に塗布することにより、乾燥工程が一
度で済むため、操業エネルギーの効率化となり、コスト
的にも従来に比べ安価となるのみでなく、より少ない前
記水溶性高分子物質の含有量で湿潤強度および耐アルカ
リ性を向上させることができ、従来技術の有する欠点を
解消することができることを見出し、本発明を完成する
に至った。本発明の目的は、より少ない水溶性高分子物
質の水溶液を用いて、より少ない含有量で湿潤強度が高
く、さらにアルカリ性液に対する抵抗力が極めて優れ、
また、操業工程の合理化によりコスト的にも安価となる
ケーシング用原紙の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、セルロ
ースパルプを抄紙して得られるシート状基材に水溶性高
分子物質を塗布することからなるケーシング用原紙の製
造方法において、該シート状基材を乾燥する前に、水溶
性高分子物質からなる水溶液をシート状基材に塗布し、
次いで乾燥することを特徴とするケーシング用原紙の製
造方法である。本発明の第二は、前記水溶性高分子物質
が、キトサン、キトサン塩およびゼラチンから選ばれた
一種であることを特徴とする本発明第一に記載のケーシ
ング用原紙の製造方法である。
【0013】即ち、本発明の製造方法は、セルロースを
用いて湿式抄紙機においてシート状基材を抄造し、乾燥
して製造する際に、乾燥工程に入る前の、まだ湿った状
態のシ−ト状基材の上に水溶性高分子物質の水溶液を塗
布し、その後乾燥工程で乾燥してケーシング用原紙を製
造する方法である。
【0014】本発明に用いられる水溶性高分子物質とし
ては、キトサンまたはキトサン塩およびゼラチンを挙げ
ることができるが、特にこれに限定されるものではなく
PVA、デンプン等の通常水溶性高分子物質と呼ばれて
いる薬品が適宜利用できる。キトサンとは、通常カニ、
エビなどの甲殻類外殻に含まれているキチン、カルシウ
ム、タンパク質等の複合体を酸およびアルカリで処理し
てキチン単体として取りだし、このキチンを強アルカリ
で処理した後、脱アセチル化することにより得られ、一
般に食品添加物等として用いられているものである。ま
た、キトサン塩は前記キトサンを無機酸や有機酸に溶解
することにより得られるものである。
【0015】前記無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、
リン酸、ホウ酸等を挙げることができ、有機酸として
は、ギ酸、酢酸、グルコース酸、シュウ酸、コハク酸、
アジピン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、乳酸等が
挙げられる。但しファイブラスケーシング用に使用する
場合には酢酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石
酸、乳酸等の通常食品添加物に用いられているものが好
適に用いられる。前記キトサン塩は水に溶解するが、キ
トサンは水に対して難溶であるため前記有機酸または無
機酸の水溶液として用いることが好ましい。この場合有
機酸または無機酸の使用量は、キトサンの重量の0.1
〜1.5倍量、好ましくは0.5〜1.0倍量の範囲で
適宜選択して用いられる。
【0016】キトサンの酸による溶解は、自己反応を押
さえるため40℃以下の温度で、好ましくは15〜25
℃の常温で、30〜180分間攪拌しながら行なう。本
発明に用いられるキトサンは、アミノ基を40%以上、
好ましくは90%以上含有するもの、またはこれらのア
ミノ基の一部あるいは全部が酸によってアンモニウム基
に変換されているものが使用される。キトサンの分子量
としてはキトサンとして50万以下、好ましくは5〜3
0万の範囲のものが使用できる。キトサン水溶液として
は、特願平6−189435号で提案したように、キト
サンを溶解した後、アルカリ水溶液にてpHを5〜7に
調製した溶液を用いるのが好ましい。
【0017】キトサンまたはキトサン塩からなる水溶液
の固形分濃度は、0.05〜5.0重量%、好ましくは
0.2〜1.5重量%の範囲から適宜選択して用いられ
る。シート状基材中のキトサンの含有量は、前記水溶液
中のキトサン固形分濃度およびシート状基材への水溶液
の付着量を調整することにより絶乾シート状基材重量当
りキトサンが0.1〜2.0重量%の範囲で調整され
る。この含有量は、特願平6−189435号では0.
3重量%以上とせざるを得なかったが、本発明では乾燥
前のシート状基材に塗布することにより、強度の発現が
改善できるので下限をさらに下げることが可能であると
判明した。
【0018】キトサンの含有量が0.1重量%未満では
処理した後のシート状基材の強度発現が不十分であり、
2.0重量%を超える含有量は、シート状基材の強度発
現は十分であるが、シート状基材へのキトサン含有量が
高いことにより、後処理での濃厚ビスコースの含浸性に
問題が生じるだけでなく、ビスコースとシート状基材と
の親和性が悪化し、最終的なケーシングの強度の低下も
招くため適さない。
【0019】一方、ゼラチンとは動物の皮や骨を構成す
る主要蛋白質(コラーゲン)を部分加水分解して得られ
る蛋白質であり、用途的にゼリー、マシュマロ等の製造
に用いられる食用、ハードカプセル、ソフトカプセル等
の製造に用いられる医療用、フィルム、印画紙等に用い
られる写真用、接着剤、研磨剤等に用いられる工業用の
内から食用ゼラチンが好適に選ばれる。その分子量は、
10〜30万の範囲から選ばれるのが好ましいが、格別
厳密な制限はない。ゼラチンの品質を示す指標の一つに
「ゼリー強度」があるが、これはJIS K 6503
に規定されているように、ゼラチンの6・2/3%溶液
を固めたときのゼリーの硬さを示すものであり、通常5
0〜300Bloom(ブルーム)の範囲にある。本発
明ではゼリー強度について特に制限はないものの、比較
的高めの200Bloom以上のゼラチンが好適に用い
られる。
【0020】ゼラチンの溶解方法には膨潤溶解法と直接
溶解法の2種類がある。膨潤溶解法は、市販のゼラチン
粉末を予め水で膨潤させておいて、次に加熱して溶解す
る方法であるが、水に膨潤させた後のゼラチンの攪拌が
容易ではなく、昇温に時間を要するため、溶解時間がや
や長くなる。一方直接溶解法は、温水に直接ゼラチン粉
末を攪拌しながら添加して溶解する方法であるが、極め
て短時間でゼラチンを溶解させることができる。この方
法ではゼラチンの分散が十分できるよう配慮する必要が
あるが、溶解時間は、例えば50〜70℃で10〜15
分である。
【0021】本発明に使用されるゼラチン水溶液は、特
願平5−299211号で提案したゼラチン水溶液を用
いるのが好ましい。すなわち、ゼラチン水溶液の濃度
は、固形分濃度で0.5〜10.0重量%、好ましくは
1.0〜5.0重量%の範囲である。ゼラチンの含有量
は、シート状基材の絶乾重量当り0.5〜20.0重量
%、好ましくは1.0〜13.0重量%である。特願平
5−299211号では、ゼラチン含有量の下限が1.
0重量%であったが、本発明では、乾燥前のシート状基
材に塗布することにより、下限値を更に下げることがで
きた。
【0022】下限値が下げられる理由および強度が発現
する理由は、乾燥する前のシート状基材に水溶性高分子
物質を塗布することにより、通常抄紙の際に添加されて
いる内添薬品、例えば紙力増強剤や湿潤強度剤がまだ加
熱乾燥により架橋し、硬化していないため、加熱乾燥の
間にこの水溶性高分子物質と何らかの反応を生じ、シー
ト状基材の強度向上に繋がるものと考えられる。
【0023】PVA、デンプンおよびその他の水溶性高
分子物質も公知の方法で溶解し、水溶液の粘性を調節し
て用いることができ、そのような水溶性高分子物質をシ
ート状基材の上に塗布する際の乾燥前のシート状基材中
の水分量については、乾燥工程前であれば良く、特に制
限はないが、公知の抄紙機においてシート状基材を抄造
する場合にはおのずと限定され、シート状基材の乾燥前
水分としては含水基材全重量当りの水分量で50〜70
%の範囲である。また、乾燥前シート状基材に水溶性高
分子物質を塗布する方法としては、スプレーコーターが
好適に用いられるが、これに限定されず、他の処理方法
も採用し得る。塗布された後の乾燥条件についても特に
限定はないが、公知の温度が90〜150℃の範囲の多
筒式ドライヤー、温風ドライヤー等が好適に用いられ
る。
【0024】本発明のためのシート状基材としては、例
えば晒クラフトパルプのような木材パルプ、麻パルプ
(マニラ麻、サイザル麻、亜麻、大麻、ジュート)、コ
ウゾ、ミツマタ等の非木材繊維(じん皮繊維)等からの
パルプ、あるいはこれらのパルプを適宜選択して混合し
たパルプ、好ましくは麻パルプを紙料として公知の湿式
抄紙機において抄紙されて得られる紙が好適に用いられ
る。パルプはポーラスなシート状基材を抄造するため、
未叩解(フリーネス650〜750mlcsf)で使用
されるのが好ましいが、叩解を施せば結合強度が増加す
るので、用途によってはフリーネスを500mlcsf
まで低下させたパルプを全部あるいは一部を用いても良
い。またシート状基材により高い強度を付与するために
前記したように、耐水化剤、紙力増強剤、湿潤強度剤等
の抄紙薬品を予めパルプ原料に添加して抄紙するのが良
い。シート状基材の坪量は、所望する用途に応じて異な
るが、ケーシング用原紙のためには15〜30g/m2
の範囲で適宜選択して用いられる。
【0025】本発明法によれば、希薄な水溶性高分子物
質を乾燥前の湿ったシート状基材に塗布することによっ
て、一旦乾燥したシート状基材に水溶性高分子物質を塗
布する場合と異なり、水溶性高分子物質と内添用抄紙薬
品との反応による相乗効果、水溶性高分子物質の基材へ
の浸透が均一であること、乾燥による紙力強度の損失が
最小に押さえられること等の理由で、紙力強度、とりわ
け湿潤強度と耐アルカリ性に優れたファイブラスケーシ
ング用原紙が得られる。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。尚、実施例、比較例中の%は特に断わらない
限り重量%を示す。
【0027】実施例1 酢酸1.5%、キトサン(SK−200、甲陽ケミカル
社製)1.5%、(キトサン:酢酸の重量比 1:1)
および水97%を混合し、25℃で、120分間攪拌し
ながらキトサンを溶解した。得られたキトサン水溶液の
pHは4.3であった。このキトサン水溶液に、攪拌し
ながら、2%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、
キトサン水溶液のpHが6.5となるように調整した。
pH調整後、さらに水を加え、最終的にキトサン固形分
濃度が0.1%のキトサン水溶液とした。この水溶液の
B型粘度計による粘度は7cps(60rpm、20
℃)であった。一方、未叩解(フリーネス690mlc
sf)の市販フィリピン産の麻パルプ(品番:S2ー
B)の固形分濃度0.5%スラリーに絶乾パルプ重量当
りポリアミドエピクロルヒドリン樹脂(WS−570、
日本PMC社製)を1.5%添加し、充分攪拌して紙料
とし実験用手抄機において手抄きし、水分が55%の絶
乾坪量23g/m2のシート状紙基材を作製した。
【0028】その後、直ちに前記シート状基材の上から
pH調整したキトサン水溶液をスプレー塗布した後、1
05℃の温度に調整された熱風循環式のドライヤーにお
いて前記キトサンスプレー処理済みのシート状基材を水
分4.2%まで乾燥しケーシング用原紙とした。得られ
た前記シート状基材中のキトサンの含有量は処理前の絶
乾シート状基材重量当り0.2%であった。得られたシ
ート状基材の湿潤引張り強度および耐アルカリ性を次の
方法で測定し、ケーシングの透明性を評価した。
【0029】試験方法 (1)湿潤引張り強度:JIS P 8135による。 (2)耐アルカリ性 :JIS P 8135に準じ
て、水の代わりに、6%の水酸化ナトリウム水溶液に1
0分間浸漬させた後の引張り強度を測定した。 ケーシングの透明性 得られたケーシング用原紙としてのシート状基材の片面
にセルロース分が7%濃度の濃厚ビスコース水溶液を1
000g/m2塗布し、次いでこれを30%濃度の硫酸
アンモニウム水溶液に20分間含浸し、さらに5%濃度
の硫酸水溶液に20分間含浸した後、水で洗浄、乾燥し
て坪量が93g/m2のケーシングを作製し、得られた
ケーシングの透明性を目視で評価し、透明性の良好なも
のは◎、透明性が普通で、実用的には問題ないものは
○、透明性が悪く、実用できないものは×と表示した。
【0030】実施例2 牛骨を原料として石灰処理法で製造された市販ゼラチン
(品番:MJ、新田ゼラチン製、ゼリー強度:220B
loom)を攪拌しながら温度60℃の温水中に水9
8.5に対しゼラチン1.5の割合で投入し、15分間
攪拌を継続して直接溶解法で溶解し、固形分濃度で1.
5%のゼラチン水溶液とした。実施例1と同様にして乾
燥前シート状基材にスプレー処理した後、乾燥した。得
られたシート状基材中のゼラチン含有量は処理前の絶乾
シート状基材重量当り0.7%であった。得られたシー
ト状基材の湿潤引張り強度および耐アルカリ性を実施例
1と同じ方法で測定し、ケーシングの透明性を評価し
た。
【0031】比較例1 実施例1で抄紙したシート状基材を105℃の熱風循環
式ドライヤーで水分5%まで予め乾燥し、該シート状基
材に実施例1と同様にしてキトサン水溶液をスプレー塗
布し、再度105℃の熱風循環式ドライヤーで乾燥して
ケーシング用原紙を得た。得られたシート状基材の湿潤
引張り強度および耐アルカリ性を実施例1と同じ方法で
測定し、ケーシングの透明性を評価した。
【0032】比較例2 実施例1で抄紙したシート状基材を105℃の熱風循環
式ドライヤーで予め乾燥(水分5%)し、該シート状基
材に実施例2と同様にしてゼラチン水溶液をスプレー
し、再度105℃の熱風循環式ドライヤーで乾燥してケ
ーシング用原紙を得た。得られたシート状基材の湿潤引
張り強度および耐アルカリ性を実施例1と同じ方法で測
定し、ケーシングの透明性を評価した。
【0033】実施例1〜2および比較例1〜2で得られ
たシート状基材の評価結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】表1から分かるように、セルロースパルプ
から構成され、まだ乾燥する前の湿ったシート状基材に
キトサンおよびゼラチンを塗布し、乾燥した本発明法に
よるシート状基材からなるケーシング用原紙は、ケーシ
ングとした時の透明性および湿潤強度と耐アルカリ性に
優れている(実施例1および2)。これに対し、一旦乾
燥したセルロースパルプから構成されるシート状基材に
キトサンおよびゼラチンを塗布し、乾燥して得られるシ
ート状基材からなるケーシング用原紙は、ケーシングと
した時の透明性には優れるが、湿潤引張り強度と耐アル
カリ性がかなり劣っている(比較例1および2)。
【0036】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明は、
セルロースパルプから構成されるシート状基材に優れた
湿潤強度と耐アルカリ性を付与でき、得られるシート状
基材からなるケーシング用原紙は、ケーシングとした時
の透明性にも優れ、しかも一回の乾燥工程を経るだけで
よいから、操業工程の合理化と操業エネルギーの効率化
に寄与し、コスト的にも安価とすることができるケーシ
ング用原紙の製造方法を提供できるという効果を奏す
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロースパルプを抄紙して得られるシ
    ート状基材に水溶性高分子物質を塗布することからなる
    ケーシング用原紙の製造方法において、該シート状基材
    を乾燥する前に、水溶性高分子物質からなる水溶液をシ
    ート状基材に塗布し、次いで乾燥することを特徴とする
    ケーシング用原紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記水溶性高分子物質が、キトサン、キ
    トサン塩およびゼラチンから選ばれた一種であることを
    特徴とする請求項1記載のケーシング用原紙の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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