JPH0860590A - ケーシング用原紙の製造方法 - Google Patents

ケーシング用原紙の製造方法

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JPH0860590A
JPH0860590A JP18943594A JP18943594A JPH0860590A JP H0860590 A JPH0860590 A JP H0860590A JP 18943594 A JP18943594 A JP 18943594A JP 18943594 A JP18943594 A JP 18943594A JP H0860590 A JPH0860590 A JP H0860590A
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aqueous solution
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JP18943594A
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Akiko Mitsushiba
晶子 三柴
Mikio Hikita
幹雄 引田
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた湿潤強度および耐アルカリ性を有し、
且つハム、ソーセージ等の食肉製品を充填するためのケ
ーシングを製造するために用いられ、高い湿潤強度をケ
ーシングに付与し得るケーシング用原紙の製造方法を提
供する。 【構成】 キトサンまたはキトサン塩を溶解した水溶液
のpHを5〜7に調整した後、該水溶液をセルロースパ
ルプからなるシート状基材に含有させ、乾燥し、前記シ
ート状基材にキトサンを絶乾該基材当り0.3〜2.0
重量%含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーシング用原紙の製
造方法に関する。更に詳しく述べれば、本発明は、良好
な湿潤強度と耐アルカリ性を有し、含浸特性にも優れ、
且つハム、ソーセージ等の食肉製品を充填するためのケ
ーシングの強度をも向上させうるケーシング用原紙の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハム、ソーセージ等の食肉加工品は、原
料を調合した練り製品をチューブ状のケーシングに充填
した後、加熱処理、殺菌処理、くん煙処理等を行なうこ
とによって製品とされる。ケーシングには、天然ケーシ
ングと人工ケーシング(セルロースケーシング、コラー
ゲンケーシング、プラスチックケーシング、ファイブラ
スケーシング等)があり、人工ケーシングは、天然ケー
シングに比べ安価で衛生的、また製品の大きさが一定で
あるという利点から幅広く利用されている。
【0003】しかしながら、セルロースケーシングに
は、強度が低く、湿度に弱いという欠点があり、またプ
ラスチックケーシングにはくん煙を施すことが不可能で
あるという欠点があるため、従来から大型ロースハム、
プレスハム用にはくん煙可能で、かつ強靱なファイブラ
スケーシングが使用されている。
【0004】ファイブラスケーシングとは、セルロース
パルプからなる紙基材にビスコースを含浸させ、凝固、
再生処理を行なったもので、この方法は米国特許明細書
第2,105,273号に開示されている。ビスコース
は、重量比でセルロース分7%と水酸化ナトリウム6%
とを含む水溶液であり、したがって紙基材には、湿潤強
度と耐アルカリ性(アルカリ性液に強い抵抗力)が要求
される 。このような紙基材には前記のビスコース含浸
に耐えうる湿潤強度と耐アルカリ性を付与するため、米
国特許明細書第3,135,613号および第3,27
5,456号に開示されているように、希薄ビスコース
液(セルロース分1%程度)の予備含浸と再生処理が施
されている。
【0005】また、特公平4−16129号公報には麻
パルプ、木材パルプ等のようなセルロースパルプから構
成される紙基材を製造する際にパルプと一緒に、あるい
は紙、不織布等の紙基材とした後にキトサンあるいはキ
トサン塩を添加、塗布しあるいは前記の水溶液に浸漬し
て処理することが開示されている。しかしながら、パル
プあるいは紙基材を、キトサンあるいはキトサン塩のみ
で処理するだけでは湿潤強度は比較的高いが、耐アルカ
リ性が低く、まだ強度的に不十分である。
【0006】一方、キトサン塩とポリアミドエピクロル
ヒドリン樹脂をパルプスラリーに併用添加することによ
る紙力増強方法が特開昭53−35008号公報に開示
されているが、パルプスラリーへ前記薬品を添加して抄
紙された紙の強度はまだ実用的に十分とはいえない。
【0007】キトサンを用いて高い湿潤強度と耐アルカ
リ性を付与するためには紙基材を構成するパルプ繊維に
高い比率でキトサンを保持させなければならないが、そ
のためにはパルプスラリーに前記薬品を添加して抄造す
る内添法より紙基材に前記薬品を浸漬あるいは塗布する
外添法の方が効率的である。しかしながら、外添法の場
合、高い薬品含有率を得なければならないので、そうす
ると濃度の高いキトサン溶解水溶液を用いる必要がある
が、キトサンの溶解水溶液はB型粘度計で測定してみて
も分かるように、100cpsを超えるような比較的高
い粘性を有するので、そのように高い粘性を示す高濃度
のキトサン溶解水溶液を用いる実操業においては、その
含浸あるいは塗布の際取り扱いに困難を伴うと共に、含
浸ムラを生じ、得られる品質にバラツキが生じるので不
都合である。
【0008】本発明者等は、かかる現状に鑑み従来技術
の有する問題を解消すべく鋭意研究し、キトサンまたは
キトサン塩と耐水化剤とを混合した水溶液でセルロース
パルプからなるシート状基材を処理するファイブラスケ
ーシング用原紙の製造方法を提案した(特願平5−10
1397号)。この方法によれば、含浸のためのキトサ
ン溶解水溶液の粘度は100cps以下(B型粘度計)
に抑えることができ、操業は比較的楽になり、得られる
品質のバラツキも比較的少なくすることが可能であった
が、それでも湿潤強度と耐アルカリ性を高い水準に維持
するためには、含浸後の紙基材当りのキトサンの含有量
及び耐水化剤の含有量は比較的高い数値を採用せざるを
得ず、キトサンの溶解水溶液の粘度は100cps以下
とはいうもののそれほど低くはできなかった。
【0009】本発明者等は、更により少ないキトサンを
用いて湿潤強度、耐アルカリ性を向上させる方法につい
て鋭意研究を重ね、キトサンあるいはキトサン塩と耐水
化剤との混合液に、更にポリビニルアルコール系樹脂
(以下PVAという)を併用し、この混合水溶液でシー
ト状基材を処理する方法を提案した(特願平5−161
034号)。この方法によれば、より低い溶液粘度で、
しかもキトサンの含有率も少なくすることが可能であっ
たが、キトサン、PVA、耐水化剤の合計含有率が高く
なり、ビスコースとケーシング用原紙の親和性が低下
し、このようなケーシング用原紙を用いて製造されたケ
ーシングにハム、ソーセージ等の食肉製品を充填する
と、ケーシングの強度の低下をも招くこととなる。強度
の低いケーシングはケーシングに食肉製品を充填する際
に破裂し易く、より強度の高いケーシングが求められて
いる。
【0010】このように、キトサンまたはキトサン塩を
用いるケーシング用原紙の製造方法においては、キトサ
ン溶解水溶液の粘度を更に低下させ、含浸に際しての調
整が容易にでき、含浸ムラがなく、しかもキトサンの含
有量が少なくても同等の原紙強度品質が得られ、更にビ
スコースとの親和性を阻害することなく出来上がったケ
ーシングの強度も向上するような処方の出現が切に望ま
れている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、セルロースパルプを原料として構成される
シート状基材を用いたケーシング用原紙の湿潤強度およ
び耐アルカリ性をより少ないキトサンを用いて向上させ
る方法について鋭意研究を重ねた結果、公知の方法でキ
トサンあるいはキトサン塩を溶解した水溶液のpHが約
4にあり、このpHをアルカリ水溶液で中和して高くし
ていくと、キトサン溶解水溶液の粘度が低下するが、あ
る特定のpHを越えるとキトサンが析出してきて使用不
能になることが判明し、従ってこのpHをキトサンが析
出しないある特定の範囲に調整した後、この水溶液でシ
ート状基材を処理すると、より低い溶液粘度で、しかも
キトサンの含有率も少なくて、従来技術の有する欠点を
解消することができることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0012】本発明の目的は、より低い溶液粘度のキト
サン溶解水溶液を用いて、より少ないキトサン含有率で
湿潤強度が高く、更にアルカリ性液に対する抵抗力が極
めて優れ、且つビスコースの含浸性が良く、最終的なケ
ーシングの強度も向上させることのできるケーシング用
原紙の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、キトサ
ンまたはキトサン塩を溶解した水溶液のpHを5〜7に
調整した後、該水溶液をセルロースパルプからなるシー
ト状基材に含有させ、乾燥することを特徴とするケーシ
ング用原紙の製造方法である。本発明の第二は、前記シ
ート状基材にキトサンを絶乾基材当り0.3〜2.0重
量%含有させることを特徴とする本発明第一に記載のケ
ーシング用原紙の製造方法である。
【0014】本発明に用いられるキトサンとは、通常カ
ニ、エビなどの甲殻類外殻に含まれているキチン、カル
シウム、タンパク質などの複合体を酸およびアルカリで
処理してキチン単体として取りだし、このキチンを強ア
ルカリで処理した後、脱アセチル化することにより得ら
れ、一般に食品添加物などとして用いられているもので
ある。また、キトサン塩は前記キトサンを無機酸や有機
酸に溶解することにより得られるものである。
【0015】前記無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、
リン酸、ホウ酸等を挙げることができ、有機酸として
は、ギ酸、酢酸、グルコース酸、シュウ酸、コハク酸、
アジピン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、乳酸等が
挙げられる。但しファイブラスケーシング用に使用する
場合には酢酸、アジピン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石
酸、乳酸等の通常食品添加物に用いられているものが好
適に用いられる。
【0016】前記キトサン塩は水に溶解するが、キトサ
ンは水に対して難溶であるため前記有機酸または無機酸
の水溶液として用いることが好ましい。この場合有機酸
または無機酸の使用量は、キトサンの重量の0.1〜
1.5倍量、好ましくは0.5〜1.0倍量の範囲で適
宜選択して用いられる。キトサンの酸による溶解は、自
己反応を押さえるため40℃以下の温度で、好ましくは
15〜25℃の常温で、30〜180分間攪拌しながら
行なうのが好ましい。
【0017】本発明に用いられるキトサンは、アミノ基
を40%以上、好ましくは90%以上含有するもの、又
はこれらのアミノ基の一部あるいは全部が酸によってア
ンモニウム基に変換されているものが使用される。キト
サンの分子量としてはキトサンとして50万以下、好ま
しくは5〜30万の範囲のものが使用できる。
【0018】本発明では、キトサンに有機酸を添加して
キトサンを溶解し、あるいはキトサン塩の場合はこれを
水に溶解して得られる水溶液に、攪拌しながら徐々にア
ルカリ水溶液を添加しキトサン溶解水溶液のpHを5〜
7の範囲に調整した後に、セルロースパルプから構成さ
れる乾燥されたシート状紙基材が含浸され、あるいは該
水溶液が前記シート状紙基材の両面または片面に噴霧、
あるいは塗工され、その後乾燥されてキトサンで処理さ
れた紙基材が得られる 。
【0019】キトサン溶解水溶液のpH調整用のアルカ
リ水溶液としては、水酸化ナトリウム溶液が好ましく、
アルカリ水溶液の液濃度としては0.5〜5重量%、好
ましくは0.8〜2.0重量%である。濃度が0.5重
量%未満ではpH調整に多量の溶液量を要し、pH調整
に時間がかかるとともに、キトサンの固形分濃度が大巾
に低下し、濃度が5重量%を越えて大きくなると、アル
カリ濃度が濃過ぎるため、アルカリ水溶液を添加する時
にキトサンが部分的に析出、凝集してしまうのでともに
適さない。pHの調整範囲としては、未調整時pH4程
度であるものをpH5〜7の範囲、好ましくは6〜6.
8の範囲とする。
【0020】前記pHが5未満ではキトサン溶解水溶液
の粘度も比較的高く、紙基材の湿潤強度、および耐アル
カリ性の向上が不十分であり、紙基材へのキトサン含有
量を多くしなければならない。キトサン含有量が多い
と、ケーシングに加工する際のビスコースとの親和性が
阻害され、ケーシングの強度自体は低下してしまう。一
方、pHが7を越えて高くなると、キトサンが析出し紙
基材への均一な含浸、あるいは塗工が困難となるばかり
でなく、紙基材の湿潤強度、耐アルカリ性が飽和に達
し、適さない。
【0021】前記キトサン又はキトサン塩の固形分濃度
は、0.05〜5.0重量%、好ましくは0.2〜1.
5重量%の範囲から適宜選択して用いられる。濃度が
0.05重量%未満では水溶液の粘度は低いものの、濃
度が低過ぎるため処理後のシート状基材中のキトサン含
有量を所望の水準まで高めることができず、シート状基
材の強度の発現が不十分となる。濃度が5.0重量%を
超えるとpH調整前の粘度が高くなり、pH調整のため
の作業が困難になる上、キトサンの含有量が不必要に上
昇するため、後処理工程におけるビスコースの含浸性を
損なうので適さない。シート状基材中のキトサンの含有
量は、前記水溶液中のキトサン固形分濃度、およびシー
ト状基材への水溶液の付着量を調整することにより、絶
乾シート状基材当りキトサンが0.3〜2.0重量%の
範囲とされる。
【0022】この含有量が0.3重量%未満では処理し
た後のシート状基材の強度の発現が不十分であり、2.
0重量%を超える含有量は、シート状基材の強度発現は
十分であるが、シート状基材へのキトサン含有量が高い
ことにより、後処理でのビスコースの含浸性に問題が生
じるのみでなく、ビスコースとシート状基材との親和性
が悪化し、最終的なケーシングの強度の低下をも招くた
め適さない。
【0023】シート状基材をキトサン溶解水溶液で処理
する方法としては、特に限定されず、例えばシート状基
材を前記水溶液中で含浸させる方法、またはサイズプレ
ス、ロールコーター、ブラシコーター、スプレーコータ
ー等によって前記水溶液を塗布する方法が挙げられる
が、他の処理方法も採用しうる。処理した後の乾燥条件
についても特に限定はないが、通常90〜150℃の温
風ドライヤーのような公知の乾燥設備を用いる方法が好
適に用いられる。
【0024】本発明のためのシート状基材としては、例
えば晒クラフトパルプのような木材パルプ 、麻パルプ
(マニラ麻、サイザル麻、亜麻、大麻、ジュート)、コ
ウゾ、ミツマタ等の非木材繊維(じん皮繊維)等からの
パルプ、あるいはこれらのパルプを適宜選択して混合し
たパルプ、好ましくは麻パルプを紙料として公知の湿式
抄紙機において抄紙されて得られる紙が好適に用いられ
る。
【0025】パルプはポーラスなシート状基材を抄造す
るため、未叩解(フリーネス650〜750mlcs
f)で使用されるのが好ましいが、叩解を施せば結合強
度が増加するので、用途によってはフリーネスを500
mlcsfまで低下させたパルプを全部あるいは一部を
用いても良い。また原料にはより高い強度を付与するた
めに耐水化剤もしくは湿潤強度剤のような薬品を予め添
加して抄紙するのが良い。シート状基材の坪量は、所望
する用途に応じて異なるが、ケーシング用原紙のために
は15〜30g/m2の範囲で適宜選択して用いられ
る。
【0026】本発明によれば、以上詳細に説明したごと
く、より低い溶液粘度のキトサン溶解水溶液を用いて、
より少ないキトサン含有率でシート状基材を処理するこ
とにより湿潤強度が高く、さらにアルカリ性液に対する
抵抗力が極めて優れ、且つビスコースの含浸性が良く、
最終的に出来上がったケーシングの強度も向上させるこ
とのできるケーシング用原紙の製造方法を提供すること
ができる。
【0027】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるもの
ではない。尚、実施例および比較例中の%は特に断わら
ない限り重量%を示す。
【0028】実施例1 未叩解(フリーネス690mlcsf)の市販フィリピ
ン産の麻パルプ(品番:S2ーB)スラリー(0.5%
パルプ濃度)に絶乾パルプ重量当りポリアミドエピクロ
ルヒドリン樹脂(WS−570、日本PMC社製)を
1.5%添加し、充分攪拌して紙料とし実験用手抄機に
おいて坪量23g/m2の紙基材を作成した。一方、酢
酸1.5%、キトサン(SK−200、甲陽ケミカル社
製)1.5%、(キトサン:酢酸の重量比 = 1:1)
および水97%を混合し、25℃で、120分間攪拌し
ながらキトサンを溶解した。得られたキトサン溶解水溶
液のpHは、4.3であった。このキトサン溶解水溶液
に、攪拌しながら、2%NaOH水溶液を徐々に添加
し、溶解水溶液のpHが6.5となるように調整した。
pH調整後さらに水を加え、最終的なキトサン固形分濃
度が0.3%のキトサン溶解水溶液とした。この水溶液
のB型粘度計による粘度は15cps(60rpm、2
0℃)であった。
【0029】前記シート状基材を実験用含浸機おいて前
記pHを調整したキトサン溶解水溶液に含浸して処理
し、その後ゴムロール製のしぼり機を用いて含浸済みの
シート状基材から過剰の液をしぼって除去した後、10
5℃の温度に調整された熱風循環式のドライヤーにおい
て前記含浸処理済みのシート状基材を乾燥した。得られ
た前記シート状基材中のキトサンの含有量は処理前の絶
乾紙基材当り0.5%であった。得られたシート状基材
の湿潤引張り強度および耐アルカリ性を次の方法で測定
した。さらに得られたシート状基材を用いて下記の方法
によりケーシングを作成し、ケーシングの湿潤破裂強度
を測定した。得られた結果を表1に示した。
【0030】試験方法 (1)湿潤引張り強度 JIS P 8135による。(2)耐アルカリ性 JIS P 8135に準じて、水の代わりに、6%の
水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬させた後の引張
り強度を測定した。 ケーシングの湿潤破裂強度 前記のようにして得られたケーシング用原紙としてのシ
ート状基材の片面にセルロース分が7%濃度のビスコー
ス水溶液をウエット重量で1000g/m2塗布し、次
いでこれを30%濃度の硫酸アンモニウム水溶液に20
分間含浸し、更にその後5%濃度の硫酸水溶液に20分
間浸漬した後、洗浄、乾燥して坪量が93g/m2のケ
ーシングを作成し、得られたケーシングを水に10分間
浸漬させた後、JIS P 8112に準じ破裂強度を
測定した。
【0031】実施例2 pHを6.5に調整した後のキトサン溶解水溶液中のキ
トサンの固形分濃度を1.0%とした以外は、実施例1
と同様にしてシート状基材を該水溶液に含浸し、含浸処
理済みのシート状基材を作成した。前記水溶液のB型粘
度計による粘度は70cps(60rpm、20℃)で
あった。こうして得られたシート状基材中のキトサンの
含有量は、1.8%であり、実施例1と同様にして湿潤
引張り強度および耐アルカリ性を測定し、更にビスコー
ス水溶液で処理されて得られたケーシングの湿潤破裂強
度を測定した。得られた結果を表1に示した。
【0032】実施例3 キトサン溶解水溶液のpHを5.4に調整し、キトサン
固形分濃度を0.3%とした以外は、実施例1と同様に
してシート状基材を該水溶液に含浸し、含浸処理済みの
シート状基材を作成した。前記水溶液のB型粘度計によ
る粘度は、20cps(60rpm、20℃)であっ
た。こうして得られたシート状基材中のキトサンの含有
量は、0.5%であり、実施例1と同様にして湿潤引張
り強度および耐アルカリ性を測定し、更にビスコース水
溶液で処理されて得られたケーシングの湿潤破裂強度を
測定した。得られた結果を表1に示した。
【0033】実施例4 キトサン溶解水溶液のpHを5.4に調整し、キトサン
固形分濃度を1.0%とした以外は、実施例1と同様に
してシート状基材を該水溶液に含浸し、含浸処理済みの
シート状基材を作成した。前記水溶液のB型粘度計によ
る粘度は、80cps(60rpm、20℃)であっ
た。こうして得られたシート状基材中のキトサンの含有
量は、1.8%であり、実施例1と同様にして湿潤引張
り強度および耐アルカリ性を測定し、更にビスコース水
溶液で処理されて得られたケーシングの湿潤破裂強度を
測定した。得られた結果を表1に示した。
【0034】比較例1 キトサン溶解水溶液のpHを調整せずに(pH4.
3)、キトサンの固形分濃度を0.3%とした以外は、
実施例1と同様にしてシート状基材を該水溶液に含浸
し、含浸処理済みのシート状基材を作成した。前記水溶
液のB型粘度計による粘度は35cps(60rpm、
20℃ )であった。こうして得られたシート状基材中
のキトサンの含有量は0.5%であり、実施例1と同様
にして湿潤引張り強度およぼ耐アルカリ性を測定し、更
にビスコース水溶液で処理されて得られたケーシングの
湿潤破裂強度を測定した。得られた結果を表1に示し
た。
【0035】比較例2 キトサン溶解液のpHを8.0に調整し、キトサンの固
形分濃度を0.3%とした以外は、実施例1と同様にし
てシート状基材を該水溶液に含浸し、含浸処理済みのシ
ート状基材を作成した。前記水溶液のB型粘度計による
粘度は14cps(60rpm、20℃)であった。こ
うして得られたシート状基材中のキトサンの含有量は
0.5%であり、実施例1と同様にして湿潤引張り強度
および耐アルカリ性を測定し、更にビスコース水溶液で
処理されて得られたケーシングの湿潤破裂強度を測定し
た。得られた結果を表1に示した。
【0036】比較例3 pHを6.5に調整した後のキトサン溶解水溶液中のキ
トサンの固形分濃度を0.1%とした以外は、実施例1
と同様にしてシート状基材を該水溶液に含浸し、含浸処
理済みのシート状基材を作成した。前記水溶液のB型粘
度計による粘度は10cps(60rpm、20℃))
であった。こうして得られたシート状基材中のキトサン
の含有量は0.2%であり、実施例1と同様にして湿潤
引張り強度および耐アルカリ性を測定し、更にビスコー
ス水溶液で処理されて得られたケーシングの湿潤破裂強
度を測定した。得られた結果を表1に示した。
【0037】比較例4 pHを6.5に調整した後のキトサン溶解水溶液中のキ
トサンの固形分濃度を1.3%とした以外は、実施例1
と同様にしてシート状基材を該水溶液に含浸し、含浸処
理済みのシート状基材を作成した。前記水溶液のB型粘
度計による粘度は100cps(60rpm、20℃)
であった。こうして得られたシート状基材中のキトサン
の含有量は2 .2%であり、実施例1と同様にして湿
潤引張り強度および耐アルカリ性を測定し、更に、ビス
コース水溶液で処理されて得られたケーシングの湿潤破
裂強度を測定した。得られた結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1から分かるように、セルロースパルプ
から構成されるシート状基材をキトサンまたはキトサン
塩を溶解し、pHを5〜7に調整した水溶液で処理する
ことにより得られる本発明によるキトサン処理済みのシ
ート状基材は、湿潤引張り強度が高く、耐アルカリ性に
優れている上、ビスコース水溶液を処理して得られたケ
ーシングの湿潤破裂強度も向上させることができる(実
施例1〜4)。しかしながら、キトサン溶解水溶液のp
Hが5未満では、水溶液粘度がpHを調整した同一の濃
度の水溶液に比べ高く、得られるケーシング強度は比較
的高くなるものの、シート状基材の湿潤強度と耐アルカ
リ性の向上は不十分である(比較例1)。逆に、キトサ
ン溶解水溶液のpHが7を越えて高くなると、得られる
シート状基材の湿潤強度および耐アルカリ性が飽和に達
し、適さない(比較例2)。また、シート状基材中のキ
トサンの含有量が少ない場合は、シート状基材の強度発
現が不十分であり(比較例3)、多過ぎる場合、シート
状基材の強度は高いものの、得られるケーシングの強度
は低下してしまう(比較例4)ので、ともに実用に適さ
ない。
【0040】
【発明の効果】以上詳細に説明したごとく、本発明は、
キトサン溶解水溶液のpHを調整することによって、該
水溶液の粘性を低い水準に維持することができ、それに
よって処理時の操作性が極めて優れるので、均一なキト
サンの分布を可能とし、しかもセルロースパルプから構
成されるシート状基材に高い湿潤強度と優れた耐アルカ
リ性を付与できるので、ビスコース含浸工程での破れ、
破断等の操業トラブルを生ぜず、得られる最終の製品で
あるケーシングの強度をも向上させられるため、ハム、
ソーセージ等を詰め込み加工する際のケーシングの破裂
を抑えることができるケーシング用原紙の製造方法を提
供できるという効果を奏する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キトサンまたはキトサン塩を溶解した水
    溶液のpHを5〜7に調整した後、該水溶液をセルロー
    スパルプからなるシート状基材に含有させ、乾燥するこ
    とを特徴とするケーシング用原紙の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記シート状基材にキトサンを絶乾基材
    当り0.3〜2.0重量%含有させることを特徴とする
    請求項1記載のケーシング用原紙の製造方法。
JP18943594A 1994-08-11 1994-08-11 ケーシング用原紙の製造方法 Pending JPH0860590A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023080372A1 (ko) * 2021-11-08 2023-05-11 주식회사 마린이노베이션 키토산 코팅층을 포함하는 코팅지 및 이의 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023080372A1 (ko) * 2021-11-08 2023-05-11 주식회사 마린이노베이션 키토산 코팅층을 포함하는 코팅지 및 이의 제조방법
KR20230066788A (ko) * 2021-11-08 2023-05-16 울산과학기술원 키토산 코팅층을 포함하는 코팅지 및 이의 제조방법

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