JPH08158215A - 仕上材接着用立毛布帛 - Google Patents

仕上材接着用立毛布帛

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JPH08158215A
JPH08158215A JP6301027A JP30102794A JPH08158215A JP H08158215 A JPH08158215 A JP H08158215A JP 6301027 A JP6301027 A JP 6301027A JP 30102794 A JP30102794 A JP 30102794A JP H08158215 A JPH08158215 A JP H08158215A
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Isamu Akeyama
勇 明山
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンクリート下地にポリマーセメントモルタ
ル等で張付けた際の接合性を大幅に改善し、また熱冷や
吸放湿に伴なう層間変位により生じる応力歪を吸収し、
仕上材の亀裂、剥離又は剥落等を防止する。 【構成】 1.5mm以上の立毛長を有する立毛が20
本/cm2 以上存在する立毛布帛で、編目又は織目の開
口面積が9mm2 以上である仕上材接着用立毛布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、陶磁器タイルや石材な
どの仕上材とコンクリート下地やモルタル下地との接合
状態を良好に保持するための仕上材接着用立毛布帛に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からコンクリート構造物は、コンク
リート駆体を構築した後、その表面にモルタルを塗布し
て下地を施工し、モルタルが未硬化の状態の間にこのモ
ルタルにタイルなどの仕上材を張着して仕上面を形成す
る方法及び仕上材をコンクリート駆体を構築する型枠に
捶着し、この仕上材の裏面にコンクリートを打設して、
コンクリートを打設して、コンクリート駆体に仕上材を
一体に接合させ、その後、型枠を除去して仕上面を形成
する方法等がある。いづれの方法においても、モルタル
層と仕上材又は、コンクリート打設層と仕上材との間に
接合面を生じるが、これらの仕上材とモルタル層又は、
仕上材とコンクリート打設層との接合性、接着性が不十
分であり、仕上材の亀裂、剥離又は剥落の事故が起るお
それがあった。
【0003】これらの仕上材の亀裂、剥離、脱落を防止
するために仕上材の裏面に凹凸溝を設ける方法が知られ
ている。仕上材の裏面に凹凸溝を設ける方法は、接合初
期には仕上材とモルタル、コンクリート打設層との接合
性はよくても、施工後に加わる加熱、冷却や吸放湿によ
りコンクリート駆体、モルタル、仕上材の膨張、収縮の
ため、各層間変位して伴なうこれらの構成材料間に剥離
応力が発生し、層間接着界面から剥離、剥落が生じると
いう問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来の施工方
法の欠点を解決する方法として、コンクリート下地の表
面にポリマーセメントモルタルを塗布しこのポリマーセ
メントモルタルの未硬化状態で不織布を一体的に張りつ
けた後、不織布に押し付けてモルタルでタイルをコンク
リート下地に対して固定するものである。これにより不
織布の繊維がコンクリート下地に接着剤で接着すると
き、不織布内に接着剤が含浸し、不織布を毛羽立たせ、
この毛羽がモルタル内に入り込んで不織布と仕上材であ
るタイルとの間にアンカー効果を生じコンクリート下地
に対してタイルを接着保持するようになっている。
【0005】しかしながら、不織布はモルタル等の粘性
が高くなるとモルタルに入り込んだ際、不織布の表面繊
維が圧縮変形してヘタリ、繊維がモルタルの中に入りに
くくなり、充分なアンカー効果が得られない。又不織布
の場合、毛羽立たせる必要があり、施工時のバラツキが
発生しやすい問題があった。本発明は上記従来の課題に
鑑み仕上材のモルタル接合性を改良し、モルタルへのア
ンカー効果を改善した立毛布帛を提供することを目的と
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、合成繊維
からなる立毛布帛であって、立毛部はフィラメント長で
1.5mm以上のものが20本/cm2 以上存在し、生
地部は編目又は織目の開口面積が9mm2 以上であるこ
とを特徴とする仕上材接着用立毛布帛。合成繊維の単糸
繊度が50デニール以上であることを特徴とする請求項
1記載の仕上材接着用立毛布帛。合成繊維が樹脂被覆さ
れてなることを特徴とする請求項1又は2記載の仕上材
接着用立毛布帛。少なくとも引張強度が20g/d以
上、引張弾性率が500g/dの合成繊維を一部に用い
てなる立毛布帛であることを特徴とする請求項1又は2
記載の仕上材接着用立毛布帛。目付が100g/m2
上であることを特徴とする請求項1〜4記載の仕上材接
着用立毛布帛である。。
【0007】本発明において、立毛布帛とは、立毛部を
有する編織物をいう。立毛部はカットパイルにより形成
され、繊維の先端が裁断されている形態のものを意味し
ループ状の立毛部は除く。本発明の立毛布帛に使用可能
な繊維には、ポリエステル系ポリアミド系、ポリプロピ
レン系、ポリビニールアルコール系などの合成繊維、ア
セテート系の半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維やア
ラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、ポリベンザゾー
ル繊維などの引張強度が20g/d以上、引張弾性率が
400g/d以上の高強力高弾性繊維及びこれらの複合
した繊維等が例示される。
【0008】本発明の立毛布帛は、単糸繊度が50デニ
ール以上であり、50デニール未満であると繊維の剛
性、反発性が低く、直毛性になりにくいので、繊維がモ
ルタル内部に入りにくく好ましくない。特に、好ましく
は、100デニール以上500デニール以下である。こ
こで立毛布はマルチフィラメント糸であってもモノフィ
ラメント糸であってもよい。立毛部のフィラメント長
は、1.5mm以上であることが必要である。フィラメ
ント長が1.5mm未満では、フィラメントがモルタル
への貫入深さが小さいので、十分なアンカー効果が劣
り、仕上材とモルタルの接合力が不十分である。フィラ
メント長は、長い方がアンカー効果が向上するが2.5
〜5mmが好適である。ここでフィラメント長とは、基
布表面から立毛先端部までの距離の実測値(n=5)の
平均値をいう。
【0009】立毛部のフィラメント糸の密度は20本/
cm2 以上であることを要する。フィラメント糸の密度
は20本/cm2 未満であると、モルタル内部にフィラ
メント糸が十分分散されないので、モルタルに対する接
合力が不十分である。好ましくは40〜80本/cm2
である。立毛布帛の目付は100g/m2 以上が好まし
い。100g/m2 未満であると、立毛布帛の引張強力
が弱くモルタル内部での補強効果が少なく好ましくな
い。立毛布帛の目付は好ましくは150g/m2乃至3
50g/m2 の範囲である。
【0010】生地部の編目又は織目又は織目の開口面積
は9mm2 以上であることを要し、開口面積が9mm2
未満であると、モルタル内の骨材粒子が通りにくく、立
毛布帛のコンクリート下地面への接合が悪くなり好まし
くない。好ましくは20〜100mm2 である。
【0011】繊維の形態は、フィラメント系又はモノフ
ィラメントが使用される。編織物の組織としては、編物
では天竺、スムース等の緯編組織、ハーフトリコット、
サテントリコット等の経編組織が例示されるが、特にダ
ブルラッセル編が好適である。織物では、平織、綾織、
朱子織などが用いられ、一重、二重、多重組織の上記組
織であってもよい。好適には経緯二重織物があげられ
る。編目又は織目の開口部は正方形、長方形、菱形、亀
甲形等が挙げられるが特に建造物構造体の変位応力を効
果的に吸収するには、正方形、長方形又は亀甲形が好ま
しい。
【0012】本発明における立毛方法には、編織物をサ
ンドペーパーで擦る方法、針布起毛機で繊維をひっかけ
起毛する方法、パイル編織物のパイルをナイフでカット
して立毛を形成させる方法等がある。これらの中で編物
においては、ダブルラッセル編機で、二重編地を編成
し、表裏の編地を接結する立毛糸を切断して2枚の立毛
布帛をうる方法が好適である。また、織物においては、
経緯二重織物の二重織物の接結糸を切断した立毛織物を
うる方法が代表例として示される。
【0013】コンクリート下地の表面にポリマーセメン
トモルタルを塗布し、このポリマーセメントモルタルの
未硬化状態で本発明の立毛布帛の立毛部がコンクリート
下地の外方へ突出した状態に一体的に張りつけた後、立
毛布帛に押し付けて張付モルタルでタイルをコンクリー
ト下地に対して固定するものである。これにより立毛布
帛の立毛部がモルタル内部に入り込んで張付モルタルに
アンカー効果を生じ、コンクリート下地に対し張付モル
タル層との接合性を改良し、施工後の熱冷や吸放湿、建
物の層間変位にともなう応力を立毛布帛が効果的に吸収
し、仕上材のタイルを張り付け状態を維持し、仕上材の
亀裂剥離、剥落を防止出来る。
【0014】
【実施例】
(実施例−1)地糸は200デニールのポリプロピレン
モノフィラメントを用い、立毛用糸は300デニールポ
リプロピレンモノフィラメントを用いて、カールマイヤ
ー社製ダブルラッシェル経編機にて図1に示すように、
グランド部がチュール地で編目の開口部がタテ6mm×
ヨコ5mmの亀甲状のダブルラッシェル編地を形状の安
定化の為メラミン樹脂で加工ヒートセット後、ダブル編
地の中央でパイル糸を切断し、立毛部のフィラメント長
さが3mmでフィラメント糸の本数が60本/cm2
あり、目付が180g/m2 の立毛布帛を得た。コンク
リート下地にポリマーセメントモルタルで該立毛布帛を
立毛部が外方へ突出するよう張付け立毛部に押しつけて
モルタルでタイルを張りつけた(図2)。タイル張り後
14日後に建研式引張接着試験機を使用してタイルの引
張接着強度を求めた。その結果21kgf/cm2 の接
着強度が得られた。又タイル仕上面に衝撃を加えタイル
を割った所、立毛布帛の介在によりタイル張り仕上層の
剥落は起らなかった。又−20℃と80℃の熱冷繰返し
10サイクル後の試験体の接着強度を測定したが、20
kgf/cm2 と初期の接着力と変化なく層間変位によ
る歪を吸収している事が判った。
【0015】(実施例−2)地糸は340デニール60
フィラメントのポリプロピレン、マルチフィラメントと
250デニール192フィラメントの高強力ポリエチレ
ンマルチフィラメントを用い、立毛用糸は300デニー
ルのポリプロピレンモノフィラメントを用いて、カール
マイヤー社製ダブルラッシェル経編機にてグランド部が
格子状で5コースがポリプロピレン1コースが高強力ポ
リエチレンになる様に交編し編目の開口部がタテ7mm
ヨコ4mmの長方形の格子状ダブルラッシェル編地を形
状安定化の為にポリオレフィンの水分散体にて加工ヒー
トセット後、ダブル編地の中央でパイル糸を切断して、
立毛部のフィラメント長さが4mmでフィラメントの本
数が45本/cm2 であり、目付が220g/m2 の図
3の立毛布帛を得た。コンクリート下地にポリマーセメ
ントモルタルで該立毛布帛を立毛部が外方へ突出するよ
うに張付け立毛部に押しつけて張付モルタルでタイルを
張った(図2)。タイル張り後14日後に建研式引張接
着試験機を使用して、タイルの引張り接着強度を求め
た。その結果22kgf/cm2 の接着強度が得られ
た。またタイル仕上面に衝撃を加えタイルを割った所、
立毛布帛の介在によりタイル張り仕上層の剥落は起らな
かった。又−20℃〜80℃の熱冷繰返し10サイクル
後の試験体の接着強度を測定したが20kgf/cm2
と初期の接着力とほとんど変化なく、層間変位による歪
を吸収している事が判った。
【0016】(比較例−1)実施例1と同じ糸使い同一
編組織にて亀甲状のダブルラッシェル編地を作成した。
実施例1と異なる所は立毛部のフィラメント長さが1m
mにした点だけで他は同一とした。立毛部が1mmの時
タイルの引張り接着強度は12kgf/cm 2 であり。
立毛部が短い為に十分なアンカー効果が得られず好まし
くなかった。
【0017】(比較例−2)実施例2と同じ糸使いで格
子状の目の大きさを2mm×2mmの大きさとして立毛
部フィラメント本数を60本/cm2 とし立毛部のフィ
ラメント長さは4mmの立毛布帛を作成した。格子状の
目の大きさが2mm×2mm(4mm2 )の場合、実施
例と同じ方法でタイルの引張り接着強度を測定した所、
8kgf/cm2 と低く立毛布帛の界面で剥離しており
好ましくない。目の大きさが2mm×2mmと小さい為
に、ポリマーセメントモルタルの骨材が表面に出なく目
の開口面積が小さいと逆に剥離面として作用した。
【0018】
【発明の効果】本発明は、上記のように構成し、作用す
るので、コンクリート下地にポリマーセメントモルタル
で張付た立毛布帛の立毛部が仕上材張付けモルタル内部
に貫入しアンカーとなって連結され、張付モルタルの接
合性を大幅に改善し、熱冷や吸放湿に伴なう層間変位に
伴なう応力を吸収し、仕上材の張り付け状態を維持し、
仕上材の亀裂・剥離・剥落を防止出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の立毛布帛の拡大模式図。
【図2】 本発明の立毛布帛を用いてコンクリート下地
にタイルを張りつけた状態を示す模式図。
【図3】 本発明の立毛布帛の拡大模式図。
【符合の説明】
1:コンクリート下地、 2:立毛布帛、 3:ポリマ
ーセメントモルタル 4:張り付けモルタル、 5:タイル、 6:立毛部、
7:地糸部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維からなる立毛布帛であって、立
    毛部はフィラメント長で1.5mm以上のものが20本
    /cm2 以上存在し、生地部は編目又は織目の開口面積
    が9mm2 以上であることを特徴とする仕上材接着用立
    毛布帛。
  2. 【請求項2】 合成繊維の単糸繊度が50デニール以上
    であることを特徴とする請求項1記載の仕上材接着用立
    毛布帛。
  3. 【請求項3】 合成繊維が樹脂被覆されてなることを特
    徴とする請求項1又は2記載の仕上材接着用立毛布帛。
  4. 【請求項4】 少なくとも引張強度が20g/d以上、
    引張弾性率が500g/dの合成繊維を一部に用いてな
    る立毛布帛であることを特徴とする請求項1又は2記載
    の仕上材接着用立毛布帛。
  5. 【請求項5】 目付が100g/m2 以上であることを
    特徴とする請求項1〜4記載の仕上材接着用立毛布帛。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08158216A (ja) * 1994-12-06 1996-06-18 Toyobo Co Ltd 仕上材接着用両面パイル編織物
JPH10169147A (ja) * 1996-12-13 1998-06-23 Ohbayashi Corp 湿式仕上げ材の剥落防止方法
JP2001342730A (ja) * 2000-06-02 2001-12-14 Inax Corp タイル張り工法
JP2013204410A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Sekisui Chem Co Ltd コーナーテープ
JP2017106167A (ja) * 2015-12-07 2017-06-15 有限会社小川節夫研究所 躯体表面構造の施工方法、躯体表面施工用布地およびボード

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