JPH08157831A - 高軟化点ピッチの微細粒子の製造法 - Google Patents

高軟化点ピッチの微細粒子の製造法

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JPH08157831A
JPH08157831A JP6331132A JP33113294A JPH08157831A JP H08157831 A JPH08157831 A JP H08157831A JP 6331132 A JP6331132 A JP 6331132A JP 33113294 A JP33113294 A JP 33113294A JP H08157831 A JPH08157831 A JP H08157831A
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pitch
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softening point
heavy oil
organic solvent
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JP6331132A
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Masatoshi Tsuchitani
正俊 槌谷
Seiki Suzuki
清貴 鈴木
Ryoichi Nakajima
亮一 中島
Tomohiko Sato
智彦 佐藤
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
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Maruzen Petrochemical Co Ltd
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    • C10PETROLEUM, GAS OR COKE INDUSTRIES; TECHNICAL GASES CONTAINING CARBON MONOXIDE; FUELS; LUBRICANTS; PEAT
    • C10CWORKING-UP PITCH, ASPHALT, BITUMEN, TAR; PYROLIGNEOUS ACID
    • C10C3/00Working-up pitch, asphalt, bitumen

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  • Working-Up Tar And Pitch (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 石油系、石炭系あるいは合成系の重質油か
ら、軟化点の高められたピッチの微細粒子を製造する方
法を提供する。 【構成】 原料重質油類を、1000ポイズ以下の粘度
の液状の状態において、剪断力が付与される撹拌方法に
より界面活性剤の存在下に水と共に撹拌して、該重質油
類が直径100μ以下の微細球状粒子として水中に分散
されたエマルションとする第一工程、該エマルション
を、水を溶解することができ、かつ該重質油類の少なく
とも10重量%以上は不溶成分として残存せしめ得る有
機溶媒と接触させて、該重質油類の微細球状粒子から軽
質成分を抽出除去して、軟化点の高められたピッチの微
細粒子とする第二工程および第二工程を経たエマルショ
ンから固液分離手段により、該ピッチの微細粒子を分
離、回収する第三工程からなる高軟化点ピッチの微細粒
子の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石油系、石炭系あるい
は合成系の、常温で液状である重質油あるいは比較的軟
化点の低いピッチ等の重質油類を原料(以下「原料重質
油類」という)として、それから高軟化点ピッチの微細
粒子ないし粉末(以下「微細粒子」という)を製造する
方法に関する。
【0002】高軟化点ピッチの微細粒子は、そのまま各
種炭素材料、C/Cコンポジットおよび耐火煉瓦等のバ
インダーとして使用することができ、近年、これら各種
製品の特性改善の研究が盛んに行われている。この特性
改善には、フィラーである炭素粒子、炭素繊維、さらに
はバインダーである該高軟化点ピッチの微細粒子等をい
かに均一に分散させ成形するか、また、バインダーとし
て用いるピッチの炭素収率をいかに向上させるかが大き
な鍵となっている。
【0003】また、高軟化点ピッチの微細粒子は、それ
自体を不融化し、さらに炭化または黒鉛化することによ
り炭素または黒鉛等の炭素粒子となし、これを炭素材料
のフィラー、複合材料の充填剤、樹脂等の導電性付与
剤、電気粘性流体の分散粒子、リチウムイオン二次電池
の負極材料、高速液体クロマトグラフィーの充填剤およ
び吸着剤等として使用することも検討されており、これ
らの用途においても、炭素粒子は、分散性、充填性が良
いこと、また、表面積が大きく、反応、吸着速度が速い
ことが要望されている。
【0004】そして、上記のような各用途に好適に用い
得る高軟化点ピッチの微細粒子が、効率良く、経済的に
容易に製造される方法が望まれている。
【0005】
【従来の技術】従来から、高軟化点ピッチの微細粒子を
製造する方法はいくつか知られているが、その多くは、
一般的高軟化点ピッチの製造法に、一般的ピッチの微細
粒状化法を組み合わせた方法である。すなわち;一般的
高軟化点ピッチの製造法としては、重質油類を350
〜500℃という高温で熱処理する熱処理法(特公昭6
0−57478号、特公平1−4558号等)、熱処
理法に溶媒抽出を併用する方法(特公昭60−5995
0号)、水素化と熱処理を併用する方法(特公昭60
−2352号、特公昭60−30364号、特公平1−
44750号等)、溶媒抽出と水素化と熱処理を併用
する方法(特公平4−8472号)、ナフタリン類を
超強酸を用いて重合した後、形質成分を除去する方法
(特開昭63−146920号、特開平1−13962
1号等)、ナフタリン類をルイス酸を用いて重合した
後、軽質成分を除去する方法(特開平1−138223
号、特公平6−33530号等)、低軟化点ピッチを
空気、酸素、オゾン等を用いて酸化重合した後、熱処理
する方法(特開昭61−28020号、特開昭61−2
89134号等)およびピッチ類を重合促進剤を用い
て重合した後、熱処理する方法(特開昭55−9891
4号、特開平1−141985号等)等の種々の方法が
知られている。
【0006】しかし、、の方法では、高温での処理
を必要とするためコーキングの問題があり、安定した長
期運転ができず、、の方法では、設備が高価になっ
たり、、、およびの方法では、特殊な触媒を使
用するため、触媒の除去、回収に費用が掛かる等の問題
を残している。
【0007】また、一般的ピッチの微細粒状化法として
は、高軟化点ピッチを機械的に乾式あるいは湿式で粉
砕する方法、ピッチを加熱溶融し、それを高温ガスと
共に噴射して微細粒子状にし、それを急冷するか(特開
昭61−83239号、特開平5−148489号
等)、その冷却と共に微細粒子状物の表面に無機粉末を
付与する方法(特公昭58−113291号)および
ピッチを粉砕し、該粉砕物をシリコーンオイル等の高沸
点分散媒中でピッチの軟化点以上に加熱して微細球状粒
子とする方法(特開平1−81890号、特公平6−3
5581号等)等の種々の方法が知られている。
【0008】しかし、ここでも、の方法の内、乾式粉
砕の場合は、粉砕時の熱や圧力により、ピッチ同士が溶
融、融着するため、相当軟化点の高いピッチにしか採用
できなかったり、湿式粉砕の場合も、粉砕に長時間を要
し、しかも粗粒が残る等の問題があり、の方法の内、
高温ガスと共に噴射する方法は、粒子形状のままで急速
に冷却する方法が難しく、しかも合体した粒子しかでき
なく、この点を考慮した冷却時に無機粉末を付与する方
法も、無機粉末の存在が問題となる用途においては使用
できない。また、の方法においても、一部ピッチが分
散媒中に溶解し回収できず、分散媒の劣化も早い等の問
題を抱えている。
【0009】従来の高軟化点ピッチの微細粒子の製造法
の多くは、まず、上記のような高軟化点ピッチの製造法
のいずれかを採用して、石油系、石炭系あるいは合成系
の重質油類から高軟化点ピッチを製造し、次いで、上記
のようなピッチの微細粒状化法のいずれかを採用して、
製造された高軟化点ピッチを微細粒子とする方法であ
る。これらの方法では、上記した高軟化点ピッチの製造
法およびピッチの微細粒状化法における種々の問題点を
回避できず、結局、高温での処理を要し、しかも設備費
が高価となるため、効率良く、経済的に容易に高軟化点
ピッチの微細粒子が得られないという問題があった。
【0010】また、従来から、高軟化点ピッチの微細粒
子の製造法として、まず、重質油類を350〜500℃
で熱処理してメソフェーズ小球体を生成させ、次いで、
生成したメソフェーズ小球体を溶媒不溶分として取り出
す方法(特公昭50−39633号、特公昭58−54
081号、特公平6−35582号等)も知られてい
る。この方法でも、熱処理に高温を要すること、メソフ
ェーズ小球体がすぐに合体して塊状メソフェーズ(バル
クメソフェーズ)になるため、熱処理ピッチ中のメソフ
ェーズ球体濃度を高くできない。したがって、この方法
でも、効率良く、経済的に容易に高軟化点ピッチの微細
粒子が得られないという問題があった。しかも、この方
法では、溶媒抽出で得られる粒子はすでに炭素に近い状
態になったものであり、すでに加熱しても溶融しない状
態になっているという問題もあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の高軟
化点ピッチの微細粒子の製造法における、上記のような
ピッチの高温での熱処理およびピッチの微細粒状化にお
ける種々の問題点を克服して、工業的に効率良く経済的
に容易に高軟化点ピッチの微細粒子を製造し得る方法を
提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは長年に亘
り、高軟化点ピッチの製造、ピッチ類の熱処理と抽出に
よるメソフェーズ小球体の製造、高軟化点ピッチの微細
粒状化の検討を行ってきたが、従来法のように高温での
熱処理を採用した高軟化点ピッチの製造とそれに続く微
細粒状化という手法では、先に述べた種々の問題点を克
服することが難しいとの認識に至り、発想の転換を試み
て鋭意検討した結果、まず、原料重質油類をあらかじめ
特定の手段で微細粒状化し、次いで該微細粒状化された
原料重質油類をその形状を大きく変えない特定の手段で
高軟化点化すれば、工業的に効率良く経済的に容易に高
軟化点ピッチの微細粒子を製造し得ることを見出して、
本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明の要旨は、原料重質油類
を、1000ポイズ以下の粘度の液状の状態において、
ただし該原料重質油類が当該状態でない場合は、加熱す
る手段、または水と相溶せず、かつ原料重質油類を90
重量%以上溶解する有機溶媒にて希釈ないし溶解する手
段、またはこの両手段の併用によって該原料重質油類の
状態を当該状態に調整して、剪断力が付与される撹拌方
法により界面活性剤の存在下に水と共に撹拌して、該原
料重質油類が直径100μ以下の微細球状粒子として水
中に分散されたエマルションとする第一工程、第一工程
で得られたエマルションを、水を溶解することができ、
かつ該原料重質油類の少なくとも10重量%は不溶成分
として残存せしめ得る有機溶媒と接触させて、該エマル
ション中にて該原料重質油類の微細球状粒子から軽質成
分を、ただし第一工程において原料重質油類が上記有機
溶媒にて希釈ないし溶解する手段で状態調整されている
場合はその有機溶媒をも、抽出除去し、該原料重質油類
の微細球状粒子を軟化点の高められたピッチの微細粒子
とする第二工程、および第二工程を経たエマルションか
ら固液分離手段により軟化点の高められたピッチの微細
粒子を分離、回収する第三工程からなることを特徴とす
る高軟化点ピッチの微細粒子の製造法に存する。
【0014】本発明においては、原料重質油類を、高軟
化点ピッチとする前に、しかもエマルションにするとい
う手段によって微細粒状化するため、従来のピッチの微
細粒状化法の場合のような問題もなく、微細粒状化を容
易に行うことができ、かつ微細粒状化された原料重質油
類を、エマルション中にて、原料重質油類の軽質成分を
有機溶媒で抽出除去するという手段で高軟化点化するか
ら、従来の熱処理による高軟化点ピッチの製造法の場合
のような問題もなく、高軟化点化を容易に行うことがで
きる。
【0015】なお、従来から、高軟化点ピッチあるいは
アスファルト等のエマルション自体は知られている。す
なわち、高軟化点ピッチの有機溶媒溶液を、保護コロイ
ド剤を用いて水中に分散させ、それを脱水、乾燥して微
粒子を得、該微粒子を瞬間的に加熱して、ピッチ微小中
空体を製造すること(特公昭49−30253号)、ア
スファルトをエマルションとし、該エマルションを燃料
等として使用すること、あるいは該エマルション中のア
スファルト微細粒子を、その表面に無機粉末を付着させ
て安定化して取り出し、粉末アスファルトとすること等
は知られている。しかし、原料重質油類から軟化点の高
められたピッチの微細粒子を製造するという目的におい
て、重質油類のエマルションが利用されたことは未だな
い。本発明は、上記したとおり、従来の高軟化点ピッチ
の微細粒子の製造法に対し、発想の転換を試みて鋭意検
討した結果、完成されたものである。
【0016】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。本発明の原料重質油類としては、原料を蒸留したと
きに副生するアスファルト、さらにこれをエアーブロー
イング等の方法で改質したもの、石油類の流動接触分解
(FCC)時に副生する重質油(通常デカント油とかF
CCスラリー油と呼ばれているもの)、ナフサ分解によ
り副生する重質油(通常ナフサ分解タールと呼ばれてい
るもの)および軽油留分の分解により副生する重質油
(通常パイロリシスタールと呼ばれているもの)等の石
油系重質油、また、石炭を乾留したときに生成するコー
ルタール、さらにこれに蒸留、抽出、水素化、熱処理等
の改質処理を施した改質コールタールおよび石炭を水素
化分解して得られる石炭液化油等の石炭系重質油、有機
化合物を加熱処理もしくは触媒重合して得られるタール
状物質等の合成系重質油、さらには、上記石油系、石炭
系あるいは合成系の重質油に蒸留、加熱処理、抽出、水
素化等の処理を施して誘導された、常温で固体状となっ
たピッチ、ナフタリン類を超強酸もしくはルイス酸等を
触媒として重合して常温で固体状となったピッチ、ま
た、アルキル基置換芳香族化合物を酸触媒の存在下にホ
ルマリンと重合した後、熱処理して常温で固体状となっ
たピッチ等の石油系、石炭系あるいは合成系のピッチ等
があげられる。
【0017】原料重質油類がピッチである場合は、その
軟化点が150℃以下、好ましくは120℃以下である
ことが望ましい。なお、本発明でいう軟化点とは、温度
勾配の付いたアルミ板の上に、試料粉末を乗せ、これを
ハケで払い落とし、試料が解け始めアルミ板表面に付着
する位置を求め、この点のアルミ板の表面温度を軟化点
とする温度勾配法軟化点、(測定器:アジア理科器株式
会社製、AMK−B2CEFH−3)であり、ピッチの
種類、性質によっても異なるが、おおよそ、この温度勾
配法軟化点は、JISに規定されたR&B(リング&ボ
ール法)よりも15〜20℃低い値となり、また、メト
ラー法軟化点より25〜50℃低い値となる。なおま
た、軟化点が150℃を越えるピッチは、通常各種原料
重質油を高温で蒸留もしくは熱処理するか、薄膜蒸発器
のような複雑な設備を使用し熱処理する、もしくは、高
価な触媒を用いて重合するといった方法を採用しないと
製造できないため、製造コストが高くなる上に、原料に
用いた重質油の種類、目的とする軟化点によってはコー
キングトラブルが発生し、安定的に製造できない場合が
ある。本発明では、第二工程で高軟化点化が行われるた
め、原料重質油類として、特に高軟化点のピッチを用い
る必要はない。
【0018】本発明の第一工程は、原料重質油類を、粘
度を1000ポイズ以下、好ましくは800ポイズ以下
の液状の状態において、界面活性剤の存在下に剪断力を
付与する撹拌方法により水の存在下撹拌して、この原料
重質油類が100μ以下の微細球状粒子として水中に分
散された原料重質油類のエマルションを得る工程であ
る。
【0019】第一工程のエマルション化処理のための設
備は公知のものを使用することができ、剪断、撹拌力が
ある程度強い方法であればいろいろな手法が採用でき
る。たとえば、機械的撹拌、超音波分散、超音波と機械
的撹拌の併用、高速回転するいわゆるホモジナイザー、
ノズルから高圧で混合物を吹き出しながら循環して混合
分散する方法およびコロイドミルのような剪断、粉砕機
能を持った混合機等をあげることができ、バッチ式ある
いは連続式のいずれの設備をも使用できる。
【0020】エマルション化処理に当って、原料重質油
類が界面活性剤の存在下に水と安定なエマルションを形
成するためには、原料重質油類が水中に100μ以下の
微細粒子として分散する必要がある。そのためには、原
料重質油類が処理温度においてある程度以下の粘度の液
状の状態でなければならないが、原料重質油類の適当な
粘度は、使用するエマルション化装置の剪断力およびト
ルク等に影響されるため、設備によって変わり、一概に
はいえないが、一般的な大型の撹拌羽根を備えた撹拌装
置、ノズルから高圧で混合物を吹き出しながら循環して
混合分散する装置またはコロイドミル等のように剪断力
の大きな設備の場合には、1000ポイズ以下であれば
十分100μ以下の微細粒子に分散可能である。ただ
し、トルクの弱い撹拌器、出力の小さい超音波洗浄器の
ような設備を用いる場合には、数10ポイズ以下にまで
粘度を下げることが適当である。最適な原料重質油類の
粘度は、エマルション化設備との兼ね合いによって選定
される。
【0021】原料重質油類が、常温において1000ポ
イズ以下の粘度の液状のものの場合は、該原料重質油を
そのまま用いて常温付近の処理温度で好適にエマルショ
ン化処理を行うことができる。
【0022】また、原料重質油類が、常温において10
00ポイズを越える粘稠な液状あるいは常温において固
体であるピッチのようなものである場合は、(イ)加熱
する手段、すなわちエマルション化処理の処理温度を常
温より高める手段、あるいは(ロ)有機溶媒にて希釈な
いし溶解する手段によって、エマルション化処理の処理
温度において1000ポイズ以下の粘度の液状とする要
がある。
【0023】上記(イ)の加熱する手段による場合は、
加熱する温度、すなわち処理温度が水の沸点未満のとき
は、エマルション化処理は常圧下で行い得るが、それが
水の沸点を越えるときは、エマルション化処理は水を液
状に維持し得る加圧下で行われる。たとえば、原料重質
油類が、常温において固体のピッチである場合、それを
1000ポイズ以下の粘度の液状にするためには、一般
に上記した本発明でいう軟化点よりも40℃以上高い温
度にすることが適当であって、軟化点60℃以上のピッ
チでは、100℃以上の温度にするのが適当で、該温度
で水を液状に維持できる加圧下にエマルション化処理が
行われる。
【0024】上記(ロ)の有機溶媒で希釈ないし溶解す
る手段による場合は、その有機溶媒として、水と相溶せ
ず、かつ原料重質油類を90重量%以上溶解する有機溶
媒があげられる。その例をあげれば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンおよびエチルベンゼン等の芳香族系溶媒、
四塩化炭素、クロロホルムおよびトリクロロエチレン等
の含塩素溶媒、さらには上記重質油類中の低分子量成
分、たとえばコールタール中のタール軽油、カルボニル
油、ナフサ分解で生成するガソリン留分および分解軽油
等があげられる。
【0025】当該有機溶媒として、水を相溶するか、も
しくは水と馴染み易い有機溶媒を用いると、該有機溶媒
で希釈ないし溶解した原料重質油類を水中でエマルショ
ン化する際に、該有機溶媒が水中に移行して、原料重質
油類の粘度が著しく高くなり、ミクロンオーダーまでの
分散が困難になる。たとえば、水と完全には相溶しない
が、水にある程度溶解するキノリン、ピリジン等の含窒
素極性溶媒は、それ自体では原料重質油類を非常に良く
溶解するが、その溶液を水中に加えると、ある程度溶媒
が抜き取られた原料重質油類が非常に粘着性の高い状態
となり、ほとんど分散不能となるか、トルクの小さい撹
拌器のような場合には、一塊になって撹拌器の停止に至
る場合がある。
【0026】また、原料重質油類が、軟化点が著しく高
い、たとえば200℃程度以上のピッチである場合、一
般にその製造過程の熱処理等において高分子量成分が多
量に生成されて、それが含有されており、この高分子量
成分は上記の(ロ)の有機溶媒で希釈ないし溶解する手
段で用いられる水と相溶しない有機溶媒に不溶な場合が
多い。かかる高軟化点ピッチは、当該有機溶媒に溶解し
ても、多量の固体状の不溶成分が析出して、好適にエマ
ルション化ができない。また、かかる高軟化点ピッチ
は、加熱する手段で、所望の粘度の液状にしようとして
も、極めて高温を要するか、実際的には困難な場合が多
い。したがって、かかる高軟化点ピッチを原料重質油と
して用いることは望ましくない。原料重質油類としてピ
ッチを用いる場合、当該有機溶媒に90重量%以上溶解
するものであることが望ましい。
【0027】この原料重質油類を有機溶媒で希釈ないし
溶解する手段において、原料重質油類と有機溶媒の混合
比率は、使用する原料重質油類の物性、たとえば粘度、
軟化点等によって当然異なるものであるが、有機溶媒自
身の粘度が十分低いものであるため、大量に使用する必
要なく、処理温度において所望の粘度の液状とすること
ができる。有機溶媒の使用量が多すぎると処理量の増大
を招き不経済である。原料重質油類の種類にもよるが、
通常、原料重質油類1重量部に対して1重量部以下で十
分である。また、通常、原料重質油類の比重は1以上の
場合が多いが、有機溶媒として比重が1以下のものを使
用すれば、原料重質油の溶液の比重を分散媒である水の
比重1に近くすることもでき、エマルションの分散安定
性という点で当該手段は有利である。また、原料重質油
類と有機溶媒の比率を調節することにより、容易に原料
重質油類の溶液の粘度を常温において1000ポイズ以
下の所望の粘度にすることができ、この点でも当該手段
は有利である。当該手段によれば、常温において粘度の
高い粘稠な液状、あるいは常温で固体であるピッチも、
容易に常温でエマルション化処理することができる。
【0028】上記(イ)の加熱する手段と(ロ)の有機
溶媒で希釈ないし溶解する手段は、必要に応じて併用す
ることができる(すなわち、手段(ハ))。たとえば、
(イ)の手段のみでは、原料重質油類を所望の粘度の液
状とするに100℃以上の高温にする要がある場合、
(ロ)の手段を併用すれば、所望の粘度の液状にするに
要する温度を、容易に、極めて顕著に低下させることが
できる。ただし、この場合は、用いた有機溶媒の沸点と
処理温度との兼ね合いをも考慮して、処理圧力が選定さ
れる。
【0029】原料重質油類の第一工程への供給は、通
常、必要に応じて上記(イ)、(ロ)あるいは(ハ)の
手段で状態調整して、エマルション化処理に適した10
00ポイズ以下の粘度の液状で行われる。また、エマル
ション化処理の処理温度は、原料重質油類を所望の粘度
の液状に維持できる温度であれば、任意に選択できる。
また、処理圧力は、エマルションの分散媒である水を、
さらには原料重質油類の状態調整に上記(ロ)あるいは
(ハ)の手段が採用されて有機溶媒が用いられている場
合は、該有機溶媒をも処理温度下に液状に維持できる圧
力であれば、任意に選択できる。エマルション化処理の
設備の経済性、操作の容易性を考慮すれば、処理温度も
処理圧力もできるだけ低く選定することが望ましい。
【0030】第一工程のエマルション化処理において
は、原料重質油類の粘度が、得られる微細球状粒子の粒
子径に大きく影響し、通常は粘度が低い方が粒子径は小
さくなる。たとえば、ナフサ分解副生タールを蒸留して
得た軟化点71℃(メトラー法軟化点=99.5℃)の
ピッチを種々の量のベンゼンに溶解したときの粘度(2
5℃のとき)と、これをホモジナイザー(KINEMA
TICA社製、POLYTORON PT45−80)
を用い回転数5000rpmで撹拌しながら、非イオン
性界面活性剤(花王株式会社製、エマルゲン985)の
2重量%水溶液200mlでエマルション化したときの
分散液中での最大粒子径は表1のとおりである。
【0031】
【表1】
【0032】また、上記と同様のピッチを、加熱する手
段で、所望の粘度の溶融物として、加圧下にエマルショ
ン化処理した場合も、該ピッチの溶融物の粘度が低いほ
ど、より微細な粒子となって分散する。
【0033】また、第一工程のエマルション化処理にお
いては、原料重質油類が水との馴染みが非常に悪いか
ら、それを水中に微細球状粒子として分散させるために
は界面活性剤の使用が不可欠となる。この界面活性剤と
しては、市販の種々の界面活性剤を用いることができ、
たとえば脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸
塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルリ
ン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ナフタリン
スルホン酸ホルマリン縮合物およびアルキルエーテルリ
ン酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤や、アルキル
アミン塩および第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界
面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトー
ル脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチエレン脂肪酸アミドおよびポリオキシエチ
レンアルキルアミン等の非イオン性界面活性剤があげら
れる。
【0034】界面活性剤は、原料重質油類との馴染み、
相性の適当なものから選定され、馴染み、相性の簡便な
判定方法として、原料重質油類が常温で液状の場合はそ
のまま、常温で固体の場合はベンゼンもしくはキシレン
で希釈して常温で液状とし、これを試験管に入れ、各種
の界面活性剤を溶解した水をこれに加え、超音波と振揺
を付与した後、目視にて状況を観察し、原料重質油類
が全く分散しないもの、ある程度分散するが原料重質
油類が試験管内部に付着して残るもの、完全に均一に
分散するものにクラス分けする方法がある。この簡便判
定方法により、原料重質油類をエマルション化するに適
した界面活性剤を容易に選定することができる。通常、
の完全に均一に分散するものから選ばれる。
【0035】界面活性剤の使用量は、原料重質油類の種
類、粘度、使用するエマルション化装置によっても異な
るが、通常は、原料重質油類に対して0.5〜30重量
%、好ましくは1〜20重量%程度である。
【0036】また、エマルション化処理に際して、エマ
ルションの安定化剤、水の粘度を調整するための水溶性
高分子等の保護コロイドを少量添加することも可能であ
る。
【0037】また、エマルション化処理の際に使用する
水の量は、使用するエマルション化装置によっても異な
るが、通常、原料重質油類1重量部に対して0.5〜1
0重量部、好ましくは1〜5重量部である。水の量が少
ない場合は、原料重質油類中に水が微細粒子として分散
した、いわゆる水/油(W/O)型エマルションとな
り、原料重質油類が連続相になり微細球状粒子が生成し
ない。本発明では、水中に原料重質油類が直径100μ
以下の微細球状粒子として分散した、いわゆる油/水
(O/W)型エマルションを形成する必要がある。そう
するためには、好適な粘度を有する液状の原料重質油類
をオートクレーブ中等で撹拌し、その中へ界面活性剤を
含む水を添加して行く過程で、W/O型からO/W型エ
マルションに相転換するまでの量が必要最小限の水の量
である。なお、後の第三工程から得られた液相からの溶
媒、軽質成分および水の分離、回収、除去を考慮する
と、水の使用量はできるだけ少ない方が好ましいが、上
記相転換が起こったばかりのエマルションではエマルシ
ョン液そのものの見掛け粘度が高く、エマルション液の
移送等の取り扱い、後の第二工程における原料重質油類
の微細球状粒子からの軽質成分の有機溶媒での抽出除去
操作等を考えると、相転換した時点よりもある程度多め
の水を添加しておくことが望ましい。通常はエマルショ
ン中の原料重質油類の濃度が10〜60重量%、好まし
くは20〜50重量%となるように調整することが望ま
しい。
【0038】また、エマルション化処理では、原料重質
油類の微細球状粒子の粒子径を少なくとも100μ以下
にしておく必要があり、好ましくは50μ以下、さらに
好ましくは20μ以下にしておくことが望ましい。この
処理において、当該微細球状粒子の粒子径が100μよ
りも大きいと、続いて実施される第二工程における当該
微細球状粒子からの軽質成分の有機溶媒での抽出除去の
際に、粒子内部まで軽質成分を抽出除去するに要する時
間が長くなり、十分に高軟化点化するための時間が長く
なり、設備の大型化等の問題が発生する。また、粒子径
が大きい場合には、容易に粒子の沈降分離が起こり、エ
マルション化したものを静置したり、もしくは、装置内
に流速の遅い部分があったりすると、その部分で沈降が
起こり装置の閉塞を招く恐れもある。
【0039】本発明の第二工程は、第一工程で得られ
た、原料重質油類が微細球状粒子として分散したエマル
ションを、水を溶解することができ、かつ原料重質油類
の少なくとも10重量%は不溶成分として残存せしめ得
る有機溶媒と接触させて、エマルション中の原料重質油
類の微細球状粒子から軽質成分、ならびに第一工程にお
いて原料重質油類が有機溶媒で希釈ないし溶解する手段
で状態調整されている場合にはその有機溶媒をも、抽出
除去して、軟化点の高められたピッチの微細粒子を生成
させる工程である。
【0040】第二工程で用いられる有機溶媒は、原料重
質油類の微細球状粒子が分散したエマルション中の水を
溶解して均一な液相を形成させることが必要なため、エ
マルション中の水を溶解して、水を含んだ有機溶媒の液
相部と、原料重質油類から軽質成分が抽出除去されて生
じた高軟化点ピッチの微細粒子の固相部の二相を形成し
得るものが用いられる。その具体例としては、メチルエ
チルケトン(MEK)およびアセトン等のケトン類、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパ
ノール(IPA)、n−ブタノールおよびsec−ブタ
ノール(SBA)等のアルコール類等があげられる。
【0041】ここで、上記有機溶媒の具体例について、
該有機溶媒中への水の溶解度を示せば表2のとおりであ
る。使用する有機溶媒には、表2に例示するように水の
溶解度に差異があるが、たとえば、MEK、n−ブタノ
ールあるいはSBAのように、水の溶解度に限界がある
有機溶媒を用いた場合には、当該有機溶媒が溶解し得る
限度を越えて多量の水が存在すると、原料重質油類の微
細球状粒子からの軽質成分の抽出除去が不十分となると
共に、溶解されない水が分離し、有機溶媒の相、分離し
た水の相および原料重質油類の微細粒子がスカム状にな
ったどろどろした相の三相が形成される。
【0042】
【表2】
【0043】このような三相の存在する状況下では、次
の第三工程における原料重質油類から誘導された軟化点
の高められたピッチの微細粒子の分離、回収の際に、た
とえば、濾過による分離手段を用いた場合、フィルター
の目づまりが起こり、当該微細粒子の分離、回収が困難
となる。したがって、水の溶解度に上限がある有機溶媒
を使用する場合は、水との混合比率は水の溶解度の範囲
内で選定される。
【0044】また、使用する有機溶媒が原料重質油類を
ほぼ完全に溶解するようなものでは、高軟化点化された
ピッチが得られず、したがって、使用する有機溶媒は、
原料重質油類の10重量%以上が不溶成分、すなわち高
軟化点ピッチとして残存するものであることも必要であ
る。有機溶媒の原料重質油類に対する溶解性は、溶解パ
ラメーター(溶剤ポケットブック(有機合成化学協
会);接着の化学と実際(高分子刊行会))と関係があ
り、この有機溶媒の溶解パラメーターが、第一工程で必
要に応じ状態調整に用いられるところの原料重質油類に
対し、良溶媒であるベンゼン、トルエンあるいはキシレ
ンの溶解パラメーター(ベンゼン=9.2、トルエン=
8.9)に近くなるほど原料重質油類から抽出除去され
る軽質成分の範囲が増大し、ピッチの回収率は低くなる
が、得られるピッチの軟化点が一層上昇する。したがっ
て、目的とする軟化点の高められたピッチの所望の軟化
点に応じて、溶解パラメーターの異なる複数の有機溶媒
を混合して溶解パラメーターを調整して用いることも可
能である。
【0045】上記の第二工程で使用される有機溶媒の具
体例について、その溶解パラメーターを示せば、MEK
=9.3、アセトン=9.8、メタノール=14.8、
エタノール=12.8、n−プロパノール=12.1、
IPA=11.2、n−ブタノール=11.1、SBA
=11.0である。
【0046】上記の有機溶媒は、必要に応じて、あらか
じめ水と混合し、水を溶解した混合物として使用するこ
ともできる。すなわち、水の溶解パラメーターは23.
4であるから、該混合物は、有機溶媒のみの場合に比べ
て、溶解パラメーターが大きくなり、原料重質油類に対
する溶解力が低くなって、ピッチの回収率は高くなる
が、得られるピッチの軟化点は低くなる。したがって、
上記の溶解パラメーターの異なる複数の有機溶媒の混合
使用と同様に、目的とする軟化点の高められたピッチの
所望の軟化点に応じて、有機溶媒に水を混合して溶解パ
ラメーターを調整して用いることができる。
【0047】また、上記の有機溶媒を用いれば、第一工
程において原料重質油類が有機溶媒で希釈ないし溶解す
る手段で状態調整されており、原料重質油類が有機溶媒
溶液の微細球状粒子として分散されている場合には、原
料重質油類中の軽質成分と共に、原料重質油類の状態調
整に用いられた有機溶媒をも好適に抽出除去することが
できる。
【0048】第二工程における原料重質油類の軽質成分
の抽出除去操作は、上記のような要件を満足する有機溶
媒と第一工程で得られた原料重質油類のエマルションを
接触させることによって行われる。本発明の第一工程で
は原料重質油類がミクロンオーダーの微細球状粒子とな
っているため抽出は速やかに起こり、高軟化点ピッチを
粉砕したものを抽出するときのような高温も必要なく、
抽出時間も極めて短くて良いため、簡単な撹拌設備等で
十分である。通常は常温付近の温度、常圧付近の圧力下
で1時間以内の撹拌で十分である。
【0049】また、エマルションと有機溶媒の接触のさ
せ方は任意である。この接触のさせ方としては、たとえ
ば、有機溶媒中にエマルションを加える方法、あるい
はエマルション中に有機溶媒を加える方法がある。た
だし、原料重質油類が常温で1000ポイズ以下の粘度
の液状のものであったり、あるいは上記(ロ)あるいは
(ハ)の手段により有機溶媒を用いて状態調整されてい
る場合は、のエマルション中に有機溶媒を加える方法
を採用すると、有機溶媒と接触した部分から原料重質油
類の微細球状粒子が合体を始め、大きな塊状の粘稠な餅
状物が生成する傾向があるため、の有機溶媒中にエマ
ルションを加える方法を採用する方が好ましい。なお、
原料重質油類が常温で1000ポイズを越える粘度の粘
稠な液状ないし常温で固体のピッチのようなものであっ
て、かつ上記(イ)の加熱する手段で状態調整されてい
る場合は、のエマルション中に有機溶媒を加える方法
を採用しても、原料重質油類の微細球状粒子が合体して
大きな塊状の粘稠な餅状物が生成する傾向はない。ま
た、この接触のさせ方の他の方法として、たとえば、
あらかじめ上記あるいはの方法で少量のエマルショ
ンと有機溶媒の混合液を調製しておき、その混合液にエ
マルションと有機溶媒とをそれぞれ別々に一定の比率で
同時に加える方法もある。このの方法は、上記ある
いはのような方法における混合液中での有機溶媒の溶
解パラメーターの変化と、それに伴う原料重質油類の微
細球状粒子の軟化点の高められる度合の変化(の方法
の場合、エマルション添加初期は、混合液が有機溶媒リ
ッチなため、混合液中の有機溶媒の溶解パラメーターは
低いが、水を含んだエマルションの添加が増えるにした
がって、該溶解パラメーターは高くなり、原料重質油類
の微細球状粒子からの軽質成分の抽出除去能力が落ち、
またの方法の場合は上記の逆となり、結局、エマルシ
ョンあるいは有機溶媒の添加の初期と後期とで原料重質
油類の微細球状粒子の軟化点の高められる度合に若干の
バラツキが生じる。)という点まで考慮して、得られる
ピッチの微細粒子の軟化点の一層の均一性を求め、かつ
処理の連続化を考慮する場合に、好ましく採用される。
ただし、このの方法においても、上記のように原料重
質油類が常温で1000ポイズ以下の粘度の液状のもの
であったり、あるいは上記(ロ)あるいは(ハ)の手段
により有機溶媒を用いて状態調整されている場合は、あ
らかじめ少量のエマルションと有機溶媒の混合液を調製
するに当たり、の方法を採用することが好ましい。
【0050】また、第二工程の抽出除去処理のための設
備は公知のものを使用することができ、撹拌能力を備え
た、一般的な混合槽であれば特に限定されず、また、バ
ッチ式あるいは連続式のいずれの設備をも使用できる。
【0051】本発明の第三工程は、第二工程で得られ
た、エマルションと有機溶媒を接触させた混合液から軟
化点の高められたピッチの微細粒子を分離、回収する工
程である。本発明によれば、この第二工程で得られた混
合液では、軟化点の高められたピッチの微細粒子が容易
に沈降する状態になっている。この理由として、当該混
合物においては、液相と固相のピッチ微細粒子に比重差
があり、この比重差によりピッチの微細粒子の沈降速度
が速くなることは容易に推測できるが、それ以外に、第
二工程で使用した有機溶媒が第一工程で使用した界面活
性剤を溶解してその分散力を低下させ、そのために微細
粒子が凝集して沈降速度を速くしていることが考えられ
る。本発明においてはピッチの微細粒子が凝集したとし
ても、該ピッチの微細粒子はすでに高軟化点化している
ため、ピッチの微細粒子相互が融着して合体することは
ない。したがって、第二工程で得られた混合液からの軟
化点の高められたピッチの微細粒子の分離、回収は、容
易に行うことができる。
【0052】分離、回収方法としては、静置沈降分離
(デカンテーション)、濾過、遠心分離等の公知の任意
の固液分離方法を採用することができる。
【0053】回収された軟化点の高められたピッチの微
細粒子は、必要に応じて、洗浄液で洗浄される。この洗
浄液としては、一般に、第二工程で用いられた有機溶媒
もしくは該有機溶媒と水の混合物が用いられる。この洗
浄に当り、高軟化点ピッチの微細粒子の分離にデカンテ
ーションを採用したときのように、分離された微細粒子
相互間の空隙に、第二工程における原料重質油類から抽
出された軽質成分を含んだ有機溶媒が多量に存在する場
合には、洗浄液として第二工程におけるエマルションの
液相部の水と有機溶媒とが混合した混合物の溶解性と同
等かそれよりも溶解性のやや高いものを用いることが望
ましい。洗浄液として、第二工程のエマルションの液相
部の混合物より溶解性が著しく低いものを用いると、分
離されたピッチの微細粒子相互間の空隙部分に存在する
軽質成分を含んだ有機溶媒から、軽質成分が遊離して、
微細粒子の表面に付着して微細粒子相互を結合させた
り、高められた軟化点を再び低下させるといった悪影響
を起こしたりする。
【0054】必要に応じて洗浄液で洗浄された、軟化点
の高められたピッチの微細粒子は、一般に、さらに乾燥
して、目的の高軟化点ピッチの微細粒子とされる。乾燥
の方法は特に限定されるものではないが、有機溶媒が残
っている状態で高温に加熱すると、有機溶媒に対するピ
ッチの微細粒子の溶解度が高くなり、有機溶媒が揮発す
るまでにピッチの微細粒子の一部が溶融したり、粒子同
士が融着したりする場合があるので、比較的沸点の高い
有機溶媒を使用した場合、また、多量の有機溶媒が残っ
ている場合等では、減圧下で比較的低温で有機溶媒を除
去することが好ましい。また、沸点の低い有機溶媒が少
量残っているような場合には、加熱をするとピッチの微
細粒子が溶融、融着するよりも早く溶媒が揮発するた
め、ピッチの微細粒子の溶融、融着のような不都合は起
こらない。
【0055】このようにして得られる本発明で目的とす
る高軟化点ピッチの微細粒子の軟化点は、使用する原料
重質油類の種類、第一工程で生成する微細球状粒子の粒
子径、第二工程で使用する有機溶媒の種類、有機溶媒と
水の混合比率等によって相当大きく変わるものである
が、得られるピッチの微細粒子の用途を考えると、少な
くとも軟化点が100℃以上、好ましくは150℃以上
とすることが望ましく、特に、該ピッチの微細粒子をさ
らに不融化、炭化して炭素微細粒子を製造しようとする
場合には、軟化点200℃以上とすることが特に好まし
い。
【0056】また、得られる目的の高軟化点ピッチの微
細粒子の形状は、使用する原料重質油類が常温で固体で
あって、かつそれを第一工程のエマルション化処理に適
した1000ポイズ以下の粘度の液状に状態調整する手
段として、上記(イ)の加熱する手段が採用されている
場合には、ほぼ第一工程のエマルション中の原料重質油
類の微細球状粒子の形状と同様の球状となる。
【0057】一方、使用する原料重質油類が常温で10
00ポイス以下の粘度の液状であって、第一工程のエマ
ルション化に適するよう状態調整を行わない場合、原料
重質油類が常温で1000ポイズ以上の粘度の粘稠な液
状または常温で固体である場合であって、かつそれらを
第一工程のエマルション化処理に適した1000ポイズ
以下の液状に状態調整する手段として、上記(ロ)ある
いは(ハ)の有機溶媒で希釈ないし溶解する手段が採用
されている場合には、第一工程のエマルション中の原料
重質油類の微細球状粒子と同様の球状を第二工程でも維
持するとは限らない。
【0058】また、得られる目的の高軟化点ピッチの微
細粒子のサイズは、用いた原料重質油類の種類、原料重
質油類を第一工程のエマルション化処理に適した粘度の
液状にする状態調整手段として、上記(ロ)あるいは
(ハ)の有機溶媒に溶解する手段が採用されているか否
か、その他の第一工程におけるエマルション化処理の諸
般の処理条件、さらには第二工程で用いられた有機溶媒
の種類(溶解パラメーター)等々、本発明を実施するに
関する諸条件によって変化して、一概にはいえないが、
一般に、100μ以下のサイズの微細粒子が得られる。
逆にいえば、本発明の実施に際し、上記のような諸条件
を適宜選択することにより、一般に上記のサイズの範囲
で、任意のサイズの高軟化点ピッチの微細粒子を得るこ
とができる。
【0059】本発明の方法によって得られる高軟化点ピ
ッチの微細粒子は、そのまま各種炭素材料、C/Cコン
ポジットおよび耐火煉瓦等のバインダーとして利用でき
る。また、軟化点が相当高くなったものは、硝酸、硫酸
または過酸化水素水等を用いた湿式酸化法、空気、酸
素、オゾン、窒素酸化物または沃素等を用いた乾式酸化
法で容易に不融化処理することができ、これを炭化、黒
鉛化すれば、容易に炭素もしくは黒鉛の微細粒子とな
り、この炭素または黒鉛の微細粒子は炭素材料のフィラ
ー、複合材料の充填剤、樹脂等の導電性付与剤、電気粘
性流体の分散粒子、リチウムイオン二次電池の負極材
料、高速液体クロマトグラフィーの充填剤および吸着剤
等として利用することができる。
【0060】
【実施例】以下、実施例、比較例および参考例をもって
さらに詳細に本発明の方法を説明する。
【0061】実施例1 ナフサ分解副生油を減圧蒸留して温度勾配法軟化点71
℃、キシレン不溶分0重量%、300℃までの加熱減量
17.9重量%のピッチを得た。このピッチのナフサ分
解副生油に対する収率は48%であった。
【0062】(第一工程)耐圧ガラス製1l のオートク
レーブにこのピッチ100gと、非イオン性界面活性剤
としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花
王株式会社製、エマルゲン985)10gを入れ、空気
雰囲気、常圧で密封した後、130℃に加熱し、ピッチ
を溶融させた。この温度におけるピッチの粘度は363
ポイズである。
【0063】次いで、130℃において、いかり型撹拌
羽根を定速1000rpmで回転させた状態で、加圧下
に、加熱した水を徐々にオートクレーブ中に添加して行
きながら、撹拌羽根モーターの電流値を監視していたと
ころ、水を添加して行くにしたがって、電流値が徐々に
上昇していった。水の添加を継続したところ、水を約5
0ml加えたとき、急激に電流値が下がると同時に、液
の色が黄色に変わり、ピッチ中に水が分散した状態から
水中にピッチが分散した状態に相転換が起こったことが
確認された。この時オートクレーブ内の温度は130
℃、圧力はゲージ圧2.5Kg/cm2 であった。
【0064】相転換が確認された後、直ちに、撹拌羽根
の回転数を500rpmまで落とし、冷水200mlを
圧送してオートクレーブ内に投入した。この時、内容物
の温度は、約105℃にまで下がった。次いでオートク
レーブ下部を冷水に浸して室温まで冷却した。
【0065】内容物を取り出したことろ、黄色のエマル
ション化した液が得られ、このものは数時間放置しても
ピッチの沈降は認められなかった。また、このエマルシ
ョンの少量を室温で風乾して、走査型電子顕微鏡で観察
したところ、最大粒子径が約10μのきれいな球形のピ
ッチ微細球状粒子であることが確認された。
【0066】また、このエマルションの少量をガラスシ
ャーレにいれ、110℃の乾燥機で乾燥したところ、こ
のものはピッチ微細粒子が溶融してもとの形状を留めて
いなかった。
【0067】(第二工程)次に、抽出溶媒としてメチル
エチルケトン(MEK)、アセトン、n−ブタノール、
sec−ブタノール(SBA)、イソプロパノール(I
PA)、エタノールおよびメタノールを用い、それぞれ
の溶媒100mlをビーカーに入れ、室温下、マグネチ
ックスターラーで撹拌している中に、上記エマルション
10mlを添加し、さらに10分間撹拌した。撹拌を止
めて静置するとピッチ粒子は容易に沈降し、粒子が凝集
していること、また、上部の液は透明ではあるが薄い黄
色ないしオレンジ色に着色し、ピッチから軽質成分が抽
出されていることが確認された。
【0068】(第三工程および洗浄と乾燥処理)次い
で、このものを濾過精度5μのグラスフィルターで吸引
濾過したところ、粒子が通り抜けることもなく、容易に
分離、回収することができた。濾過器中に残った粒子を
さらに最初と同じ溶媒100mlで数回に分けて洗浄
後、30℃、10mmHgの減圧下で乾燥して溶媒を除
去した後、110℃の乾燥機に入れて乾燥した。
【0069】(目的高軟化点ピッチの微細粒子)乾燥機
から取り出した時の外観、また、得られたピッチ微細粒
子の軟化点、300℃までの加熱減量および原料ピッチ
に対する回収率は表3のとおりであり、いずれの溶媒を
用いた場合も、軟化点が相当高められた黄色のピッチの
微細粒子が得られた。
【0070】また、乾燥後の粒子を走査型電子顕微鏡で
観察したところ、メタノールを溶媒としたものは、一部
粒子の融着が起こっていたが、それ以外は、粒子の融着
は起こらず、ほぼエマルション中の粒子と同じ最大粒子
径約10μの大きさの球状粒子が得られていることが確
認されたが、MEKの場合は粒子に大きな穴があるも
の、形状が完全な球形ではないものが多く、アセトンの
場合は形状は球形を維持しているが、表面に小さなポア
ーが存在しているものがあることが認められた。図1の
写真は、SBAを抽出溶剤とした時に得られた、高軟化
点ピッチの微細球状粒子の走査型電子顕微鏡写真であ
る。
【0071】
【表3】
【0072】実施例2 第二工程の抽出溶媒を表4に示す割合のアセトンと水の
混合液とした以外は、実施例1と同様に、第一〜第三工
程、洗浄および乾燥を行い、黄色のピッチの微細粒子を
得た。
【0073】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点、
300℃までの加熱減量、110℃での乾燥後の外観お
よび原料ピッチに対する回収率を表4に示す。
【0074】また、乾燥後の目的のピッチ微細粒子を走
査型電子顕微鏡で観察したところ、アセトンと水の混合
比(アセトン/水)を90/10、80/20として調
製したピッチ微細粒子は、いずれもきれいな球状を維持
しており、実施例1のアセトンのみを使用した場合に見
られたような小さなポアーは観察されなかった。
【0075】
【表4】
【0076】実施例3 第一工程を次のように行った。すなわち、実施例1と同
じピッチ100gと非イオン性界面活性剤(エマルゲン
985)15gをオートクレーブに入れ、空気雰囲気、
常圧で密封した後、122℃に加熱し、ピッチを溶融さ
せた。この温度におけるピッチの粘度は752ポイズで
ある。
【0077】次いで、122℃において、添加する水に
分散安定剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウ
ム塩(第一工業製薬株式会社製、セロゲン5A)をあら
かじめ0.1重量%溶解し、実施例1と同様にして、ピ
ッチのエマルション化を行った。
【0078】得られたエマルションを光学顕微鏡で観察
したところ、最大粒子径約50μのきれいな微細球状粒
子が生成していることが確認された。
【0079】次いで、第二工程とそれ以降の工程ないし
処理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてn
−ブタノール300mlを用い、室温下、マグネチック
スターラーで撹拌している中に、上記エマルション30
mlを添加して、10分間撹拌した。
【0080】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黄土色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0081】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
167℃、300℃までの加熱減量は7.5重量%およ
び原料ピッチに対する回収率は79%であり、これを走
査型電子顕微鏡で観察したところ、エマルション中の粒
子径をほぼ維持した微細球状粒子であることが確認され
た。
【0082】実施例4 この例は実施例1より軟化点の低いピッチを用いた場合
の結果である。実施例1と同じナフサ分解副生油を減圧
蒸留して温度勾配法軟化点64℃、キシレン不溶分0重
量%、300℃までの加熱減量21.2重量%のピッチ
を得た。
【0083】このピッチを用いて、第一工程を次のよう
に行った。すなわち、耐圧ガラス製1l のオートクレー
ブにこのピッチ100gと、非イオン性界面活性剤(エ
マルゲン985)20gを入れ、空気雰囲気、常圧で密
封した後、120℃に加熱し、ピッチを溶融させた。こ
のピッチの120℃における粘度は167ポイズであ
る。
【0084】次いで、120℃において、実施例1と同
様にエマルション化を行い、得られたエマルションの少
量を室温で風乾して、走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、最大粒子径が約10μのきれいな球形のピッチ微細
球状粒子であることが確認された。
【0085】次いで、第二工程とそれ以降の工程ないし
処理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてア
セトン100mlを用い、実施例1と同様に、抽出、濾
過、洗浄および乾燥して、黄色の目的のピッチの微細粒
子を得た。
【0086】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
242℃、300℃までの加熱減量は1.7重量%およ
び原料ピッチに対する回収率は33%であり、これを走
査型電子顕微鏡で観察したところ、エマルション中の粒
子径をほぼ維持した微細球状粒子であることが確認され
た。
【0087】実施例5 この例は実施例1より軟化点の高いピッチを用いた場合
の結果である。ナフサ分解副生油を減圧蒸留して温度勾
配法軟化点78℃、キシレン不溶分0重量%、300℃
までの加熱減量16.7重量%のピッチを得た。
【0088】このピッチを用いて、第一工程を次のよう
に行った。すなわち、耐圧ガラス製1l のオートクレー
ブにこのピッチ100gと、非イオン性界面活性剤(エ
マルゲン985)20gを入れ、空気雰囲気、常圧で密
封した後、133℃に加熱し、ピッチを溶融させた。こ
のピッチの133℃における粘度は355ポイズであ
る。
【0089】次いで、133℃において、実施例1と同
様にエマルション化を行い、得られたエマルションの少
量を室温で風乾して、走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、最大粒子径が約10μのきれいな球形のピッチ微細
球状粒子であることが確認された。
【0090】次いで、第二工程とそれ以降の工程ないし
処理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてア
セトン100mlを用い、実施例1と同様に、抽出、濾
過、洗浄および乾燥して、黄色の目的のピッチの微細粒
子を得た。
【0091】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
252℃、300℃までの加熱減量は2.1重量%およ
び原料ピッチに対する回収率は38%であり、これを走
査型電子顕微鏡で観察したところ、エマルション中の粒
子径をほぼ維持した微細球状粒子であることが確認され
た。
【0092】実施例6 実施例1と同じピッチ70gをキシレン30gに溶解し
てピッチの溶液を調製した。この溶液の25℃における
粘度は9.75ポイズであった。
【0093】このピッチの溶液を用いて、第一工程を次
のように行った。すなわち、このピッチの溶液に非イオ
ン性界面活性剤(エマルゲン985)の2重量%水溶液
150mlを添加し、室温において、超音波を付与しな
がら、プロペラ型撹拌翼を使用して5分間500rpm
の回転数で撹拌混合したところ、混合液全体が黄土色に
変わり、均一なエマルションが生成した。このエマルシ
ョンをそのまま光学顕微鏡で観察したところ、ピッチ粒
子が最大粒子径約50μの微細球状粒子として分散して
いることが確認された。
【0094】次に、第二工程とそれ以降の工程ないし処
理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてメチ
ルエチルケトン100mlを用い、室温下、マグネチッ
クスターラーで撹拌している中に、上記エマルション5
mlを添加して、5分間撹拌した。
【0095】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黄土色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0096】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
268℃および原料ピッチに対する回収率は16%であ
り、これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、最大粒
子径100μ以下の、形状の異なった微細粒子であっ
た。
【0097】実施例7 実施例1と同じピッチ60gをベンゼン40gに溶解し
てピッチの溶液を調製した。この溶液の25℃における
粘度は0.64ポイズであった。
【0098】このピッチの溶液を用いて、第一工程を次
のように行った。すなわち、このピッチの溶液を室温に
おいて、5000rpmで回転するホモジナイザー(K
INEMATICA社製、POLYTORON PT4
5−80)で攪拌しておき、これに非イオン性界面活性
剤(エマルゲン985)の2重量%水溶液200mlを
添加して攪拌した。得られたものは黄色のエマルション
であり、これを光学顕微鏡で観察したところ、ピッチ粒
子が最大粒子径約10μの微細球状粒子として分散して
いることが確認された。
【0099】次に、第二工程とそれ以降の工程ないし処
理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてアセ
トン、n−ブタノール、エタノールを用い、それぞれの
溶媒100mlを、室温下、マグネチックスターラーで
撹拌している中に、上記エマルション10mlを添加し
て、10分間撹拌した。
【0100】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黄色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0101】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点、
300℃までの加熱減量および原料ピッチに対する回収
率を表5に示す。
【0102】
【表5】
【0103】実施例8 第二工程の抽出溶媒を表6に示すアセトンと水の混合液
とした以外は、実施例7と同様に第一〜第三工程を行
い、それに続く洗浄および乾燥を実施例1と同様に行っ
て、黄色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0104】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点、
300℃までの加熱減量および原料ピッチに対する回収
率を表6に示す。
【0105】得られたピッチ微細粒子を走査型電子顕微
鏡で観察したところ、アセトンと水の混合比を90/1
0、80/20として調製したピッチ微細粒子は、いず
れもきれいな球形を維持しており、しかも水の添加量が
多いものほど粒子径が大きいことが認められた。
【0106】
【表6】
【0107】実施例9 実施例1と同じピッチ60gをベンゼン40gに溶解し
てピッチの溶液を調製した。このピッチの溶液を用い
て、第一工程を次のように行った。すなわち、このピッ
チの溶液を実施例7と同じホモジナイザーで室温で50
00rpmで攪拌しておき、これに非イオン性界面活性
剤(エマルゲン985)の8重量%水溶液116mlを
添加して攪拌した。得られたものは黄色のエマルション
であり、これを光学顕微鏡で観察したところ、ピッチ粒
子が最大粒子径約10μの微細球状粒子として分散して
いることが確認された。
【0108】次に、第二工程とそれ以降の工程ないし処
理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてn−
ブタノール100mlを用い、室温下、マグネチックス
ターラーで撹拌している中に、上記エマルション10m
lを添加して、10分間撹拌した。
【0109】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黄色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0110】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
214℃、300℃までの加熱減量は2.6重量%およ
び原料ピッチに対する回収率は65%であり、これを走
査型電子顕微鏡で観察したところ、いびつな粒子が一部
存在するが、ほぼエマルション中の粒子と同じ球形を維
持した微細球状粒子であることが確認された。図2の写
真は、この高軟化点ピッチの微細球状粒子の走査型電子
顕微鏡写真である。
【0111】実施例10 実施例1で用いたナフサ分解副生油を用いて、第一工程
を次のように行った。すなわち、ナフサ分解副生油10
0gをガラス製フラスコに入れ、このナフサ分解副生油
を実施例7と同じホモジナイザーで、室温において50
00rpmで攪拌している中に、非イオン性界面活性剤
(エマルゲン985)の4重量%水溶液120mlを徐
々に加えエマルション化を行った。なお、このナフサ分
解副生油の300℃までの加熱減量は59.5重量%で
あり、25℃における粘度は1.3ポイズである。
【0112】次に、第二工程とそれ以降の工程ないし処
理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてn−
ブタノール100mlを用い、室温下、マグネチックス
ターラーで撹拌している中に、上記エマルション10m
lを添加して、10分間撹拌した。
【0113】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黄色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0114】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
210℃、300℃までの加熱減量は4.5重量%およ
び原料ナフサ分解副生油に対する回収率は32%であ
り、これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、最大粒
子径が約10μの微細球状粒子であることが確認され
た。
【0115】実施例11 実施例1よりも粘度の高いナフサ分解副生油を用いて、
第一工程を次にように行った。すなわち、ナフサ分解副
生油100gをガラス製フラスコに入れ、外部を60℃
の温水で加熱した状態で、このナフサ分解副生油を実施
例7と同じホモジナイザーで5000rpmで撹拌して
いる中に、非イオン性界面活性剤(エマルゲン985)
の5重量%水溶液を60℃に加温した温水100mlを
徐々に加え、エマルション化を行い、その後室温まで冷
却した。なお、このナフサ分解副生油の300℃までの
加熱減量は42.3重量%であり、60℃における粘度
は7.5ポイズである。
【0116】次に、第二工程とそれ以降の工程ないし処
理を次のように行った。すなわち、抽出溶媒としてn−
ブタノール100mlを用い、室温下、マグネチックス
ターラーで撹拌している中に、上記エマルション10m
lを添加して、10分間撹拌した。
【0117】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黄土色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0118】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
160℃、300℃までの加熱減量は7.0重量%およ
び原料ナフサ分解副生油に対する回収率は51%であ
り、これを走査型電子顕微鏡で観察したところ、最大粒
子径が約40μの微細球状粒子であることが確認され
た。図3の写真は、この高軟化点ピッチの微細球状粒子
の走査型電子顕微鏡写真である。
【0119】実施例12 コールタールを蒸留して得た軟ピッチを2倍量のキシレ
ンに溶解した後、濾過により不溶成分を除去し、得られ
た可溶成分の溶液からキシレンを蒸留除去して、精製さ
れたコールタールを得た。
【0120】この精製コールタールを用いて、第一工程
を次のように行った。すなわち、該精製コールタール1
00gと非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル(第一工業製薬株式会社
製、エマルジェット161)20gをガラス製フラスコ
に入れ、これを85℃に加熱した状態で、実施例7と同
じホモジナイザーで5000rpmで撹拌している中に
同じ温度の熱水180mlを徐々に添加して、3分間撹
拌を継続して分散させ、エマルション化を行い、その後
室温まで冷却した。なお、この精製されたコールタール
の300℃までの加熱減量は29.0重量%であり、8
5℃における粘度は3.7ポイズである。
【0121】次に、第二工程とそれ以降の工程ないし処
理を次にように行った。すなわち、抽出溶媒としてアセ
トン100mlを用い、室温下、マグネチックスターラ
ーで撹拌している中に、上記エマルション10mlを添
加して、10分間撹拌した。
【0122】これを実施例1と同様に、濾過、洗浄およ
び乾燥して、黒褐色の目的のピッチの微細粒子を得た。
【0123】得られた目的のピッチ微細粒子の軟化点は
280℃、300℃までの加熱減量は0.9重量%およ
び精製コールタールに対する回収率は17%であり、こ
れを走査型電子顕微鏡で観察したところ、最大粒子径が
約20μの微細球状粒子であることが確認された。
【0124】比較例1 実施例1と同じピッチ6gをキシレン4gに溶解してピ
ッチ溶液を調製した。この溶液を水中でのエマルション
化処理をせずに、室温下、そのまま超音波とスクリュー
型撹拌器で撹拌したn−ブタノール100ml中に添加
し、10分間撹拌した後、実施例1と同様に、濾過、洗
浄し、ピッチ微細粒子を得た。これを光学顕微鏡で観察
したところ、粒子径が数十〜数百μのいびつな形状の粒
子であった。さらにこれを110℃の乾燥機に入れて乾
燥したところ、粒子が溶融、融着して塊状となった。
【0125】比較例2 水を溶解しない抽出溶媒としてn−ペンタンおよびシク
ロヘキサンを用い、室温下、それぞれの溶媒100ml
をマグネチックスターラーで撹拌している中に、実施例
6で得たエマルションをそれぞれ10ml添加した。1
0分間撹拌した後静置すると、下相には黄色い水相が、
また中央部にピッチ溶液と水と溶媒がスカム状になった
と思われるどろどろのものが存在し、上相には黄色に着
色した溶媒相の三相に分離した。このものを実施例1と
同様に濾過したが、フィルターの目詰まりが発生し濾過
不能であった。
【0126】そこで、この混合物を遠心分離管にいれ5
000rpmで遠心分離したが、やはり三相のままで、
ピッチ微細粒子のみを取り出すことが困難であった。
【0127】比較例3 実施例12で得た精製コールタールを管式加熱炉で50
0℃で加熱処理し、得られた加熱処理物をキシレンの2
倍量に溶解して生成した不溶成分を除去し、さらに、キ
シレンを蒸留除去して加熱処理物の可溶成分を得た。こ
のものを特公平4−513号に開示された、重質油類を
気流中に微細な油滴状に分散させ該油滴と不活性ガスを
接触させる、分解加熱熱処理法で熱処理して、軟化点2
15℃、キノリン不溶分0.1重量%、キシレン不溶分
60重量%の等方性ピッチを得た。
【0128】このピッチ50gをキノリン50gに溶解
してピッチの溶液を調製し、これを実施例7と同じホモ
ジナイザーを用い、約40℃で5000rpmで撹拌し
ている中に、非イオン性界面活性剤(エマルゲン98
5)の2重量%水溶液を徐々に添加してエマルション化
を試みた。水溶液の添加とともに粘度が上昇してホモジ
ナイザーの回転数が低下して行き、ついには回転翼がオ
ーバーロードとなって停止した。このものの内容物を確
認したところ、ピッチの溶液が非常に粘着性のある餅状
物に変化しており、ホモジナイザーでエマルション化で
きる状態ではなかった。
【0129】参考例1 実施例1でアセトンを抽出溶媒として得られた、目的の
軟化点258℃のピッチの微細球状粒子を示差熱天秤に
入れ、空気中で275℃まで2℃/分で昇温することに
より空気不融化し、そのまま、275℃の温度で雰囲気
を窒素ガスに切り替えて、30分間置換をした後、10
℃/分で昇温して1000℃まで加熱した。得られたも
のを走査型電子顕微鏡で観察したところ、球形を維持し
たまま炭素化した、炭素微細球状粒子が得られているこ
とが確認された。
【0130】参考例2 実施例3で得られた、目的の軟化点167℃のピッチの
微細球状粒子を8規定硝酸中に入れ、100℃で1時間
加熱、撹拌した後、NaOH水溶液で中和した後、グラ
スフィルターで濾過してピッチ微細粒子を回収し、水で
十分洗浄したのち、110℃で乾燥した。このものを示
差熱天秤に入れ、窒素気流中10℃/分で昇温して10
00℃まで加熱した。得られたものを走査型電子顕微鏡
で観察したところ、球形を維持したまま炭素化した、炭
素微細球状粒子が得られていることが確認された。
【0131】
【発明の効果】本発明によれば、常温で液状の重質油あ
るいは常温で固体のピッチ、好ましくは軟化点150℃
以下の軟化点のピッチ等の、原料重質油類から、軟化点
の高められたピッチの微細粒子を、しかも処理条件を適
宜選択すればきれいな球状の微細粒子を、従来のピッチ
の微細粒子の製造法における前記したような種々の問題
を回避して、効率よく経済的に容易に製造することがで
きる。また、本発明によれば、製造される軟化点の高め
られたピッチの微細粒子におけるピッチの軟化点および
/または微細粒子のサイズを、処理条件を適宜選択する
ことにより、所望の軟化点および/またはサイズに容易
にコントロールすることができる。
【0132】また、本発明で得られた高軟化点ピッチの
微細粒子の内、比較的軟化点が高いものは、容易に不融
化処理が可能であり、これを不融化、炭化、黒鉛化すれ
ば、炭素もしくは黒鉛の微細粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、SBAを抽出溶媒として得
られた高軟化点ピッチの微細球状粒子の走査型電子顕微
鏡写真である。なお、写真の下に示した線分の長さが1
0μに相当する。
【図2】実施例9において得られた高軟化点ピッチの微
細球状粒子の走査型電子顕微鏡写真である。なお、写真
の下に示した線分の長さが10μに相当する。
【図3】実施例11において得られた高軟化点ピッチの
微細球状粒子の走査型電子顕微鏡写真である。なお、写
真の下に示した線分の長さが10μに相当する。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料重質油類を、1000ポイズ以下の
    粘度の液状の状態において、ただし該原料重質油類が当
    該状態でない場合は、加熱する手段、または水と相溶せ
    ず、かつ原料重質油類を90重量%以上溶解する有機溶
    媒にて希釈ないし溶解する手段、またはこの両手段の併
    用によって該原料重質油類の状態を当該状態に調整し
    て、剪断力が付与される撹拌方法により界面活性剤の存
    在下に水と共に撹拌して、該原料重質油類が直径100
    μ以下の微細球状粒子として水中に分散されたエマルシ
    ョンとする第一工程、第一工程で得られたエマルション
    を、水を溶解することができ、かつ該原料重質油類の少
    なくとも10重量%は不溶成分として残存せしめ得る有
    機溶媒と接触させて、該エマルション中にて該原料重質
    油類の微細球状粒子から軽質成分を、ただし第一工程に
    おいて原料重質油類が上記有機溶媒にて希釈ないし溶解
    する手段で状態調整されている場合はその有機溶媒を
    も、抽出除去し、該原料重質油類の微細球状粒子を軟化
    点の高められたピッチの微細粒子とする第二工程、およ
    び第二工程を経たエマルションから固液分離手段により
    軟化点の高められたピッチの微細粒子を分離、回収する
    第三工程からなることを特徴とする高軟化点ピッチの微
    細粒子の製造法。
  2. 【請求項2】 第一工程において、原料重質油類が、状
    態調整する要なく、1000ポイズ以下の粘度の液状で
    ある請求項1記載の高軟化点ピッチの微細粒子の製造
    法。
  3. 【請求項3】 第一工程において、原料重質油類が、加
    熱する手段で状態調整されて、1000ポイズ以下の粘
    度の液状にされる請求項1記載の高軟化点ピッチの微細
    粒子の製造法。
  4. 【請求項4】 第一工程において、原料重質油類が、水
    と相溶せず、かつ原料重質油類を90重量%以上溶解す
    る有機溶媒にて希釈ないし溶解する手段で状態調整され
    て、1000ポイズ以下の粘度の液状にされる請求項1
    記載の高軟化点ピッチの微細粒子の製造法。
  5. 【請求項5】 第一工程において、原料重質油類が、加
    熱する手段、および水と相溶せず、かつ原料重質油類を
    90重量%以上溶解する有機溶媒にて希釈ないし溶解す
    る手段の併用で状態調整されて、1000ポイズ以下の
    粘度の液状にされる請求項1記載の高軟化点ピッチの微
    細粒子の製造法。
  6. 【請求項6】 第一工程における原料重質油類の状態調
    整のための、水と相溶せず、かつ原料重質油類を90重
    量%以上溶解する有機溶媒にて希釈ないし溶解する手段
    に用いられる当該有機溶媒が、ベンゼン、トルエン、キ
    シレン、エチルベンゼン、四塩化炭素、クロロホルム、
    トリクロロエチレン、コールタール中のタール軽油、カ
    ルボニル油、ナフサ分解で生成するガソリン留分および
    分解軽油から選ばれた少なくとも一種である請求項4ま
    たは5記載の高軟化点ピッチの微細粒子の製造法。
  7. 【請求項7】 第二工程で用いられる水を溶解すること
    ができ、かつ原料重質油類の少なくとも10重量%は不
    溶成分として残存せしめ得る有機溶媒が、メチルエチル
    ケトン、アセトン、メタノール、エタノール、n−プロ
    パノール、イソプロパノール、n−ブタノールおよびs
    ec−ブタノールから選ばれた少なくとも一種である請
    求項1〜6のいずれか一つに記載の高軟化点ピッチの微
    細粒子の製造法。
  8. 【請求項8】 第二工程におけるエマルションと有機溶
    媒の接触のさせ方が、有機溶媒中にエマルションを加え
    る方法である請求項2または4記載の高軟化点ピッチの
    微細粒子の製造法。
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