JPH08157277A - 多孔質用材及びその製造方法 - Google Patents

多孔質用材及びその製造方法

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JPH08157277A
JPH08157277A JP6298218A JP29821894A JPH08157277A JP H08157277 A JPH08157277 A JP H08157277A JP 6298218 A JP6298218 A JP 6298218A JP 29821894 A JP29821894 A JP 29821894A JP H08157277 A JPH08157277 A JP H08157277A
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千博 山下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋳物工場集塵ダストを単独又は下水汚泥焼却
灰と共に用いて、アメニティ、園芸或は河川浄化用材等
として有用な多孔質用材を得ること。 【構成】 鋳物工場集塵ダストを単独で又は下水汚泥焼
却灰と混合して所定形状に成形した後、酸化性雰囲気中
450〜750℃の温度で仮焼し、次いで750〜10
00℃の温度で焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多孔質用材及びその製造
方法、特に、鋳物工場集塵ダスト及び下水汚泥焼却灰等
を原料とし園芸用土や河川浄化用材として有用な多孔質
用材及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋳物工場から発生する集塵ダス
トは超微粉末であるため加湿した後、有償で埋立て処分
されているが、最近、再資源化の観点から、これを単独
であるいは粘土等の窯業原料と混合して焼成することが
考えられている。他方、下水汚泥の焼却により生じる焼
却灰については、下水汚泥焼却灰に下水汚泥の脱水ケー
キを添加して造粒し、これを1000〜1200℃で焼
成して軽量骨材を得る方法(特公昭61−14099号
公報)、下水道汚泥焼却灰とセラミック材料とを混合
し、所定形状に成形した後、1100〜1200℃で加
熱昇温して焼結させ、建材用セラミックスとして利用す
る方法(特開平2−129061号公報)などが提案され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳物工
場集塵ダストを単体で焼結させたものは、密度が高く発
泡性が低いため、軽量骨材として利用し難く、また、吸
水率が低く中心部が黒色を呈しているため園芸用土とし
て用いるにも不適当であり、用途が極めて限られるとい
う問題がある。また、集塵ダストを窯業原料と混合して
焼結させたものは、集塵ダストの利用率は最大でも50
%程度であり、窯業原料を多量に併用しなければならな
いという問題がある。他方、下水汚泥焼却灰を単独であ
るいはセラミック原料と混合して焼成したものは、路盤
材や増量材として有効利用されるようになってきてはい
るが、鋳物工場集塵ダストの場合と同様、窯業原料やセ
ラミック原料を多量に添加しなければならず、産業廃棄
物の利用度が低いのが現状である。
【0004】また、園芸用土や河川浄化用材の品質指標
として圧縮強度、吸水率、pH値及び色調などがある
が、通常、10kgf以上の圧縮強度と15%以上の吸水
率を持つことが要求されるだけでなく、使用中に有害物
質が溶出しないことが必須条件である。しかしながら、
従来法では、これらの諸要件を十分に満たすものが得ら
れていないのが現状である。
【0005】従って、本発明は、産業廃棄物の利用度を
高めるべくなされたもので、鋳物工場集塵ダストを単独
又は下水汚泥焼却灰と共に用いて、アメニティ、園芸或
は河川浄化用材等として有用な多孔質用材を得ることを
目的とするものである。本発明の他の目的は、そのよう
な多孔質用材を安価に製造する方法を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するための手段として、鋳物工場集塵ダスト又は鋳物
工場集塵ダスト30〜100重量%と下水汚泥焼却灰7
0重量%以下との混合物の焼成体からなる多孔質用材で
あって、その吸水率を20%以上、圧縮強度を20Kgf
以上にするようにしたものである。。
【0007】前記多孔質用材は、鋳物工場集塵ダストを
単独で又は下水汚泥焼却灰と混合して所定形状に成形し
た後、酸化性雰囲気中450〜750℃の温度で仮焼
し、次いで750〜1000℃の温度で焼成することに
より製造することができる。
【0008】
【作用】鋳物工場集塵ダストは、超微粉でSiO2を主
成分とし多量の粘土分と共に多量の炭素を含むため、通
常の焼成では成形体の表面の炭素は酸化されてCO、C
2など酸化物として気化逸散するが、内部の炭素がそ
のまま残留して均質な焼結体を得ることができず、利用
ができなくなるが、焼成雰囲気の酸素分圧を10〜30
%に維持しつつ、450〜750℃の温度で仮焼する
と、直径30mm前後の成形体でも180分程度で内部の
炭素も酸化され、その後750〜1000℃の温度で焼
成すると、吸水率が高く機械的強度の強い焼結体とな
り、種々の用途に利用可能となる。
【0009】なお、仮焼雰囲気の酸素分圧を10 〜3
0%とするのは、これが10%未満では内部の炭素を酸
化させ、気化逸散させることができず、また、30%以
上では焼成に要する費用が高くなり、産業廃棄物の処理
には適さないからである。通常は、酸素補給源として空
気を用いるのがコスト的に有利である。
【0010】また、焼成は、仮焼により均質になった成
形体の強度を安定させると共に、外観の色調を整える為
に行われるが、焼成温度が750℃未満では強度の安定
及び色調の調整を十分に行うことができず、焼成温度が
高くなるほど強度は向上するが1000℃を超えると、
ガラス化が進み20%以上の吸水率を確保できず、また
経済的な操業ができなくなるので焼成温度は750〜1
000℃とするのが好適である。
【0011】更に、鋳物工場集塵ダストに下水汚泥焼却
灰を添加して成形し、これを仮焼及び焼成の二段階で熱
処理すると、下水汚泥焼却灰がSiO2、CaO、P2
5を主成分とし、しかも、いわゆるイグロスを20〜4
0%も含むため、これが焼成時に気化、焼失することで
多孔性を高める作用をもたらす。下水汚泥焼却灰の添加
量を70%以下にしたのは、下水汚泥焼却灰は焼成品の
多孔性を高める作用がある反面、機械的強度を低下させ
る欠点があるため、その添加量が70%を超えると、成
形性及び多孔性は確保できるが20Kgf以上の圧縮強度
が得られなくなるからである。
【0012】
【実施例1】原料として表1に示す組成の鋳物工場集塵
ダスト及び下水汚泥焼却灰を、焼成助剤として硼酸、水
ガラス、長石及びゆう薬をそれぞれ用い、これらを表2
に示す割合で配合し、その混合物に20%の水を加えて
押出し造粒機で4mmφ×10mmの円筒状に造粒し、これ
らを50〜60℃で乾燥させた。乾燥粒子を450〜7
50℃にまで昇温し、酸素分圧を10%以上に維持しな
がら粒径に応じて30〜180分仮焼して粒子中の炭素
を酸化させ気化逸散させた。次いで、得られた仮焼粒子
を750〜1000℃で2〜5時間焼成し、焼結粒子を
得た。
【0013】各焼結粒子について、圧縮強度、吸水率、
pH及び色調など諸特性について測定した。その結果を
表3に示す。なお、圧縮強度の測定は島津製作所社製オ
ートグラフを用い、記録紙速度10mm/分、荷重速度1
0mm/分で直径方向に荷重をかけて、行い、色調につい
ては客観的に求める為マンセルNoでの対比を求めた。
また、凍結融解試験は、JIS A5209 陶磁器タ
イルの凍結融解試験法に基づいて試料20個をまとめて
5回反復して行った。
【0014】
【表1】 組成 (重量%) C SiO2 Al2O3 CaO P2O5 その他 揮発ロス 集塵ダスト 14.4 58.7 9.75 0.83 0.05 6.71 9.55 焼却灰 5.2 18.7 9.17 19.2 10.9 12.32 24.50
【0015】
【表2】 試料 組成(重量%) 番号 集塵ダスト 焼却灰 硼酸 ゆう薬 水ガラス 長石 1 100 0 0 ― ― ― 2 60 40 0 ― ― ― 3 50 50 0 ― ― ― 4 40 60 0 ― ― ― 5 25 75 0 ― ― ― 6 18 82 0 ― ― ― 7 15 85 0 ― ― ― 8 99 0.5 0.5 ― ― ― 9 89 10 1 ― ― ― 10 79 20 1 ― ― ― 11 59 40 1 ― ― ― 12 39 60 1 ― ― ― 13 25 74 1 ― ― ― 14 18 81 1 ― ― ― 15 14 85 1 ― ― ― 16 99 0.5 ― 0.5 ― ― 17 59 40 ― 1.0 ― ― 18 18 81 ― 1.0 ― ― 19 99 0.5 ― ― 0.5 ― 20 59 40 ― ― 1.0 ― 21 18 81 ― ― 1.0 ― 22 99 0.5 ― ― ― 0.5 23 59 40 ― ― ― 1.0 24 18 81 ― ― ― 1.0
【0016】
【表3】 試料 発色 pH 吸水率 圧縮強度 凍結融解試験 番号 (%) (Kgf) 1 5.5YR6.5/12 6.66 27.1 23.6 異常無し 2 7.5YR7.5/5.5 7.04 34.6 21.6 異常無し 3 5YR7/4.5 7.10 36.5 22.1 異常無し 4 10YR7.5/1.5 7.15 35.0 21.8 異常無し 5 10YR7/4 7.40 35.8 15.9 異常無し 6 2.5Y8.5/2.5 7.50 33.9 15.8 異常無し 7 2.5Y9/4 7.30 40.0 16.4 異常無し 8 5YR6/13 6.50 26.5 23.9 異常無し 9 2.5YR5/6.5 6.86 28.5 24.1 異常無し 10 10R/5 7.18 30.1 24.2 異常無し 11 7.5YR6.5/3 7.54 37.0 22.5 異常無し 12 10YR7.5/2 8.24 29.2 23.0 異常無し 13 7.5YR8/12 7.30 33.6 19.2 異常無し 14 10YR8/2 7.35 38.0 17.3 異常無し 15 10YR8/3 7.35 41.6 19.0 異常無し 16 2.5YR5/10 6.70 30.0 24.5 異常無し 17 2.5YR5/6.5 7.16 38.7 24.5 異常無し 18 2.5YR8/2 7.43 39.7 19.0 異常無し 19 2.5YR5/10 6.70 28.3 27.5 異常無し 20 2.5YR5/6.5 7.00 33.3 20.8 異常無し 21 10YR8/2 7.27 41.6 12.5 異常無し 22 2.5YR5/10 6.65 29.5 25.1 異常無し 23 2.5YR5/6.5 7.15 37.7 23.7 異常無し 24 10YR8/2 7.30 41.4 12.9 異常無し
【0017】また、前記試料について溶出試験を行った
結果、カドミウム、シアン化合物、有機燐、鉛、六価ク
ロム、ひ素、総水銀、アルキル水銀、PCB、トリクロ
ロエチレンのいずれも検出されなかった。また、前記試
料の比表面積は約0.3m3/g、細孔の大きさが1〜5μm
であった。
【0018】
【実施例2】鋳物工場集塵ダスト89重量%、焼却灰1
0重量%、硼酸1重量%を混合し、これに18%の水を
加えて転動ミキサーに5分間かけて造粒し、500℃で
仮焼した後、950℃で2時間焼成し、これを2mmφの
篩いにかけて、その篩下を試料とした。この試料1kg
を内径40mmφ、長さ1020mm、厚さ2mmの筒に充填
し、その一端側を水槽につけて垂立させ、水槽に水を時
々補給しながら室内に放置したところ、円筒内の水位は
約1月で水槽の液面から約60cmの高さまで上昇した。
【0019】また、前記焼結粒子を70mmφの素焼鉢に
入れ、黄色い花の咲いたミヤコグサ10本を茎で切り取
り、これを鉢の深さの約半分まで差し込み、この鉢を皿
に入れて水の深さが10mmとなるように灌水し、肥料は
与えず皿に水を補給するだけで、その変化を観察したと
ころ、試験開始後、1週間経過した頃黄色い花の中に莢
が形成され、10日後にはほぼ花が落ちたが、莢が約1
0個成長していた。鉢から抜き取ってみると、切り口か
ら白い根が成長していた。さらに、10日経過すると、
鉢の周りに黒い種子が散在しており、莢は殆どなくなっ
ていた。このとき、茎及び葉は枯れることなく緑を保
ち、一葉には体長20mmの青虫が一匹ついており食い荒
らされていた。これらの結果から、本発明に係る多孔質
用材は園芸用土として適していることが判る。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、鋳物工場集塵ダスト又は鋳物工場集塵ダスト
30〜100重量%と下水汚泥焼却灰70重量%以下か
らなる混合物を焼結して多孔質用材を得るようにしたの
で、産業廃棄物だけで園芸用土や河川浄化用材を得るこ
とができ、廃棄物の再利用を図り、省資源を実現するこ
とができる。しかも、圧縮強度が高く、吸水性に富むの
で、園芸用土として極めて有用であり、安価に製造する
ことができるなど、優れた効果が得られる。また、比表
面積が約0.3m3/gと著しく大きく、しかも、気孔率も
高いため、この用材を河川等に侵漬しておくと、内部に
吸着した酸素が水中に徐々に放出され、その酸素により
水中のBODを低下させる作用をもたらし、河川等の浄
化に寄与する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増井 芽 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3−2500 号 大阪特殊合金株式会社内 (72)発明者 山下 千博 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3−2500 号 大阪特殊合金株式会社内 (72)発明者 北尾 敏則 大阪府大阪市北区梅田1丁目1番3−2500 号 大阪特殊合金株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳物工場集塵ダスト又は鋳物工場集塵ダ
    スト30〜100重量%と下水汚泥焼却灰70重量%以
    下との混合物の焼結体からなる多孔質用材。
  2. 【請求項2】 鋳物工場集塵ダストを単独で又は下水汚
    泥焼却灰と混合して所定形状に成形した後、酸化性雰囲
    気中450〜750℃の温度で仮焼し、次いで750〜
    1000℃の温度で焼成することを特徴とする多孔質用
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 鋳物工場集塵ダストに下水汚泥焼却灰を
    添加し、鋳物工場集塵ダスト30〜100重量%、下水
    汚泥焼却灰70重量%以下からなる混合物を調製した
    後、成形することを特徴とする請求項2記載の多孔質用
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記成形体を酸素含有率10%〜35%
    の酸化性雰囲気中で仮焼する請求項1又は2に記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 前記原料粉末に焼成助剤を0.5〜5重
    量%添加した後、成形する請求項2又は3記載の方法。
  6. 【請求項6】 仮焼及び焼成を連続的に行う請求項2〜
    5のいずれかに記載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000006313A1 (en) * 1998-07-30 2000-02-10 Brett David Reich New products and methods using foundry dust
JP2005126282A (ja) * 2003-10-23 2005-05-19 Hiromitsu Habaguchi 焼却灰の焼成焼結方法と該方法で得られる焼結物
CN112573900A (zh) * 2020-11-23 2021-03-30 南阳仁创再生资源有限公司 一种铸造除尘灰和污泥的再利用方法

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