JP4093488B2 - 石炭灰高配合煉瓦の製造方法および該方法により得られた煉瓦 - Google Patents

石炭灰高配合煉瓦の製造方法および該方法により得られた煉瓦 Download PDF

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Description

本発明は、従来の普通煉瓦の製造工程を変更することなく、原料粘土に石炭灰を50重量%以上配合していながら、機械的強度が高く、低い吸水率を有した煉瓦の製造方法及び該製造方法により得られた煉瓦に関するものである。
これまでに、石炭灰を原料として用いた燒結体の製造方法について、様々な試みがなされてきた。
例えば、特開2000−86348号公報には、石炭灰を主成分とした緻密なセラミック成形体の製造方法が記載されている。しかしながら、当該技術は煉瓦用粘土を用いたものではなく、また、普通煉瓦の工程における製造を可能とすることを目的とするものではない。
また、特開昭56−100160号公報には、石炭灰のような、炭素比率が1〜15重量%の微細な粘土様材料と、CaCO3のような微細な石灰質材料との混合物を焼成した多孔質焼結体が記載されている。しかしながら、得られたものは多孔質焼結体であるからその吸水率はとても低いものであるとはいえない。また、当該技術は煉瓦製造用材料として煉瓦用粘土を用いるものではない。
さらに、特開2000−7396号公報には、石炭灰を主原料とした焼成人工骨材、タイル、煉瓦を製造する際に、分級細粒フライアッシュを用いることでこれらの燒結体の吸水率を低下させる方法が記載されている。しかしながら、当該技術で用いる石炭灰は電気集塵機から回収した後に分級する必要があり、通常の方法で捕集された石炭灰をそのまま使用するものではない。
特開2000−86348号公報 特開昭56−100160号公報 特開2000−7396号公報
これまでに、我々発明者は粘土に石炭灰を50重量%以上混合した原料を用いて、従来通りの煉瓦の製造工程により、焼成煉瓦を製造する方法に取り組んできた。その結果、1100℃程度の焼成温度で煉瓦を製造することができたが、粘土のみを用いて焼成した場合と比較して、焼成時の収縮が小さいために、燒結密度が低く、吸水率も約11%と高くなってしまうという問題があった。一般的に、吸水率の高い煉瓦を北海道のような寒冷地で使用すると、冬期間の凍結融解による割れの原因となることがある。また、日本工業規格では、普通煉瓦4種(JISR1250)として吸水率を10%以下と規定している。
一方、燒結密度を高くするためには、1100℃以上の高温焼成を行い、焼成収縮を適度の大きくする方法が考えられるが、通常の石炭灰を用いると、焼成時に、煉瓦の膨れや積み上げた煉瓦同士の融着が発生してしまい、通常の製造工程での作製が困難であった。
このような事情のもので、本発明は、従来の煉瓦の製造工程を変更することなく、石炭灰を50重量%以上高配合していながら、機械的強度が高く、低い吸水性を有する煉瓦を製造することを目的とするものである。
本発明は、膨れ及び融着の主な原因が石炭灰中に残存している未燃炭素及び原料中のカルシウム含有量の影響であることを確かめて、未燃炭素及びカルシウム含有量の少ない石炭灰を選択的に用いることで、1130℃以上の高温焼成あるいは高温還元焼成を可能とする。その結果、普通煉瓦の寸法を有した石炭灰を50重量%以上含んだ煉瓦でありながら、高い圧縮強度と低い吸水率を有するものを得ることができる。
そのため、本発明は、以下に示す構成を特徴的に有することが必要である。
(1)煉瓦用粘土に、軟化温度が1250℃以上であり、炭素含有量が2.8重量%以下であり、かつ、カルシウム含有量(酸化物換算)が1.5重量%以下である石炭灰を、50重量%以上60重量%未満混合して加水混練し、押出し成型した成形体を形成する工程と、乾燥後の成形体を、1130℃〜1250℃で焼成する工程とを備えることを特徴とする、吸水率が9.3%以下である煉瓦の製造方法。
(2)前記焼成工程中に還元焼成工程を含む前記(1)に記載される煉瓦の製造方法。
(3)煉瓦用粘土に、軟化温度が1250℃以上であり、炭素含有量が2.8重量%以下であり、かつ、カルシウム含有量(酸化物換算)が1.5重量%以下である石炭灰を加水混練し、押出し成型した成形体を形成する工程と、乾燥後の成形体を、1130℃〜1250℃で焼成する工程とを備える製造方法により製造することができる、原料として石炭灰が50重量%以上60重量%未満混合されており、かつ吸水率が9.3%以下である煉瓦。
(4)前記焼成工程中に還元焼成工程を含む前記(3)に記載される煉瓦。
以下、本発明の構成要件について、その詳細を示す。
本発明において用いることができる粘土は、赤煉瓦用粘土など一般的な粘土であり、耐火性を表す軟化温度が1180℃以上のものであり、好ましくは1280℃以上のものである。本発明では焼成温度を高くすることで燒結密度を高めるものであるため、粘土の耐火性が最も重要な要件であり、粘土の組成、粒度などは特に制限されるものではない。
なお、本発明においては1130℃〜1250℃の焼成温度を用いるが、トンネルキルンなどの焼成炉の温度分布を完全に均一にすることは難しく、煉瓦の設置場所によっては表示温度よりも高くなる場合がある。したがって、1130℃の焼成温度であっても、不良品の発生を防ぐためには、用いる粘土の耐火性に裕度を持たせて、軟化温度が1180℃以上である必要がある。また、1250℃の焼成温度を用いる場合も含めて、軟化温度が1280℃以上であることが好ましい。
また、本発明において用いることができる石炭灰は、火力発電所などにおける電気集塵機で捕集されたフライアッシュである。粒度は石炭灰全重量の大部分がシルト分(5μm〜75μm)に分布し、平均粒径(D50)は10μm〜25μm程度である。本発明では石炭灰の粒度は特に制限されるものではなく、火力発電所において通常の方法で回収される上記のような粒度の石炭灰をそのまま使用することができる。
また、石炭灰の軟化温度は石炭灰の種類によって異なるがおよそ1350℃〜1550℃程度である。したがって、耐火性の点からは、ほとんどの石炭灰は本発明の焼成条件で使用することができるが、軟化温度が1250℃以上である必要があることは勿論である。
また、本発明において用いられる石炭灰中に含まれる未燃炭素分は2.8重量%以下の石炭灰である。未燃炭素分が2.8重量%を越える石炭灰は焼成時に炭酸ガスを発生して、煉瓦内部に気孔を形成したり膨れの原因となるために好ましくない。
また、本発明において用いられる石炭灰中に含まれるカルシウムの含有量は1.5重量%(酸化物換算)以下のものである。好ましくは1.0重量%以下のものである。なお、石炭灰の主成分であるシリカ、アルミナ及び微量に含まれるカルシウムを除く酸化鉄、酸化チタン、酸化リンなどの酸化物の組成については特に制限されるものではない。石炭灰中のアルカリ金属については、焼成時の軟化温度に影響することが考えられるが、一般的な石炭灰ではナトリウム、カリウムの合計の含有量は2.5重量%(酸化物換算)以下であり、本発明においてはこの範囲の石炭灰を用いることができる。
また、本発明に用いられる石炭灰の混合割合は乾燥重量で50重量%以上、60重量%以下である。石炭灰が50重量%未満では、石炭灰の有効利用を促進するという観点から好ましくない。また、石炭灰が60重量%超では、原料に水分を加えて混練した時の可塑性が粘土と比較して低くなり、押出し成形機による成形が困難になるため、好ましくない。
本発明において用いることができる焼成方法は、通常の煉瓦製造で行われる方法であり、その焼成条件としては、所定温度まで昇温する予熱温度がおよそ10時間、焼成時間がおよそ10時間、常温まで冷却する冷却温度がおよそ20時間である。また、通常行う大気雰囲気中での焼成の他に、重油バーナーに供給する燃料流量を制御して行う還元雰囲気中での焼成方法を用いることができる。
また、本発明において用いることができる焼成温度は、1130℃〜1250℃である。焼成温度が1130℃未満では、煉瓦の焼成収縮が十分でなく、吸水率が高くなってしまうため好ましくない。また、通常の赤煉瓦製造の焼成温度は1250℃以下であり、1250℃を越えた温度で焼成することは設備に係る負担や燃料費が上昇することなどから好ましくない。
本発明において用いることができる煉瓦の製造工程としては、原料混練、押出し成形、乾燥、焼成といった一連の工程において、通常の粘土原料を用いた場合と同じ工程をそのまま用いることが可能であり、製造工程について特に制限されるものはない。
本発明において得られた煉瓦は、JIS普通煉瓦の基準に適合した形状、強度、吸水率を有している。また、本発明で得られた煉瓦の圧縮強度がJIS基準と比較しても十分に高いため、路盤材などに用いる場合においても、厚みを60mm以下に薄くしても実用に支障のない強度の煉瓦が得られる。
そこで、本発明では、煉瓦形状、寸法として、JIS普通煉瓦のもの(厚さ60mm、幅100mm、長さ210mm)に加えて、厚さ50mm〜60mm、幅100mm〜110mm、長さ210mm〜220mmのものとした。なお、寸法については±5%の許容差があるものとする。
このように、本発明では従来の煉瓦の製造工程を変更する必要がないために、新たな製造費用の発生もなく、それでありながら、石炭灰を50重量%以上高配合した、機械的強度が高く、低い吸水率を有する煉瓦を製造することができる。
また、このことは、北海道では火力発電所から発生する年間約60万トンの石炭灰の新たな有効利用につながるものである。
さらに、本発明の石炭灰高配合煉瓦は、エコマーク認定基準(石炭灰の混合率50重量%以上)、及びグリーン購入制度(舗装材用途で石炭灰の混合率20重量%以上)の基準値に適合する。したがって、環境性が高く、また、公共事業などにおける優先導入も期待することができる。
以下、本発明の石炭灰高配合煉瓦を製造する方法の実施の形態について説明する。
なお、以下の説明で用いる赤煉瓦用粘土および石炭灰の化学組成、焼成工程および還元焼成工程の条件は、本発明の範囲内の好適な一例を示すにすぎず、これらに限定されるものでないことは無論のことである。
まず、本発明の実施に使用する赤煉瓦用粘土は北海道江別市で産出する野幌粘土であり、蛍光X線分析による化学組成を下記表1に示す。野幌粘土の粒度は約25%が2μm以下の微砂であり、平均粒径D50は約10μmである。また、軟化温度は約1250℃である。
Figure 0004093488
下記に示す実施例及び比較例で使用する石炭灰は、北海道電力(株)苫東厚真発電所から排出されたフライアッシュであり、異なる3種類の石炭の燃焼灰である。その化学組成を下記表2に示す。石炭灰A、B、Cの軟化温度及び平均粒度D50は、それぞれ、1430℃、1400℃、1514℃、及び22μm、15μm、15μmである。
Figure 0004093488
次に、煉瓦の製造方法について説明する。約2000kgの前記原料粘土及び前記各石炭灰A、B、Cを両者の重量が同じになるように配合した後、混練機で混ぜ合わせたものを、押出し成型機により成形した。成形したもの、すなわち成形体を数日間乾燥させた。焼成はトンネルキルンを用いて行ったが、温度パターンは、およそ、予熱10時間、焼成10時間、冷却20時間で行った。焼成方法は最も一般的な大気中焼成の他に「中性焼成」及び「還元焼成」を行った。「中性焼成」及び「還元焼成」ではいずれも重油バーナーの燃料流量を制御して低酸素雰囲気を形成させるが、低酸素雰囲気を間欠的に形成させることで炉内温度の過度な上昇を制御して安定化させた。「中性焼成」と「還元焼成」との違いは間欠還元を行う場合の低酸素雰囲気と酸化雰囲気との持続時間の比率であり、中性還元と比較して還元焼成では全焼成時間に対する低酸素雰囲気の持続時間が長くなっている。
(比較例1)
適量の水を加えた前記表1に示される野幌粘土と前記表2に示される炭素含有量が2.8重量%であり、またカルシウム含有量(酸化物換算)が4.1重量%である石炭灰Aとを50重量%ずつ混合して、押出し成型機で約100mm×210mmの形状で棒状に押出し、これを約60mm厚に切断して数百枚の成形体を作製した。なお、成形は乾燥収縮及び焼成収縮を考慮して、若干大きめの寸法で作製している。成形体は約2週間十分に乾燥させた後、焼成を行った。焼成は成形体を搬送機に数段重ねて積み込み、これをトンネルキルン炉で、焼成時間約10時間、焼成温度1080℃及び1120℃の条件で焼成して煉瓦を得た。
その結果、1080℃で焼成した煉瓦の場合には欠陥は見られなかったが、1120℃で焼成した煉瓦の場合には全ての煉瓦で膨れや煉瓦同士の融着などの欠陥が多数発生していた。欠陥が発生した煉瓦を長尺方向に対し直角に切断した断面図を図1に示す。煉瓦表面より10〜20mm内側から中心までの黒色部分と表面側の赤茶色の部分で色の大きなムラが発生している。
また、これらの色ムラの境界部分には目視で数mm以下の細かい気孔が多数観察された。色ムラの境界面では黒色部分と赤茶色部分に完全に隙間が発生して煉瓦表面を押し広げて膨れを発生している煉瓦も見られた。また、焼成時に他の煉瓦と接触していた部分では煉瓦同士の融着の発生も見られた。
変色の発生した煉瓦では焼成時の収縮が大きすぎて煉瓦内部への空気の拡散が不足するために、石炭灰中に含まれている未燃炭素の影響で酸化物が還元されたと考えられる。実際に炭素濃度分析の結果から、黒色部分及び赤茶色部分の炭素濃度は、それぞれ、0.085重量%及び0.699重量%となっており、煉瓦内部では原料石炭灰に含まれていた炭素の大部分が消費されている。その結果、鉄などの還元色である黒色に変色し、また、この時に発生した炭酸ガスによって色ムラの境界部分には気孔などが形成されたと考えられる。
つまり、膨れや融着の主な発生原因は石炭灰を混合することによる高温下での収縮率の極端な増大と軟化温度の低下であると考えられる。
また、石炭灰Aを用いて1080℃で焼成した煉瓦の焼成収縮率、24時間吸水率、密度及び圧縮強度は、それぞれ、4.8%、11%、1.8g/cm3及び80N/mm2であった。焼成温度が低いために収縮率が小さく、吸水率はJIS普通煉瓦4種で定められた10%以下の値が得られていない。
なお、圧縮強度については、JIS基準値である30N/mm2よりも高い80N/mm2の値が得られている。
(比較例2)
次に、前記表2に示される炭素含有量が2.1重量%であり、またカルシウム含有量(酸化物換算)が1.8重量%である石炭灰Bを用いた以外、他の条件は比較例1と同様にして成形体を作製して、これを1120℃及び1140℃の焼成温度で焼成して煉瓦を得た。焼成温度が1120℃の場合には欠陥が発生しなかったが、1140℃の大気中焼成及び還元焼成では、約半数の煉瓦に比較例1と同じように膨れや融着の発生が見られた。ただし、1140℃の焼成温度で欠陥が発生したものでも、比較例1で1120℃の焼成温度で焼成した煉瓦と比較して、変色、膨れや融着の程度は小さかった。
なお、石炭灰Bを用いて1120℃で焼成した煉瓦の焼成収縮率、24時間吸水率、密度及び圧縮強度は、それぞれ、4.8%、11%、1.8g/cm3及び80N/mm2であった。焼成温度が低いために収縮率が小さく、吸水率はJIS普通煉瓦4種で定められた10%以下の値が得られていない。
なお、圧縮強度については、JIS基準値である30N/mm2よりも高い80N/mm2の値が得られている。
(比較例3)
次に、前記表2に示される炭素含有量が2.8重量%であり、またカルシウム含有量(酸化物換算)が0.8重量%である石炭灰Cを用いた以外、他の条件は比較例1と同様にして成形体を作製して、これを1080℃の焼成温度で焼成して煉瓦を得た。得られた煉瓦には膨れや融着などの欠陥は見られなかった。
なお、石炭灰Cを用いて1080℃で焼成した煉瓦の焼成収縮率、24時間吸水率、密度及び圧縮強度は、それぞれ、4.3%、10%、1.8g/cm3及び80N/mm2であった。吸水率は10%とJIS普通煉瓦4種で定められた値の上限値程度が得られたが、焼成炉内における焼成条件のばらつきなどを考慮すると十分な値であるとは言えない。
なお、圧縮強度については、JIS基準値である30N/mm2よりも高い80N/mm2の値が得られている。
(実施例1〜3)
次に、前記表2に示される炭素含有量が2.8重量%であり、またカルシウム含有量(酸化物換算)が0.8重量%である石炭灰Cを用いて比較例3と同様に作製した成形体を1170℃の焼成温度で焼成して煉瓦を得た(実施例1)。石炭灰Cを用いた場合には焼成温度が1170℃と高いにもかかわらず、石炭灰A及び石炭灰Bを用いて1120℃及び1150℃の焼成温度で焼成した場合に見られた膨れや煉瓦同士の融着などの欠陥は見られなかった。
また、石炭灰Cを用いて比較例3と同様に作製した成形体を1140℃の焼成温度で、焼成雰囲気を「中性」(実施例2)及び「還元」(実施例3)として焼成を行い煉瓦を得た。いずれの焼成条件においても、膨れや煉瓦同士の融着などの欠陥は見られなかった。
実施例1〜3により得られた各煉瓦の物性を下記表3に示す。
Figure 0004093488
前記表3に示される結果をみると、石炭灰Cを用いて高温焼成、中性焼成及び還元焼成を行うことで、比較例1、2及び3で得られた煉瓦と比較して焼成収縮が大きく、吸水率が10%以下まで低下していることが分かる。特に、還元焼成した煉瓦では吸水率がJIS4種の基準値の半分以下の約4%と低い値のものが得られている。また、圧縮強度についても、焼成温度を高くすることにより、さらに、増加する傾向が見られ、前記表3に見るように1170℃焼成(実施例1)と還元焼成(実施例3)では圧縮強度が85N/mm2の値が得られている。
なお、本実施例では、カルシウム含有量(酸化物換算)0.8重量%とし、また、炭素含有量2.8重量%として実施したが、本発明の実施はこれに限定されるものではなく、カルシウム含有量(酸化物換算)1.5重量%以下の範囲とし、また炭素含有量2.8重量%以下の範囲として本発明を実施することができることは勿論のことである。
(カルシウム濃度の規定のための試験)
前述したように、膨れや煉瓦同士の融着の主な発生原因は、粘土の石炭灰を混合することによる高温下での収縮率の極端な増大と軟化温度の低下であると考えられる。煉瓦の主成分であるシリカなどの軟化に影響する因子として、原料中のアルカリ成分の含有量が考えられる。前記表2の石炭灰の化学組成の比較からアルカリ成分の中でも特に酸化カルシウムの含有量は石炭灰の種類によって異なり、また、これまでに示した比較例1〜3及び実施例1〜3の結果から、酸化カルシウムの濃度が高いほど、膨れや煉瓦同士の融着が起こりやすいという傾向が見られる。
そこで、カルシウム濃度の影響を評価して、本発明において用いることができるカルシウム濃度の値を規定するために以下の試験を行った。
前記表2で示した石炭灰Cに酸化カルシウムを加えて、これに前記表1の野幌粘土を50重量%混合して試験片を作製し、焼成試験を行った。カルシウム含有量は石炭灰に対して0.8重量%(酸化カルシウム無添加)、1.0重量%、1.5重量%及び2.5重量%となるように調整した。各試験片は以上の方法で調整した原料に約20重量%の水を加えて、プレス機で1000kgの加重を加えて、直径50mm、厚さ約6mmの円盤状に成形し、これを、約12時間、自然乾燥させた後、さらに、80℃に設定した乾燥機で乾燥させた。焼成温度は本発明における焼成温度の上限値である1250℃として、焼成時間は5時間とした。
また、比較のために、前記表2に示される酸化カルシウム含有量が1.8重量%の石炭灰Bと粘土を50重量%混合した試料についても焼成試験を行った。この時に酸化カルシウムは添加していない。
その試験結果を下記表4に示す。
Figure 0004093488
前記表4に示される結果から、酸化カルシウムの含有量の増加にしたがって、収縮率が3.6%から6.4%まで増大し、2.5重量%では試験片がその下に置かれたアルミナ板に融着した。したがって、実際の煉瓦原料の場合にも石炭灰中のカルシウム分が少ないほど、焼成収縮率が小さく、軟化温度が高く、耐火性が向上することは明らかである。
また、石炭灰Bを用いて同様に作製した試料の焼成収縮率は8.0%であった。石炭灰中の酸化カルシウム含有量が1.5重量%の場合は焼成収縮率が6.4%であるから、この試験片は、石炭灰B混合の試験片と比較して、耐火性に優れていると言える。
石炭灰中の酸化カルシウム濃度が1.8重量%である石炭灰Bの混合煉瓦では、比較例2で示したように、1140℃における焼成時に一部の煉瓦に欠陥が発生したが、本試験結果から、本発明において用いることができる石炭灰中の酸化カルシウム濃度が1.5重量%以下であれば、石炭灰Bの混合煉瓦よりも耐火性が優れ、したがって、1130℃以上の焼成が可能となったと考えられる。
以上の試験結果から、焼成温度を1130℃以上とする本発明で用いることができる石炭灰中の酸化カルシウムの含有量としては、1.5重量%以下とする。
なお、本試験で得られた焼成収縮率や軟化温度の値については、減圧下で押出し成形を行い、乾燥・焼成などの工程が異なり、また、石炭灰中のカルシウムの形態も異なる実際の煉瓦と比較するものではなく、本試験は用いた試験片同士の相対的な比較を行うものである。
また、野幌粘土にもカルシウムは約1.1重量%含まれている。しかしながら、野幌粘土中のカルシウムは化学的に安定な灰長石の構造を有し、焼成後もその構造を維持するため、シリカの軟化温度の低下に及ぼす影響は小さい。
また、粘土と石炭灰ではカルシウムの溶出特性が異なる。石炭灰A及び野幌粘土5gをそれぞれ水10mlに24時間浸漬させ、その後、濾過溶液中のカルシウム濃度をプラズマ発光分光分析装置で分析した結果では、石炭灰A及び野幌粘土の濾過溶液中のカルシウム濃度はそれぞれ107ppm及び3ppmと、石炭灰Aの場合は野幌粘土と比較して約36倍大きな値となっていた。
したがって、煉瓦製造工程において加水された原料の混練、成形、乾燥時には石炭灰からカルシウムの溶出が起こり、原料中に分散し、その結果、焼成時にシリカなどと反応していることが考えられる。
これらのことからも、本発明では煉瓦の焼成収縮、軟化温度の低下への影響の大きい石炭灰中のカルシウム濃度を1.5重量%以下と規定することが重要な要件であると言える。
(炭素濃度の規定のための試験)
石炭灰中の炭素は、比較例1で示したように、焼成中に炭酸ガスとなり、煉瓦中に気孔を形成したりして膨れの原因となるので、その含有量は少ない方が望ましい。さらに、一般的に原料中に含まれる炭素分が多いと燒結体が多孔質化することは良く知られていて、本発明の目的である低い吸水率の煉瓦を製造する上で炭素含有量が多いことは望ましいことではない。
そこで、本発明で用いることができる炭素濃度の上限値を規定するために、以下の試験を行った。
前記表2で示した石炭灰Cに活性炭素粉末を加えて、これに前記表1に示される野幌粘土を50重量%混合して試験片を作製し、焼成試験を行った。炭素含有量は石炭灰に対して2.8重量%(炭素は無添加)、4.8重量%及び9.3重量%となるように調整した。試験片は以上の方法で調整した原料に約20重量%の水を加えて、プレス機により1000kgの加重を加えて、直径50mm、厚さ約6mmの円盤状に成形し、これを、約12時間、自然乾燥させた後、さらに、80℃に設定した乾燥機で、約3時間、乾燥させた。焼成温度は本発明における焼成温度の上限値である1250℃として、焼成時間は5時間とした。
なお、北海道電力(株)苫東厚真発電所から排出されたフライアッシュの炭素含有量は、大部分が3重量%以下であるが、ボイラーのタイプによっては炭素が12重量%程度まで含まれるものがある。
各焼成試料の密度を下記表5に示す。
Figure 0004093488
前記表5に示される試験結果から、炭素含有量の増加にしたがって、燒結体の密度が減少している。したがって、本発明の低い吸水率の煉瓦の製造のためには、石炭灰中の炭素含有量が少ないほど好ましいことが、本試験から明らかである。
そこで、本発明において用いることができる石炭灰中の炭素の含有率としては、実施例1〜3で高い燒結密度の煉瓦が得られていることが実証されている、石炭灰Cと同じ2.8重量%以下とする。
石炭灰Aを用いた煉瓦(焼成温度:1120℃)の断面図。

Claims (4)

  1. 煉瓦用粘土に、軟化温度が1250℃以上であり、炭素含有量が2.8重量%以下であり、かつ、カルシウム含有量(酸化物換算)が1.5重量%以下である石炭灰を、50重量%以上60重量%未満混合して加水混練し、押出し成型した成形体を形成する工程と、
    乾燥後の前記成形体を、1130℃〜1250℃で焼成する工程と
    を備えることを特徴とする、吸水率が9.3%以下である煉瓦の製造方法。
  2. 前記焼成工程中に還元焼成工程を含む、請求項1に記載される煉瓦の製造方法。
  3. 煉瓦用粘土に、軟化温度が1250℃以上であり、炭素含有量が2.8重量%以下であり、かつ、カルシウム含有量(酸化物換算)が1.5重量%以下である石炭灰を加水混練し、押出し成型した成形体を形成する工程と、
    乾燥後の前記成形体を、1130℃〜1250℃で焼成する工程と
    を備える製造方法により製造することができる、原料として前記石炭灰が50重量%以上60重量%未満混合されており、かつ吸水率が9.3%以下である煉瓦。
  4. 前記焼成工程中に還元焼成工程を含むことにより得られることを特徴とする請求項3に記載される煉瓦。
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