JPH0815712A - 透明導電性薄膜の製造方法 - Google Patents

透明導電性薄膜の製造方法

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JPH0815712A
JPH0815712A JP6148195A JP14819594A JPH0815712A JP H0815712 A JPH0815712 A JP H0815712A JP 6148195 A JP6148195 A JP 6148195A JP 14819594 A JP14819594 A JP 14819594A JP H0815712 A JPH0815712 A JP H0815712A
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充 杉野谷
Shigeto Omi
成人 近江
Jun Sasaki
純 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低抵抗の酸化スズ透明導電膜を安全かつ簡便
に製造する。 【構成】 少なくともスズ化合物とトリフルオロメチル
基と酸素原子を有する炭素数2以上の有機化合物溶液
を、加熱した基板上に接触させるかもしくは塗布後加熱
して、フッ素を含む酸化スズ膜を生成することにより、
安全に低抵抗の透明導電膜を製造できるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は表示装置や太陽電池の電
極に用いられる透明導電性薄膜の製造方法に関し、詳し
くは低抵抗の酸化スズ膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図2に従来の透明導電性薄膜の製造方法
の一例を示す。図中11はガラス基板で、12の加熱炉
に入り、加熱されながら塩化スズと塩化アンチモンのア
ルコ−ル溶液等13を基板上に噴霧する。加熱温度は原
材料により異なるが、この場合は500ー800℃でガ
ラス基板上に透明導電膜14が生成される。生成された
透明導電膜の抵抗値は8ー10×10-3Ω・cm程度で
ある。
【0003】このような酸化スズの透明導電膜は化学的
に安定であるため表示装置の電圧印加用電極や太陽電池
の取り出し用電極として広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電極として用
いる限りは電気抵抗は低い方が良く、低抵抗化の研究が
行われている。例えば、ド−パントとして用いているア
ンチモンをフッ素にすることにより、4ー5×10-4Ω
・cm程度に抵抗値が下がる(窯業協会 年回講演予稿
集 2G37(1987年))ことが知られている。フ
ッ素をド−ピングする方法としてはフッ酸、フロン等を
原材料として用いることが今まで開示されているが、フ
ッ酸は腐食性が強く、また危険性も高く、原材料として
の安全性に欠ける。フロンは直接的な危険性はないが、
近年、オゾン層破壊の原因として使用が規制されてい
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者らは低抵抗の酸化スズ透明導電膜を安全に
製造することを目的とし、危険性のないフッ素の原材料
を探し、鋭意、研究を重ねたところ、トリフルオロメチ
ル基と酸素原子を有する炭素数2以上の有機化合物が比
較的、危険性が少なく透明導電膜の抵抗を下げる効果が
あることを見いだしたものである。
【0006】本発明では、スズ化合物とトリフルオロメ
チル基と酸素原子を有する炭素数2以上の有機化合物
を、加熱した基板上に接触させるかもしくは塗布後加熱
して、フッ素を含む酸化スズ膜を生成することにより、
安全に低抵抗の透明導電膜を製造できるものである。
【0007】
【作用】トリフルオロメチル基と酸素原子を有する炭素
数2以上の有機化合物は危険性が少ないが、中でも比較
的危険と思われるトリフルオロ酢酸は化学式でCF3C
OOHであり酢酸(CH3 COOH)の水素原子がフッ
素原子に置換された構造を持ち、腐食性や危険性は酢酸
に近い性質を持つ。そのため、ある程度の腐食性と危険
性は伴うが、その程度はフッ酸とは比べ物にならないほ
ど低いものであり、製造工程でははるかに安全に取り扱
うことができる。
【0008】また、化合物自体は酸素原子を含むため、
それほど安定では無く、加熱により分解するのでフロン
のように未反応物がオゾン層に達してオゾン層を破壊す
るような事はなく、膜中でも効果的にフッ素原子をド−
パントとして供給するので、電気抵抗の低減に効果的で
ある。
【0009】さらに、化合物全体の炭素数が少なすぎる
と気体となってしまうため製造工程で揮散し易く、工程
内作業の環境が悪くなり易い。
【0010】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明の効果を具体
的に説明する。 (実施例1)図1は本発明による透明導電性薄膜の製造
方法を示す工程図である。図1(a)の1はガラス基板
である。図1(b)においてガラス基板1は加熱炉2中
に置かれ基板上にノズルより原材料3が噴霧される。本
実施例においては下記、原料Aと原料Bが独立したノズ
ルから供給される。
【0011】{原料A} テトラメチルスズをチッ素ガ
スによりバブリングして気化した物。 {原料B} トリフルオロ酢酸をチッ素ガスによりバブ
リングして気化した物。
【0012】このような製造工程により透明導電性薄膜
は作成されるが、このときガラス基板の加熱温度を変化
させると、薄膜の抵抗値は図3のように変化する。ま
た、薄膜の抵抗値と透過率の関係は図4のようになる。
基板加熱温度を上げると抵抗値は低下するが、抵抗値の
低下と共に透過率も低下して行く。
【0013】本実施例では透明性と低抵抗のバランスに
考慮し、原料AとBの供給比率を2:1、ガラス基板の
加熱温度を550℃にして、透明導電膜4を作製し、電
気抵抗は4×10-4Ω・cmが得られた。 (実施例2)実施例1における原材料を下記のようにし
た。
【0014】{原料A} 塩化スズのメタノ−ル50%
溶液ををチッ素ガスによりバブリングして気化したもの {原料B} トリフルオロアセチルクロライド 原料AとBの供給比率を1:1、ガラス基板の加熱温度
を600℃にして、透明導電膜を作製したところ、実施
例1と同様の効果が得られた。
【0015】(実施例3)実施例1における原材料を下
記のようにした。 {原料A} テトラメチルスズをチッ素ガスによりバブ
リングして気化した物 {原料B} トリフルオロエタノ−ルをチッ素ガスによ
りバブリングして気化した物 以下、実施例1と同様に透明導電膜を作製した所、実施
例1と同様の効果が得られた。
【0016】(実施例4)実施例1における原材料を下
記のようにした。 {原料A} テトラメチルスズをチッ素ガスによりバブ
リングして気化した物 {原料B} トリフルオロ酢酸エチルをチッ素ガスによ
りバブリングして気化した物 以下、実施例1と同様に透明導電膜を作製した所、実施
例1と同様の効果が得られた。
【0017】(実施例5)実施例1における原材料を下
記のようにした。 {原料A} テトラメチルスズをチッ素ガスによりバブ
リングして気化した物 {原料B} トリフルオロ酢酸アミドをチッ素ガスによ
りバブリングして気化した物 以下、実施例1と同様に透明導電膜を作製した所、実施
例1と同様の効果が得られた。
【0018】(実施例6)実施例1において、テトラメ
チルスズとトリフルオロ酢酸を1:1で混合した溶液を
スピンナ−にてガラス基板上に塗布した。その後、塗布
基板を500℃にて酸素雰囲気中で加熱処理したとこ
ろ、実施例1と同様の効果が得られた。
【0019】
【発明の効果】実施例にて詳しく説明したように、本発
明による透明導電膜の製造方法は、スズ化合物とトリフ
ルオロメチル基を有する有機化合物を、加熱した基板上
に接触させるかもしくは塗布後加熱して、フッ素を含む
酸化スズ膜を生成することにより、安全に低抵抗の透明
導電膜を製造できるものである。
【0020】本発明は低抵抗で安価な透明導電膜を安全
に製造できるという点で実用的価値は大変、大きな物と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多色液晶表示装置の断面図であ
る。
【図2】従来の多色液晶表示装置の断面図である。
【図3】加熱温度と抵抗値の関係を示す図である。
【図4】抵抗値と透過率の関係を示す図である。
【符号の説明】
1,11 ガラス基板 2,12 加熱炉 3,13 原材料 4,14 透明導電膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 純 岩手県陸前高田市気仙町字奈々切68−1 東海精密工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともスズ化合物とトリフルオロメ
    チル基と酸素原子を有する炭素数2以上の有機化合物溶
    液を、加熱した基板上に接触させるかもしくは塗布後加
    熱して、フッ素を含む酸化スズ膜を生成することを特徴
    とする透明導電性薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記基板加熱が常圧で行われることを特
    徴とする請求項1記載の透明導電性薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 スズ化合物が有機スズ化合物もしくは無
    機スズ化合物のいずれかより選ばれた物であることを特
    徴とする請求項1記載の透明導電性薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 トリフルオロメチル基と酸素原子を有す
    る炭素数2以上の有機化合物がトリフルオロアセチルク
    ロライド,トリフルオロエタノ−ル,トリフルオロ酢
    酸,トリフルオロ酢酸エチル,トリフルオロ酢酸アミド
    のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1
    記載の透明導電性薄膜の製造方法。
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