JPH08156152A - 補強用織物基材 - Google Patents

補強用織物基材

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JPH08156152A
JPH08156152A JP6331892A JP33189294A JPH08156152A JP H08156152 A JPH08156152 A JP H08156152A JP 6331892 A JP6331892 A JP 6331892A JP 33189294 A JP33189294 A JP 33189294A JP H08156152 A JPH08156152 A JP H08156152A
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reinforcing
yarn
yarns
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sheet
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明 西村
Kiyoshi Honma
清 本間
Kazuo Eguchi
和雄 江口
Katsumi Hino
勝巳 樋野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 効率良く簡単に施工でき、かつ、ボイドの発
生を抑えることができ、長期的な信頼性が高い、床版等
のコンクリート構造体の補強に用いて好適な補強用織物
基材を提供する。 【構成】 たて糸およびよこ糸の少なくとも一方を補強
繊維糸3とし、かつ、たて糸または/およびよこ糸に低
融点ポリマー5が線状または点状に配置されて目どめさ
れた織物で、その織物面にシート状支持体2が低融点ポ
リマー5で接着されている補強用織物基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化複合材料用と
して優れた特性を発揮できる補強用織物基材に関し、と
くにハンドレイアップ成形に最適な補強用織物基材に関
する。
【0002】
【従来の技術】最近、コンクリートの中性化による補強
筋の錆の発生、交通量の急激な増加に伴う鉄筋の疲労な
ど、セメント系構造体の脆弱化や耐久性の低下が問題に
なっている。その対策として、例えば道路橋の床版の場
合には、床版の下面に補強繊維基材(たとえば炭素繊維
基材)を含む繊維強化プラスチックを接着する補強方法
が採られている。この方法は、補強効果が高く、耐久性
にも優れており、また補強作業が簡単であることから、
広く採用されるようになってきている。
【0003】この補強方法は、たとえば、まず床版の下
面を平滑にしたのちプライマーを塗り、その上から接着
剤である樹脂を塗布して補強基材を貼り付け、その補強
基材に樹脂を含浸させながら接着させるものである。補
強基材としては、ほとんどの場合長さ方向に引張力が作
用する箇所に対する補強であることから、補強繊維糸
(たとえば炭素繊維糸)を一方向に配列した一方向性の
織物やシート材が多用されている。
【0004】このような一方向性の織物やシート材を床
版の下面に樹脂を含浸させながら貼り付けようとした場
合、上向き状態で基材の全面を含浸ローラーで押さえな
がら樹脂を含浸させねばならないので、作業者は非常に
疲れ易い。また、均一に含浸させることが難しく、か
つ、上向きの作業であるために、作業者の顔面に樹脂が
垂れ落ちたりすることがあるのでさらに厄介である。さ
らに、補強基材は腰が弱く僅かな外力でも変形し易いも
のであるから、補強繊維糸を長さ方向に真っ直ぐに配向
させながら貼り付けることが難しいという問題もある。
【0005】上記問題点に対して、補強繊維糸を一方向
に、かつ、互いに並行に配列したシートを接着剤で紙の
全面に接着させて一体化した一方向配列繊維強化シート
材が特開平3−222734号公報で提案されている。
この方法によると、紙を接着しているので、シート材を
樹脂を塗布した床版面に貼り付け、紙の上から樹脂ロー
ラーで樹脂含浸させることにより、樹脂の垂れ落ちが防
げるし、基材がずれたりするようなことがなく所定の位
置に貼り付けることができる。
【0006】しかしながら、補強繊維糸自体を接着剤で
接着しているとともに、その接着剤で紙(支持体シー
ト)に接着させて一体に保持しているために、マトリッ
クスとなる樹脂の含浸性が低下することに加え、空気を
含んでいる場合には、空気の逃げ道が無いために空気が
樹脂内に分散してボイドを多く発生する結果となる。特
に、接着剤が硬化剤を含まないエポキシ樹脂であると、
その部分には硬化剤が行き渡らないためにマトリックス
樹脂が硬化しないまま存在することになり、補強繊維が
有する高強度を十分に発現させることができない。
【0007】また、樹脂の含浸性を上げるために接着剤
の量を少なくすると、紙との接着力が弱くなって貼り付
け作業中に簡単に剥がれてしまい、補強繊維がばらばら
に乱れてしまうという問題が生じる。逆に接着剤の量を
多くし紙との接着力を上げようとすると、樹脂を含浸し
た後紙を剥がす際に、補強繊維基材と一緒に剥がれてし
まうという問題を招く。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、床版
などの補強用織物基材として、従来の上述した問題点を
解決し、効率良く簡単に施工でき、かつ、ボイドの発生
を抑えることができ、長期的な信頼性が高い、床版等の
コンクリート構造体の補強に用いて好適な補強用織物基
材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の補強用織物基材は、たて糸およびよこ糸の
少なくとも一方を補強繊維糸とし、かつ、たて糸または
/およびよこ糸に低融点ポリマーが線状または点状に配
置されて目どめされた織物で、その織物面にシート状支
持体が前記低融点ポリマーで接着されていることを特徴
とするものからなる。
【0010】また、より具体的な態様として、本発明に
係る補強用織物基材は、補強繊維糸からなるたて糸また
はよこ糸が一方向に互いに並行にかつシート状に配列さ
れ、該補強繊維糸または/および該補強繊維糸と並行す
る補助糸と、それと直交する補助糸とが互いに交錯して
該補強繊維糸が一体に保持され、該補強繊維糸または/
および補助糸に低融点ポリマーが線状または点状に配置
されて目どめされた織物で、その織物面にシート状支持
体が前記低融点ポリマーで接着されていることを特徴と
するものからなる。
【0011】上記シート状支持体としては、たとえば、
紙またはフイルムを使用することができる。また、シー
ト状支持体として、不織布を使用することもできる。
【0012】これら本発明に係る補強用織物基材は、と
くに、道路橋の床版や梁等のコンクリート構造体の補強
に用いて好適なものである。
【0013】以下に、本発明の補強用織物基材につい
て、図面を参照しながら詳述する。図1は、本発明の一
実施態様に係る補強用織物基材を示している。補強用織
物基材1は、一方向に互いに並行にかつシート状に配列
された補強繊維糸からなるたて糸3と、該たて糸3と直
交する補助糸からなるよこ糸4とが互いに交錯して平織
組織をなした一方向性の補強用織物を有している。たて
糸3とよこ糸4は、よこ糸方向に線状または点状に配置
された低融点ポリマー4で目どめされている。
【0014】上記実施態様は、補強繊維糸からなるたて
糸3と補助糸であるよこ糸4とが互いに交錯した一方向
性の補強用織物であるが、本発明においては、図2に示
すように、補強繊維糸からなるたて糸3群が一方向に互
いに並行に、かつ、シート状に配列され、たて糸3群と
並行する補助糸6と、たて糸シート面に配置されたて糸
3と直交する補助糸7、8群とが互いに交錯して補強繊
維糸3が一体に保持された、いわゆるノンクリンプ構造
の織物であってもよい。このような織物は、ノンクリン
プ構造となっているので、樹脂で固めても応力集中が発
生するようなことはなく、繊維強化プラスチック板に成
形した際の引張強度、引張弾性率が大きくなる。
【0015】さらに本発明は、前記した一方向性の補強
用織物やノンクリンプ構造の織物に限定されるものでは
なく、補強繊維糸からなるたて糸とよこ糸が互いに交錯
した平織組織あるいは綾織組織、朱子織組織などの二方
向性織物も含むものである。
【0016】補強繊維糸は、その断面形状が楕円状であ
ってもかまわないが、扁平状である方が好ましい。そう
することにより、糸条の厚さを全体にわたって薄くで
き、糸条の周りにある樹脂がたとえ高粘度であっても容
易に含浸するようになる。たとえば補強繊維糸の断面が
楕円状であると、両端の薄い部分は樹脂含浸が進むが、
中央の厚い部分については、糸条の中心部までの樹脂の
含浸パスが長くなるので、樹脂が到達しない未含浸部が
できやすい。糸条断面を扁平状にすることにより、樹脂
の含浸パスが長くなる部位が生じないので、容易にかつ
良好に樹脂含浸させることができる。
【0017】さらに、並行する補強繊維糸の間に隙間を
設けることにより、樹脂の含浸性をさらに向上させるこ
とができる。その隙間の範囲としては0.1〜1.0m
mが好ましい。隙間が0.1mm未満であると、樹脂の
移動が難しくなるし、また、空気を含んだ際に逃げ道が
小さいためボイドとして残存するおそれがある。一方、
隙間が1mmを越えると、樹脂の移動や空気の抜けに対
しては十分な効果を発揮するが、実際面において補強繊
維糸と床版等のコンクリート面との接着面積が減少する
ことになるので、補強効果が小さくなるおそれがある。
【0018】また、補強繊維糸の繊維重量を大きくする
場合には、図3に示した実施態様のように、扁平な補強
繊維糸3を積み重ねて織組織することができる。図3は
2層積み重ねた例について示したが、必要に応じて3層
以上積み重ねることができる。補強繊維糸3が扁平状な
ので、繊維重量を大きくしても糸間隔を確保することが
できる。
【0019】扁平状補強繊維糸の好ましい扁平度(=糸
条の幅/糸条の厚さ)は30〜80程度である。扁平度
が30未満になると、繊維重量の大きな補強基材では樹
脂の含浸性が悪くなり、扁平度が80を越えると糸間隔
の確保が困難となる。
【0020】本発明の補強繊維糸に用いる補強繊維とし
ては、高強度・高弾性率繊維が好ましく、例えば、炭素
繊維、ガラス繊維、ポリアラミド繊維などを使用でき
る。なかでも、フィラメントが多数本集束した炭素繊維
マルチフィラメント糸は、高強度・高弾性率繊維であ
り、かつ、アルカリに侵されることがないので好まし
い。とくに、炭素繊維の単繊維径が5〜8ミクロン程度
のフィラメントが5,000〜50,000本集束した
マルチフィラメント糸であり、引張強度が2,000〜
7,000MPa、引張弾性率が200〜700GPa
のものが好ましい。また、繊維強化材の引張強度が大き
く、引張弾性率が大きいほど、少量の補強繊維量で効率
よく床版等の補強ができるので好ましい。
【0021】補助糸は、本質的に繊維強化プラスチック
の機械的特性を担うものではなく、補強繊維糸の形態保
持を行なうものであるので、50デニール〜1,200
デニールの細い糸が好ましく、特に使用する炭素繊維マ
ルチフィラメント糸の太さの1/5以下であることが好
ましい。炭素繊維マルチフィラメント糸の太さの1/5
を越える太い補助糸にすると、折角設けた補強繊維糸の
間隔が補助糸で埋まり、樹脂の脱泡が行えなくなる。ま
た、たて方向の補助糸は、炭素繊維マルチフィラメント
糸の間隔を確保する意味合いから、10〜200ターン
/m程度の撚をかけ、収束させておくとよい。補助糸
は、ガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミド繊
維、ナイロン繊維、ABS繊維、ポリエチレン繊維、ポ
リプロピレン繊維、ビニロン繊維などとくに限定するも
のではないが、なかでもガラス繊維、ポリアラミド繊維
やビニロン繊維は熱収縮率が小さいので、補強基材の寸
法安定性が良く、よこ方向補助糸の収縮によって補強繊
維糸の密度が変化することはない。また、たて方向の炭
素繊維、ポリアラミド繊維やガラス繊維の補強繊維糸は
ほとんど収縮しないので、たて方向補助糸が収縮すると
補強繊維糸が蛇行することになるが、ガラス繊維、ポリ
アラミド繊維やビニロン繊維など熱収縮率の小さいたて
方向補助糸を使用するとこれらの問題は解消される。
【0022】また、前記補強用織物における炭素繊維マ
ルチフィラメント糸の重量は、250g/m2 〜500
g/m2 が好ましい。250g/m2 未満であると、床
版等の補強のための所定の補強繊維量とするためには積
層作業回数が増えるので、床版等の補強・補修作業に時
間がかかる。また、500g/m2 を越えると、樹脂の
含浸性が悪くなる。
【0023】本発明に係る補強用織物の補強繊維糸およ
び/または補助糸は、線状または点状に配置された低融
点ポリマーで目どめされている。低融点ポリマーとして
は、ナイロン、共重合ナイロン、ポリエステル、塩化ビ
ニリデン、塩化ビニル、ポリウレタンなどが使用でき
る。なかでも、共重合ナイロン、例えば、ナイロン6、
66および610の共重合ナイロン、ナイロン6、1
2、66および610の共重合ナイロンは熱硬化性樹脂
との接着性が良好であるので好ましい。
【0024】また、目どめ方法としては、よこ糸を挿入
する際、補強繊維糸または補助糸と低融点ナイロン糸を
引き揃えて製織し、織物状態においてヒーターで低融点
ナイロン糸を溶融させることにより容易に目標とする目
どめを行うことができる。このように目どめすることに
より、樹脂を含浸させる際に含浸ローラーで強くしごい
ても目ずれするようなことがなく、所定の繊維配向を維
持することができる。
【0025】さらに、低融点ナイロン糸を熱溶融させる
際には、織物にシート状支持体を合わせて供給すること
により、補強織物の表面で溶融した低融点ナイロンが接
着剤となってシート状支持体を補強織物に容易に接着さ
せることができる。
【0026】シート状支持体の接着強さは、製織時に引
き揃えて供給する低融点ポリマー糸の量によりコントロ
ールできる。低融点ポリマー糸の供給量を変える手段と
しては、使用する低融点ポリマー糸の太さや挿入する織
密度などで自由に選択すればよい。
【0027】低融点ポリマーの最適量としては、織物構
造により異なるが、2〜30g/m2 が好ましい。2g
/m2 未満であると十分な接着力が得られない。逆に3
0g/m2 を越えると、接着力が強すぎてシート状支持
体が容易に剥がれなくなる問題や、樹脂の含浸性を疎外
する問題が生じる。
【0028】低融点ポリマー糸の配置は、常に補強繊維
糸の上に配置するように引き揃えて供給してもよいし、
補助糸と一緒に引き揃えて供給してもよい。特に、よこ
方向の補助糸と引き揃えて製織することは、たて糸の本
数分準備する必要がないので好ましい。
【0029】以上の方法により、目どめ材は補強織物の
表面に線状または点状に存在し、その状態でシート状支
持体に接着することになる。このように、シート状支持
体は線状または点状に配置された低融点ポリマーにより
接着されるので、シート状支持体を接着した状態で樹脂
含浸させても樹脂は容易に移動できるし、また空気を含
んでも逃げ道ができるのでボイドや未含浸部を発生させ
るようなことがない。
【0030】シート状支持体は、使用後に捨てるもので
あるから安価な紙やフイルムなどでよく、目どめ材によ
る接着力が強すぎる場合には、シート状支持体に予めシ
リコーンなどの離型剤を塗布しておくとよい。
【0031】シート状支持体に用いる紙としては、クラ
フト紙、ロール紙のような包装紙、またアート紙、コー
ト紙、キャストコート紙のような加工紙などで、耐熱性
が120℃以上のものであればよく、厚みは貼り付け作
業時に破れたりしない程度の厚みであれば十分であり、
10〜100μmが好ましい。
【0032】本発明においては、シート状支持体は紙に
限定されるものではなく、合成樹脂フイルムや不織布な
どのシート状物を用いてもよい。フイルムを用いる場
合、耐熱性を有するポリエステルフイルムやポリフェニ
レンサルファイド、ナイロン、ポリイミドフイルムなど
で、厚みが10〜50μmのものが好ましい。
【0033】不織布としては、ガラス繊維、炭素繊維、
ポリアラミド繊維、ポリエステル繊維など耐熱性のある
繊維からなる不織布で、バインダー量が多い目の寸法安
定性に優れたものが好ましい。また、不織布の場合に
は、普通樹脂を浸透させるので、垂れ落ちの防止よりも
基材の寸法安定性を発揮させるものである。好適な目付
としては20〜200g/m2 のものである。目付が2
0g/m2 未満のようにあまりに低い不織布では、形態
が不安定で、目的とする織物基材の安定化を達成できな
い。また、目付が200g/m2 を越えると全体の重量
が大きくなり取扱いが悪くなる問題がある。
【0034】フイルムや不織布を貼り付けた場合には、
樹脂を含浸させた後も剥がさずにそのまま貼り付けたま
まにしておいてもよい。そうすることにより表面が平滑
で、見栄えの良い外観となる。
【0035】
【実施例】以下に、本発明の実施例を比較例とともに説
明する。 実施例 補強繊維からなるたて糸として、引張強度が4,800
MPa、引張弾性率が230GPa、破断伸度が2.1
%、フィラメントの直径が7μm、フィラメント数が1
2,000本、繊度が7,200デニールの扁平な断面
の炭素繊維糸を、1.875本/cm×2層の密度で一
方向に互いに並行に配列し、たて糸方向の補助糸として
ガラス繊維糸(フィラメントの直径7μm、フィラメン
ト数が400本、繊度が405デニール)、よこ糸方向
の補助糸としてガラス繊維糸(フィラメントの直径7μ
m、フィラメント数が200本、繊度が202デニー
ル)を用い、図2に示したような、一方向に補強繊維糸
が真っ直ぐに配列したノンクリンプ構造の織物組織で、
よこ方向補助糸のガラス繊維糸に低融点ポリマー糸(共
重合ナイロン糸)を引き揃えて製織した。
【0036】次いで、織機のサーフェスローラーと巻取
ロール間に設けた加熱シリンダーの表面に、別の場所か
ら供給した離型紙と一緒に上記織物を通過させ、上記低
融点ポリマー糸を溶融させ、ニップローラーで押し付け
ながら離型紙を接着させて本発明の補強用織物基材を得
た。
【0037】次いで、実際の橋の床版補強を想定し、得
られた補強用織物基材、ならびに室温硬化型のエポキシ
樹脂を使用し、スレート板を使用して上向きの貼り付け
実験を行った。その結果、基材は離型紙が接着されて安
定していたので、所定の位置に貼り合わせることができ
た。また、離型紙の上からローラーで強く押し付けて樹
脂含浸させたが、繊維の乱れはなく真っ直ぐに配向させ
ることができ、樹脂の垂れ落ちもなく容易に貼り付け作
業ができた。
【0038】また、樹脂の含浸性を評価するために、本
発明基材を用いて前記貼り付けと同じ含浸方法で試験片
を作製し、その断面を観察したところ、基材全体に樹脂
が含浸され、ボイド発生もなかった。また、その試験片
をJIS−K7073に基づいて引張試験した結果、表
1に示す通り、高い引張強度と引張弾性率を発揮するも
のであった。
【0039】比較例 比較のために、上記実施例と同じ糸を用い、3.75本
/cmの密度に一方向に配列させたシートを、硬化剤を
含まないエポキシ樹脂を塗布した離型紙と重ね合わせ、
カレンダーローラーで押し潰しながら炭素繊維シートと
離型紙を接着させた。このとき、接着剤は炭素繊維間に
も侵入して炭素繊維自身もばらけることなく一体化され
ていた。
【0040】この基材を実施例と同じ条件でスレート板
に貼り付け実験を行ったところ、空気を含んだ際に空気
が抜けない問題が生じた。これは、炭素繊維が均一に分
散しており、かつ樹脂で一体保持されているために、空
気の逃げ道がまったくないためであると考えられ、基材
をコンクリート面に貼り付ける際に空気を含まないよう
に注意しながら行う必要がある。
【0041】また、本比較基材について実施例と同じ方
法で試験片を作製し、その断面を観察した結果、成形時
に含んだ空気がボイドとして試験片内に多く発生してい
た。また、その試験片をJIS−K7073に基づいて
引張試験した結果を、表1の実施例の結果と共に示し
た。
【0042】
【表1】
【0043】表1から分かるように、実施例では織糸間
に隙間があり、しかも、基材と離型紙の接着は線状また
は点状の低融点ポリマーで接着させているので、空気の
逃げ道があり、成形中に空気を含んでも移動できるし、
また、樹脂自身も移動が容易であるから、完全な樹脂含
浸ができ、高い引張強度および引張弾性率を発揮するも
のである。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の補強用織
物基材によれば、補強繊維糸は織物として組織してお
り、しかも、たて糸とよこ糸は低融点ポリマーで目どめ
されているので形態が安定しており、しかもその織物面
に離型紙等のシート状支持体を接着させているので、樹
脂含浸時に繊維配向が乱れることなく成形でき、信頼性
の高い繊維強化樹脂材料となる。また、シート状支持体
を剥がした後においても補強繊維糸は織物構造を保って
いるので、繊維配向が乱れるようなことがない。したが
って、橋の床版などの補強用織物基材として、上向きに
貼り付け、樹脂含浸させる場合、シート状支持体の上か
ら含浸ローラーで強く押し付けることで均一に樹脂を含
浸させることができ、かつ、作業者の顔面に樹脂が垂れ
落ちるようなことがないので、効率良く、しかも簡単に
成形できる。もちろん、普通のハンドレイアップ成形の
ような下向き成形においても同様な成形ができ、樹脂に
よる汚れなどの問題が解消される。
【0045】また、補強繊維糸は織物構造をなしている
ので織糸間に僅かな隙間が存在し、かつ、シート状支持
体は織物のたて糸または/およびよこ糸に配置した低融
点ポリマーで、線状または点状に織物面に接着されてお
り、織物面とシート面間に適度の隙間が生じるので空気
や樹脂が容易に移動でき、織物基材全面に樹脂が行き届
き、ボイドを発生させることなく完全に樹脂含浸するこ
とができる。
【0046】さらに、本発明の補強用織物基材の製造に
おいては、シート状支持体は織物と一緒に織り込んだ低
融点ポリマーを熱溶融させて織物面に接着させるので、
予め接着剤を塗布したシート状支持体を準備する必要が
なく、織機上で簡単に接着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る補強用織物基材の斜
視図である。
【図2】本発明の別の実施態様に係る補強用織物基材の
斜視図である。
【図3】補強繊維の重量を増大させるため補強繊維糸を
2層に重ねて織物構造にした別の実施態様に係る部分断
面図である。
【符号の説明】
1 補強用織物基材 2 シート状支持体 3 補強繊維糸からなるたて糸 4 よこ方向補助糸 5 低融点ポリマー 6 たて糸方向補助糸 7、8 よこ方向補助糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 E04F 13/18 8913−2E (72)発明者 江口 和雄 埼玉県上尾市上町1−12−20 小林ハイツ 105 (72)発明者 樋野 勝巳 東京都多摩市落合5−8−17−205

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 たて糸およびよこ糸の少なくとも一方を
    補強繊維糸とし、かつ、たて糸または/およびよこ糸に
    低融点ポリマーが線状または点状に配置されて目どめさ
    れた織物で、その織物面にシート状支持体が前記低融点
    ポリマーで接着されていることを特徴とする補強用織物
    基材。
  2. 【請求項2】 補強繊維糸からなるたて糸またはよこ糸
    が一方向に互いに並行にかつシート状に配列され、該補
    強繊維糸または/および該補強繊維糸と並行する補助糸
    と、それと直交する補助糸とが互いに交錯して該補強繊
    維糸が一体に保持され、該補強繊維糸または/および補
    助糸に低融点ポリマーが線状または点状に配置されて目
    どめされた織物で、その織物面にシート状支持体が前記
    低融点ポリマーで接着されていることを特徴とする補強
    用織物基材。
  3. 【請求項3】 前記シート状支持体が紙またはフイルム
    である、請求項1または2の補強用織物基材。
  4. 【請求項4】 前記シート状支持体が不織布である、請
    求項1または2の補強用織物基材。
  5. 【請求項5】 請求項1の補強用織物基材を用いてコン
    クリート構造体を補強することを特徴とするコンクリー
    ト構造体補強用基材。
  6. 【請求項6】 請求項2の補強用織物基材を用いてコン
    クリート構造体を補強することを特徴とするコンクリー
    ト構造体補強用基材。
JP6331892A 1994-12-09 1994-12-09 補強用織物基材 Expired - Fee Related JP2947504B2 (ja)

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