JPH0815583B2 - 加工性及び耐食性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法 - Google Patents

加工性及び耐食性に優れたプレコート鋼板及びその製造方法

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JPH0815583B2
JPH0815583B2 JP23139090A JP23139090A JPH0815583B2 JP H0815583 B2 JPH0815583 B2 JP H0815583B2 JP 23139090 A JP23139090 A JP 23139090A JP 23139090 A JP23139090 A JP 23139090A JP H0815583 B2 JPH0815583 B2 JP H0815583B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、家電用或は建築用に用いられるもので、
疵が付き難く汚れ難い表面特性に加えて特に加工性、耐
食性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を下地とするプ
レコート鋼板及びその製造方法に関する。
[従来技術] プレコート鋼板は冷延鋼板或はめっき鋼板等の鋼帯或
は切り板に、成形前に塗装を施し或は樹脂フィルムをラ
ミネートしたものである。プレコート鋼板が、家電製品
或は事務機器等成形加工を伴い、且つ外観を重視する品
質管理の厳しい製品に用いられるようになってから、未
ださほどの歴史を経ていない。しかし、量産によるコス
トの低下をや安定した品質、更に品質の向上努力等が相
まってその需要は量及び使用分野においても拡大し続け
ている。
使用分野により程度の相違はあるが、これらのプレコ
ート鋼板に要求される特性は加工性、耐久性及び視覚や
触感で知覚される外観性である。特に、加工性と耐久性
は欠かせない特性であり、加工には切断や曲げ加工或は
絞り加工、耐久性にも耐傷性や耐食性或は耐汚染性など
がある。しかも、加工性と耐久性とでは、塗膜にとって
は相反する特性を同時に要求される面もある。即ち、塗
膜が硬ければ耐久性に富むが、加工性を良くするために
は柔らかい塗膜が望ましい。しかし、加工性、耐久性向
上に共通して必要なのは、塗膜と鋼板との密着性であ
り、塗膜の強靱性である。これらの全ての特性を満たす
単一の塗膜或は樹脂は未だ見つかっておらず、塗膜を複
数層とし下層には鋼板との密着性を主に加工性或は耐食
性を付与し、最上層には耐久性や外観性付す等の工夫が
従来なされてきた。例えば、特開昭63−97267号公報で
は、最下層に密着性に良いシランカップリング剤層を設
け、その上にポリエステル樹脂とエポキシ樹脂を混ぜた
プライマー層を設けたプレコート鋼板を開示し、最上層
は使用目的に合わせて選択できると説明されている。こ
の場合、シランカップリング剤は加水分解したシラノー
ル基が下地と結合し、アミノ基やメルカプト基が上のプ
ライマー樹脂と結合する事を期待している。プライマー
層では加工性の良いポリエステル樹脂と密着性の良いエ
ポキシ樹脂とを比率を定めて混合し、且つ加工性、耐食
性を考慮して、分子量、ヒドロキシル含有量硬化剤等を
限定している。
[解決しようとする課題] しかしながら、需要分野の拡大に伴い、より厳しい環
境での使用も要求されるようになってきた。例えば、家
電製品であっても洗濯機や外気扇等湿潤環境に曝される
ものがあるが、シランカップリング剤の加水板分解性が
不安定要因であって耐食性に不安が残り、又加工部の耐
食性についても、過度の加工を受けたとき割れを生じ易
いめっき層に対する配慮がなされていない等の問題が未
解決であった。
これらの問題を解決するためにこの発明は行われたも
のであり、鋼板と塗膜との間に強固な密着を得て、優れ
た加工性と共に、さらに優れた耐食性を有するプレコー
ト鋼板を提供しようとするものである。
[課題を解決するための手段] この目的を達成するための手段は、合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を用いクロメート処理層の上にポリエステル系
のプライマー層と物性を限定した上層塗膜を持つプレコ
ート鋼板とその製造方法とであって、前者は、合金化溶
融亜鉛めっき層を有する鋼板の少なくとも片面に、クロ
ム換算で10mg/m2以上100mg/m2以下のクロメート処理層
を最下層とし、この上に厚さ1μm以上10μm以下のエ
ポキシ樹脂若しくはポリエステル樹脂又はこれらの変性
樹脂を主成分樹脂とするプライマー層、更に、上層塗膜
としてポリエステル樹脂又はその変性樹脂を主成分樹脂
とするガラス転移温度が15℃以上50℃以下伸び率25%以
上抗張力0.5kg/fm2以上の10μm以上50μm以下の塗膜
を有する加工性及び耐食性に優れたプレコート鋼板であ
り、後者は、合金化溶融亜鉛めっきを施した鋼板の、少
なくとも片面にクロメート系化成処理をクロム換算で10
mg/m2以上100mg/m2以下施した後、エポキシ樹脂若しく
はポリエステル樹脂又はこれらの変性樹脂を主成分とす
るプライマーを乾燥膜厚で1μm以上10μm以下塗布
し、到達板温150℃以上250℃以下で15秒以上300秒以下
の焼き付け処理を施した後、更に上層塗膜として数平均
分子量6000以上でガラス転移温度5℃以上45℃以下且つ
水酸基価5以上70以下のポリエステル樹脂又はその変性
樹脂を主成分樹脂とする塗料を乾燥膜厚で10μm以上50
μm以下塗布し、到達板温160℃以上260℃以下で30秒以
上300秒以下の焼き付け処理を施す加工性及び耐食性に
優れたプレコート鋼板の製造方法である。
[作用] 耐食性が要求される塗装鋼板では鋼板自体の耐食性を
高めるために亜鉛めっき鋼板がしばしば用いられる。一
般には、めっき層に燐酸塩系或はクロメート系の化成処
理を施しその上に塗料を施すことによって鋼板との密着
性を高めている。しかしながら、溶融めっきでも又電気
めっきでも、亜鉛めっき層と塗料との高度の密着性を安
定的に確保することは難しく、このため、塗装後耐食性
に重点を置く自動車用めっき鋼板では亜鉛に鉄を合金化
させる合金化亜鉛めっき鋼板が開発されている。塗料と
の密着性をたかめると、加工時の塗膜剥離が妨げること
はもとより、塗膜とめっき層との相乗効果により耐食性
も格段と向上する。これは、亜鉛金属の上よりも亜鉛鉄
合金の上でより緻密な化成処理層が均一に生成されるた
めと考えられ、プレコート鋼板に用いられる樹脂塗料に
ついても同様と推測される。これを確認するため、発明
者らはプレコート鋼板用に各種樹脂塗料及び化成処理に
ついて、亜鉛めっきと合金化亜鉛めっきの相違を、密着
性及び塗装後耐食性を尺度として調べた。主成分樹脂と
して、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、弗素樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェニル樹脂等
に付いて調べたが、何れの樹脂についても、密着性、耐
食性共に下地が合金化亜鉛めっきでクロメート処理を施
した場合が優れている事を確認することができた。これ
が、この発明で、合金化溶融亜鉛めっきを用いる理由で
ある。
しかし、その反面、合金化溶融亜鉛めっき皮膜は亜鉛
めっき皮膜よりも硬くて脆いという欠点を持っている。
したがって、例えば切断のように厳しい加工を受けて
も、その近傍のめっき層自体の剥離を塗膜や化成処理層
に助長させない配慮が必要となる。
化成処理層がクロメート処理層であって、燐酸塩処理
層でないのは、後者が結晶性の皮膜で比較的硬く割れ易
く、割れた場合下地の合金層に応力が不均一に作用する
のに対し、前者は非晶質で変形容易なため割れが生じ難
く合金層の割れを助長することがないからである。クロ
メート処理層は合金層とプライマーの間に在って、各々
の密着性を高める作用をする。このため、全面を均一に
覆う必要があり、少なくともクロム換算で10mg/m2の付
着量が必要である。又厚すぎると皮膜自体の強度が問題
になり100mg/m2を超えると、却って密着性を低下させる
傾向が現れる。
プライマー層はクロメート処理層と上層塗膜との密着
性を確保することと耐食性の一端を担うので、少なくと
も1μmの厚さは必要であり、主成分樹脂はポリエステ
ル系或はエポキシ系に限定される。これらの樹脂は変性
されたものでも又これらを混合して用いてもよく、例え
ば、変性樹脂ではアクリル変性ポリエステル樹脂やアミ
ン変性エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、
ウレタン変性エポキシ樹脂、ウレタン変性ポリエステル
樹脂等が用いられる。しかし、このプライマー層は厚す
ぎると経済的に不利であるだけではなく、上層塗膜の物
性に影響するおそれもあるので10μm以下の厚さとす
る。
上層塗膜には加工性と耐食性、耐傷性等の耐久性及び
外観性が要求される。この場合、主成分樹脂はポリエス
テル系樹脂が適しているが、前述した合金化溶融亜鉛め
っき層(以下、合金層と称す)の欠点を考慮しなければ
ならない。第1図はプレコート鋼板の切断部近傍の縦断
面図である。紙面に垂直な切断刃が図の上から下へ向か
って下り切断された部分で、1は上層塗膜、2はプライ
マー層、3はクロメート処理層、4は合金層、5は下地
鋼板、6はクラック、7は切断部、8は破断部で、
(a)図は合金層4にクラック6が発生していないも
の、(b)はクラック6が発生したものである。切断に
際しては、プレコート鋼板の上層に近いほど大きく変形
する上層塗膜1は切断部7に近いほど大きく伸ばされ
る。当然この上層塗膜1と合金層4との間にずれが生じ
るように力が働くが、この場合プライマー層2とクロメ
ート層3は薄い接着層となって上層塗膜1と合金層4と
を密着させているので、上層塗膜1が変形に要する力の
大きい硬い塗膜であれば合金層4にクラック6が生じて
ずれが解消され、上層塗膜1が柔らかければ塗膜1内の
変形量差によって調整される。切断後には、塗膜1は元
の平坦な塗膜に戻ろうとするので、このときは合金層4
を下地鋼板5から引き離すように作用し、塗膜1が硬い
と合金層4は剥離してしまう。合金層4は下地鋼板5と
の堺に脆いΓ層と称する脆い層を有するので、ここから
剥離する場合が多い。この状態では、上層塗膜層1が硬
いと簡単に破断部8を生じその先の方は脱落する。これ
をエナメルヘアーと称して商品価値を著しく損なうもの
である。塗膜1が柔らかければ、元の形状に戻ろうとす
る力も弱く、前述した場合と同様に塗膜内の変形量差を
許容し、下地鋼板5の形状になじんだ状態を保つ。一般
に、ガラス転移温度の高い塗膜は硬く低い塗膜は柔らか
いので、上層塗膜1のガラス転移温度が50℃以下である
と、合金層4にクラック6が生じ難く、剥離も起こり難
い。しかし、ガラス転移温度の低すぎる塗膜は、疵が付
き易く又汚れ易く耐食性にも劣る等の欠点があるので、
上層塗膜のガラス転移温度は15℃以上でなければならな
い。伸び率の小さい塗膜は大きな変形に耐えられない。
変形量の大きな加工に耐え或は耐傷性を確保するために
は伸び率は25%以上が必要である。特に変形量が大きい
加工では35%以上が望ましい。又、抗張力の小さな塗膜
は破断し易く耐傷性や耐食性に劣るので、上層塗膜の抗
張力は少なくとも0.5kg/mm2は必要である。
このような物性を有する上層塗膜が、加工性に加え耐
食性や外観等の特性を満足するためには少なくとも10μ
mの厚さが必要であり、70μmを超える厚さは必要な
い。厚過ぎると、後に述べる製造時の焼き付けの際に沸
きの現象が起きて製品の外観を損なうことがある。
次に、製造方法及びその作用について述べる。合金化
溶融亜鉛めっき層は先に述べたようにクロメート処理を
施すことによって、塗料との密着性を確保しそのため加
工性と耐食性を格段に向上させる。したがって、鋼板は
少なくともプレコートを施す面には合金層を有しなけれ
ばならない。他の面は必要に応じて処理すれば良く、両
面にこの発明のプレコート層を要する場合のみ両面同一
処理となる。
クロメート処理をクロム換算で10mg/m2以上100mg/m2
以下施すには、塗布型クロメート処理を行うのが簡便で
ある。
プライマーには、エポキシ樹脂若しくはポリエステル
樹脂、又はこれらの変性樹脂を主成分とする塗料を用い
るが、焼き付け条件は到達板温で150℃以上250℃以下で
15秒以上300秒以下加熱する。到達板温が150℃に満たな
い場合又は加熱時間が15秒に満たない場合は、樹脂の重
合反応が不十分で溶剤に溶けたり、耐食性が低下したり
する。又、到達板温が250℃を超えた場合又は加熱時間
が300秒を超えた場合は反応過剰で上塗り塗料との密着
性が低下する傾向となる。このプライマーには耐食性も
期待するので、ストロンチウムクロメート、クロム酸亜
鉛、クロム酸バリウムなどのクロム酸塩系或は燐酸アル
ミ、燐酸亜鉛などの燐酸塩系の防錆顔料を添加するのが
好ましい。
プライマーの上に塗布する上塗り塗料の主成分樹脂に
は数平均分子量6000以上のポリエステル樹脂又はその変
性樹脂を用いるが、分子量以外にガラス転移温度、水酸
基価の制限を受ける。数平均分子量が6000に満たないも
のは、焼き付け後に十分な抗張力が得られない場合があ
る。ガラス転移温度を5℃以上45℃以下とするのは、5
℃に満たないもの或は50℃を超える樹脂では、ガラス転
移温度が15℃以上50℃以下の硬化塗膜が得られないこと
があるからである。水酸基価を5以上70以下とするの
は、5未満であると、塗膜では架橋が不十分となり十分
な耐食性と密着性とが得られなく、70を超えた樹脂では
塗膜は硬くて脆くなり、ガラス転移温度が50℃を超える
ことがありエナメルヘアー等の欠陥が発生し易い。この
ような樹脂を主成分とする塗料を、到達板温で160℃以
上260℃以下で30秒以上300秒以下の時間焼き付けて塗膜
を形成させる。このとき、到達板温が160℃未満或は時
間が30秒未満であると、樹脂の硬化が不十分で耐食性や
耐傷性が低下したりする。なお、余りにも短い時間で到
達板温まで昇温しようとすると、急激な溶剤の蒸発によ
るいわゆる沸きの現象が起こり、満足な皮膜を形成しな
いことがある。到達板温が260℃を超える場合は、硬く
て脆い塗膜が形成されたり、黄変するなど熱劣化の傾向
も出てくる。加熱時間が300秒を超える場合、到達板温
が高過ぎる場合と同じ傾向が伺われるし、又作業性を低
下させる。
[実施例] この発明によるプレコート鋼板について耐食性と加工
性を調べ、条件の異なる比較例及び従来技術による従来
例と比較すると共に、製造法についてプライマーの塗布
条件及び上塗りの塗布条件についても調べた。
(実施例1) 板厚0.6mmの冷延鋼板に合金化溶融亜鉛めっきを45g/m
2施し、クロメート処理を行った後、プライマー層を形
成させその上に上層塗膜を付したプレコート鋼板につい
て上層塗膜の物性を測定すると共に耐食性と加工性及び
耐傷性を測定した。
物性のうち、ガラス転移温度(以下、Tgと称す)は高
感度熱機械試験機を用い、昇温ペネトレーション法で測
定した。又、抗張力及び伸び率は、厚さ約20μmのフリ
ーフィルムを作成し、JIS−Z−1702にしたがって引っ
張り試験を行い求めた。
耐食性は、非加工部、曲げ部、切断部について調べ
た。
非加工部はJIS−G−3312による塩水噴霧試験に試験
材を2000時間曝した後発錆の度合いを観察し、次のよう
に評価した。
◎;発錆全く無し、○;僅かに発錆、 △;明らかに発錆、×;発錆顕著 曲げ部は、JIS−G−3312による2T折り曲げを行った
後、塩水噴霧試験に500時間曝し、折り曲げ部の塗膜をJ
IS−Z−1522によるセロハン粘着テープ(以下、単に粘
着テープと称す)に付着させ、このテープを引き剥がし
たときの塗膜の剥離状況を10倍のルーペを用いて観察
し、次のように評価した。
◎;塗膜剥離全く認められず、 ○;塗膜剥離僅かに認められる、 △;塗膜剥離明らかに認められる、 ×;塗膜剥離顕著 切断部は、試験片を150mm×60mmに切断後、切断部を
露出したまま55℃の5%食塩水に300時間浸漬し、150mm
長の切断線に沿って塗膜を粘着テープに付着させ、この
テープを引き剥がしたときの塗膜の最大剥離幅を測定
し、次のように評価した。
◎;<0.1mm,○;0.1〜2.0mm, △;2.0〜15mm,×;>15mm 加工性については切断加工性を調べた。即ち、切断部
耐食性試験片と同様に切断し、150mm長の切断線に沿っ
て塗膜を粘着テープに付着させ、このテープを引き剥が
したときの塗膜の最大剥離幅を50倍の顕微鏡を用いて測
定し、次のように評価した。
◎;<0.02mm,○;0.02〜0.1mm, △;0.1〜0.3mm,×;>0.3mm 耐傷性については、JIS−G−3312による20℃鉛筆硬
度試験を行い、次のように評価した。
◎;>H,△;B〜F,×;<2B これらの条件の詳細及び調べた結果を第1表に示す。
表中、プライマーの主成分については、A;ポリエステ
ル樹脂、B;エポキシ変性ポリエステル樹脂、C;エポキシ
樹脂、D;ウレタン変性エポキシ樹脂、E;フェノール変性
エポキシ樹脂、F;ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との
7:3混合樹脂、G;ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂との
9:1混合樹脂、である。
上塗り塗料の主成分については、K;高分子ポリエステ
ル樹脂、M;アクリル変性ポリエステル樹脂、N;アルキド
樹脂、O;アクリル樹脂、である。
なお、従来例は、クロメート−処理層の上にシランカ
ップリング剤の厚さ1μmの密着層を介してプライマー
層が付せられたプレコート鋼板である。
調べた結果、実施例では全ての項目に満足な評価が得
られた。これに対し比較例では、めっきが合金化されて
いない試験No.17、プライマーの主成分樹脂が異なる試
験No.18、上層塗膜の伸び率が不足している試験No.19、
上層塗膜樹脂が異なり抗張力が不十分な試験No.20、上
層塗膜樹脂が異なり伸び率が不足した試験No.21、上塗
り塗膜の厚さが不足している試験No.22等、何れも耐食
性、加工性、耐傷性の全てを共に満足させるものはなか
った。
従来例も比較例と同様に上記特性の全てを共に満たす
ものはなかった。
(実施例2) プライマーの影響を調べるために、板厚0.6mmの冷延
鋼板に鉄含有率10.5%の合金化溶融亜鉛めっきを45g/m2
施し、クロム酸、シリカ、アクリル樹脂からなるクロメ
ート液を塗布し板温70℃に急速加熱してクロメート処理
を行った後、条件を変えてプライマー層を形成させ、そ
の上に上層塗膜形成させてプレコート鋼板の性能を評価
した。
プライマーには、酸化チタン、ストロンチウムクロメ
ート、沈降性硫酸バリウムを5:3:2に混合した顔料を塗
膜固形分に対し45wt%になるように配合し分散させた。
上層塗膜にはエポキシ変性ポリエステル樹脂を用い、
目標到達板温190℃で90秒間加熱して焼き付け硬化させ
た。
プレコート鋼板性能については、塩水噴霧試験による
耐食性、JIS−G−3312及びJIS−Z−2247に基づく基盤
目試験による密着性、並びにJIS−G−3312に基づく2T
曲げ試験による加工性を調べた。塩水噴霧試験では実施
例1と同じく2000時間後の観察結果を同様に評価した。
基盤目試験では、エリクセン6mm押し出し後、塗膜に粘
着テープを張り付けて引き剥がした後の剥離状況を30倍
ルーペで観察し、剥離が認められなかったものを◎、認
められたものを×として評価した。曲げ試験では、塗膜
に粘着テープを張り付けて引き剥がした後の剥離状況を
30倍ルーペで観察し、◎;異常なし、△;クラック又は
一部剥離有り、×;クラック又は剥離の程度大、として
評価した。
プライマー層形成の条件及び調べた結果を第2表に示
す。
実施例では、何れの条件でも、耐食性、密着性及び加
工性の全てについて満足な結果が得られた。しかし、こ
の発明の条件から外れた比較例では、上記の特性の全て
を共に満足するものはなっかた。
(実施例3) 実施例2と同じ鋼板に同様にクロメート処理を施し、
実施例2.の試験No.2の条件でプライマー層を形成させ、
その上に条件を変えて上塗り塗装を行い、形成された上
層塗膜の物性及び製造したプレコート鋼板の性能を調べ
た。塗料には酸化チタン、タルク、沈降性硫酸バリウム
を5:2:2に混合した顔料を塗膜固形分に対し40wt%にな
るように配合し分散させた。
物性については実施例1.と同様に測定し、プレコート
鋼板性能については外観、下地隠蔽性、耐熱黄変性、密
着性、加工性及びと耐食性を評価した。
外観は、焼き付け時に沸きが起きたか否かを中心に目
視により観察し、次のように評価した。
◎;沸きもなく良好、△;若干沸き有り、 ×;沸き、変色など多い。
下地隠蔽性は目視により次のように評価した。
◎;確実に隠蔽し良好、 △;下地が若干透けて見える、 ×;明らかに透けて見える。
耐熱黄変性は、JIS−Z−7105に基づき、試験No.1の
塗膜を基準としてこの黄色度に対する黄変度を測定し、
次のように評価した。
◎;ΔY<0.5、△;0.5≦ΔY≦2.0 ×;ΔY>2.0. 密着性については実施例2.の場合と同様である。
加工性については、折り曲げ加工性を、実施例2の場
合と同様に評価し、耐食性については、実施例1の場合
と同様に塩水噴霧試験で評価した。
上塗り塗装の条件及び調べた結果を調べた結果を第3
表に示す。
表中、主成分の樹脂系については、A;ポリエステル樹
脂、B;アクリル変性ポリエステル樹脂、C;アクリル樹
脂、D;アルキド樹脂である。又、硬化剤の樹脂系につい
ては、V;メチル化メラミン樹脂、W;イミノ基、メチロー
ル基含有メチル化メラミン樹脂であり、試験No.偶数番
については触媒としてp−トルエンスルフォン酸系触媒
を適量用いた。
調べた結果、実施例では全ての項目に満足な評価が得
られた。これに対しこの発明の条件から外れた比較例で
は、数平均分子量の小さい試験No.15、水酸基価の大き
い試験No.16、ガラス転移温度の高い試験No.17、ガラス
転移温度が低く水酸基価の小さい試験No.18、乾燥膜厚
の小さい試験No.19、到達板温が低く加熱不足のため抗
張力が不十分な試験No.20、到達板温が高く加熱過剰の
試験No.21等、何れもプレコート鋼板性能の全てを共に
満足させるものはなかった。
[発明の効果] 以上述べてきたように、この発明によれば塗料密着性
の特に良い合金化溶融亜鉛めっき鋼板の上に耐食性を加
味した密着性の良いプライマーを上層塗膜の物性を損な
わぬように塗布、且つ上層塗膜は耐食性や耐傷性を有す
るので鋼板の塗膜下耐食性は非常に向上している。これ
に加えて上層塗膜は合金層の加工特性を配慮した物性を
有しているので、加工を施しても耐食性だ低下する事無
く、湿潤環境に耐える成形品を造ることが出来る。この
ように、実用価値の高いプレコート鋼板の需要分野を広
げるこの発明の効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の作用を説明するためのプレコート鋼
板切断部近傍の縦断面図である。 1……上層塗膜、2……プライマー層、3……クロメー
ト処理層、4……合金層、5……下地鋼板、6……クラ
ック、7……切断部、8……破断部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/14 J 7/24 302 U 7415−4F V 7415−4F B32B 15/08 G C09D 167/00 PKU (72)発明者 大北 智良 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡辺 馨 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 審査官 野田 直人 (56)参考文献 特開 昭64−85753(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合金化溶融亜鉛めっき層を有する鋼板の少
    なくとも片面に、クロム換算で10mg/m2以上100mg/m2
    下のクロメート処理層を最下層とし、この上に厚さ1μ
    m以上10μm以下のエポキシ樹脂若しくはポリエステル
    樹脂又はこれらの変性樹脂を主成分樹脂とするプライマ
    ー層、更に、上層塗膜としてポリエステル樹脂又はその
    変性樹脂を主成分樹脂とするガラス転移温度が15℃以上
    50℃以下伸び率25%以上抗張力0.5kgf/mm2以上の10μm
    以上50μm以下の塗膜を有することを特徴とする加工性
    及び耐食性に優れたプレコート鋼板。
  2. 【請求項2】合金化溶融亜鉛めっきを施した鋼板の少な
    くとも片面にクロメート系化成処理をクロム換算で10mg
    /m2以上100mg/m2以下施した後、エポキシ樹脂若しくは
    ポリエステル樹脂又はこれらの変性樹脂を主成分樹脂と
    するプライマーを乾燥膜厚で1μm以上10μm以下塗布
    し、到達板温150℃以上250℃以下で15秒以上300秒以下
    の焼き付け処理を施した後、更に上層塗膜として数平均
    分子量6000以上でガラス転移温度5℃以上45℃以下且つ
    水酸基価5以上70以下のポリエステル樹脂又はその変性
    樹脂を主成分樹脂とする塗料を乾燥膜厚で10μm以上50
    μm以下塗布し、到達板温160℃以上260℃以下で30秒以
    上300秒以下の焼き付け処理を施すことを特徴とする加
    工性及び耐食性に優れたプレコート鋼板の製造方法。
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