JPH08151444A - オルガノシリルシリケートの製造方法 - Google Patents

オルガノシリルシリケートの製造方法

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JPH08151444A
JPH08151444A JP29457894A JP29457894A JPH08151444A JP H08151444 A JPH08151444 A JP H08151444A JP 29457894 A JP29457894 A JP 29457894A JP 29457894 A JP29457894 A JP 29457894A JP H08151444 A JPH08151444 A JP H08151444A
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JP
Japan
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water
organosilylsilicate
silicate
organic solvent
polar organic
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JP29457894A
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English (en)
Inventor
Koichiro Matsuki
光一郎 松木
Yoshifumi Noto
好文 能登
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水溶性極性有機溶媒と、酸、および水との混
合溶媒中で、珪酸ソーダを酸中和した後に、更に水溶性
極性有機溶媒を添加し、次いでオルガノシリル化剤を添
加してシリル化反応させることを特徴とするオルガノシ
リルシリケートの製造方法。 【効果】 本発明は、硬度、耐候性、撥水性、耐擦傷
性、耐熱性、あるいは絶縁性、低誘電率等の電気的特性
に優れ、金属、プラスチックあるいはガラス等の各種材
料の塗料用材料、あるいは接着剤、表面保護材やタック
材料、種々のポリマーの改質剤等の他、配線基板等のコ
ーティング材や電子部品等の封止材料等にも有用な、多
岐の分野で有用なオルガノシリルシリケートを、種々の
オルガノシリル化剤を任意に用いて、狭い分子量分布を
有するオルガノシリルシリケートを容易に高収率で製造
する製造方法を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬度、耐候性、撥水
性、耐擦傷性、耐熱性、あるいは絶縁性、低誘電率等の
電気的特性に優れ、金属、プラスチックあるいはガラス
等の各種材料の塗料用材料、あるいは接着剤、表面保護
材やタック材料、種々のポリマーの改質剤等の他、配線
基板等のコーティング材や電子部品等の封止材料等にも
有用な、極めて多岐の産業分野で有用なオルガノシリル
シリケートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から珪酸ソーダをオルガノシリル化
したオルガノシリルシリケートは撥水剤としてよく知ら
れており、特公昭49−40639号公報に、オルガノ
シリル化剤としてトリメチルクロロシランを用いた製造
方法が示されている。特公昭49−40639号公報に
示された製造方法では非水溶性有機溶媒を用いる為、得
られるオルガノシリルシリケートの収率は、用いた各々
の非水溶性有機溶媒の抽出率によって異なる。
【0003】従って、高収率でオルガノシリルシリケー
トを得るためには、抽出率の高い非水溶性有機溶媒を見
いださなくてはならない。また用いるオルガノシリル化
剤の種類やシリル化率等の条件の違いによって、得られ
るオルガノシリルシリケートの溶解性が変化するため、
非水溶性有機溶媒での抽出率も異なってくる。よって種
々のオルガノシリル化剤を用いて製造したオルガノシリ
ルシリケートを高収率で得るための最適な非水溶性有機
溶媒を見いだすことは極めて困難であった。
【0004】また種々のオルガノシリル化剤を用いたオ
ルガノシリルシリケートの製造方法が特公昭53−79
9号公報に示されている。ここに示された製造方法は、
珪酸ソーダを酸処理したシロキシシラノールを極性有機
溶媒中に抽出し、その後オルガノシリル化剤と反応せし
める製造方法であり、工程数が多く、煩雑である。
【0005】またシロキシシラノールを極性有機溶媒中
に抽出する際に、食塩や塩化カルシウム等の塩類を用い
て塩析分離するが、この工程中にシロキシシラノールが
縮合反応を生じ、高分子量化やゲル化等の分子量分布の
変化を生じる為、分子量分布を表すMw/Mnが大き
く、即ち幅広い範囲の分子量分布を有するものしか得ら
れない。
【0006】また当然のことながら、ゲル化を生じれば
オルガノシリルシリケートの収率の低下の原因となる。
さらに収率は主に酸処理した珪酸ソーダを抽出する極性
有機溶媒の抽出率に支配されているため、高収率を実現
させるためには用いる極性有機溶媒が限定されることと
なる。このことは抽出後のシリル化反応における最適な
溶媒選択や、コストの低減化を考えた溶媒選択を不可能
とするものである。
【0007】またシロキシシラノールを含んだ極性有機
溶媒は塩析分離後脱水を行い、水や酸や塩をシロキシシ
ラノールを含んだ極性有機溶媒と分離するが、実際には
シロキシシラノールを含んだ極性有機溶媒から水や酸、
塩等を完全に除去することは不可能であり、またシリル
化反応においては塩酸が副生するため、シリル化反応後
に、再脱イオン等の処理が必要となり煩雑である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明が解決
しようとする課題は、種々のオルガノシリル化剤を任意
に用いて、狭い分子量分布を有するオルガノシリルシリ
ケートを容易に高収率で製造する製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、珪酸ソーダの酸処理におけるシラノール化
反応とシロキシシラノールとオルガノシリル化剤とのシ
リル化反応の挙動に対して各種極性有機溶媒がそれぞれ
の反応に及ぼす効果と、シリル化反応に対する各種水溶
性極性有機溶媒中での酸や水の及ぼす影響等について詳
細に検討した。
【0010】その結果、水溶性極性有機溶媒を用いて、
珪酸ソーダを酸処理したシロキシシラノールの水含有混
合溶液中でオルガノシリル化剤と反応せしめると、驚く
べきことに、水溶性極性有機溶剤やオルガノシリル化剤
の種類によらず、高収率で、かつ珪酸ソーダの分子量分
布の変化を生じさせずに各種のオルガノシリルシリケー
トを容易に製造できることを見いだし、本発明を完成さ
せるに到った。
【0011】即ち、本発明は、水溶性極性有機溶媒と、
酸、および水との混合溶媒中で、珪酸ソーダを酸中和し
た後に、更に水溶性極性有機溶媒を添加し、次いでオル
ガノシリル化剤を添加してシリル化反応させることを特
徴とするオルガノシリルシリケートの製造方法である。
【0012】本発明は詳しくは、はじめに混合溶媒中に
含まれる水溶性極性有機溶媒の量が上述の混合溶媒の5
〜50重量%であるオルガノシリルシリケートの製造方
法であり、また用いる水溶性有機極性溶媒の総量が全反
応液の10〜80重量%であるオルガノシリルシリケー
トの製造方法である。
【0013】また本発明は、該オルガノシリル化剤のモ
ル量が、珪酸ソーダ中の珪素原子のモル量に対して2〜
100モル%であることを特徴とする上述のオルガノシ
リルシリケートの製造方法、水溶性極性有機溶媒が、ア
ルコール類、ケトン類、エーテル類からなる群から選ば
れる一種類以上の溶媒であることを特徴とするオルガノ
シリルシリケートの製造方法である。
【0014】また本発明は、該オルガノシリル化剤が、
一般式1で表されるオルガノシラン化合物であるオルガ
ノシリルシリケートの製造方法である。 (一般式) R123SiX (式中、R1、R2及びR3は、同一の、または異なって
それぞれアルキル基、アルケニル基またはフェニル基で
あり、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。)
【0015】また本発明は更に詳しくは、酸中和反応終
了時のpHが1〜4であることを特徴とするオルガノシ
リルシリケートの製造方法である。また本発明は上述の
オルガノシリルシリケートの製造方法により製造したシ
リル化反応終了後のオルガノシリルシリケート溶液を水
中に添加し、オルガノシリルシリケートを析出させるこ
とを特徴とするオルガノシリルシリケートの精製方法、
【0016】並びにオルガノシリルシリケートの製造方
法により製造したシリル化反応終了後のオルガノシリル
シリケート溶液中の水溶性極性有機溶媒を除去し、生成
物を析出させることを特徴とするオルガノシリルシリケ
ートの精製方法を含むものである。
【0017】以下に本発明について詳細に説明する。本
発明は、はじめに水溶性極性有機溶媒と酸及び水との混
合溶媒中で、珪酸ソーダの酸中和を行う。本発明者らは
珪酸ソーダの酸処理工程において生成するシロキシシラ
ノールの縮合反応による分子量変化やゲル化等について
の防止方法を詳細に検討した結果、珪酸ソーダの酸中和
を水溶液中で行うのではなく、水と水溶性極性有機溶媒
との混合溶媒中で行なうことにより、生成したシロキシ
シラノールの縮合反応を抑制し、ゲル化を防止できるこ
とを見いだしたのである。
【0018】本発明で使用される水溶性極性有機溶媒と
は、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、1,2−プロ
パンジオール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアル
コール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、
【0019】ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルチオエーテル
等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−
メチルピロリドン等のアミド類、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類、ジ
メチルスルホキサイド等のアルキルスルホキサイド類な
どが挙げられるが、好ましくはアルコール類、ケトン
類、エーテル類である。
【0020】本発明で使用される混合溶媒中のはじめの
水溶性極性有機溶媒(以下、水溶性極性有機溶媒(A)
とする。)の量は特に限定されるものではないが、好ま
しくは酸及び水との混合溶媒中において5〜50重量%
で行なわれるのが望ましい。5%以下であると、生成し
たシロキシシラノールの縮合反応が生じ易くなり、分子
量変化やゲル化等を促進させる原因となる。
【0021】また使用する珪酸ソーダの量や酸の濃度、
pH、水溶性極性有機溶媒の種類等によっては特に問題
が生じない場合もあるが、一般に水溶性有機極性溶媒
(A)の量が50%以上の場合には、珪酸ソーダの酸中
和中に珪酸ソーダが析出することがあるので好ましくな
い。
【0022】本発明において珪酸ソーダを酸中和した後
に加える水溶性極性有機溶剤(以下、水溶性極性有機溶
媒(B)とする。)は、一般には水溶性有機極性溶媒
(A)と同一の溶剤を用いるが、別種の水溶性有機極性
溶媒を用いても何等差し支えない。加える水溶性極性有
機溶媒(B)の量は、珪酸ソーダの使用量や酸の濃度、
pH、用いる水溶性極性有機溶媒の種類、オルガノシリ
ル化剤の種類やシリル化率等により異なる為、一概に限
定されるものではない。
【0023】従って、全反応液中の水溶性極性有機溶媒
の総量もとくに限定されるものではないが、好ましくは
添加後の全反応液中においての水溶性極性有機溶媒の総
量が10〜80重量%で行われるのが望ましい。水溶性
極性有機溶媒の総量が全反応液の10%以下であると、
シリル化反応時に反応生成物が析出してしまう場合があ
るため好ましくない。また水溶性極性有機溶媒の総量が
80%以上であっても、製造上特に問題はないが、多量
に用いる意味がない。
【0024】本発明で使用される酸は、塩酸、硫酸、酢
酸等が挙げられる。添加する酸の量は、用いた珪酸ソー
ダの量や濃度、水溶性極性有機溶媒の種類や量によって
異なるため、一概に規定することはできないが、珪酸ソ
ーダの酸中和終了時のpHが1〜4となるように酸を添
加することが望ましい。酸中和終了時のpHが5以上で
あると、生成したシロキシシラノールの縮合反応による
分子量変化やゲル化反応が生じやすく、水溶性極性有機
溶媒との混合溶媒中で酸中和を行っても、シロキシシラ
ノールの縮合反応やゲル化反応が起こり易い。
【0025】本発明で使用される珪酸ソーダは、粉体、
フレーク状等、いかなる形態であってもかまわない。ま
た水溶液として用いてもよく、JIS規格K1408の
けい酸ナトリウム(けい酸ソーダ)Na2O・nSiO3
・xH2Oとして表わされる水ガラス(1号)、水ガラス
(2号)、水ガラス(3号)、メタけい酸ナトリウム等
でもよい。好ましくは、珪酸ソーダ水溶液、水ガラス
(1号)、水ガラス(2号)、水ガラス(3号)がよ
い。
【0026】水溶液で使用するときの濃度については特
に限定されるものではない。水ガラスを使用する場合
は、原液をそのまま使用してもよいし、また希釈して用
いてもよく、希釈率についても特に限定されるものでは
ない。特に好ましい濃度を挙げれば、SiO2含有量
0.1〜60%となる範囲が好ましい。
【0027】本発明のオルガノシリルシリケートの製造
方法では、上述のように水溶性極性有機溶媒(A)と酸
及び水との混合溶媒中で、珪酸ソーダを中和した後、更
に水溶性極性有機溶媒(B)を添加する。その後、該混
合溶液にオルガノシリル化剤を添加して反応させるもの
である。
【0028】即ち、本発明は中和後、混合溶液を塩析等
の方法により分離することなくシリル化反応を行うこと
で、生成物の溶解性や水溶性極性有機溶媒の抽出率等に
よる収率低下を招くことなく、オルガノシリルシリケー
トを得ることができる。
【0029】本発明で使用されるオルガノシリル化剤は
一般式1で示される化合物の一種類以上を用いることが
できる。 (一般式1) R123SiX (式中、R1、R2及びR3はそれぞれアルキル基、アル
ケニル基またはフェニル基であり、Xはハロゲン原子ま
たはアルコキシ基を表す。)
【0030】オルガノシリル化剤としては、合成の容易
さ、あるいは入手の容易さから、炭素数1〜5のアルキ
ル基、もしくはフェニル基を有するオルガノシリル化剤
が特に好ましい。オルガノシリル化剤の代表的な例とし
ては、トリメチルクロルシラン、トリメチルブロモシラ
ン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルクロル
シラン、
【0031】トリエチルブロモシラン、トリプロピルク
ロロシラン、フェニルジメチルクロルシラン、トリフェ
ニルフルオロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリ
フェニルエトキシシラン、ビニールジメチルクロルシラ
ン、3−アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、
3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、
【0032】3−アクリロキシプロピルジメチルエトキ
シシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロ
シラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシ
シラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシ
シラン、グリシジルジメチルクロルシランなどが挙げら
れる。
【0033】本発明で使用されるオルガノシリル化剤の
量は、シリル化反応での所望の反応率により変わり得る
が、珪酸ソーダ中の珪酸原子の使用モル数に対して、通
常2〜100モル%となる範囲である。オルガノシリル
化剤の量が2モル%以下であると、反応中にゲル化反応
により不溶性成分が生成する傾向があるため好ましくな
い。
【0034】本発明での珪酸ソーダの酸中和反応の温度
は特に限定されるものではないが、一般的には0〜60
℃が好ましい。またオルガノシリルシリケートを添加し
て反応させるシリル化反応の温度も特に限定されるもの
ではないが、好ましくは0〜100℃である。0℃以下
であると反応速度が少々低下し、また100℃以上であ
ると、珪酸ソーダを酸処理して生成したシロキシシラノ
ールの縮合反応が、シリル化反応よりも促進され、分子
量変化が多少進行することがあるため、好ましくない。
【0035】次に本発明のオルガノシリルシリケートの
製造方法について、更に具体的に説明する。本発明の製
造方法では、はじめに水溶性極性有機溶媒(A)と酸と
水を使用し、混合溶媒を調製する。これら3者の添加順
序や添加方法等については特に特定されるものではな
い。また攪拌方法や攪拌の回転数等の攪拌条件等につい
ても特に特定されるものではなく、いかなる方法で行っ
ても本発明の効果を妨げるものではない。
【0036】次に、この混合溶媒に珪酸ソーダを加え、
酸中和する。滴下する珪酸ソーダは原液をそのまま使用
しても良いが、混合溶媒に使用した、水溶性極性有機溶
媒や酸の量や種類等によっては析出する場合があるた
め、多少希釈して使用したほうが好ましい。より好まし
くは希釈する水の重量1に対して、加える珪酸ソーダの
重量が0.01〜4である。しかし水珪酸ソーダの希釈
量はこれらに限定されるものではない。
【0037】また珪酸ソーダを加える方法は、特に特定
されるものではなく、攪拌下で全量を一括添加する方法
でもよいし、適量を順次滴下する方法でも構わない。そ
して珪酸ソーダを加える時の反応温度は、上述した通り
である。そして珪酸ソーダの酸中和終了後、更に水溶性
極性有機溶媒(B)を添加する。このときの添加方法に
ついても特に特定されるものではなく、攪拌下で全量を
一括添加する方法でもよければ、適量を順次滴下する方
法でも構わない。
【0038】次に得られた混合溶液にオルガノシリル化
剤を添加してシリル化反応を行う。このときのオルガノ
シリル化剤の添加方法や添加条件、添加時間等について
も特に特定されるものではなく、攪拌下で全量を一括添
加する方法でもよければ、適量を順次滴下する方法でも
構わない。
【0039】シリル化反応の反応温度条件は、上述の通
りであるが、オルガノシリル化剤の添加時、反応溶液が
シリル化反応によって発熱を生じることがある。しかし
反応系の温度が上述した温度範囲であればとくに問題は
ないし、また必要に応じ、冷却等により発熱による温度
上昇を抑制しても構わない。シリル化反応の時間につい
ては、特に限定されるものではないが、好ましくは0.
5〜40時間、更に好ましくは1〜10時間である。
【0040】次に本発明の製造方法で得られたオルガノ
シリルシリケートの精製方法について述べる。 (1)得られた反応溶液を減圧下に濃縮し、残留物を水
洗後乾燥して生成物を得る方法。 (2)得られた反応溶液に水を加えるか、または水中に
反応液を添加することにより反応生成物を析出させ、ろ
別後水洗、乾燥して生成物を得る方法。
【0041】(3)用いた水溶性極性有機溶媒(A)ま
たは(B)の沸点が水より低いものを用いた場合は、減
圧濃縮等で水溶性極性有機溶媒を除去し、水中に反応生
成物を析出させ、これをろ別後水洗し、乾燥して生成物
を得る方法。 (4)塩化ナトリウム等の塩を反応溶液が飽和するまで
加え、水層と水溶性極性有機溶媒層に分離し、水溶性極
性有機溶媒層を取り出し、減圧濃縮等で濃縮後、水洗
し、乾燥して生成物を得る方法。
【0042】(5)または水溶性極性有機溶媒層を塩析
分離後、減圧濃縮等で水溶性極性有機溶媒層を濃縮し、
これに大量の水を加えて生成物を析出させ、水洗、乾燥
後生成物を得る方法等、種々の方法があるが、(2)ま
たは(3)の方法が好ましい。以下にこれらについて更
に詳細に説明する。
【0043】(2)の方法では、まず得られた反応溶液
に水を加えて反応生成物を析出させる。加える水の量は
水溶性極性有機溶媒中の生成したオルガノシリルシリケ
ートの濃度等により異なるものであるから特に規定され
るものではないが、通常、得られた反応溶液の重量と同
等量以上の水を加えるのが好ましい。
【0044】その後、直ちに析出した生成物をろ過によ
り分別してもよいが、一般的にはしばらく攪拌により混
合するのが普通である。このときの攪拌方法は、メカニ
カル攪拌、スターラーによる攪拌等、いずれの方法を用
いてもよい。攪拌時の温度については特に限定されるも
のではないが、5〜60℃で行うのが一般的である攪拌
時間も特に限定されるものではないが、通常10分〜5
時間である。
【0045】析出させた生成物のろ過方法は、自然ろ
過、吸引ろ過、加圧式ろ過、遠心分離等いずれを用いて
もよい。得られた生成物に水を加え、洗浄し、残留して
いる酸や塩等の不純物を除去する。また使用したオルガ
ノシリル化剤の種類やシリル化率等によって異なるが、
必要に応じてメタノール等を加えた混合液を用いてもよ
い。水の量は特に特定されるものではないが、好ましく
は生成物の重量の同等量以上が好ましい。そして再び生
成物をろ過により分別する。
【0046】また水による洗浄の回数は、好ましくは2
回以上がよい。そして得られた生成物の乾燥方法も特に
特定されるものではなく、自然乾燥、風乾、熱風乾燥、
減圧乾燥等いずれの方法を用いてもよい。乾燥時の温度
条件は特に制限されるものではないが、室温〜150℃
以下で行うのが一般的である。
【0047】次に(3)の方法は、用いた水溶性極性有
機溶媒(A)または(B)の沸点が水よりも低いもので
あるときに好ましい方法である。まず水溶性極性有機溶
媒を除去するが、除去方法として濃縮器や減圧濃縮器を
用いるのが一般的であるが、これに限られるものではな
い。
【0048】また除去する水溶性極性有機溶媒の量は、
得られるオルガノシリルシリケートの種類やシリル化率
等、それぞれの溶解性によって異なり、また全反応液中
の水溶性極性有機溶媒の含有率によっても異なるもので
あり一概に特定できないが、一般的には添加した水溶性
極性有機溶媒の総量の80%以上を除去することが望ま
しい。次に析出した生成物をろ過により分別する。ろ過
方法、洗浄方法、残留している酸や塩等の不純物を除去
方法等は(2)の方法と同様である。
【0049】また使用したオルガノシリル化剤の種類や
シリル化率等によって異なるが、必要に応じてメタノー
ル等を加えた混合液を用いてもよい。水の量は特に規定
されるものではないが、好ましくは生成物の重量の同等
量以上が好ましい。そして再び生成物をろ過により分別
する。水による洗浄、得られた生成物の乾燥方法も
(2)と同様である。
【0050】本発明の製造方法で得られるオルガノシリ
ルシリケートは、用いる珪酸ソーダの分子量に依存し、
狭い分子量分布を有するオルガノシリルシリケートが得
られる。その分子量は、分子量範囲としては特に限定さ
れるものではないが、通常1000〜6000程度であ
り、好ましくは1000〜4000である。
【0051】本発明の製造方法では、得られるオルガノ
シリルシリケートは通常、収率90%以上であり、また
純度はGPC分析で通常90%以上、好ましくは95%
以上で、種々の反応原料や用途にそのまま使用すること
ができる。
【0052】
【実施例】次に本発明のオルガノシリルシリケートの製
造方法の具体的な実施例を示すが、本発明はもとよりこ
れらに限定されるものではない。
【0053】(実施例1)30%硫酸水溶液115gと
THF80gをフラスコに入れ、28℃においてメカニ
カル攪拌でよく混合する。この混合溶媒を攪拌しなが
ら、あらかじめ5倍に希釈しておいた水ガラス3号(日
本化学株式会社製)を混合溶媒中に1時間かけて滴下し
た。滴下後さらにTHF400gを添加し、混合均一化
した。
【0054】混合液にトリメチルクロロシラン(TMC
S)39gを約10分かけて滴下した。その後も28℃
に温度を保ち、2時間攪拌した。シリル化反応修了後、
エバポレーターを用い、減圧下、30〜40℃でTHF
を溜去し、生成物を析出させた。これをろ過後、300
gの水で2回洗浄、ろ過した。洗浄後、ろ過物を60℃
で15時間真空乾燥した。
【0055】得られたオルガノシリルシリケートは48
g、収率95%であった。重量平均分子量(Mw)と分
子量分布の広がり(Mw/Mn)はゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)で測定した。結果を表
1に示した。
【0056】(比較例1)30%硫酸水溶液115gを
フラスコに入れ、20℃においてメカニカル攪拌でよく
混合する。あらかじめ5倍に希釈しておいた水ガラス3
号(日本化学株式会社製)を30%硫酸水溶液中に攪拌
しながら1時間かけて滴下した。滴下後さらにTHF4
00gを添加し、混合、均一にした後、塩化ナトリウム
を130g添加し溶解させた。
【0057】約30分後、不溶な塩化ナトリウムをろ過
により除き、さらにTHF層と水溶液層に分液し、TH
F層を採取した。そしてTMCS 39gを約10分か
けて滴下した。その後も20℃に温度を保ち、2時間攪
拌した。シリル化反応終了後、水400gを添加し、エ
バポレーターを用いて、減圧下、30〜40℃でTHF
を溜去し、生成物を析出させた。
【0058】これをろ別後、300gの水で2回洗浄し
た。洗浄後、60℃で15時間真空乾燥した。得られた
オルガノシリルシリケートは33g、収率が65%であ
った。分子量等の結果を表1に示した。
【0059】(比較例2)30%硫酸水溶液115gと
THF80gをフラスコに入れ、20℃にてメカニカル
攪拌でよく混合した。この混合溶媒を攪拌しながら、あ
らかじめ5倍に希釈しておいた水ガラス3号(日本化学
株式会社製)を混合溶媒中に1時間かけて滴下した。滴
下後さらにTHF400gを添加し、混合、均一にした
後、塩化ナトリウムを130g添加し溶解させた。
【0060】約30分後、不溶な塩化ナトリウムをろ過
により除き、THF層と水溶液層に分離するので、上層
のTHF層を分取した。TMCS 39gを約10分か
けて滴下した。その後も20℃に温度を保ち、2時間攪
拌した。シリル化反応終了後、水400gを添加し、エ
バポレーターを用いて、減圧下において30〜40℃で
THFを溜去し、生成物を析出させた。
【0061】これをろ別後、300gの水で2回洗浄ろ
過し、洗浄後、60℃で15時間真空乾燥した。得られ
たオルガノシリルシリケートは36g、収率は70%で
あった。分子量等の結果を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】(実施例2)30%硫酸水溶液115gと
THF15gとをフラスコに入れて混合すること以外
は、全て実施例1と同様に行った。また5倍に希釈した
水ガラスは360gを用いた。結果を表2及び3に示し
た。
【0064】(実施例3〜5)水ガラス滴下後のTHF
量を400gから表2に示した値に変えて行った以外
は、全て実施例1と同様に行った。また5倍に希釈した
水ガラスは360g、30%硫酸水溶液は115gを用
いた。結果を表2及び3に示した。
【0065】(実施例6〜8)水溶性極性有機溶媒のT
HFを、アセトン、イソプロピルアルコール等の表2に
示した水溶性極性有機溶媒に変えて行った以外は、全て
実施例1と同様に行った。また5倍に希釈した水ガラス
は360g、30%硫酸水溶液は115gを用いた。結
果を表2及び3示した。
【0066】(実施例9、10)シリル化反応におい
て、トリメチルクロロシランの量を39gから表2に示
した値に変えて行った以外は、全て実施例1と同様に行
った。また5倍に希釈した水ガラスは360g、30%
硫酸水溶液は115gを用いた。結果を表2及び3に示
した。
【0067】(実施例11〜13)用いるオルガノシリ
ル化剤をトリメチルクロロシラン(TMCS)からトリ
メチルエトキシシラン(TMES)、またはビニルジメ
チルクロロシラン(VDMCS)に変えて行った以外
は、全て実施例1と同様に行った。また5倍に希釈した
水ガラスは360g、30%硫酸水溶液は115gを用
いた。結果を表2及び3に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】(実施例14)30%硫酸水溶液115g
とTHF80gとをフラスコに入れ、20℃においてメ
カニカル攪拌でよく混合することと中和条件以外は、全
て実施例1と同様に行った。5倍に希釈した水ガラスは
360gを用いた。結果を表4に示した。
【0071】
【表4】
【0072】(実施例15〜17)酸中和反応温度とシ
リル化反応温度をそれぞれ表5に示した温度に変えた以
外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表5に示し
た。
【0073】
【表5】
【0074】(実施例18)シリル化反応を行うまでは
実施例1と同様に行った。シリル化反応終了後、得られ
た反応溶液に水600gを添加し、生成物を析出させ
た。これをろ過した後、ろ過物を300gの水で2回洗
浄した。洗浄後、60℃で15時間真空乾燥した。得ら
れたオルガノシリルシリケートは48g、収率は94%
であった。また重量平均分子量は2500、(Mw/M
n)は1.4であった。
【0075】
【発明の効果】本発明は、硬度、耐候性、撥水性、耐擦
傷性、耐熱性、あるいは絶縁性、低誘電率等の電気的特
性に優れ、金属、プラスチックあるいはガラス等の各種
材料の塗料用材料、あるいは接着剤、表面保護材やタッ
ク材料、種々のポリマーの改質剤等の他、配線基板等の
コーティング材や電子部品等の封止材料等にも有用な、
多岐の分野で有用なオルガノシリルシリケートを、種々
のオルガノシリル化剤を任意に用いて、狭い分子量分布
を有するオルガノシリルシリケートを容易に高収率で製
造する製造方法を提供できる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性極性有機溶媒と、酸、および水と
    の混合溶媒中で、珪酸ソーダを酸中和した後に、更に水
    溶性極性有機溶媒を添加し、次いでオルガノシリル化剤
    を添加してシリル化反応させることを特徴とするオルガ
    ノシリルシリケートの製造方法。
  2. 【請求項2】 はじめに混合溶媒中に含まれる水溶性極
    性有機溶媒の量が、混合溶媒の5〜50重量%である請
    求項1記載のオルガノシリルシリケートの製造方法。
  3. 【請求項3】 用いる水溶性有機極性溶媒の総量が全反
    応液の10〜80重量%である請求項1または2記載の
    オルガノシリルシリケートの製造方法。
  4. 【請求項4】 オルガノシリル化剤のモル量が、珪酸ソ
    ーダ中の珪素原子のモル量に対して2〜100モル%で
    ある請求項1から3のいずれか一つに記載のオルガノシ
    リルシリケートの製造方法。
  5. 【請求項5】 水溶性極性有機溶媒が、アルコール類、
    ケトン類、エーテル類からなる群から選ばれる一種類以
    上の溶媒であることを特徴とする請求項1から4のいず
    れか一つに記載のオルガノシリルシリケートの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 オルガノシリル化剤が、一般式1で表さ
    れるオルガノシラン化合物である請求項1から5のいず
    れか一つに記載のオルガノシリルシリケートの製造方
    法。 (一般式) R123SiX (式中、R1、R2及びR3は、同一の、または異なって
    それぞれアルキル基、アルケニル基またはフェニル基で
    あり、Xはハロゲン原子またはアルコキシ基を表す。)
  7. 【請求項7】 酸中和反応終了時のpHが1〜4である
    請求項1から6のいずれか一つに記載のオルガノシリル
    シリケートの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から7に記載のオルガノシリル
    シリケートの製造方法により製造したシリル化反応終了
    後のオルガノシリルシリケート溶液を水中に添加し、オ
    ルガノシリルシリケートを析出させることを特徴とする
    オルガノシリルシリケートの精製方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から7に記載のオルガノシリル
    シリケートの製造方法により製造したシリル化反応終了
    後のオルガノシリルシリケート溶液中の水溶性極性有機
    溶媒を除去し、生成物を析出させることを特徴とするオ
    ルガノシリルシリケートの精製方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11116805A (ja) * 1997-10-15 1999-04-27 Dainippon Ink & Chem Inc 硬化性組成物
JP2001192453A (ja) * 1999-12-28 2001-07-17 General Electric Co <Ge> シリコーン樹脂の連続製造方法
JP2006514153A (ja) * 2003-02-05 2006-04-27 ロディア・シミ 揮発性オリゴオルガノシロキサンを再循環させつつポリメチルビニルシロキサン樹脂を製造するための方法

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