JPH08151370A - アザフルオレノン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

アザフルオレノン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体

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JPH08151370A
JPH08151370A JP29538094A JP29538094A JPH08151370A JP H08151370 A JPH08151370 A JP H08151370A JP 29538094 A JP29538094 A JP 29538094A JP 29538094 A JP29538094 A JP 29538094A JP H08151370 A JPH08151370 A JP H08151370A
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electron
compound
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charge
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Application number
JP29538094A
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English (en)
Inventor
Yukimasa Watanabe
征正 渡辺
Nobuko Akiba
伸子 秋葉
Hirobumi Kawaguchi
博文 川口
Yasushi Mizuta
泰史 水田
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Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子輸送能に優れたアザフルオレノン誘導体
およびこれを用いた電子写真感光体を提供すること。 【構成】 一般式 【化1】 (式中、nは1〜2の整数である。)で表されるアザフ
ルオレノン誘導体、および上記一般式で表される化合物
を電子輸送剤として含有する有機感光体層を設けた電子
写真感光体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アザフルオレノン誘導
体およびこれを用いた電子写真感光体に関し、より詳し
くは複写機、レーザープリンター等に使用される電子写
真用有機感光体などにおいて電子輸送剤として好適に使
用されるアザフルオレノン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】カー
ルソンプロセスを用いた複写機等の画像形成装置におい
ては、種々の材料からなる電子写真感光体が使用されて
いる。その1つはセレンのような無機材料を感光層に用
いた無機感光体であり、他は有機材料を感光層として用
いた有機感光体である。有機感光体は無機感光体に比べ
て安価でしかも生産性が高い上、無公害である等の多く
の利点を有していることから、広範な研究が進められて
いる。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸
送層とを積層した所謂機能分離型の有機感光体、すなわ
ち積層型の感光体が多いが、電荷発生剤と電荷輸送剤と
を感光層中に分散させた単層型の有機感光体も知られて
いる。これらの感光体に使用される電荷輸送剤として
は、キャリヤ移動度の高いものが要求されているが、キ
ャリヤ移動度の高い電荷輸送剤は殆どが正孔輸送性であ
る。そのため、実用に供されているのは、機械的強度面
から最外層に電荷輸送層を設けた負帯電型の積層型有機
感光体に限られている。しかしながら、負帯電型の有機
感光体では、負極性コロナ放電を利用するため、オゾン
の発生量が多く、従って環境を汚染したり、感光体を劣
化させるなどの問題があった。
【0004】そこで、このような欠点を排除するため
に、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが検討
されており、特開平1−206349号公報には、ジフ
ェノキノン構造を有する化合物を電子写真感光体用の電
子輸送剤として使用することが提案されている。しかし
ながら、一般に、ジフェノキノン類を含む従来の電子輸
送剤は、結着樹脂との相溶性に乏しく、ホッピング距離
が長くなるため、低電界での電子移動が生じ難い。その
ため、従来の電子輸送剤を含有した電子写真感光体は残
留電位がかなり高くなり、感度が小さいという欠点があ
った。
【0005】本発明の主たる目的は、電子輸送能に優れ
た新規なアザフルオレノン誘導体を提供することであ
る。本発明の他の目的は、残留電位が低いレベルに抑制
され、優れた感度を示す単層型および積層型の電子写真
感光体を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記課題を達成すべく鋭意研究を行った結果、一般
式(1) :
【0007】
【化4】
【0008】(式中、nは1〜2の整数である。)で表
されるアザフルオレノン誘導体が従来のジフェノキノン
系化合物よりも高い電子輸送能を有することを見出し、
本発明を完成するに至った。上記一般式(1) で表される
アザフルオレノン誘導体は、溶剤への溶解性および結着
樹脂との相溶性が良好であり、かつ電荷発生剤とのマッ
チングに優れているために電子の注入が円滑に行われ、
特に低電界での電子輸送性に優れている。
【0009】従って、本発明における一般式(1) の化合
物を電子輸送剤として電子写真感光体に使用するとき
は、高感度な有機感光体を提供することができる。さら
に、本発明の化合物(1) は、その高い電子輸送能を利用
して、太陽電池、EL素子などの用途にも使用すること
ができる。本発明のアザフルオレノン誘導体(1) は、例
えば下記の反応式に示すように、ベンゾ[f]キノリン
(3) を酸化し、得られた1−アザフルオレノン(4) をさ
らにニトロ化することによって合成される。
【0010】
【化5】
【0011】(式中、nは上記と同じである。) 化合物(3) を酸化して化合物(4) を合成する際の溶媒と
しては、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウ
ム水溶液などが挙げられる。かかる反応は、過マンガン
酸カリウム、クロム酸などの酸化剤の存在下で、通常5
0〜100℃の温度で30分ないし36時間程度行われ
る。
【0012】化合物(4) をニトロ化して化合物(1) を合
成する際の溶媒には、例えば硫酸、酢酸、無水酢酸、発
煙硫酸などの単独または混合溶媒が用いられる。反応の
温度および時間は導入するニトロ基の数に応じて調節さ
れる。通常、モノニトロ化の反応は、濃硝酸を用い、−
10〜25℃の温度で30分ないし5時間程度行われ
る。また、ジニトロ化の反応は、濃硝酸を用い、25〜
80℃の温度で30分ないし8時間程度行われる。
【0013】本発明の一般式(1) で表される化合物の具
体例を、下記式(1-1) および(1-2)に示す。
【0014】
【化6】
【0015】電子写真感光体に用いられる電子輸送材料
としては、下記式(5) および(6) で表されるフルオレノ
ン誘導体が提案されている。かかる化合物(5) および
(6) は、フルオレニリデン骨格に1〜3個のニトロ基を
導入されているために電子輸送能が高く、これを用いる
ことによって感度の高い電子写真感光体を得ることがで
きる。
【0016】
【化7】
【0017】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 およびR
5 は、同一または異なって、水素原子、アルキル基、ア
リール基、アラルキル基、アルコキシル基、フェノキシ
基、ピロリル基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン
原子を示す。これらのうち、アルキル基、アリール基、
アラルキル基、アルコキシル基、フェノキシ基およびピ
ロリル基は置換基を有していてもよい。また、R1 〜R
5 のうち隣接する2つの基は互いに縮合して縮合環を形
成していてもよい。R6 およびR7 は、同一または異な
って、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を示
し、これらの基は置換基を有していてもよい。nは1〜
3の整数である。) 一方、本発明のアザフルオレノン誘導体(1) におけるア
ザフルオレノン骨格は、フルオレニリデン骨格における
ベンゼン環の一方がピリジン環になっている。このよう
に、フルオレニリデン骨格に窒素原子が含まれることに
より、かかる骨格に1個以上のニトロ基を導入するのと
同様の作用が得られる。つまり、本発明の化合物(1) は
電荷発生剤との親和性が高く、後述の実施例に記載のよ
うに、電子輸送能も高く、溶剤への溶解性や結着樹脂と
の相溶性も高い電子輸送材料を得ることができる。従っ
て、かかる化合物(1) を電子輸送剤として用いた電子写
真感光体は高い感度を有する。
【0018】本発明の電子写真感光体は、導電性基体上
に有機感光層を設けたものであって、この有機感光層に
おける結着樹脂が、上記一般式(1) で表されるアザフル
オレノン誘導体を電子輸送剤として含有していることを
特徴とする。本発明の電子写真感光体は、単層型と積層
型とに大別される。単層型の電子写真感光体は導電性基
体上に有機感光層を設けたものであって、前記有機感光
層が、結着樹脂中に、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送
剤と共に、前記一般式(1) で表されるアザフルオレン誘
導体を電子輸送剤として含有したものである。
【0019】この単層型電子写真感光体においては、感
光体の残留電位が大きく低下し、感度を向上させること
ができる。本発明の単層型感光体は正帯電および負帯電
のいずれにも適用可能であるが、とくに正帯電型で使用
するのが好ましい。上記単層型電子写真感光体の有機感
光層に、−0.8〜−1.3Vの酸化還元電位を有する
電子受容性化合物を含有させると、電荷発生剤からの電
子の引抜きが効率よく行われるようになり、感光体の感
度がより一層向上する。
【0020】一方、本発明の積層型電子写真感光体は、
導電性基体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層
をこの順に設けたものであって、前記電荷輸送層に電子
輸送剤として前記一般式(1) で表されるアザフルオレン
誘導体を含有する。この電子写真感光体は、正帯電型と
して使用され、残留電位が大きく低下し、感度を向上さ
せることができる。
【0021】電荷発生層から電荷輸送層への電子の授受
を円滑に行わせる上で、電荷発生層にも前記一般式(1)
で表されるアザフルオレン誘導体を含有させるのが好ま
しい。また、導電性基体上に少なくとも電荷発生層およ
び電荷輸送層をこの順に設けた積層型電子写真感光体に
おいて、電荷輸送層に、電子輸送剤として前記一般式
(1) で表されるアザフルオレン誘導体を含有させ、かつ
電荷発生層に−0.8〜−1.3Vの酸化還元電位を有
する電子受容性化合物を含有させてもよい。
【0022】前記酸化還元電位の測定は、以下の材料を
用い、3電極式のサイクリックボルターメトリーにして
行う。 電極:作用電極(グラッシーカーボン電極)、対極(白
金電極) 参照電極:銀硝酸電極(0.1モル/リットルAgNO
3 −アセトニトリル溶液) 測定溶液 電解質:過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム 0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2 Cl2 1リットル 以上の材料を調合して測定溶液を調製する。
【0023】酸化還元電位の算出:図1に示すように、
索引電圧(V)と電流(μA)との関係を求めて同図に
示すE1 とE2 とを測定し、以下の計算式により酸化還
元電位を求める。 酸化還元電位=(E1 +E2 )/2 (V) 本発明における前記一般式(1) で表される化合物は、溶
剤への溶解性および結着樹脂との相溶性が良好であると
共に、電荷発生剤とのマッチングに優れ電子の注入が円
滑に行われ、かつ特に低電界での電子輸送性に優れてい
る。
【0024】従って、本発明の単層型正帯電感光体は、
露光工程において電荷発生剤から放出された電子が前記
一般式(1) で表される電子輸送剤にスムーズに注入さ
れ、ついで電子輸送剤間での電子の授受により電子は感
光層の表面に移動されて、感光層表面に帯電させた正電
荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は正孔輸送剤に
注入されて、途中でトラップされることなく、導電性基
体の表面に移動し、導電性基体の表面の負電荷(−)を
打ち消す。このようにして、正帯電型の感光体の感度が
向上するものと考えられる。単層型感光体を負帯電で使
用した場合は、上記と電荷移動の方向が逆になるだけで
同様に感度が向上する。
【0025】また、本発明の積層型正帯電感光体では、
露光工程において電荷発生層の電荷発生剤から放出され
た電子が、電荷輸送層中の前記一般式(1) で表される電
子輸送剤にスムーズに注入され、ついで電子輸送剤間で
の電子の授受により電子は電荷輸送層中を移動し、感光
層表面に達し、あらかじめ感光層表面に帯電させた正電
荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は電荷発生層か
ら直接導電性基体の表面に移動し、導電性基体の表面の
負電荷(−)を打ち消す。このようにして積層型正帯電
感光体の感度が向上するものと考えられる。
【0026】感光体への露光により光を吸収した電荷発
生剤は、イオン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成す
る。この生成したイオン対がフリーキャリヤとなり有効
に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合して
消失してしまう割合が小さいほうがよい。ここで、酸化
還元電位が−0.8〜−1.3Vである電子受容性化合
物が存在すると、LUMO(分子内で電子が専有してい
る分子軌道の中で最もエネルギーが高い準位をいい、励
起される電子は通常この準位の電子である。)のエネル
ギー準位が電荷発生剤よりも低いため、イオン対の生成
の際、電子が電子受容性化合物に移動し、イオン対がキ
ャリヤへ分離し易くなる。すなわち、電子受容性化合物
が電荷発生に作用し、その発生効率を向上させるのであ
る。
【0027】一方、高感度であるためには、フリーキャ
リヤの移動時に不純物によるキャリヤトラップが発生し
ないことも必要である。通常、フリーキャリヤの移動過
程には少量の不純物などによるトラップが存在し、フリ
ーキャリヤは、トラップ−脱トラップを繰り返しながら
移動する。従って、フリーキャリヤが脱トラップ不可能
なレベルに落ち込むと、キャリヤトラップとなってしま
い、その移動は中止される。
【0028】酸化還元電位が−0.8Vよりも大きい電
子受容性化合物を使用した場合は、分離したフリーキャ
リヤを脱トラップ不可能なレベルに落とし込み、キャリ
ヤトラップを生じる。これとは逆に、酸化還元電位が−
1.3Vより小さい電子受容性化合物の場合は、LUM
Oのエネルギー準位が電荷発生剤よりも高くなり、イオ
ン対の生成の際、電子が電子受容性化合物に移動せず、
電荷発生効率の向上に繋がらないものと考えられる。
【0029】前記正孔輸送剤としては、従来公知の正孔
輸送物質が使用され、例えば2,5−ジ(4−メチルア
ミノフェニル)、1,3,4−オキサジアゾール等のオ
キサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノス
チリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニ
ルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシ
ラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノ
フェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラ
ゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドー
ル系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール
系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合
物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリ
アゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化
合物等があげられる。
【0030】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上を混合して用いられる。また、ポリビニルカルバゾ
ール等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合に
は、結着樹脂は必ずしも必要でない。前記正孔輸送剤の
うち、本発明では、イオン化電位(Ip)が4.8〜
5.6eVのものを使用するのが好ましく、電界強度3
×105 V/cmで1×10-6cm2 /V・秒以上の移
動度を有するものが特に好ましい。具体的には、アルキ
ル置換トリフェニルアミン誘導体が好ましい。
【0031】正孔輸送剤のイオン化電位は、電子輸送剤
におけると同様に、大気下光電子分析装置(理研計器
(株)製のAC−1)を用いて測定したものである。本
発明において、正孔輸送剤として、イオン化電位が前記
範囲内にあるものを用いることによって、より一層残留
電位を低下させ、感度を向上させ得る。その理由は必ず
しも明らかではないが、以下のようなものと考えられ
る。
【0032】すなわち、電荷発生剤から正孔輸送剤への
電荷の注入のし易さは正孔輸送剤のイオン化電位と密接
に関係しており、正孔輸送剤のイオン化電位が前記範囲
よりも大きい場合には、電荷発生剤から正孔輸送剤への
電荷の注入の程度が低くなるか、あるいは正孔輸送剤間
での正孔の授受の程度が低くなるため、感度の低下が生
じるものと認められる。
【0033】一方、正孔輸送剤と電子輸送剤とが共存す
る系では、両者の間の相互作用、より具体的には電荷移
動錯体の形成に注意する必要がある。両者の間にこのよ
うな錯体が形成されると、正孔と電子との間に再結合が
生じ、全体として電荷の移動度が低下する。正孔輸送剤
のイオン化電位が前記範囲よりも小さい場合には、電子
輸送剤との間に錯体を形成する傾向が大きくなり、電子
−正孔の再結合が生じるために、見掛けの量子収率が低
下し、感度の低下に結びつくものと思われる。
【0034】従って、前記一般式(1) で表されるアザフ
ルオレン誘導体には、できるだけ嵩高い置換基を導入
し、その立体障害により正孔輸送剤との間での錯体の形
成を抑制するのが好ましい。本発明に用いられる好適な
正孔輸送剤としては、とくに限定されるものではない
が、例えば1,1−ビス(4−ジエチルアミノフェニ
ル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、N,
N′−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−N,N′−
ジフェニルベンジジン、3,3′−ジメチル−N,N,
N′,N′−テトラキス−4−メチルフェニル(1,
1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン、N−エチル
−3−カルバゾリルアルデヒド−N,N′−ジフェニル
ヒドラゾン、4−〔N,N−ビス(p−トルイル)アミ
ノ〕−β−フェニルスチルベン等があげられる。
【0035】前記電子受容性化合物としては、電子受容
性を有し、−0.8〜−1.3Vの酸化還元電位を有す
る化合物であれば、とくに制限はなく、例えばベンゾキ
ノン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ジフェノ
キノン系、マロノニトリル、チオピラン系化合物、2,
4,8−トリニトロチオキサントン、3,4,5,7−
テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化
合物、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニ
トロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、等があ
げられる。このうち、とくにジフェノキノン系は、分子
鎖末端に電子受容性に優れたキノン系酸素原子が結合し
ており、かつ長い分子鎖全体にわたって共役二重結合が
あるため、分子内での電子の移動も容易であり、しかも
電子の授受が容易に行われるという利点があるため、と
くに好ましい。また、前記した各電子受容性化合物は電
荷発生に寄与している。
【0036】前記ベンゾキノン系化合物としては、例え
ばp−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−p−ベンゾキ
ノン、2,6−ジt−ブチル−p−ベンゾキノンなどが
あげられる。また、ジフェノキノン系化合物としては、
例えば下記の一般式 (7)〜(10)で表される誘導体があげ
られる。
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】(各式中、R8 、R9 、R10、R11、R12
およびR13は、同一または異なって、水素原子、アルキ
ル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シク
ロアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基を示
す。) 前記アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プ
ロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル基などの炭素数が1〜6のアルキル基が、アルコキシ
基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、
t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基など
の炭素数が1〜6のアルコキシ基が、アリール基として
は、例えばフェニル基、ナフチル基などが、アラルキル
基としては、例えばベンジル、ベンズヒドリル、トリチ
ル、フェネチル基などが、シクロアルキル基としては、
例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシルなどの炭素数が3〜6のシクロアル
キル基がそれぞれあげられる。また、置換基を有してい
てもよいアミノ基としては、例えばアミノ基のほか、モ
ノメチルアミノ、ジメチルアミノ、モノエチルアミノ、
ジエチルアミノ基などがあげられる。
【0040】式 (7)〜(10)で表されるジフェノキノン系
化合物の具体例としては、例えば3,5−ジメチル−
3′,5′−ジt−ブチルジ−4,4′−ジフェノキノ
ン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジt−ブチル−
4,4′−ジフェノキノン、3,5′−ジメチル−3,
5′−ジt−ブチル−4,4′−ジフェノキノンなどが
あげられる。これらの置換基を有するジフェノキノン系
化合物は、分子の対称性が低いために分子間の相互作用
が小さく、溶解性に優れているために好ましい。また、
式(7) で表されるジフェノキノン系化合物としては、例
えば3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジ
フェノキノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−
4,4′−ジフェノキノン、3,3′,5,5′−テト
ラt−ブチル−4,4′−ジフェノキノンなどがあげら
れる。これらのジフェノキノン系化合物は、単独または
二種以上を混合して使用することができる。
【0041】本発明において使用される電荷発生剤とし
ては、例えばセレン、セレン−テルル、アモルファスシ
リコン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、アンサンスロン系
顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ナフタ
ロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、トリフェニルメタ
ン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリ
ン系顔料、キナクリドン系顔料、ジチオケトピロロピロ
ール系顔料等があげられる。これらの電荷発生剤は、所
望の領域に吸収波長を有するように、一種または二種以
上を混合して用いることができる。その際、正孔輸送剤
としてイオン化電位が4.8〜5.6eVのものを使用
することに関連して、電荷発生剤としても、正孔輸送剤
とバランスしたイオン化電位を有するもの、具体的には
イオン化電位が4.8〜6.0eV、特に5.0〜5.
8eVの範囲にあるものを用いるのが残留電位の低減、
感度の向上の上で望ましい。特に好適な電荷発生剤とし
ては、X型無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタ
ロシアニン等のフタロシアニン系顔料またはペリレン系
顔料が例示される。
【0042】このうち、フタロシアニン系顔料は、70
0nm以上の波長領域に感度を有する感光体の電荷発生
材料として好適である。すなわち、上記フタロシアニン
系顔料は、前記一般式(1) で表される化合物(電子輸送
剤)とのマッチングに優れるため、この両者を併用した
電子写真感光体は、上記波長領域において高感度であ
り、従って700nm以上の波長を有する光源を使用し
たデジタル光学系の画像形成装置に好適に使用すること
ができる。
【0043】また、ペリレン系顔料としては、一般式
(2) :
【0044】
【化10】
【0045】(式中、Ra ,Rb ,Rc ,Rd は同一ま
たは異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシル基
またはアリール基を示す。)で表される化合物が好適に
使用される。上記一般式(2) 中のアルキル基、アルコキ
シ基およびアリール基としては、前記と同様な基が例示
される。このペリレン系顔料は、可視領域に感度を有す
る感光体の電荷発生材料として好適である。すなわち、
上記ペリレン系顔料(2) は、一般式(1) で表される化合
物(電子輸送剤)とのマッチングに優れるため、この両
者を併用した電子写真感光体は、可視領域において高感
度であり、従って可視領域の波長を有する光源を使用し
たアナログ光学系の画像形成装置に好適に使用すること
ができる。
【0046】上記の各成分を分散させるための結着樹脂
としては、従来より有機感光層に使用されている種々の
樹脂を使用することができ、例えばスチレン系重合体、
スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アク
リル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマ
ー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、
アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタ
レート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレ
ート等の光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹
脂は1種または2種以上を混合して用いることができ
る。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合
体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、ア
ルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等であ
る。
【0047】単層型の電子写真感光体を得るには、所定
の電子輸送剤を、電荷発生剤、正孔輸送剤、結着樹脂等
と共に適当な溶剤に溶解または分散した塗布液を、塗布
等の手段によって導電性基体上に塗布し、乾燥させれば
よい。積層型の電子写真感光体を得るには、まず導電性
基体上に、蒸着または塗布等の手段によって電荷発生剤
を含有する電荷発生層を形成し、ついでこの電荷発生層
上に、電子輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布等の
手段によって塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成すれ
ばよい。
【0048】単層型の感光体においては、結着樹脂10
0重量部に対して電荷発生剤は0.1〜50重量部、好
ましくは0.5〜30重量部の割合で配合され、電子輸
送剤は5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部
の割合で配合される。また、正孔輸送剤は5〜500重
量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合す
る。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着
樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好まし
くは30〜200重量部であるのが適当である。単層型
の感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子
受容性化合物を結着樹脂100重量部に対して0.1〜
40重量部、好ましくは0.5〜20重量部で配合する
のが適当である。
【0049】また、単層型の感光層の厚さは5〜100
μm、好ましくは10〜50μmである。積層型感光体
においては、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹
脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹
脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量
部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するの
が適当である。電荷発生層に電子受容性化合物を含有さ
せる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂100重量部
に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20
重量部で配合するのが適当である。また、電荷発生層に
アザフルオレン誘導体(1) を含有させる場合は、この誘
導体(1) を結着樹脂100重量部に対して0.5〜50
重量部、好ましくは1〜40重量部で配合するのが適当
である。
【0050】電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射
により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して電子輸送剤を10〜
500重量部、好ましくは25〜100樹脂の割合で配
合するのが適当である。電荷輸送層に電子受容性化合物
を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂10
0重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.
5〜20重量部で配合するのが適当である。
【0051】また、積層型の感光層の厚さは、電荷発生
層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm
程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは
5〜50μm程度である。単層型感光体にあっては、導
電性基体と感光層との間に、また積層型感光体にあって
は、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷
輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、
感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されて
いてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成さ
れていてもよい。
【0052】単層型および積層型の各感光層には、電子
写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種
々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重
項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化
剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定
剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合すること
ができる。
【0053】また、感光層の感度を向上させるために、
例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチ
レン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
また、前記一般式(1) で表される化合物と共に、従来公
知の他の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。この
ような電子輸送剤としては、例えばベンゾキノン系、ジ
フェノキノン系、マロノニトリル、チオピラン系化合
物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチ
オキサントン、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フ
ルオレノン等のフルオレノン系化合物、ジニトロベンゼ
ン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニト
ロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハ
ク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があ
げられる。
【0054】本発明の感光体に使用される導電性基体と
しては、導電性を有する種々の材料を使用することがで
き、例えばアルミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バ
ナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、
ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真
鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートさ
れたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化ス
ズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が例示され
る。
【0055】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。本発明における感光層は、前記した各成
分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液
を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。
【0056】すなわち、前記例示の電荷発生剤、電荷輸
送剤、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方
法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペ
イントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散
混合して塗布液を調製し、これを公知の手段により塗
布、乾燥すればよい。塗布液をつくるための溶剤として
は、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のア
ルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン
等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメ
チルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は1種又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0057】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性
剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0058】
【実施例】以下に、合成例、実施例および比較例を挙げ
て、本発明のアザフルオレノン誘導体およびこれを用い
た電子写真感光体を説明する。 《アザフルオレノン誘導体の合成》 合成例 下記式に示すようにして、前記例示の化合物(1-1) を合
成した。
【0059】
【化11】
【0060】ベンゾ[f]キノリン(3) 10g(0.0
56モル)と水酸化ナトリウム4gとを水800mlに
加えて還流し、10%−過マンガン酸カリウム水溶液3
00mlを滴下した。次いで、反応混合物にメタノール
を加えて熱時ろ過し、生成物をクロロホルムで抽出、水
洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後クロロホ
ルムを留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開溶媒;クロロホルム)で精製し、1−アザフルオ
レノン(4) 1.2g(収率12%)を得た。
【0061】硫酸20mlに上記化合物(4) 5g(0.
028モル)を加え、溶液の温度が20℃を超えないよ
うに硝酸(比重1.5)15mlを滴下し、室温で1時
間攪拌した。攪拌後、反応混合物を水に加え、得られた
沈澱物を水洗、吸引濾過、乾燥し、酢酸から再結晶して
目的化合物である7−ニトロ−1−アザフルオレノン(1
-1) 3.8g(収率60%)を得た。この化合物(1-1)
の融点は250℃であった。 元素分析 計算値(%)C;65.5、H;2.5、N;11.
8、O;20.2 実測値(%)C;65.4、H;2.4、N;11.
9、O;20.3 化合物(1-1) の赤外線吸収スペクトルを図2に示す。 《デジタル光源用単層型感光体の作製》 実施例1〜2 電荷発生剤であるX型メタルフリーフタロシアニン(X
φ、Ip=5.38eV)またはオキソチタニルフタロ
シアニン(Tiφ、Ip=5.32eV)5重量部と、
電子輸送剤であるアザフルオレン誘導体(1-1) 30重量
部と、正孔輸送剤であるN,N,N′,N′−テトラキ
ス(p−メチルフェニル)−3,3′−ジメチルベンジ
ジン(Ip=5.56eV)50重量部と、結着樹脂で
あるポリカーボネート100重量部とを、溶媒である8
00重量部のテトラヒドロフランとともにボールミルに
て50時間混合分散させて、単層型感光層塗布液を調製
した。ついでこの塗布液を、導電性基材であるアルミニ
ウム素管の表面に、ディップコート法にて塗布し、10
0℃で60分間熱風乾燥させて、膜厚15〜20μmの
デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写真感光体
を作製した。 比較例1〜2 電子輸送剤として、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ
t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(MB−DP
Q)30重量部を使用したこと以外は実施例1〜2と同
様にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子
写真感光体を作製した。 比較例3 電子輸送剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様
にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。 実施例6〜9 電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤および結着樹脂の
他に、電子受容性化合物として、p−ベンゾキノン(B
Q、酸化還元電位=−0.51V)、2,6−ジt−ブ
チル−p−ベンゾキノン(Bu−BQ、酸化還元電位=
−0.51V)、3,5−ジメチル−3’,5’−ジt
−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(MB−DPQ、
酸化還元電位=−0.51V)および3,3’,5,
5’−テトラt−ブチル−4,4’−ジフェノキノン
(Bu−DPQ、酸化還元電位=−0.51V)のいず
れか10重量部を溶媒とともに混合分散させたこと以外
は上記実施例1〜2と同様にして、デジタル光源用の単
層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。 比較例8 電子受容性化合物として2,5−ジクロロ−p−ベンゾ
キノン(Cl−BQ、酸化還元電位=−0.51V)を
10重量部使用したこと以外は上記実施例6〜9と同様
にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。
【0062】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて下記の光感度試験Iを行い、その感度特性を評価
した。 光感度試験I ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機
を用いて、各実施例、比較例の感光体の表面に印加電圧
を加えて、その表面を+700Vに帯電させた。そし
て、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンド
パスフィルターを用いて取り出した、波長780nm(半
値幅20nm)、光強度16μW/cm2 の単色光を感光
体の表面に照射(照射時間80ミリ秒)して、露光開始
から330ミリ秒経過した時点での表面電位を、露光後
電位VL (V)として測定した。露光後電位VL (V)
が小さいほど、電子写真感光体は高感度である。結果を
下記の表1に示す。 《アナログ光源用単層型感光体》 実施例4 電荷発生剤として、前記一般式(2) の置換基Ra 〜Rd
がメチル基であるペリレン顔料(Ip=5.50eV)
5重量部を使用したこと以外は実施例1〜2と同様にし
て、アナログ光源用の単層型感光層を有する電子写真感
光体を作製した。 比較例5 電子輸送剤として、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ
t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(MB−DP
Q)30重量部を使用したこと以外は実施例4と同様に
して、アナログ光源用の単層型感光層を有する電子写真
感光体を作製した。 比較例6 電子輸送剤を配合しなかったこと以外は実施例4と同様
にして、アナログ光源用の単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。
【0063】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて下記の光感度試験IIを行い、その感度特性を評価
した。 光感度試験II ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機
を用いて、各実施例、比較例の感光体の表面に印加電圧
を加えて、その表面を+700Vに帯電させた。そし
て、露光光源であるハロゲンランプの白色光(光強度1
47μW/cm2)を感光体の表面に照射(照射時間5
0ミリ秒)して、露光開始から330ミリ秒経過した時
点での表面電位を、露光後電位VL (V)として測定し
た。露光後電位VL (V)が小さいほど、電子写真感光
体は高感度である。結果を下記の表1に示す。 《デジタル光源用積層型感光体》 実施例3 電荷発生剤であるX型メタルフリーフタロシアニン2重
量部と、結着樹脂であるポリビニルブチラール1重量部
とを、溶媒である120重量部のジクロロメタンととも
にボールミルにて混合分散させて、電荷発生層用の塗布
液を調製した。そしてこの塗布液を、導電性基材である
アルミニウム素管の表面に、ディップコート法にて塗布
し、100℃で60分間、熱風乾燥させて、膜厚0.5
μmの電荷発生層を形成した。
【0064】つぎに、電子輸送剤であるアザフルオレン
誘導体(1-1) 80重量部と、結着樹脂であるポリカーボ
ネート100重量部とを、溶媒である800重量部のベ
ンゼンとともにボールミルにて混合分散させて、電荷輸
送層用の塗布液を調製した。そしてこの塗布液を、上記
電荷発生層上に、ディップコート法にて塗布し、90℃
で60分間熱風乾燥させて、膜厚15μmの電荷輸送層
を形成して、デジタル光源用の積層型感光層を有する電
子写真感光体を作製した。 比較例4 電子輸送剤として、MB−DPQ80重量部を使用した
こと以外は実施例3と同様にして、デジタル光源用の積
層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
【0065】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて前記の光感度試験Iを行い、その感度特性を評価
した。結果を下記の表1に示す。 《アナログ光源用積層型感光体》 実施例5 電荷発生剤として、前記一般式(2) の置換基Ra 〜Rd
がメチル基であるペリレン顔料2重量部を使用したこと
以外は実施例3と同様にして、アナログ光源用の積層型
感光層を有する電子写真感光体を作製した。 比較例7 電子輸送剤として、MB−DPQ80重量部を使用した
こと以外は実施例5と同様にして、アナログ光源用の積
層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
【0066】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて前記の光感度試験IIを行い、その感度特性を評価
した。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】表1から明らかなように、本発明の化合物
を電子輸送剤として使用した実施例の感光体は、これら
に対応する比較例の感光体に比べて露光後電位VL が低
下しており、高い感度を有していることがわかる。ま
た、実施例6〜9の電子写真感光体は、所定の酸化還元
電位を有する電子受容性化合物と、電子輸送性に優れた
特定の電子輸送剤とを含有することによって他の実施例
よりもさらに露光後電位が低下していることが明らかで
あり、より高い感度を有していることがわかる。
【0069】
【発明の効果】本発明のアザフルオレン誘導体は高い電
子輸送能を有する。従って、かかるアザフルオレン誘導
体を電子輸送剤として含有する本発明の電子写真感光体
は、残留電位が著しく低下し、帯電に対して高い感度を
有するという効果がある。そのため、本発明の感光体を
使用すると、複写機やプリンター等の高速化を図ること
ができる。
【0070】また、特定の酸化感電電位を有する電子受
容性化合物を添加することにより、より一層残留電位が
低下し、感度の向上した感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における酸化還元電位を求めるための牽
引電圧(V)と電流(A)との関係を示すグラフであ
る。
【図2】合成例で得られた化合物(1-1) の赤外線吸収ス
ペクトルである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】感光体への露光により光を吸収した電荷発
生剤は、イオン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成す
る。この生成したイオン対がフリーキャリヤとなり有効
に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合して
消失してしまう割合が小さいほうがよい。ここで、酸化
還元電位が−0.8〜−1.3Vである電子受容性化合
物が存在すると、LUMO(電子を有しない分子軌道の
中で最もエネルギー準位が低い軌道をいい、励起された
電子は通常この軌道に移動する。)のエネルギー準位が
電荷発生剤よりも低いため、イオン対の生成の際、電子
が電子受容性化合物に移動し、イオン対がキャリヤへ分
離し易くなる。すなわち、電子受容性化合物が電荷発生
に作用し、その発生効率を向上させるのである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正内容】
【0061】硫酸20mlに上記化合物(4) 5g(0.
028モル)を加え、溶液の温度が20℃を超えないよ
うに硝酸(比重1.5)15mlを滴下し、室温で1時
間攪拌した。攪拌後、反応混合物を水に加え、得られた
沈澱物を水洗、吸引濾過、乾燥し、酢酸から再結晶して
目的化合物である7−ニトロ−1−アザフルオレノン(1
-1) 3.8g(収率60%)を得た。この化合物(1-1)
の融点は250℃であった。 元素分析 計算値(%)C;65.5、H;2.5、N;11.
8、O;20.2 実測値(%)C;65.4、H;2.4、N;11.
9、O;20.3 化合物(1-1) の赤外線吸収スペクトルを図2に示す。 《デジタル光源用単層型感光体の作製》 実施例1〜2 電荷発生剤であるX型メタルフリーフタロシアニン(X
φ、Ip=5.38eV)またはオキソチタニルフタロ
シアニン(Tiφ、Ip=5.32eV)5重量部と、
電子輸送剤であるアザフルオレン誘導体(1-1) 30重量
部と、正孔輸送剤であるN,N,N′,N′−テトラキ
ス(p−メチルフェニル)−3,3′−ジメチルベンジ
ジン(Ip=5.56eV)50重量部と、結着樹脂で
あるポリカーボネート100重量部とを、溶媒である8
00重量部のテトラヒドロフランとともにボールミルに
て50時間混合分散させて、単層型感光層塗布液を調製
した。ついでこの塗布液を、導電性基材であるアルミニ
ウム素管の表面に、ディップコート法にて塗布し、10
0℃で60分間熱風乾燥させて、膜厚15〜20μmの
デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写真感光体
を作製した。 比較例1〜2 電子輸送剤として、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ
t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(MB−DP
Q)30重量部を使用したこと以外は実施例1〜2と同
様にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子
写真感光体を作製した。 比較例3 電子輸送剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様
にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。 実施例6〜9 電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤および結着樹脂の
他に、電子受容性化合物として、p−ベンゾキノン(B
Q、酸化還元電位=−0.81V)、2,6−ジt−ブ
チル−p−ベンゾキノン(Bu−BQ、酸化還元電位=
−1.30V)、3,5−ジメチル−3’,5’−ジt
−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(MB−DPQ、
酸化還元電位=−0.86V)および3,3’,5,
5’−テトラt−ブチル−4,4’−ジフェノキノン
(Bu−DPQ、酸化還元電位=−0.94V)のいず
れか10重量部を溶媒とともに混合分散させたこと以外
は上記実施例1〜2と同様にして、デジタル光源用の単
層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。 比較例8 電子受容性化合物として2,5−ジクロロ−p−ベンゾ
キノン(Cl−BQ、酸化還元電位=−0.51V)を
10重量部使用したこと以外は上記実施例6〜9と同様
にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水田 泰史 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) : 【化1】 (式中、nは1〜2の整数である。)で表されるアザフ
    ルオレノン誘導体。
  2. 【請求項2】導電性基体上に有機感光層を設けた電子写
    真感光体であって、前記有機感光層が、下記一般式(1)
    で表されるアザフルオレノン誘導体を電子輸送剤として
    含有することを特徴とする電子写真感光体。 【化2】 (式中、nは1〜2の整数である。)
  3. 【請求項3】前記有機感光層が、−0.8〜−1.3V
    の酸化還元電位を有する電子受容性化合物を含有する請
    求項2記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】前記有機感光層が、フタロシアニン系顔料
    を電荷発生剤として含有する請求項2または3記載の電
    子写真感光体。
  5. 【請求項5】前記有機感光層が、下記一般式(2) で表さ
    れるペリレン顔料を電荷発生剤として含有する請求項2
    または3記載の電子写真感光体。 【化3】 (式中、Ra ,Rb ,Rc ,Rd は同一または異なっ
    て、水素原子、アルキル基、アルコキシル基またはアリ
    ール基を示す。)
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