JPH08157476A - ジニトロピリドキナゾリン誘導体、その製造方法およびそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

ジニトロピリドキナゾリン誘導体、その製造方法およびそれを用いた電子写真感光体

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JPH08157476A
JPH08157476A JP6297503A JP29750394A JPH08157476A JP H08157476 A JPH08157476 A JP H08157476A JP 6297503 A JP6297503 A JP 6297503A JP 29750394 A JP29750394 A JP 29750394A JP H08157476 A JPH08157476 A JP H08157476A
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JP
Japan
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formula
electron
charge
compound
layer
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Application number
JP6297503A
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English (en)
Inventor
Yukimasa Watanabe
征正 渡辺
Nobuko Akiba
伸子 秋葉
Hirobumi Kawaguchi
博文 川口
Yasushi Mizuta
泰史 水田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Mita Industrial Co Ltd
Original Assignee
Mita Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 式: 【化4】 (式中、R1 はアルキル基を示し、mは0〜4の整数で
ある。)で表されるジニトロピリドキナゾリン誘導体は
粗生成物を有機酸で処理して合成され、電子輸送剤とし
て電子写真感光体の感光層に含有される。 【効果】 上記誘導体(1')は高い電子輸送性を有するた
め、この誘導体を電子輸送剤として含有する本発明の電
子写真感光体は、残留電位が著しく低下し、高い感度を
有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジニトロピリドキナゾ
リン誘導体、その製造方法およびこれを用いた電子写真
感光体に関し、より詳しくは複写機、レーザープリンタ
ー等に使用される電子写真用有機感光体などにおいて電
子輸送剤として好適に使用されるジニトロピリドキナゾ
リン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】カー
ルソンプロセスを用いた複写機等の画像形成装置におい
ては、種々の材料からなる電子写真感光体が使用されて
いる。その1つはセレンのような無機材料を感光層に用
いた無機感光体であり、他は電荷発生剤や電荷輸送剤を
結着樹脂中に含有させた感光層を用いた有機感光体であ
る。有機感光体は無機感光体に比べて安価でしかも生産
性が高い上、無公害である等の多くの利点を有している
ことから、広範な研究が進められている。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸
送層とを積層した所謂機能分離型の有機感光体、すなわ
ち積層型の感光体が多いが、電荷発生剤と電荷輸送剤と
を感光層中に分散させた単層型の有機感光体も知られて
いる。これらの感光体に使用される電荷輸送剤として
は、キャリヤ移動度の高いものが要求されているが、キ
ャリヤ移動度の高い電荷輸送剤は殆どが正孔輸送性であ
る。そのため、実用に供されているのは、機械的強度面
から最外層に電荷輸送層を設けた負帯電型の積層型有機
感光体に限られている。しかしながら、負帯電型の有機
感光体では、負極性コロナ放電を利用するため、オゾン
の発生量が多く、従って環境を汚染したり、感光体を劣
化させるなどの問題があった。
【0004】そこで、このような欠点を排除するため
に、電荷輸送剤として電子輸送剤を使用することが検討
されており、特開平1−206349号公報には、ジフ
ェノキノン構造を有する化合物を電子写真感光体用の電
子輸送剤として使用することが提案されている。しかし
ながら、一般に、ジフェノキノン類を含む従来の電子輸
送剤は、結着樹脂との相溶性に乏しく、ホッピング距離
が長くなるため、低電界での電子移動が生じ難い。その
ため、従来の電子輸送剤を含有した電子写真感光体は残
留電位がかなり高くなり、感度が小さいという欠点があ
った。
【0005】本発明の主たる目的は、電子輸送能に優れ
た新規な化合物を提供することである。本発明の他の目
的は、残留電位が低いレベルに抑制され、優れた感度を
示す単層型および積層型の電子写真感光体を提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、式:
【0007】
【化6】
【0008】(式中、R1 はアルキル基を示し、nは1
〜4の整数である。)で表されるジニトロピリドキナゾ
リン誘導体が電子輸送能に優れており、これを電子輸送
剤として電子写真感光体の感光層に含有させるときは、
残留電位が低いレベルに抑制され、優れた感度を示す感
光体が得られるという新たな事実を見出し、本発明を完
成するに至った。
【0009】本発明のかかるジニトロピリドキナゾリン
誘導体(1) は、従来のジフェノキノン誘導体に比べて、
より拡がりを持ったπ電子共役系を有するため、高い電
子輸送能を有する。また、この誘導体(1) は、2つのニ
トロ基をベンゼン環に導入することにより、溶剤への溶
解性および結着樹脂との相溶性が良好であると共に、電
荷発生剤とのマッチングに優れたものになり、電子の注
入が円滑に行われ、特に低電界での電子輸送性に優れて
いる。
【0010】R1 で表されるアルキル基の置換数nは0
〜4であるのが、結着樹脂との相溶性のうえで好まし
い。また、アルキル基の置換位置はとくに限定されるも
のではない。アルキル基としては、例えばメチル、エチ
ル、n-プロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル基などの炭素数が1〜6のアルキル基があ
げられる。
【0011】ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ
素、ヨウ素があげられる。本発明の電子写真感光体は、
導電性基体上に有機感光層を設けたものであって、前記
有機感光層が、電子輸送剤として下記一般式(1')で表さ
れるジニトロピリドキナゾリン誘導体を含有することを
特徴とする。
【0012】
【化7】
【0013】(式中、R1 はアルキル基、mは0〜4の
整数である。) かかる本発明の電子写真感光体は、上記ジニトロピリド
キナゾリン誘導体(1')を含有しているため、電子輸送能
力が著しく向上し、その結果、再結合する電子と正孔の
割合が減少して、見掛けの電荷発生効率が実際の値に近
づき、感光体の感度が向上する。また、感光体の残留電
位も低くなり、繰り返し露光を行った際の安定性、耐久
性も向上する。
【0014】前記有機感光層は、前記した電子輸送剤に
加えて、−0.8〜−1.3Vの酸化還元電位を有する
電子受容性化合物を含有するのが、電荷発生剤からの電
子の引抜き効果が高まり好ましい。前記一般式(1') で
表される本発明のジニトロピリドキナゾリン誘導体に
は、例えば下記の化合物が包含される。
【0015】
【化8】
【0016】
【化9】
【0017】本発明のジニトロピリドキナゾリン誘導体
(1') は、下記に示すようにして合成することができ
る。
【0018】
【化10】
【0019】(式中、R1 およびmは前記と同じ、R2
はアルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示す。) 式(10)で表されるハロゲン置換3,5−ジニトロ安息香
酸はアルコールR2 OHと硫酸などの酸を触媒として反
応し、対応するエステル(11)を得る。反応は所定量の上
記安息香酸(10)をアルコールR2 OHに溶解し、20〜
130℃で1〜12時間加熱することによって行われ
る。
【0020】ついで、得られたハロゲン置換3,5−ジ
ニトロ安息香酸エステル(11)を式(12)で表される2−ア
ミノピリジン誘導体と反応させ、目的物であるジニトロ
ピリドキナゾリン誘導体(1')(式(1) の化合物も含む)
を得る。上記安息香酸エステル(11)と2−アミノピリジ
ン誘導体(12)との割合はほぼ等モル量である。反応は無
水酢酸ナトリウムの存在下、非水系溶媒中にて行われ
る。非水系溶媒としては、例えば乾燥エタノール、メタ
ノールなどの低級アルコール類、アセトンなどのケトン
類などがあげられる。反応温度は40〜130℃で反応
時間は4〜12時間程度であるのがよい。
【0021】本発明においては、上記安息香酸エステル
(11)と2−アミノピリジン誘導体(12)との反応中または
反応後に生成物を有機酸で処理する。反応中の処理とし
ては、例えば上記非水系溶媒として有機酸を単独または
他の非水系溶媒と混合して用いて、上記反応温度および
時間で反応を行わせる方法があげられる。。また、反応
後の処理としては、粗生成物を有機酸に溶解し、0.5
〜12時間、好ましくは1〜4時間加熱する方法があげ
られる。いずれの処理を行うときも、目的物であるジニ
トロピリドキナゾリン誘導体(1')の収率を著しく向上さ
せることができる。
【0022】本発明の電子写真感光体は、単層型と積層
型とに大別される。単層型の電子写真感光体は導電性基
体上に有機感光層を設けたものであって、前記有機感光
層が、結着樹脂中に、少なくとも電荷発生剤、正孔輸送
剤と共に、前記一般式(1')で表されるジニトロピリドキ
ナゾリン誘導体を電子輸送剤として含有したものであ
る。
【0023】この単層型電子写真感光体においては、感
光体の残留電位が大きく低下し、感度を向上させること
ができる。本発明の単層型感光体は正帯電および負帯電
のいずれにも適用可能であるが、とくに正帯電型で使用
するのが好ましい。上記単層型電子写真感光体の有機感
光層には、−0.8〜−1.3Vの酸化還元電位を有す
る電子受容性化合物を含有させると、電荷発生剤からの
電子の引抜きが効率よく行われるようになり、感光体の
感度がより一層向上する。
【0024】一方、本発明の積層型電子写真感光体は、
導電性基体上に少なくとも電荷発生層および電荷輸送層
をこの順に設けたものであって、前記電荷輸送層に電子
輸送剤として前記一般式(1') で表されるジニトロピリ
ドキナゾリン誘導体を含有する。この電子写真感光体
は、正帯電型として使用され、残留電位が大きく低下
し、感度を向上させることができる。
【0025】電荷発生層から電荷輸送層への電子の授受
を円滑に行わせる上で、電荷発生層にも前記一般式(1')
で表されるジニトロピリドキナゾリン誘導体を含有さ
せてもよい。また、導電性基体上に少なくとも電荷発生
層および電荷輸送層をこの順に設けた積層型電子写真感
光体において、電荷輸送層に、電子輸送剤として前記一
般式(1')で表されるジニトロピリドキナゾリン誘導体を
含有させ、かつ電荷発生層に−0.8〜−1.3Vの酸
化還元電位を有する電子受容性化合物を含有させてもよ
い。
【0026】前記酸化還元電位の測定は、以下の材料を
用い、3電極式のサイクリックボルターメトリーにして
行う。 電極:作用電極(グラッシーカーボン電極)、対極(白
金電極) 参照電極:銀硝酸電極(0.1モル/リットルAgNO
3 −アセトニトリル溶液) 測定溶液 電解質:過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモ
ニウム0.1モル 測定物質:電子輸送剤 0.001モル 溶剤:CH2 Cl2 1リットル 以上の材料を調合して測定溶液を調製する。
【0027】酸化還元電位の算出:図1に示すように、
索引電圧(V)と電流(μA)との関係を求めて同図に
示すE1 とE2 とを測定し、以下の計算式により酸化還
元電位を求める。 酸化還元電位=(E1 +E2 )/2 (V) 本発明における前記ジニトロピリドキナゾリン誘導体
(1') は、溶剤への溶解性および結着樹脂との相溶性が
良好であると共に、電荷発生剤とのマッチングに優れ電
子の注入が円滑に行われ、かつ特に低電界での電子輸送
性に優れている。
【0028】従って、本発明の単層型正帯電感光体は、
露光工程において電荷発生剤から放出された電子が前記
一般式(1')で表される電子輸送剤にスムーズに注入さ
れ、ついで電子輸送剤間での電子の授受により電子は感
光層の表面に移動されて、感光層表面に帯電させた正電
荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は正孔輸送剤に
注入されて、途中でトラップされることなく、導電性基
体の表面に移動し、導電性基体の表面の負電荷(−)を
打ち消す。このようにして、正帯電型の感光体の感度が
向上するものと考えられる。単層型感光体を負帯電で使
用した場合は、上記と電荷移動の方向が逆になるだけで
同様に感度が向上する。
【0029】また、本発明の積層型正帯電感光体では、
露光工程において電荷発生層の電荷発生剤から放出され
た電子が、電荷輸送層中の前記一般式(1')で表される電
子輸送剤にスムーズに注入され、ついで電子輸送剤間で
の電子の授受により電子は電荷輸送層中を移動し、感光
層表面に達し、あらかじめ感光層表面に帯電させた正電
荷(+)を打ち消す。一方、正孔(+)は電荷発生層か
ら直接導電性基体の表面に移動し、導電性基体の表面の
負電荷(−)を打ち消す。このようにして積層型正帯電
感光体の感度が向上するものと考えられる。
【0030】感光体への露光により光を吸収した電荷発
生剤は、イオン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成す
る。この生成したイオン対がフリーキャリヤとなり有効
に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合して
消失してしまう割合が小さいほうがよい。ここで、酸化
還元電位が−0.8〜−1.3Vである電子受容性化合
物が存在すると、LUMO(分子内で電子が専有してい
る分子軌道の中で最もエネルギーが高い準位をいい、励
起される電子は通常この準位の電子である。)のエネル
ギー準位が電荷発生剤よりも低いため、イオン対の生成
の際、電子が電子受容性化合物に移動し、イオン対がキ
ャリヤへ分離し易くなる。すなわち、電子受容性化合物
が電荷発生に作用し、その発生効率を向上させるのであ
る。
【0031】一方、高感度であるためには、フリーキャ
リヤの移動時に不純物によるキャリヤトラップが発生し
ないことも必要である。通常、フリーキャリヤの移動過
程には少量の不純物などによるトラップが存在し、フリ
ーキャリヤは、トラップ−脱トラップを繰り返しながら
移動する。従って、フリーキャリヤが脱トラップ不可能
なレベルに落ち込むと、キャリヤトラップとなってしま
い、その移動は中止される。
【0032】酸化還元電位が−0.8Vよりも大きい電
子受容性化合物を使用した場合は、分離したフリーキャ
リヤを脱トラップ不可能なレベルに落とし込み、キャリ
ヤトラップを生じる。これとは逆に、酸化還元電位が−
1.3Vより小さい電子受容性化合物の場合は、LUM
Oのエネルギー準位が電荷発生剤よりも高くなり、イオ
ン対の生成の際、電子が電子受容性化合物に移動せず、
電荷発生効率の向上に繋がらないものと考えられる。
【0033】前記正孔輸送剤としては、従来公知の正孔
輸送物質が使用され、例えば2,5−ジ(4−メチルア
ミノフェニル)、1,3,4−オキサジアゾール等のオ
キサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノス
チリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニ
ルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシ
ラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノ
フェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラ
ゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドー
ル系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール
系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合
物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリ
アゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化
合物等があげられる。
【0034】これらの電荷輸送材料は、1種または2種
以上を混合して用いられる。また、ポリビニルカルバゾ
ール等の成膜性を有する電荷輸送材料を用いる場合に
は、結着樹脂は必ずしも必要でない。前記正孔輸送剤の
うち、本発明では、イオン化電位が4.8〜5.6eV
のものを使用するのが好ましく、電界強度3×105
/cmで1×10-6cm2 /V・秒以上の移動度を有す
るものが特に好ましい。具体的には、アルキル置換トリ
フェニルアミン誘導体が好ましい。
【0035】正孔輸送剤のイオン化電位は、電子輸送剤
におけると同様に、大気下光電子分析装置(理研計器
(株)製のAC−1)を用いて測定したものである。本
発明において、正孔輸送剤として、イオン化電位が前記
範囲内にあるものを用いることによって、より一層残留
電位を低下させ、感度を向上させ得る。その理由は必ず
しも明らかではないが、以下のようなものと考えられ
る。
【0036】すなわち、電荷発生剤から正孔輸送剤への
電荷の注入のし易さは正孔輸送剤のイオン化電位と密接
に関係しており、正孔輸送剤のイオン化電位が前記範囲
よりも大きい場合には、電荷発生剤から正孔輸送剤への
電荷の注入の程度が低くなるか、あるいは正孔輸送剤間
での正孔の授受の程度が低くなるため、感度の低下が生
じるものと認められる。
【0037】一方、正孔輸送剤と電子輸送剤とが共存す
る系では、両者の間の相互作用、より具体的には電荷移
動錯体の形成に注意する必要がある。両者の間にこのよ
うな錯体が形成されると、正孔と電子との間に再結合が
生じ、全体として電荷の移動度が低下する。正孔輸送剤
のイオン化電位が前記範囲よりも小さい場合には、電子
輸送剤との間に錯体を形成する傾向が大きくなり、電子
−正孔の再結合が生じるために、見掛けの量子収率が低
下し、感度の低下に結びつくものと思われる。
【0038】従って、前記一般式(1')で表されるジニト
ロピリドキナゾリン誘導体には、できるだけ嵩高い置換
基を導入し、その立体障害により正孔輸送剤との間での
錯体の形成を抑制するのが好ましい。本発明に用いられ
る好適な正孔輸送剤としては、とくに限定されるもので
はないが、例えば1,1−ビス(4−ジエチルアミノフ
ェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、
N,N′−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−N,
N′−ジフェニルベンジジン、3,3′−ジメチル−
N,N,N′,N′−テトラキス−4−メチルフェニル
(1,1′−ビフェニル)−4,4′−ジアミン、N−
エチル−3−カルバゾリルアルデヒド−N,N′−ジフ
ェニルヒドラゾン、4−〔N,N−ビス(p−トルイ
ル)アミノ〕−β−フェニルスチルベン等があげられ
る。
【0039】前記電子受容性化合物としては、電子受容
性を有し、−0.8〜−1.3Vの酸化還元電位を有す
る化合物であれば、とくに制限はなく、例えばベンゾキ
ノン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ジフェノ
キノン系、マロノニトリル、チオピラン系化合物、2,
4,8−トリニトロチオキサントン、3,4,5,7−
テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン系化
合物、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニ
トロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、等があ
げられる。このうち、とくにジフェノキノン系は、分子
鎖末端に電子受容性に優れたキノン系酸素原子が結合し
ており、かつ長い分子鎖全体にわたって共役二重結合が
あるため、分子内での電子の移動も容易であり、しかも
電子の授受が容易に行われるという利点があるため、と
くに好ましい。また、前記した各電子受容性化合物は電
荷発生に寄与している。
【0040】前記ベンゾキノン系化合物としては、例え
ばp−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−p−ベンゾキ
ノン、2,6−ジt−ブチル−p−ベンゾキノンなどが
あげられる。また、ジフェノキノン系化合物としては、
例えば下記の一般式(4)〜(7)で表される誘導体があげら
れる。
【0041】
【化11】
【0042】
【化12】
【0043】(各式中、R13、R14、R15、R16、R17
およびR18は、同一または異なって、水素原子、アルキ
ル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シク
ロアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基を示
す。) 前記アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-プ
ロピル、イソプロピル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル基などの炭素数が1〜6のアルキル基が、アルコキシ
基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、
t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基など
の炭素数が1〜6のアルコキシ基が、アリール基として
は、例えばフェニル基、ナフチル基などが、アラルキル
基としては、例えばベンジル、ベンズヒドリル、トリチ
ル、フェネチル基などが、シクロアルキル基としては、
例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ
ル、シクロヘキシルなどの炭素数が3〜6のシクロアル
キル基がそれぞれあげられる。また、置換基を有してい
てもよいアミノ基としては、例えばアミノ基のほか、モ
ノメチルアミノ、ジメチルアミノ、モノエチルアミノ、
ジエチルアミノ基などがあげられる。
【0044】式(4) 〜(7) で表されるジフェノキノン系
化合物の具体例としては、例えば3,5−ジメチル−
3′,5′−ジt−ブチルジ−4,4′−ジフェノキノ
ン、3,3′−ジメチル−5,5′−ジt−ブチル−
4,4′−ジフェノキノン、3,5′−ジメチル−3,
5′−ジt−ブチル−4,4′−ジフェノキノンなどが
あげられる。これらの置換基を有するジフェノキノン系
化合物は、分子の対称性が低いために分子間の相互作用
が小さく、溶解性に優れているために好ましい。また、
式(4) で表されるジフェノキノン系化合物としては、例
えば3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジ
フェノキノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−
4,4′−ジフェノキノン、3,3′,5,5′−テト
ラt−ブチル−4,4′−ジフェノキノンなどがあげら
れる。これらのジフェノキノン系化合物は、単独または
二種以上を混合して使用することができる。
【0045】本発明において使用される電荷発生剤とし
ては、例えばセレン、セレン−テルル、アモルファスシ
リコン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、アンサンスロン系
顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ナフタ
ロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、トリフェニルメタ
ン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリ
ン系顔料、キナクリドン系顔料、ジチオケトピロロピロ
ール系顔料等があげられる。これらの電荷発生剤は、所
望の領域に吸収波長を有するように、一種または二種以
上を混合して用いることができる。その際、正孔輸送剤
としてイオン化電位が4.8〜5.6eVのものを使用
することに関連して、電荷発生剤としても、正孔輸送剤
とバランスしたイオン化電位を有するもの、具体的には
イオン化電位が4.8〜6.0eV、特に5.0〜5.
8eVの範囲にあるものを用いるのが残留電位の低減、
感度の向上の上で望ましい。特に好適な電荷発生剤とし
ては、X型無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタ
ロシアニン等のフタロシアニン系顔料またはペリレン系
顔料が例示される。
【0046】このうち、フタロシアニン系顔料は、70
0nm以上の波長領域に感度を有する感光体の電荷発生
材料として好適である。すなわち、上記フタロシアニン
系顔料は、前記一般式(1')で表される化合物(電子輸送
剤)とのマッチングに優れるため、この両者を併用した
電子写真感光体は、上記波長領域において高感度であ
り、従って700nm以上の波長を有する光源を使用し
たデジタル光学系の画像形成装置に好適に使用すること
ができる。
【0047】また、ペリレン系顔料としては、一般式:
【0048】
【化13】
【0049】(式中、Ra , Rb , Rc , Rd は同一ま
たは異なって、水素原子、アルキル基、アルコキシ基ま
たはアリール基を示す。)で表される化合物が好適に使
用される。アルキル基、アルコキシ基およびアリール基
としては、前記と同様な基が例示される。このペリレン
系顔料は、可視領域に感度を有する感光体の電荷発生材
料として好適である。すなわち、上記ペリレン系顔料
(3) は、前記一般式(1')で表される化合物(電子輸送
剤)とのマッチングに優れるため、この両者を併用した
電子写真感光体は、可視領域において高感度であり、従
って可視領域の波長を有する光源を使用したアナログ光
学系の画像形成装置に好適に使用することができる。
【0050】上記の各成分を分散させるための結着樹脂
としては、従来より有機感光層に使用されている種々の
樹脂を使用することができ、例えばスチレン系重合体、
スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニ
トリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アク
リル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエ
チレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマ
ー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、
アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボ
ネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタ
レート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、
ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂
や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、
尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹
脂、さらにエポキシアクリレート、ウレタン−アクリレ
ート等の光硬化性樹脂等があげられる。これらの結着樹
脂は1種または2種以上を混合して用いることができ
る。好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリル系重合
体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル、ア
ルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート等であ
る。
【0051】単層型の電子写真感光体を得るには、所定
の電子輸送剤を、電荷発生剤、正孔輸送剤、結着樹脂等
と共に適当な溶剤に溶解または分散した塗布液を、塗布
等の手段によって導電性基体上に塗布し、乾燥させれば
よい。積層型の電子写真感光体を得るには、まず導電性
基体上に、蒸着または塗布等の手段によって電荷発生剤
を含有する電荷発生層を形成し、ついでこの電荷発生層
上に、電子輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布等の
手段によって塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成すれ
ばよい。
【0052】単層型の感光体においては、結着樹脂10
0重量部に対して電荷発生剤は0.1〜50重量部、好
ましくは0.5〜30重量部の割合で配合され、電子輸
送剤は5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部
の割合で配合される。また、正孔輸送剤は5〜500重
量部、好ましくは25〜200重量部の割合で配合す
る。さらに、正孔輸送剤と電子輸送剤との総量は、結着
樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好まし
くは30〜200重量部であるのが適当である。単層型
の感光層に電子受容性化合物を含有させる場合は、電子
受容性化合物を結着樹脂100重量部に対して0.1〜
40重量部、好ましくは0.5〜20重量部で配合する
のが適当である。
【0053】また、単層型の感光層の厚さは5〜100
μm、好ましくは10〜50μmである。積層型感光体
においては、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹
脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹
脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量
部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するの
が適当である。電荷発生層に電子受容性化合物を含有さ
せる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂100重量部
に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜20
重量部で配合するのが適当である。また、電荷発生層に
ジニトロピリドキナゾリン誘導体(1')を含有させる場合
は、この誘導体(1')を結着樹脂100重量部に対して
0.5〜50重量部、好ましくは1〜40重量部で配合
するのが適当である。
【0054】電荷輸送層を構成する電子輸送剤と結着樹
脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しな
い範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射
により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるよう
に、結着樹脂100重量部に対して電子輸送剤を10〜
500重量部、好ましくは25〜100樹脂の割合で配
合するのが適当である。電荷輸送層に電子受容性化合物
を含有させる場合は、電子受容性化合物を結着樹脂10
0重量部に対して0.1〜40重量部、好ましくは0.
5〜20重量部で配合するのが適当である。
【0055】また、積層型の感光層の厚さは、電荷発生
層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm
程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは
5〜50μm程度である。単層型感光体にあっては、導
電性基体と感光層との間に、また積層型感光体にあって
は、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷
輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、
感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されて
いてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成さ
れていてもよい。
【0056】単層型および積層型の各感光層には、電子
写真特性に悪影響を与えない範囲で、それ自体公知の種
々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重
項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化
剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定
剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合すること
ができる。
【0057】また、感光層の感度を向上させるために、
例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチ
レン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
また、前記一般式で表される化合物と共に、従来公知の
他の電子輸送剤を感光層に含有させてもよい。このよう
な電子輸送剤としては、例えばベンゾキノン系、ジフェ
ノキノン系、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テ
トラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサ
ントン、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレ
ノン等のフルオレノン系化合物、ジニトロベンゼン、ジ
ニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアン
トラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、
無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等があげられ
る。
【0058】本発明の感光体に使用される導電性基体と
しては、導電性を有する種々の材料を使用することがで
き、例えばアルミニウム、鉄、銅、スズ、白金、銀、バ
ナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、
ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真
鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートさ
れたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化ス
ズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が例示され
る。
【0059】導電性基体はシート状、ドラム状等の何れ
であってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるい
は基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電
性基体は、使用に際して、充分な機械的強度を有するも
のが好ましい。本発明における感光層は、前記した各成
分を含む樹脂組成物を溶剤に溶解ないし分散した塗布液
を導電性基体上に塗布、乾燥して製造される。
【0060】すなわち、前記例示の電荷発生剤、電荷輸
送剤、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、公知の方
法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペ
イントシェーカーあるいは超音波分散器等を用いて分散
混合して塗布液を調製し、これを公知の手段により塗
布、乾燥すればよい。塗布液をつくるための溶剤として
は、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のア
ルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン
等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水
素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ア
セトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケ
トン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメ
チルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は1種又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0061】さらに、電荷輸送材料や電荷発生材料の分
散性、感光層表面の平滑性をよくするために界面活性
剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0062】
【実施例】以下、参考例、合成例、実施例および比較例
をあげて本発明を詳細に説明する。 参考例 (2−クロロ−3,5−ジニトロ安息香酸メチルの合
成)2−クロロ−3,5−ジニトロ安息香酸18.2g
(74ミリモル)をメタノール50mlに溶解し、硫酸
5mlを加えて、還流下で6時間反応させた。反応後、
溶媒を留去し、エーテルに溶解した後、水洗した。エー
テル層を乾燥後、溶媒を留去して、標記化合物18.7
gを得た(収率97%)。 合成例1 (前記した例示化合物aの合成)参考例で得た2−クロ
ロ−3,5−ジニトロ安息香酸メチル4.9g(19ミ
リモル)と2−アミノピリジン1.8g(19ミリモ
ル)とを、酢酸ナトリウム1.7g(21ミリモル)を
添加した乾燥エタノール70mlに溶解させ、還流下で
12時間反応させ、黄色結晶4.1gを得た。
【0063】この反応生成物をろ過、乾燥し、これを酢
酸に還流下で加熱溶解した。冷却後、析出した結晶をろ
過、乾燥して、標記化合物3.6gを得た(収率67
%)。 融点 >280℃(分解) 生成物の赤外線吸収スペクトルを図2に示す。一方、酢
酸で処理せずに、上記黄色結晶をそのままカラム精製
(溶出液:クロロホルム−ヘキサン)を行ったところ、
標記化合物3.2gが得られた(収率59%)。 合成例2 (前記した例示化合物bの合成)参考例で得た2−クロ
ロ−3,5−ジニトロ安息香酸メチル3g(12ミリモ
ル)と2−アミノ−4−メチルピリジン1.3g(12
ミリモル)とを、酢酸ナトリウム1.0g(12ミリモ
ル)を添加した乾燥エタノール50mlに溶解させ、還
流下で12時間反応させ、黄色結晶2.5gを得た。
【0064】この反応生成物をろ過、乾燥し、これを酢
酸に還流下で加熱溶解した。冷却後、析出した結晶をろ
過、乾燥して、標記化合物2.2gを得た(収率64
%)。 融点233℃ 生成物の赤外線吸収スペクトルを図3に示す。一方、酢
酸で処理せずに、上記黄色結晶をそのままカラム精製
(溶出液:クロロホルム−ヘキサン)を行ったところ、
標記化合物2.0gが得られた(収率58%)。 合成例3 (前記した例示化合物cの合成)参考例で得た2−クロ
ロ−3,5−ジニトロ安息香酸メチル5g(20ミリモ
ル)と2−アミノ−4,6−ジメチルピリジン2.4g
(20ミリモル)とを、酢酸ナトリウム1.6g(20
ミリモル)を添加した乾燥エタノール70mlに溶解さ
せ、還流下で12時間反応させ、黄色結晶4.8gを得
た。
【0065】この反応生成物をろ過、乾燥し、これを酢
酸に還流下で加熱溶解した。冷却後、析出した結晶をろ
過、乾燥して、標記化合物4.4gを得た(収率73
%)。 融点235℃ 生成物の赤外線吸収スペクトルを図3に示す。合成例3
の反応式を以下に示す。
【0066】
【化14】
【0067】一方、酢酸で処理せずに、上記黄色結晶を
そのままカラム精製(溶出液:クロロホルム−ヘキサ
ン)を行ったところ、標記化合物0.3gが得られた
(収率5%)。 《デジタル光源用単層型感光体》 実施例1〜6 電荷発生剤であるX型メタルフリーフタロシアニン(X
φ、Ip=5.38eV)またはオキソチタニルフタロ
シアニン(Tiφ、Ip=5.32eV)5重量部と、
電子輸送剤である合成例1〜3で得たジニトロピリドキ
ナゾリン誘導体(a) 〜(c)のいずれか30重量部と、正
孔輸送剤であるN,N,N′,N′−テトラキス(p−
メチルフェニル)−3,3′−ジメチルベンジジン(D
B、Ip=5.56eV)50重量部と、結着樹脂であ
るポリカーボネート100重量部とを800重量部のテ
トラヒドロフランとともにボールミルにて50時間混合
分散させて、単層型感光層塗布液を調製した。ついでこ
の塗布液をアルミニウム素管の表面にディップコート法
にて塗布し、100℃で60分間熱風乾燥させて、膜厚
15〜20μmのデジタル光源用の単層型感光層を有す
る電子写真感光体を作製した。 比較例1 電子輸送剤として、3,5−ジメチル−3′,5′−ジ
t−ブチル−4,4′−ジフェノキノン(DQ)30重
量部を使用したほかは実施例1〜6と同様にして、デジ
タル光源用の単層型感光層を有する電子写真感光体を作
製した。 比較例2 電子輸送剤を添加しなかったほかは実施例1〜6と同様
にして、デジタル光源用の単層型感光層を有する電子写
真感光体を作製した。 《デジタル光源用積層型感光体》 実施例7〜9 電荷発生剤であるX型メタルフリーフタロシアニン2重
量部と、結着樹脂であるポリビニルブチラール1重量部
とを、120重量部のジクロロメタンとともにボールミ
ルにて混合分散させて、電荷発生層用の塗布液を調製し
た。そしてこの塗布液をアルミニウム素管の表面にディ
ップコート法にて塗布し、100℃で60分間熱風乾燥
させて、膜厚0.5μmの電荷発生層を形成した。
【0068】つぎに、電子輸送剤である、合成例1〜3
で得たジニトロピリドキナゾリン誘導体(a) 〜(c)のい
ずれか80重量部と、結着樹脂であるポリカーボネート
100重量部とを800重量部のベンゼンとともにボー
ルミルにて混合分散させて、電荷輸送層用の塗布液を調
製した。そしてこの塗布液を上記電荷発生層上にディッ
プコート法にて塗布し、90℃で60分間熱風乾燥させ
て、膜厚15μmの電荷輸送層を形成して、デジタル光
源用の積層型感光層を有する電子写真感光体を作製し
た。 比較例3 電子輸送剤である3,5−ジメチル−3′,5′−ジt
−ブチル−4,4′−ジフェノキノン(DQ)を使用し
たほかは実施例7〜9と同様にして、デジタル光源用の
積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
【0069】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて下記の光感度試験Iを行い、その感度特性を評価
した。 光感度試験I ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機
を用いて、各実施例、比較例の感光体の表面に印加電圧
を加えて、その表面を+700Vに帯電させた。そし
て、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンド
パスフィルターを用いて取り出した、波長780nm(半
値幅20nm)、光強度16μW/cm2 の単色光を感光
体の表面に照射(光照射時間80msec.)して、露
光開始から330msec.経過した時点での表面電位
を、露光後電位VL (V)として測定した。露光後電位
VL (V)が小さいほど、電子写真感光体は高感度であ
る。その結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】《アナログ光源用単層型感光体》 実施例10〜12 電荷発生剤として前記一般式(3) 中のRa 〜Rb が共に
メチル基であるペリレン顔料(Pe)5重量部を使用し
たほかは実施例1〜6と同様にして、アナログ光源用の
単層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。 比較例4 電子輸送剤として3,5−ジメチル−3′,5′−ジt
−ブチル−4,4′−ジフェノキノン(DQ)30重量
部を使用したほかは実施例10〜12と同様にして、ア
ナログ光源用の単層型感光層を有する電子写真感光体を
作製した。 《アナログ光源用積層型感光体》 実施例13〜15 電荷発生剤として、前記一般式(3) 中のRa 〜Rb が共
にメチル基であるペリレン顔料(Pe)2重量部を使用
したほかは実施例7〜9と同様にして、アナログ光源用
の積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。 比較例5 電子輸送剤として3,5−ジメチル−3′,5′−ジt
−ブチル−4,4′−ジフェノキノン(DQ)80重量
部を使用したほかは実施例13〜15と同様にして、ア
ナログ光源用の積層型感光層を有する電子写真感光体を
作製した。
【0072】上記各実施例、比較例の電子写真感光体に
ついて下記の光感度試験IIを行い、その感度特性を評価
した。 光感度試験II ジェンテック(GENTEC)社製のドラム感度試験機
を用いて、各実施例、比較例の感光体の表面に印加電圧
を加えて、その表面を+700Vに帯電させた。つい
で、露光光源であるハロゲンランプの白色光(光強度1
47μW/cm2)を感光体の表面に照射(照射時間5
0msec.)して、露光開始から330msec.経
過した時点での表面電位を、露光後電位VL (V)とし
て測定した。露光後電位VL (V)が小さいほど、電子
写真感光体は高感度である。結果を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】表1および表2から、実施例の感光体は、
残留電位が低下しており、高い感度を有していることが
わかる。 実施例16〜19および比較例6 電荷発生剤としてX型メタルフリーフタロシアニン顔料
(Xφ)5重量部と、正孔輸送剤としてN,N,N’,
N’−テトラキス(p−メチルフェニル)−3,3’−
ジメチルベンジジン(DB)50重量部と、電子輸送剤
として合成例3で得たジニトロピリドキナゾリン誘導体
(c) 30重量部と、電子受容性化合物として下記の化合
物A〜Eのいずれか10重量部と、結着樹脂としてポリ
カーボネート100重量部と、溶媒としてジクロロメタ
ン800重量部とをボールミルで50時間混合分散し、
単層型感光層塗布液を調製した。ついで、この塗布液を
アルミニウム素管上に塗布した後、100℃で60分間
熱風乾燥して、膜厚15〜20μmの単層型電子写真感
光体を作製した。電子受容性化合物 A:p−ベンゾキノン(酸化還元電位:−0.81V) B:2,6−ジt−ブチル−p−ベンゾキノン(酸化還
元電位:−1.30V) C:3,5−ジメチル−3′,5′−ジt−ブチル−
4,4′−ジフェノキノン(酸化還元電位:−0.86
V) D:3,3′,5,5′−テトラt−ブチル−4,4′
−ジフェノキノン(酸化還元電位:−0.94V) E:2,5−ジクロロ−p−ベンゾキノン(酸化還元電
位:−0.51V) 得られた各電子写真感光体を用いて、前記した光感度試
験Iを行い、その感度特性を評価した。
【0075】その結果を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】
【発明の効果】本発明のジニトロピリドキナゾリン誘導
体は高い電子輸送能を有するという効果がある。本発明
のジニトロピリドキナゾリン誘導体の製造方法によれ
ば、高収率でジニトロピリドキナゾリン誘導体を製造す
ることができる。
【0078】さらに、前記ジニトロピリドキナゾリン誘
導体を電子輸送剤として含有する本発明の電子写真感光
体は、残留電位が著しく低下し、帯電に対して高い感度
を有するという効果がある。そのため、本発明の感光体
を使用すると、複写機やプリンター等の高速化を図るこ
とができる。また、特定の酸化感電電位を有する電子受
容性化合物を添加することにより、より一層残留電位が
低下し、感度の向上した感光体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における酸化還元電位を求めるための牽
引電圧(V)と電流(A)との関係を示すグラフであ
る。
【図2】合成例1で得た生成物の赤外線吸収スペクトル
である。
【図3】合成例2で得た生成物の赤外線吸収スペクトル
である。
【図4】合成例3で得た生成物の赤外線吸収スペクトル
である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】感光体への露光により光を吸収した電荷発
生剤は、イオン対〔正孔(+)と電子(−)〕を生成す
る。この生成したイオン対がフリーキャリヤとなり有効
に表面電荷を打ち消すためには、イオン対が再結合して
消失してしまう割合が小さいほうがよい。ここで、酸化
還元電位が−0.8〜−1.3Vである電子受容性化合
物が存在すると、LUMO(電子を有しない分子軌道の
中で最もエネルギー準位が低い軌道をいい、励起された
電子は通常この軌道に移動する。)のエネルギー準位が
電荷発生剤よりも低いため、イオン対の生成の際、電子
が電子受容性化合物に移動し、イオン対がキャリヤへ分
離し易くなる。すなわち、電子受容性化合物が電荷発生
に作用し、その発生効率を向上させるのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水田 泰史 大阪府大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: 【化1】 (式中、R1 はアルキル基を示し、nは1〜4の整数で
    ある。)で表されるジニトロピリドキナゾリン誘導体。
  2. 【請求項2】式: 【化2】 (式中、R2 はアルキル基、Xはハロゲン原子を示
    す。)で表されるハロゲン置換3,5−ジニトロ安息香
    酸エステルに、式: 【化3】 (式中、R1 はアルキル基、mは0〜4の整数であ
    る。)で表される2−アミノピリジン誘導体を反応さ
    せ、式: 【化4】 (式中、R1 およびmは前記と同じである。)で表され
    るジニトロピリドキナゾリン誘導体を得るにあたり、上
    記反応の生成物を有機酸で処理することを特徴とするジ
    ニトロピリドキナゾリン誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】導電性基体上に有機感光層を設けた電子写
    真感光体において、前記有機感光層が、電子輸送剤とし
    て下記一般式(1') で表されるジニトロピリドキナゾリ
    ン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。 【化5】 (式中、R1 はアルキル基、mは0〜4の整数であ
    る。)
  4. 【請求項4】前記有機感光層が、−0.8〜−1.3V
    の酸化還元電位を有する電子受容性化合物を含有する請
    求項3記載の電子写真感光体。
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