JP3463775B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

Info

Publication number
JP3463775B2
JP3463775B2 JP15364795A JP15364795A JP3463775B2 JP 3463775 B2 JP3463775 B2 JP 3463775B2 JP 15364795 A JP15364795 A JP 15364795A JP 15364795 A JP15364795 A JP 15364795A JP 3463775 B2 JP3463775 B2 JP 3463775B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
electron
substituted
compound
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP15364795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH096028A (ja
Inventor
季之 深見
一郎 山里
寿和 上垣内
裕二 田中
伸子 秋葉
章雄 菅井
征正 渡辺
泰史 水田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Mita Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Mita Corp filed Critical Kyocera Mita Corp
Priority to JP15364795A priority Critical patent/JP3463775B2/ja
Publication of JPH096028A publication Critical patent/JPH096028A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3463775B2 publication Critical patent/JP3463775B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナフトキノン誘導体を
用いた電子写真感光体に関する。より詳しくは、複写
機、レーザープリンタなどの画像形成装置に使用される
電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】上記
複写機、レーザープリンタなどの電子写真プロセスによ
る画像形成装置には、静電潜像を形成させるための感光
体が用いられている。近年、700nm以上の波長を有
する光源を用いるデジタル光学系画像形成装置において
特に、上記波長領域に感度を有する有機感光体が多く用
いられている。
【0003】有機感光体としては、電荷発生層と電荷輸
送層とを積層した感光層を有する積層型有機感光体(い
わゆる機能分離型有機感光体)および電荷発生剤と電荷
輸送剤とを分散させた1つの感光層を有する単層型有機
感光体の両方がある。また、有機感光体は、その表面に
発生させる電荷により、正帯電型と負帯電型とに分類さ
れる。
【0004】積層型感光体においては、高い光感度で高
速に静電潜像形成を行うために、上記電荷輸送剤はキャ
リヤ移動度が高いことが要求されている。従来公知の電
荷輸送剤には、正孔輸送剤と電子輸送剤とがあり、高い
キャリヤ移動度を有するもののほとんどは、正孔輸送剤
である。このような正孔輸送剤を用いた有機感光体で
は、感光体の機械的強度を確保するために、電荷輸送層
を最外層に設けた負帯電型の積層型構造が必要である。
しかし、負帯電型の有機感光体では、負極性コロナ放電
が利用されるためにオゾンの発生量が多く、環境汚染、
感光体の劣化などの問題がある。
【0005】他方、単層型有機感光体においても、光感
度の向上は重要である。なぜなら、単層型有機感光体は
製造が容易であることから、被膜欠陥の発生防止および
光学的特性の向上を容易に達成し得る利点を有するため
である。しかし、上記電子輸送剤を単層型感光体に使用
した場合は、正孔輸送剤との相互作用により、電子の輸
送が阻害されるおそれがある。さらに、上記電子輸送剤
は、溶剤への溶解性および結着樹脂などの他の感光層形
成成分との相溶性が劣っているなどの問題がある。
【0006】さらに、感光体の帯電極性に関しては、単
一の感光体を正帯電および負帯電のいずれにも用いるこ
とができれば、感光体の応用範囲を広げることができ
る。さらに、単層有機感光体は、製造が容易であるた
め、被膜欠陥の発生を防止し易いので、感光体の光学的
特性を向上させる上で有利である。
【0007】そこで、上記問題を解決するために、電荷
輸送剤として電子輸送剤を使用することが検討されてい
る。例えば、特開平6−241358号公報には、置換
または未置換のフェニル基を有するベンゾキノン誘導体
を電荷輸送物質として使用した単層型電子写真感光体が
提案されている。上記公報によれば、そのようなベンゾ
キノン誘導体は電荷輸送性に優れており、これを用いる
ことによって光感度の良好な正帯電型感光体を得ること
ができる。さらに、特開平6−110227号公報に
は、置換または未置換のフェニル基を有するベンゾキノ
ン誘導体および置換または未置換のフェニル基を有する
ナフトキノン誘導体を組み合わせて使用する単層型電子
写真感光体が提案されている。上記公報によれば、これ
らの2種の化合物はいずれも電子受容性に優れており、
電荷発生物質から放出された電荷がこれらの物質に引き
付けられることにより、移動がスムーズになるため、感
度の良好な正帯電型感光体を得ることができる。
【0008】しかし、このような化合物を用いても、電
荷発生剤からの電子注入は依然として不十分であり、よ
り感度の高い電子写真感光体が望まれている。
【0009】従って、本発明の目的は、電荷発生剤から
の電子注入と電子輸送とがスムーズに行われる、従来よ
りも感度の高い電子写真感光体を提供することである。
【0010】本発明の他の目的は、正帯電が可能な電子
写真感光体を提供することである。
【0011】本発明のさらなる他の目的は、特に700
nm以上の波長を有する光源を用いるデジタル光学系画
像形成装置に好適に使用される電子写真感光体を提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、以下の一般
式(ET)
【0013】
【化3】
【0014】で表されるナフトキノン誘導体を電子輸送
剤として用いることにより、電荷発生剤からの電子注入
および電子輸送がスムーズに行われることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0015】本発明の電子写真感光体は、導電性基体上
に有機感光層を設けた電子写真感光体であって、該有機
感光層中に、以下の一般式(ET)で表されるナフトキ
ノン誘導体を含有する。
【0016】
【化4】
【0017】ここで、Raは、水素原子、アルキル基、
アリール基、およびアラルキル基からなる群から選択さ
れ;そしてRb、Rc、およびRdは同一または異なっ
て、水素原子、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シ
アノ基、および、アルキル置換またはアリール置換スル
ホニル基からなる群から選択される。
【0018】好適な実施態様においては、上記有機感光
層中に、以下の一般式(DQ)で表されるジフェノキノ
ン誘導体がさらに含有される:
【0019】
【化5】
【0020】ここで、R4、R5、R6、およびR7は同一
または異なって、水素原子、アルキル基、およびアリー
ル基からなる群から選択される。
【0021】好適な実施態様においては、上記有機感光
層中に、−0.8V〜−1.4Vの範囲の酸化還元電位
を有する電子受容性化合物がさらに含有される。
【0022】以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】本発明の電子写真感光体は、導電性基体上
に有機感光層を設けた有機感光体であって、上記有機感
光層は、結着樹脂中に、電荷発生剤、電子輸送剤、さら
に必要に応じて電子受容性化合物、および正孔輸送剤を
含有する。
【0024】(電子輸送剤)本発明においては、上記有
機感光層は、電子輸送剤として、以下の一般式(ET)
【0025】
【化6】
【0026】で表されるナフトキノン誘導体を含有す
る。
【0027】ここで、Raは、水素原子、アルキル基、
アリール基、およびアラルキル基からなる群から選択さ
れる。
【0028】上記アルキル基としては、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、t−ブチル、ペンチル、へキシル;シクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
シクロヘプチル、2−メチルシクロプロピル、2−エチ
ルシクロプロピル、2,3−メチルシクロプロピル、2
−メチルシクロヘキシルが使用され得る。
【0029】上記アリール基としては、フェニル基;メ
チル基、エチル基またはt−ブチル基で置換されたアル
キルフェニル基;トリフルオロメチル基で置換された
ロゲン化アルキル置換フェニル基;ベンジルフェニル
基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基また
ブトキシカルボニル基で置換されたアルコキシカルボ
ニルフェニル基N−メチルカルバモイルフェニル基、
N−エチルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル
基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチ
ルカルバモイル基またはN,N−ジブチルカルバモイル
基で置換されたN−アルキルカルバモイルフェニル基
シアノフェニル基;あるいはニトロフェニル基などが用
いられ得る。
【0030】上記アラルキル基としては、ベンジル基、
フェニルメチル基、フェニルプロピル基が用いられ得
る。
【0031】Rb、Rc、およびRdは同一または異なっ
て、水素原子、アルキル基、アリール基、ニトロ基、シ
アノ基、および、アルキル置換またはアリール置換スル
ホニル基からなる群から選択される。
【0032】上記アルキル基としては、メチル、エチ
ル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブ
チル、t−ブチル、ペンチル、へキシル;シクロプロピ
ル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
シクロヘプチル、2−メチルシクロプロピル、2−エチ
ルシクロプロピル、2,3−メチルシクロプロピル、2
−メチルシクロヘキシルが使用され得る。
【0033】上記アリール基としては、フェニル基;メ
チル基、エチル基、またはt−ブチル基で置換されたフ
ェニル基;トリフルオロメチル基で置換されたハロゲン
化アルキル置換フェニル基;ベンジルフェニル基;メト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基またはブトキ
シカルボニル基で置換されたアルコキシカルボニルフェ
ニル基N−メチルカルバモイルフェニル基、N−エチ
ルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N,N
−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモ
イル基またはN,N−ジブチルカルバモイル基で置換さ
れたN−アルキルカルバモイルフェニル基シアノフェ
ニル基;あるいはニトロフェニル基などが用いられ得
る。
【0034】上記アルキル置換スルホニル基としては、
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシ
;およびシクロプロピル、シクロブチル、シクロペン
チル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2−メチルシ
クロプロピル、2−エチルシクロプロピル、2,3−メ
チルシクロプロピル、2−メチルシクロヘキシル基で置
換されたスルホニル基が用いられ得る。
【0035】上記アリール置換スルホニル基としては、
フェニル基;メチル基、エチル基、またはt−ブチル基
置換されたアルキル置換フェニル基;トリフルオロメ
チル基置換されたハロゲン化アルキル置換フェニル
基;ベンジルフェニル基;メトキシカルボニル基、エト
キシカルボニル基、またはブトキシカルボニル基で置換
されたアルコキシカルボニルフェニル基;N−メチルカ
ルバモイルフェニル基、N−エチルカルバモイル基、N
−ブチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイ
ル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、またはN,N
−ジブチルカルバモイル基で置換されたN−アルキルカ
ルバモイルフェニル基シアノフェニル基;あるいは
トロフェニル基により置換されたスルホニル基が用いら
れ得る。
【0036】Rb、Rc、およびRdに用いられる置換基
の組み合わせに特に制限はないが、電子輸送能、結着樹
脂などの他の感光層形成成分との相溶性、および溶剤へ
の溶解性を考慮して上記置換基を組み合わせることが重
要である。
【0037】本発明に用いられる上記ナフトキノン誘導
体においては、電子輸送能、結着樹脂などの他の有機感
光層形成成分との相溶性、および溶剤への溶解性を考慮
して上記置換基を組み合わせることが重要である。本発
明の電子写真感光体では、電子輸送剤は適切な嵩高い置
換基を有することが望ましい。なぜなら、そのような電
子輸送剤は、立体障害により正孔輸送剤との間の錯体の
形成を抑制し得るためである。その結果、正孔と電子と
の再結合に起因する、電荷の移動度の全体的な低下が防
止され得る。
【0038】以下の表1および表2に、各置換基の好ま
しい組み合わせを例示するが、本発明に用いられるナフ
トキノン誘導体はこれらには限定されない。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】合成の容易さを考慮して、表1の(1)に
示されている2−(1−メチル−2−ピロリル)−1,
4−ナフトキノン(ET−1)、および、(2)に示さ
れている2−(1−メチル−2−メチルスルホニル−5
−ピロリル)−1,4−ナフトキノン(ET−2)が特
に好適に用いられ得る。
【0042】上記式(ET)で表されるナフトキノン誘
導体のうち、ニトロ置換N−置換ピロール基またはシア
ノ置換N−ピロール基を有するナフトキノン誘導体は、
以下のようにして調製される。まず、酢酸中で酢酸第二
銅の存在下にて、下式(A)
【0043】
【化7】
【0044】で表される1,4−ナフトキノンと、下式
(B)
【0045】
【化8】
【0046】で表されるN−置換ピロールとを、1:3
〜1:8のモル比で室温にて0.5時間〜1時間攪拌し
て反応させることにより、下式(C)
【0047】
【化9】
【0048】で表されるナフトキノン誘導体が調製され
る。次いで、得られたナフトキノン誘導体(C)に所望
の置換基を導入することにより、上記式(ET)で表さ
れるナフトキノン誘導体が得られる。ニトロ基は、混酸
を用いて0℃〜20℃にて3時間〜6時間反応させるこ
とにより導入され得る。シアノ基は、I2、CuCN、
ヘキサメチルフォスホリックアミドを用いて還流(80
℃)させながら12時間〜24時間反応させることによ
り導入され得る。
【0049】上記式(ET)で表されるナフトキノン誘
導体のうち、アルキル置換N−置換ピロール基を有する
ナフトキノン誘導体およびアリール置換N−置換ピロー
ル基を有するナフトキノン誘導体は、それぞれ以下のよ
うにして合成され得る。上記式(B)で表されるN−置
換ピロールに、0℃以下でn−BuLiを加えてリチウ
ム化した後、室温でハロゲン化アルキルおよびハロゲン
化アリールをそれぞれ加えて1〜2時間反応させ、アル
キル置換N−置換ピロールおよびアリール置換N−置換
ピロールをそれぞれ得る。次いで、上記式(A)で表さ
れる1,4−ナフトキノンと、得られたアルキル置換N
−置換ピロールおよびアリール置換N−置換ピロールと
をそれぞれ、酢酸中で酢酸第二銅の存在下にて反応させ
ることにより、アルキル置換およびアリール置換N−置
換ピロール基を有するナフトキノン誘導体が得られる。
【0050】上記式(ET)で表されるナフトキノン誘
導体のうち、アルキル置換スルホニル基を有するナフト
キノン誘導体およびアリール置換スルホニル基を有する
ナフトキノン誘導体はそれぞれ、以下のようにして合成
され得る。上記式(B)で表されるN−置換ピロール
に、0℃以下でn−BuLiを加えてリチウム化した
後、室温でジアルキルジスルフィドおよびジアリールジ
スルフィドをそれぞれ加えて1〜2時間反応させ、アル
キルチオ−N−置換ピロールおよびアリールチオ−N−
置換ピロールをそれぞれ得る。次いで、上記式(A)で
表される1,4−ナフトキノンと、得られたアルキルチ
オ−N−置換ピロールおよびアリールチオ−N−置換ピ
ロールとをそれぞれ、酢酸中で酢酸第二銅の存在下にて
反応させた後、クロロホルム中で室温にて反応物をm−
クロロ過安息香酸と反応させることにより、アルキル置
換スルホニル基およびアリール置換スルホニル基を有す
るナフトキノン誘導体が得られる。
【0051】上記一般式(ET)で表されるナフトキノ
ン誘導体は、単独でまたは従来電子輸送剤として用いら
れている化合物と組み合わせて用いられ得る。電子輸送
能の向上を考慮すると、上記の従来公知の化合物と組み
合わせて用いるのが好適である。
【0052】上記ナフトキノン誘導体と組み合わせて用
いられる化合物としては、ジフェノキノン誘導体;マロ
ノニトリル誘導体;チオピラン誘導体;テトラシアノエ
チレン;2,4,8−トリニトロチオキサントン;3,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンなどのフ
ルオレノン誘導体;ジニトロベンゼン;ジニトロアント
ラセン;ジニトロアクリジン;ニトロアントラキノンお
よびジニトロアントラキノン;無水コハク酸、無水マレ
イン酸、ジブロモ無水マレイン酸などの酸が用いられ得
る。
【0053】結着樹脂への相溶性を考慮すると、ジフェ
ノキノン誘導体が好適に用いられ得る。
【0054】ジフェノキノン誘導体としては、以下の一
般式(DQ)で表されるジフェノキノン誘導体が用いら
れ得る。
【0055】
【化10】
【0056】ここで、R4、R5、R6、およびR7は同一
または異なって、水素原子、アルキル基、およびアリー
ル基からなる群から選択される。
【0057】上記アルキル基としては、例えば、メチ
ル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチ
ル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、へキシルなど
の炭素数が1〜8のアルキル基;シクロプロピル、シク
ロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘ
プチル、2−メチルシクロプロピル、2−エチルシクロ
プロピル、2,3−メチルシクロプロピル、2−メチル
シクロヘキシルなどの炭素数が3〜8のシクロアルキル
基が使用され得る。
【0058】上記アリール基としては、フェニル基;メ
チル基、エチル基、またはt−ブチル基などのアルキル
置換フェニル基;トリフルオロメチル基などのハロゲン
化アルキル置換フェニル基;ベンジルフェニル基;メト
キシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカ
ルボニル基などで置換されたアルコキシカルボニルフェ
ニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N−エチ
ルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N,N
−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモ
イル基、N,N−ジブチルカルバモイル基などで置換さ
れたN−アルキルカルバモイルフェニル基、シアノフェ
ニル基、ニトロフェニル基などが用いられ得る。
【0059】本発明においては、結着樹脂への相溶性を
考慮して、R4、R5、R6、およびR7を組み合わせるこ
とが重要である。
【0060】以下の表3に、R4、R5、R6、およびR7
の好ましい組み合わせを示すが、これらには限定されな
い。
【0061】
【表3】
【0062】結着樹脂への相溶性を考慮すると、以下の
構造式を有する化合物(DQ−1)が特に好ましい。
【0063】
【化11】
【0064】本発明において電子輸送剤として用いられ
るナフトキノン誘導体は、分子内に窒素原子を有するた
め結着樹脂との相溶性に優れると共に、分子がより平面
的に広がった状態で有機感光層中に存在するため、ナフ
トキノン誘導体間の実質的な分子間距離が従来の電子輸
送剤として用いられる化合物よりも小さくなるため、電
子輸送効率が向上すると考えられる。
【0065】本発明においては、電子輸送剤として、さ
らに上記一般式(DQ)で表されるジフェノキノン誘導
体を用いることによって、電子輸送性がさらに向上す
る。その結果、感光体の残留電位がより一層が低くな
り、感度が向上する。
【0066】(電子受容性化合物)本発明の電子写真感
光体においては、好ましくは、感度をより一層向上させ
るために、電子受容性化合物が有機感光層に含有され得
る。
【0067】このような電子受容性化合物としては、従
来公知の種々の電子受容性化合物が用いられ得る。例え
ば、ベンゾキノン類、ターフェニル、ハロナフトキノン
類、アセナフチレン、アントラキノン類などが用いられ
得る。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用い
られ得る。
【0068】本発明に用いられる電子受容性化合物は、
−0.8V〜−1.4Vの酸化還元電位を有する。酸化
還元電位が−0.8Vより小さいものは、分離したフリ
ーキャリア(特に電子)を脱トラップ不可能なレベルに
落とし込んでキャリアトラップを生じさせるため、光感
度が悪化し、残留電位が高くなる。また、酸化還元電位
が−1.4Vより大きいものは、LUMOのエネルギー
順位が電荷発生剤のそれよりも高くなるため、電荷発生
剤からの電子引き抜き効果が得られない。
【0069】ここで、電子受容性化合物の酸化還元電位
とは、3電極式サイクリックボルタンメトリーを用いて
測定される酸化還元電位をいう。この3電極式サイクリ
ックボルタンメトリーでは、作用電極としてグラッシー
カーボン電極、対極として白金電極、そして参照電極と
して銀硝酸電極(0.1モル/リットルAgNO3−ア
セトニトリル溶液)を用い、測定溶液として、電解質と
して用いる過塩素酸t−ブチルアンモニウム0.1モル
と、本発明で用いられる電子輸送剤0.001モルと
を、ジクロロメタン1リットル中に溶解したものを用
い、電圧Eを牽引させながら電流量Iを測定する。図1
に示すように、牽引電圧E(ボルト)と測定された電流
量I(アンペア)との関係をプロットして得られるサイ
クリックボルタノグラムにおいて、図1中に示す酸化ピ
ーク電位E1および還元ピーク電位E2を求める。求めた
1およびE2を下式
【0070】
【数1】酸化還元電位=(E1+E2)/2 に代入することにより、電子受容性化合物の酸化還元電
位が決定される。
【0071】具体的には、上記範囲の酸化還元電位を有
することから、上記電子受容性化合物のうち、それぞれ
以下の一般式(AC−1)および(AC−2)
【0072】
【化12】
【0073】
【化13】
【0074】で表されるベンゾキノン類が特に好まし
い。
【0075】上記所定の範囲の酸化還元電位を有する電
子受容性化合物は、ナフトキノン誘導体の電子受容性を
向上させるため、上記電子輸送効率が増強されると共
に、電子輸送剤と正孔輸送剤との電荷移動錯体形成抑制
効果も増強されると考えられる。
【0076】(正孔輸送剤)本発明において有機感光層
に含有され得る正孔輸送剤としては、従来公知の正孔輸
送物質が用いられ得る。例えば、N,N,N’,N’−
テトラキス(p−メチルフェニル)−3,3’−ジメチ
ルベンジジンなどのジアミン系化合物;2,5−ジ(4
−メチルアミノフェニル)、1,3,4−オキサジアゾ
ールなどのオキサジアゾール系化合物;9−(4−ジエ
チルアミノスチリル)アントラセンなどのスチリル系化
合物;ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系化
合物;有機ポリシラン化合物;1−フェニル−3−(p
−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなどのピラゾリ
ン系化合物;ヒドラゾン系化合物;トリフェニルアミン
系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合
物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;
チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラ
ゾール系化合物;トリアゾール系化合物などの含窒素環
式化合物、縮合多環式化合物などが用いられ得る。これ
らの正孔輸送剤は、1種または2種以上組み合わせて用
いられ得る。
【0077】本発明の用いる正孔輸送剤は、5.0eV
〜5.8eV、好ましくは、5.3eV〜5.65eV
のイオン化ポテンシャルを有する。ここで、正孔輸送剤
のイオン化ポテンシャルは、大気下光電子分折装置(理
研計器株式会社製、AC−1)により測定されたものを
いう。
【0078】さらに、上記正孔輸送剤は、電界強度3×
105V/cmの条件下で、1×10-6cm2/V・秒以
上、好ましくは1×10-5cm2/V・秒以上、さらに
好ましくは1×10-4cm2/V・秒以上の移動度を有
する。移動度が1×10-6cm2/V・秒未満である
と、光感度が不十分である。
【0079】このような正孔輸送剤としては、以下の一
般式(HT−1)、(HT−2)、(HT−3)、およ
び(HT−4)
【0080】
【化14】
【0081】
【化15】
【0082】
【化16】
【0083】
【化17】
【0084】でそれぞれ表される化合物、および1,1
−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフ
ェニル−1,3−ブタジエン、N,N’−ビス(o,p
−ジメチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジ
ン、3,3’−ジメチルーN,N,N’,N’−テトラ
キス−4−メチルフェニル(1,1’−ビフェニル)−
4,4’−ジアミン、N−エチル−3−カルバゾリルア
ルデヒド−N,N’−ジフェニルヒドラゾン、4−
〔N,N−ビス(p−トルイル)アミノ〕−β−フェニ
ルスチルベンが用いられ得る。移動度および樹脂への相
溶性を考慮すると、化合物(HT−1)、化合物(HT
−2)、化合物(HT−3)、および化合物(HT−
4)が特に好ましい。
【0085】(電荷発生剤)本発明に用いられる電荷発
生剤としては、以下の構造式に示すような、X型メタル
フリーフタロシアニン(F−1)、オキソチタニルフタ
ロシアニン(F−2)などのフタロシアニン系顔料;化
合物(F−3)のようなペリレン系顔料;化合物(F−
4)のような多環キノン系顔料;化合物(F−5)のよ
うなスクアリリウム色素;化合物(F−6)のようなア
ズレニウム色素;化合物(F−7)および(F−8)の
ようなチアピリリウム色素;化合物(F−9)〜(F−
14)のようなアゾ系顔料;ナフタロシアニン系顔料;
ジスアゾ系顔料;アンサンスロン系顔料;インジゴ系顔
料;トリフェニルメタン系顔料;スレン系顔料;トルイ
ジン系顔料;ピラゾリン系顔料;キナクリドン系顔料;
ジチオケトピロロピロール系顔料;セレン;セレン−テ
ルル;アモルファスシリコン;およびピリリウム塩など
が用いられ得る。
【0086】
【化18】
【0087】
【化19】
【0088】
【化20】
【0089】
【化21】
【0090】
【化22】
【0091】
【化23】
【0092】
【化24】
【0093】
【化25】
【0094】
【化26】
【0095】
【化27】
【0096】
【化28】
【0097】
【化29】
【0098】
【化30】
【0099】
【化31】
【0100】これらは、所望の領域に吸収波長を有する
ように、1種または2種以上組み合わせて用いられ得
る。
【0101】本発明の電子写真感光体においては、イオ
ン化ポテンシャルが5.0eV〜5.6eVの化合物を
正孔輸送剤として使用する場合には、電荷発生剤とし
て、正孔輸送剤とバランスしたイオン化ポテンシャルを
有するものが用いられる。具体的にはイオン化ポテンシ
ャルが5.0〜5.6eV、特に5.32〜5.38e
Vの範囲にある電荷発生剤を用いるのが、残留電位の低
減および感度の向上の点で望ましい。この点を考慮する
と、X型メタルフリーフタロシアニン(F−1)、オキ
ソチタニルフタロシアニン(F−2)などのフタロシア
ニン系顔料が好ましい。
【0102】(結着樹脂)上記の各成分を分散させるた
めの結着樹脂としては、従来の電子写真感光体において
有機感光層に用いられている種々の樹脂が用いられ得
る。例えば、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチ
レン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポ
リアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリル
フタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹
脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂などの熱可塑
性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他の架橋性の熱硬化
性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレー
ト樹脂などの光硬化性樹脂が用いられ得る。これらは、
単独でまたは2種以上組み合わせて用いられ得る。
【0103】好適な樹脂は、スチレン系重合体、アクリ
ル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエス
テル樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート樹脂、およ
びポリアリレート樹脂などである。
【0104】なお、ポリビニルカルバゾールなどの成膜
性を有する正孔輸送剤が用いられる場合には、結着樹脂
は必ずしも必要でない。
【0105】(導電性基体)本発明の電子写真感光体に
用いられる導電性基体としては、導電性を有する種々の
材料が用いられ得る。例えば、アルミニウム、銅、ス
ズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カド
ミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、
ステンレス鋼、真鍮などの金属単体;上記金属が蒸着ま
たはラミネートされたプラスチック材料;ヨウ化アルミ
ニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガ
ラスなどが用いられ得る。
【0106】本発明に用いられる導電性基体は、基体自
体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を
有していれば、シート状、ドラム状などのいずれの形状
でもあってもよい。得られる電子写真感光体の耐久性を
考慮すると、充分な機械的強度を有するものが好まし
い。
【0107】(電子写真感光体の作製)本発明の電子写
真感光体は、電子輸送剤、電荷発生剤、および正孔輸送
剤が含有される単一の有機感光層が導電性基体上に設け
られた単層型感光体、ならびに、電子輸送剤を含有する
電荷輸送層および電荷発生剤と正孔輸送剤とを含有する
電荷発生層が導電性基体上に設けられた積層型感光体の
いずれにも作製され得る。電子輸送剤として用いられ
る、式(ET)で表されるナフトキノン誘導体による感
度向上効果が顕著に現れること、および、製造が容易で
光学的特性向上の面で有利であることから、単層型感光
体に作製されることが好ましい。
【0108】さらに、本発明の電子写真感光体は、正帯
電型および負帯電型のいずれにも作製され得る。好まし
くは正帯電型感光体に作製され得る。
【0109】本発明の電子写真感光体においては、電子
輸送能、結着樹脂などとの相溶性、溶剤に対する溶解性
を考慮して、有機感光層形成成分を組み合わせることが
望ましい。表4〜表7に、好ましい有機感光層形成成分
の組み合わせを示すが、本発明はこれらに限定されな
い。
【0110】
【表4】
【0111】
【表5】
【0112】
【表6】
【0113】
【表7】
【0114】(単層型感光体の作製)単層型感光体は、
電子輸送剤、電荷発生剤、および正孔輸送剤を、結着樹
脂と共に適切な溶剤に溶解または分散し、得られた分散
液を塗布などの手段によって導電性基体上に塗布し、乾
燥して感光層を形成することにより作製され得る。
【0115】上記有機感光層形成成分のうち、電子輸送
剤は、結着樹脂100重量部に対して、5重量部〜20
0重量部、好ましくは10重量部〜100重量部の割合
で含有される。電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に
対して、0.5重量部〜10重量部、好ましくは0.5
重量部〜5重量部の割合で含有される。正孔輸送剤は、
結着樹脂100重量部に対して、5〜100重量部、好
ましくは10重量部〜80重量部の割合で含有される。
【0116】さらに、必要に応じて、公知の種々の添加
剤が含有され得る。例えば、2,6−ジt−ブチル−p
−クレゾールのような酸化防止剤;ラジカル捕捉剤;一
重項クエンチャー;紫外線吸収剤;軟化剤;可塑剤;表
面改質剤;増量剤;増粘剤;分散安定剤;ワックス;電
子供与性化合物;電荷輸送剤および電荷発生剤の分散性
の向上、感光層表面の平滑性の向上のための界面活性
剤;ポリジメチルシロキサンのようなレベリング剤など
が用いられ得る。
【0117】上記添加剤は、従来の電子写真感光体にお
けるのと同程度の割合で含有され得る。たとえば、立体
障害性フェノール系酸化防止剤は、結着樹脂100重量
部に対して0.1〜50重量部程度の割合で含有され
る。
【0118】上記分散液をつくるための溶剤としては、
種々の有機溶剤が用いられ得る。例えば、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアル
コール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンな
どの脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化
水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジ
エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル
類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
などのケトン類;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステ
ル類;ジメチルホルムアルデヒド;ジメチルホルムアミ
ド;ジメチルスルホキシドなどが用いられ得る。これら
の溶剤は単独でまたは2種組み合わせて用いられ得る。
【0119】これらの溶剤は、結着樹脂100重量部に
対して300重量部〜900重量部で用いられる。
【0120】上記分散液の調製は、例えば、ロールミ
ル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、ま
たは超音波分散器などを用いる分散混合により行われ得
る。
【0121】単層型感光体における有機感光層の厚さ
は、5〜50μm、好ましくは10〜40μmである。
【0122】(積層型感光体の作製)積層型感光体は、
電荷発生剤を単独で導電性基体上に蒸着させて電荷発生
層を形成する方法;または、上記単層型感光体の作成と
同様に、塗布などの手段により、電荷発生剤、結着樹
脂、および必要に応じて正孔輸送剤を含有する電荷発生
層を形成した後、塗布などの手段を用いて、電子輸送剤
と結着樹脂とを含有する電荷輸送層を、得られた電荷発
生層上に形成する方法により調製される。あるいは、導
電性基体上に電荷輸送層を形成した後、電荷発生層を形
成する方法も用いられ得る。
【0123】上記電荷発生層を構成する電荷発生剤は、
結着樹脂100重量部に対して、5重量部〜1000重
量部、好ましくは30重量部〜500重量部の割合で含
有され得る。
【0124】上記電荷輸送層を構成する電子輸送剤は、
結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤10重量部
〜500重量部、好ましくは、25重量部〜200重量
部の割合で含有され得る。電子輸送剤が10重量部未満
では、露光工程において光照射により電荷発生層内に生
じた電子が容易に輸送されず、得られる電子写真感光体
の感度が十分に得られず、500重量部を超えると、電
子輸送剤が結晶化し易い。
【0125】さらに、必要に応じて、上記単層型感光体
の場合と同様に、公知の種々の添加剤が含有され得る。
【0126】積層型感光体においては、電荷発生層の厚
さは、0.01μm〜5μm、好ましくは0.1μm〜
3μmである。
【0127】本発明の電子写真感光体には、得られる電
子写真感光体の特性を損なわない範囲で、有機感光層の
ほかにバリア層および/または保護層が設けられ得る。
【0128】上記バリア層は、単層型感光体において
は、導電性基体と感光層との間に形成され得、積層型電
子写真感光体においては、導電性基体と電荷発生層との
間、または、導電性基体と電荷輸送層との間に形成され
得る。
【0129】このようなバリア層としては、上記結着樹
脂、および、ポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体−無水
マレイン酸共重合体、カゼイン、N−アルコキシメチル
ナイロンなどを分散させた層;酸化アルミニウム、酸化
亜鉛、酸化ケイ素などの蒸着膜などが用いられ得る。
【0130】上記保護層は、単層型および積層型感光体
のいずれにおいても、感光層の表面に形成され得る。
【0131】このような保護層としては、上記バリア層
に用いられ得る樹脂のみで形成される層;そのような樹
脂にインジウムなどの抵抗の低い物質を分散させた層;
有機プラズマ重合膜などが用いられ得る。
【0132】
【作用】本発明の電子写真感光体の感度が著しく向上す
る理由は、以下のような電荷輸送機構にあると考えられ
る。即ち、本発明の電子写真感光体では、露光工程にお
いて、光照射により電荷発生剤から電子が放出され、そ
して放出された電子は、上記一般式(ET)で表される
ナフトキノン誘導体(電子輸送剤)にスムーズに注入さ
れる。次いで、電子輸送剤間での電子の授受により、電
子は有機感光層の表面に移動し、あらかじめ有機感光層
の表面に帯電されていた電荷(+)を打ち消す。一方、
正孔(+)は、正孔輸送剤に注入されて、途中でトラッ
プされることなく、導電性基体の表面に移動し、あらか
じめ導電性基体の表面に帯電されていた負電荷(−)に
より打ち消される。このようにして、本発明の電子写真
感光体の感度は向上する。
【0133】
【実施例】以下、本発明について、実施例を用いて説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本
明細書中においては、「部」はすべて重量部を表す。
【0134】以下の実施例および比較例で電子輸送剤と
して用いられるナフトキノン誘導体(ET−1)、(E
T−2)、および(NQ−1)、ならびにジフェノキノ
ン誘導体(DQ−1)は、それぞれ以下の構造式を有す
る:
【0135】
【化32】
【0136】
【化33】
【0137】
【化34】
【0138】
【化35】
【0139】以下の実施例および比較例で正孔輸送剤と
して用いられる化合物(HT−1)、(HT−2)、
(HT−3)、および(HT−4)は、それぞれ以下の
構造式を有する:
【0140】
【化36】
【0141】
【化37】
【0142】
【化38】
【0143】
【化39】
【0144】以下の実施例および比較例で電子受容性化
合物として用いられる化合物(AC−1)、および(A
C−2)は、それぞれ以下の構造式を有する:
【0145】
【化40】
【0146】
【化41】
【0147】(実施例1)電荷発生剤としてX型メタル
フリーフタロシアニン(Ip=5.30eV)5部、電
子輸送剤としてナフトキノン誘導体(ET−1)30
部、正孔輸送剤として化合物(HT−1)(Ip=5.
54eV)50部、および結着樹脂としてポリカーボネ
ート樹脂100部を、テトロヒドロフラン700部中に
ボールミルを用いて24時間混合分散させ、単層型有機
感光層形成用の分散液を調製した。次いで、この分散液
をアルミニウム素管上にディッピングコーターを用いて
塗布した後、100℃で60分間熱風乾燥して、厚さが
15μm〜20μmの単層型電子写真感光体を作製し
た。
【0148】(実施例2)電子輸送剤として、化合物
(ET−1)の代わりに(ET−2)を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0149】(実施例3)正孔輸送剤として、化合物
(HT−1)の代わりに(HT−2)(Ip=5.62
eV)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電子
写真感光体を作製した。
【0150】(実施例4)電子輸送剤として、ナフトキ
ノン誘導体(ET−1)の代わりに(ET−2)を用い
たこと以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を
作製した。
【0151】(実施例5)正孔輸送剤として、化合物
(HT−1)の代わりに(HT−3)(Ip=5.35
eV)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電子
写真感光体を作製した。
【0152】(実施例6)電子輸送剤として、ナフトキ
ノン誘導体(ET−1)の代わりに(ET−2)を用い
たこと以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を
作製した。
【0153】(実施例7)正孔輸送剤として、化合物
(HT−1)の代わりに(HT−4)(Ip=5.32
eV)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして電子
写真感光体を作製した。
【0154】(実施例8)電子輸送剤として、ナフトキ
ノン誘導体(ET−1)の代わりに(ET−2)を用い
たこと以外は、実施例7と同様にして電子写真感光体を
作製した。
【0155】(実施例9)電子輸送剤として、さらにジ
フェノキノン誘導体(DQ−1)を10部加えたこと以
外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し
た。
【0156】(実施例10)電子受容性化合物として、
化合物(AC−1)(酸化還元電位=−0.81V)を
10部加えたこと以外は、実施例1と同様にして電子写
真感光体を作製した。
【0157】(実施例11)電子受容性化合物として、
化合物(AC−1)の代わりに(AC−2)(酸化還元
電位=−1.30V)を用いたこと以外は、実施例10
と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0158】(実施例12)電子受容性化合物として化
合物(AC−1)を10部加えたこと以外は、実施例9
と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0159】(実施例13)電子受容性化合物として化
合物(AC−1)の代わりに(AC−2)を用いたこと
以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製
した。
【0160】(実施例14)正孔輸送剤として化合物
(HT−1)の代わりに(HT−2)を用いたこと以外
は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0161】(実施例15)電子受容性化合物として化
合物(AC−1)を10部加えたこと以外は、実施例3
と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0162】(実施例16)電子受容性化合物として、
化合物(AC−1)の代わりに(AC−2)を用いたこ
と以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作
製した。
【0163】(実施例17)電子受容性化合物として、
化合物(AC−1)を10部加えたこと以外は、実施例
14と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0164】(実施例18)電子受容性化合物として、
化合物(AC−1)の代わりに(AC−2)を用いたこ
と以外は、実施例17と同様にして電子写真感光体を作
製した。
【0165】(比較例1)電子輸送剤としてナフトキノ
ン誘導体(ET−1)の代わりに(NQ−1)を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作
製した。
【0166】(比較例2)正孔輸送剤として化合物(H
T−1)の代わりに(HT−2)を用いたこと以外は、
比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0167】(比較例3)正孔輸送剤として化合物(H
T−1)の代わりに(HT−3)を用いたこと以外は、
比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0168】(比較例4)正孔輸送剤として化合物(H
T−1)の代わりに(HT−4)を用いたこと以外は、
比較例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0169】(電子写真感光体の評価)上記実施例およ
び比較例で得られた各電子写真感光体を、以下の方法に
より、露光後電位について評価した。
【0170】GENTEC社製ドラム感度試験機を用い
て、上記実施例および比較例で得られた各電子写真感光
体を+700Vに帯電させた。次いでバンドパスフィル
ターを用いて780nmに単色化したハロゲンランプ光
(半値幅20nm、光強度16μW/cm2)を、帯電
させた感光体の表面に80ミリ秒間照射し、露光開始後
330ミリ秒の時点における感光体表面電位VL(V)
を測定した。結果を表8に示す。
【0171】
【表8】
【0172】表8から、電子輸送剤として一般式(E
T)で表されるナフトキノン誘導体を用いた実施例の電
子写真感光体は、従来公知のナフトキノン誘導体(NQ
−1)を用いた比較例1〜4の電子写真感光体よりも、
露光後電位が低く高感度であることがわかる。
【0173】電子輸送剤に関しては、電子輸送剤として
一般式(ET)で表されるナフトキノン誘導体を用いた
実施例1〜8の電子写真電子写真感光体は、従来公知の
ナフトキノン誘導体(NQ−1)を用いた比較例1〜4
の電子写真感光体よりも露光後電位が低い。
【0174】電子輸送剤として、一般式(ET)で表さ
れるナフトキノン誘導体と共に、一般式(DQ)で表さ
れるジフェノキノン誘導体を用いた実施例9および実施
例14の電子写真感光体は、実施例1〜4の電子写真感
光体よりも露光後電位が低く、かつ、上記比較例1〜4
の誘導体よりも露光後電位が低い。
【0175】電子輸送剤として一般式(ET)で表され
るナフトキノン誘導体を用い、かつ、酸化還元電位が−
0.8V〜−1.4Vの範囲にある電子受容性化合物を
用いた実施例10、11、15、および16の電子写真
感光体は、実施例1および3の電子写真感光体よりもさ
らに露光後電位が低い。
【0176】電子輸送剤として、一般式(ET)で表さ
れるナフトキノン誘導体と共に、一般式(DQ)で表さ
れるジフェノキノン誘導体を用い、かつ、酸化還元電位
が−0.8V〜−1.4Vの範囲にある電子受容性化合
物を用いた実施例12、13、17、および18の電子
写真感光体は、一般式(ET)で表されるナフトキノン
誘導体と一般式(DQ)で表されるジフェノンキノン誘
導体とを用いた実施例9および14の電子写真感光体、
ならびに、一般式(ET)で表されるナフトキノン誘導
体と上記範囲の酸化還元電位を有する電子受容性化合物
とを用いた実施例10、11、15、および16の電子
写真感光体よりも、さらに露光後電位が低い。
【0177】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、溶剤への溶
解性および結着樹脂との相溶性が良好であると共に、電
子の注入が円滑に行われ、特に低電界での電子輸送性に
優れるナフトキノン誘導体を含有するため、残留電位が
低く、非常に高感度である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、3電極式サイクリックボルタンメト
リーにおける牽引電位と検出電流との関係を示すサイク
リックボルタノグラムである。
【符号の説明】
E :牽引電圧 I :電流量 E1:酸化ピーク電位 E2:還元ピーク電位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 裕二 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田 工業株式会社内 (72)発明者 秋葉 伸子 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田 工業株式会社内 (72)発明者 菅井 章雄 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田 工業株式会社内 (72)発明者 渡辺 征正 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田 工業株式会社内 (72)発明者 水田 泰史 大阪市中央区玉造1丁目2番28号 三田 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−238568(JP,A) 特開 平6−273952(JP,A) 特開 平5−241358(JP,A) 特開 平5−45915(JP,A) 特開 平5−45908(JP,A) 特開 平4−300971(JP,A) 特開 平1−138561(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 REGISTRY(STN) CA(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に有機感光層を設けた電子
    写真感光体であって、該有機感光層は、結着樹脂中に、
    電荷発生剤、以下の一般式(ET)で表されるナフトキ
    ノン誘導体を含有する、電子写真感光体: 【化1】 ここで、 Raは、メチル基、フェニル基およびベンジル基からな
    る群から選択されb は、水素原子;メチル基、エチル基、シクロヘキシ
    ル基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエ
    チル基;ニトロ基;シアノ基;メチルスルホニル基、エ
    チルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基および
    フェニルスルホニル基からなる群から選択され;そしてc およびR d は、水素原子、メチル基およびメチルスル
    ホニル基からなる群から選択される。
  2. 【請求項2】 前記有機感光層中に、以下の一般式(D
    Q)で表されるジフェノキノン誘導体をさらに含有す
    る、請求項1に記載の電子写真感光体: 【化2】 ここで、R4、R5、R6、およびR7は同一または異なっ
    て、水素原子、アルキル基、およびアリール基からなる
    群から選択される。
  3. 【請求項3】 前記有機感光層中に、−0.8V〜−
    1.4Vの範囲の酸化還元電位を有する電子受容性化合
    物をさらに含有する、請求項1または2に記載の電子写
    真感光体。
JP15364795A 1995-06-20 1995-06-20 電子写真感光体 Expired - Fee Related JP3463775B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15364795A JP3463775B2 (ja) 1995-06-20 1995-06-20 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15364795A JP3463775B2 (ja) 1995-06-20 1995-06-20 電子写真感光体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH096028A JPH096028A (ja) 1997-01-10
JP3463775B2 true JP3463775B2 (ja) 2003-11-05

Family

ID=15567115

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15364795A Expired - Fee Related JP3463775B2 (ja) 1995-06-20 1995-06-20 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3463775B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3272257B2 (ja) * 1997-02-26 2002-04-08 京セラミタ株式会社 電子写真感光体
FR2760010B1 (fr) * 1997-02-27 2000-09-15 Oreal Utilisation de derives pyrroliques de la 1,4-naphtoquinone et du 1,4-dihydroxynaphtalene en teinture des matieres keratiniques, nouveaux composes et compositions les contenant
KR19990069877A (ko) * 1998-02-13 1999-09-06 성재갑 나프토퀴논 구조를 갖는 사이클린-의존 키나아제 저해제 화합물
JP5202968B2 (ja) * 2008-01-17 2013-06-05 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 単層型電子写真感光体及び画像形性装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH096028A (ja) 1997-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0801331A2 (en) Electrophotosensitive material
JP3463775B2 (ja) 電子写真感光体
US5616441A (en) Tryptoanthorine derivative contained in electrophotosensitive material
JP3183807B2 (ja) 電子写真感光体
JP3121144B2 (ja) 電子写真感光体
JP3190113B2 (ja) 電子写真用積層型有機感光体
JP3524994B2 (ja) トリプトアントリン誘導体および電子写真感光体
JP2820858B2 (ja) 電子写真感光体
JP3653464B2 (ja) 電子写真感光体
JP3250959B2 (ja) ジアザナフト[2,3−b]フルオレン誘導体およびそれを用いた電子写真感光体
JP3448411B2 (ja) トリプトアントリンイミン誘導体およびこれを用いた電子写真感光体
JP3589796B2 (ja) 電子写真感光体
JP3121142B2 (ja) 電子写真感光体
JP3121141B2 (ja) 電子写真感光体
JP3121143B2 (ja) 電子写真感光体
JP3121145B2 (ja) 電子写真感光体
JP3571099B2 (ja) 電子写真感光体
JPH07309824A (ja) トリニトロフルオレノンイミン誘導体および電子写真感光体
JP3131616B2 (ja) 電子写真感光体
JP3131615B2 (ja) 電子写真感光体
JPH07325413A (ja) 電子写真感光体
JPH08328277A (ja) 電子写真感光体
JP3121146B2 (ja) 電子写真感光体
JP3670481B2 (ja) フェノキシ誘導体を用いた電子写真感光体
JP3121147B2 (ja) 電子写真感光体

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030806

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070822

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090822

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees