JPH08151256A - ランタンクロマイト系セラミックス、それを含有するセパレータ及び該セパレータを用いた固体電解質型燃料電池 - Google Patents

ランタンクロマイト系セラミックス、それを含有するセパレータ及び該セパレータを用いた固体電解質型燃料電池

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JPH08151256A
JPH08151256A JP7231697A JP23169795A JPH08151256A JP H08151256 A JPH08151256 A JP H08151256A JP 7231697 A JP7231697 A JP 7231697A JP 23169795 A JP23169795 A JP 23169795A JP H08151256 A JPH08151256 A JP H08151256A
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喜幸 染谷
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功 向沢
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 緻密で良好な導電性を有し、熱膨張係数の温
度依存性が低く、寸法変化率が小さく、寸法安定性に優
れるランタンクロマイト系セラミックスの提供。 【解決手段】 式 (La1-xSrxa(Cr1-p
pb3 (式中0.02≦x≦0.2、0.01≦p≦0.0
3、0.95≦a/b≦1.05)、 で表わされ、室温において六方晶であり、空気中での焼
成で得られた目的セラミックスに対するセラミックスの
1000℃酸素分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中で
の20時間熱処理物の、室温における寸法変化率が0.
1%以下であり、相対密度が90%以上であり、導電率
が1000℃空気中で10Ω-1cm-1以上、1000℃
酸素分圧1×10-15気圧の還元雰囲気中で1Ω-1cm
-1以上であり、50℃から1000℃までの熱膨張係数
が9.8×10-6-1ないし10.7×10-6-1の範
囲であり、かつ室温における4点曲げ強度が10kgf
/mm2以上であるもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なランタンク
ロマイト系セラミックス、このセラミックスを含有する
平板型固体電解質燃料電池セパレータ及びこのセパレー
タを用いた平板型固体電解質燃料電池に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ランタンクロマイト(LaCrO3)は
高温において導電性をもち、かつ耐酸化性、耐還元性に
優れるために、高温導電性材料として有望視されている
酸化物系セラミックスである。
【0003】このランタンクロマイトにカルシウム、ス
トロンチウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属を
微量不純物として添加することにより、導電性を向上さ
せることができる。ランタンクロマイトはペロブスカイ
ト型構造[ABO3(式中Aはランタン、Bはクロム、
Oは酸素を表わす)]を有し、これに添加されたカルシ
ウム、ストロンチウムはランタンクロマイト格子中のラ
ンタン位置に、またマグネシウムはクロム位置に置換固
溶している。
【0004】上記、微量元素添加ランタンクロマイトは
導電性に関しては十分な性能を有することができるが、
常圧大気中で、緻密な焼結体が得にくく、平板型固体電
解質燃料電池にセパレータとして用いた場合燃料ガスと
空気を完全に分離することができず、不満足なものであ
った。
【0005】このように添加型ランタンクロマイトで緻
密な焼結体が容易には得られないのは、構造元素のイオ
ンの拡散が極めて遅く原料粉末結晶の界面が移動しにく
く焼結過程で緻密化しにくいためであり、また焼結温度
において酸化クロムの蒸気圧が高く、緻密化過程で空孔
が消滅しにくく焼結体中に残留するためである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、
先に緻密な焼結体を大気中で容易に得るとともに、導電
性も従来より向上させるために、一般式 La1-xxCr1-yCoy3 (式中、Mはマグネシウムを除くアルカリ土類金属であ
り、0<x≦0.5、0<y≦0.5)で表わされ、か
つペロブスカイト型構造を持つことを特徴とする新規な
ランタンクロマイト系複合酸化物と、これを用いた高温
導電性材料及び固体電解質型燃料電池セパレータを提案
した(特開平3−65517号)。
【0007】しかしながら、このランタンクロマイト系
複合酸化物は、置換元素が多い場合には還元雰囲気の低
酸素分圧下で結晶の格子定数が増加するために体積が変
化し、それによって、焼結体には内部応力が生じ、焼結
体内部に微小なクラックが生じたり、焼結体の割れが発
生したりして強度が低下する場合がある。
【0008】また、両側雰囲気が酸化雰囲気及び還元雰
囲気とそれぞれ異なる平板型固体電解質燃料電池セパレ
ータとして使用した場合、強度が低下して割れたり、ま
た還元側表面付近の体積が増加する結果、還元側が伸び
るためにセパレータの反りが生じ、電極とセパレータの
接触不良、電解質の割れの誘発、封止性の低下を招来す
るなどの問題がある。
【0009】さらに、セパレータとして使用する場合、
導電率、焼結性の点では十分な性能を有しているが、平
板型固体電解質燃料電池の構成材料である電解質との熱
膨張係数の整合性が必ずしも十分ではなく、例えば、平
板型構造で、20cm角以上の大面積で電池を構成した
場合、その昇降温時に電解質との熱膨張係数の差により
電解質への引張または圧縮応力が発生し、電解質が破壊
されて十分な封止性能が得られにくい。
【0010】また、結晶格子中のランタン格子位置をC
a置換した場合は、Ca添加量が過剰になると還元側に
高抵抗のCaとCrの複合酸化物が形成されたり、Ca
がカソード電極中に拡散したりするなどの問題がある。
つまり、安定な焼結体を得るにはCa置換ランタンクロ
マイトの場合には、組成の微妙な調整が必要になる。さ
らに、Ca置換ランタンクロマイトは室温下で斜方晶の
結晶構造を持ち、その熱膨張係数の温度依存は300〜
500℃で相変態に伴う熱膨張係数の変化がみられ、そ
の温度付近で電解質との熱膨張係数差が発生して昇降温
過程で電解質に余分な応力を発生させる要因になる。
【0011】本発明の目的は、このような事情の下、大
気中で容易に緻密性よく得られるとともに、緻密で良好
な導電性を有し、熱膨張係数の温度依存性が低く、寸法
変化率が小さく、寸法安定性に優れた特定のランタンク
ロマイト系セラミックス、このセラミックスを含有す
る、封止性や電極との接触性が向上し、電解質との熱膨
張係数の整合性が良好で、低酸素分圧の還元雰囲気下で
の寸法変化が少なく、しかも耐酸化性、耐還元性に優れ
た平板型固体電解質燃料電池セパレータ及びこのセパレ
ータを用いた平板型固体電解質燃料電池を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
ように先にランタンクロマイトを緻密化しかつ導電率を
向上させるためにランタンの一部をアルカリ土類金属で
置換するとともに、Crの一部をCoなどで置換したも
のを提案したが、その後、このものは固体電解質である
安定化ジルコニアとの熱膨張係数差が大きいために実用
化においてジルコニアを損傷する場合があること、また
還元時の寸法変化が大きく、平板型固体電解質燃料電池
セパレータとして用いた場合に、反りが発生して破壊す
る場合もあること、そして、これらの欠点はAサイト及
びBサイトの置換量、置換元素類の組み合わせが適切で
なかったためであり、それらの置換量や置換元素類の組
み合わせを限定することにより、電解質との熱膨張係数
差が小さく、その温度依存性についても室温から100
0℃まで急激な変化はなく、空気雰囲気下と還元雰囲気
下での各セラミックスの寸法変化比ひいては体積変化比
が小さく、寸法安定性に優れ、しかも緻密性や導電性を
高く維持できること、さらに再現性よく固体電解質燃料
電池を構成できることを見出し、これらの知見に基づい
て本発明をなすに至った。
【0013】すなわち、本発明は、 (1)一般式 (La1-xSrxa(Cr1-pCopb
3 (式中0.02≦x≦0.2、0.01≦p≦0.0
3、0.95≦a/b≦1.05である)で表わされ、
室温において六方晶であり、空気中での焼成で得られた
目的セラミックスに対する該セラミックスの1000℃
酸素分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中での20時間
熱処理物の、室温における寸法変化率が0.1%以下で
あり、相対密度が90%以上であり、導電率が1000
℃空気中で10Ω-1cm-1以上、1000℃酸素分圧1
×10-15気圧の還元雰囲気中で1Ω-1cm-1以上であ
り、50℃から1000℃までの熱膨張係数が9.8×
10-6-1ないし10.7×10-6-1の範囲であり、
かつ室温におけるJIS R1601に準拠する4点曲
げ強度が10kgf/mm2以上であることを特徴とす
るランタンクロマイト系セラミックス、 (2)一般式 (La1-xSrxa(Cr1-qNiqb
3 (式中0.02≦x≦0.2、0.02≦q≦0.1、
0.95≦a/b≦1.05である)で表わされ、室温
において六方晶であり、空気中での焼成で得られた目的
セラミックスに対する該セラミックスの1000℃酸素
分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中での20時間熱処
理物の、室温における寸法変化率が0.1%以下であ
り、相対密度が90%以上であり、導電率が1000℃
空気中で10Ω-1cm-1以上、1000℃酸素分圧1×
10-15気圧の還元雰囲気中で1Ω-1cm-1以上であ
り、50℃から1000℃までの熱膨張係数が9.8×
10-6-1ないし10.7×10-6-1の範囲であり、
かつ室温におけるJIS R1601に準拠する4点曲
げ強度が10kgf/mm2以上であることを特徴とす
るランタンクロマイト系セラミックス、 (3)一般式 (La1-xSrxa(Cr1-rrb3 (式中0.02≦x≦0.2、0.02≦r≦0.5、
0.95≦a/b≦1.05、M=Zn、Fe又はMn
である)で表わされ、室温において六方晶であり、空気
中での焼成で得られた目的セラミックスに対する該セラ
ミックスの1000℃酸素分圧5×10-16気圧の還元
雰囲気中での20時間熱処理物の、室温における寸法変
化率が0.1%以下であり、相対密度が90%以上であ
り、導電率が1000℃空気中で10Ω-1cm-1以上、
1000℃酸素分圧1×10-15気圧の還元雰囲気中で
1Ω-1cm-1以上であり、50℃から1000℃までの
熱膨張係数が9.8×10-6-1ないし10.7×10
-6-1の範囲であり、かつ室温におけるJIS R16
01に準拠する4点曲げ強度が10kgf/mm2以上
であることを特徴とするランタンクロマイト系セラミッ
クス、(4)前記(1)、(2)又は(3)項記載のラ
ンタンクロマイト系セラミックスを含有する平板型固体
電解質燃料電池セパレータ及び(5)このセパレータを
用いた平板型固体電解質燃料電池を提供するものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】好ましい態様としては、(6)組
成を示す一般式中のCoの置換量を示す添字pが次式:
0.015≦p≦0.025を満たす範囲にある前記
(1)項記載のランタンクロマイト系セラミックス、
(7)組成を示す一般式中のNiの置換量を示す添字q
が次式:0.03≦q≦0.08を満たす範囲にある前
記(2)項記載のランタンクロマイト系セラミックス、
(8)組成を示す一般式中のMの置換量を示す添字rが
次式:0.03≦r≦0.05を満たす範囲にある前記
(3)項記載のランタンクロマイト系セラミックス、
(9)組成を示す一般式中のSrの置換量を示す添字x
が0.04〜0.2の範囲にある前記(1)、(2)、
(3)、(6)、(7)又は(8)項記載のランタンク
ロマイト系セラミックス、(10)前記添字xが0.0
8〜0.15の範囲にある前記(9)項記載のランタン
クロマイト系セラミックス、が挙げられる。
【0015】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スは、上記したように、一般式(La1-xSrxa(C
1-pCopb3[式中0.02≦x≦0.2、0.0
1≦p≦0.03、0.95≦a/b≦1.05であ
る]、一般式(La1-xSrx a(Cr1-qNiqb3
[式中0.02≦x≦0.2、0.02≦q≦0.1、
0.95≦a/b≦1.05である]、又は一般式(L
1-xSrxa(Cr1-rrb3[式中0.02≦x
≦0.2、0.02≦r≦0.5、0.95≦a/b≦
1.05、M=Zn、Fe又はMnである]で表わさ
れ、室温において六方晶であり、空気中での焼成で得ら
れた目的セラミックスに対する該セラミックスの100
0℃酸素分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中での20
時間熱処理物の、室温における寸法変化率が0.1%以
下であり、相対密度が90%以上であり、導電率が10
00℃空気中で10Ω-1cm-1以上、1000℃酸素分
圧1×10-15気圧の還元雰囲気中で1Ω-1cm-1以上
であり、50℃から1000℃までの熱膨張係数が9.
8×10-6-1ないし10.7×10-6-1の範囲であ
り、かつ室温におけるJIS R1601に準拠する4
点曲げ強度が10kgf/mm2以上であるものであ
る。本発明において、「空気中での焼成で得られた目的
セラミックスに対する該セラミックスの1000℃酸素
分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中での20時間熱処
理物の、室温における寸法変化率」とは、前者の目的セ
ラミックスの室温下のものの寸法に対する、後者の熱処
理物の室温下のものの寸法の変化量の百分比を意味し、
かつこの寸法とはX線回折法により測定した格子定数よ
り求めた単位格子の体積の立方根を意味する。
【0016】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スは、上記一般式で表わされるペロブスカイト型構造
(ABO3)を有し、AサイトにLa、BサイトにCr
が配置したランタンクロマイトの基本構造において、L
aの一部がSrで置換され、かつさらにCrの一部がそ
れぞCo、Ni、Zn、Fe又はMnに置換された、主
にペロブスカイト型構造を有することが必要である。
【0017】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スにおいては、Laの一部をSrで置換することにより
導電率が向上する。Srの置換量はAサイトの全量に対
してモル比で0.02以上0.2以下、好ましくは0.
04〜0.2、より好ましくは0.08〜0.15の範
囲で選ばれる。Srの置換量が多いほど1000℃にお
ける導電率は高くなるが、0.2を超えると還元時の寸
法変化率が大きくなり、安定化ジルコニアを電解質とし
た平板型固体電解質燃料電池のセパレータに使用すると
反りが発生し、それにより電解質であるジルコニアの破
壊、セパレータ自身の割れによるガスリークも発生する
し、また熱膨張係数も増加するため、電解質である安定
化ジルコニアとの熱膨張係数の差が大きくなり昇降温の
熱サイクルをかけた場合安定化ジルコニアの破壊を引き
起こす。
【0018】一方、Srの置換量が0.02未満では熱
膨張係数と温度との関係の直線性が悪くなり、300℃
以下の領域で熱膨張係数が急に変化する。また、焼結体
中にLaが過剰に存在した場合や、A/Bが1.05よ
り増加した場合などに、Laが結晶粒界に偏析して水蒸
気を吸収し焼結体が崩壊するおそれがある。逆にA/B
が0.95より小さくなると第二成分の析出する場合が
ある。
【0019】ランタンクロマイト格子のBサイトのCr
の一部の置換元素であるCo、Ni、Zn、Fe又はM
nは、焼結温度を低下させたり、焼結体の導電率を向上
させたりする効果があり、これらの置換元素を有しない
ランタンクロマイトは、常圧大気中では1700℃で焼
成しても95%以上の相対密度は得られないが、これら
の元素をBサイトに置換固溶させることにより、同等の
焼成温度においても相対密度95%以上の緻密な焼結体
を得ることができる。これは、原料粉末であるランタン
クロマイト結晶粒子が焼結過程での物質移動速度を向上
させ、また融点が低下することにより焼結温度も下がる
などの理由によると考えられる。
【0020】ランタンクロマイトのBサイト置換量は置
換元素によりBサイト全量に対してモル比で次のよう範
囲で選ばれる。置換元素がCoの場合には0.01≦p
≦0.03、好ましくは0.15≦p≦0.25であ
る。Niの場合には、0.02≦q≦0.1、好ましく
は0.03≦q≦0.08である。Zn、Fe又はMn
の場合には、0.02≦r≦0.5、好ましくは0.0
3≦r≦0.05である。置換量が多すぎると焼結性と
導電率は向上するが、空気雰囲気下及び還元雰囲気下で
の各寸法間の変化比が大きくなりすぎて、平板型固体電
解質燃料電池のセパレータとして使用した場合に反りが
発生する。反りの発生により電解質の破壊、セパレータ
自身の割れによって封止性が低下し電池性能まで低下に
至ることもある。また、置換量が多すぎると、熱膨張係
数の増大により電解質であるジルコニアとの熱膨張差が
大きくなりすぎて、昇降温の熱サイクルをかけた場合に
ジルコニアの破壊を引き起こす。一方、置換量が少なす
ぎると焼結性が低下し、高い緻密度を得にくくなる。
【0021】このように置換元素及び組成を特定した効
果は、以下の従来公知のランタンクロマイト系セラミッ
クスの物性の検討からも明らかである。例えば、Mea
dow crafeらはCERAMIC BULLET
IN1979 Vol.58, No.6 p610−
615において、BサイトのAl置換によってランタン
クロマイトのCrの蒸発量が抑制されることを報告して
いるが、La0.8Ca0.2Al0.25Ar0.753の組成で
は、100℃から1000℃までの熱膨張係数が9.6
×10-6[1/K]と、ジルコニアの熱膨張係数10.
4×10-6[1/K]と比較して小さく、その熱膨張係
数差は0.5×10-6[1/K]を越える。しかも、4
00℃付近に熱膨張係数が急激に変化する温度が存在す
る。また、常圧1600℃での焼成密度は85%焼結性
の向上効果も上記のCo、Ni、Zn、Fe又はMn等
の置換元素と比べて少ない。従ってこの組成では平板型
固体電解質燃料電池セパレータとしては適さない。
【0022】また、Niels Christians
enらが、PROCEEDINGOF THE THI
RD INTERNATIONAL SYMPOSIU
MON SOLID STATE FUEL CELL
S(p401)において、Co置換量によって還元時の
寸法変化量が変化することや、La0.7Ca0.3Cr
0.975Co0.0253を報告しているが、この組成では電
解質との熱膨張係数差が大きく平板型固体電解質燃料電
池セパレータとしては適さない。
【0023】一方、特開昭51−150692号公報に
開示された、(La1-xx)(Cr 1-yNiy)O
3-v[式中0<x、y<1]で表わされる複合酸化物の
場合、x=0.2、y=0.9のものについては、平板
型固体電解質燃料電池が稼働時に通常さらされる100
0℃の還元雰囲気下では、分解が起こるし、また電解質
との熱膨張係数差も大きいため、平板型固体電解質燃料
電池セパレータとしては使用できない。
【0024】また、B.Bovenらは、Zeitsc
hrift fur Naturforschung,
第27巻,第2号,第363〜365ページ(1972
年)において、La0.8Sr0.2Cr0.8Ni0.23を報
告しているが、この組成では還元前後での寸法変化が大
きく平板型固体電解質燃料電池としての使用には適さな
い。
【0025】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スにおいて、緻密性及び導電率を高めるにはBサイト置
換量が大きい、例えばBサイト置換元素がCoの場合p
が0.05に近い方が好ましいが、ジルコニアなどとの
熱膨張係数差を小さくするにはBサイト置換量が小さ
い、例えばBサイト置換元素がCoの場合pが0.03
以下のものが好ましい場合もある。ランタンクロマイト
のAサイトとBサイトの比a/bは、必ずしも1でなく
ても焼結体が得られるが、次式:0.95≦a/b≦
1.05を満たすように選ばれる。a/b>1.05や
a/b<0.95である場合には、焼結性に影響した
り、ランタンクロマイト単一相が得られなくなることが
ある。特に、a/b≫1.05である場合、粒界に偏析
するLa23のために、緻密に焼成された焼結体でも、
経時的に脆くなる。
【0026】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スにおいては、さらに、室温において結晶構造が六方晶
であり、空気中での焼成で得られた目的セラミックスに
対する該セラミックスの1000℃酸素分圧5×10
-16気圧の還元雰囲気中での20時間熱処理物の、室温
における寸法変化率が0.1%以下であり、かつ相対密
度が90%以上であることが重要である。中でも、ペロ
ブスカイト型構造を有するものが好ましい。結晶構造の
分析法としては、粉末X線回折法などが挙げられる。寸
法の変化は、体積の変化と相関し、固体電解質燃料電池
は高温還元雰囲気にもさらされるため、寸法変化率は熱
膨張係数と同様に重要である。寸法変化率と熱膨張係数
の両者が適正化されて初めて固体電解質型燃料電池のセ
パレータとして有用となる。
【0027】結晶粒径は強度に影響し、結晶粒が大きく
なると結晶粒界の欠陥サイズが大きくなり、強度が低下
する。結晶粒径は好ましくは20μm以下、特に10μ
m以下の範囲で選ばれる。
【0028】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スは、さらに次のような物性を有することが重要であ
る。 1)1000℃空気中での導電率及び1000℃酸素分
圧1×10-15(気圧)の還元雰囲気下での導電率をΩ
-1cm-1単位でそれぞれσ1000air及びσ100 0red
示すと、次式 10≦σ1000air、好ましくは15≦σ1000air、及
び1≦σ1000red、好ましくは10≦σ1000red を満たす。 2)50℃から1000℃までの熱膨張係数を、絶対温
度の逆数1/KすなわちK-1単位でαで示すと、 9.8×10-6≦α≦10.7×10-6、好ましくは1
0.0×10-6≦α≦10.5×10-6 を満たす。 3)室温におけるJIS R1601に準拠する4点曲
げ強度が、10kgf/mm2以上、好ましくは14k
gf/mm2以上である。
【0029】一般に燃料電池において還元雰囲気とは、
通常燃料極側の酸素分圧が1×10 -15気圧以下の雰囲
気であることを意味する。さらに、電池の出力、効率と
いった電池性能を高くするには、酸素分圧が5×10
-16気圧以下で運転する場合もある。例えば、LPGを
燃料として水蒸気改質を水蒸気/カーボン比を3という
条件で運転する場合、運転温度1000℃でそのガス組
成は約水素49%、水蒸気32%、一酸化炭素13%、
二酸化炭素5%となり、この時の酸素分圧は1×10
-15気圧になる。また、水蒸気/カーボン比を2とした
場合の上記運転条件でのガス組成は約水素58%、水蒸
気19%、一酸化炭素19%、二酸化炭素4%となり、
この時の酸素分圧は3×10-16気圧になる。
【0030】ランタンクロマイトでは、このような高温
還元雰囲気下では、ペロブスカイト型構造の結晶を構成
している酸素の一部が離脱する。結晶中の酸素は、負の
2価のイオンとして存在しており、結晶格子中から酸素
が抜けた場合、近傍の正イオンの間で斥力が働いたり、
あるいはBサイトの正のイオンであるCrイオンの価数
が3価から4価に変化したりするなど、結晶格子中の
正、負の電荷の移動が起こり、酸素が抜けるまで保たれ
ていた正負イオンの引力、斥力の均衡が崩れて原子間の
距離が伸びるため、単位格子の長さが増加し、その結果
焼結体の体積が増加する。
【0031】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スは、この還元雰囲気中での安定性が優れている。その
結果、酸素分圧5×10-16気圧の還元雰囲気下で10
00℃程度の高温熱処理を行っても寸法変化が少なく、
この還元熱処理前後の寸法変化率は0.1%以下であ
り、4点曲げ強度の低下もない。また、耐酸化性にも優
れ、密度は理論密度の90%以上、さらには95%以上
であり、1000℃空気中の導電率は10Ω-1cm-1
上、好ましくは15Ω-1cm-1以上であり、酸素分圧1
×10-15気圧の還元雰囲気中の導電率は1Ω-1cm-1
以上、好ましくは10Ω-1cm-1以上である。したがっ
て、本発明のランタンクロマイト系セラミックスは、高
温下で耐食性と導電性の両方が要求される高温導電性材
料として有用である。
【0032】一般に、平板型固体電解質燃料電池セパレ
ータにおいては、上記のような耐還元性を始めとする高
温導電性材料特性に加え、封止性、電極との接触抵抗の
低減の観点から、反りが小さく、運転時の反りが好まし
くは20cm角板で200μm以下であることや、熱膨
張係数が電解質である安定化ジルコニアと近いなどの特
性が要求される。
【0033】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スは、このような要求特性を十分具備する。すなわち、
本発明のランタンクロマイト系セラミックスを、5cm
角、20cm角板に成形し、1000℃において片面を
空気に、他方の面を酸素分圧5×10-16気圧の還元雰
囲気にさらして荷重なしでその反り量を測定したとこ
ろ、5cm角の場合は、1μm以下であり、20cm角
板の場合では同様の測定で反り量は300μm以下であ
った。反り量が大きくなると電池間の接触が悪くなり、
電池の抵抗が大きくなり、セル性能を低下させるので、
反り量はできるだけ小さい方が好ましいが、反り量30
0μmの20cm角板でも、これに50kg以上の荷重
をかけると平坦化でき、割れも見られなかった。したが
って、300μm以下、より好ましくは200μm以下
の反り量であれば、1000℃の運転温度下の固体電解
質燃料電池における積層化、荷重付加により、割れを発
生させることなく、十分平坦化が可能である。
【0034】また、本発明のランタンクロマイト系セラ
ミックスの熱膨張係数は、安定化ジルコニアのそれに近
いので、平板型固体電解質燃料電池を20cm角程度の
大型に積層させて1000℃までの昇温、降温を行って
も安定化ジルコニアが割れることはなく、封止部分の破
壊もない。
【0035】本発明は、また、このようなランタンクロ
マイト系セラミックスを含有する固体電解質型燃料電池
セパレータを提供するものである。例えば、このセラミ
ックスをそのまま、あるいは他の適当な材料と組み合わ
せ、所要の成形加工を施すことによって所望のセパレー
タとすることができる。
【0036】本発明は、また、このようなセパレータを
用いた平板型固体電解質燃料電池を提供するものであ
る。この燃料電池の1例の概略図を図1に示す。図中、
1は固体電解質板であって、上面にカソード2、下面に
アノード3が形成されている。4は本発明のランタンク
ロマイト系セラミックスからなるセパレータ、5は本発
明のランタンクロマイト系セラミックスからなる外部出
力端子であって、それには空気流路6、燃料流路7を構
成する溝が形成されている。セパレータは空気と燃料を
分離するとともに、隣接する単位セルのカソード2とア
ノード3とを電気的に接続する役割をも担うものであ
る。外部出力端子は集積された単位セルの両端部におい
て空気流路又は燃料流路を形成するとともに、アノード
又はカソードとの電気的接続を行う部材である。図1は
2個の単位セルを集積した燃料電池であるが、3個以上
の単位セルをセパレータを介して集積することもでき
る。
【0037】本発明のランタンクロマイト系セラミック
スは、慣用のセラミックス製造法により製造することが
できる。例えば、先ず、ランタン源、ストロンチウム
源、クロム源、前記B群の置換金属源を所定比に混合し
た粉末混合物を所定の温度、一般的には1000〜16
00℃、好ましくは1000〜1200℃で仮焼して仮
焼粉末を得る。仮焼時間は通常1〜数十時間、好ましく
は1〜10時間である。仮焼は酸素含有雰囲気、通常空
気中で行われる。仮焼時の圧力は大気圧でよい。
【0038】次いで、仮焼粉末を加圧成形などにより成
形し、焼成することにより所望のセラミックスを得るこ
とができる。焼成温度は通常1300℃以上で、好まし
くは1500〜1700℃であり、焼成時間は、成形体
の形状などによるが、通常1〜10時間、好ましくは1
〜5時間であり、焼成は酸素含有雰囲気、通常空気中で
行われる。焼成時の圧力は、常圧で緻密な焼結体が得ら
れるが、加圧下であってもよい。
【0039】
【発明の効果】本発明のランタンクロマイト系セラミッ
クスは、緻密で良好な導電性を有し、熱膨張係数の温度
依存性が低く、寸法変化率が小さく、寸法安定性に優れ
るなどの特有の効果を奏するので、高温導電性材料とし
て有用であり、また大気中で容易に緻密性よく調製する
ことができる。また、本発明の平板型固体電解質燃料電
池セパレータは、このセラミックスを含有し、その特性
を有するとともに、封止性や電極との接触性が向上し、
電解質との熱膨張係数の整合性が良好で、低酸素分圧の
還元雰囲気下での寸法変化が少なく、しかも耐酸化性、
耐還元性に優れているので、該セパレータを用いた平板
型固体電解質燃料電池を提供しうる。
【0040】
【実施例】次に実施例によって本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。各種セラミックス試料の特性、試料の電
解質への影響特性は下記のとおり評価した。 (1)還元前後の寸法変化率 約4×3×40mm寸法の試料をアルミナ製容器に入
れ、窒素ガスを200ml/分流通させて1000℃ま
で5℃/分で昇温し、1000℃到達後1時間保持した
のち、水蒸気/水素を酸素分圧5×10-16気圧の還元
雰囲気となるように流通させて20時間保持し、次いで
室温まで20℃/分以上の降温速度で急冷して還元後の
試料を調製し、これのこのような処理前の試料に対する
寸法の変化度を以下の2つの方法で求めた。 (i)還元処理前後の各試料についてX線回折法により
格子定数を求める。セパレータとして用いる場合の焼結
体は多結晶体であるため、結晶軸は配向せず、セパレー
タの寸法変化は各結晶軸の変化が平均化されたものとし
て観測される。従って、測定した格子定数の変化を平均
化するために、前記各試料の測定した格子定数から単位
格子の体積に換算し、還元処理前の該体積に対する還元
処理後の該体積変化量を求め、この変化量の立方根の、
還元前の該体積の立方根に対する百分比で示した。 (ii)還元処理前後の各試料の寸法を1μ精度で測定
し、処理前の試料の寸法に対する処理後の試料の寸法の
変化量を百分比で示した。なお、この寸法は試料の最長
辺についてのものである。
【0041】(2)還元前後の4点曲げ強度 前記(1)に記載した還元処理の前後の試料についてJ
IS−R−1601に準拠して測定した。
【0042】(3)熱膨張係数(α) 石英製縦型押棒式熱膨張測定装置を用い、温度上昇に伴
う試料の長さの変化を下記のようにして求め、次式によ
り算出した。 α=(Lx−L0)/[L0×(Tx−T0)] [式中のLxは温度Tx(℃)における試料の長さ、L0
は温度T0(℃)における試料の長さを示す] 寸法5×5×10mmの試料を電気炉内の石英製試料室
に設置し、上方から石英製変位計測ロッドで挟み、該ロ
ッドの接触が保たれるように10gの荷重をかけて10
00℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、1000℃で
2時間保持し、降温速度10℃/分で室温まで降温し、
昇降温を2回繰り返し、2回目の1000℃と50℃に
おける数値を用いた。
【0043】(4)熱サイクル後の電解質の割れ確率 図2に示すように任意の大きさの試料と8モル%Y23
ドープZrO2電解質(8YSZ)を、試料11/ガラ
ス12/8YSZ13/試料14/重り15の順番で重
ねた。ガラスは端から10mmの幅で4辺に取り付け
た。重りは0.5g/cm2となるように面積に応じて
変化させた。このように配設したものを昇温速度1℃/
分で1000℃まで昇温し、1000℃で2時間保持し
たのち、降温速度1℃/分で室温まで降温し、電解質の
ひび割れを観察した。昇降温でひび割れしないものは、
そのままで、電解質がひび割れした場合は、ひび割れの
ない新しい電解質に交換して、このような昇降温及びひ
び割れの観察を2回繰り返した。こうして全3回行った
観察の結果を、ひび割れ回数をn回としてn/3の確率
で示した。
【0044】(5)導電率 空気雰囲気下の導電率を導電率(AIR)(Ω-1
-1)で、また還元雰囲気下の導電率を導電率(RE
D)(Ω-1cm-1)でそれぞれ示した。
【0045】(6)相対密度 寸法と質量から算出した測定密度を理論密度で割って求
めた。なお、理論密度は、ストロンチウム系ランタンク
ロマイトセラミックスでは6.5(g/cm3)とし、
カルシウム系ランタンクロマイトセラミックスでは6.
2(g/cm3)とした。
【0046】(7)反り量 図3に示す反り量測定装置が用いられ、この装置におい
ては、試料21のサイズに応じたアルミナ製容器22が
上下に取り付けられ、容器22はガス導入口を兼ねるア
ルミナ管23と接続され、下方より水素/水蒸気比によ
り任意の酸素分圧に調整された燃料ガス24、上方より
空気25が送られる構造とされ、アルミナ管/アルミナ
製容器/試料の封止にはガラスが用いられている。アル
ミナ製容器中の試料を1000℃まで5℃/分で昇温さ
せ、1000℃で燃料ガス側の酸素分圧を変化させ、試
料のランタンクロマイト系セラミックス板の中央に接し
ているアルミナロッド26を介して装置上部のダイヤル
ゲージ27により反り量を測定した。
【0047】実施例1 酸化ランタン(La23)4383g、炭酸ストロンチ
ウム(SrCO3)442.8g、三酸化二クロム(C
23)2324.4g及び四酸化三コバルト(Co3
4)48.15gをボールミルを用いて24時間湿式
混合した。この混合粉末を乾燥後、昇温速度20℃/分
で昇温し、1200℃で2時間仮焼した。こうして得ら
れた仮焼物を再び粉砕し、2000kgf/cm2で冷
間等方加圧成形(CIP)し、昇温速度1℃/分で17
00℃まで昇温し、この温度で4時間焼成することによ
って所望のランタンクロマイト系セラミックスを得た。
このものを粉砕して調製された粉末をX線回折法により
分析した結果、第二相の存在は確認できず、ストロンチ
ウム及びコバルトはペロブスカイト型構造をもったラン
タンクロマイト格子中に固溶していることが分った。
【0048】実施例2〜8、比較例1〜13 所定の原料を所定割合で用い、実施例1と同様にしてペ
ロブスカイト型構造のランタンクロマイト系セラミック
スを得た。ただし、カルシウム系のものは焼成温度を1
500℃とした。
【0049】このようにして得られたセラミックスの組
成と各種特性を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1中、×印は還元雰囲気中で分解するこ
と、または、ひび割れすることを示し、また、寸法変化
率欄において、*印を付したものは前記(i)の方法
で、また*印のない無印のものは前記(ii)の方法で
求めたことを示す。
【0052】実施例1〜3、比較例6及び比較例9で得
た各セラミックスから成る200mm×200mm×5
mmのサイズの成形体に所定原料ガス流路を設けて各セ
パレータを形成した。また、セパレータと同じ方形で厚
さ0.2mmの、イットリアを8モル%添加したジルコ
ニア(以下8YSZという)から成る固体電解質板を用
意し、その片面にLa0.8Sr0.2MnO3を0.1mm
厚にスラリー塗布法で被着してカソードとし、他方の面
にNi−8YSZ(重量比7:3)サーメットを0.1
mm厚にスラリー塗布法で被着してアノードとした。
【0053】この各電極を設けた固体電解質板と各セパ
レータを積層して各種3段スタックセルを作製した。各
種セルを次の条件で運転した。 燃料ガス:H2=3.40リットル/hrとH2O=1.
13リットル/hrとの混合ガス 酸化剤ガス:空気=12.80リットル/hr セル温度:1000℃ 荷重:100kg 各種セルの性能を所定電流密度下での電圧で示した。そ
の結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】これより、各比較例のセルは性能不良であ
り、OCVも低く、降温後にセパレータの割れが認めら
れるため、電流密度を0.3A/cm2まで使用するこ
とはできないのに対し、各実施例のセルは性能良好であ
り、OCVも理論値とほぼ一致し大きなリークはなく、
降温後にもセパレータの割れは認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のセラミックスをセパレータに用いた
平板型固体電解質燃料電池の1例の概略図。
【図2】 電解質の熱サイクル後の割れを観察するため
の装置の1例の概略図。
【図3】 各セラミックスの反り量を測定するための装
置の1例の概略図。
【符号の説明】
1 固体電解質板 2 カソード 3 アノード 4 セパレータ 5 外部出力端子 6 空気流路 7 燃料流路 11 試料 12 ガラス 13 8YSZ 14 試料 15 重り 21 試料 22 アルミナ製容器 23 アルミナ管 24 燃料ガス 25 空気 26 アルミナロッド 27 ダイヤルゲージ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01G 51/00 A 53/00 A C04B 35/50 H01M 8/02 B 9444−4K 8/12 9444−4K (72)発明者 安藤 基朗 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内 (72)発明者 吉田 利彦 埼玉県入間郡大井町西鶴ケ岡一丁目3番1 号 東燃株式会社総合研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 (La1-xSrxa(Cr1-p
    pb3 (式中0.02≦x≦0.2、0.01≦p≦0.0
    3、0.95≦a/b≦1.05である)で表わされ、
    室温において六方晶であり、空気中での焼成で得られた
    目的セラミックスに対する該セラミックスの1000℃
    酸素分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中での20時間
    熱処理物の、室温における寸法変化率が0.1%以下で
    あり、相対密度が90%以上であり、導電率が1000
    ℃空気中で10Ω-1cm-1以上、1000℃酸素分圧1
    ×10-15気圧の還元雰囲気中で1Ω-1cm-1以上であ
    り、50℃から1000℃までの熱膨張係数が9.8×
    10-6-1ないし10.7×10-6-1の範囲であり、
    かつ室温におけるJIS R1601に準拠する4点曲
    げ強度が10kgf/mm2以上であることを特徴とす
    るランタンクロマイト系セラミックス。
  2. 【請求項2】 一般式 (La1-xSrxa(Cr1-q
    qb3 (式中0.02≦x≦0.2、0.02≦q≦0.1、
    0.95≦a/b≦1.05である)で表わされ、室温
    において六方晶であり、空気中での焼成で得られた目的
    セラミックスに対する該セラミックスの1000℃酸素
    分圧5×10-16気圧の還元雰囲気中での20時間熱処
    理物の、室温における寸法変化率が0.1%以下であ
    り、相対密度が90%以上であり、導電率が1000℃
    空気中で10Ω-1cm-1以上、1000℃酸素分圧1×
    10-15気圧の還元雰囲気中で1Ω-1cm-1以上であ
    り、50℃から1000℃までの熱膨張係数が9.8×
    10-6-1ないし10.7×10-6-1の範囲であり、
    かつ室温におけるJIS R1601に準拠する4点曲
    げ強度が10kgf/mm2以上であることを特徴とす
    るランタンクロマイト系セラミックス。
  3. 【請求項3】 一般式 (La1-xSrxa(Cr1-r
    rb3 (式中0.02≦x≦0.2、0.02≦r≦0.5、
    0.95≦a/b≦1.05、M=Zn、Fe又はMn
    である)で表わされ、室温において六方晶であり、空気
    中での焼成で得られた目的セラミックスに対する該セラ
    ミックスの1000℃酸素分圧5×10-16気圧の還元
    雰囲気中での20時間熱処理物の、室温における寸法変
    化率が0.1%以下であり、相対密度が90%以上であ
    り、導電率が1000℃空気中で10Ω-1cm-1以上、
    1000℃酸素分圧1×10-15気圧の還元雰囲気中で
    1Ω-1cm-1以上であり、50℃から1000℃までの
    熱膨張係数が9.8×10-6-1ないし10.7×10
    -6-1の範囲であり、かつ室温におけるJIS R16
    01に準拠する4点曲げ強度が10kgf/mm2以上
    であることを特徴とするランタンクロマイト系セラミッ
    クス。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のランタンクロ
    マイト系セラミックスを含有する平板型固体電解質燃料
    電池セパレータ。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の平板型固体電解質燃料電
    池セパレータを用いた平板型固体電解質燃料電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007039279A (ja) * 2005-08-03 2007-02-15 Chubu Electric Power Co Inc ランタンクロマイト質材料、インターコネクタ、固体酸化物形燃料電池及び電熱体
JP2007207749A (ja) * 2006-01-30 2007-08-16 General Electric Co <Ge> 固体酸化物電気化学デバイスを製造する方法および固体酸化物電気化学デバイス

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JP2007207749A (ja) * 2006-01-30 2007-08-16 General Electric Co <Ge> 固体酸化物電気化学デバイスを製造する方法および固体酸化物電気化学デバイス

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