JPH08146364A - 半導体レーザおよびその作動方法 - Google Patents

半導体レーザおよびその作動方法

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JPH08146364A
JPH08146364A JP28188894A JP28188894A JPH08146364A JP H08146364 A JPH08146364 A JP H08146364A JP 28188894 A JP28188894 A JP 28188894A JP 28188894 A JP28188894 A JP 28188894A JP H08146364 A JPH08146364 A JP H08146364A
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semiconductor laser
mode
saturable absorber
operating
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JP28188894A
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Yukihiro Ozeki
幸宏 尾関
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 外部から光パルスを入射させて、レーザ発振
をオンからオフにしたり、または高速で動作させること
ができる半導体レーザおよびその作動方法を提供するこ
と。 【構成】 光導波路活性層19は利得体層17と可飽和
吸収体層15aとから構成されている。利得体層17は
モードに依存していないが、可飽和吸収体層15aはモ
ードに依存している。また、2つの上側電極25(25
a、25b)が、キャップ層23上に設けられている。
そして、半導体レーザを作動する場合、利得体層用電極
25aに印加する電流値を変化させる。一方、可飽和吸
収体層用電極25bは、解放モードまたは電流を流出す
るモードとして用い、可飽和吸収体層15aの吸収率を
調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、半導体レーザーおよ
びその作動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、可飽和吸収体層を光導波路活性層
内に有する半導体レーザでは、その出力は可飽和吸収体
層の飽和度に依存している。そして、この半導体レーザ
は、オン(レーザ発振)とオフ(レーザ非発振)の2値
を用いる光デバイスとして、提案もしくは製造、実験さ
れていた。この種の半導体レーザとして、例えば、文献
1:「H. Kawaguchi and G. Iwane, "Bistable operati
on in semiconductor lasers with inhomogeneous exit
ation", Electron. lett., vol.17, pp.17, 1981」 に開
示されているものがある。
【0003】結晶の劈開により得られる半導体レーザの
光導波路活性層内の一部に、励起電流の流れない領域を
電極を分割して形成する。この領域の形成は、半導体レ
ーザに電極を分割して設けることにより、達成できるこ
とは知られている。そして、このような励起電流の流れ
ない活性層領域が可飽和吸収体層として作用する。
【0004】このような活性層を有する半導体レーザに
励起電流を流すと、電流の流れる部分(利得部)では、
利得を十分もつようになる。しかし、自然光パワーが低
い場合には、吸収層による光の損失が大きくなるため、
光導波路活性層全体での利得は、マイナスとなり、レー
ザ発振が起こらない。
【0005】しかし、電流をさらに、ある電流値、例え
ばIth2 まで大きくすると、自然光パワーが大きくな
る。その結果、吸収層での光の損失が飽和により低下す
るので全体の利得がプラスになり発振を開始し、正帰還
作用により急激にレーザ光出力が増大する。
【0006】その後、電流をIth2 より小さくしていっ
ても、すでにレーザ発振が起きているため、別のある電
流値、例えばIth1 (<Ith2 )までは、依然として吸
収層での光の損出は飽和している。そのため、利得はプ
ラスであり、レーザ発振を継続し、光出力は高いままで
ある。
【0007】このようにして、光強度と電流との間の関
係特性においてヒステリシスを持つことになる。また、
電流Iを、Ith1 <I<Ith2 とすると、外部から光パ
ルスを入射させて、レーザ発振をオフからオンにするこ
とも知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、可飽和
吸収体層を光導波路活性層内に有する従来の半導体レー
ザでは、外部から光パルスを入射させて、レーザ発振を
オンからオフにすることは原理的に難しい。また、スイ
ッチング速度も、可飽和吸収体層内でのキャリアの緩和
時定数(〜1ns)で、制約されるため、1ギガビット
/秒(Gb/s)以上の速さで、動作させることは難し
かった。
【0009】従って、外部から光パルスを入射させて、
レーザ発振をオンからオフにしたり、または高速で動作
させることができる半導体レーザおよびその作動方法の
出現が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】このように、外部から光
パルスを入射させて、レーザ発振をオンからオフにした
り、または高速で動作させることができる半導体レーザ
とするため、この発明では、半導体レーザの構成を次の
ようにする。先ず、この半導体レーザは、利得体層と可
飽和吸収体層とから構成される光導波路活性層と、利得
体層および可飽和吸収体層に、独立に電流を印加できる
個別の電極とを具えている。そして、利得体層はモード
無依存であり、可飽和吸収体層はモード依存性である。
このような構成の半導体レーザは、モード間結合を利用
した多モード半導体レーザである。
【0011】この発明の好適実施例では、利得体層をバ
ルク層を以って構成し、可飽和吸収体層を多層量子井戸
層を以って構成するのが良い。多重量子井戸層は井戸面
に平行な偏波面をもつ光に対する吸収係数が、垂直な偏
波面をもつ光の吸収係数よりも著しく大きい偏波依存性
の物質として知られている。
【0012】また、この発明の半導体レーザの作動方法
によれば、半導体レーザを作動させるにあたり、半導体
レーザの動作時に、光導波路活性層からの出射光がモー
ド間双安定現象に起因して有するいずれか一方のモード
を強制的に他方のモードに交互に切り換えることによっ
て、出射光モードを制御して、半導体レーザを光R−S
フリップフロップ作動させることを特徴とする。
【0013】この発明の好適実施例では、強制的なモー
ド切換を利得体層および可飽和吸収体層に印加するそれ
ぞれの電流を個別に制御して行うのが良い。
【0014】また、この発明の好適実施例では、強制的
なモード切換を光導波路活性層に、光導波路活性層から
既に出射している光のモードと異なるモードの光パルス
を外部から入射させて行うのが良い。
【0015】さらに、この発明の好適実施例では、半導
体レーザを光R−Sフリップフロップ作動させるにあた
り、出射光モードを検波するモードフィルタを用いて、
出射光モードの変換を、光の強度の変換に変えることが
可能である。つまり、出射光モードの光の強度への変換
が可能である。
【0016】
【作用】一般に、2つのモードの光が競合する半導体レ
ーザにおける各モードの光強度は、次の(1)式および
(2)式のように表され、両モード間の結合状態は文献
2:「Siegman, "Lasers", University Science Books,
1986」にも開示されているように図7の(A)および
(B)に示される関係にあることが知られている。 dI1 /dt=(g1 −β11 −θ122 )I1 (1) dI2 /dt=(g2 −β22 −θ211 )I2 (2) ここで、I1 、I2 はモード1、2の光強度、g1 、g
2 はモード1、2の利得係数、β1 、β2 はモード1、
2の自己利得飽和係数、θ12、θ21はモード1、2の相
互利得飽和係数である。
【0017】ここで、図7(A)および(B)は、フェ
ーズダイアグラムであり横軸にモード1の光強度をと
り、縦軸にモード2の光強度をとって示してある。そし
て、D=θ12θ21/β1 β2 としたとき、D<1の場合
(弱結合の場合)(図7(A))と、D>1の場合(強
結合の場合)(図7(B))のそれぞれの場合での、モ
ード1とモード2の光強度が結合状態によりどのように
システム安定点に収斂するかを示している。図7(A)
および(B)中、O、O1 、O2 は式(1)および
(2)が零の場合の動作点、つまりシステム静的解を示
している。しかし、これらの3点の中で、どの点が動的
に安定であるかは強結合と弱結合の場合で異なってく
る。図中に示す矢印の曲線が向かう点が動的安定点とな
り、実際に動作点として実現しうる状態である。
【0018】図7(A)から理解できるように、D<1
の場合、つまり弱結合の場合には、O点に収束し、この
ため、両モードの光が光強度をもつ状態のみ安定であ
る。この場合、2モード発振となる。
【0019】また、図7(B)から理解できるように、
D>1の場合、つまり強結合の場合には、O1 点または
2 点に収束し、このため、一つのモードの光だけが排
他的に光強度をもつ状態のみ安定である。
【0020】通常の多モード半導体レーザでは、例え
ば、2つのモード間は弱結合であるため、一般に、多モ
ード発振することが多い。これに対し、本発明では、モ
ード依存可飽和吸収体により強結合を実現した。このこ
とについて、以下に説明する。
【0021】光導波路活性層が利得体層と可飽和吸収体
層とから構成されている半導体レーザにおける各モード
の光強度は、次のように表される(文献2参照)。
【0022】 dI1 /dt={(g1 −β11 −θ122 )−pN/(1+pI1 +qI2 )}I1 (3) dI2 /dt={(g2 −β22 −θ211 )−qN/(1+pI1 +qI2 )}I2 (4) ここで、p、qはモード1、2の吸収飽和能力を示す。
Nは可飽和吸収体内部の励起状態指数を示す。また、p
N、qNはモード1,2に対する可飽和吸収体層の非飽
和時吸収率を与え、p,qが大きいほど、そのモードの
光により可飽和吸収体は飽和し易い。
【0023】(3)、(4)式内の第4項、つまり、−
pN/(1+pI1 +qI2 )および−qN/(1+p
1 +qI2 )が可飽和吸収体層の効果を表している。
モード1、2の光強度I1 、I2 が大きくなると、この
項は小さくなり、光の損失が減少する。(3)、(4)
式内の第4項を線形化すると(3)、(4)は次のよう
に近似できる。
【0024】 dI1 /dt={g1 −β11 −θ122 −pN+p2 NI1 +pqNI2 }I1 ={(g1 −pN)−(β1 −p2 N)I1 −(θ12−pqN)I2 }I1 (5) dI2 /dt={g2 −β22 −θ211 −qN+pqNI1 +q2 NI2 }I2 ={(g2 −qN)−(β2 −q2 N)I2 −(θ21−pqN)I1 }I2 (6) (5)または(6)式において、(g1 −pN)、(g
2 −qN)、(β1 −p2 N)、(β2 −q2 N)、
(θ12−pqN)、(θ21−pqN)をG1 、G 2 、B
1 、B2 、Θ12、Θ21と置き換えると(5)、(6)式
は次のように表される。
【0025】 dI1 /dt={G1 −B11 −Θ122 }I1 (7) dI2 /dt={G2 −B22 −Θ211 }I2 (8) ここで、G1 、G2 、B1 、B2 、Θ12、Θ21>0の条
件で、d=Θ12Θ21/B12 とすると、モード1とモ
ード2の結合状態はd<1のとき弱結合となり、d>1
のとき強結合となる。
【0026】可飽和吸収体層がモード依存性である場
合、d>1とすることが可能で、2つのモード間は強結
合となる。このため、一つのモードの光だけが排他的に
光強度をもつ双安定状態になる。
【0027】例えば、β1 =β2 =θ12=θ21=κ、N
=1とすると、光導波路活性層が利得体のみで構成され
ている半導体レーザでは、θ12θ21−β1 β2 =0、つ
まりD=1となり、2つのモード間の結合は強結合では
ない。一方、光導波路活性層が利得体層と可飽和吸収体
層とから構成されている半導体レーザでは、Θ12Θ21
12 =κN(p−q)2 ≧0、つまりd≧1とな
り、pとqとが等しくない場合、2つのモード間の結合
は強結合となる。pとqとが等しくないということは、
モード依存性の可飽和吸収体層を光導波路活性層の構成
要素とする場合に実現される。
【0028】ここでは、θ12θ21−β1 β2 =0の場合
について説明したが、θ12θ21−β1 β2 <0、つまり
D<1の場合にも、pがqに比べて無視できるほど小さ
い場合、またはqがpに比べて無視できるほど小さい場
合、つまりモード依存性をもつようにpとqとを適切に
決めることにより、Θ12Θ21−B12 >0、つまりd
>1が可能であることが示せる。
【0029】光導波路活性層を利得体層のみで構成する
場合には、モード間の結合が弱結合であっても、光導波
路活性層を利得体層と可飽和吸収体層とから構成すれ
ば、モード間強結合を実現しモード間双安定現象が生じ
る。
【0030】上述したこの発明の半導体レーザによれ
ば、光導波路活性層は利得体層と可飽和吸収体層とから
構成され、利得体層はモード無依存であり、可飽和吸収
体層はモード依存性である。このため、モード間強結合
によるモード間双安定現象が生じる。
【0031】また、この発明の半導体レーザの作動方法
によれば、半導体レーザ動作時に、光導波路活性層から
の出射光がモード間双安定現象に起因して有するいずれ
か一方のモードを強制的に他方のモードに交互に切り換
えてることができる。この強制的なモード切換は、例え
ば、利得体層および可飽和吸収体層に印加するそれぞれ
の電流を個別に制御することにより、または光導波路活
性層に、光導波路活性層から既に出射している光のモー
ドと異なるモードの光パルスを外部から入射することに
より行うことができる。
【0032】このようにして、出射光のモードを制御す
ることにより、半導体レーザを光R−Sフリップフロッ
プ作動させることができる。
【0033】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の実施例を
説明する。これら図面において、各構成成分は、この発
明が理解できる程度に各構成成分の形状、大きさ、およ
び配置関係を概略的に示してあるにすぎない。なお、以
下の説明において、この発明の半導体レーザを構成する
素子の理解を容易にするため、この素子の製造方法につ
いて簡単に説明し、その後で、この発明の半導体レーザ
を構成する素子について説明する。
【0034】図1は、この発明の実施例である半導体レ
ーザを構成する素子の構造を概略的に示す断面図であ
る。図2(A)〜(E)は、この発明の実施例である半
導体レーザを構成する素子を作製する工程を概略的に示
す断面図である。
【0035】先ず、基板11の一方の表面(上面)上
に、第1クラッド層13、多重量子井戸層(以下、MQ
W層と称する場合がある。)であるエッチング前可飽和
吸収体層15を、順にMOCVD又はMBE法を用い、
結晶成長により形成する(図2(A))。次に、選択エ
ッチングにより、エッチング前可飽和吸収体層15を所
定の形状にする(図2(B))。次に、利得体層17
を、エッチングにより除去した可飽和吸収体層の領域の
ところに、エッチング済み可飽和吸収体層15aとつな
がる構造となるように、結晶成長により形成する(図2
(C))。このとき、利得体層17の厚みが、可飽和吸
収体層15aの厚みと一致するようにする。次に、利得
体層17と可飽和吸収体層15aとから一体構成される
光導波路活性層19上に、第2クラッド層21、キャッ
プ層23を、順に結晶成長により形成する(図2
(D))。次に、キャップ層23上に上側電極25(2
5a、25b)を2つに分けて形成し、基板11の他方
の表面(裏面)上に下側電極27を形成する(図2
(E))。このとき、一方の上側電極25aを利得体層
17の上側に設け、他方の上側電極25bを可飽和吸収
体層15aの上側に設ける。その後、劈開により素子を
取り出す。
【0036】このようにして、作製した素子は、次のよ
うな構造になっている(図1)。基板11の一方の表面
上に、第1クラッド層13、光導波路活性層19、第2
クラッド層21、キャップ層23が、順に形成されてい
る。従って、この光導波路活性層19は2つのクラッド
層(13と21)で上下が挟まれた構造となっている。
そして、光導波路活性層19は利得体層17と可飽和吸
収体層15aとから、実質的に1つの層として構成され
ている。また、光導波路活性層19は、利得体層17と
可飽和吸収体層15aとの2つの部分から形成され、一
体構造になっている。利得体層17の利得は偏波方向に
依存していないが、可飽和吸収体層15aの吸収係数は
偏波方向に依存している。これは、MQWにおける二次
元電子の双極子モーメントが方向性をもつためであり、
このためMQW層に垂直な偏波であるTM波の吸収が水
平の偏波であるTM波に対し大幅に小さくなる。この実
施例では、利得体層17はヘテロ接合しているバルク層
であり、可飽和吸収体層15aはヘテロ接合している多
重量子井戸層(MQW層とも称する。)である。例え
ば、半導体レーザの波長が、0.7〜0.8μmの場合
には、数10Åの厚さのAlGaAs層と数10Åの厚
さGaAs層とが重なって形成されたMQW層が可飽和
吸収体層15aとして用いられ、AlGaAsからなる
バルク層またはGaAsからなるバルク層が利得体層1
7として用いられている。また、波長が、1.3〜1.
6μmの場合には、数10Åの厚さのInGaAsP層
と数10Åの厚さInGaAs層とが重なって形成され
たMQW層が可飽和吸収体層15aとして用いられ、I
nGaAsPからなるバルク層またはInGaAsから
なるバルク層が利得体層17として用いられている。
【0037】また、基板11、第1クラッド層13、光
導波路活性層19、第2クラッド層21、キャップ層2
3の端面は、劈開により形成されており、鏡面となって
いる。基板11、第1クラッド層13、第2クラッド層
21、キャップ層23のそれぞれは、その両端面が反射
鏡となり、光導波路活性層19を構成する利得体層17
および可飽和吸収体層15aは、利得体層17と可飽和
吸収体層15aとが接合する面と反対側の面が反射鏡と
なっている。
【0038】また、基板11の他方の表面上、および、
キャップ層23上に、電極が形成されている。キャップ
層23上には、利得体層17および可飽和吸収体層15
aに独立に電流を印加できるように、利得体層17およ
び可飽和吸収体層15aに対向して、上側電極25(2
5a、25b)が個別に設けられている。この実施例で
は、利得体層17および可飽和吸収体層15aに対向す
るように2つの電極25a、25bが、キャップ層23
上に設けられている。
【0039】このような構造の素子を用いて、半導体レ
ーザを作動する場合、この実施例では、利得体層用電極
25aに印加する電流値を変化させる。一方、可飽和吸
収体層用電極25bは、解放モードまたは電流を流出す
るモードとして用い、可飽和吸収体層15aの飽和度を
調整している。
【0040】図3(A)および(B)は、このような構
成のデバイスのモデルシュミレーションの結果を示し、
TM偏波またはTE偏波の光強度の電流依存性を、縦軸
にTM偏波またはTE偏波の光強度、横軸に電流値をと
って示している。図3(A)および(B)中、実線は、
電流値を零から増大していった場合の光強度の変化を示
し、点線は、電流値を無限大の値から減少していった場
合の光強度の変化を示している。また、実線から破線に
つながる一点鎖線は、図7(B)のO点の場合に相当す
る。なお、図3(A)および(B)中、縦軸に示すTM
偏波またはTE偏波の光強度はログスケールで表されて
いる。
【0041】可飽和吸収体層15aとして用いるMQW
層の光吸収は、光偏波に依存している。MQW層でのT
M偏波に対する吸収損失は、TE偏波に対する吸収損失
より小さい。このため、利得体層用電極25aに電流を
印加すると、この半導体レーザは、電流値が、例えばI
thのとき、最初に、TM偏波でレーザ発振を起こす。一
旦、TM偏波のレーザ発振が始まると、電流が増大する
につれて、TM偏波の光強度は増大する。そして、MQ
W層が飽和する。MQW層が飽和すると、TE偏波に対
する吸収損失も急激に減少する。そして、電流値が、例
えばI2 のとき、TE偏波でレーザ発振を始める。その
結果、TM偏波は抑圧される。これは、強結合のためで
ある。さらに、電流を増大すると、TE偏波だけがレー
ザ発振し続ける。
【0042】また、TE偏波だけがレーザ発振している
状態から、電流を小さくする場合、電流値が、例えばI
2 以下になっても、TE偏波だけがレーザ発振し続け、
TM偏波のレーザ発振は起こらない。これは、MQW層
がTE偏波で飽和しているためである。さらに、電流値
を小さくすると、例えばI1 (<I2 )のとき、MQW
層の飽和が小さくなり、TE偏波に対する吸収損失が増
大する。その結果、TE偏波のレーザ発振が弱くなりT
M偏波のレーザ発振が始まると、強結合のためTE偏波
は完全に抑圧される。
【0043】このように、可飽和吸収体層15aの非飽
和吸収率を適切に設定して、例えば、Ith<I1 <I2
となるように、可飽和吸収体層にかかる電流を調整する
と、図3(A)および(B)から理解できるように、T
E偏波とTM偏波という2つのモードの光の間で、ヒス
テリシスをもつようになる。このため、電流値を変化さ
せて、TE偏波モードとTM偏波モードの間でのスイッ
チングを行うことができる。
【0044】また、例えば、利得体層にかかる電流値I
をI1 <I<I2 に設定すると、TE偏波またはTM偏
波のどちらか一方でのみ、レーザ発振が可能である。T
E偏波でレーザ発振している場合、外部からレンズ等を
用いて、劈開面を通して、光導波路活性層19にTM偏
波の光パルスを入射させると、レーザ発振は、TM偏波
になる。TM偏波の光パルスの入射を止めた後も、TM
偏波のレーザ発振を続ける。このように、TE偏波から
TM偏波へのスイッチングは、TM偏波の光パルスの入
射により行うことができる。
【0045】TM偏波でレーザ発振している場合も同様
に、光導波路活性層19にTE偏波の光パルスを入射さ
せると、レーザ発振は、TE偏波になる。このように、
TM偏波からTE偏波へのスイッチングは、TE偏波の
光パルスの入射により行うことができる。この様子を図
4にモデルシュミレーション結果として示す。図4に
は、TM偏波からTE偏波へのレーザ発振の切り換え
を、縦軸に光強度、横軸に時間をとって示している。な
お、図4中、曲線aはTE偏波の光強度を、曲線bはT
M偏波の光強度を示し、四角形cはTE偏波の光パルス
を示している。図4から理解できるように、TE偏波の
光パルス(c)の入射によりTM偏波(b)からTE偏
波(a)へのスイッチングが行われている。
【0046】論理レベルをTM偏波モードおよびTE偏
波モードの光強度に置き換えると、この半導体レーザは
光R−Sフリップフロップとして作動する。
【0047】また、出射光の偏波モードを偏向フィルタ
であるポラリゼーションビームスプリタ(PBS)を通
して選択すると、この半導体レーザは光強度信号として
の論理をもった光R−Sフリップフロップとしても作動
する。
【0048】また、可飽和吸収体として波長選択性のあ
る可飽和吸収体を用いると、2つの波長モードの間で上
述の場合と同様な効果が期待できる。
【0049】この発明は、上述した実施例に限定される
ものではないことは明らかである。
【0050】例えば、上述の実施例では、光導波路活性
層19は、利得体層17と可飽和吸収体層15aとの2
つの部分から形成され、一体構造になっていが、図5に
示すように、利得体層17により可飽和吸収体層15a
の両側が挟まれていてもよいし、また、図6に示すよう
に可飽和吸収体層15aにより利得体層17の両側が挟
まれていてもよい。この場合、利得体層17および可飽
和吸収体層15aに対向して、個別に設けられている上
側電極25(25a、25b)の配置も同様に変更すれ
ば良い。
【0051】また、例えば、上述の実施例では、光のモ
ードが2モードの場合について説明しているが、2モー
ドより多い、多モードの場合も同様に行うことが出来
る。
【0052】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
発明の半導体レーザによれば、光導波路活性層は利得体
層と可飽和吸収体層とから構成され、利得体層はモード
無依存であり、可飽和吸収体層はモード依存性である。
このため、モード間強結合によるモード間双安定現象が
生じる。
【0053】また、この発明の半導体レーザの作動方法
によれば、半導体レーザ動作時に、光導波路活性層から
出射光がモード間双安定現象に起因して有するいずれか
一方のモードを強制的に他方のモードに交互に切り換え
てることができる。この強制的なモード切換は、例え
ば、利得体層および可飽和吸収体層に印加するそれぞれ
の電流を個別に制御することにより、または光導波路活
性層に、光導波路活性層から既に出射している光のモー
ドと異なるモードの光パルスを外部から入射することに
より行うことができる。
【0054】このようにして、出射光のモードを制御す
ることにより、半導体レーザを光R−Sフリップフロッ
プ作動させることができる。
【0055】そして、このようにして、半導体レーザを
光R−Sフリップフロップ作動させる場合、異なる光モ
ードの間で、発振状態を切り換えることにより、論理動
作を行う。このため、光導波路活性層内のキャリアの大
きな変動がない。従って、キャリア緩和時間で制約され
ずに高速(1GHz以上)で、論理動作させることがで
きる。
【0056】また、出力論理レベルにかかわらず、この
発明の半導体レーザは、常にレーザ発振状態にある。こ
のため、キャリアの実効緩和時定数は、誘導放出時定数
(サブnsec)で決まる。従って、従来に比べて、1
ケタ程度の動作速度上昇が見込まれる。
【0057】また、上述したように、強制的なモード切
換は、光導波路活性層から既に出射している光のモード
と異なるモードの光パルスを外部から入射することによ
り行うことができる。このような光注入同期技術を用い
て、異なるモードの間でのスイッチングを光パルスを入
射して行うことができる。同様に、光パルスによるリセ
ットも可能である。このようにして、全光入出力R−S
フリップフロップが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例の素子構造を概略的に示す断面図で
ある。
【図2】(A)〜(E)は実施例の素子を作製するため
の工程を概略的に示す断面図である。
【図3】(A)はTE偏波の光強度の利得体層にかかる
電流の依存性であり、(B)はTM偏波の光強度の利得
体層にかかる電流の依存性である。
【図4】モード間の切り換えの時間軸特性である。
【図5】第2実施例の素子構造を概略的に示す断面図で
ある。
【図6】第3実施例の素子構造を概略的に示す断面図で
ある。
【図7】(A)および(B)は、モード間の結合状態で
ある。
【符号の説明】
11:半導体基板 13:第1クラッド層 15:エッチング前可飽和吸収体層 15a:可飽和吸収体層(エッチング前可飽和吸収体
層) 17:利得体層 19:光導波路活性層 21:第2クラッド層 23:キャップ層 25:上側電極 25a:利得体層用電極 25b:可飽和吸収体層用電極 27:下側電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 利得体層と可飽和吸収体層とから構成さ
    れる光導波路活性層と、前記利得体層および前記可飽和
    吸収体層に、独立に電流を印加できる個別の電極とを具
    え、前記利得体層はモード無依存であり、前記可飽和吸
    収体層はモード依存性であることを特徴とする半導体レ
    ーザ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体レーザにおいて、
    前記利得体層をバルク層を以って構成し、前記可飽和吸
    収体層を多層量子井戸層を以って構成したことを特徴と
    する半導体レーザ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の半導体レーザを作動さ
    せるにあたり、前記半導体レーザの動作時に、前記光導
    波路活性層からの出射光がモード間双安定現象に起因し
    て有するいずれか一方のモードを強制的に他方のモード
    に交互に切り換えることによって、前記出射光モードを
    制御して、前記半導体レーザを光R−Sフリップフロッ
    プ作動させることを特徴とする半導体レーザの作動方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の半導体レーザの作動方
    法において、強制的なモード切換を前記利得体層および
    前記可飽和吸収体層に印加するそれぞれの電流を個別に
    制御して行うことを特徴とする半導体レーザの作動方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の半導体レーザの作動方
    法において、前記光導波路活性層に、前記光導波路活性
    層から既に出射している光のモードと異なるモードの光
    パルスを外部から入射させることを特徴とする半導体レ
    ーザの作動方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか一項に記載の半
    導体レーザの作動方法において、前記出射光モードを制
    御するモードフィルタを用いて、前記出射光モードの変
    換を、光の強度の変換に変えることを特徴とする半導体
    レーザの作動方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006073962A (ja) * 2004-09-06 2006-03-16 National Institutes Of Natural Sciences 受動qスイッチレーザ装置
JP2007234868A (ja) * 2006-03-01 2007-09-13 Oki Electric Ind Co Ltd モード同期半導体レーザ及びその製造方法

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