JP2007234868A - モード同期半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小さな利得電流でモード同期を実現し、かつ、発光パルスの時間軸での幅が狭い高速光パルスを発生させる。
【解決手段】利得領域24と、可飽和吸収領域26とを含む活性層20を備えている。利得領域は、各井戸層の量子エネルギー準位が複数存在する異準位多重量子井戸構造によって構成されている。また、可飽和吸収領域は、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造によって構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、モード同期半導体レーザ及びその製造方法に関するものである。
光パルスを発生するレーザ装置の1つに、受動モード同期半導体レーザがある。
図10を参照して、従来の受動モード同期半導体レーザについて説明する。図10は、従来の受動モード同期半導体レーザを概略的に示す断面図である。受動モード同期半導体レーザ110は、下クラッド層112、活性層120及び上クラッド層114を順に積層した積層構造を有している。ファブリペロー型の受動モード同期半導体レーザ110では、活性層120の長手方向の両端に劈開で形成された端面(劈開面ともいう。)116a及び116bの間で共振器が構成される。
下クラッド層112の下面112aに、受動モード同期半導体レーザ110の長手方向に連続して共用電極132が設けられている。上クラッド層114の上面114aに、受動モード同期半導体レーザ110の長手方向に分離されて、利得領域用電極134及び可飽和吸収用電極136が設けられている。活性層120の、利得領域用電極134に対応する領域、すなわち、利得領域用電極134と共用電極132の間の領域は、利得領域124として機能する領域である。また、活性層120の、可飽和吸収領域用電極136に対応する領域、すなわち、可飽和吸収領域用電極136と共用電極132の間の領域は、可飽和吸収領域126として機能する領域である。
利得領域用電極134には、直流電源144が接続されていて、直流電源144により、利得領域124に順方向電圧が印加される。利得領域124では、順方向電圧の印加により、複数のモードを含む誘導放出光である多モード誘導放出光が発生する。利得領域124で発生した多モード誘導放出光は、活性層120の両劈開面116a及び116bの間に構成された共振器により増幅される。
可飽和吸収領域用電極136には、直流電源146が接続されていて、直流電源146により、可飽和吸収領域126に逆方向電圧が印加される。可飽和吸収領域126では、逆方向電圧の印加により、活性層120で増幅される多モード誘導放出光の一部が吸収される。この可飽和吸収領域126での吸収飽和作用により、多モード誘導放出光の位相の一致が図られる。この結果、光パルスの時間軸での幅が短い高速光パルスが得られる。
上述した従来の受動モード同期半導体レーザでは、活性層120は、下クラッド層112上に一様に成長した多重量子井戸(MQW:Multi−Quantum Well)構造として形成されている(例えば、非特許文献1参照)。
図11は、活性層をMQW構造としたときの、活性層のエネルギーバンドを示す図であって、横方向に高さ方向の位置を取って示し、縦方向にエネルギーを取って示している。活性層をMQW構造とした場合は、井戸層156及びバリア層157が交互に存在するため、井戸層156の厚さTMQWが薄くなり、その結果、エネルギー分布は離散的になり幅が狭くなる。
小川 洋、荒平 慎、加藤幸雄、国松大介著「超高速モード同期半導体レーザ」電子情報通信学会論文誌Vol.J84−C、No.1、pp.1−10、2001年1月
モード同期半導体レーザでは、エネルギー分布を示す光スペクトル波形と、時間分布を示す光パルス波形とが、互いにフーリエ変換の関係にある。
従来のMQW構造で形成された活性層を備える受動モード同期半導体レーザは、光スペクトルのエネルギー分布の幅が狭いため、短パルス化に不利である。例えば、上述の非特許文献1では、繰り返し周波数が20GHz、パルスの時間幅が1.8ps、スペクトル幅が1.6nm(中心波長が1551.5nm)、及び、時間帯域幅積が0.36の受動モード同期半導体レーザが紹介されている。この受動モード同期半導体レーザのパルス波形はSech型によく一致する。このパルス波形について、光強度の最大と最小の比である消光比を求めると、207dBが得られる。一般に光通信の光源として、30dB以上の消光比を有する光源が求められている。従って、この受動モード同期半導体レーザは、光通信に用いられる光源としては充分である。
しかしながら、この受動モード同期半導体レーザを160Gbit/sの光時分割多重(OTDM:Optical Time Division Multiplexing)システムの光源として用いる場合、8多重することになる。このときの消光比は、20.6dBとなり、この受動モード同期半導体レーザは、光通信に用いられる光源に求められる30dB以上の消光比を有していない。8多重の場合、パルス幅は1.3ps以下が求められる。
上述の問題を解決するために、この出願に係る発明者が鋭意研究を行ったところ、利得領域に、各井戸層の量子エネルギー準位が複数存在する異準位多重量子井戸構造を用いることで、エネルギー分布の幅を広げること、すなわち、パルス幅を縮小できることを見出した。
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、従って、この発明の目的は、小さな利得電流でモード同期を実現し、かつ、発光パルスの時間軸での幅が狭い高速光パルスを発生するモード同期半導体レーザ及びその製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成するために、第1の発明の、モード同期半導体レーザは、利得領域と、可飽和吸収領域とを含む活性層を備えている。
利得領域は、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位多重量子井戸構造によって構成されている。また、可飽和吸収領域は、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造によって構成されている。ここで各井戸層の量子エネルギー準位が異なるとは、異準位多重量子井戸構造の全ての井戸層が互いに異なる量子エネルギー準位をとる場合に限られない。異準位多重量子井戸構造の井戸層のうち、複数の井戸層が等しい量子エネルギー準位をとる構成にしても良い。
上述したモード同期半導体レーザの実施にあたり、活性層が、さらに、受動導波路領域を含むのが好ましい。
また、上述したモード同期半導体レーザの実施にあたり、さらに好ましくは、受動導波路領域にブラッグ格子が設けられ、活性層の1つの端面と、受動導波路領域に挟まれる、活性層内の領域に、利得領域及び可飽和吸収領域が配置されている構成とするのが良い。
上述した目的を達成するために、第2の発明の、モード同期半導体レーザは、利得領域と、変調領域とを含む活性層を備えている。利得領域は、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位多重量子井戸構造によって構成されている。また、変調領域は、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造によって構成されている。
上述したモード同期半導体レーザの実施にあたり、活性層が、さらに、受動導波路領域を含むが好ましい。
また、上述したモード同期半導体レーザの実施にあたり、さらに好ましくは、受動導波路領域にブラッグ格子が設けられ、活性層の1つの端面と、受動導波路領域に挟まれる、活性層内の領域に、利得領域及び変調領域が配置されている構成とするのが良い。
上述した、第1及び第2の発明のモード同期半導体レーザによれば、好ましくは、利得領域が、複数含まれているのが良い。
異準位多重量子井戸構造では、異準位多重量子井戸構造を構成する各井戸層の層厚又は組成比が、複数種類の値をとっているか、あるいは異準位多重量子井戸構造を構成する各井戸層の層厚及び組成比が、それぞれ複数種類の値をとっている。
また、この発明のモード同期半導体レーザの製造方法は、以下の工程を備えている。
先ず、下クラッド層上に、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位多重量子井戸構造の第1多重量子井戸活性層を成長させる。次に、第1多重量子井戸活性層上に部分的に第1選択マスクを形成する。次に、第1選択マスクを用いたエッチングにより、第1多重量子井戸活性層の部分を除去する。次に、第1多重量子井戸活性層が除去されて露出した下クラッド層上に、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造の第2多重量子井戸活性層を成長させる。
さらに、好ましくは、上述したモード同期半導体レーザの製造方法の実施に当たり、以下の工程を備える構成とするのが良い。
第2多重量子井戸活性層上に、部分的に第2選択マスクを形成する。次に、第1選択マスク及び第2選択マスクを用いたエッチングにより、第2多重量子井戸活性層を除去する。次に、第2多重量子井戸活性層が除去されて露出した下クラッド層上に、バルク半導体結晶を成長させる。
また、上述のモード同期半導体レーザの製造にあたり、第2多重量子井戸活性層が除去されて露出した下クラッド層上に、バルク半導体結晶に換えて、均一多重量子井戸構造の第3多重量子井戸活性層を成長させても良い。
第1の発明のモード同期半導体レーザによれば、活性層の利得領域を高速光パルスの生成に有利な異準位多重量子井戸構造にし、及び、活性層の可飽和吸収領域を吸収飽和が起こりやすい均一多重量子井戸構造にしているので、時間軸上でのパルス幅が狭い高速光パルスを発生するとともに、小さな利得電流を実現できる。
第2の発明のモード同期半導体レーザによれば、活性層の利得領域を高速光パルスの生成に有利な異準位多重量子井戸構造にし、及び、活性層の変調領域を吸収飽和が起こりやすい均一多重量子井戸構造にしているので、時間軸上でのパルス幅が狭い高速光パルスを発生するとともに、小さな利得電流を実現できる。
また、活性層に受動導波路領域を設けることで、繰り返し周波数を低くするなどの周波数の調整を行うことができる。さらに、受動導波路領域にブラッグ格子を形成すると、ブラッグ格子の周期に応じて定まる波長の光について、共振させることが可能となり、すなわち、モード同期半導体レーザの発振波長の制御が可能になる。
さらに、活性層に利得領域を複数備えると、各利得領域でそれぞれ発生した光パルスが共振器内を伝播することになるので、繰り返し周波数を利得領域の個数に応じて逓倍の周波数にすることができる。
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の、形状、大きさ及び配置関係についてはこの発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の組成(材質)および数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されない。
(第1実施形態のモード同期半導体レーザの構成)
図1を参照して、第1実施形態のモード同期半導体レーザにつき説明する。図1は、第1実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図で、モード同期半導体レーザ上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示している。
モード同期半導体レーザ(以下、単に半導体レーザと称することもある。)10は、下クラッド層12、活性層20及び上クラッド層14を順に積層した積層構造を有している。ファブリペロー型のモード同期半導体レーザ10では、その長手方向の両端に劈開で形成された端面(劈開面とも称する。)16a及び16bの間の活性層20に共振器が構成される。
ここで、活性層20の屈折率は、下クラッド層12及び上クラッド層14の屈折率よりも大きく設定されている。このため、活性層20から下クラッド層12及び上クラッド層14への光の漏洩が防止される。
下クラッド層12は、例えば、n型のInPで形成され、また、上クラッド層14は、例えば、p型のInPで形成される。
活性層20は、長手方向に沿って直列に配置された、利得領域24と可飽和吸収領域26の領域を含む。利得領域24は、誘導放出光を生成するための領域であり、及び、可飽和吸収領域26は、利得領域24で生成された誘導放出光を部分的に吸収するための領域である。
利得領域24は、例えば、InGa1−XAs1−Y(ただし、X、Yは、それぞれ0≦X≦1、0≦Y≦1を満たす。)の、一層あたりの膜厚が10nm以下のInGaAsPを積層した多重量子井戸(MQW)構造として形成されている。なお、以下の説明においては、InGa1−XAs1−YをInGaAsPと表し、InGaAsPの組成比の選択は、X及びYの値を適宜選択することで行われるものとする。
ここで、利得領域のMQW構造は、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位MQW構造として形成されている。異準位MQW構造では、各井戸層の層厚及び組成比のいずれか一方又は双方が複数種類の値をとっている。各井戸層の組成比又は層厚が異なる値をとると、各井戸層の量子エネルギー準位も変わる。異準位MQW構造では、全ての井戸層の量子エネルギー準位が互いに異なっていなくても良い。すなわち、複数の井戸層が、等しいエネルギー準位を有する場合もある。
図2(A)及び(B)を参照して、異準位MQW構造について説明する。図2(A)及び(B)は、異準位MQW構造のエネルギーバンドを示す模式図であって、横方向に各井戸層の厚み方向の位置を取って示し、縦方向にエネルギーを取って示している。ここでは、図2(A)及び(B)では、井戸層の層数を9とし、複数の量子エネルギー準位として、3つの量子エネルギー準位が存在する例を示している。
図2(A)は、各井戸層56aの層厚は一定値のTMQWであり、3つの異なるエネルギーギャップ(Eg1、Eg2及びEg3)を示している。エネルギーギャップは、各井戸層56aの組成比に応じて変化する。エネルギーギャップが変わると量子エネルギー準位すなわち発光波長が変化する。ここで、バリア層57aの層厚は一定としている。
図2(B)は、各井戸層56bのエネルギーギャップは一定値のEgであり、3つの異なる層厚(TMQW1、TMQW2及びTMQW3)を示している。量子エネルギー準位すなわち発光波長は、井戸層56bの層厚に依存して変化する。なお、バリア層57bの層厚は一定としている。
一般に、エネルギーギャップを小さくする、あるいは、井戸層の層厚を厚くすると、発光波長帯域が長波長側にシフトする。逆に、エネルギーギャップを大きくする、あるいは、井戸層の層厚を薄くすると、発光波長帯域が短波長側にシフトする。
図3は、波長に対する利得分布を模式的に示す図である。図3では、横軸に波長を取って示し、縦軸に利得を取って示している。従って、エネルギーギャップすなわち組成比、及び、井戸層厚のいずれか一方又は双方が異なる3種類の井戸層を形成すれば、異なる3種類の波長帯域(図中、曲線I、II及びIIIで示す。)の発光が得られる。
図2(A)を参照して説明した、異準位MQW構造が井戸層ごとに複数の組成比を備えている場合、エネルギーギャップがEg1のときに、曲線Iの分布が得られる。エネルギーギャップをEg1から小さくしてEg2にすると、発光波長帯域は長波長側にシフトし、曲線IIの分布になる。また、エネルギーギャップをEg1から大きくしてEg3にすると、発光波長帯域は短波長側にシフトし、曲線IIIの分布になる。異準位MQW構造の波長帯域は、これらの合成であるので、拡大された波長帯域(図中、曲線IVで示す。)が得られる。例えば、スペクトル幅1.6nmのMQW構造を中心波長が1nmずつ異なるように3種類形成することが可能であれば、3.6nmのスペクトル幅が得られることになる。
ここでは、異準位MQW構造の井戸層が複数の組成比を備えている例について説明したが、井戸層が複数の層厚を備えている場合でも同様である。
可飽和吸収領域26は、一層あたりの膜厚が10nm以下のInGaAsPを積層したMQW構造として形成されている。可飽和吸収領域26のMQW構造は、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい、均一MQW構造として形成されている。均一MQW構造は、各井戸層の組成比及び膜厚を、互いに等しく形成することで得られる。
ここで、可飽和吸収領域26におけるInGaAsPの組成比は、利得領域24における最もエネルギーギャップが小さい井戸層と同じエネルギーギャップになるように選択されている。なお、可飽和吸収領域26における、吸収スペクトルのレッドシフトを考慮して、可飽和吸収領域26のバンドギャップ波長が利得領域24のバンドギャップ波長よりもわずかに、例えば、0.01〜0.09μm程度短波長側のバンドギャップとなるように、エネルギーギャップが最小の井戸層よりも0.01〜0.03eV程度大きなエネルギーギャップを選択しても良い。また、利得領域24における誘導放出光の光子エネルギーを全て吸収できるように、可飽和吸収領域26のバンドギャップを、利得領域24のMQWにおけるエネルギーギャップが最小の井戸層よりも0.01〜0.03eV程度小さなエネルギーギャップを選択しても良い。
下クラッド層12の下面12aに、半導体レーザ10の長手方向に連続して共用電極32が設けられている。この共用電極32は、基準電位、例えば接地電位に接続される。上クラッド層14の上面14aに、半導体レーザ10の長手方向に分離されて、利得領域用電極34及び可飽和吸収領域用電極36が設けられている。利得領域用電極34は、利得領域24に対応する、直上の上面領域に設けられている。また、可飽和吸収領域用電極36は、可飽和吸収領域26に対応する、直上の上面領域に設けられている。
利得領域用電極34には、直流電源44が接続されていて、直流電源44により、利得領域24に順方向電圧が印加される。利得領域24では、順方向電圧の印加により、複数のモードを含む誘導放出光である多モード誘導放出光が発生する。利得領域24で発生した多モード誘導放出光は、活性層20に構成される共振器により増幅される。
可飽和吸収領域用電極36には、直流電源46が接続されていて、直流電源46により、可飽和吸収領域26に逆方向電圧が印加される。可飽和吸収領域26では、逆方向電圧の印加により、この多モード誘導放出光の一部が吸収される。この可飽和吸収領域26での吸収飽和作用により、多モード誘導放出光の位相の一致が図られる。この結果、光パルスの時間軸での幅が短い高速光パルスが得られる。
(第1実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法)
図4を参照して、第1実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法について説明する。図4は、第1実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法を説明するための工程図である。図4(A)〜(D)は、主要製造段階で得られた構造体を、図1と同様に、モード同期半導体レーザ上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示している。
先ず、下クラッド層12上に、異準位MQW構造の第1MQW活性層60を一様に成長させる。このとき、第1MQW活性層60が利得領域24として機能するように各井戸層のエネルギーギャップが制御される。第1MQW活性層60の成長は、有機金属気相成長(MOVPE:Metal−Organic Vapor Phase Epitaxy)法、又は、分子線エピタキシャル成長(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法など任意好適な周知の方法で行えば良い(図4(A))。
次に、第1MQW活性層60上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜などの絶縁膜を、任意公的な周知の方法、例えば、CVD(Chemial Vapor Deposition)法で形成する。その後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより絶縁膜を加工して、第1MQW活性層60上に、部分的に第1選択マスク70を形成する。第1選択マスク70は、利得領域24に対応する第1領域74の第1MQW活性層60の部分を覆い、かつ、可飽和吸収領域26に対応する第2領域76の第1MQW活性層60の部分を露出させる(図4(B))。
次に、第1選択マスク70を用いたウェットエッチングにより、第2領域76の第1MQW活性層60の部分を除去して下クラッド層12を露出させる。このウェットエッチングは、エッチャントとして、例えば、硫酸、過酸化水素水及び水を硫酸:過酸化水素水:水=3:1:1の重量比で混合させた過水硫酸を用いて行われる。ウェットエッチングによって、残存した第1領域74の第1MQW活性層60の部分が、利得領域24になる。なお、ウェットエッチングに代えて、ドライエッチング、例えば、塩素とアルゴンの混合ガスをエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)を行っても良い(図4(C))。
次に、ウェットエッチングの際に用いた第1選択マスク70をそのまま用いて、第2領域76の下クラッド層12上に、均一MQW構造の第2MQW活性層62を成長させる。第2MQW活性層62が可飽和吸収領域26として機能するように各井戸層のエネルギーギャップ及び層厚が制御される。第2MQW活性層62の成長は、MOVPE法、又はMBE法など任意好適な周知の方法で行えば良い(図4(D))。
なお、光パルスの時間幅は、非特許文献1に記載されているように、可飽和吸収領域26の長手方向の長さに依存するので、可飽和吸収領域26の長さが長くなると、光パルスの時間幅が広がってしまう。また、可飽和吸収領域26の長さが短くなると、飽和吸収作用が低下するので、モード同期が適切に行われずやはり光パルスの時間幅が広がってしまう。従って、可飽和吸収領域26の長さは高精度に制御される必要がある。ここで、第1選択マスク70は、フォトリソグラフィ法を利用して形成されるため、可飽和吸収領域26を極めて高精度の寸法で形成することができる。
次に、第1選択マスク70を除去した後、異準位MQW構造で形成された利得領域24及び均一MQW構造で形成された可飽和吸収領域26上に、上クラッド層14を成長させる。上クラッド層14の上面14a上に利得領域用電極34及び可飽和吸収領域用電極36を形成し、及び、下クラッド層12の下面12a上に共用電極32を形成することによって、図1を参照して説明した第1実施形態のモード同期半導体レーザが形成される。なお、上クラッド層14、利得領域用電極34、可飽和吸収領域用電極36及び共用電極32の形成は、従来周知の方法で行えば良く、ここでは説明を省略する。
(第1実施形態のモード同期半導体レーザの動作)
図1を参照して第1実施形態のモード同期半導体レーザの動作について説明する。利得領域用電極34と共用電極32の間に、上クラッド層14から下クラッド層12の方向、すなわち順方向の直流電圧を印加する。また、可飽和吸収領域用電極36と共用電極32の間に、下クラッド層12から上クラッド層14の方向、すなわち逆方向の直流電圧を印加する。
利得領域用電極34と共用電極32の間に、順方向の直流電圧を印加することにより、活性層20の利得領域24にはキャリアが注入されて、複数のモードを含む誘導放出光である多モード誘導放出光が発生する。多モード誘導放出光は、活性層20の端面16a及び16bの間に形成された共振器により増幅される。
活性層20で共振する多モード誘導放出光の一部は、可飽和吸収領域26を通過する際に吸収され、この可飽和吸収領域26での吸収飽和によって、それぞれの放出光の位相が一致し、よってこれらの放出光が束なってパルス状の光になる。すなわち、第1実施形態の半導体レーザは受動モード同期半導体レーザとして機能する。可飽和吸収領域26でパルス状になった光が、端面16a及び16bの少なくとも一方から放出される。
第1実施形態のモード同期半導体レーザによれば、活性層の利得領域が異準位MQW構造として形成されていて、異準位MQW構造の各井戸層は、井戸層ごとに異なる量子エネルギー準位を有している。従って、利得領域から発生する誘導放出光の波長帯域が、従来の、利得領域が均一MQW構造であるモード同期半導体レーザに比べて広くなる。
モード同期半導体レーザでは、一般に、パルス波形とスペクトル波形とが互いにフーリエ変換の関係にある。従って、第1実施形態のモード同期半導体レーザは、従来の半導体レーザに比べてパルスの時間幅の狭い高速光パルス列を得ることができる。
第1実施形態のモード同期半導体レーザは、スペクトル幅を1.6nmから3.6nmに拡大すれば、パルス幅を1.8psから0.8psへ縮小する。この場合、8多重したときの消光比は53.8dBとなる。この消光比は、160Gbit/sのOTDMシステムで用いられる光源として充分使用可能な値である。
ここでは、クラッド層がInP、活性層がInGaAsPである半導体レーザについて説明したが、それぞれの材質は何ら限定されるものではなく、例えば、AlGaAs系のような他の材質を用いても良い。
(第2実施形態のモード同期半導体レーザの構成)
図5を参照して、第2実施形態のモード同期半導体レーザにつき説明する。図5は第2実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図で、モード同期半導体レーザ上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示している。
第2実施形態のモード同期半導体レーザ10aは、活性層20aに、さらに、受動導波路領域28が設けられた点が、図1を参照して説明した、第1実施形態のモード同期半導体レーザ10と異なっている。第2実施形態のモード同期半導体レーザ10aでは、活性層20aに、モード同期半導体レーザ10aの長手方向に沿って、利得領域24a、受動導波路領域28及び可飽和吸収領域26aが順に設けられている。なお、受動導波路領域28を備える点以外は、第1実施形態のモード同期半導体レーザ10と同様の構成なので、重複する説明を省略する。
受動導波路領域28は、バルク半導体結晶及びMQW構造のいずれで形成されても良いが、ここでは、InGaAsPのバルク半導体結晶で設けられているものとして説明する。受動導波路領域28は、繰り返し周波数を低くする場合に、共振器長、すなわち、モード同期半導体レーザ10の長手方向の長さを長くするために付加される。受動導波路領域28におけるInGaAsPの組成比は、受動導波路領域28での誘導放出光の吸収を抑制するために、バンドギャップ波長が、利得領域24a及び可飽和吸収領域26aのいずれのバンドギャップ波長よりも小さい値になるように設定される。
なお、従来周知のように、バンドギャップ波長が異なるInGaAsP間では屈折率も異なる。このため、受動導波路領域28のバンドギャップ波長を1.55μmに対して大きく異なる波長に設定すると、受動導波路領域28と、活性層20aの受動導波路領域28以外の部分、すなわち、利得領域24a及び可飽和吸収領域26aとの境界で、屈折率の差による光の反射が起こる。この結果、雑音が生じる原因となったり、また、モード同期が起こらなくなったりする恐れがある。一方、受動導波路領域28のバンドギャップ波長を1.55μmに近い値にすると、受動導波路領域28での光の吸収が大きくなり、損失を引き起こす恐れがある。
そこで、利得領域24aのバンドギャップ波長が1.55μmのときは、受動導波路領域28のバンドギャップ波長は1.0〜1.5μmの範囲、好適には、1.2〜1.3μmの範囲にするのが良い。
(第2実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法)
図6(A)〜(E)を参照して、第2実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法について説明する。図6(A)〜(E)は、第2実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法を説明するための工程図である。図6(A)〜(E)は、主要製造段階で得られた構造体を、図4(A)〜(D)と同様に、モード同期半導体レーザ上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示している。
先ず、下クラッド層12上に、異準位MQW構造の第1MQW活性層60を一様に成長させる。第1MQW活性層60の成長は、MOVPE法又はMBE法など任意好適な周知の方法で行えば良い(図6(A))。
次に、第1MQW活性層60上に、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜又はシリコン酸窒化膜などの絶縁膜を、任意公的な周知の方法、例えば、CVD法で形成する。その後、フォトリソグラフィ及びエッチングにより絶縁膜を加工して、部分的に第1選択マスク71を形成する。この第1選択マスク71は、利得領域24aに対応する第1領域74aの第1MQW活性層60の部分を覆い、かつ可飽和吸収領域26a及び受動導波路領域28にそれぞれ対応する第2及び第3領域76a及び78の第1MQW活性層60の部分を露出させるマスクである(図6(B))。
次に、第1選択マスク71を用いたウェットエッチングにより、第2領域76a及び第3領域78の第1MQW活性層60の部分を除去して下クラッド層12を露出させる。このウェットエッチングは、エッチャントとして、例えば、上述した過水硫酸を用いて行われる。ウェットエッチングによって、残存した第1領域74aの第1MQW活性層60の部分が、利得領域24aになる。なお、第1実施形態と同様に、ウェットエッチングに代えて、ドライエッチングを行っても良い(図6(C))。
次に、ウェットエッチングの際に用いた第1選択マスク71をそのまま用いて、第2領域76a及び第3領域78の下クラッド層12上に、均一MQW構造の、第2MQW活性層62を成長させる。第2MQW活性層62の成長は、MOVPE法又はMBE法など任意好適な周知の方法で行えば良い。その後、第2MQW活性層62上に、第2領域76aの第2MQW活性層62の部分を覆い、かつ、第3領域78に対応する第2MQW活性層62の部分を露出させる第2選択マスク72を形成する。第2選択マスク72は、第1選択マスク71と同様に形成することができる(図6(D))。
次に、第1及び第2選択マスク71及び72を用いたウェットエッチングにより、第3領域78の第2MQW活性層62の部分を除去して下クラッド層12を露出させる。このウェットエッチングでは、エッチャントとして、例えば、上述した過水硫酸を用いて行われる。このウェットエッチングによって、残存した第2MQW活性層62の第2領域76aの部分が、可飽和吸収領域26aになる。なお、第1MQW活性層60の除去と同様にウェットエッチングに代えて、ドライエッチングを行っても良い。その後、第3領域78の下クラッド層上12に、バルク半導体結晶を成長させ、受動導波路領域28とする。利得領域24a、可飽和吸収領域26a及び受動導波路領域28から活性層20aが構成される(図6(E))。
なお、光パルスの時間幅は、非特許文献1に記載されているように、可飽和吸収領域の長手方向の長さに依存しており、従って、可飽和吸収領域の長さが長くなると、光パルスの時間幅が広がってしまう。また、可飽和吸収領域の長さが短くなると、飽和吸収作用が低下し、モード同期が適切に行われずやはり光パルスの時間幅が広がってしまう。従って、可飽和吸収領域の長さは高精度に制御される必要がある。ここで、第1及び第2選択マスク71及び72は、フォトリソグラフィ法を利用して形成されるため、極めて高精度の寸法で形成することができる。
次に、第1及び第2選択マスク71及び72を除去した後、活性層20a上に、上クラッド層14を成長させ、上クラッド層14の上面14a上に利得領域用電極34及び可飽和吸収領域用電極36を形成し、及び下クラッド層12の下面12a上に共用電極32を形成することによって、図5を参照して説明した第2実施形態のモード同期半導体レーザが形成される。なお、上クラッド層14、利得領域用電極34、可飽和吸収領域用電極36及び共用電極32の形成は、従来周知の方法で行えば良く、ここでは説明を省略する。
第2実施形態のモード同期半導体レーザによれば、活性層20aに受動導波路領域28が付加されているので、第1実施形態のモード同期半導体レーザで得られる効果に加えて、繰り返し周波数を低くするなどの周波数の調整を行うことができる。
ここでは、活性層20aに、モード同期半導体レーザ10aの長手方向に沿って、利得領域24a、受動導波路領域28及び可飽和吸収領域26aが順に設けられた例について示しているが、利得領域24a、受動導波路領域28及び可飽和吸収領域26aの配置は、この順に限定されず、いずれの順に配置しても同様の効果が得られる。
(第3実施形態のモード同期半導体レーザ)
図7を参照して、第3実施形態のモード同期半導体レーザについて説明する。図7は第3実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図で、受動モード同期半導体レーザ上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示してある。
なお、図5を参照して説明した第2実施形態のモード同期半導体レーザと重複する説明は省略する。第3実施形態のモード同期半導体レーザ10bは、活性層20bの端面16a及び16b間に、利得領域24b、可飽和吸収領域26b及び受動導波路領域29を順に備え、さらに、受動導波路領域29にブラッグ格子80を設けている点が第2実施形態のモード同期半導体レーザと異なっている。
ブラッグ格子80は、受動導波路領域29の上クラッド層14側の表面領域に形成されている。このブラッグ格子80は、均一な周期(格子間隔)で設けられている。受動導波路領域29は、ブラッグ格子80の周期で決まるブラッグ波長の光を反射する、すなわち、波長選択性を有している。このため、一方の端面16aと受動導波路領域29との間で共振器が形成され、ブラッグ波長の光についてモード同期動作が生じる。
第3実施形態のモード同期半導体レーザを製造するにあたり、利得領域24b、可飽和吸収領域26b及び受動導波路領域29を備える活性層20bが構成されるまでの工程は、図6(A)〜(E)を参照して説明した第2実施形態のモード同期半導体レーザと同様に行われる。
ブラッグ格子80の形成は、受動導波路領域29に対応する領域にバルク半導体結晶が形成された後、例えば、任意好適な周知のフォトリソグラフィ及びエッチングによって行われる。この場合、ブラッグ格子80は、受動導波路領域29に凹凸構造として形成されることになる。
図7を参照して、活性層20bに、モード同期半導体レーザ10bの長手方向に沿って、可飽和吸収領域26b、利得領域24b及び受動導波路領域29が順に設けられた例について説明したが、可飽和吸収領域26b、利得領域24b及び受動導波路領域29の配置は、この順に限定されず、一方の端面16aと受動導波路領域29の間に、すなわち、活性層20bの1つの端面16aと、受動導波路領域29に挟まれる、活性層20b内の領域に、モード同期半導体レーザ10の長手方向に沿って、利得領域24b及び可飽和吸収領域26bが形成されていれば、その順によらず、同様の効果が得られる。
第3実施形態のモード同期半導体レーザによれば、受動導波路領域29にブラッグ格子80を形成しているので、第2実施形態のモード同期半導体レーザの効果に加え、さらに、モード同期半導体レーザの発振波長の制御が可能になるという効果が得られる。
(第4実施形態のモード同期半導体レーザ)
図8を参照して、第4実施形態のモード同期半導体レーザについて説明する。図8は第4実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図で、モード同期半導体レーザ上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示してある。
ここで、図5を参照して説明した第2実施形態のモード同期半導体レーザと重複する説明は省略する。第4実施形態のモード同期半導体レーザ10cは、端面16aと16bからなる共振器中央に配置された可飽和吸収領域26cと、この可飽和吸収領域26cの両側の活性層20cに設けられた複数の利得領域を備え、衝突パルスモード同期(CPM:Colliding−Pulse Mode−Locking)構造となっている点が第2実施形態のモード同期半導体レーザと異なっている。
ここでは、例として、第1利得領域25a及び第2利得領域25bの二つの利得領域を備えるモード同期半導体レーザ10cについて説明する。
半導体レーザ10の長手方向に分離されて、第1利得領域用電極34a、第2利得領域用電極34b及び可飽和吸収領域用電極36が設けられている。第1利得領域用電極34aは、第1利得領域25aに対応する、直上の上面領域に設けられている。また、第2利得領域用電極34bは、第2利得領域25bに対応する、直上の上面領域に設けられている。
第1及び第2利得領域用電極34a及び34bには、それぞれ直流電源44a及び44bが接続されていて、直流電源44a及び44bにより、第1利得領域25a及び第2利得領域25bに順方向電圧が印加される。第1利得領域25a及び第2利得領域25bではそれぞれ、順方向電圧の印加により、複数のモードを含む誘導放出光である多モード誘導放出光が発生する。
第4実施形態のモード同期半導体レーザ10cによれば、第1利得領域25a及び第2利得領域25bのそれぞれで発生した光パルスは、可飽和吸収領域26cの左右から可飽和吸収領域26cに入射するので、共振器内を2個の光パルスが伝播し、繰り返し周波数を2倍にすることができる。
なお、ここでは、可飽和吸収領域26cを共振器の中央に配置する例を示しているが、可飽和吸収領域の位置はこれに限定されるものではない。例えば、両端面16a、16bから可飽和吸収領域26cまでの距離を1:2とすることにより、繰り返し周波数を3倍にすることができる。このように、共振器端ではなく共振器内部に可飽和吸収領域を配置し、その両側に利得領域を備えることによって、繰り返し周波数を逓倍の周波数にすることができる。
また、ここでは、受動導波路領域28c及び28dを備えるモード同期半導体レーザに適用する例について説明したが、この例に限定されない。例えば、この半導体レーザを、受動導波路領域を備えない構成にしても良いし、また、受動導波路領域にブラッグ格子を設けて波長選択性を有する構成にしても良い。
(第5実施形態のモード同期半導体レーザ)
図9を参照して、第5実施形態のモード同期半導体レーザについて説明する。図9は第5実施形態のモード同期半導体レーザ10dの構成例を説明するための概略図で、モード同期半導体レーザ10d上面に直交し、かつその長手方向に沿った縦断面の切り口で示してある。
ここで、図1を参照して説明した第1実施形態のモード同期半導体レーザと重複する説明は省略する。
活性層20dは、長手方向に沿って順次に並べられた、利得領域24dと変調領域27の領域を含む。利得領域24dは、誘導放出光を生成するための領域であり、及び変調領域27は、利得領域24dで生成された誘導放出光を変調するための領域である。
上クラッド層14の上面14aに、モード同期半導体レーザ10dの長手方向に分離されて、利得領域用電極34及び変調領域用電極37が設けられている。利得領域用電極34は、利得領域24dに対応する、直上の上面領域に設けられている。また、変調領域用電極37は、変調領域27に対応する、直上の上面領域に設けられている。
図1を参照して説明した第1実施形態のモード同期半導体レーザは、可飽和吸収領域26に逆方向電圧が印加することにより光パルスの飽和吸収を生じさせる、受動モード同期半導体レーザとして機能する。
これに対し、第5実施形態のモード同期半導体レーザでは、変調領域用電極37に、発振器47が接続されている。この発振器47を用いて、活性層20dに形成された共振器の繰り返し周波数の整数倍に一致した発振周波数で周波数変調を行うことにより、モード同期を行うことができ、第5実施形態のモード同期半導体レーザは、いわゆる能動モード同期半導体レーザとして機能する。
第5実施形態のモード同期半導体レーザによれば、第1実施形態の受動モード同期半導体レーザと同様の効果を、能動モード半導体レーザでも得ることができる。
第5実施形態のモード同期半導体レーザでは、受動導波路領域を備えないモード同期半導体レーザについて説明したが、この例に限定されず、例えば、能動モード同期の場合であっても、図5を参照して説明した第2実施形態と同様に、受動導波路領域を設ける構成にすることができ、能動モード同期半導体レーザについても同様の効果を得ることができる。また、図7を参照して説明した第3実施形態と同様に、この半導体レーザをブラッグ格子が設けられた受動導波路領域を備える構成にしても良い。さらに、この半導体レーザの構造として、図8を参照して説明した第4実施形態と同様に、利得領域を複数備える構造、すなわち、CPM構造を採用しても良い。
第1実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。 異準位MQW構造のエネルギーバンドを示す図である。 波長に対する利得分布を模式的に示す図である。 第1実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法を説明するための工程図である。 第2実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。 第2実施形態のモード同期半導体レーザの製造方法を説明するための工程図である。 第3実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。 第4実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。 第5実施形態のモード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。 従来の受動モード同期半導体レーザの構成例を説明するための概略図である。 MQW構造のエネルギーバンドを示す図である。
符号の説明
10、10a、10b、10c、10d モード同期半導体レーザ
12、112 下クラッド層
12a、112a 下クラッド層の下面
14、114 上クラッド層
14a、114a 上クラッド層の上面
16a、16b、116a、116b 端面(劈開面)
20、20a、20b、20c、20d、120 活性層
24、24a、24b、24d、124 利得領域
25a 第1利得領域
25b 第2利得領域
26、26a、26b、26c、126 可飽和吸収領域
27 変調領域
28、28c、28d、29 受動導波路領域
32、132 共用電極
34、134 利得領域用電極
34a 第1利得領域用電極
34b 第2利得領域用電極
36、136 可飽和吸収領域用電極
37 変調領域用電極
44、44a、44b、46、144、146 直流電源
47 発振器
56a、56b、156 井戸層
57a、57b、157 バリア層
60 第1MQW活性層
62 第2MQW活性層
70、71 第1選択マスク
72 第2選択マスク
74、74a 第1領域
76、76a 第2領域
78 第3領域
80 ブラッグ格子
110 受動モード同期半導体レーザ

Claims (13)

  1. 利得領域と、可飽和吸収領域とを含む活性層を備え、
    前記利得領域が、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位多重量子井戸構造によって構成されており、及び
    前記可飽和吸収領域が、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造によって構成されている
    ことを特徴とするモード同期半導体レーザ。
  2. 前記活性層は、さらに、受動導波路領域を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載のモード同期半導体レーザ。
  3. 前記受動導波路領域にブラッグ格子が設けられ、及び
    前記活性層の1つの端面と、前記受動導波路領域に挟まれる、前記活性層内の領域に、前記利得領域及び前記可飽和吸収領域が配置されている
    ことを特徴とする請求項2に記載のモード同期半導体レーザ。
  4. 利得領域と、変調領域とを含む活性層を備え、
    前記利得領域が、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位多重量子井戸構造によって構成されており、及び、
    前記変調領域が、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造によって構成されている
    ことを特徴とするモード同期半導体レーザ。
  5. 前記活性層は、さらに、受動導波路領域を含む
    ことを特徴とする請求項4に記載のモード同期半導体レーザ。
  6. 前記受動導波路領域にブラッグ格子が設けられ、及び
    前記活性層の1つの端面と前記受動導波路領域に挟まれる、前記活性層内の領域に、前記利得領域及び前記変調領域が配置されている
    ことを特徴とする請求項5に記載のモード同期半導体レーザ。
  7. 前記利得領域が、前記活性層に複数含まれている
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のモード同期半導体レーザ。
  8. 前記異準位多重量子井戸構造を構成する各井戸層の層厚が、複数種類の値をとっている
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のモード同期半導体レーザ。
  9. 前記異準位多重量子井戸構造を構成する各井戸層の組成比が、複数種類の値をとっている
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のモード同期半導体レーザ。
  10. 前記異準位多重量子井戸構造を構成する各井戸層の層厚及び組成比が、それぞれ複数種類の値をとっている
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のモード同期半導体レーザ。
  11. 下クラッド層上に、各井戸層の量子エネルギー準位が異なる異準位多重量子井戸構造の第1多重量子井戸活性層を成長させる工程と、
    前記第1多重量子井戸活性層上に、部分的に第1選択マスクを形成する工程と、
    該第1選択マスクを用いたエッチングにより、前記第1多重量子井戸活性層の部分を除去する工程と、
    前記第1多重量子井戸活性層が除去されて露出した前記下クラッド層上に、各井戸層の量子エネルギー準位が等しい均一多重量子井戸構造の第2多重量子井戸活性層を成長させる工程と
    を備えることを特徴とするモード同期半導体レーザの製造方法。
  12. 前記第2多重量子井戸活性層上に、部分的に第2選択マスクを形成する工程と、
    前記第1選択マスク及び前記第2選択マスクを用いたエッチングにより、前記第2多重量子井戸活性層を除去する工程と、
    前記第2多重量子井戸活性層が除去されて露出した前記下クラッド層上に、バルク半導体結晶を成長させる工程と
    を備えることを特徴とする請求項11に記載のモード同期半導体レーザの製造方法。
  13. 前記第2多重量子井戸活性層が除去されて露出した前記下クラッド層上に、前記バルク半導体結晶に代えて、均一多重量子井戸構造の第3多重量子井戸活性層を成長させる工程と
    を備えることを特徴とする請求項12に記載のモード同期半導体レーザの製造方法。
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