JPH08143312A - 絶縁膜付き球状粒子の製造方法 - Google Patents

絶縁膜付き球状粒子の製造方法

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JPH08143312A
JPH08143312A JP28651694A JP28651694A JPH08143312A JP H08143312 A JPH08143312 A JP H08143312A JP 28651694 A JP28651694 A JP 28651694A JP 28651694 A JP28651694 A JP 28651694A JP H08143312 A JPH08143312 A JP H08143312A
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oxide film
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龍彦 足立
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貴子 宮西
Norihiro Nakayama
典宏 仲山
Kenichi Fujino
賢一 藤野
Kazuhiko Sakai
和彦 阪井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】緻密で膜厚の厚い絶縁膜を有し、液晶表示装置
用スペーサーとして好適な絶縁膜付き球状粒子。 【構成】金属酸化物球状粒子を中級アルコール主体アル
コール系溶媒に分散して粒子の分散液を得、アルカリ水
溶液を添加して、粒子の表面を活性化して、粒子表面に
酸化チタン膜を形成させて(酸化チタン膜付き球状粒
子)(A)を得る。粒子Aを中級アルコール主体アルコ
ール系溶媒に分散して分散液を得、アルカリ水溶液を添
加して酸化チタン膜の表面を活性化させ、(シリコンア
ルコキシドまたはその部分加水分解物)(C)を添加し
て加水分解、脱水、縮合させて、得られた(酸化チタン
膜−シリカ膜付き球状粒子)(B)を分散液から分離す
る過程(a)と、粒子Bを低級アルコール系溶媒に分散
させ、電解質の第4級アンモニウム塩を加えて溶解さ
せ、アルカリ水溶液とCを添加して加水分解、脱水、縮
合させて粒子B上にシリカ膜を追加形成させる過程
(b)とを含む方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁膜付き球状粒子の
製造方法に関する。本発明により得られた絶縁膜付き球
状粒子は液晶表示装置用スペーサーとして用いられる。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】TN
(Twisted Nematic)型の液晶表示装置においては、液晶
セルのギャップのバラツキが、応答速度、視野角、コン
トラスト等の表示品質に大きく影響し、表示ムラを生じ
させる。特にSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表
示装置の液晶セルのギャップのバラツキは0.05μm
以下に制御される必要があるとされ、スペーサーの精度
が表示品位を大きく左右する。
【0003】ところで、液晶セルにおけるスペーサーの
散布密度を大きくすれば、ギャップのバラツキを小さく
することができるが、この手段ではスペーサーからの光
の漏れが増大する。このため、スペーサー自体を黒色等
に着色させ、光がスペーサー内を透過しないようにする
ことが行われている。
【0004】この種の黒色化されたスペーサーとして、
本出願人は、シリカからなる母粒子を水・アルコール系
分散液に分散し、該分散液に酸化チタン被覆層を形成可
能なチタン化合物を添加して加水分解して該母粒子の表
面に酸化チタン層を形成せしめた後、該酸化チタン層を
還元雰囲気下で焼成して黒色化することにより得られ
る、シリカ微粒子上に黒色酸化チタン膜を有する黒色微
粒子を既に提案している(特開平5−9027号公
報)。
【0005】この特開平5−9027号公報に記載の液
晶スペーサーにおいては、黒色層が薄膜であるため、母
粒子であるシリカ微粒子の粒子径分布の単分散性をその
まま保った高精度な黒色粒子が生成する。すなわち、こ
の粒子の黒色の度合いは、XYZの表色系におけるY値
が5%程度というように良好な黒色を示す。
【0006】また、この特開平5−9027号公報に記
載の液晶スペーサーは、黒色酸化チタン薄膜が化学量論
的組成よりも酸素が欠乏した酸化チタン薄膜であるにも
拘らず、導電性を殆んど示さず、絶縁性を有する。
【0007】しかしながら、液晶表示装置用スペーサー
の黒色度をさらに上げるために、還元処理時間を長くし
たり、還元処理温度を高くすると、絶縁抵抗が低下し、
液晶スペーサーが導電性を示し出すことが明らかとなっ
た。
【0008】そこで本出願人は、液晶スペーサーが導電
性を示すことを防止するために、黒色酸化チタン膜を有
するシリカ微粒子の前記黒色酸化チタン膜上にシリカか
らなる絶縁膜を設けた黒色微粒子を提案している(特開
平5−257150号公報)。
【0009】しかしこの特開平5−257150号公報
において、シリカからなる絶縁膜は、シリカのアルコキ
シドを水−アルコール中でアンモニア存在下、加水分解
重縮合させることにより得られるものであり、相当の絶
縁性を示すが、より緻密で、膜厚がより厚く、より高い
絶縁性を示す絶縁膜を有する黒色微粒子の出現が望まれ
ていた。
【0010】従って本発明の目的は、緻密で膜厚の厚い
絶縁膜を有し、液晶表示装置用スペーサーとして好適な
絶縁膜付き球状粒子の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の絶縁膜付き球状粒子の製造方法は、 (1)金属酸化物からなる球状粒子を中級アルコールを
主体とするアルコール系溶媒に分散して球状粒子の分散
液を得る工程と、 (2)前記分散液にアルカリ水溶液を添加して金属酸化
物球状粒子の表面を活性化処理する工程と、 (3)金属酸化物球状粒子表面に、TiO2 からなる酸
化チタン膜を形成させて酸化チタン膜付き球状粒子を得
る工程と、 (4)前記酸化チタン膜付き球状粒子表面にシリカ膜か
らなる絶縁膜を形成する工程と、を含み、前記工程
(4)が、(a)前記工程(3)で得られた酸化チタン
膜付き球状粒子を中級アルコールを主体とするアルコー
ル系溶媒に分散した後、分散液にアルカリ水溶液を添加
して酸化チタン膜の表面を活性化処理し、次いでシリコ
ンアルコキシドまたはその部分加水分解物を添加してこ
れを加水分解、脱水・縮合させて酸化チタン膜表面にシ
リカ膜を形成し、得られた酸化チタン膜−シリカ膜付き
球状粒子を分散液から分離する過程と、(b)前記過程
(a)により得られた酸化チタン膜−シリカ膜付き球状
粒子を低級アルコール系溶媒中に分散させ、電解質であ
る第4級アンモニウム塩を加えて溶解させ、アルカリ水
溶液とシリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物
を添加してシリコンアルコキシドまたは、その部分加水
分解物を加水分解、脱水・縮合させ、前記球状粒子のシ
リカ膜上にシリカ膜を追加形成させる過程と、を含み、
前記過程(a)と(b)とを実施することによりシリカ
膜からなる絶縁膜の膜厚を増加させることを特徴とす
る。
【0012】以下本発明を詳説する。
【0013】本発明の絶縁膜付き球状粒子の製造方法に
おいて、工程(1)は金属酸化物からなる球状粒子をを
中級アルコールを主体とするアルコール系溶媒に分散し
て球状粒子の分散液を得る工程である。この工程(1)
において用いられる球状粒子は、一般に0.5〜30μ
m、より好ましくは1.0〜15μmの範囲の粒径を有
するものが好ましい。また球状粒子を構成する金属酸化
物微粒子としては、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸
化バリウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、酸化
バナジウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化
ストロンチウムなどの微粒子が挙げられるが、粒径精
度、強度、硬度の点でシリカ微粒子を用いるのが特に好
ましい。シリカ微粒子は、シリコンアルコキシドを水、
アンモニアおよびアルコールからなる反応液中において
加水分解および脱水・重縮合させることにより製造され
る。この段階の未焼成シリカ粒子は、シラノール基が多
く、かつ有機物、水、アンモニアもかなり残存してお
り、強度、硬度も低い。この未焼成シリカ粒子を500
〜1200℃で焼成すると有機物や水は揮発し、さらに
シラノール基同士が縮合してシロキサン結合が増加し強
度、硬度が増加する。しかしその反面表面のシラノール
基は縮合に消費されるためかなり減少する。本発明の方
法においては、これら2種のシリカ微粒子のいずれも使
用できる。
【0014】従来法では、表面にシラノール基の多い未
焼成シリカ微粒子に対しては接着性の良好な酸化チタン
膜を形成できたが、シラノール基の殆ど無い焼成シリカ
微粒子には酸化チタン膜は形成されるものの、界面の結
合力が弱く、割れたり、剥がれたりする恐れがあった。
これに対して、本発明では後記工程(2)においてアン
モニアなどのアルカリでシリカ微粒子の活性化処理を行
なうため、焼成シリカ微粒子表面にも水酸化物イオンを
リッチにすることができ、加水分解速度が粒子表面で選
択的に加速されるために、従来法ではコーティングが困
難であった焼成シリカ微粒子に酸化チタン膜をコーティ
ングできるという利点を有する。
【0015】工程(1)においては、上記球状粒子をア
ルコール系溶媒に分散させて球状粒子の分散液を得る
が、用いられるアルコール系溶媒は、ブタノール、ペン
タノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー
ル、ノナノール、デカノールなとの炭素数4〜10の中
級アルコールに限定される。その理由は、以下のとおり
である。すなわち、チタンアルコキシドはシリコンアル
コキシドよりも加水分解速度が速く、仮に溶媒として低
級アルコールを用いると、酸化チタンの生成が金属酸化
物粒子表面で行なわれる前に溶媒中で酸化チタン粒子を
形成しやすい。これに対して、中級アルコールを用いる
と、チタンアルコキシドの溶媒中の加水分解が抑えら
れ、金属酸化物粒子表面で優先的に加水分解が起るの
で、後記工程(3)において形成される酸化チタン膜の
膜厚が厚くなる。
【0016】これらの中級アルコールは直鎖のもの及び
分岐のもののいずれでもよく、これら中級アルコールを
単独のみならず混合して用いてもよい。また上記の中級
アルコールとともに、メタノール、エタノール、プロパ
ノールなどの低級アルコールもしくは親水性の有機溶
媒、例えばアセトニトリル、THF、DMF、DMSO
等を全アルコールに対して少量(例えば20 vol%未
満)添加することもできる。
【0017】次に、工程(2)は、前記工程(1)で得
られた球状粒子の分散液にアルカリ水溶液を添加して金
属酸化物球状粒子の表面を活性化処理する工程である。
この活性化処理は、アルカリが金属酸化物球状粒子の表
面に作用することにより、同表面のシラノール基からの
プロトン脱離を促進するための処理であり、この活性化
処理を行なうことにより、後記の工程(3)において形
成される酸化チタン膜と金属酸化物球状粒子との密着
性、ひいては得られた酸化チタン膜付き球状粒子におけ
る酸化チタン膜を還元処理して得られる部分還元酸化チ
タン及び/又は窒化チタンからなる黒色膜と球状粒子と
の密着性が向上し、被覆層の剥離や割れが防止される。
特に球状粒子としてシリカを用いた場合、シリカ球状粒
子と、その表面に形成される酸化チタン膜とは、シリカ
と酸化チタンとの収縮率の差が大きいため、焼成処理に
より、被膜の剥離や割れの問題が懸念されたが、本発明
においてこの活性化処理により、これらの問題を解決し
たことは特筆すべきことである。
【0018】この活性化処理に用いられるアルカリ水溶
液としては、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、アル
カリ土類金属水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩などのアルカリの水溶液が用いられるが、特にア
ンモニア水溶液を用いるのが好ましい。
【0019】次に、工程(3)は、前記工程(2)で得
られた金属酸化物球状粒子表面に、TiO2 からなる酸
化チタン膜を形成させて酸化チタン膜付き球状粒子を得
る工程である。
【0020】本発明において、この工程(3)はチタン
アルコキシドの加水分解、脱水・縮合によって行なわれ
るが、特に好ましい態様は以下のとおりである。
【0021】(i) 先ず金属酸化物球状粒子分散液中の
チタンアルコキシドまたはその部分加水分解物を加水分
解、脱水・縮合させて金属酸化物球状粒子上に酸化チタ
ン膜を形成する。
【0022】チタンのアルコキシドとしては、一般式 Ti(OR)4 又はTi(R′)n (OR)4-n (式中、RおよびR′はアルキル基もしくはアシル基、
特に炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数2〜6個
のアシル基であり、nは1〜3の整数である)で示され
るチタンのアルコキシドが挙げられる。
【0023】またチタンのアルコキシドの部分加水分解
物としては、上記一般式で示されるチタンのアルコキシ
ドのアルコキシ基を部分的に加水分解したものが挙げら
れる。
【0024】チタンのアルコキシドまたはその加水分解
物の加水分解、脱水・縮合は、通常のゾルゲル法で用い
る条件で行なわれる。
【0025】(ii) 次に、上記(i) で得られた酸化チタ
ン膜付き球状粒子を分散液から分離して中性水中に分散
して加熱処理する。
【0026】酸化チタン膜付き球状粒子の分離液からの
分離方法としてはデカンテーション法、遠心分離法、濾
過法などが用いられる。
【0027】デカンテーション法による分離方法の一例
としては、反応液を静置して球状粒子を沈降させた後、
容器を傾斜させて上澄み液を取り除き、メタノールなど
の低級アルコールを添加して分散させ、再び静置して球
状粒子を沈降させた後、容器を傾斜させて洗浄用メタノ
ールを取り除き、次いで純水などの中性水を用いて同じ
操作を繰り返した後、容器を傾斜させて洗浄水を取り除
き、この水による洗浄操作を数回繰り返し、最後に容器
を傾斜させて洗浄水を取り除く方法が挙げられる。
【0028】遠心分離法による分離方法の一例として
は、反応液を遠心機により球状粒子の沈殿と上澄み液に
分離し、次いで上澄み液を取り除き、メタノール等の低
級アルコールを添加して、超音波処理しながら球状粒子
を再分散させ、以後この操作を数回繰り返す方法が挙げ
られる。この操作の途中でメタノール等のアルコール溶
媒から水に置換すれば良い。
【0029】濾過法による分離方法の一例として、反応
液を、オレフィン系もしくはフッ素樹脂系メンブランフ
ィルター(ポア径1〜20μ)を用い、これに加圧もし
くは減圧下通過させてフィルター上に球状粒子を捕集
し、次いでメタノール等の低級アルコール及び中性水で
濾過しながら洗浄する方法が挙げられる。
【0030】上記のようにして分散液から分離した酸化
チタン膜付き球状粒子の中性水中への分散、そして加熱
処理は、酸化チタン膜付き球状粒子を純水などの中性水
中へ投入し、撹拌した後、50〜90℃で30分〜4時
間加熱することにより行なうのが好ましい。この加熱処
理により、加水分解が完結され、未反応物の少ない酸化
チタン膜が得られる。
【0031】(iii) 次に、上記(ii)で得られた酸化チタ
ン膜付き球状粒子を中性水から分離した後、乾熱処理す
る。
【0032】この乾熱処理は、例えば150〜250℃
の温度で30分〜4時間行なうのが好ましく、これによ
り酸化チタン膜が緻密化および平滑化される。
【0033】上記処理(i) 、(ii)および(iii) を行なう
ことにより工程(3)が完結する。
【0034】本発明の方法においては、前記工程(3)
の後、酸化チタン膜付き球状粒子を出発粒子として、前
記工程(1)、(2)および(3)を1回または2回以
上繰り返し、酸化チタン膜の膜厚を厚くすることもでき
る。
【0035】本発明において、工程(4)は本発明の中
核的工程であり、過程(a)と(b)とからなる。そこ
で先ず過程(a)について説明する。
【0036】過程(a)においては、先ず工程(3)で
得られた酸化チタン膜付き球状粒子を中級アルコールを
主体とするアルコール系溶媒に分散した後、分散液にア
ルカリ水溶液を添加して酸化チタン膜の表面を活性化処
理する。用いられる中級アルコールは、前記工程(1)
において記載したものが用いられ、アルカリ水溶液は、
前記工程(2)において記載したものが用いられる。ま
た中級アルコールおよびアルカリ水溶液の使用による効
果も、工程(1)および工程(2)における中級アルコ
ールおよびアルカリ水溶液の使用による効果と同一であ
る。
【0037】過程(a)においては、次に活性化処理済
みの酸化チタン膜付き球状粒子にシリコンアルコキシド
またはその部分加水分解物を添加して、これを加水分
解、脱水・縮合させて酸化チタン膜表面にシリカ膜を形
成し、得られた酸化チタン膜−シリカ膜付き球状粒子を
分散液から分離して、過程(a)を終了する。シリカ膜
の形成のために用いるシリコンアルコキシドとしては、
一般式 Si(OR)4 又はSi(R′)n (OR)4-n (式中、RおよびR′はアルキル基もしくはアシル基、
特に炭素数1〜5のアルキル基もしくは炭素数2〜6の
アシル基であり、nは1〜3の整数である)で示される
ものが挙げられる。
【0038】またシリコンアルコキシドの部分加水分解
物としては、上記一般式で示されるシリコンアルコキシ
ドのアルコキシ基を部分的に加水分解したものが挙げら
れる。
【0039】シリコンアルコキシドまたはその部分加水
分解物の加水分解、脱水・縮合は通常のゾルゲル法で用
いる条件で行なわれる。
【0040】本発明における工程(4)は、前記過程
(a)の後に、過程(b)を実施する。
【0041】過程(b)においては、先ず、前記過程
(a)で得た酸化チタン膜−シリカ膜付き球状粒子を低
級アルコール溶媒中に分散させ、電解質である第4級ア
ンモニウム塩を加えて溶解させる。分散媒である低級ア
ルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノー
ルなどが挙げられる。また分散液に加えて溶解される電
解質である第4級アンモニウム塩は、酸化チタン膜−シ
リカ膜付き球状粒子の凝集を抑えるためのものであり、
例えば一般式 R4 + - (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは無機酸基
である)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩を用
いるのが好ましく、特に無機酸基XがBF4 であるテト
ラアルキルアンモニウムテトラフロロほう酸塩を用いる
のが好ましい。
【0042】電解質の添加量の範囲は1X10-4〜1モ
ル/リットルが好ましく、5X10-4〜1X10-1モル
/リットルがより好ましい。添加量が1X10-4モル/
リットル未満であると、分散の効果が発現しにくく、不
可逆の凝集粒子が発生して、単分散粒子が得られにくく
なる。また、1モル/リットルを超えると、不定形の異
物状の膜が生成しやすくなり、形状がいびつになった
り、CV値が増加する。過程(b)においては、次に、
分散液にアルカリ水溶液とシリコンアルコキシドまたは
その部分加水分解物を添加してシリコンアルコキシドま
たはその部分加水分解物を加水分解、脱水・縮合させ、
前記球状粒子のシリカ膜上にシリカ膜からなる絶縁膜を
追加形成させ、この過程(b)を終了する。シリカ絶縁
膜の追加形成に用いるシリコンアルコキシドまたはその
部分加水分解物は前記過程(a)で説明したものと同様
のものが用いられる。
【0043】この過程(b)によれば、導電性を有する
酸化チタン膜と絶縁性を有するシリカ膜とを有するた
め、誘電体となっている酸化チタン膜−シリカ絶縁膜付
き球状粒子の凝集が、前記電解質である第4級アンモニ
ウム塩により防止されるため、シリコンアルコキシドま
たはその部分加水分解物の加水分解、脱水・縮合による
シリカ絶縁膜の追加形成が極めて円滑に行なわれるとい
う利点がある。
【0044】従って本発明により得られたシリカ絶縁膜
付き球状粒子は、その絶縁膜の膜厚が厚く、かつ緻密で
あるという利点を有するので、絶縁性に優れ、絶縁性が
要求される各種の用途に用いられる。
【0045】本発明において、工程(4)は、過程
(a)を1回実施した後、過程(b)を1〜5回実施す
るのが好ましく、特に過程(b)を複数回実施すること
により、膜厚がより厚く、かつ緻密なシリカ絶縁膜を得
ることができる。
【0046】なお、本発明の方法を液晶表示装置用スペ
ーサーとしての黒色微粒子の製造に適用する場合には、
前記工程(3)と工程(4)との間または工程(4)の
後に、酸化チタン膜を還元性及び/又は窒化雰囲気で焼
成して黒色化する工程が実施される。
【0047】
【実施例】以下実施例により本発明を更に説明する。
【0048】実施例1(絶縁膜付き球状粒子の製造例)工程(1) 金属酸化物からなる球状粒子として、平均粒子径が4.
75μm、CV値1.05%の単分散シリカ微粒子を用
い、アルコール系溶媒としてn−ブタノールを用いて、
シリカ微粒子52.8gをn−ブタノール840mlに
添加し、30分間超音波照射を行なってシリカ微粒子の
分散液を得た。
【0049】工程(2) 得られたシリカ微粒子の分散液に25%アンモニア水3
mlを滴下混合し30℃で1時間撹拌することによりシ
リカ微粒子の表面を活性化処理した。
【0050】工程(3) 酸化チタンを形成し得るチタン化合物として、チタンテ
トラブトキシドを用い、このチタンテトラブトキシド3
2.4gをn−ブタノール120mlに溶解した溶液を
前記工程(2)を経た分散液に10分かけて滴下混合
し、30℃で1時間撹拌した。その後、0.5%アンモ
ニア水49mlを2−プロパノール120mlに溶解し
た溶液を30分かけて滴下した後、反応系を60℃に昇
温して2時間撹拌した。反応液を静置して粒子を沈降さ
せた後、デカンテーションにより上澄み液を取り除い
た。さらにメタノールで1回、純水で3回デカンテーシ
ョンを繰り返した後、粒子を純水に分散させて分散液を
70℃に昇温し1時間保持して加水分解を完結させ、未
反応物のない酸化チタン膜を得た。沈降とデカンテーシ
ョンにより分散液を純水からメタノールに置換し、メタ
ノールを蒸発させた。
【0051】次に、酸化チタン膜付きシリカ微粒子を2
00℃のオーブン中で2時間かけて乾熱処理することに
より、酸化チタン膜を緻密化、平滑化させて、緻密かつ
表面が平滑な酸化チタン膜を有するシリカ微粒子を得
た。得られた酸化チタン膜付きシリカ微粒子の平均粒径
は4.85μm、CV値は1.20%であり、従って酸
化チタン膜の膜厚は0.05μmであった。
【0052】次に、上記工程(1)、(2)および
(3)を経て得られた、平均粒子径が4.85μmの単
分散状の酸化チタン膜付きシリカ微粒子54gを出発粒
子として、工程(1)、(2)および(3)を繰り返し
た。但し、この繰り返し操作においては、工程(3)に
おいて、チタンテトラブトキシド80gをn−ブタノー
ル240mlに溶解して得たチタンテトラブトキシドの
n−ブタノール溶液を酸化チタン膜付きシリカ微粒子分
散液に添加、混合後、0.5%アンモニア水96mlを
2−プロパノール120mlに溶解して滴下した点が最
初に行なった工程(3)と異なる。
【0053】工程(1)、(2)および(3)を繰り返
して得られた酸化チタン膜付きシリカ微粒子の平均粒径
は5.09μm、CV値は1.28%であり、酸化チタ
ン膜の膜厚は0.17μmであった。
【0054】工程(4) 過程(a) 工程(1)、(2)および(3)を繰り返して得られ
た、平均粒径5.09μm、酸化チタン膜厚0.17μ
mの酸化チタン膜付きシリカ微粒子54.9gをn−ブ
タノール400ml中に30分間超音波処理することに
より分散させた後、25%アンモニア水1.38mlを
n−ブタノール520mlに溶解した溶液を滴下混合
し、30℃で60分間撹拌して活性化処理した。次にテ
トラエトキシシラン24gをイソプロピルアルコール2
30mlに溶解した溶液を10分間で滴下混合し、30
℃で60分間撹拌した。この溶液に25%アンモニア水
16.6gをイソプロピルアルコール144mlに溶解
した溶液を30分間で滴下して12時間撹拌反応させ
た。反応液を静置して粒子を沈降させた後、デカンテー
ションにより上澄み液を取り除き、メタノール、水の順
にデカンテーションを繰り返した。得られた絶縁膜付き
粒子の平均粒径は5.16μm、CV値は1.35%で
あった。
【0055】過程(b) シリカ絶縁膜の厚みを更に増加させるため、過程(a)
で得られた絶縁膜付き粒子の低級アルコール分散液中で
シリコンアルコキシドの加水分解反応を次のようにして
行なった。
【0056】すなわち粒径5.16μmの粒子55gを
シード粒子として、メタノール1000ml中に30分
間の超音波処理により分散させ、これに電解質としてメ
タノールに溶解する第4級アンモニウム塩であるテトラ
ブチルアンモニウムテトラフロロほう酸塩((C
4 9 4 NBF4 )1.93gを添加した。この分散
液にメタノール778mlと25%アンモニア水836
gを加えて60分間撹拌した。このときの電解質濃度は
2.2X10-3モル/リットルであった。次にテトラエ
トキシシラン71.1gを20分間で添加してからさら
に30℃で12時間撹拌した。反応液を静置して粒子を
沈降させ新たに生成した微小粒子を含む上層液部分をデ
カンテーションにより分級除去した。更に純水を加えて
デカンテーションを繰り返した。このようにして平均粒
径5.30μm、CV値1.39%の絶縁膜付き粒子を
得た。
【0057】上記過程(b)で得られた粒径5.30μ
mの絶縁膜付き粒子をシード粒子として上記過程(b)
と同様の操作を更に2回繰り返した。そして、最初の繰
り返し操作で、シリカ微粒子上の酸化チタン膜とこれを
さらに被覆するシリカ絶縁膜からなる三層構造をもつ
5.52μm、CV値1.41%の粒子を得たのち、も
う1度の繰り返し操作で最終的に平均粒径が5.84μ
m、CV値1.55%の粒子を得た。最外層のシリカ絶
縁膜の厚みは0.38μmである。得られた絶縁膜は、
その膜厚が従来のものに比べ厚く、かつ緻密であり、絶
縁性に優れていた。
【0058】実施例2(黒色微粒子の製造例) 実施例1で得られたシリカ、酸化チタン、シリカの三層
構造をもつ乾燥粒子のうち40gを石英ガラス製ボート
に入れ、これを、両端にガス導入口と排出口を設けた内
径40mmの石英ガラスチューブの炉芯管内に置き、窒
素ガスにより炉芯管内の酸素をパージした。ついで窒素
ガスを1リットル/分の流量で炉内に導入しながら炉の
温度を1時間で200℃まで昇温し、つぎに水素ガスに
切り替えて1リットル/分の流量で流しながら3時間で
900℃まで昇温し、5時間保持した後、4時間かけて
500℃まで降温した時点で再び窒素ガスに切り替えて
同じ流量で流しながら4時間かけて室温まで降温した。
得られた黒色粒子の平均粒径は5.59μmであり、C
V値は1.9%であった。
【0059】実施例3(絶縁膜付き球状粒子の製造例) 前記実施例1では工程(4)における過程(b)を3回
行なったが、本実施例3では、工程(4)における過程
(b)を1回行なった。他の調整手順及び条件は実施例
1と同様であるので、以下に要点のみ記す。
【0060】工程(1)、工程(2)および工程(3) 金属酸化物からなる球状粒子として、平均粒径が5.6
3μm、CV値1.06の単分散シリカ粒子を用いた以
外は実施例1の工程(1)、工程(2)および工程
(3)と同様の操作で、平均粒子径5.75μm、CV
値1.22%、酸化チタン膜厚さ0.06μmの酸化チ
タン膜付きシリカ微粒子を得た。
【0061】工程(4) 過程(a) 工程(1)、(2)および(3)を実施して得られた、
平均粒径5.75μm、CV値1.22%、酸化チタン
膜厚0.06μmの酸化チタン膜付きシリカ微粒子5
6.5gをn−ブタノ−ル720ml中に30分間超音
波処理することにより分散させた後、25%アンモニア
水1.6gを2−プロパノ−ル180mlに溶解した溶
液を滴下混合し、30℃で60分間攪拌して活性化処理
した。次に、テトラエトキシシラン18.7gをn−ブ
タノ−ル144mlに溶解した溶液を30分間で滴下混
合し、30℃で60分間攪拌した。この溶液に25%ア
ンモニア水13.0gを2−プロパノ−ル113mlに
溶解した溶液を30分間で滴下して12時間攪拌反応さ
せた。反応液を静置して粒子を沈降させた後、デカンテ
−ションにより上澄み液を取り除き、メタノ−ル、水の
順にデカンテ−ションを繰り返した。得られた絶縁膜付
き粒子の平均粒径は5.80μmで、CV値は1.33
%であり、絶縁膜の厚さは0.05μmであった。
【0062】過程(b) シリカ絶縁膜の厚みを更に増加させるため、過程(a)
で得られた絶縁膜付き粒子の低級アルコ−ル分散液中で
シリコンアルコキシドの加水分解反応を次のようにして
行なった。
【0063】すなわち粒径5.80μmの粒子57.0
gをシ−ド粒子として、メタノ−ル579ml中に30
分間の超音波処理により分散させ、これに電解質として
メタノ−ルに溶解する第4級アンモニウム塩であるテト
ラエチルアンモニウムテトラフロロほう酸塩((C2
5 4 NBF4 )2.34gを添加した。この分散液に
メタノ−ル500mlと25%アンモニア水520gを
加えて60分間攪拌した。このときの電解質の濃度は
6.5X10-3モル/リットルであった。次にテトラエ
トキシシラン57gを20分間で添加してからさらに3
0℃で12時間攪拌した。反応液を静置して粒子を沈降
させ新たに生成した微粒子を含む上層液部分をデカンテ
−ションにより分級除去した。更に純水を加えてデカン
テ−ションを繰り返した。このようにして平均粒径6.
31μm、CV値1.86%の絶縁膜付き粒子を得た。
シリカ絶縁膜の厚さは0.26μmであった。作られた
絶縁膜はその膜厚が従来のものに比べ厚く、かつ微密で
あり、絶縁性に優れていた。
【0064】実施例4(黒色微粒子の製造例) 実施例3で得られた絶縁膜付きシリカ粒子を実施例2と
同様の焼成条件で焼成して黒色微粒子を得た。得られた
黒色微粒子の平均粒径は6.18μm、CV値1.78
%であった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、膜厚が厚く、緻密な絶
縁膜を有する球状粒子が得られる。この絶縁膜付き球状
粒子は液晶表示装置用スペーサーとして好ましく用いら
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤野 賢一 岐阜県岐阜市藪田西2−1−1 宇部日東 化成株式会社岐阜研究所内 (72)発明者 阪井 和彦 岐阜県岐阜市藪田西2−1−1 宇部日東 化成株式会社岐阜研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)金属酸化物からなる球状粒子を中
    級アルコールを主体とするアルコール系溶媒に分散して
    球状粒子の分散液を得る工程と、 (2)前記分散液にアルカリ水溶液を添加して金属酸化
    物球状粒子の表面を活性化処理する工程と、 (3)金属酸化物球状粒子表面に、TiO2 からなる酸
    化チタン膜を形成させて酸化チタン膜付き球状粒子を得
    る工程と、 (4)前記酸化チタン膜付き球状粒子表面にシリカ膜か
    らなる絶縁膜を形成する工程と、を含み、 前記工程(4)が、(a)前記工程(3)で得られた酸
    化チタン膜付き球状粒子を中級アルコールを主体とする
    アルコール系溶媒に分散した後、分散液にアルカリ水溶
    液を添加して酸化チタン膜の表面を活性化処理し、次い
    でシリコンアルコキシドまたはその部分加水分解物を添
    加してこれを加水分解、脱水・縮合させて酸化チタン膜
    表面にシリカ膜を形成し、得られた酸化チタン膜−シリ
    カ膜付き球状粒子を分散液から分離する過程と、(b)
    前記過程(a)により得られた酸化チタン膜−シリカ膜
    付き球状粒子を低級アルコール系溶媒中に分散させ、電
    解質である第4級アンモニウム塩を加えて溶解させ、ア
    ルカリ水溶液とシリコンアルコキシドまたはその部分加
    水分解物を添加してシリコンアルコキシドまたは、その
    部分加水分解物を加水分解、脱水・縮合させ、前記球状
    粒子のシリカ膜上にシリカ膜を追加形成させる過程と、
    を含み、前記過程(a)と(b)とを実施することによ
    りシリカ膜からなる絶縁膜の膜厚を増加させることを特
    徴とする絶縁膜付き球状粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 工程(4)において、過程(a)を1回
    実施した後、過程(b)を1〜5回実施する、請求項1
    に記載の方法。
  3. 【請求項3】 工程(1)および(4)で用いる中級ア
    ルコールが炭素数4〜10の中級アルコールである、請
    求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 工程(2)および(4)で用いるアルカ
    リ水溶液がアンモニア、アルカリ金属水酸化物、アルカ
    リ土類金属水酸化物、アルカリ金属塩またはアルカリ土
    類金属塩の水溶液である、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 工程(4)で用いる第4級アンモニウム
    塩が一般式 R4 + - (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基、Xは無機酸基
    である)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩であ
    る、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 テトラアルキルアンモニウム塩がテトラ
    アルキルアンモニウムテトラフロロほう酸塩である、請
    求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 工程(3)と工程(4)との間または工
    程(4)の後に、酸化チタン膜を還元性及び/又は窒化
    雰囲気で焼成して黒色化する工程を実施する、請求項1
    に記載の方法。
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WO2024071312A1 (ja) * 2022-09-29 2024-04-04 日揮触媒化成株式会社 結晶性酸化チタンコアシェル粒子およびそれを含む分散液

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